本発明の課題は、マルチリーフコリメータが備える複数のリーフが破損することを防止する放射線治療装置制御装置および放射線照射方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、マルチリーフコリメータが備える複数のリーフが衝突するときの衝撃を低減する放射線治療装置制御装置および放射線照射方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、マルチリーフコリメータが備える複数のリーフが破損することを防止し、そのリーフをより速く移動する放射線治療装置制御装置および放射線照射方法を提供することにある。
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、放射線治療装置(3)を制御する。放射線治療装置(3)は、放射線(23)を放射する放射線治療装置本体(3)と、被検体(43)の放射線(23)が照射される照射野の形状を制御するマルチリーフコリメータ(56)とを備えている。マルチリーフコリメータ(56)は、放射線(23)を遮蔽する複数リーフ(62)と、複数リーフ(62)をそれぞれ移動させる駆動装置(64)とを備えている。複数リーフ(62)は、第1案内面に案内される第1リーフと、第1案内面に隣接する第2案内面に案内される第2リーフとを含んでいる。本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、駆動装置(64)を用いて、治療計画に基づいて算出される複数位置に複数リーフ(62)をそれぞれ移動させるリーフ駆動部(117)と、第1リーフが移動するときに、第1リーフの縁が第2リーフの縁の近傍を通過するかどうかを判別する擦れ違い検出部(116)とを備えている。このとき、リーフ駆動部(117)は、第1リーフの縁が第2リーフの縁の近傍を通過するときに、第2リーフの縁に対する第1リーフの縁の相対速度が所定の速度以下になるように、第1リーフを移動させる。このような制御によれば、第1リーフと第2リーフとが衝突するときの衝撃を低減することができ、第1リーフと第2リーフとが変形・破損することを防止することができる。
擦れ違い検出部(116)は、第1リーフの縁が第2リーフの縁に最接近する擦れ違い位置をさらに算出する。第1リーフが移動する区間は、第1リーフの縁が擦れ違い位置を通過する第1区間と、第1リーフの縁が擦れ違い位置を通過しない第2区間とを含んでいる。第2区間で第1リーフが移動する速さは、第1区間で第1リーフが移動する速さより速い。このような制御によれば、所定の位置に第1リーフをより速く移動させることができ、好ましい。
リーフ駆動部(117)は、第1リーフが移動する方向の反対方向に第2リーフが移動する場合で、第1リーフの縁が第2リーフの縁の近傍を通過するときに、相対速度が所定の速度以下になるように、第2リーフを減速して移動させることが好ましい。
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、マルチリーフコリメータ(56)が備えるリーフ位置センサ(67、92)を用いて複数リーフ(62)の現リーフ位置を測定するリーフ位置収集部(115)をさらに備えている。擦れ違い検出部(116)は、複数位置と現リーフ位置とに基づいて擦れ違い位置を算出する。このとき、放射線治療装置制御装置(2)は、第1リーフの縁が第2リーフの縁に擦れ違う擦れ違い位置をより正確に算出することができる。この結果、放射線治療装置制御装置(2)は、第1区間をより短くすることができ、第2区間をより長くすることができ、所定の位置にリーフをより速く移動させることができる。
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、マルチリーフコリメータ(56)が備える複数ストッパに複数リーフ(62)がそれぞれ接触するときにセンサが出力する値に基づいてリーフ位置センサ(67、92)の出力値と複数リーフ(62)の位置との対応関係を生成する校正部(111)をさらに備えている。リーフ位置収集部(115)は、対応関係に基づいてリーフ位置センサ(67、92)が出力する値から現リーフ位置を算出する。このとき、放射線治療装置制御装置(2)は、第1リーフの縁が第2リーフの縁に擦れ違う擦れ違い位置をより正確に算出することができる。この結果、放射線治療装置制御装置(2)は、第1区間をより短くすることができ、第2区間をより長くすることができ、所定の位置にリーフをより速く移動させることができる。
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、放射線治療装置(3)が備える被検体センサ(16、24、25、32、33)を用いて被検体(43)の性状を検出する性状収集部(113)をさらに備えている。このとき、複数位置は、性状にさらに基づいて算出されることが好ましい。
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、放射線治療装置本体(3)を用いて放射線(23)を放射する放射線照射部(118)をさらに備えている。このとき、放射線照射部(118)は、複数リーフ(62)が移動する状態に基づいて放射線(23)の線量を制御することが好ましい。たとえば、放射線治療装置(3)は、複数リーフ(62)が移動しているときに放射される放射線(23)の線量を、複数リーフ(62)が移動していないときに放射される放射線(23)の線量より小さくすることができる。
複数リーフ(62)は、第1案内面に案内される第3リーフを含んでいる。擦れ違い検出部(116)は、第1リーフが移動するときに、第1リーフの縁が第3リーフの縁に接触するかどうかを判別する。リーフ駆動部(117)は、第1リーフの縁が第3リーフの縁に接触する位置で第3リーフの縁に対する第1リーフの縁の相対速度が所定の速度以下になるように、第1リーフを移動させる。このような制御によれば、第1リーフと第3リーフとが衝突するときの衝撃を低減することができ、第1リーフと第3リーフとが変形・破損することを防止することができる。
本発明による放射線治療システム(1)は、本発明による放射線治療装置制御装置(2)と、放射線治療装置(3)とを備えていることが好ましい。
本発明による放射線治療システム(1)は、本発明による放射線治療装置制御装置(2)と、放射線治療装置(3)とを備えている。このとき、リーフ位置センサは、複数リーフ(62)の各々の位置を検出するリニアエンコーダであることが好ましい。
本発明による放射線治療装置(3)放射線治療システム(1)は、本発明による放射線治療装置制御装置(2)と、放射線治療装置(3)とを備えている。駆動装置(64)は、複数リーフ(62)の各々に形成されるラック(97)に噛み合うピニオン(96)を回転させて複数リーフ(62)を移動させる。リーフ位置センサ(67、92)は、ピニオン(96)の回転角度を検出するロータリエンコーダ(92)である。このとき、リーフ位置収集部(115)は、回転角度に基づいて現リーフ位置を算出することが好ましい。
本発明による放射線治療装置(3)は、本発明による放射線治療装置制御装置(2)と、放射線治療装置(3)とを備えている。リーフ位置センサ(67、92)は、複数リーフ(62)を画像に撮像するカメラ(67)である。このとき、リーフ位置収集部(115)は、その画像を画像処理して現リーフ位置を算出することが好ましい。
本発明による放射線治療システム(1)は、本発明による放射線治療装置制御装置(2)と、放射線治療装置(3)とを備えている。マルチリーフコリメータ(56)は、複数リーフ(62)の各々に形成されるラック(97)に噛み合うピニオン(96)を回転させて複数リーフ(62)を移動させる駆動装置(64)を備えている。リーフ位置センサ(67、92)は、ピニオン(96)の回転角度を検出するロータリエンコーダ(92)と、複数リーフ(62)を画像に撮像するカメラ(67)とを備えている。このとき、リーフ位置収集部(115)は、その回転角度とその画像とに基づいて現リーフ位置を算出することが好ましい。
