JP4435320B2 - 液晶光変調装置およびその駆動方法 - Google Patents

液晶光変調装置およびその駆動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶光変調器に関し、更に詳しくは衛星間や地上衛星間光通信あるいは地上での自由空間光通信において、安定な光通信リンクを維持するために適用する補償光学技術に用いる液晶を用いることが出来る液晶光変調器に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ通信の通信速度を増加させるためにはビット当たりの光量を一定に保ち全体の光量を増加することが必要である。このために送信機および受信機のアンテナ利得を高めることが重要となる。地上衛星間などの自由空間光通信においては光の伝送路に大気ゆらぎがあるため、大気中を伝搬するレーザビームの波面が乱れる。波面歪みのためある程度以上にアンテナ口径を増加させてもアンテナの指向性は鋭くならずアンテナ利得もある一定値以上には増加できない。
【0003】
したがって、自由空間において高速光通信を行うために大気ゆらぎを補償する必要がある。近年、この補償光学技術を用いた光通信技術の開発が進んでいる。これは、大気のゆらぎによって波面歪みを受けて入射した光を、波面歪みを検出するセンサにより実時間測定をおこない波面を元の平面に戻すための演算を行いこの情報で表面の形状を高速に変化できる可変形鏡を制御し、大気ゆらぎの影響のない波面を再生する技術である。
【0004】
補償光学のシステムにおいては波面歪みを検出することが重要な要素となるが、波面検出センサの一つとしてシャック・ハルトマン型センサがある。
図5にシャック・ハルトマン型センサの原理を示す。入射した波面歪みを持った入射光101はマイクロレンズアレイ103によって分割されCCDアレイ105上に焦点107を結ぶ。焦点107の位置は強度分布曲線109のピーク値から求められる。マイクロレンズアレイ103の各焦点107の位置のずれは各マイクロレンズの小開口で分割された入射光101の各部分の波面の傾きを示す。傾きの情報は波面の一次微分に比例するため演算をおこない波面の再構成に用いる。
ここで、マイクロレンズの直径と焦点距離は波面の再生精度に影響する。焦点距離は測定系の波面の傾きを検出する精度を決める。また、直径は焦点の輝度と測定しようとする波面歪みの空間分解能に影響する。
【0005】
従来のマイクロレンズアレイは固定焦点型のものが用いられていた。しかし、波面歪みは測定場所と季節に大きく依存することがわかっている。したがって、測定しようとする波面歪みの程度によって複数の固定焦点型マイクロレンズアレイを交換して使用する必要があり、可変焦点型のマイクロレンズアレイが望まれてきた。
【0006】
処で、焦点を可変するのに機械的な可動部分のないマイクロレンズの候補の一つとして液晶を用いたマイクロレンズがある。従来の液晶マイクロレンズアレイの一つの方式として円形の開口パタンを持った二つの電極で液晶層を挟み液晶層の中にレンズとして機能する放物面状の屈折率分布を電界によって誘起する方式(T. Nose et al. Jap. J. Appl. Phys. 31, pp. 1643-1646, 1992)がある。
【0007】
この方式を図17を用いて説明する。図17において第1のホール付電極1710を形成した第1の基板1720と第2のホール付電極1713を形成した第2の基板1723に光変調層となるホモジニアス配向したp型の液晶層1701が挟持されている。第1のホール付電極1710と第2のホール付電極1713に所定の電圧を印加すると電極端から電極円形開口部1730の中心に向かうほど電界が弱くなる。このため電極円形開口部1730の中心の液晶分子に比較し電極近くの液晶分子は立ってくるため液晶層の厚み方向のリターデーションが電極円形開口部1730に近づくにつれ小さくなる。したがって電極円形開口部1730の液晶層が屈折率変調板として機能する。このとき開口径と液晶層厚および液晶の物性定数を所定の値とすることでレンズとして機能する。
【0008】
また、多目的の液晶位相変調素子として液晶層を共通電極と多数のストライブ状電極で挟持し、ストライプ状電極の一本一本に所定の駆動電圧を印加して所定の屈折率パタンを実現する方式(P. F. Macmanamon et al.,Proc/ IEEE 84, pp. 268-298, 1996)が提案されている。この方式は図18に示すように基板1820の内面に共通電極1813と制御電極アレイ1810を形成しその間に液晶層1801を挟持した構造としている。ここで液晶層1801はホモジニアス配向したネマティック液晶とした。制御電極はストライブ状のアレイで一つ一つが独立に制御可能な駆動回路に接続されている。
【0009】
さらに、駆動回路の接続本数を減らす方法としてストライプ状電極同士を所定の抵抗膜で接続して所定の電圧分布を実現する方法も提案されている。(N. A. Riza et al.,Opt. Lett. 19, pp. 1013-1015, 1994)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、円形の開口パタンを持った二つの電極で液晶層を挟み液晶層の中にレンズとして機能する放物面状の屈折率分布を電界によって誘起する方式の場合、レンズ径の設計幅が液晶層の厚みに対して制限されることや応答速度が遅いといった問題があった。それにレンズの開口形が円形に限定されてしまうことからアレイ化した場合開口率を大きくできないことが応用範囲を限定してしまうことになっている。
【0011】
