JP4434343B2 - 文字生成装置及び文字生成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル画像処理の分野に関し、特に、質の高いあるいは優れた出力画像フォントを生成するように、文字やテキストをその中に持つ画像の創作に関する。また、魅力的な芸術的特徴を有するフォントを創作するためのツールも開示している。
【0002】
【発明の背景】
近年、高解像度のグラフィックディスプレイと、高解像度の、望ましくはカラーの出力用プリンタを有するコンピュータシステムを用いて複雑な画像を作ることが、ますます一般的になりつつある。グラフィック画像制作産業は急速に発展しており、たとえばアドビフォトショップ(商標)のように、複雑で洗練された画像生成ツールが複雑な画像生成のためにしばしば利用されている。
【0003】
多くの画像の一つの重要な美的特質は、テキストを表現する文字フォントである。文字フォントのデザインは、デザイナにより、程度の高い芸術的判断がなされることが必要である。従来は、フォントはビットマップあるいはアウトラインから構成され、後者は、典型的にはスプラインデータで表されている。フォントアウトラインを利用することで、縮尺(スケーリング)操作が非常に柔軟に行える。その操作においては、一つのフォントを、スプラインデータの再縮尺によって多くの異なるサイズに対して定義することができる。様々なデザインされたフォント、たとえばTimes New RomanやCourierなどが非常に広く知られてきている。
【0004】
フォントは公知であり、ワードプロセシングプログラムやハイエンドのグラフィックプログラムといったコンピュータ画像生成プログラム用いられているが、それらは一般的に柔軟性、創造性、構造のうち少なくともひとつを欠いている。フォントの利用者は予め定義された構造の範囲内で作業しなければならないため、しばしば限られた、あるいは妨げられた芸術的な出力結果となる。
【0005】
フォントをデザインする場合、ひとつのフォントセット内の、あらゆる文字の各々をデザインする必要がある。これは、ローマン書体の、それが適用される言語の文字セットについてでさえ、困難で時間のいる仕事である。また、他の言語についてフォントをデザインする場合、文字セット内の文字の数は非常に多く(たとえば漢字)、それゆえにかなりの作業、労働、費用が、フォント文字を創るために必要とされる。
【0006】
そのため、柔軟性及び利用性の水準を向上させる、柔軟で融通のきくフォント構造を提供することが必要となる。また、フォントの創作工程は、各文字についての本質的な芸術性の管理はそのまま継続される一方で、ほとんどが自動化され、それによってグラフィックデザイナの負担が減るることが望ましい。
【0007】
【発明の要約】
本発明は、現存する装置の一つあるいはそれ以上の欠陥を、ほとんど克服すること、あるいは少なくとも改善することを目的とする。
【0008】
本発明の第一の側面によれば、複数のグリフを含んだフォントから文字を生成する方法であって、(a)フォントから1あるいはそれ以上のグリフの記述を抽出し、(b)グループから選択されたコンポーネントを演算する合成演算子を用いて、少なくとも一つのグリフの記述のコンポーネントを合成し、(c)合成されるコンポーネントを用いて文字をレンダリングする。
【0009】
本発明の第2の側面によれば、一連の文字を含む画像制作システムにおいて用いられるフォント構造であって、各文字はカスタマイズ可能なグリフ構造から成り、前記グリフ構造はさらに所定の順序でともに合成される一連のグラフィックオブジェクトをさらに備えるフォント構造が提供される。
【0010】
本発明の第3の側面によれば、コンピュータシステム上で一連のフォント文字を制作する方法であって、一連のフォントアウトライン及び元の図像を提供し、前記アウトライン及び図像の外観の操作のための一連の操作ツールを提供し、前記アウトライン及び元の図像及び操作ツールから実質的に任意の複雑なフォント構造の制作を提供し、前記複雑なフォント構造を、前記一連のフォント文字中の基本となるフォントアウトラインのそれぞれに適用することで前記一連のフォントを制作する方法が提供される。
【0011】
好ましくは、前記複雑なフォント構造は、フォントの制作において遂行される演算のグラフィカルな表現ツリーを含み、前記ツリーはフォントのアウトラインを含む。前記操作ツールは、フォントのアウトラインの歪み、置換あるいは合成のためのツールを含み、さらに、前記フォントアウトラインに構造的及び非構造的な効果を加える。これは、フォントの読みやすさを保守する間に、文字アウトラインのセットに適用されるグラフィカルな効果を含む。
【0012】
