JP4441622B2 - 胃炎、萎縮性胃炎、または胃ガンの診断用マーカー - Google Patents

胃炎、萎縮性胃炎、または胃ガンの診断用マーカー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、胃炎、萎縮性胃炎、または胃ガンの診断用マーカー、胃炎、萎縮性胃炎、または胃ガンの診断方法、並びに胃炎の重度、萎縮性胃炎の有無、及び胃ガンのリスクの判別方法や識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本人の胃ガン発生率は、世界の先進国中でも非常に高く、また、胃ガンは日本人に発生するガンのなかで最も多いガンである。しかし、近年、胃ガンによる死亡率は減少し、現在、肺ガンが死亡率の第1位となっている。これは、検診の普及や内視鏡の進歩などにより、胃ガンの早期発見による早期治療が可能になったからである。
【0003】
従来、胃がんの検診は、主にバリウムを用いたレントゲン法によって行われてきた。最近、ガンの早期発見率がレントゲン法より2倍程度高いといわれるペプシノーゲン法という新しい検査方法が導入された(例えば、非特許文献1参照)。これは、血液中の2種類のペプシノーゲン、I及びIIの濃度を測定し、Iの濃度あるいはI:IIの比率によって、胃粘膜の萎縮状態を判定する方法である。胃粘膜の萎縮度が高いほど胃ガンの発生率が高いことが知られており、ペプシノーゲン法によるIの濃度及びI:IIの比率は、胃ガンの発生と高い相関関係にある。
【0004】
一般に、こうした胃粘膜の萎縮を伴う胃炎は萎縮性胃炎と呼ばれる。胃炎とは、粘膜表層に限局する表層性胃炎から、胃粘膜の萎縮に至る種々の段階を示すが、萎縮性胃炎では、内視鏡検査で退色、血管透見、粘膜菲薄化が認められ、容易に診断される。この内視鏡検査で観察される萎縮部と非萎縮部との境界は萎縮境界と呼ばれ、萎縮境界が小弯線上で弧を描いている比較的軽症のものは閉鎖型(closed-type)、噴門側に扇状に開いている比較的重傷のものは開放型(open-type)と呼ばれている。
【0005】
近年、ピロリ菌(Helicobacter pylori)の胃粘膜感染が、胃炎の主な原因であることが明らかになってきた。便宜上、十二指腸潰瘍に伴うことが多く、ピロリ菌感染が幽門付近に限定され炎症が前庭部に起きる軽症の胃炎と、胃潰瘍に伴うことが多く、胃体部にまでピロリ菌感染が進行し炎症や胃粘膜の萎縮が広がった重症の胃炎とに分類すると、胃ガンの発生は重症の胃炎を持つ患者に多く発生することが明らかになってきた。このように、ピロリ菌によって生じる胃炎と胃ガンの相関関係は、明白に証明されており(例えば、非特許文献2参照)、従って、胃炎及び胃潰瘍の治療や胃ガン予防等のため、ピロリ菌の除去が行われるようになってきている。
【0006】
【非特許文献1】
ジャパン・ジャーナル・キャンサー・リサーチ(Japan Journal Cancer Research)1993年 84巻 p.1086−1090
【0007】
【非特許文献2】
ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine) 2001年 345巻 p.784−789
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピロリ菌除菌後はペプシノーゲンI:IIの比率が急激に上昇し、その比率は必ずしも胃粘膜の萎縮度を反映しないことが明らかになってきた。ところが、胃炎の進展を非侵襲的に診断する方法は、現在まで、ペプシノーゲン法しか知られていない。
【0009】
そこで、本発明は、より有効な胃炎、または萎縮性胃炎の新規診断用マーカー胃ガンのリスクの判定マーカー、胃炎の重度、萎縮性胃炎の有無の診断方法、及び胃ガンのリスクの判定方法を提供することを目的としてなされた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る胃炎、または萎縮性胃炎の診断用マーカー、または胃ガンのリスクの判定マーカーは、グレリンを含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る診断用マーカーまたは判定マーカーは、グレリンを含む診断用マーカーまたは判定マーカーであって、ピロリ菌除去後の動物個体から得た試料に含まれる前記グレリンの濃度を測定するか、あるいはモニターし、測定したグレリン濃度、あるいはモニターしたグレリン濃度から胃炎の重度、萎縮性胃炎の有無を診断し、または胃ガンのリスクを判定することができる。