また、多目的の液晶位相変調素子として液晶層を共通電極と多数のストライブ状電極で挟持し、ストライプ状電極の一本一本に所定の駆動電圧を印加して所定の屈折率パタンを実現する方式は位相型の回折格子からレンズまで自由に位相プロファイルを定義できるものの駆動電極の数が非常に多くなりシステムが複雑になってしまうという問題がある。駆動回路の接続本数を減らす方法としてストライプ状電極同士を所定の抵抗膜で接続して所定の電圧分布を実現する方法は、単レンズの場合は良いが多素子でアレイ化する場合に抵抗膜を引き回す場所が限られるために設計の自由度が限られてしまうという問題がある。
以上のことから従来の液晶レンズ方式では特にマイクロレンズアレイを簡単な構造で実現するのは難しいという課題があった。
【0012】
本発明の目的は上記のような課題を解決し、開口率の大きくできる単純な構造で駆動法も簡単なマイクロレンズアレイ化に適した液晶光変調装置およびその駆動方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、波面センサに適用可能な可変焦点レンズの働きをする液晶光変調装置とその駆動方法を提供することだが、本発明の範囲はここに述べる装置により限定されないで、任意に波面を変換するための液晶光変調装置への応用も可能であることは言うまでもない。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明における液晶光変調装置は、半円環形状をした多数の導電電極が同心円状に配置されており、且つ、前記同心円状に配置されている当該多数の導電電極が一つ又は複数の、当該導電電極よりも大きな抵抗を有する接続用導電電極で電気的に束ねられており、それによって当該接続用導電電極に電位傾斜を発生させるように構成された複合電極を有する第1の基板と、共通電極を有する第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板に挟持した液晶分子層を含む光学要素を備え、前記接続用導電電極は、正方開口部の対角線の位置に2本形成されており、前記接続用導電電極の四隅端部には、制御信号を印加するための信号電極を有する事を特徴とするものであり、より具体的には、本発明における液晶光変調装置は、平行ストライプ形状をした多数の透明導電電極を前記透明導電電極より高いシート抵抗を持った一つ以上の接続用透明導電ストライプ電極で電気的に束ねた複合電極を有する第1の基板と、光学的に透明な共通電極を有する第2の基板と、第1の基板と第2の基板に挟持した液晶分子層を含む光学要素を備え、接続用ストライプ電極には所定の間隔で制御信号を印加するための信号電極を有し、各信号電極に所定の電圧を印加することで各信号電極間の接続用透明導電ストライプ電極に直線上の電位傾斜を発生させ、それによりホモジニアス配向した液晶の電気光学特性の曲線変調領域により液晶分子層に屈折率の変調を生じさせるように構成されている事を特徴とする。
【0015】
又、本発明に係る他の態様としては、半円環形状をした多数の導電電極を同心円状に配置し、当該同心円状に配置した多数の導電電極を一つ若しくは複数本のの接続用導電電極で電気的に束ねた複合電極を有する第1の基板と、共通電極を有する第2の基板と、第1の基板と第2の基板に挟持した液晶分子層を含む光学要素を備え、接続用透明導電電極の端部には制御信号を印加するための信号電極を有し、各信号電極に所定の電圧を印加することで各信号電極間の接続用導電ストライプ電極に直線上の電位傾斜を発生させ、それによりホモジニアス配向した液晶の電気光学特性の曲線変調領域により液晶分子層に屈折率の変調を生じさせるように構成されている事を特徴とするものであり、より具体的には、半円環形状をした多数の透明導電電極を同心円状に配置し、前記透明導電電極より高いシート抵抗を持った一つ以上の接続用透明導電電極で電気的に束ねた複合電極を有する第1の基板と、光学的に透明な共通電極を有する第2の基板と、第1の基板と第2の基板に挟持した液晶分子層を含む光学要素を備え、接続用透明導電電極の端部には制御信号を印加するための信号電極を有し、各信号電極に所定の電圧を印加することで各信号電極間の接続用透明導電ストライプ電極に直線上の電位傾斜を発生させ、それによりホモジニアス配向した液晶の電気光学特性の曲線変調領域により液晶分子層に屈折率の変調を生じさせるように構成されている事を特徴とする。
【0016】
該接続用透明導電電極が正方開口部の対角線の位置に2本形成されていることを特徴とする。
【0017】
液晶分子層のプレティルト角が5度から20度の所定の値となるように形成したことを特徴とする。スリットラインに直交する向きに液晶分子層のダイレクタ方向を設定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明における液晶光変調器の駆動方法は駆動波形を印加する所定の信号電極間に2つの180度位相の異なる同じ振幅で同じ周波数の駆動波形を印加することを特徴とする。
【0019】
駆動波形を印加する所定の信号電極間に2つの180度位相の異なる同じ振幅で同じ周波数の駆動波形を印加する期間と液晶分子層に交流バイアスを印加する期間を設けることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶光変調装置においては直線状あるいは円環状の導電膜からなるストライプ電極束を電極膜で形成する傾斜電位電極で電気的に接続する構成を取るものであり、好ましくは、直線状あるいは円環状の透明導電膜からなるストライプ電極束を当該ストライプ電極の透明導電膜より比抵抗の大きいストライプ状の透明導電膜で形成する傾斜電位電極で電気的に接続する構成を取るものである。
尚、開口率が下がっても良い場合には、不透明な比較的高抵抗の金属材料を傾斜電位電極に使用する事も可能である。
この場合には、通常の金属材料から形成された電極を使用する事が可能であり、例えばチタン(Ti)、タンタル(Ta或いはβ−Ta等)、チタンタングステン(Ti−W)、ニクロム(Ni−Cr)、或いは窒素をドープしたチタン(Ti)、タンタル(Ta或いはβ−Ta等)、チタンタングステン(Ti−W)等が使用可能である。