フォントアウトラインは、
(1)存在するフォント(たとえばTrue Type)
(2)文字形式のプリミティブから自動的に生成される
(3)アーティストにより描かれる
ことが望ましい。
【0013】
【実施例】
フォントアーキテクチャ
本実施形態においては、フォントは一連の「グリフ」(griph)によって表される。グリフは彫刻された文字あるいはシンボルである。グリフは複雑な構造を有し、より複雑な文字を有する画像の創作に利用できる。
【0014】
ここで図1をみると、本実施例に係るフォントのひとつのグリフ1の構造が図式的に示されている。記憶部内においては、各グリフ1は、グリフ全体を参照するために利用される、対応するグリフインデックス番号(これ以降グリフインデックスと呼ぶ)を有している。必要であれば、個々のグリフインデックスに対応する一つあるいはそれ以上のコードまたは文字がある。それ故、本実施例における文字のアクセスの単位は、グリフ番号で行われる。グリフ1は文字の視覚的な表現であり、グリフインデックスに対応する文字の外観を示す図1に示されたように、合わさってツリー構造を形成する一つあるいはそれ以上のグラフィックオブジェクト2から構成される。このような、文字の外観を示すツリー構造は、これからグラフィックオブジェクト(GOB)ツリーとして、時折言及される。
【0015】
図2において、文字コード30の、対応するグリフインデックス32へのマッピング30が示されている。このマッピングは、グリフマッピングテーブル30を用いて実行される。
【0016】
各グラフィックオブジェクト2は、典型的には、グリフあるいはフォントの再生において用いられる様々な情報要素を含む。このような要素の例としては、プリミティブ、プリミティブの属性、演算子、選択を含む。
【0017】
プリミティブは、いくつかの方法で形成でき、オブジェクトの形を描写するために用いられる。たとえば、3次元のスプラインパスはオブジェクトの形(文字のパスを含む)を定義するために利用される。かわりに、ピクセルマップ形式の画像データ(圧縮フォーマットであっても、なくてもよい)で、全体の形状を定義してもよい。
【0018】
プリミティブの属性は、特徴をもたらし、プリミティブにアピールする様々な項目を含んでいる。
【0019】
図3は、グラフィックコンテクスト属性のレイアウトを示す図である。この属性は、
*色及び色混合情報90;
*不透明度及び不透明度混合情報91;
*オブジェクトのエッジのエッジ混合、たとえば符号93,94;
*パス及び画像に適用される一つあるいはそれ以上の変換マトリクス(不図示);及び
*ドロースタイル92及びパスのための線引き(stroking)のパラメータ95,96。
【0020】
2項演算子は、2つあるいはそれ以上のグラフィックオブジェクトを合成するために用いられる。これら演算子として、OVER,IN,OUT,ATOP, XOR,PLUSC,PLUSWを含み、これらは公知の論文「デジタル画像の合成(Compositing Digital Image)」(ポーター,T;ダフ,T;コンピュータグラフィクス第18巻第3号、1984年4月、第253−259ページ)で検討されている。他の合成演算子としては、NOT-XOR,PLUS,MINUS,AND, NAND,NOR,NOT,CLEAR,SET,COPYが含まれる。
【0021】
選択は、現在の環境の状態に基づいて、添付されたグラフィックオブジェクトを選択させる。
【0022】
グラフィックオブジェクトで使用されているいかなるプリミティブも、非常にパラメータ化されていることは明らかであろう。これは、文字が使用される場合、グラフィックコンテクスト中のパラメータを変え、得られる値を変えさせることで対応する特徴を調べられることを意味する。オブジェクト及び特徴をパラメータすると決定したことで、フォントデザイナは非常に柔軟に複雑なフォントを制作できる。パラメータ化された各特徴にデフォルト値が与えられることが望ましい。
【0023】
図1に戻ると、選択肢を持ったグラフィックオブジェクトは、GOBツリーのノード(たとえばG01)を形成し、フォントとともに与えられた、所望のグラフィックコンテクストに従属する子のグラフィックオブジェクトのグループ(たとえばG02,G03)からオブジェクトを一つ選択する方法を提供する。
【0024】
選択は、グラフィックコンテクスト中のいかなるパラメータとでも共同して行える。選択工程の例は、図6を参照して後述する。
【0025】
プリミティブのパラメータは、個々の効果を達成するために結合される設定のグループとして利用できる。これを利用するために、上述したフォントは属性部を含んでいてよい。この属性部は、利用者の要求に応じてグラフィックコンテクストに転送できるパラメータ設定を含む。
