JP4436205B2 - 光触媒による環境ホルモン除去装置、および同除去方法 - Google Patents
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Description
環境ホルモンについては、たとえばダイオキシンなどにように『発生させないこと』を
中心にして対策すべき技術的問題と、
たとえばエストロジェン(女性ホルモン)などのように、発生の阻止は困難であるから『除去すること』を中心にして対策すべき技術的問題とがある。
本願発明が対象とする環境ホルモンの除去について、化学技術の分野では水溶性酸化チタンなど、有効で使い易い光触媒が開発されているが、この光触媒を実用に供するためのメカニズムについては未だ研究開発の途上であり、
従来一般に、光触媒を用いた触媒フィルタで、環境ホルモン含有水を濾過していた。
下記の特許文献1には、排水を濾過するための濾材の構成について提案されているが、環境ホルモンの分解除去に関して格別の考慮は為されていない。
イ.環境ホルモン含有水は、触媒フィルタを通過している間だけ触媒に接触するが、その前後では触媒作用を受けない。
ロ.触媒フィルタといっても、要するにフィルタであって濾過作用を行なうので、次第にフィルタ目詰まりを生じ、メンティナンスの所要工数が少なくない。
上記イ、ロの事情が総合されて、実用プラントとしては環境ホルモン除去効率が低く、
設備が巨大になる上に、操業コストが高い。
比較的簡単で安価な設備を用いて、大量の環境ホルモン含有水を低コストで処理し得る技術を提供するにある。
環境ホルモン含有水の流れに撹拌を与えつつ、触媒に対してなるべく長時間接触させるため、図1(A)に例示した乱流プレート1を透明な板状部材で形成し、これに光触媒をコーティングする。
2個の光触媒を図1(B)のように組み合わせて、図1(C)のような乱流フレーム2を構成する。
このように光触媒コーティングされた乱流フレーム2の多数を、図3のように水流を誘導する堤4で形成された水路に入れておく。
多数の乱流フレーム2の間を流れる環境ホルモン含有水は、自然に撹拌され、「多数の乱流フレームで形成されたラビリンス」の中を流れながら、長時間触媒コーティングに接触する。
光触媒によって環境ホルモンを除去する装置において、
透明な板状部材に光触媒をコーティングして乱流プレート(1)が形成され、
複数の乱流プレート(1)が立体的に組み合わされて乱流フレーム(2)が構成されており、
環境ホルモンを含む水の流路中に、多数の乱流フレーム(2)が配置されていることを特徴とする(なお、本発明において透明とは、紫外線に対して透明であることを意味するものとする)。
しかも、上記の乱流フレームは透明な板状材料で構成されているので「光触媒を作用させるに必要な紫外線」を妨げない。このため、自然光または人工光の紫外線が有効に働いて、光触媒が充分に“環境ホルモン分解機能”を果たす。
その上、前記乱流フレームは、板状の乱流プレートを組み合わせた簡単な構造であるから、製造コストが低廉である。
さらに前記乱流フレームは、複数の乱流プレートが立体的に組合わされているので、多数の乱流フレームが水路中にラビリンスを形成して環境ホルモン含有水を自然に撹拌する。
これにより、実効流路長が延長され、環境ホルモン含有水と光触媒とが良く接触して、
環境ホルモンがほぼ完全に分解除去されることを期待し得る。
光触媒反応プール(3)の中に、水流を蛇行させる誘導堤(4)が設置されており、
かつ、上記水流の中へ空気を吹き込むエアーノズル管(8)が設けられていることを特徴とする。
しかも、環境ホルモン含有水流が光触媒反応プール内を蛇行するので、狭い面積を有効に利用して、大容量の環境ホルモン除去施設を建設することができる。すなわち、請求項1の構成によってミクロなラビリンスを形成して乱流を生じさせ、併せて請求項2の構成によってマクロな蛇行を生じさせ、これらの総合的な効果として、環境ホルモン含有水の光触媒に対する実効接触面積が極めて大きくなる。従って、高能率の環境ホルモン分解除去が遂行される。
光触媒反応プール(3)の中に、水路を蛇行させる誘導堤(4)が設置されており、
