以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、本実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、打球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ3が設けられている。このLCDディスプレイ3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
LCDディスプレイ3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、打球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCDディスプレイ3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCDディスプレイ3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、打球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、打球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、打球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に打球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
図2は、かかるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置であるMPU11と、そのMPU11により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM12と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM13とが搭載されている。図9及び図10に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM12内に記憶されている。
RAM13は、送信バッファ13aと、コマンドカウンタ13bと、電源投入コマンド送信済フラグ13cとを備えている。送信バッファ13aは、LCDディスプレイ3の変動表示の制御のために、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドを記憶するためのバッファである。制御用コマンドは2バイトで構成されるので、この送信バッファ13aも2バイトで構成される。送信バッファ13aへセット(書き込み)された制御用コマンドは、タイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
図3は、LCDディスプレイ3の表示画面を9つの表示領域に分割した様子を示した図である。前記した通り、本実施例の変動表示は、横方向に3分割された3つの表示領域3a,3b,3cにおいて、それぞれ矢印A方向へ横方向にスクロールしながら行われる。この横方向に3分割された3つの表示領域3a,3b,3cを、縦方向に更に3分割して9つの表示領域3a1,・・・,3c3とし、その9つの表示領域3a1,・・・,3c3に対して、図3に示すように、それぞれ表示される「図柄1〜図柄9」の9つの図柄番号32aが付されている。
図2に示すコマンドカウンタ13bは、制御用コマンドの一種である停止図柄指定コマンド32(図5参照)が指定するLCDディスプレイ3の表示領域3a1〜3c3を示すためのカウンタであり、「1〜10」の範囲で「1」ずつ更新される。コマンドカウンタ13bの値が「1〜9」の範囲内にある場合には、そのコマンドカウンタ13bの値に対応する図柄番号32a(図5参照)の表示領域3a1〜3c3が指定される。また、コマンドカウンタ13bの値が「10」である場合には、いずれの表示領域も指定されない。
電源投入コマンド送信済フラグ13cは、パチンコ機Pの電源投入後に、図8に示す電源投入コマンド1(81)を主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信したことを示すためのフラグである。この電源投入コマンド送信済フラグ13cは、パチンコ機Pの電源投入直後におけるRAM13のクリア処理(図9のS21)によってオフされ、図10に示すコマンド設定処理により電源投入コマンド1(81)を送信バッファ13aへセットした後にオンされる(S27)。電源投入コマンド送信フラグ13cがオンされるまでは、他の制御用コマンドの表示用制御基板Dへの送信は待機される(S25:No)。一旦オンされた電源投入コマンド送信済フラグ13cは、パチンコ機Pの電源がオフされるまで、オフされない。本実施例の主制御基板Cからは、図8に示す5種類の電源投入コマンド1〜5(81〜85)のうち、電源投入コマンド1(81)のみが表示用制御基板Dへ送信される。なお、電源投入コマンド1〜5(81〜85)の詳細については、図8を参照しつつ後述する。