傾斜電位電極に所定の間隔で信号電極を設け隣接する信号電極間に振幅と周波数が等しく位相が180度異なる交流パルス信号を印加する。
【0021】
これにより傾斜電位電極で直線状電位勾配を作り出しストライプ電極束によって液晶光変調器内に線形の傾斜を持った電位分布を生じさせる。
【0022】
このストライプ電極束に対向するように全面に透明導電膜を形成した共通電極を配置しストライプ電極束からなる複合電極と共通電極の間に5度から20度のプレティルト角を持ったホモジニアス配向液晶層を挟持する。このホモジニアス配向液晶層は0電圧近傍からら所定の電圧Vまで印加電圧に対して位相変調量が2次関数で良く近似できるような特性を持つ。したがって、ストライプ電極部の電位傾斜により空間的に円筒面または球面の屈折率変調分布を実現することができる。本方式によれば2本の制御信号だけで一つの円筒面または球面レンズの焦点距離を可変することが可能であり、特にアレイ化する場合に有効である。
【0023】
以上の説明で明らかなように本発明の液晶光変調装置およびその駆動方法では、単純な構成で簡便な駆動方法により高機能なアダプティブマイクロレンズアレイを実現できる。
【0024】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良な形態における液晶光変調装置およびその駆動方法の構成を説明する。
【0025】
まずはじめに本発明の第1の実施形態における液晶光変調装置の構成を、図を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態における液晶光変調装置の構成を説明するための断面図である。
【0026】
図1に示すように、本発明の液晶光変調装置は、複合電極211を形成した第1の基板203と共通電極213を形成した第2の基板205の間にネマティック液晶層201を挟持することにより構成している。ネマティック液晶層201は第1の基板の複合電極211の上と第2の基板の共通電極213の上とに形成した配向層217によって電界無印加時のp型液晶分子のダイレクタ207のティルト角209が5度から20度となるようにホモジニアス配向とする。
【0027】
図1には明示しないがネマティック液晶層201が数μmから数十μmの所定の一定の厚みを保持するように第1の基板203と第2の基板205はスペーサを介して固定する。また、図1には示していないが複合電極211と共通電極213が短絡するのを防ぐために複合電極211の上か共通電極213の上または両方にTa25 やSiO2 などの透明絶縁膜を形成しても良い。
第2の基板205上に形成する共通電極213はITO透明導電膜からなる全面電極で良い。
【0028】
ガラスからなる第1の基板203および第2の基板205のネマティック液晶層と反対の面には空気と基板界面での反射を防止するため必要に応じて無反射コート215を形成する。無反射コート215は簡易的には光路長が使用する波長で4分の1波長となるようにしたMgF2 の一層膜で良い。
【0029】
次に円筒面レンズを形成するための複合電極211の構造について図2を用いて詳しく説明する。図2は第1の円筒面レンズ351と第2の円筒面レンズ361の2つのレンズ領域を活性領域371に持った複合電極211の平面図である。図2において第1の円筒面レンズ351はITOなどの低抵抗多結晶透明導電膜により形成した第1のストライブ電極321から図2ではN=9であるが、第Nのストライプ電極329と第2の円筒面レンズの一本目でもある第N+1のストライプ電極330を第1の傾斜電位電極301で接続することにより形成している。第1の傾斜電位電極301はIn23 に不純物を所定量添加した材料などの透明でストライプ電極のITOより高抵抗のアモルファス導電材料で形成する。また、第1の傾斜電位電極301はMoやAg合金などの低抵抗金属材料からなる信号電極a311と信号電極b313それに信号電極c315に接続している。
【0030】
以上の説明で明らかなように本発明の円筒面レンズを形成する液晶光変調器においては一つの円筒面レンズがN本のストライプ電極からなる場合にも駆動回路からの制御信号の数は円筒面レンズの個数をMとするとM+1本で済む。したがって全てのストライプ電極に駆動信号を接続する場合の本数MxN本に対して特にストライプ電極の数が増えた場合、信号電極の数を大幅に削減することが可能となる。
【0031】
次に円筒面レンズを形成するための複合電極211の他の構造について図3を用いて詳しく説明する。図3は第1の円筒面レンズ351と第2の円筒面レンズ361の2つのレンズ領域を活性領域371に持った複合電極211の平面図である。図3において第1の円筒面レンズ351はITOなどの低抵抗多結晶透明導電膜により形成した第1のストライブ電極321から図2ではN=9であるが、第Nのストライプ電極329と第2の円筒面レンズの一本目でもある第N+1のストライプ電極330を第1の傾斜電位電極301と第2の傾斜電位電極401とで接続することにより形成している。
第1の傾斜電位電極301および第2の傾斜電位電極401はIn23 に複数種の不純物元素を所定量添加した材料などの透明でストライプ電極のITOより高抵抗のアモルファス導電材料で形成する。第1の傾斜電位電極301はMoやAg合金などの低抵抗金属材料からなる信号電極a311と信号電極b313とさらに信号電極c315に接続している。また、第2の傾斜電位電極401はMoやAg合金などの低抵抗金属材料からなる信号電極a’411と信号電極b’413とさらに信号電極c’415に接続している。
【0032】