かつ、上記の水路の途中に段差が設けられて、水流に滝(i,j)が形成され、環境ホルモンを含む水の中へ気泡が混入するようになっていることを特徴とする。
しかも、環境ホルモン含有水流が光触媒反応プール内を蛇行するので、狭い面積を有効に利用して、大容量の環境ホルモン除去施設を建設することができる。すなわち、請求項1の構成によってミクロなラビリンスを形成して乱流を生じさせ、併せて請求項3の構成によってマクロな蛇行を生じさせ、これらの総合的な効果として、環境ホルモン含有水の光触媒に対する実効接触面積が極めて大きくなる。従って、高能率の環境ホルモン分解除去が遂行される。
前記誘導堤(4)が、透明な板状部材で形成されており、
かつ、該誘導堤で導かれる水路の近傍に紫外線発光体(7)が配設されていて、該紫外線発光体から出射した紫外線が誘導堤を透過して、環境ホルモンを含む水流の中へ入射するようになっていることを特徴とする。
これにより、環境ホルモン除去能率が上昇するのみでなく、雨天や曇天においても環境ホルモン除去施設の操業が可能となる(格別な事情が有る場合には、夜間操業も不可能ではない)。
また、異なる観点から考察すると、自然光の紫外線を人工の紫外線で補うことができるので、所望の処理容量を有する環境ホルモン除去施設の設置所要面積を縮小することもできる。
a.透明な板状部材に光触媒をコーティングして乱流プレート(1)を形成し、
b.複数個の乱流プレート(1)を立体的に組合わせて乱流フレーム(2)を構成し、
c.環境ホルモンを含む水を、多数の乱流フレーム(2)の間に流通させることにより、上記の環境ホルモンを含む水に撹拌を与えるとともに、この水を光触媒と良く接触させることを特徴とする。
しかも、板状の乱流プレートを組み合わせるという簡単な操作で、立体的な乱流フレームが構成されるので、容易にかつ低コストで製作することができる。
その上、このようにして製作された乱流フレームは、板状部材の組合せで出来ていて、フィルタではなく不透水性であるから、フィルタにおけるがごとき目詰まりを生じる虞れが無い。従ってメンティナンスフリーであり、保守管理が容易である。
前記環境ホルモンを含む水の流れの中へ気泡を混入させるとともに、
該水の流れの中へ紫外線を投射することを特徴とする。
前記の「気泡」は、単なる空気の泡であっても良いが、その中にオゾンもしくは過酸化水素を添加すると一層環境ホルモンの分解除去を促進することができる。
前記の気泡混入は、圧力空気の吹き込みによって、もしくは流路中に段差を設けて滝を形成させることによって、技術的な困難無く行なうことができる。また紫外線投射は、太陽光の利用が望ましいが、水銀灯などの人工紫外線を併用すれば一層強力な紫外線が得られて環境ホルモンの分解除去が促進される。
しかも、上記の乱流フレームは透明な板状材料で構成されているので「光触媒を作用させるに必要な紫外線」を妨げない。このため、自然光または人工光の紫外線が有効に働いて、光触媒が充分に“環境ホルモン分解機能”を果たす。
その上、前記乱流フレームは、板状の乱流プレートを組み合わせた簡単な構造であるから、製造コストが低廉である。
さらに前記乱流フレームは、複数の乱流プレートが立体的に組合わされているので、多数の乱流フレームが水路中にラビリンスを形成して環境ホルモン含有水を自然に撹拌する。これにより、実効流路長が延長され、環境ホルモン含有水と光触媒とが良く接触して、環境ホルモンがほぼ完全に分解除去されることを期待し得るようになった。
なお、環境ホルモン含有水の流路の内面(水に接触する面)にも光触媒をコーティングしておくと、環境ホルモンの分解除去が一層有効に行なわれる。
しかも、環境ホルモン含有水流が光触媒反応プール内を蛇行するので、狭い面積を有効に利用して、大容量の環境ホルモン除去施設を建設することができる。すなわち、請求項1の構成によってミクロなラビリンスを形成して乱流を生じさせ、併せて請求項2の構成によってマクロな蛇行を生じさせ、これらの総合的な効果として、環境ホルモン含有水の光触媒に対する実効接触面積が極めて大きくなる。従って、高能率の環境ホルモン分解除去が遂行される。