図2に示すように、これらMPU11、ROM12、RAM13は、バスライン14を介して互いに接続されており、バスライン14は、また、入出力ポート15にも接続されている。この入出力ポート15は表示用制御基板Dや他の入出力装置16と接続されている。主制御基板Cは、入出力ポート15を介して、表示用制御基板Dや他の入出力装置16へ各種コマンドを送り、それら各装置を制御する。なお、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの接続は、入力および出力が固定的な2つのバッファ(インバータゲート)17,28を介して行われている。よって、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの間における制御用コマンドの送受信は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへの一方向にのみ行われ、表示用制御基板Dから主制御基板Cへ制御用コマンド等を送信することはできない。
表示用制御基板Dは、MPU21と、プログラムROM22と、ワークRAM23と、ビデオRAM24と、キャラクタROM25と、画像コントローラ26と、入力ポート29と、出力ポート27とを備えている。入力ポート29の入力にはインバータゲート28の出力が接続され、その入力ポート29の出力は、MPU21、プログラムROM22、ワークRAM23を接続するバスラインと接続されている。また、出力ポート27の入力には画像コントローラ26が接続され、その出力ポート27の出力にはLCDディスプレイ3が接続されている。
表示用制御基板DのMPU21は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の(変動)表示を制御するためのものであり、プログラムROM22には、このMPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図11及び図12に示すフローチャートのプログラムは制御プログラムの一部として、また、後述する各電源投入コマンド81〜85に対応する初期画面データは固定値データの一部として、それぞれプログラムROM22に記憶されている。
ワークRAM23は、MPU21による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、受信バッファ23aと、コマンド受信フラグ23bと、9つの停止図柄1〜9メモリ23c〜23kとを備えている。
受信バッファ23aは、主制御基板Cから送信される制御用コマンドを受信するためのバッファである。制御用コマンドは2バイトで構成されるので、受信バッファ23aも同様に2バイトで構成される。コマンド受信フラグ23bは、新たな制御用コマンドが受信バッファ23aへ記憶された場合にオンされるフラグである。コマンド受信フラグ23bがオンされていると、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドが読み出され、その読み出された制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示の制御が行われる。一旦オンされたコマンド受信フラグ23bは、受信バッファ23aから制御用コマンドを読み出す際にオフされる。
停止図柄1〜9メモリ23c〜23kは、制御用コマンドの一種である停止図柄指定コマンド32によって送信される停止図柄の図柄コード32b(図5参照)を記憶するためのメモリであり、LCDディスプレイ3の9つの表示領域3a1〜3c3(図3参照)に対応してそれぞれ1つ、合計9つの停止図柄1〜9メモリ23c〜23kが設けられている。なお、停止図柄1〜9メモリ23c〜23kの詳細については後述する。
ビデオRAM24は、LCDディスプレイ3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM24の内容を書き換えることにより、LCDディスプレイ3の表示内容が変更される。即ち、各表示領域3a1〜3c3における図柄の変動表示は、ビデオRAM24の内容が書き換えられることにより行われる。キャラクタROM25は、LCDディスプレイ3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ26は、MPU21、ビデオRAM24、出力ポート27のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM24に記憶される表示データをキャラクタROM25を参照して所定のタイミングでLCDディスプレイ3に表示させるものである。