本発明によるマルチリーフコリメータ(56)は、被検体(43)の放射線(23)が照射される照射野の形状を制御するために放射線(23)を遮蔽する複数リーフ(62)と、複数リーフ(62)をそれぞれ複数案内面に案内するガイド(71〜78、71’〜78’)とを備えている。複数リーフ(62)は、複数案内面のうちの第1案内面に案内される第1リーフと、複数案内面のうちの第1案内面に隣接する第2案内面に案内される第2リーフとを含んでいる。このとき、第1リーフは、第1リーフの移動方向の端の面(101)と第2案内面に対向する面(102、103)との境界に他の面(104、105)が形成されている。その面(104、105)は、面(101)と面(102、103)とをなだらかにつなげる曲面に形成され、または、面(101)と面(102、103)との境界が面取りされて形成される。このとき、マルチリーフコリメータ(56)は、第1リーフと第2リーフとが擦れ違うときに、第1リーフと第2リーフとが変形・破損することを防止することができる。
本発明による放射線照射方法は、放射線治療装置(3)を制御する。放射線治療装置(3)は、放射線(23)を放射する放射線治療装置本体(3)と、被検体(43)の放射線(23)が照射される照射野の形状を制御するマルチリーフコリメータ(56)とを備えている。マルチリーフコリメータ(56)は、放射線(23)を遮蔽する複数リーフ(62)と、複数リーフ(62)をそれぞれ移動させる駆動装置(64)とを備えている。複数リーフ(62)は、第1案内面に案内される第1リーフと、第1案内面に隣接する第2案内面に案内される第2リーフとを含んでいる。本発明による放射線照射方法は、駆動装置(64)を用いて、治療計画に基づいて算出される複数位置に複数リーフ(62)をそれぞれ移動させるステップと、第1リーフが移動するときに、第1リーフの縁が第2リーフの縁の近傍を通過するかどうかを判別するステップとを備えている。このとき、第1リーフは、第1リーフの縁が第2リーフの縁の近傍を通過するときに、第2リーフの縁に対する第1リーフの縁の相対速度が所定の速度以下になるように、移動する。このような制御によれば、第1リーフと第2リーフとが衝突するときの衝撃を低減することができ、第1リーフと第2リーフとが変形・破損することを防止することができる。
本発明による放射線照射方法は、第1リーフの縁が第2リーフの縁に最接近する擦れ違い位置を算出するステップをさらに備えている。第1リーフが移動する区間は、第1リーフの縁が擦れ違い位置を通過する第1区間と、第1リーフの縁が擦れ違い位置を通過しない第2区間とを含んでいる。このとき、第2区間で第1リーフが移動する速さは、第1区間で第1リーフが移動する速さより速い。このような制御によれば、所定の位置に第1リーフをより速く移動させることができる。
第2リーフは、第1リーフが移動する方向の反対方向に移動する場合で、第1リーフの縁が第2リーフの縁の近傍を通過するときに、相対速度が所定の速度以下になるように、減速して移動することが好ましい。
本発明による放射線照射方法は、マルチリーフコリメータ(56)がさらに備えるリーフ位置センサ(67、92)を用いて複数リーフ(62)の現リーフ位置を測定するステップをさらに備えている。このとき、擦れ違い位置は、複数位置と現リーフ位置とに基づいて算出される。このとき、第1リーフの縁が第2リーフの縁に擦れ違う擦れ違い位置は、より正確に算出される。この結果、第1区間をより短くすることができ、第2区間をより長くすることができ、所定の位置にリーフをより速く移動させることができる。
本発明による放射線照射方法は、マルチリーフコリメータ(56)が備える複数ストッパに複数リーフ(62)がそれぞれ接触するときにリーフ位置センサ(67、92)が出力する値に基づいてリーフ位置センサ(67、92)の出力値と複数リーフ(62)の位置との対応関係を生成するステップをさらに備えている。このとき、現リーフ位置は、その対応関係に基づいてリーフ位置センサ(67、92)が出力する値から算出される。このとき、第1リーフの縁が第2リーフの縁に擦れ違う擦れ違い位置は、より正確に算出される。この結果、第1区間をより短くすることができ、第2区間をより長くすることができ、所定の位置にリーフをより速く移動させることができる。
本発明による放射線照射方法は、放射線治療装置(3)が備える被検体センサ(16、24、25、32、33)を用いて被検体(43)の性状を検出するステップをさらに備えている。このとき、複数位置は、性状にさらに基づいて算出されることが好ましい。
本発明による放射線照射方法は、放射線治療装置本体(3)を用いて放射線(23)を放射するステップをさらに備えている。このとき、放射線(23)の線量率は、複数リーフ(62)が移動する状態に基づいて制御されることが好ましい。
本発明によるコンピュータプログラム(111〜118)は、本発明による放射線(23)照射方法をコンピュータ(2)に実行させることが好ましい。
本発明によるマルチリーフコリメータシステムは、マルチリーフコリメータ(56)と、マルチリーフコリメータ制御装置(2)とを備えている。マルチリーフコリメータ(56)は、被検体(43)の放射線(23)が照射される照射野の形状を変更するために放射線(23)を遮蔽する複数リーフ(62)と、複数リーフ(62)をそれぞれ移動させる駆動装置(64)とを備えている。複数リーフ(62)は、第1案内面に案内される第1リーフと、第1案内面に隣接する第2案内面に案内される第2リーフとを含んでいる。マルチリーフコリメータ制御装置(2)は、駆動装置(64)を用いて、治療計画に基づいて算出される複数位置に複数リーフ(62)をそれぞれ移動させるリーフ駆動部(117)と、第1リーフが移動するときに、第1リーフの縁が第2リーフの縁の近傍を通過するかどうかを判別する擦れ違い検出部(116)とを備えている。このとき、リーフ駆動部(117)は、第1リーフの縁が第2リーフの縁の近傍を通過するときに、第2リーフの縁に対する第1リーフの縁の相対速度が所定の速度以下になるように、第1リーフを移動させる。このような制御によれば、第1リーフと第2リーフとが衝突するときの衝撃を低減することができ、第1リーフと第2リーフとが変形・破損することを防止することができる。
擦れ違い検出部(116)は、第1リーフの縁が第2リーフの縁に最接近する擦れ違い位置をさらに算出する。第1リーフが移動する区間は、第1リーフの縁が擦れ違い位置を通過する第1区間と、第1リーフの縁が擦れ違い位置を通過しない第2区間とを含んでいる。第2区間で第1リーフが移動する速さは、第1区間で第1リーフが移動する速さより速い。このような制御によれば、所定の位置に第1リーフをより速く移動させることができ、好ましい。
リーフ駆動部(117)は、第1リーフが移動する方向の反対方向に第2リーフが移動する場合で、第1リーフの縁が第2リーフの縁の近傍を通過するときに、相対速度が所定の速度以下になるように、第2リーフを減速して移動させることが好ましい。
マルチリーフコリメータ制御装置(2)は、マルチリーフコリメータ(56)が備えるリーフ位置センサ(67、92)を用いて複数リーフ(62)の現リーフ位置を測定するリーフ位置収集部(115)をさらに備えている。擦れ違い検出部(116)は、複数位置と現リーフ位置とに基づいて擦れ違い位置を算出する。このとき、マルチリーフコリメータ制御装置(2)は、第1リーフの縁が第2リーフの縁に擦れ違う擦れ違い位置をより正確に算出することができる。この結果、マルチリーフコリメータ制御装置(2)は、第1区間をより短くすることができ、第2区間をより長くすることができ、所定の位置にリーフをより速く移動させることができる。
マルチリーフコリメータ制御装置(2)は、マルチリーフコリメータ(56)が備える複数ストッパに複数リーフ(62)がそれぞれ接触するときにセンサが出力する値に基づいてリーフ位置センサ(67、92)の出力値と複数リーフ(62)の位置との対応関係を生成する校正部(111)をさらに備えている。リーフ位置収集部(115)は、対応関係に基づいてリーフ位置センサ(67、92)が出力する値から現リーフ位置を算出する。このとき、マルチリーフコリメータ制御装置(2)は、第1リーフの縁が第2リーフの縁に擦れ違う擦れ違い位置をより正確に算出することができる。この結果、マルチリーフコリメータ制御装置(2)は、第1区間をより短くすることができ、第2区間をより長くすることができ、所定の位置にリーフをより速く移動させることができる。
複数リーフ(62)は、第1案内面に案内される第3リーフを含んでいる。擦れ違い検出部(116)は、第1リーフが移動するときに、第1リーフの縁が第3リーフの縁に接触するかどうかを判別する。リーフ駆動部(117)は、第1リーフの縁が第3リーフの縁に接触する位置で第3リーフの縁に対する第1リーフの縁の相対速度が所定の速度以下になるように、第1リーフを移動させる。このような制御によれば、第1リーフと第3リーフとが衝突するときの衝撃を低減することができ、第1リーフと第3リーフとが変形・破損することを防止することができる。