しかも、環境ホルモン含有水流が光触媒反応プール内を蛇行するので、狭い面積を有効に利用して、大容量の環境ホルモン除去施設を建設することができる。すなわち、請求項1の構成によってミクロなラビリンスを形成して乱流を生じさせ、併せて請求項3の構成によってマクロな蛇行を生じさせ、これらの総合的な効果として、環境ホルモン含有水の光触媒に対する実効接触面積が極めて大きくなる。従って、高能率の環境ホルモン分解除去が遂行される。
これにより、環境ホルモン除去能率が上昇するのみでなく、雨天や曇天においても環境ホルモン除去施設の操業が可能となる(格別な事情が有る場合には、夜間操業も不可能ではない)。
また、異なる観点から考察すると、自然光の紫外線を人工の紫外線で補うことができるので、所望の処理容量を有する環境ホルモン除去施設の設置所要面積を縮小することもできる。
しかも、板状の乱流プレートを組み合わせるという簡単な操作で、立体的な乱流フレームが構成されるので、容易にかつ低コストで製作することができる。
その上、このようにして製作された乱流フレームは、板状部材の組合せで出来ていて、フィルタではなく不透水性であるから、フィルタにおけるがごとき目詰まりを生じる虞れが無い。従ってメンティナンスフリーであり、保守管理が容易である。
前記の気泡混入は、圧力空気の吹き込みによって、もしくは流路中に段差を設けて滝を形成させることによって、技術的な困難無く行なうことができる。また紫外線投射は、太陽光の利用が望ましいが、水銀灯などの人工紫外線を併用すれば一層強力な紫外線が得られて環境ホルモンの分解除去が促進される。
(図1(A)参照)紫外線に対して透明(以下、単に透明と略記する)な板状部材で、乱流プレート1を構成する。この実施形態では透明アクリル板を用いたが、本発明を実施する場合、これに限定されるものではない。
乱流プレートとは、本発明者が創作した部材であって、相互に組み合わせるための溝孔1aを備えるとともに、水流の通過を許容する透孔1bを穿った透明な板状の部材であって、光触媒でコーティングされたものをいう。ただし、透孔1bの代りに切欠1cが設けられていても良い。
乱流フレームとは、本発明者が創作した部材であって、複数の乱流プレート1が立体的に組み合わされたものをいう。
図示を省略するが、3枚またはそれ以上の乱流プレート1が立体的に組み合わされていても乱流フレームである。
ここに立体的とは、少なくとも2枚の乱流プレートについて、それぞれの乱流プレートの板面が、相互に交差していることをいう。すなわち、2枚の乱流プレートが同一平面上に位置したり、平行であったりしないことをいい、必ずしも直交していなくても良い。
先に段落0007で述べたように、本図1(C)に示した乱流フレーム2を、射出成形もしくはプレス成形で一体に構成することもできる。
図3(A)は模式的な平面図であって、光触媒反応プール3の中に誘導堤4が設けられている。
これにより、矢印aのように光触媒反応プール3内へ導入された環境ホルモン含有水は矢印bのように直進したり、矢印cのように旋回反転したり、また先刻の矢印bと反対方向の矢印dのように直進したりを繰り返し、矢印g,矢印hのように光触媒反応プール3から流出して行く。
誘導堤4の役目の一つは、環境ホルモン含有水を導いて蛇行させることである。
前記の誘導堤4は、断面V字状の水路を形成している。この誘導堤4の構造の詳細については、図4を参照して後述する。
図2(A)で誘導堤4に導かれて反転する矢印cの流れが、図2(B)では三角図状の堤を潜り抜けているように見える。これについては図4を参照して後に説明する。矢印gの流れについても同様である。
この(C)図が(B)図と異なる点は、流路の途中に段差Hが設けられていることである。これにより、水流は滝(i,j)を生じる。
滝の落下点では、気泡が環境ホルモン含有水の中に混入して、水中に酸素が溶け込む。酸素の存在は、光触媒による環境ホルモン分解除去に不可欠であり、豊富な酸素の溶入は環境ホルモンの分解除去を促進する。
流路の中に、前掲の図1(C)に示した乱流フレーム2の多数が配置されている。