次に、図4から図8を参照して、変動表示の制御のために主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドについて説明する。制御用コマンドは、変動パターン指定コマンド31と、停止図柄指定コマンド32と、図柄停止コマンド33と、電源投入コマンド1〜5(81〜85)とによって構成される。なお、制御用コマンドは2バイトで構成されるので、その1バイト目と2バイト目のコマンドコードを区別するために、1バイト目のコマンドコードは最上位ビットがセットされ、2バイト目のコマンドコードは最上位ビットがリセットされている。
図4は、変動パターン指定コマンド31のコマンドコードと、そのコマンド内容とを示した図である。変動パターン指定コマンド31は、変動表示を開始させると共に、変動表示の開始から終了までの一連の変動パターンを指定するためのコマンドである。1バイト目のコマンドコードは「C0H」または「C1H」とされており、合計56種類の変動パターンが用意されている。
なお、変動パターン指定コマンド31によって指定される変動表示の制御は、その変動パターン指定コマンド31を受信した表示用制御基板Dによって行われるので、表示用制御基板Dの制御プログラムの内容を変更することにより、同一コードの変動パターン指定コマンド31に対する変動表示の内容を変更することができる。即ち、主制御基板Cの制御プログラムを変更することなく、表示用制御基板Dの制御プログラムを変更するだけで、変動表示の内容を変更することができるのである。
図5(a)は、停止図柄指定コマンド32のコマンドコードと、そのコマンドコードによって指定される図柄番号32aとの対応関係を示した図である。前記した通り、各図柄番号32aには、図3に示す各表示領域3a1〜3c3がそれぞれ対応付けされている。また、図5(b)は、20種類の図柄コード32bと図柄名32cとの対応関係を示した図である。
停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31で指定された変動パターンの変動表示の終了時に、LCDディスプレイ3の各表示領域3a1〜3c3にそれぞれ停止表示される図柄を指定するためのコマンドである。停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31が送信され変動表示が開始された後に、LCDディスプレイ3の9つの表示領域3a1〜3c3のそれぞれに対して、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される。
この停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31と同様に2バイトで構成されている。停止図柄指定コマンド32の1バイト目には、図柄1〜9の表示領域3a1〜3c3を指定するコマンドコードがセットされる。図5(a)に示すように、停止図柄指定コマンド32の1バイト目のコマンドコードが「90H」であれば図柄1の表示領域3a1が、「A0H」であれば図柄2の表示領域3b1が、・・・、「B2H」であれば図柄9の表示領域3c3が、それぞれ指定される。停止図柄指定コマンド32の2バイト目には、1バイト目のコマンドコードで指定した図柄1〜9の表示領域3a1〜3c3に停止表示される図柄の図柄コード32bがセットされる。即ち、図5(b)に示すように、停止表示される図柄が「タコ」である場合には「10H」が、「ハリセンボン」である場合には「11H」が、・・・、「サメ(2)」である場合には「23H」が、それぞれ停止図柄指定コマンド32の2バイト目のコードとしてセットされる。
表示用制御基板Dは、停止図柄指定コマンド32を受信すると、実行中の変動パターンを考慮した上で、停止図柄指定コマンド32で指定された図柄コード32bの図柄で変動表示が終了するように、変動中の図柄を差し替える。この図柄の差し替えは、変動表示が高速変動されている場合に限って行われるので、遊技者に図柄の差し替えが行われたことを気づかれることがない。
図5(b)に示すように、各図柄にはすべて異なった図柄コード32bが付与されている。特に、図柄名32c「サメ(1)」と「サメ(2)」とは、LCDディスプレイ3に全く同じ図柄として表示されるが、図5(b)に示すように、両図柄には「13H」と「23H」との異なった図柄コード32bが付与されている。同様に、図柄名32c「貝(1)」〜「貝(10)」も、LCDディスプレイ3に全く同じ図柄として表示されるが、図5(b)に示すように、「19H」〜「22H」の異なった図柄コード32bが付与されている。
図6は、かかる上段・中段・下段の各段の仮想図柄リール41〜43の構成を模式的に示した図である。図6(a)には、LCDディスプレイ3の上段の表示領域3aで変動表示される上段の仮想図柄リール41の構成が模式的に図示されている。図6(a)に示すように、上段の仮想図柄リール41には、18種類の図柄が「貝(9)」,「カニ」,「貝(8)」,・・・,「タコ」の順に配列されており、最終の「タコ」の図柄の次には、先頭の図柄に戻って「貝(9)」,「カニ」,「貝(8)」,・・・の各図柄が配列される。上段の仮想図柄リール41は、かかる図柄の配列順に、LCDディスプレイ3の上段の表示領域3aで変動表示される。