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線照射方法は、マルチリーフコリメータが備える複数のリーフの破損を防止することができる。
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線照射方法は、マルチリーフコリメータが備える複数のリーフが衝突するときの衝撃を低減することができる。
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線照射方法は、マルチリーフコリメータが備える複数のリーフが破損することを防止し、そのリーフをより速く移動することができる。
図面を参照して、本発明による放射線治療システムの実施の形態を記載する。その放射線治療システム1は、図1に示されているように、放射線治療装置制御装置2と放射線治療装置3とを備えている。放射線治療装置制御装置2は、パーソナルコンピュータに例示されるコンピュータである。放射線治療装置制御装置2は、双方向に情報を伝送することができるように放射線治療装置3に接続されている。
図2は、放射線治療装置3を示している。放射線治療装置3は、旋回駆動装置11とOリング12と走行ガントリ14と治療用放射線照射装置16とを備えている。旋回駆動装置11は、回転軸17を中心に回転可能にOリング12を土台に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されて回転軸17を中心にOリング12を回転させる。回転軸17は、鉛直方向に平行である。Oリング12は、回転軸18を中心とするリング状に形成され、回転軸18を中心に回転可能に走行ガントリ14を支持している。回転軸18は、鉛直方向に垂直であり、回転軸17に含まれるアイソセンタ19を通る。回転軸18は、さらに、Oリング12に対して固定され、すなわち、Oリング12とともに回転軸17を中心に回転する。走行ガントリ14は、回転軸18を中心とするリング状に形成され、Oリング12のリングと同心円になるように配置されている。放射線治療装置3は、さらに、図示されていない走行駆動装置を備えている。その走行駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されて回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させる。
治療用放射線照射装置16は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、治療用放射線23を放射する。治療用放射線照射装置16は、治療用放射線23がアイソセンタ19を通るように、走行ガントリ14に支持されている。治療用放射線23は、このように治療用放射線照射装置16が走行ガントリ14に支持されることにより、旋回駆動装置11によりOリング12が回転し、または、その走行駆動装置により走行ガントリ14が回転しても、常に概ねアイソセンタ19を通る。即ち、走行・旋回を行うことで任意方向からアイソセンタ19に向けて治療用放射線23の照射が可能になる。
放射線治療装置3は、さらに、複数のイメージャシステムを備えている。すなわち、放射線治療装置3は、診断用X線源24、25とセンサアレイ32、33とを備えている。診断用X線源24は、走行ガントリ14に支持されている。診断用X線源24は、走行ガントリ14のリングの内側に配置され、アイソセンタ19から診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置されている。診断用X線源24は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて診断用X線35を放射する。診断用X線35は、診断用X線源24が有する1点から放射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。診断用X線源25は、走行ガントリ14に支持されている。診断用X線源25は、走行ガントリ14のリングの内側に配置され、アイソセンタ19から診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置されている。診断用X線源25は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて診断用X線36を放射する。診断用X線36は、診断用X線源25が有する1点から放射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。
センサアレイ32は、走行ガントリ14に支持されている。センサアレイ32は、診断用X線源24により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した診断用X線35を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ33は、走行ガントリ14に支持されている。センサアレイ33は、診断用X線源25により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した診断用X線36を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ32、33としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。
このようなイメージャシステムによれば、センサアレイ32、33により得た画像信号に基づき、アイソセンタ19を中心とする透過画像を生成することができる。
なお、診断用X線源24は、アイソセンタ19から診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鈍角になるような位置に配置されることもできる。すなわち、センサアレイ32は、アイソセンタ19からセンサアレイ32を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置される。診断用X線源25は、アイソセンタ19から診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鈍角になるような位置に配置されることもできる。すなわち、センサアレイ33は、アイソセンタ19からセンサアレイ33を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置される。このとき、センサアレイ32、33は、治療用放射線照射装置16から放射される治療用放射線23に照射されにくく、好ましい。
放射線治療装置3は、さらに、カウチ41とカウチ駆動装置42とを備えている。カウチ41は、放射線治療システム1により治療される患者43が横臥することに利用される。カウチ41は、図示されていない固定具を備えている。その固定具は、その患者が動かないように、その患者をカウチ41に固定する。カウチ駆動装置42は、カウチ41を土台に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されてカウチ41を移動させる。
図3は、治療用放射線照射装置16を示している。治療用放射線照射装置16は、電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と2次コリメータ55とマルチリーフコリメータ56とを備えている。電子ビーム加速装置51は、電子を加速して生成される電子ビーム57をX線ターゲット52に照射する。X線ターゲット52は、高原子番号材(タングステン、タングステン合金等)から形成され、電子ビーム57が照射された際の制動放射により生成される放射線59を放出する。放射線59は、X線ターゲット52が内部に有する点である仮想的点線源58を通る直線に概ね沿って放射される。1次コリメータ53は、高原子番号材(鉛、タングステン等)から形成され、所望の部位以外に放射線59が照射されないように放射線59を遮蔽する。フラットニングフィルタ54は、アルミニウム等から形成され、概ね円錐形の突起が形成される板に形成されている。フラットニングフィルタ54は、前記突起部がX線ターゲット側に面するように配置される。フラットニングフィルタ形状は、本フラットニングフィルタを通過した後に、その放射方向に垂直である平面の所定領域における線量が概ね一様に分布するように形成される。2次コリメータ55は、高原子番号材(鉛、タングステン等)から形成され、放射線60が所望の部位以外に照射されないように放射線60を遮蔽する。このようにして形成された一様強度分布を持つ放射線60は、放射線治療装置制御装置2により制御を受けたマルチリーフコリメータ56により、一部が遮蔽されて、別途構築した治療計画に基づく性状である治療用放射線23を生成することになる。