【0026】
影響され得るグリフの属性(図3参照)は、次のものを含み得る。
*色
*不透明度
*ドロースタイル
*ストロークの幅
*ライン結合スタイル
*ラインキャップスタイル
*留め継ぎ(mitre)の制限
*ダッシュパターン
*選択番号
全ての色及び不透明度の値は、フォント全体にわたってパラメータ化し得ることが望ましい。これは、フォント全体の色を調和させるためにいくつかの色だけを選択すればよいこと、及び、必要があるなら、フォントデザイナには、各文字に対して異なるパラメータを用いる自由があることを意味する。パラメータとされる各固有の色値は、図9に示されているように、異なるグラフィックコンテクスト番号(GC番号)から獲得される。
【0027】
図4に示すように、各グリフ1は、フォントファイルから得られるその垂直及び水平植字方向に関する植字(type setting)情報40を持ち得る。たとえば、次のものが与えられ得る。
*水平植字位置(x,y)
*水平植字ベクタ(dx,dy)
*垂直植字位置(x,y)
*垂直植字ベクタ(dx,dy)
図1のグリフ構造1を用いることで、任意に複雑なフォント構造を制作できる。従来のフォントよりも非常に多くの情報を含むフォントを制作することができ、それゆえに、よりその外観を詳細に記述できる。けれども、従来のフォント文字もまた、容易にグリフのグラフィックオブジェクトとして格納できる。それにより、必要に応じて、それらを単純にあるいは複雑にできる柔軟性を備える。
【0028】
それゆえに、このグリフ構造は、従来のフォントに対して同様に演算ができるように適合することができ、そのため互いに交換して使用できる。利用者がグリフ構造において文字の外観の様相を制御できるグラフィック言語への拡張は、完全に任意である。
【0029】
利用者は、所望の外観を得るために、得られたグリフ文字の外観をカスタマイズできる。各フォントはデフォルトの「外観」を有しており、フォントデザイナは、デフォルトの外観からカスタム化された外観に利用者が変更できるよう、任意のカスタム化可能なパラメータを含んでいる。
【0030】
そのため、フォントは、グリフ1から創作でき、次のような要素を含み得る、図5に示した「フォントファイル」10に格納できる。
*フォントヘッダ11;
*各文字について、文字コード,グリフインデックス,植字情報12;
*カーニングテーブル13;
*フォントのグラフィックコンテクストについて、グラフィックコンテクスト属性セッティング14;
*形状16及び画像データ17へのポインタを含む各グリフについて、グラフィックオブジェクトのツリー構造15(あるいはGOBツリー);
*形状データ16;
*イメージデータ17。
【0031】
利用者の視点から見たフォントの構造は、グラフィックオブジェクト2が集まったままものであり、それはグリフ1について少なくとも1つはある。グラフィックオブジェクト2は他のグラフィックオブジェクトで使用されている要素を含んでもよい。グラフィックコンテクスト属性14を変えることでグラフィックオブジェクトの外観を変えるための機構をさらに用意してもよい。図6に示したように、選択する番号を変え、選択機構50の選択パラメータを用いることで、一つの文字に関して多様な外観を与えることができる。グリフに関連づけられたパラメータのカスタム化により、さらにフォントに固有の外観を与えることができる。
【0032】
図7は、本実施形態によるフォント文字の処理を実行するプロセス20を示している。プロセス20は、フォントファイル21を読むステップと、正しい文字を参照するためのテキストオブジェクトを制作するステップと、テキストオブジェクトから対応するグリフ23を生成するステップとを含んでいる。
【0033】
フォントファイルが読み出されると、それは内部表現、たとえば「キャッシュ」版(cached version)に変換され、そのフォントのキャッシュ版は利用することができる。
【0034】
図8は各文字についてGOBツリーの処理から得られるグラフィックオブジェクトの形成の仕方を示している。グラフィックオブジェクトは、完全に定義された文字のインスタンスを含み、グリフツリーが獲得されるステップ60でアクセスされる。ステップ61において、文字の外観の様相は全て固まっており、グリフの属性を読める。ステップ63における最終的なグラフィックオブジェクトの変換は、ステップ62で読まれたグラフィックコンテクストの属性を全てのパラメータに当てはめることを含んでいる。この段階では、利用者が文字の外観の管理を練習することができる。
【0035】