同様に、図6(c)には、LCDディスプレイ3の下段の表示領域3cで変動表示される下段の仮想図柄リール43の構成が模式的に図示されている。図6(c)に示すように、下段の仮想図柄リール43には、上段の仮想図柄リール41の配列と全く逆の配列で、18種類の図柄が「タコ」,「貝(1)」,「ハリセンボン」,・・・,「貝(9)」の順に配列されている。最終の「貝(9)」の図柄の次には、先頭の図柄に戻って「タコ」,「貝(1)」,「ハリセンボン」,・・・の各図柄が配列される。下段の仮想図柄リール43は、かかる図柄の配列順に、LCDディスプレイ3の下段の表示領域3cで変動表示される。
図6(b)には、LCDディスプレイ3の中段の表示領域3bで変動表示される中段の仮想図柄リール42の構成が模式的に図示されている。図6(b)に示すように、中段の仮想図柄リール42には、下段の仮想図柄リール43の配列の最後尾に「サメ(2)」,「貝(10)」の2種類の図柄を加えた合計20種類の図柄が順に配列されている。上段および下段の仮想図柄リール41,43の場合と同様に、最終の「貝(10)」の図柄の次には、先頭の図柄に戻って「タコ」,「貝(1)」,「ハリセンボン」,・・・の各図柄が配列される。中段の仮想図柄リール42は、かかる図柄の配列順に、LCDディスプレイ3の中段の表示領域3bで変動表示される。
図7は、図柄停止コマンド33のコマンドコードと、そのコマンド内容とを示した図である。図柄停止コマンド33は、指定した図柄番号32aの表示領域3a1〜3c3で変動表示されている図柄を停止表示(確定)させるためのコマンドである。表示用制御基板Dが図柄停止コマンド33を受信すると、その図柄停止コマンド33によって指定される表示領域3a1〜3c3に停止図柄指定コマンド32によって既に指定されている停止図柄が停止表示され、その表示領域3a1〜3c3の図柄が確定する。即ち、図柄停止コマンド33で指定された表示領域3a1〜3c3の変動表示が終了する。図柄停止コマンド33によって、9つすべての表示領域3a1〜3c3の図柄が確定すると、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動パターンの変動表示が終了する。
表示用制御基板Dは、変動パターン指定コマンド31と停止図柄指定コマンド32との内容を考慮しつつ、変動表示終了のタイミングで停止図柄指定コマンド32によって指定された図柄が該当する表示領域3a1〜3c3に表示されるように、変動表示の高速変動中に予め図柄の差し替えを行っている。しかも、主制御基板Cは、変動パターン指定コマンド31で指定した変動表示の変動パターンが終了するタイミングを見計らって、図柄停止コマンド33を表示用制御基板Dへ送信するように制御している。よって、図柄停止コマンド33による図柄の停止表示(確定)は、遊技者に違和感を与えることなく、スムースに行われる。
なお、主制御基板Cからの図柄停止コマンド33の送信タイミングが速まった結果、変動パターン指定コマンド31で指定した変動パターンの終了前であるにも拘わらず、表示用制御基板Dが図柄停止コマンド33を受信した場合には、表示用制御基板Dは、変動パターンの終了前であっても、既に停止図柄指定コマンド32で指定されている停止図柄を該当する表示領域3a1〜3c3の中央に停止表示し、その表示領域3a1〜3c3の図柄を確定する。
図柄停止コマンド33には、9つの表示領域3a1〜3c3の図柄を個別に確定させる9種類のコマンドと、9つの表示領域3a1〜3c3の図柄をすべて一度に確定させる1種類のコマンドと、上段・中段・下段の3段に分かれた3つの表示領域3a,3b,3cの図柄を各段毎に個別に確定させる3種類のコマンドとがあり、合計13種類のコマンドが用意されている。このうち、スクロールの単位となる上段・中段・下段の各段毎に、3つずつの図柄を一度に確定させる図柄停止コマンド33((1)「80H,0BH」,(2)「80H,0CH」,(3)「80H,0DH」)を用いれば、制御によってLCDディスプレイ3の表示上に表される仮想図柄リール41〜43のスクロールを、実際の図柄リールのスクロールと同じように行わせるができ、遊技者の興趣を一層向上させることができる。
図8は、電源投入コマンド81〜85のコマンドコードと、そのコマンド内容とを示した図である。電源投入コマンド81〜85は、パチンコ機Pの電源投入後に、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ最初に送信される制御用コマンドである。この電源投入コマンド81〜85を表示用制御基板Dが受信すると、受信した電源投入コマンド81〜85に応じた初期画面がLCDディスプレイ3に表示される。即ち、電源投入時における初期画面の設定を、1の電源投入コマンド81〜85によって行うことができるのである。