図4は、マルチリーフコリメータ56を示している。マルチリーフコリメータ56は、フレーム61と複数のリーフ62とベース63と駆動装置64と鏡65と照明灯66とカメラ67とストッパ68とフランジ70とを備えている。フレーム61は、直方体状の筐体に形成されており、上下方向に対して貫通した開口部69を有している。。本フレーム61は放射線59が当該開口部69がを通過するように、医療用放射線照射装置16に対して配される。複数のリーフ62は、それぞれ、高原子番号材(タングステン、タングステン合金等)から形成され、概ね長方形状の板に形成されている。複数のリーフ62は、それぞれ、フレーム61の内部に配置されている。ベース63は、フレーム61に対して脱着可能であり、フレーム61に対して移動可能な位置に固定を行い得る。駆動装置64は、複数のリーフ毎に用意されており、それぞれ、ベース63に支持されている。駆動装置64は、ユーザにより調整されて個々にベース63に対してその固定位置を調整可能である。駆動装置64は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、それぞれ、リーフ62を任意の位置に移動することが可能である。鏡65は、フレーム61に同体に接合されている。照明灯66は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、鏡65に光を照射することによりリーフ62の一部を明るく照らす。カメラ67は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、鏡65を介してリーフ62の一部の画像を撮像する。ストッパ68は、それぞれ、フレーム61に同体に接合されている。フランジ70は、フレーム61の上面に同体に接合されている。フランジ70には、図示されていない複数の穴が形成されている。マルチリーフコリメータ56は、その複数の穴にボルトが通されて、治療用放射線照射装置16の他の部品(電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と2次コリメータ55と)に同体に接合されている。なお、設置が容易になるように、当該フランジ70には治療用放射線照射装置16側の図示しない接続部と勘合や合いピンを設けることが望ましい。
リーフ62は、図5に示されているように、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’から形成されている。リーフ62−1〜62−30、62−1’〜61−30’は、それぞれ、概ね長方形状の板に形成され、前方縁79と後方縁80と上縁81と下縁82とを有している。リーフ62−1〜62−30とリーフ62−1’〜61−30’とは、前方縁79が向かい合うように配置されている。各リーフ62−i(i=1,2,3,…,30,1’,2’,3’,…,30’)は、切り欠き83、84が形成されている。切り欠き83、84は、リーフ62−iのうちの放射線60に照射されない中央の部分に形成されている。すなわち、切り欠き83、84の縁は、前方縁79と後方縁80と上縁81と下縁82とに繋がっていない。リーフ自身には後述するように駆動系が接続される箇所を要するが、当該箇所で遮蔽機能を具備する必要がない箇所は、当該切り欠きを設けることで当該リーフ自身の軽量化を図り得る。このため当該リーフをより低駆動力にて任意位置に設定することが可能になる。リーフ62−iは、切り欠き83が形成されている部分に第1縁85と第2縁86とを有している。リーフ62−iは、切り欠き84が形成されている部分に第3縁87と第4縁88とを有している。上縁81と下縁82と第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とは、互いに平行である複数の直線に沿って配置されている。
マルチリーフコリメータ56は、さらに、ガイド71〜78、71’〜78’を備えている。ガイド71〜74とガイド71’〜74’とは、アイソセンタ19と仮想的点線源58とを結ぶ直線を含む対称面90に対して対称に配置されている。ガイド71〜74、71’〜74’は、フレーム61の内部の上面側に配置され、フレーム61に支持されている。ガイド72は、ガイド71の近傍に配置されている。ガイド73は、ガイド72より対称面90から遠い位置に配置されている。ガイド74は、ガイド73の近傍に配置されている。ガイド72とガイド73との距離は、ガイド71とガイド72との距離またはガイド73とガイド74との距離に比較して十分に大きい。ガイド72’は、ガイド71’の近傍に配置されている。ガイド73’は、ガイド72’より対称面90から遠い位置に配置されている。ガイド74’は、ガイド73’の近傍に配置されている。ガイド72’とガイド73’との距離は、ガイド71’とガイド72’との距離またはガイド73’とガイド74’との距離に比較して十分に大きい。ガイド75〜78、75’〜78’は、フレーム61の内部の下面側に配置され、フレーム61に支持されている。ガイド76は、ガイド75の近傍に配置されている。ガイド77は、ガイド76より対称面90から遠い位置に配置されている。ガイド78は、ガイド77の近傍に配置されている。ガイド76とガイド77との距離は、ガイド75とガイド76との距離またはガイド77とガイド78との距離に比較して十分に大きい。ガイド76’は、ガイド75’の近傍に配置されている。ガイド77’は、ガイド76’より対称面90から遠い位置に配置されている。ガイド78’は、ガイド77’の近傍に配置されている。ガイド76’とガイド77’との距離は、ガイド75’とガイド76’との距離またはガイド77’とガイド78’との距離に比較して十分に大きい。
ガイド71〜78、71’〜78’は、それぞれ、転がり軸受に形成されている。その転がり軸受は、複数の外輪と内輪とを備えている。その内輪は、フレーム61に同体に接合され、その外輪は、対称面90に平行である回転軸を中心に回転可能にその内輪に支持されている。ガイド71〜78は、ガイド71〜74の外輪がリーフ62−1〜62−30の上縁81に接触し、ガイド75〜78の外輪がリーフ62−1〜62−30の下縁82に接触することにより、リーフ62−1〜62−30をそれぞれ案内面に沿うように支持している。ガイド71’〜78’は、ガイド71’〜74’の外輪がリーフ62−1’〜62−30’の上縁81に接触し、ガイド75’〜78’の外輪がリーフ62−1’〜62−30’の下縁82に接触することにより、リーフ62−1’〜62−30’をそれぞれ案内面に沿うように支持している。その案内面は、それぞれ、対称面90に垂直である平面であり、仮想的点線源58を通るように配置されている。リーフ62−k(k=1,2,3,…,30)が案内される案内面は、リーフ62−k’が案内される案内面に一致している。
すなわち、ガイド71〜78は、転がり摩擦により、リーフ62−1〜62−30をそれぞれその案内面に沿って直線的に移動することができるように支持している。ガイド71’〜78’は、転がり摩擦により、リーフ62−1’〜62−30’をそれぞれその案内面に沿って直線的に移動することができるように支持している。このとき、ガイド71〜78は、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜61−30’の前方縁79が対称面90に常時に平行になるように支持することができる。
ストッパ68は、ストッパ68−1〜68−30、68−1’〜68−30’から形成されている。ストッパ68−iは、リーフ62−iの後方縁80に対向する壁面を形成している。ストッパ68−iの壁面は、リーフ62−i以外のリーフ62−j(j≠i)に接触しない位置に配置され、その壁面の位置は、ユーザにより他のストッパ68−jの壁面の位置に独立に調節されることできる。ストッパ68−iは、その壁面をリーフ62−iに衝突させて、所定の位置より対称面90から遠い側に移動しないように、リーフ62−iの可動域を制限している。ストッパ68−iは、フレーム61から落下することを防止することができる。