本フォント構造の一つの重要な特徴は、フォントの利用者がそのフォントの外観をカスタマイズできることである。これは、グラフィックコンテクスト内の属性をセットすることで達成できる(図3)。また、図9に示されているとおり、グラフィックコンテクストは拡張でき、その結果一つだけでなく複数のインスタンス70−72を持つ。各インスタンスはグラフィックコンテクスト番号(GC番号)により参照される。これらは、そのフォントで利用できる限りの属性全てを持つことができ、そのフォント内の文字をカスタマイズするために利用することができる。いかなるGC番号における属性も、グラフィックコンテクスト70の基本レベル(GC番号0)にそれらをセットアップすること、及び、それから新たなGC番号にコピーすることで初期化される。代わりに、図10に示すように、フォントファイル中の属性から、その属性をロードすることもできる。いかなるGC番号におけるグラフィックコンテクストも、基本レベルにコピーし戻すことができる。たとえば、次のコマンドはグラフィックコンテクスト番号をサポートするために使用できる。
1. gc(copy("attr-name",gcnum) あるいは、gc(copy("attr-name",gcnum1,gcnum2)このコマンドは、属性(attr-name)を、グラフィックコンテクスト番号ゼロ(gcnum0(70)から指定された番号へとコピーするのに用いられる。第2のケースでは、属性はgcnum2(72)からgcnum1 (71)にコピーされる。
2.gc(swap("attr-name",gcnum)あるいはgc(swap("attr-name", gcnum1,gcnum2)このコマンドは、属性(attr-name)を、グラフィックコンテクスト番号ゼロ(gcnum0(70)と指定された番号の間で入れ替えるのに用いられる。第2のケースでは、属性はgcnum1とgcnum2との間で入れ替えられる。
3.gc(load(font(default()図10に示すように、gc(load(font(defaultsコマンドは、フォント80内のデフォルトから、グラフィックコンテクスト81内の属性をセットするのに用いられる。この場合、属性は、典型的にはフォントファイルからロードされる。
4.gc(clear()gc(clearコマンドは、gcnum0をのぞいたグラフィックコンテクスト全てをクリアするのに用いられる。
【0036】
選択番号
図3で説明している、グラフィックコンテクストの属性に含まれる属性は、選択番号属性97である。選択番号属性97は、図10のフォント文字ファイルの処理の間に読み出される。選択番号属性は、数値であることが望ましい。選択番号に影響を及ぼすコマンドは、gc(choice(num(option)を含む。このコマンドは、GC番号ゼロ70について、選択番号を特定の指定された(数)値にセットする。指定された値がゼロであると、デフォルトのフォントの選択であると見なされる。
【0037】
ここでoption=gc(choice(num()なるコマンドはGC番号ゼロ70の選択番号の値を返す。
【0038】
前述の説明から、従来技術におけるよりも、より十分に著しく柔軟で、任意に複雑なフォント構造を提供するフォント制作システムが提供できると思われる。フォント構造は、必要に応じて、フォントの制作者あるいはフォント及び利用者によって、容易に改作あるいは修正できる。
フォント制作ツール
この実施例においては、フォントを得られる構造を制作できる、洗練されたフォントの制作のためのツールが提供される。
【0039】
本実施例の原理は一般的に適用でき、特に最終的なフォントとして生成される「ビットマップ」に適用できるが、本実施例は、上述したフォントアーキテクチャシステムを利用することが望ましい。もちろん、フォトショップのような他の複雑な画像制作パッケージを用いて、特にそのパッケージでマクロ言語が用いられている場合には、他の文字についてのフォントを制作することができる。
【0040】
はじめに図11には、Times Roman文字フォントの“A”101を含む複雑なフォントの例が示されている。文字フォント“A”101は、その境界内に、オブジェクト103のような丸いボールが上に連ねて置かれた背景画像102から成る複雑な画像構造を含むように処理されている。
【0041】
図12は、フォント文字101の制作に対応して前述の記載の原理によって制作されるであろう、対応する「グラフィックオブジェクトのツリー」(GOB)105を示す。表現ツリー105は、最終的なフォントを制作するために併せて複合されるオペランドを持つ多くの演算子を含む。複合処理は、必要に応じて実時間で遂行されるか、あるいはオフラインで行われる。修正は、GOBツリー5のどの部分でもよい。たとえば、要求に応じて文字1内にどのボールオブジェクト106を置くか利用者が選択できることが望ましい。それゆえ、ボールオブジェクト106は、要求されるフォント制作の特性に応じて、クリップアートを含んでもよいし、異なるボールオブジェクト(たとえば野球のボール)のリストから選んでもよい。