図3に示した円筒面レンズを形成するための複合電極の構造はストライプ電極が細くまた長くなった場合など液晶層の駆動周波数でのインピーダンスに対してストライプ電極のインピーダンスが大きくなってくる場合に特に有効である。図3の複合電極構造では信号電極a311と信号電極a’411、信号電極b313と信号電極b’413さらに信号電極c315と信号電極c’415のペアは外部で短絡して駆動する。
【0033】
次に液晶レンズ1001の動作原理について説明する。
図10においてx軸に平行な方向にダイレクタ207がホモジニアス配向しているp型ネマティック液晶を用いた液晶レンズ1001にx軸に平行な方向に振動する直線偏光1010がz軸方向に入射することを考える。液晶レンズ1001に入射する前の入射波面1013は平面である。液晶レンズ1001に電界を印加し所定の屈折率分布となるようにダイレクタの面内分布を制御すると入射波面1013を焦点f1030に収束する球面波の出射波面1023に変換することができる。
【0034】
この条件の導出を図11を用いて説明する。液晶レンズ1001の液晶層の出射側の平面をx−y平面に取りx−y平面の原点Oを通るz軸上に焦点f1030が来るようにする。原点Oから測った液晶レンズ1001の出射側平面上の任意の点r1101の距離をrとすると、光軸O−z上を進行する光の第1の光路長R1110に対して点r1101から焦点f1030に向かう光は第2の光路長t1120だけ余分な距離を伝搬する必要がある。図11からわかるように
2 +R2 =(t+R)2 (1)
となるからこれをtについて解くと
t=(R2 +r21/2 −R (2)
となる。ここで、r2 =x2 +y2 である。
【0035】
したがって、液晶レンズ1001の出射側平面に達するまでに液晶レンズ1001内における入射波が伝搬する光路長を光軸上原点Oを通る光に対して点r1101では第2の光路長t(r)1120だけ短くすることが出来れば入射波面1013を焦点f1030に収束する球面波に変換できることがわかる。
【0036】
液晶レンズ1001が図11のx−y平面において図12に示すような正方開口1201を持つとする。このとき、液晶レンズ1001の液晶層の出射側の平面から焦点f1030までの第2の光路長t(r)1120の最大値tmaxはr=rmaxのときで
tmax=(R2 +rmax21/2 −R (3)
となる。したがって、rmaxでの位置での光路長を基準点としたときの液晶レンズ1001によって補正する相対光路長分布φ(r)は
φ(r)=tmax−t(r) (4)
となるように決めれば良いことが示された。
(4)式に(2)および(3)式を代入すると
φ(r)=(R2 +rmax21/2 −(R2 +r21/2
=R[(1+rmax2 /R21/2 −(1+r2 /R21/2 ](5)
となるここで、(5)式の平方根で囲まれた一項目および二項目を2項展開し展開した二項目までをとって整理しRを焦点距離fで置き換えると(6)式となる。
(近軸近似)
φ(r)=1/(2f)・(rmax2 −r2 ) (6)
【0037】
したがって、図13に示すように液晶レンズ1001の液晶層の位相曲線1301が(6)式を満たすような二次曲線となれば液晶層がレンズとして機能することがわかる。
上記した液晶レンズの動作に関する説明は、球面レンズを形成する場合を前提に説明したものであり、円筒面レンズを形成する場合には、当該焦点は点ではなく線となる。
然しながら、当該円筒面レンズは、上記した説明に於て、一方向に対して変化しない様にしたものであるので、当該円筒面レンズの説明としては、当該球面レンズの特別な例として処理する事が可能である。
【0038】
次に本発明に用いる液晶層の特性を説明する。入射直線偏光の波面は図8に示すような印加電圧−実効複屈折率特性によって決まる変調を受ける。図8において横軸は液晶層への印加電圧、縦軸は実効複屈折率Δnを示す。電気光学応答曲線の形状は、使用する液晶の弾性定数、誘電率異方性特性や電界無印加時の配向層によって決められるプレティルト角などから決まる。図8の印加電圧−実効複屈折率特性はメルク社のネマティック液晶材料BL007のものである。図8の特性はΔnmax=0.287、液晶層厚さ20μmとして求めた理論曲線である。図8において横軸は、ホモジニアス配向セルに印加電圧801を示し縦軸は液晶分子の実効複屈折率Δn803を示す。本発明の液晶光変調器をレンズとして用いる場合は2次曲線を近似できる曲線領域820近傍を用いる。
図8に於て、グラフ810は当該プレティルト角を15°に設定した場合の電気光学応答曲線を示し、同様にグラフ813、815、817は当該プレティルト角をそれぞれ10°、5°、1°に設定した場合の電気光学応答曲線をそれぞれ示している。
図8から理解される様に、グラフ817に於いては、液晶電圧が0〜1Vrms迄は、フラットな状態を示し、従って、この電圧範囲内では、球面レンズとして使用する事が困難であるが、その他のグラフに関しては、略液晶電圧が0〜5Vrmsの範囲で球面レンズとして使用する事が可能となる。
係るグラフは、液晶の材質、液晶の膜厚等によって変化するが、何れに於いても、グラフ817を除けば、特に図8の820で示される領域に於いては、好ましい状態で変調処理が実行しえる。
このときのプレティルト角は5度から20度が望ましい。
【0039】
次に図2に示す複合電極を持った本発明の液晶光変調装置の信号電極に駆動電圧を印加した場合の動作を説明する。図15に駆動波形を示す。駆動波形a1503を信号電極a311に印加し、駆動波形b1503を信号電極b313に印加する。駆動波形a1501と駆動波形b1503は互いに周波数と振幅が等しく位相のみが180度異なっている。同様に駆動波形c1505を信号電極c315に印加する。駆動波形c1505と駆動波形a1501は同一波形である。図15において時間t=t1においては駆動波形a1501および駆動波形c1505は+Vであり、駆動波形b1503は−Vである。したがって、線形の抵抗材料で形成した第1の傾斜電位電極301によって電位が分割されるため活性領域371に形成した第1の円筒面レンズ351のストライプ電極にはそれぞれ信号電極a311と信号電極b313に印加した電圧が位置によって分割された電位が現れる。また、第2の円筒面レンズ361のストライプ電極にはそれぞれ信号電極b313と信号電極c315に印加した電圧が分割された電位が現れる。