リーフ62−iは、図6に示されているように、リーフ62−(i+1)に隣接している。リーフ62−iの上縁81は、添字iがプライム無しの奇数を示すときに、ガイド71の外輪の1つとガイド73の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの上縁81は、添字iがプライム無しの偶数を示すときに、ガイド72の外輪の1つとガイド74の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの下縁82は、添字iがプライム無しの奇数を示すときに、ガイド75の外輪の1つとガイド77の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの下縁82は、添字iがプライム無しの偶数を示すときに、ガイド76の外輪の1つとガイド78の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの上縁81は、添字iがプライム付きの奇数を示すときに、ガイド71’の外輪の1つとガイド73’の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの上縁81は、添字iがプライム付きの偶数を示すときに、ガイド72’の外輪の1つとガイド74’の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの下縁82は、添字iがプライム付きの奇数を示すときに、ガイド75’の外輪の1つとガイド77’の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの下縁82は、添字iがプライム付きの偶数を示すときに、ガイド76’の外輪の1つとガイド78’の外輪の1つとに接触している。このとき、隣接する2つのリーフ(リーフ62−iとリーフ62−(i+1)と)にそれぞれ接触する2つの外輪は、接触しないように配置することができ、このような外輪の配置は、リーフ62−iとリーフ62−(i+1)とをより近接して支持することに好適である。
ベース63は、4つのベースから形成されている。その第1のベースは、フレーム61のリーフ62−1に近接する部位に配置されている。その第2のベースは、フレーム61のリーフ62−30に近接する部位に配置されている。その第3のベースは、フレーム61のリーフ62−1’に近接する部位に配置されている。その第4のベースは、フレーム61のリーフ62−30’に近接する部位に配置されている。駆動装置64は、複数の駆動装置64−1〜64−30、64−1’〜64−30’から形成されている。駆動装置64−iは、リーフ62−iを駆動する。駆動装置64−1〜64−15は、フレーム61のリーフ62−1に近接する部位に配置されるベース63に支持されている。駆動装置64−16〜64−30は、フレーム61のリーフ62−30に近接する部位に配置されるベース63に支持されている。駆動装置64−1’〜64−15’は、フレーム61のリーフ62−1’に近接する部位に配置されるベース63に支持されている。駆動装置64−16’〜64−30’は、フレーム61のリーフ62−30’に近接する部位に配置されるベース63に支持されている。
図7は、駆動装置64−iを示している。駆動装置64−iは、モータ91とロータリエンコーダ92とカバー94と伝達軸95とピニオン96とを備えている。モータ91は、ユーザにより調整されて個々にベース63に対して移動されることができるように、ベース63に支持されている。モータ91は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、供給される電力を用いてその伝達軸95を回転させる。ロータリエンコーダ92は、伝達軸95の回転量を測定し、その回転量を放射線治療装置制御装置2に出力する。カバー94は、中空の管状に形成され、その管の中に伝達軸95を回転可能に支持している。ピニオン96は、伝達軸95に同体に接合され、伝達軸95の回転軸に概ね平行である複数の歯を備えている。
リーフ62−iは、第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とのうちのいずれかの縁の一部にラック97が形成されている。ラック97は、リーフ62−iが案内される案内面に垂直である複数の歯から形成されている。
図8は、カバー94を示している。カバー94は、軸受け130を備えている。軸受け130は、カバー94のモータ91に支持される端の反対側の端に接合されている。軸受け130は、カバー94に対して伝達軸95を回転可能に支持している。駆動装置64−iは、モータ91が支持されるベース63とリーフ62−iとの距離に応じて、カバー94と伝達軸95との長さが異なっている。カバー94は、伝達軸95が自重などにより変形することを防止し、モータ91とリーフ62−iとが離れているときでもピニオン96の歯がラック97の歯に噛み合うことをより確実にする。カバー94は、切り欠き100が形成されている。切り欠き100は、リーフ62−iよりモータ91の側に配置される他のリーフの近傍に形成されている。このとき、駆動装置64−iは、カバー94がリーフ62−iよりモータ91の側に配置される他のリーフの第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とに接触しないで、他のリーフの移動を阻害しない点で好ましい。なお、カバー94は、他のリーフに接触する可能性がないときに、切り欠き100が形成される必要がない。
リーフ62−iは、突起であるターゲット98が形成されている。ターゲット98は、リーフ62−iの上縁81のうちのカメラ67の視野に含まれる位置に形成されている。リーフ62−1〜62−30のターゲット98は、リーフ62−1〜62−30の前方縁79が1つの平面上に揃うときに、直線上に揃うように形成されている。リーフ62−1’〜62−30’のターゲット98は、リーフ62−1’〜62−30’の前方縁79が1つの平面上に揃うときに、直線上に揃うように形成されている。なお、ターゲット98は、カメラ67により位置が認識可能である他の印に置換することができ、たとえば、上縁81に塗布される塗料に置換することができる。
なお、リーフ62−iは、切り欠き83、84の縁がリーフ62−iの縁(前方縁79と後方縁80と上縁81と下縁82と)に繋がるように形成されることもできる。たとえば、切り欠き83、84は、リーフ62−iの後方縁80から中央に向かって凹むように形成されることもできる。このとき、リーフ62−iは、強度が低下するが、駆動装置64によりその案内面に沿って移動することができる。
なお、上縁81と下縁82と第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とは、複数の曲線に沿って配置されることもできる。その曲線は、仮想的点線源58を中心とする弧である。このとき、ガイド71〜78、71’〜78’は、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜61−30’をそれぞれその案内面に沿って仮想的点線源58を中心にして回転移動することができるように支持し、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜61−30’の前方縁79が仮想的点線源58を通る直線に常時に沿うように支持することができる。治療用放射線23は、上縁81と下縁82と第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とが直線であるときに、リーフ62の前方縁79に入射して下縁82から抜ける放射線を含むことがあり、すなわち、ビーム強度が中途半端な放射線の部分(半影)を含むことがある。治療用放射線23は、上縁81と下縁82と第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とが弧であるときに、その半影を低減することができ好ましい。
図9は、リーフ62−kを示している。リーフ62−kは、面101と面102と面103と面104と面105とを有している。面101は、リーフ62−k’に対向している。面102は、リーフ62−(k+1)が案内される案内面に対向している。面103は、リーフ62−(k−1)が案内される案内面に対向している。面104は、面101と面102との境界に位置し、面101と面102とをなだらかに繋いでいる。面105は、面101と面103との境界に位置し、面101と面103とをなだらかに繋いでいる。