【0012】
これらの診断用マーカーまたは判定マーカーは、血液から調製されることを特徴としてもよい。また、上記グレリンが血液由来であることを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明に係る胃炎、萎縮性胃炎、または胃ガンの診断用キットは、抗グレリン抗体を含むことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係る胃炎、萎縮性胃炎、または胃ガンの診断方法は、ヒト以外の脊椎動物において、血液中のグレリン濃度を測定するステップを含むことを特徴とする。また、本発明に係る識別方法は、ヒト以外の脊椎動物において、個体から得た試料に含まれるグレリンの濃度を測定し、このグレリン濃度から胃炎、萎縮性胃炎、または胃ガンの有無を識別するステップを含む。また、本発明に係るもう一つの識別方法は、ヒト以外の脊椎動物において、ピロリ菌除菌後の個体から得た試料に含まれるグレリンの濃度を測定するか、あるいはモニターし、測定したグレリン濃度、あるいはモニターしたグレリン濃度から胃炎の重度、萎縮性胃炎の有無、または胃ガンのハイリスクグループを識別するステップを含む。これらの識別方法において、個体から得た試料が血液であることを特徴としてもよい。これらの方法は、いずれもヒトにも適用可能であることは言うまでもない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実験方法に関しては、以下の記載では、特に説明がない場合、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (2nd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1989); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
【0016】
グレリンは、GHSレセプター(growth hormone secretagogue receptor、成長ホルモン放出促進因子受容体)の内因性リガンドとして単離された。GHSレセプターが脳下垂体の視床下部で発現しているのに対し、グレリンは主に胃で発現している。中でも、グレリン産生細胞は胃体部の壁細胞近傍に多いため、壁細胞や胃底腺部の炎症がグレリン産生に大きく影響を与える。初期の炎症では、胃内で炎症性サイトカインの発現が亢進するため、グレリンの産生自体が増加したり、炎症等が生じるため、胃重量が増加したりして、グレリンの血中濃度も増加する。しかし、胃体部にまで進展するピロリ菌陽性胃炎の場合、グレリン産生細胞まで障害を起こしているため、グレリン産生量は減少し、従って、血中濃度も低下する。しかも、グレリン産生細胞に障害が起きるような、胃体部まで萎縮が進行している患者では、ピロリ菌除去後も直ちにはグレリン産生細胞の回復が起こらないため、グレリン濃度は低下したままであると考えられる。
【0017】
このように、グレリンの血中濃度と胃炎の重度には相関があるため、グレリンを胃炎の診断用マーカーとして利用し、血中濃度を測定することにより、胃炎の重度、即ち萎縮性胃炎に関する診断をすることができる。また、ピロリ菌除去後のグレリンの血中濃度をトレースすることにより、胃炎の重度、萎縮性胃炎の有無、及び胃ガンのリスクについての診断も可能である。
【0018】
以下の実施例において、グレリン血中濃度の測定にはRIA(radioimmunoassay、放射免疫測定法)を用いたが、それに限らず、EIA、ELISA、ウエスタン・ブロッティング、等、様々な手法が可能である。
【0019】
以下、実施例を挙げて、詳細に説明する。
【0020】
<実施例1>
スナネズミ(Meriones unguiculatus)は、ピロリ菌感染のモデル動物として、ピロリ菌に容易に感染し、胃炎、胃潰瘍、さらに胃ガンを発症するという点で非常に優れている。このピロリ菌感染モデル動物に対し、グレリンの血中濃度を調べた。
【0021】