【0042】
図13には、本実施例に従って構成されたフォント制作ツール110のユーザインターフェースの一形式が図示されている。フォント制作ツール110は、マイクロソフト社のVisualC++の開発者用環境のような、標準的なソフトウエアの開発ツールを用いて実現される。フォント制作ツール110は、その入力として、画像及びクリップアートを含む元となる図版に加えて、標準true typeアウトライン111の形式のフォントアウトラインを受け取る。フォント制作ツールの出力は、必要に応じて文字セットに対応させることのできるフォントセット113である。その代わりとして、たとえば完全なユニコードの文字セットを出力してもよい。フォント制作ツール110は、目的フォントのサンプル115を見るためのウインドウ114を含むユーザインターフェースを基本としている。フォントは、ユーザインターフェースリスト117を介してアクセスできる一連の操作ツール116によって操作される。必要に応じて操作ツールの変数を設定するためにリスト117中の項目にアクセスすると、ウインドウがポップアップする。さらに、ツリー表示パネル119が、GOBツリー120の操作と表示のために用意されている。ほかのフォント配列を構成するように、適当なツリーの制作のためにツリー表示パネル119内の要素を操作できるユーザインターフェース(不図示)を追加してもよい。
【0043】
多くの操作ツール116を通じて、各ツールは設定可能な多くの独立変数を持ち、任意に複雑なGOBツリー構造を制作することに加えて、もっともふさわしい最終結果をもたらすべく、独立変数を迅速にテストできる非常に多くのフォント構造の制作のための手段が提供される。それにおいては、サンプルのフォントは即座に評価するためにフォント表示ウインドウ114内に表示される。もちろん、本好適な実施例のユーザインターフェースは、変更の要求及び追加開発に応じて容易に応用でき、適応させることができる。
【0044】
理想的には、フォント文字のアウトラインは、ツリー表示ウインドウ119の少なくとも一つの部分で使用される。それゆえ、出力フォントセット113は、調和する出力文字を生成するように、各文字についてGOBツリー120内のアウトラインパスを置換することで制作できる。
【0045】
操作ツール116は、たくさんあり、また様々である。操作ツール116は、非構造的な(形状に依存しない)ものと、構造的な(形状に依存する)ものとに分けられる。これら2つのカテゴリの下における主題の配置のグラフを図14及び図15に示す。図14において、非構造的なカテゴリ130が図示され、これはさらに、フォント132のテクスチャあるいは色に適用される演算と、それにくわえて、フォントのアウトライン131に適用される演算とに分割される。アウトラインの変更は、フーリエ成分やフォントアウトラインのずらし、あるいはそれに代えてアウトラインのひだ(ripple)の適用といった、歪み134を含む。置換135は、フォントアウトラインを、粒子や、リボンや、アウトラインへの幾何学的置換の適用といった一連の構造で置き換えることを含む。また、アウトラインの合成136は、影や遅延関数といった演算を含む。テクスチャあるいは色演算は132は、個々のフォントについて、テクスチャ及び色の実質の範囲の選択を含む。
【0046】
図15には、フォントに適用できる構造的演算のカテゴリのグラフの例が示されている。これらは、静的演算141と動的演算142とを含む。静的演算141は、示されているように、全体論的演算とストロークに基づいた演算とに分割される。全体論的演算はフォントに対する3次元モデルの適用と、フォントに対するアウトラインアルゴリズムの適用とを含んでいる。ストロークに基づいた演算は、画像置換及び筆記体演算を含んでいる。動的演算142は、ペンスタイル、フォント上の成長の構造、フォントの3Dモデル、イメージオーバレイ、リボンなどのような21/2(2と2分の1)次元の効果に適用できる。
【0047】
図14及び図15のカテゴリのアウトラインは、おもしろい効果を作り出すようにフォントに対して適用できるいくつかの操作を単に表している。また、この操作は、フォントの一部分にも適用でき、フォントを表したGOB表現ツリーの構築に利用できる。
【0048】
したがって、後で完全なフォントセットを制作する前に、図13に図式的に描かれたと同様なインターフェースを用いて、非常に複雑で興味深い効果をサンプル文字に作り込むことができ、そしてテストできることは当業者には明白であろう。またGOBツリーの構造を利用すれば、フォントの制作に用いるに適した、任意の複雑なグラフィック画像を制作できる。