ここで、ストライプ電極の長手方向についてはストライプ電極が低抵抗材料で形成されるため同電位となる。
【0040】
図16に示すようにt=t1においてはt=t1の電位1601で示す直線状の電位分布となる。図15に示すt=t2においては図16のt=t2の電位1603で示す電位分布となる。図15に示した50%デューティの矩形波形の場合は図16で示す2つの電位分布を繰り返すことになる。したがって、共通電極を介して液晶層に印加される電圧はどのストライプ電極の位置においても交番電圧化され液晶層に直流成分が加わることはない。また、ネマティック液晶は実効値応答のため信号電極a311と信号電極c315の間の第1の傾斜電極301には実効値で信号電極a311と信号電極b313および信号電極c315の点でVだけの電圧となり信号電極a311と信号電極b313との中点および信号電極b313と信号電極c315の中点で0となるように電圧が直線的に変化する。
【0041】
次に、活性領域中のネマティック液晶層の実効複屈折率の分布を図14を用いて説明する。
つまり、図14の横軸は、液晶層にかかる実効値電圧を示し、縦軸は実効複屈折率Δnを示す。
図2の第1の円筒面レンズ351の部分で説明すると、前記した様に信号電極a311と共通電極213の間には、実効値電圧Vが印加される。
そして、信号電極a311と信号電極b313との中点は、実効値で0となる。信号電極a311から信号電極a311と信号電極b313との中点までの区間は電圧がVから0まで直線的に連続で変化するため、図14の第1のレンズ領域1401の矢印で示した向きに実効複屈折率Δnが変化する。
次に、信号電極a311と信号電極b313との中点から信号電極b313までの区間では、実効値電圧が0からVまで変化する為、実効複屈折率Δnは図14の第2のレンズ領域1403で示した矢印の向きに連続的に変化する。
同様に、図2の第2の円筒面レンズ361の部分では、信号電極b313と共通電極213の間には、実効値電圧Vが印加される。
そして、信号電極b313と信号電極c315との中点は、実効値で0となる。信号電極b313から信号電極b313と信号電極c315との中点までの区間は電圧がVから0まで直線的に連続で変化するため、図14の第1のレンズ領域1401の矢印で示した向きに実効複屈折率Δnが変化する。
次に、信号電極b313と信号電極c315との中点から信号電極c315までの区間では、実効値電圧が0からVまで変化する為、実効複屈折率Δnは図14の第2のレンズ領域1403で示した矢印の向きに連続的に変化する。
その結果、第1の円筒面レンズ351と第2の円筒面レンズ361においては図9の位相曲線A901で示すような位相変調量となり屈折率が一次元で変化する円筒面レンズとして機能する。図9において横軸は電極位置を示し、縦軸は相対位相変調量を示す。相対位相変調量は相対複屈折率Δnに液晶層の厚みdを掛けたものである。屈折率分布の曲率変化つまり焦点距離を変更する場合は駆動波形の振幅Vを変更することで実現できる。
【0042】
次に信号電極a311に駆動波形a1501を印加し信号電極b313は高インピーダンス状態に保持して信号電極c315に駆動波形b1503を印加した場合を考える。この場合、図9の位相曲線B910で示すような相対位相変調量分布となる。したがって、本発明の円筒面レンズを形成する液晶光変調装置においては同一のパタンを用いても駆動波形を変更するだけでレンズ径を容易に変更することが可能である。
【0043】
図19で示す駆動波形d1901を信号電極a311に印加し振幅と周波数は駆動波形d1901と同じで位相だけを180度+ψだけずらした駆動波形e1903を信号電極b313に印加する。このとき期間Aでは信号電極a311と信号電極b313には同相の電圧Vが印加される。したがって、第1の傾斜電位電極301には傾斜電圧は発生しない。しかし、共通電極と複合電極との間には期間Aのときに電圧が印加されることになる。また、期間Bでは信号電極a311と信号電極b313との間の第1の傾斜電位電極301に傾斜電位が発生する。このように本発明の液晶光変調素子では所定の信号電極に同相電圧を印加する期間Aを設けることで液晶層に交流バイアス電圧を印加することができる。このことは、期間Aで交流バイアス電圧を制御し期間Bでレンズ動作のための傾斜電圧を独立に制御出来ることを意味する。期間Aで印加する交流バイアス電圧は特に液晶層のプレティルトが低い場合に曲線動作領域まで動作点をシフトすることが出きるため有効である。
【0044】
本発明の第1の実施形態においては、円筒レンズとして動作する一次元の液晶光変調器を説明したが本構成においては円筒レンズを多素子化することは容易で、更に複合電極のストライプ電極の向きを直交して液晶分子のダイレクタ方向を平行とした2枚の円筒レンズを重ねることで球面レンズアレイを実現することができる。
【0045】
つぎに本発明の第2の実施の形態を図1および図4を用いて説明する。
第1の実施の形態は一次元の屈折率変調をおこなう円筒面レンズの構成をとった。第2の実施の形態においては二次元の屈折率変調をネマティック液晶層201でおこなう球面レンズの構成を取る。その他については第1の実施の形態と同様である。球面レンズを実現するため図1に示した液晶光変調器の断面図において複合電極211の平面構造は図4に示すような構成となる。
【0046】