例えば、パチンコ機Pの電源投入後に、電源投入コマンド1(81)が主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信されると、上段の表示領域3aには左から順に「貝(3),カメ,貝(2)」が、中段の表示領域3bには左から順に「貝(3),サメ(1),貝(4)」が、下段の表示領域3cには左から順に「貝(9),タコ,貝(1)」が、初期画面として表示される。また、パチンコ機Pの電源投入後に、電源投入コマンド2(82)が主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信されると、上段の表示領域3aには左から順に「貝(1),タコ,貝(9)」が、中段の表示領域3bには左から順に「貝(1),ハリセンボン,貝(2)」が、下段の表示領域3cには左から順に「貝(2),カメ,貝(3)」が、初期画面として表示される。
電源投入コマンド81〜85は、図8に示すように、他の制御用コマンドと同様に2バイトで構成されている。1バイト目のコマンドコードは「F4H」、2バイト目のコマンドコードは「01H〜05H」とされており、合計5種類の電源投入コマンド81〜85が用意されている。
本実施例では、主制御基板Cから送信される電源投入コマンド81〜85は、電源投入コマンド1(81)だけである。これに対し、本実施例の表示用制御基板Dは、5種類すべての電源投入コマンド1〜5(81〜85)を受信できるように構成されている。即ち、表示用制御基板Dでは、5種類の電源投入コマンド81〜85に応じて、図8のコマンド内容に示す初期画面をそれぞれ表示することができるのである。
ここで、主制御基板Cのバージョンや機種などの種類に応じて、その主制御基板Cから送信される電源投入コマンド81〜85を予め固定しておけば、電源投入時にLCDディスプレイ3に表示される初期画面を確認することによって、その主制御基板Cの種類を判別することができるのである。なお、前記したように、5種類の各電源投入コマンド81〜85に対応する初期画面データは、表示用制御基板DのプログラムROM22内に記憶されている。
次に、上記のように構成されたパチンコ機Pで実行される各処理を、図9から図12のフローチャートを参照して説明する。図9は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて、4ms毎に実行されるリセット割込処理のフローチャートである。パチンコ機Pの主な制御は、このリセット割込処理によって実行される。
リセット割込処理では、まず、スタックポインタを設定し(S1)、RAM13の所定エリアに書き込まれているパターンのチェックを行う(S2)。チェックの結果、所定エリアに所定のパターンが書き込まれていれば、RAM13に異常はなく正常であるので(S2:正常)、処理をS3へ移行する。一方、S2のチェックの結果、所定エリアに所定のパターンが書き込まれていなければ、電源投入後最初に実行されたリセット割込処理であるか、或いは、RAM13に異常があるので(S2:異常)、この場合には処理をS21へ移行して、一旦、RAM13の内容をクリアした後、RAM13内へ初期値を書き込んで(S21)、次のリセット割込処理の発生を待機する。なお、このS21の処理でRAM13に書き込まれる初期値の中には、S2の処理でチェックされる所定のパターンが含まれている。
S3の処理ではタイマ割込の設定を行う(S3)。ここで設定されるタイマ割込としては、LCDディスプレイ3の変動表示を制御する制御用コマンドを表示用制御基板Dへ送信するためのストローブ信号を発生させるタイマ割込などがある。タイマ割込の設定後は、各割込を許可状態とする(S4)。割込の許可後は、特別図柄変動処理(S15)や、表示データ作成処理(S17)、ランプ・情報処理(S18)などにより、前回のリセット割込処理において更新された出力データを一度に各ポートへ出力するポート出力処理を実行する(S5)。
更に、大当たりを決定するための乱数カウンタの値を「+1」更新する乱数更新処理(S6)を実行し、記憶タイマ減算処理を実行する(S7)。記憶タイマ減算処理は、大当たり判定の保留球が所定数以上あり、且つ、LCDディスプレイ3において図柄の変動表示中である場合に、図柄の変動表示の時間短縮を行うものである。
スイッチ読込処理(S8)は、各スイッチの値を読み込んで、遊技領域1へ打ち込まれた打球の入賞口2や大入賞口5(Vゾーン5aを含む)への入賞、図柄作動口4の通過、更には賞球や貸球を検出するための処理である。カウント異常監視処理(S9)は、S8のスイッチ読込処理によって読み込まれたスイッチデータに異常があるか否かを監視するための処理である。例えば、大入賞口5が開放され、打球のVゾーン5aの通過を検出するVカウントスイッチで打球が検出されたにも拘わらず、Vゾーン5a以外の大入賞口5への入賞を検出する10カウントスイッチで1球の打球も検出できない場合には、10カウントスイッチが抜き取られるなどして、10カウントスイッチに何らかの異常が発生している。また、賞球を払い出すモータを駆動したにも拘わらず、1球の賞球も払い出されない場合には、賞球の払出装置に何らかの異常が発生している。このようにカウント異常監視処理(S9)では、スイッチ読込処理(S8)によって読み込まれたスイッチデータに基づいて、上記のような異常の有無を監視している。