【0049】
本発明の様々な実施例が図16に示したようなパーソナルコンピュータ150を用いて実践できる。コンピュータシステム150は、コンピュータモジュール151や、ビデオディスプレイモニタ154、マウスポインティングデバイス153及びキーボード152のような一つあるいはそれ以上の入力デバイスを含む。コンピュータシステム150は、1つあるいはそれ以上の他のコンピュータや、LAN、WANあるいはインターネットといったコンピュータネットワークに、コンピュータモジュール151内に必須ではないが多くの場合備えられた通信リンク162及びそれとつながったモデム161により接続してもよい。また、プロッタやプリンタ、レーザプリンタを含む多くのタイプのハードコピー再生出力デバイス164のいずれかを、適当なインターフェース163を介してコンピュータモジュール151に接続してもよい。
【0050】
コンピュータモジュール155は、一つあるいはそれ以上の中央処理ユニット(CPUまたはプロセッサ)155と、揮発性のランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAMあるいはキャッシュ、リードオンリメモリ(ROM)、入力デバイス152,153に接続された入出力(I/O)インターフェース158を有する。格納デバイス159はデータの不揮発性のストレージを提供し、ビデオインターフェース/アダプタ157には、ビデオディスプレイモニタ154に表示を行うため、コンピュータモジュール151からビデオ信号を供給するように、ビデオディスプレイモニタ154が接続される。格納デバイス159は、一つあるいはそれ以上のフロッピドライブとハードディスク、光磁気ディスクドライブ、磁気テープ、CDROM及びその他の多くの不揮発性の格納デバイスの少なくともいずれかを備える。図16に示された構成要素155から159及び161は、典型的には、データ,アドレス,制御バスを含むバス160によって互いに接続され、IBM PC/ATやその互換機、アップルマッキントッシュファミリ(商標)コンピュータのひとつ、サンスパークステーション(商標)などといった公知のシステムに対応した、実在する従来の方法によって動作するよう相互に作用しあう。コンピュータシステム15の全体的な構造及び個々の構成要素は、本質的に従来のものであり、当業者によく知られている。このように、システム150は単に実例とする目的で用意されたもので、本発明の範囲と主旨から逸脱しないように、他の構成を用いることもできる。
【0051】
本好適な実施例は、典型的には、コンピュータシステム150上で実行されるソフトウエアとして動作し、典型的には格納デバイス159(たとえばハードディスク)に納められるが、通常はRAM156で有向となる。代わりに、このソフトウエアはコンピュータネットワークから供給されてもよい。このソフトウエアは、ディスプレイモニタ154上での、あるいはプリンタ164による再生のために、ディスプレイモニタ154を用いて利用者の制御下で対話的に文字フォントを変えるよう動作する。
【0052】
フォント制作は多くの方法で可能である。そのうちの一つを図13、16、17を参照してこれより説明する。本好適な実施例では、コンピュータシステム150のハードディスク159から実行されるアプリケーションプログラムは、最初にステップ202でデフォルトフォントの選択をユーザに促す方法200を実行する。この結果、たとえば図13に示されているように、Times New Romanフォントが選択されるかもしれない。このシステムは、それから、手本となる文字及びそれに対応する属性と表現ツリーを、ウインドウ114,116,119それぞれにステップ204で表示すべく動作する。デフォルトフォントが与えられたなら、利用者はウインドウ116内の属性117と表現ツリー120のどちらかあるいは両方を、所望の視覚効果を達成するために操作することができる。操作が行われたなら、変更されたフォントは、利用者が修正を観察できるようにウインドウ114内で更新されることが望ましい。これはステップ208である。もし利用者が手本となる文字によって表示された、変更された文字が不満なら、この方法は、さらに操作が行えるステップ206へとパス214を通って戻ることができる。満足であれば、ステップ212において、利用者は対応する文字セット内の全ての文字に適用される新しいフォントを承認する。図示された例では、Time New Roman文字セットの輪郭は変更されないが、セット内の文字を満たしている色は、上述の、ボールの配列が合成されたテクスチャ画像を再生するように変えられている。