図4は円形の開口を持った球面レンズの複合電極211の平面図である。図4において中心電極509を中心として多数の半円環状のストライプ電極501から508を一つの傾斜電位電極510で電気的に接続する構成を取る。傾斜電位電極510の両端部は円形開口を兼ねる第1の信号電極531と第2の信号電極533にそれぞれ接続される。ストライプ電極および信号電極は第1のスリット521および第2のスリット523により2つの領域に分離される。
【0047】
ここで中心電極509と各半円環を構成するストライプ電極は多結晶ITO透明導電膜で形成し、傾斜電位電極510はIn23 を主成分として複数種の不純物元素をドープしたアモルファス透明導電膜とする。傾斜電位電極510のシート抵抗は各ストライプ電極および中心電極509のシート抵抗より十分大きくなるように材料を選定する。第1の信号電極531および第2の信号電極533はMoや銀合金などの低抵抗金属膜を用いる。
【0048】
ストライプ電極は図4では8重に示したが実際は所定のN本で構成する。
【0049】
以上の説明で明らかなように本発明の球面レンズを形成する液晶光変調器においては一つの球面レンズがN本のストライプ電極と一つの中心電極からなる場合にも駆動回路からの制御信号の数は第1の信号電極531と第2の信号電極533に接続する2本で良いため駆動回路が単純化できる。
【0050】
次に矩形開口の場合に適する球面レンズを形成するための複合電極211の他の構造について図6を用いて詳しく説明する。
【0051】
図6は矩形の開口を持った球面レンズの複合電極211の平面図である。図6において中心電極509を中心として多数の半円環状のストライプ電極601から609とセグメントストライプ電極610、613と615を第1の対角傾斜電位電極621と第2の対角傾斜電位電極623で電気的に接続する構成を取る。第1の対角傾斜電位電極621と第2の対角傾斜電位電極623の両端部は矩形開口を兼ねる第1の信号電極531と第2の信号電極533にそれぞれ接続される。ストライプ電極および信号電極は第1のスリット521および第2のスリット523により2つの領域に分離される。
【0052】
ここで中心電極509と各半円環およびセグメントを構成するストライプ電極は多結晶ITO透明導電膜で形成し、傾斜電位電極はIn23 を主成分として複数種の不純物元素をドープしたアモルファス透明導電膜とする。傾斜電位電極のシート抵抗は各ストライプ電極および中心電極509のシート抵抗より十分大きくなるように材料を選定する。第1の信号電極531および第2の信号電極533はMoや銀合金などの低抵抗金属膜を用いる。
【0053】
図6では3重のセグメントストライプ電極と9重のストライプ電極を示したが実際は所定のセグメントストライプ電極M本と所定のストライプ電極N本で構成する。
【0054】
以上の説明で明らかなように本発明の球面レンズを形成する液晶光変調器においては一つの球面レンズがM本のセグメントストライプ電極とN本のストライプ電極と一つの中心電極からなる場合にも駆動回路からの制御信号の数は第1の信号電極531と第2の信号電極533に接続する2本で良いため駆動回路が単純化できる。
【0055】
特に図6で示した。球面レンズを構成するための複合電極の構成はアレイ化する場合に非常に有効である。図6の複合電極構成においては正方細密充填が容易なためアレイ化したときに100%に近い開口率を取ることが可能となる。
【0056】
図6の構成の複合電極構造を用いた場合のアレイ化パタンについて図7を用いて説明する。図7はアレイ化した複合電極構造を示す平面図である。図7においては図6で示したレンズ部631を単位レンズ710として2x2に正方配列した球面レンズアレイの構成図を示した。各単位レンズ710部の第1の対角傾斜電位電極621と第2の対角傾斜電位電極623を信号ラインa701、信号ラインb703および信号ラインc705に接続することで各レンズに駆動波形を印加できるようにする。信号ラインはMoやAg合金などの低抵抗金属材料で形成するためレンズアレイにおいては不活性領域となるが本構成では信号ライン周辺の面積を必要最小限とできるため開口率を100%に近づけることができる。
【0057】
本発明の第2の実施の形態においては円筒面レンズと球面レンズという差異はあるものの動作原理と用いる液晶層の特性は第1の実施の形態で述べた内容と同じである。
【0058】
次に本発明の第2の実施の形態における球面レンズの駆動法を図4に示す複合電極を持った本発明の液晶光変調装置の信号電極に駆動電圧を印加した場合の動作で説明する。図15に駆動波形を示す。駆動波形a1501を第1の信号電極531に印加し、駆動波形b1503を第2の信号電極533に印加する。駆動波形a1501と駆動波形b1503は互いに周波数と振幅が等しく位相のみが180度異なっている。
【0059】
図15において時間t=t1においては駆動波形a1501および駆動波形c1505は+Vであり、駆動波形b1503は−Vである。したがって、線形の抵抗材料で形成した傾斜電位電極510によって電位が分割されるため第1の信号電極531と第2の信号電極533で囲まれた円形開口部の半円環状ストライプ電極にはそれぞれ信号電極a311と信号電極b313に印加した電圧が位置によって分割された電位が現れる。
【0060】
ここで、ストライプ電極の円周方向についてはストライプ電極が低抵抗材料で形成されるため同電位となる。
【0061】
図20に示すようにt=t1においてはt=t1の電位2021で示す直線状の電位分布となる。図15に示すt=t2においては図20のt=t2の電位2023で示す電位分布となる。図15に示した50%デューティの矩形波形の場合は図20で示す2つの電位分布を繰り返すことになる。したがって、共通電極を介して液晶層に印加される電圧はどのストライプ電極の位置においても交番電圧化され液晶層に直流成分が加わることはない。また、ネマティック液晶は実効値応答のため第1の信号電極531と第2の信号電極533の間の傾斜電極510には実効値で第1の信号電極531と第2の信号電極533の点でVだけの電圧となり中心電極509で0となるように電圧が直線的に変化する。