まず、雄のスナネズミ(MGS/Sea、4週令)に10CFUs/mlのピロリ菌1mlを経胃管的に投与して感染させた。感染12週後、17週後、及び24週後に、16時間絶食させ、その後血液と胃を摘出した。胃内のピロリ菌数を定量するためには、微好気培養法を用いた。すなわち、胃をPBS20ml中で、ポリトロンホモゲナイザーを用いてホモゲナイズし、10% ウマ血液(Nippon Bio-Test社)、2.5μg/ml アンフォテリシンB(amphotericin B)、9μg/ml バンコマイシン(vancomycin)、0.32μg/ml ポリミキシンB(polymyxin B)、5μg/ml トリメソプリム(trimethoprim), and 50μg/ml 2,3,5−塩化トリフェニル−テトラゾリウム(2, 3, 5-triphenyl-tetrazolium chloride)を含んだブルセラ寒天(Brucella agar)プレートにホモゲナイズした組織を希釈して播き、7日間、37℃で、微好気的に培養した。7日間培養後、胃組織1gあたりのCFU(colony forming unit、コロニー形成数)として、ピロリ菌を定量した。また、胃の炎症は、胃の粘膜にあるミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性で評価した。これは、好中球の蓄積を指標にした評価方法である。まず、ホモゲナイズした胃の粘膜100μlを8000g、4℃で15分間遠心する。沈殿を、等量の0.5%臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(hexadecyltrimethylammonium bromide)を含んだ0.05Mリン酸カリウムバッファーに懸濁し、再びホモゲナイズした後、超音波処理(sonication)によって脱顆粒させ、MPOを溶媒中に放出させる。前回と同じ条件で遠心し、上清を測定サンプルとする。MPO活性は、3,3’5,5’-テトラメチルベンジジン(3,3’,5,5’-tetramethylbenzidine)を基質とし、H存在下での酸化反応において、655nmの吸光度が25℃で1分間に1.0変化する活性を1ユニットとする。
【0022】
ラット・グレリンは、28個のアミノ酸からなるペプチドで、活性型は3番目のセリン残基の側鎖が脂肪酸のオクタン酸によって修飾されている。用いた抗体は、それぞれ1〜11番アミノ酸残基及び13〜28番アミノ酸残基をもつポリペプチドに対して作製されたウサギ・ポリクローナル抗体で、前者は活性型グレリンのみ認識し、後者は活性型と不活性型の両方のグレリンを認識することが明らかになっている。これら2種類の抗体(以後、それぞれN抗体及びC抗体と略称し、それぞれを含む抗血清をN抗血清及びC抗血清と略称する。)を用いたRIAによって、血液中のグレリン濃度を測定した。
【0023】
まず、N抗血清に対するトレーサーとして、[Tyr29]-ラットグレリンを、C抗血清に対するトレーサーとして、[Tyr0]-ラットグレリン[13〜28]を合成し、ラクトペルオキシダーゼ法によって125Iラベルした後、μBondasphere C18カラムを用いたRP−HPLCによって、それぞれ放射性ヨード化ペプチド(トレーサー)を精製した。0.5%正常ウサギ血清を含んだRIAバッファー(50mMリン酸ナトリウム pH7.4、0.5% BSA、0.5% Triton-X 100、80mM NaCl、25mM EDTA、0.05% NaN)で、N抗血清及びC抗血清を、それぞれ600万分の一及び2万分の一で希釈した抗血清200μlと、試料血液100μlとを混合し、12時間、4℃でインキュベートした。その後、100μlの125Iでラベルされたトレーサー(15000cpm)を加え、さらに36時間、4℃でインキュベートした。100μlの抗ウサギIgGヤギ血清を加え、24時間、4℃でインキュベートした後、3000rpm、30分、4℃で遠心し、上清を捨てることにより、遊離トレーサーを除去した。沈殿中の結合トレーサーを、ガンマカウンター(ARC−600、アロカ社製)で測定した。一方、試料血液の代わりに、既知の濃度のグレリンで標準曲線を作製し、それに基づいて、血液中のグレリン濃度を決定した。表1に示すように、血液中のグレリン濃度は、非感染群に対し、感染群では有意に増加していた。
【0024】
【表1】
Figure 0004441622
【0025】
一方、胃粘膜内グレリン濃度(胃粘膜単位重量あたりのグレリン量)を、同様にRIAを用いて測定したところ、表2に示すように、非感染群に対し、感染群で有意に減少した。