リーフ間からの治療用放射線の漏洩を抑制するために、複数リーフは稠密に配置される。しかし、リーフ自身は加工精度の範囲内で歪みを有している。このため、たとえば、リーフ62−kの面103とリーフ62−k’の面103は、同一平面内にない場合もある。このとき、リーフ62−kは、、リーフ62−(k+1)’が案内される案内面の側に少し突出するように変形した場合、所定の速度以下でリーフ62−(k+1)’に擦れ違うときに、まず、面104の一部がリーフ62−(k+1)’に接触する。次いで、リーフ62−kは、移動するとともに、面104の一部がリーフ62−(k+1)’の表面を滑り、リーフ62−(k+1)’の案内面から離れるように弾性変形して、終には面102がリーフ62−(k+1)’に滑りながら移動する。リーフは、このような面104、105が形成されていない場合で、隣接するリーフに衝突するときに、塑性変形し、または、破損する恐れがある。リーフ62−kは、このような塑性変形・破損を防止することができる。リーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’は、それぞれ、リーフ62−kと同様にして、面104、105が形成されている。なお、面104、105は、平面に形成されることもできる。すなわち、面104は、面101と面102との境界が面取りされて形成され、面105は、面101と面103との境界が面取りされて形成される。このとき、リーフ62−kは、面104、105が曲面であるときと同様にして、隣接するリーフに衝突するときに、塑性変形することを防止することができ、破損することを防止することができる。
図10は、放射線治療装置制御装置2を示している。放射線治療装置制御装置2は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、放射線治療装置制御装置2にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置と入力装置と出力装置とを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUに利用される情報を記録し、そのCPUにより生成される情報を記録する。その入力装置は、ユーザに操作されることにより生成される情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボード、マウスが例示される。その出力装置は、そのCPUにより生成された情報をユーザに認識可能に出力する。その出力装置としては、ディスプレイが例示される。そのインターフェースは、放射線治療装置制御装置2に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。
放射線治療装置制御装置2は、コンピュータプログラムである校正部111と治療計画部112と患部性状収集部113と照射位置制御部114とリーフ位置収集部115と擦れ違い検出部116とリーフ駆動部117と治療用放射線照射部118とを備えている。
校正部111は、リーフ62の全部がそれぞれストッパ68に接触するように、駆動装置64を用いてリーフ62を移動する。校正部111は、リーフ62がそれぞれストッパ68に接触しているときを原点として、当該部からのリーフ移動に伴うロータリエンコーダ92からの出力を収集し、当該出力に応じてリーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’のそれぞれの位置を把握する。即ち、校正部111は、ロータリエンコーダ92から出力される複数の回転量に基づいて、ロータリエンコーダ92から出力される回転量をリーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’のそれぞれの位置に対応付けるエンコーダ対応関係を生成する。ロータリエンコーダ92の出力とリーフ移動量の関係については予め校正を行うことが望ましい。また、校正部111は、リーフ62がそれぞれストッパ68に接触しているときに、カメラ67を用いてリーフ62−1〜62−30のターゲット98の画像とリーフ62−1’〜62−30’のターゲット98位置を原点として、任意の時刻において行われる本撮像画像の画像処理から得られるリーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’の各ターゲット98位置の算出結果に、予め設定したカメラ67のレンズ強度に応じた校正を行うことにより、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’のそれぞれの位置を把握する。即ち、校正部111は、その複数の位置に基づいて、その画像にターゲット98が映し出される位置をリーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’の位置に対応付ける画像対応関係を生成する。
治療計画部112は、患者43の患部とその患部の周辺の臓器と位置関係を示す3次元データとユーザにより入力された情報とに基づいて、治療計画を作成して、その治療計画を患者43の識別情報に対応付けて記憶装置に記録する。その治療計画は、患者43の患部に治療用放射線23を照射する照射角度と、その各照射角度から照射する治療用放射線23の線量および照射野の形状とを示している。その治療計画は、さらに、治療用放射線23を各照射角度から照射するときに、診断用X線35、36が患者43を透過して撮像される透過画像が患者43の患部をより詳細に映し出すような診断用X線35、36を照射する撮像角度を示している。なお、その撮像角度は、その治療計画が示さなくてもよく、その治療計画と別途に放射線治療装置制御装置2に入力されることもできる。このとき、その撮像角度は、その医者と異なるユーザにより決定されてもよい。
患部性状収集部113は、イメージャシステムを用いて患者43の患部の位置と性状とを算出する。患部性状収集部113は、診断用X線源24を用いて診断用X線35を放射し、センサアレイ32を用いて診断用X線35に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。患部性状収集部113は、さらに、診断用X線源25を用いて診断用X線36を放射し、センサアレイ33を用いて診断用X線36に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。患部性状収集部113は、その透過画像に基づいて患者43の患部の3次元位置と性状(患部の3次元形状)とを算出する。
照射位置制御部114は、治療計画部112により作成される治療計画で指示される照射角度で治療用放射線23が患者43の患部位置を透過するように、かつ、患部性状収集部113により算出される患部の3次元位置を治療用放射線23が透過するように、旋回駆動装置11と走行駆動装置とを用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。
リーフ位置収集部115は、駆動装置64−1〜64−30、64−1’〜64−30’のロータリエンコーダ92から複数の回転量をそれぞれ収集し、校正部111により生成されたエンコーダ対応関係を参照して、その複数の回転量からリーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’のそれぞれの位置を算出する。リーフ位置収集部115は、カメラ67を用いてリーフ62−1〜62−30のターゲット98の画像とリーフ62−1’〜62−30’のターゲット98の画像とを撮像し、その画像を画像処理してリーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’のターゲット98がそれぞれ映し出される複数の位置を算出する。リーフ位置収集部115は、校正部111により生成された画像対応関係を参照して、その複数の位置からリーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’のそれぞれの位置を算出する。リーフ位置収集部115は、回転量から算出されたリーフ62の位置と画像から算出されたリーフ62の位置とに基づいてリーフ62のそれぞれの位置を算出する。
ロータリエンコーダ92を用いて測定される回転量から算出されるリーフ62の位置は、誤差が数μm程度であるが、ピニオン96の歯とラック97の歯との噛み合いには通常多少の遊びを有するためバックラッシにより、真の値から数十μm以上にずれることがある。カメラ67により撮像される画像から算出されるリーフ62の位置は、誤差が数十μm程度である。このため、その回転量から算出された位置が画像から算出された位置の測定誤差の範囲内であるかどうかを判別することにより、回転量から算出された位置が妥当であるかどうかを確認することができる。たとえば、リーフ位置収集部115は、その回転量から算出された位置が画像から算出された位置の測定誤差の範囲内であるときに、その回転量から算出された位置を出力する。