図柄カウンタ更新処理(S10)では、LCDディスプレイ3で行われる変動表示の結果、停止表示される図柄を決定するためのカウンタの更新処理が行われる。また、図柄チェック処理(S11)では、図柄カウンタ更新処理(S10)で更新されたカウンタの値に基づいて、特別図柄変動処理(S15)で使用される大当たり図柄や、はずれ図柄、更にはリーチ図柄などが決定される。
S3からS11までの処理において、エラーが発生していなければ(S12:正常)、普通図柄変動処理(S13)によって、7セグメントLED(図示せず)の変動表示を行うと共に、その変動表示の結果、当たりが発生した場合には普通電動役物(図示せず)を所定時間開放する当たり処理を実行する。その後、状態フラグをチェックし(S14)、LCDディスプレイ3において図柄の変動開始または変動表示中であれば(S14:図柄変動中)、特別図柄変動処理(S15)によって、打球が図柄作動口4を通過するタイミングで読み取った乱数カウンタの値に基づいて、大当たりか否かの判定が行われると共に、LCDディスプレイ3において図柄の変動処理を実行する。一方、状態フラグをチェックした結果、大当たり中であれば(S14:大当り中)、大入賞口5を開放するなどの大当たり処理(S16)を実行する。更に、状態フラグをチェックした結果、図柄の変動中でも大当たり中でもなければ(S14:その他)、S15及びS16の処理をスキップして、S17の表示データ作成処理へ移行する。なお、S12の処理において、エラーが確認された場合には(S12:エラー)、S13〜S16の各処理をスキップして、S17の表示データ作成処理へ移行する。
表示データ作成処理(S17)では、図柄の変動表示以外にLCDディスプレイ3に表示されるデモデータや、7セグメントLEDの表示データなどが作成され、ランプ・情報処理(S18)では、保留球のランプデータをはじめ、各種のランプデータが作成される。効果音処理(S19)では、遊技の状況に応じた効果音データが作成される。なお、これらの表示データおよび効果音データは、前記したポート出力処理(S5)やタイマ割込処理によって各装置へ出力される。
効果音処理(S19)の終了後は、次のリセット割込処理が発生するまでの残余時間の間、S10と同一の処理である図柄カウンタ更新処理(S20)が繰り返し実行される。S1〜S19の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するので、次のリセット割込処理が発生するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用して図柄カウンタ更新処理(S20)を繰り返し実行することにより、停止図柄をランダムに変更することができる。
図10は、図9におけるリセット割込処理の特別図柄変動処理(S15)内で実行されるコマンド設定処理を示したフローチャートである。このコマンド設定処理は、電源投入時における初期画面を設定するための電源投入コマンド81〜85(本実施例では、電源投入コマンド1(81)のみ)と、LCDディスプレイ3の変動表示を制御する制御用コマンドである変動パターン指定コマンド31、停止図柄指定コマンド32、図柄停止コマンド33とを、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信するために、各コマンド31〜33,81を送信バッファ13aへ書き込む(セットする)ための処理である。
コマンド設定処理では、まず、電源投入コマンド送信済フラグ13cがオンされているか否かを確認する(S25)。電源投入コマンド送信済フラグ13cがオフされていれば(S25:No)、未だ電源投入コマンド1(81)は表示用制御基板Dへ送信されておらず、LCDディスプレイ3の初期画面は未設定となっている。よって、かかる場合には、電源投入コマンド1(81)を送信バッファ13aへ書き込み(S26)、その後、電源投入コマンド送信済フラグ13cをオンして(S27)、この処理を終了する。送信バッファ13aへ書き込まれた電源投入コマンド1(81)は、前記した通り、S3の処理で設定されるタイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