【0062】
次に、図4の第1の信号電極531と第2の信号電極532とで囲まれた円形の開口中のネマティック液晶層の実効複屈折率の分布を図14を用いて説明する。
つまり、図14の横軸は、液晶層にかかる実効値電圧を示し、縦軸は実効複屈折率Δnを示す。
前記した様に、第1の信号電極531と共通電極213の間及び第2の信号電極533と共通電極213の間には実効値電圧Vが印加される。そして、第1の信号電極531と第2の信号電極533とは傾斜電位電極510で接続されているため、中点の中心電極509では実効値は0となる。
中心電極509から最外周の半円環状ストライプ電極501に向かっては径方向に信号電極まで実効電圧は直線的に連続に0からVまで変化する。
従って、中心電極509の位置を中心として外周部まで径方向に図14の第2のレンズ領域1401の矢印で示した向きに実効複屈折率Δnが変化する。
その結果、中心電極509を頂点にした放物面状の位相変調量となり屈折率が2次元で変化する球面レンズとして機能する。屈折率分布の曲率変化つまり焦点距離を変更する場合は駆動波形の振幅Vを変更することで実現できる。
【0063】
図19で示す駆動波形d1901を第1の信号電極531に印加し振幅と周波数は駆動波形d1901と同じで位相だけを180度+ψだけずらした駆動波形e1903を第2の信号電極533に印加する。このとき期間Aでは第1の信号電極531と第2の信号電極533には同相の電圧Vが印加される。したがって、傾斜電位電極510には傾斜電圧は発生しない。しかし、共通電極と複合電極との間には期間Aのときに電圧が印加されることになる。また、期間Bでは第1の信号電極531と第2の信号電極533との間の傾斜電位電極510に傾斜電位が発生する。このように本発明の液晶光変調素子では所定の信号電極に同相電圧を印加する期間Aを設けることで液晶層に交流バイアス電圧を印加することができる。このことは、期間Aで交流バイアス電圧を制御し期間Bでレンズ動作のための傾斜電圧を独立に制御出来ることを意味する。期間Aで印加する交流バイアス電圧は特に液晶層のプレティルトが低い場合に曲線動作領域まで動作点をシフトすることが出きるため有効である。
【0064】
また、アレイ化した場合の駆動法を図7を用いて説明すると隣接する信号ラインに振幅と周波数が同じで位相だけが180度ことなる駆動波形を印加することで、単個レンズと同様に駆動が可能である。また、隣接する信号ラインに同相信号が印加される期間を設けることで交流バイアス駆動ができることも単個レンズと同様である。
【0065】
本発明の第2の実施の形態においては複合電極211と共通電極213の間に挟持するネマティック液晶層201のダイレクタの向きは複合電極のスリットラインの方向と直交する向きにした方が良い。これは、駆動波形印加中はスリット近傍では常にスリットラインに直交する向きに強電界がかかるためスリットラインに平行な液晶分子があると平面内で回転するようなトルクがかかりスリット近傍のディスクリネーションの拡大を誘発し位相変調特性に影響するためである。
【0066】
実施の形態において示した−V、+V等の電位は例えば0.5〜10ボルトで1〜1000Hzの交流パルス源を実際の電圧源として使用することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の液晶光変調素子においては、補償光学系に用いられるシャック・ハルトマン型センサ等に適用可能な単純な構造を持ち駆動も単純に制御可能な可変焦点型のアダプティブ液晶レンズおよびレンズアレイを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の構造を示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の構造を示す模式平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の構造を示す模式平面図である。
【図4】図4は本発明の実施形態における液晶光変調装置の構造を示す模式平面図である。
【図5】図5は、従来の技術における光変調装置の応用を示す模式断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の構造を示す模式平面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の構造を示す模式平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の基本原理を示す特性図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の特性を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の基本原理を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の基本原理を示す模式図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の基本原理を示す模式図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の基本原理を示す模式図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の動作原理を示す模式図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の駆動波形を示す模式図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態における液晶光変調装置の電位分布を説明する模式図である。