なお、リーフ位置収集部115は、カメラ67により撮像される画像からリーフ62の位置を算出するときの測定誤差が数μm程度であるときに、カメラ67により撮像される画像からリーフ62の位置を算出する。このとき、ロータリエンコーダ92は、画像処理による位置算出結果の妥当性を補足的に確認することに用いることが望ましい。
擦れ違い検出部116は、治療計画部112により作成された治療計画により示される照射野の形状に治療用放射線23の断面形状を一致させるときのリーフ62の位置を算出する。即ち、擦れ違い検出部116は、その算出されるリーフ62の位置とリーフ位置収集部115により算出されるリーフ62の位置とに基づいて、治療計画部112により作成された治療計画により示される照射野の形状に治療用放射線23の断面形状が一致するようにリーフ62を移動するときに、リーフ62の各々が他のリーフに擦れ違うかどうかを判別する。擦れ違い検出部116は、リーフ62のうちのリーフ62−kが他のリーフ62−(k+1)’に擦れ違うときに、リーフ62−kの前方縁79がリーフ62−(k+1)’の前方縁79に擦れ違うときのリーフ62−kの位置とリーフ62−(k+1)’の位置とを算出する。
擦れ違い検出部116は、さらに、治療計画部112により作成された治療計画により示される照射野の形状に治療用放射線23の断面形状が一致するようにリーフ62を移動させたときに、リーフ62の各々が対向する他のリーフに接触するかどうかを判別する。擦れ違い検出部116は、リーフ62−kがリーフ62−k’に接触するときに、リーフ62−kの前方縁79がリーフ62−k’の前方縁79に接触する位置を算出する。
リーフ駆動部117は、治療計画部112により作成された治療計画により示される照射野の形状に治療用放射線23の断面形状が一致するように、駆動装置64を用いてリーフ62を移動する。このとき、リーフ駆動部117は、擦れ違い検出部116により擦れ違うと判別されたリーフ62−kとリーフ62−(k+1)’があるときに、リーフ62−kとリーフ62−(k+1)’とが擦れ違うときの相対速度が所定の値以下になるように駆動装置64を用いてリーフ62−kとリーフ62−(k+1)’とを移動する。リーフ駆動部117は、さらに、擦れ違い検出部116により接触すると判別されたリーフ62−kリーフ62−k’があるときに、リーフ62−kとリーフ62−k’とが接触するときの相対速度が所定の値以下になるように駆動装置64を用いてリーフ62−kとリーフ62−k’とを移動する。
治療用放射線照射部118は、照射位置制御部114により治療用放射線照射装置16が移動された後に、治療用放射線照射装置16を用いて治療用放射線23をその患部に照射する。治療用放射線照射部118は、さらに、リーフ駆動部117によりリーフ62が移動されている期間の治療用放射線23の線量率がリーフ62が移動されていない期間の治療用放射線23の線量率より小さくなるように、治療用放射線23をその患部に照射する。
なお、放射線治療装置制御装置2は、互いに双方向に情報を伝送することができるように接続される複数のコンピュータから形成されることもできる。このとき、校正部111と治療計画部112と患部性状収集部113と照射位置制御部114とリーフ位置収集部115と擦れ違い検出部116とリーフ駆動部117と治療用放射線照射部118とは、それぞれ、その複数のコンピュータのうちのいずれかに備えられている。このとき、複数のユーザが別個の場所で放射線治療に関して作業することができる。たとえば、ユーザ(医者)が治療計画を作成するコンピュータと別のユーザ(技士)が放射線治療装置3を操作するコンピュータとを別個にすることができる。
図11は、治療用放射線23が照射されるときのリーフ62の配置の例を示している。たとえば、リーフ62は、前方縁79が互いに離れている2つのリーフ62−k、62−k’を含むことがある。このとき、リーフ62−k、62−k’の間の空間は、リーフ62により形成される開口部の部分または全部を形成している。リーフ62により形成される開口部の形状は、治療用放射線23の照射野の形状に概ね一致している。たとえば、リーフ62は、複数の開口部121、122が形成されることがある。このとき、リーフ62は、開口部121、122を分割するリーフ62−kとリーフ62−(k+1)’とを含むことがある。リーフ62−kとリーフ62−(k+1)’とは、隣接する2つ案内面にそれぞれ案内され、リーフ62−kは、ガイド71〜78に支持されリーフ62−(k+1)’は、ガイド71’〜78’に支持されている。このとき、リーフ62−kの前方縁79は、リーフ62−(k+1)’の前方縁79よりリーフ62−(k+1)’の後方縁80の側に配置されている。たとえば、リーフ62は、前方縁79が互いに接触して複数の開口部を分割する2つのリーフ62−m、62−m’を含むことがある。このとき、リーフ62−m、62−m’の前方縁79は、対称面90の近傍の位置125に配置される。
図12は、リーフが移動する区間の例を示している。リーフ62−(k−1)は、位置P1から位置P2まで移動する。リーフ62−(k−1)は、位置P1から位置P2まで移動する。リーフ62−(k−1)は、初期的に前方縁79が位置P1に配置され、前方縁79が位置P1から位置P2まで移動する。リーフ62−kは、初期的に前方縁79が位置P1に配置され、前方縁79が位置P1から位置P2まで移動する。リーフ62−(k+1)’は、前方縁79が位置P1と位置P2との間の位置P3に配置されている。すなわち、リーフ62−(k−1)は、前方縁79が位置P1から位置P2まで移動するときに、前方縁79が対向する他のリーフの前方縁79に擦れ違わない。リーフ62−kは、前方縁79が位置P1から位置P2まで移動するときに、前方縁79がリーフ62−(k+1)’の前方縁79に擦れ違う。
図13は、リーフ62−(k−1)の速度変化を示している。リーフ62−(k−1)が移動する位置P1から位置P2までの区間は、位置P4から位置P5までの区間R1を含んでいる。このとき、リーフ駆動部117は、リーフ62−(k−1)を位置P1から位置P4までの区間で加速させながら移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−(k−1)を位置P4から位置P5までの区間R1で速度V1で移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−(k−1)を位置P5から位置P2までの区間で減速させながら移動させ、位置P2で停止させる。
図14は、リーフ62−kの速度変化を示している。リーフ62−kが移動する位置P1から位置P2までの区間は、リーフ62−(k+1)’の前方縁79が位置する位置P3を含んでいる。その区間は、さらに、位置P6〜P11を含んでいる。位置P6は、位置P1と位置P3との間に位置している。位置P7は、位置P6と位置P3との間に位置している。位置P8は、位置P7と位置P3との間に位置している。位置P9は、位置P3と位置P2との間に位置している。位置P10は、位置P9と位置P2との間に位置している。位置P11は、位置P10と位置P2との間に位置している。
このとき、リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P1から位置P6までの区間で加速させながら移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P6から位置P7までの区間R2で速度V1で移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P7から位置P8までの区間で減速させながら移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P8から位置P9までの区間R3で速度V2で移動させる。速度V2は、速度V1より小さい。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P9から位置P10までの区間で加速させながら移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P10から位置P11までの区間R4で速度V1で移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P11から位置P2までの区間で減速させながら移動させ、位置P2で停止させる。