一方、電源投入コマンド送信済フラグ13cがオンされていれば(S25:Yes)、既に、電源投入コマンド1(81)は表示用制御基板Dへ送信され、LCDディスプレイ3の初期画面の設定は完了している。よって、かかる場合には、変動表示の状態を状態フラグによってチェックする(S31)。チェックの結果、変動表示の開始であれば(S31:変動開始)、変動パターン指定コマンド31を送信バッファ13aへ書き込み(S32)、コマンドカウンタ13bの値を「1」として(S33)、この処理を終了する。送信バッファ13aへ書き込まれた変動パターン指定コマンド31は、電源投入コマンド1(81)の場合と同様に、S3の処理で設定されるタイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
S31の処理において、状態フラグをチェックした結果、図柄の変動表示中であれば(S31:変動表示中)、コマンドカウンタ13bの値が「9」以下であるか否かを調べる(S34)。コマンドカウンタ13bの値が「9」以下であれば(S34:Yes)、そのコマンドカウンタ13bの値に対応する停止図柄指定コマンド32の1バイト目を送信バッファ13aの上位バイトへ書き込む(S35)。図5(a)に示す対応関係に基づいて、例えば、コマンドカウンタ13bの値が「1」であれば「90H」が、コマンドカウンタ13bの値が「2」であれば「A0H」が、・・・、コマンドカウンタ13bの値が「9」であれば「B2H」が、それぞれ送信バッファ13aの上位バイトへ書き込まれる。
更に、コマンドカウンタ13bの値に対応する停止図柄の図柄コード32bを送信バッファ13aの下位バイトへ書き込む(S36)。例えば、コマンドカウンタ13bの値が「1」であれば図柄1(3a1)の表示領域に停止表示される図柄の図柄コード32bが、コマンドカウンタ13bの値が「2」であれば図柄2(3b1)の表示領域に停止表示される図柄の図柄コード32bが、・・・、コマンドカウンタ13bの値が「9」であれば図柄9(3c3)の表示領域に停止表示される図柄の図柄コード32bが、それぞれ図5(b)に示す対応関係に基づいて、送信バッファ13aの下位バイトへ書き込まれる。ここで、停止図柄として「タコ」の図柄が指定される場合には「10H」の図柄コード32bが、「ハリセンボン」の図柄が指定される場合には「11H」の図柄コード32bが、・・・、「サメ(2)」の図柄が指定される場合には「23H」の図柄コード32bが、それぞれ指定される。
S35およびS36の処理によって、2バイトの停止図柄指定コマンド32を送信バッファ13aへ書き込んだ後は、コマンドカウンタ13bの値を「1」加算して(S37)、この処理を終了する。なお、送信バッファ13aへ書き込まれた停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31の場合と同様に、S3の処理で設定されるタイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
一方、コマンドカウンタ13bの値が「10」以上であれば(S34:No)、9つ全ての表示領域3a1〜3c3について停止図柄指定コマンド32を送信したということである。よって、かかる場合には、S35からS37の各処理をスキップして、この処理を終了する。
S31の処理において、状態フラグをチェックした結果、変動表示の終了のタイミングであれば(S31:変動表示終了)、9つの表示領域3a1〜3c3の全図柄を一度に停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33(80H,0AH)を送信バッファ13aへ書き込み(S38)、この処理を終了する。送信バッファ13aへ書き込まれた図柄停止コマンド33は、変動パターン指定コマンド31の場合と同様に、S3の処理で設定されるタイマ割込処理により、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。この図柄停止コマンド33が表示用制御基板Dへ送信されることにより、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動表示が終了する。
なお、図柄停止コマンド33による図柄の停止表示(確定)は、必ずしも、9つすべての図柄を一度に確定させる必要はなく、例えば、9つの図柄をそれぞれ別々に確定させたり、或いは、スクロールが行われる単位、即ち、上段の図柄、中段の図柄、下段の図柄の各単位毎に図柄を確定させるようにしても良い。前者の場合には、図7に示すように「80H,01H」〜「80H,09H」の図柄停止コマンド33が使用され、後者の場合には「80H,0BH」〜「80H,0DH」の図柄停止コマンド33が使用される。
図11は、表示用制御基板Dの受信割込処理で実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。このコマンド受信処理は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ制御用コマンドが送信されると実行される。まず、主制御基板Cから送信され表示用制御基板Dで受信した制御用コマンドを受信バッファ23aへ書き込み(S41)、更に、コマンド受信フラグ23bをオンして(S42)、新たな制御用コマンドが受信バッファ23aに記憶されていることを示して、この処理を終了する。