この乱流フレームは立体的な計上であるから、隣接する乱流フレーム同士で面接触することなく、多数の乱流フレーム2の間にラビリンス(迷路・複雑な流路)が形成される。しかも、この乱流フレームは、図1について説明したように透孔1bまたは切欠1cを有しているので、さらに複雑な細部流路が形成される。
透明なアクリル板6を連続山形に配置して、先に説明した誘導堤を形成している。
構成材料にを重視して呼称するとアクリル板6であり、受け持つ役目を重視して呼称すると誘導堤4である。詳しくは、多数のアクリル板6を組み合わせて誘導堤4が形成されている。
先に図1(A)で説明したUターン流路d−e−fを形成するため、誘導堤4の一部分が切り欠かれている。
流路中の環境ホルモン含有水は、上方から太陽光を受けるが、これを補強して水銀灯7の紫外線が照射される。
前記アクリル板6が紫外線に対して透明であるから、流路側方の水銀灯7から出射した紫外線が流路内に入射する。該アクリル板6に平行溝6aが設けられているので、紫外線が拡散され、環境ホルモン含有水の中に良く行き渡る。
上記のように平行溝6aを設けたときは、アクリル板6の内面のみでなく、該平行溝の内側面(水に接触する面)にも光触媒をコーティングしておくことが望ましい。
環境ホルモン含有水の流路の中に、エアーノズル管8が設けられている。このノズル管から圧縮空気を吹き込むと、水流中に上昇気泡が発生して酸素が供給され、光触媒による環境ホルモンの分解除去が促進される。この圧縮空気の中にオゾンまたは過酸化水素を混入させておくと、十分な酸素が補給されて、環境ホルモンの分解除去に有効である。
1a…溝孔
1b…透孔
1c…切欠
2…乱流フレーム
3…光触媒反応プール
4…誘導堤
5…段差付反応プール
6…アクリル板
6a…平行溝
7 …紫外線発光体としての水銀灯
8 …エアーノズル管
9 …反射面
Claims (6)
- 光触媒によって環境ホルモンを除去する装置において、
透明な板状部材に光触媒をコーティングして乱流プレート(1)が形成され、
複数の乱流プレート(1)が立体的に組み合わされて乱流フレーム(2)が構成されており、
環境ホルモンを含む水の流路中に、多数の乱流フレーム(2)が配置されていることを特徴とする、光触媒による環境ホルモン除去装置。 - 光触媒反応プール(3)の中に、水流を蛇行させる誘導堤(4)が設置されており、
かつ、上記水流の中へ空気を吹き込むエアーノズル管(8)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒による環境ホルモン除去装置。 - 光触媒反応プール(3)の中に、水路を蛇行させる誘導堤(4)が設置されており、
かつ、上記水路の途中に段差が設けられていて、水流に滝(i,j)が形成され、環境ホルモンを含む水の中へ気泡が混入するようになっていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載した光触媒による環境ホルモン除去装置。 - 前記誘導堤(4)が、透明な板状部材で形成されており、
かつ、該誘導堤で導かれる水路の近傍に紫外線発光体(7)が配設されていて、
該紫外線発光体から出射した紫外線が誘導堤を透過して、環境ホルモンを含む水流の中へ入射するようになっていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載した光触媒による環境ホルモン除去装置。 - 光触媒によって環境ホルモンを除去する方法において、
a.透明な板状部材に光触媒をコーティングして乱流プレート(1)を形成し、
b.複数個の乱流プレート(1)を立体的に組合わせて乱流フレーム(2)を構成し、
c.環境ホルモンを含む水を、多数の乱流フレーム(2)の間に流通させることにより、
上記の水に撹拌を与えるとともに、該水を光触媒と良く接触させることを特徴とする、
光触媒による環境ホルモン除去方法。 - 前記環境ホルモンを含む水の流れの中へ気泡を混入させるとともに、
該水の流れの中へ紫外線を投射することを特徴とする、請求項5に記載した光触媒による環境ホルモン除去方法。
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