【0026】
【表2】
Figure 0004441622
【0027】
しかし、感染後12週目では、非感染群の胃重量は659.87±16.58 mg(平均値±標準偏差;以下同じ)に対し、感染群の胃重量は、1143.20±52.O8 mgと有意に増加しており、単一の胃当たりの貯蔵(残存)総グレリン量に換算すると、非感染群の1918.22±191.86 pmolに比し、感染群では、2441.93±127.67 pmolと有意に増加しており、単一の胃当たりの総グレリン量と血液中のグレリン濃度との相関が認められた。しかし、感染後17週目では、非感染群の胃重量は、619.06±16.17 mg に対し、感染群の胃湿重量は、1172.75±28.47 mgと有意に増加しており、単一の胃当たりの貯蔵(残存)総グレリン量に換算すると、非感染群の2910.15±384.87 pmolと、感染群の2143.84±478.3 pmolと有意差を認めなかった。これらの結果から、胃炎発症時における血液中への空腹時グレリン分泌の亢進が考えられた。
【0028】
このように、ピロリ菌感染によって胃炎が発症すると、血液中のグレリン濃度が上昇することから、血液中のグレリンは胃炎または胃ガンの診断用マーカー分子として利用できる。
【0029】
<実施例2>
本実施例では、ヒト患者T.M.、H.S.、M.M.、に関し、図1及び2を用いて詳細に説明する。臨床所見では、T.M.はピロリ菌陽性で、萎縮性胃炎が胃体部まで進展している。H.S.は、ピロリ菌陽性の十二指腸潰瘍を患い、ピロリ菌の除菌はされているが、前底部に限局した萎縮と炎症が観察される。これらの患者に対し、M.M.は、ピロリ菌陽性であるが、炎症や萎縮は前底部に限局した軽度なものであって、ほぼ正常とみなすことができる。
【0030】
これらの患者の血液中のグレリン濃度を、12時間絶食後(空腹時)と食後4時間(食後)の2度測定した結果を図1に示す。測定方法は実施例1と同じなので、記載は省略する。図1に示すように、C-RIAでもN-RIAでも、基本的に結果は同じであった。即ち、食後、グレリン濃度は減少するが、食後の低いグレリン濃度は胃の状態にかかわらず、ほぼ一致する。しかし、空腹時には、胃がほぼ正常状態であるM.M.のグレリン濃度に比べ、H.S.の値は高く、T.M.の値は低く検出された。
【0031】
H.S.の場合のように、胃炎が生じるとグレリン濃度が増加するというのは、実施例1の場合と結果は一致する。しかし、T.M.の場合、萎縮性胃炎が胃体部まで進展しており、グレリン産生細胞が障害を受けているため、グレリンの産生自体が困難になっていると考えられる。
【0032】
<実施例3>
実施例2の患者T.M.に対し、ピロリ菌の除菌を行い、その後の血液中のグレリン濃度をモニターした。結果を図2に示す。
まず、T.M.に、一週間の3剤併用(一日あたり、ランソプラゾール 60mg、アモキシシリン 1.5g、クラリスロマイシン 800mgを投与)による除菌療法を2月20日より開始し、その後約1年間、血液中のグレリン濃度をC-RIAによって計測したが、グレリン濃度は大きな変動を示さず、回復(増加)もしなかった。これは、グレリン産生細胞自体が障害を受けていることを裏付ける結果である。そして、ピロリ菌除去後、このタイプのグレリン濃度の変遷を示す患者は、胃炎が重症であり、胃ガンのハイリスクグループに属すると診断される。
【0033】
<実施例4>
胃炎の患者に対し、一週間の3剤併用(一日あたり、ランソプラゾール 60mg、アモキシシリン 1.5g、クラリスロマイシン 800mgを投与)によるピロリ菌の除菌を行った群(HP−群)と行っていない群(HP+群)に分け、HP−群において3剤投与終了後180日目に各群において血清中のペプシノーゲンI(PGI)をRIA法によって測定し、またグレリン濃度をC-RIAによって測定し、PGが陰性(PG−即ち正常)である群と陽性(PG+)または擬似陽性(PG+/−)である群において、それぞれの群の患者におけるグレリン濃度の分布を調べた。
【0034】
【表3】
Figure 0004441622
【0035】
表3に示した結果より、PG法による測定値が異常値を示す患者のほうが、正常値に戻っている患者より、概してグレリン値は低い傾向にあることがわかった。例えば、Scheffeテストを用いて、HP−群とHP+群の各群においてPG−群とPG+群の間でのグレリン濃度を比較すると、有意確率は5%以下となり、それらの群の間でグレリン濃度が統計的に有意に異なることがわかる。これは、実施例3の結果と一致し、PG法によって異常と判定された患者では、ピロリ菌を除去してもグレリン濃度が回復していないことを示唆する。