【図17】図17は、本発明の従来の技術の液晶光変調器の基本原理を示す模式断面図である。
【図18】図18は、本発明の従来の技術の液晶光変調器の基本原理を示す模式断面図である。
【図19】図19は、本発明の実施形態における液晶光変調器の駆動波形を示す模式図である。
【図20】図20は、本発明の実施形態における液晶光変調器の電位分布を説明する模式図である。
【符号の説明】
101 入射光
103 マイクロレンズアレイ
105 CCDアレイ
107 焦点
109 強度分布曲線
201 ネマティック液晶層
203 第1の基板
205 第2の基板
207 ダイレクタ
209 ティルト角
211 複合電極
213 共通電極
215 無反射コート
217 配向層
301 第1の傾斜電位電極
311 信号電極a
313 信号電極b
315 信号電極c
321...339 ストライプ電極
351 第1の円筒面レンズ
361 第2の円筒面レンズ
371 活性領域
401 第2の傾斜電位電極
411 信号電極a’
413 信号電極b’
415 信号電極c’
501...508 半円環状ストライプ電極
509 中心電極
510 傾斜電位電極
521 第1のスリット
523 第2のスリット
531 第1の信号電極
533 第2の信号電極
601...609 半円環状ストライプ電極
610...615 セグメントストライプ電極
621 第1の対角傾斜電位電極
623 第2の対角傾斜電位電極
631 レンズ部
701 信号ラインa
703 信号ラインb
705 信号ラインc
710 単位レンズ
801 印加実効値電圧
803 実効複屈折率
820 曲線領域
901 位相曲線A
910 位相曲線B
1001 液晶レンズ
1010 直線偏光
1013 入射波面
1023 出射波面
1030 焦点f
1101 点r
1110 第1の光路長R
1120 第2の光路長t(r)
1201 正方開口
1301 位相曲線
1501 駆動波形a
1503 駆動波形b
1505 駆動波形c
1601 t=t1の電位
1603 t=t2の電位
1701 液晶層
1710 第1のホール付電極
1713 第2のホール付電極
1720 第1の基板
1723 第2の基板
1730 電極円形開口部
1801 液晶層
1810 制御電極アレイ
1813 共通電極
1820 基板
1901 駆動波形d
1903 駆動波形e
2001 第1の信号電極
2003 第2の信号電極
2021 t=t1の電位
2023 t=t2の電位

Claims (7)

  1. 液晶を用いた光変調装置において、半円環形状をした多数の導電電極が同心円状に配置されており、且つ、前記同心円状に配置されている当該多数の導電電極が一つ又は複数の、当該導電電極よりも大きな抵抗を有する接続用導電電極で電気的に束ねられており、それによって当該接続用導電電極に電位傾斜を発生させるように構成された複合電極を有する第1の基板と、共通電極を有する第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板に挟持した液晶分子層を含む光学要素を備え、前記接続用導電電極は、正方開口部の対角線の位置に2本形成されており、前記接続用導電電極の四隅端部には、制御信号を印加するための信号電極を有する事を特徴とする液晶光変調装置。
  2. 前記半円環形状をした同心円状に配置された多数の導電電極群は、その一部にスリット部が設けられており、前記スリット部を介して少なくとも2つの群に区分されている事を特徴とする請求項1に記載の液晶光変調装置。
  3. 前記スリット部に直交する向きに液晶分子層のダイレクタ方向を設定することを特徴とする請求項2に記載の液晶光変調装置。
  4. 前記半円環形状をした同心円状に配置された多数の導電電極群は、更にセグメントストライプ状の多数の導電電極を含んでいる事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の液晶光変調装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載された液晶光変調装置が、複数個二次元的に互いに隣接して配置されている事を特徴とする液晶光変調装置。
  6. 液晶を用いた光変調装置において、半円環形状をした多数の導電電極が同心円状に配置されており、且つ、前記同心円状に配置されている当該多数の導電電極が一つ又は複数の、当該導電電極よりも大きな抵抗を有する接続用導電電極で電気的に束ねられており、それによって当該接続用導電電極に電位傾斜を発生させるように構成された複合電極を有する第1の基板と、共通電極を有する第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板に挟持した液晶分子層を含む光学要素を備え、前記接続用導電電極は、正方開口部の対角線の位置に2本形成されており、前記接続用導電電極の端部には、制御信号を印加するための信号電極を有する液晶光変調装置の駆動方法であって、同一の前記接続用導電電極における端部に配置されたそれぞれの前記信号電極には、同じ振幅で同じ周波数だが、180度位相の異なる駆動波形をそれぞれに印加することを特徴とする液晶光変調装置の駆動方法。
  7. 前記駆動波形を印加する当該所定の信号電極間に、2つの180度位相の異なる同じ振幅で同じ周波数の駆動波形を印加する期間とともに、当該一方の駆動波形の位相をφ(ファイ)だけずらせることによって、液晶分子層に交流バイアスを印加する期間をさらに設けることを特徴とする請求項6に記載の液晶光変調装置の駆動方法。
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