新しい文字セットは、それからステップ216で一般の使用が可能となる。このステップは、1回あるいはそれ以上の、フォントの多くの利用、たとえば、文書処理される文書内のテキストの変更や、従来のフォントの上に表示された見出しの制作を含む。ウインドウ110、114、116、119は、コンピュータシステム150のビデオディスプレイ154に表示されることが望ましく、新しいフォントは、それを利用するために、たとえばハードディスク159に格納すればよい。代わりに、新しいフォントを所望の文書の印刷に直接利用することや、コンピュータネットワークを介して他のコンピュータの使用に供することもできる。デフォルトのフォントはこのような伝統的なフォントである必要はなく、たとえばネットワークやフロッピディスクによってコンピュータシステム150に供給される新しいフォントに対応した、上述した新しいアーキテクチャに対応するデータフォーマットを含んでいてもよい。それから、利用者はそれらの新しいフォントを文書中で直接利用したり、あるいは、さらにフォントを生成するために、上述した方法で新しいフォントを変更することもできる。
【0053】
大まかに説明したとおり、本発明の主旨あるいは範囲から逸脱することなく、具体的な実施例により示した本発明に対して多くのバリエーション及び変形を為しえることは、当業者には理解されるであろう。それゆえ、説明した実施例は、全ての点において実例であると見なされるべきで、限定的と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
本発明の範囲内に収まる他のいかなる形式にも関らず、本発明のいくつかの実施例を単なる例として、添付した次の図面を用いて説明する。
【図1】第1の実施例を用いた文字グリフの構造を説明する図である。
【図2】文字コードからグリフインデックスを引き渡す処理を説明する図である。
【図3】グラフィックコンテクスト属性のレイアウトを説明する図である。
【図4】植字情報の使用を説明する図である。
【図5】第1の実施例の原理に従ってフォントを格納するためのファイル構造を説明する図である。
【図6】GOBツリーの選択処理を説明する図である。
【図7】第1の実施例に従ってフォント文字をアクセスする工程の流れ図である。
【図8】最終文字の精製処理を説明する図である。
【図9】複数のグラフィックコンテクストを説明する図である。
【図10】グラフィックコンテクストの属性の設定を説明する図である。
【図11】注目特性を有するフォントの例を説明する図である。
【図12】図11のフォントに関するGOBツリーの構造の例を説明する図である。
【図13】第2の実施例のユーザインターフェースの例を説明する図である。
【図14】
【図15】第2の実施例の従って操作ツールの構成に関する分類の例を説明する図である。
【図16】本発明の様々な実施例が実行できるコンピュータシステムの概要ブロック図である。
【図17】好適な実施例に従ったフォント制作処理のフローチャートである。
Claims (2)
- フォントのアウトラインと、背景画像と、オブジェクトと、前記フォントのアウトラインと背景画像とオブジェクトとを合成する合成演算子と、からなる要素を含む表現ツリーおよび前記表現ツリーに応じて得られるフォントのサンプルを表示する表示手段と、
前記表示手段により表示される表現ツリーにおいて、前記要素を選択するためのユーザインターフェースを有する操作手段と、
前記操作手段により要素が操作された表現ツリーにおいて、前記フォントのアウトラインと前記背景画像と前記オブジェクトとを前記表現ツリーにおける前記合成演算子を用いて合成して得られた前記フォントのサンプルを前記表示手段により表示させる表示制御手段と
を有することを特徴とする文字生成装置。 - フォントのアウトラインと、背景画像と、オブジェクトと、前記フォントのアウトラインと背景画像とオブジェクトとを合成する合成演算子と、からなる要素を含む表現ツリーおよび前記表現ツリーに応じて得られるフォントのサンプルを表示する表示ステップと、
前記表示ステップにより表示される表現ツリーにおいて、前記要素を選択するためのユーザインターフェースを有する操作ステップと、
前記操作ステップにより要素が操作された表現ツリーにおいて、前記フォントのアウトラインと前記背景画像と前記オブジェクトとを前記表現ツリーにおける前記合成演算子を用いて合成して得られた前記フォントのサンプルを前記表示ステップにより表示させる表示制御ステップと
を有することを特徴とする文字生成方法。
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