【0036】
さらに、内視鏡観察による萎縮性胃炎の重度に関し、開放型と閉鎖型に分類し、各タイプの患者間で、血液中のグレリン濃度を比較した。
【0037】
【表4】
Figure 0004441622
【0038】
表4に示した結果より、開放型萎縮性胃炎の患者では、ピロリ菌を除去しても、血中のグレリン濃度が回復しないことがわかる。
【0039】
これらの結果から、例えば、ピロリ菌除去後、C-RIAの値が100fmol/ml(HP−、PGI−の平均値またはHP−、開放型の最高値)以下では重度の萎縮性胃炎の可能性が極めて高く、120fmol/ml(HP−、PGI−の下限値またはHP−、閉鎖型の最低値)以下では萎縮性胃炎の可能性が非常に高く、160fmol/ml(HP−、PGI+の最高値)以下では萎縮性胃炎の可能性があると診断される。萎縮性胃炎の存在は、胃炎が重度であることを示し、さらに胃ガンのリスクが高いことを示す。
【0040】
こうした診断をPGなどによる従来法の診断と組み合わせることにより、胃炎の重度、萎縮性胃炎の有無、及び胃ガンのリスクを判定するのに、より正確な診断をすることができるようになる。
【0041】
本発明によって、より有効な胃炎、または萎縮性胃炎の新規診断用マーカー胃ガンのリスクの判定マーカー、胃炎の重度、萎縮性胃炎の有無の診断方法、及び胃ガンのリスクの判定方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例2において、代表的な患者のグレリン濃度をC-RIA及びN-RIAを用いて計測した結果を示すグラフである。
【図2】本発明に係る実施例3において、患者 M.M.に対してピロリ菌除菌療法を行った後、血液中のグレリン濃度を1年間モニターした結果を示すグラフである。

Claims (13)

  1. グレリンを含むことを特徴とする胃炎の診断用マーカー
  2. グレリンを含むことを特徴とする萎縮性胃炎の診断用マーカー
  3. グレリンを含む診断用マーカーであって、
    ピロリ菌除去後の動物個体から得た試料に含まれる前記グレリンの濃度をモニターし、
    前記モニターしたグレリン濃度から胃炎の重度、または萎縮性胃炎の有無を診断することができる診断用マーカー
  4. グレリンを含む診断用マーカーであって、
    ピロリ菌除去後の動物個体から得た試料に含まれる前記グレリンの濃度を測定し、
    前記測定したグレリン濃度から胃炎の重度、または萎縮性胃炎の有無を診断することができる診断用マーカー
  5. 血液から調製されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の診断用マーカー
  6. グレリンが血液由来であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の診断用マーカー
  7. 抗グレリン抗体を含むことを特徴とする胃炎、または萎縮性胃炎の診断用キット。
  8. グレリンを含むことを特徴とする胃ガンのリスクの判定マーカー
  9. グレリンを含む、胃ガンのリスクの判定マーカーであって、
    ピロリ菌除去後の動物個体から得た試料に含まれる前記グレリンの濃度をモニターし、
    前記モニターしたグレリン濃度から胃ガンのリスクを判定することができる判定マーカー
  10. グレリンを含む胃ガンのリスクの判定マーカーであって、
    ピロリ菌除去後の動物個体から得た試料に含まれる前記グレリンの濃度を測定し、
    前記測定したグレリン濃度から胃ガンのリスクを判定することができる判定マーカー
  11. 血液から調製されることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の判定マーカー
  12. グレリンが血液由来であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の判定マーカー
  13. 抗グレリン抗体を含むことを特徴とする胃ガンのリスク判定用キット。
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