このような移動によれば、リーフ62−kは、速度V1より遅い速度V2でリーフ62−(k+1)’に擦れ違う。このとき、リーフ62−kは、速度V1でリーフ62−(k+1)’に擦れ違うときより、その衝撃が小さく、変形しにくく、破損しにくい。リーフ62−kは、速度V2より速い速度V1で移動する区間を有している。このため、リーフ62−kは、位置P1から位置P2までの区間のほとんどを速度V2で移動するときより、位置P2に早く到着することができる。
図15は、リーフ62−(k+1)’がリーフ62−kの移動方向の反対方向に移動するときのリーフ62−kの速度変化を示している。リーフ62−kが移動する位置P1から位置P2までの区間は、リーフ62−(k+1)’と擦れ違う位置P12を含んでいる。その区間は、さらに、位置P13〜P18を含んでいる。位置P13は、位置P1と位置P12との間に位置している。位置P14は、位置P13と位置P12との間に位置している。位置P15は、位置P14と位置P12との間に位置している。位置P16は、位置P12と位置P2との間に位置している。位置P17は、位置P16と位置P2との間に位置している。位置P18は、位置P17と位置P2との間に位置している。
このとき、リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P1から位置P13までの区間で加速させながら移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P13から位置P14までの区間R5で速度V1で移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P14から位置P15までの区間で減速させながら移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P15から位置P16までの区間R6で速度V3で移動させる。速度V3は、速度V2より小さく、速度V2の概ね半分の値を示している。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P16から位置P17までの区間で加速させながら移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P17から位置P18までの区間R7で速度V1で移動させる。リーフ駆動部117は、リーフ62−kを位置P18から位置P2までの区間で減速させながら移動させ、位置P2で停止させる。
リーフ駆動部117は、リーフ62−kと同様にして、リーフ62−(k+1)’の前方縁79が位置P12を通過するときにリーフ62−(k+1)’を速度V3で移動させ、それ以外の区間をリーフ62−(k+1)’が移動するときに速度V1で移動させる。
このような移動によれば、リーフ62−kとリーフ62−(k+1)’とは、相対速度が速度V2になるように擦れ違う。このとき、リーフ62−kとリーフ62−(k+1)’とは、その衝撃が小さく、変形しにくく、破損しにくい。
本発明による放射線照射方法の実施の形態は、放射線治療システム1により実行される。ユーザは、まず、放射線治療装置制御装置2を活用して治療計画を作成し、その治療計画を放射線治療装置制御装置2に入力する。その治療計画は、患者43の患部に治療用放射線23を照射する照射角度と、その各照射角度から照射する治療用放射線23の線量および照射野の形状とを示している。その治療計画は、さらに、治療用放射線23を各照射角度から照射するときに、診断用X線35、36を照射する撮像角度を示している。
ユーザは、放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定し、治療計画で指示される照射角度で治療用放射線23が患者43の患部位置を照射するように、旋回駆動装置11と走行駆動装置とを用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。放射線治療装置制御装置2は、診断用X線源24を用いて診断用X線35を放射し、センサアレイ32を用いて診断用X線35に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、診断用X線源25を用いて診断用X線36を放射し、センサアレイ33を用いて診断用X線36に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。放射線治療装置制御装置2は、その透過画像に基づいて、治療用放射線23が患者43の患部に照射されるようにカウチ41を移動させる。または、ユーザは、放射線治療装置制御装置2を用いて、ディスプレイの透過画像を見ながら治療用放射線23が患者43の患部に照射されるように、カウチ駆動装置42を制御して患者43を移動させる。即ち、患部がアイソセンタ相当箇所にほぼ位置するようにカウチの調整を行う。
放射線治療装置制御装置2は、放射線治療装置3のイメージャシステムにより撮像された透過画像に基づいて患者43の患部の位置と形状とを算出する。放射線治療装置制御装置2は、その患部の形状に基づいて、治療用放射線23のうちの患部以外を透過する部分がより小さくなるように、マルチリーフコリメータ56の駆動装置64を用いてリーフ62を移動させ、治療用放射線23の照射野の形状を制御する。
このとき、放射線治療装置制御装置2は、治療計画により示される照射野の形状に治療用放射線23の断面形状を一致させるときのリーフ62の位置を算出する。放射線治療装置制御装置2は、その照射野の形状に治療用放射線23の断面形状が一致するようにリーフ62を移動するときに、リーフ62の各々が隣接する他のリーフに擦れ違うかどうかを判別し、リーフ62の各々が対向する他のリーフに接触するかどうかを判別する。放射線治療装置制御装置2は、リーフ62−kが他のリーフ62−(k+1)’に擦れ違うときに、リーフ62−kとリーフ62−(k+1)’とが擦れ違うときの相対速度が所定の値以下になるように駆動装置64を用いてリーフ62−kとリーフ62−(k+1)’とを移動する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、リーフ62−kが他のリーフ62−k’に接触するときに、リーフ62−kとリーフ62−k’とが接触するときの相対速度が所定の値以下になるように駆動装置64を用いてリーフ62−kとリーフ62−k’とを移動する。
放射線治療装置制御装置2は、その照射野の形状を変更した直後に治療用放射線照射装置16を用いて治療用放射線23を所定の線量だけその患部に照射する。放射線治療装置制御装置2は、マルチリーフコリメータ56のリーフ62が移動している時にも治療用放射線23をその患部に照射するときに、リーフ62が停止しているときの線量率よりリーフ62が移動しているときの線量率が小さくなるように治療用放射線23をその患部に照射する。
本発明による放射線治療システムの実施の他の形態は、マルチリーフコリメータ56がリニアエンコーダを備えている。そのリニアエンコーダは、フレーム61の内部の上面側に配置される複数の信号処理部を備えている。このとき、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’は、それぞれ、下縁82に目盛りパターンが形成されているスケールを備えている。その信号処理部は、それぞれ、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’の目盛りパターンを検出し、その信号処理部とそのスケールとの相対位置に応じた値を出力する。すなわち、そのリニアエンコーダは、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’のそれぞれの位置に対応する複数の値を出力する。
このとき、校正部111は、リーフ62がそれぞれストッパ68に接触しているときに、そのリニアエンコーダから複数の値を収集する。校正部111は、その複数の値に基づいて、そのリニアエンコーダから出力される値をリーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’の位置に対応付ける対応関係を生成する。リーフ位置収集部115は、そのリニアエンコーダから複数の値をそれぞれ収集し、校正部111により生成された対応関係を参照して、その複数の値からリーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’のそれぞれの位置を算出する。
このような放射線治療システムは、カメラ67とロータリエンコーダ92とが不要となり、マルチリーフコリメータ56の構成要素を低減することができる点で好ましい。