図12は、表示用制御基板Dのメイン処理の中で実行される変動表示処理のフローチャートである。変動表示処理では、主制御基板Cから受信した制御用コマンドに基づいて、電源投入時における初期画面の表示や、変動表示の制御が行われる。
まず、コマンド受信フラグ23bがオンされているか否かを確認する(S51)。コマンド受信フラグ23bがオンされていれば(S51:Yes)、何らかの制御用コマンドを受信しているので、そのコマンド受信フラグ23bをオフした後に(S52)、受信バッファ23aの上位バイトに記憶されているデータにより制御用コマンドの種類を確認する(S53)。
受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「F4H」であれば、その制御用コマンドは電源投入コマンド81〜85である。よって、かかる場合には(S53:電源投入コマンド)、その電源投入コマンド81〜85で指定される図柄を各表示領域3a1〜3c3へそれぞれ表示して(S54)、電源投入時における初期画面をLCDディスプレイ3に表示する。即ち、1コマンドの電源投入コマンド81〜85によって、初期画面の表示を完了することができるのである。
例えば、受信した制御用コマンドが電源投入コマンド1(81)(「F4H,01H」)であれば、上段の表示領域3aには左から順に「貝(3),カメ,貝(2)」が、中段の表示領域3bには左から順に「貝(3),サメ(1),貝(4)」が、下段の表示領域3cには左から順に「貝(9),タコ,貝(1)」が、初期画面として表示される。また、受信した制御用コマンドが電源投入コマンド2(82)であれば、上段の表示領域3aには左から順に「貝(1),タコ,貝(9)」が、中段の表示領域3bには左から順に「貝(1),ハリセンボン,貝(2)」が、下段の表示領域3cには左から順に「貝(2),カメ,貝(3)」が、初期画面として表示される。
なお、前記した通り、本実施例では、主制御基板Cから送信されるのは電源投入コマンド1(81)のみであるが、表示用制御基板Dでは5種類すべての電源投入コマンド81〜85を受信可能にされている。即ち、表示用制御基板DのプログラムROM22には、5種類すべての電源投入コマンド81〜85に対する初期画面データが記憶されているのである。
一方、S53の処理において、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「C0H」または「C1H」であれば、その制御用コマンドは変動パターン指定コマンド31である。よって、かかる場合には(S53:変動パターン指定コマンド)、全ての停止図柄1〜9メモリ23c〜23kの内容を0クリアし(S55)、その後、その変動パターン指定コマンド31に応じた変動表示をLCDディスプレイ3上で開始する(S56)。
S53の処理において、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「90H〜92H」,「A0H〜A2H」または「B0H〜B2H」のいずれかであれば、その制御用コマンドは停止図柄指定コマンド32である。よって、かかる場合には(S53:停止図柄指定コマンド)、その停止図柄指定コマンド32の2バイト目のコマンドである図柄コード32bを対応する停止図柄1〜9メモリ23c〜23kへ書き込む(S57)。図5(a)(b)に示すように、例えば、受信バッファ23aに記憶される停止図柄指定コマンド32が「90H,14H」であれば、「90H」に対応する停止図柄1メモリ23cに、「14H(エビの図柄)」の図柄コード32bが書き込まれる。また、受信バッファ23aに記憶される停止図柄指定コマンド32が「B2H,21H」であれば、「B2H」に対応する停止図柄9メモリ23kに、「21H(貝の図柄)」の図柄コード32bが書き込まれる。
その後は、LCDディスプレイ3上で高速に変動されている変動中の図柄を、変動パターン指定コマンド31により指定された変動パターンとその変動パターンの進行状況とを考慮して、停止図柄1〜9メモリ23c〜23kに記憶される図柄コード32bの図柄で変動表示が終了するように、変動中の図柄の差し替えを行う(S58)。例えば、停止図柄1メモリ23cに「14H」が記憶されている場合には、図柄1の表示領域3a1の変動表示が「14H」の図柄コード32bである「エビ」の図柄で終了するように、図柄の差し替えが行われる。また、停止図柄9メモリ23kに「21H」が記憶されている場合には、図柄9の表示領域3c3の変動表示が「21H」の図柄コード32bである「貝」の図柄で終了するように、図柄の差し替えが行われる。
S53の処理において、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「80H」であれば、その制御用コマンドは図柄停止コマンド33である。よって、かかる場合には(S53:図柄停止コマンド)、その図柄停止コマンド33で指定された図柄番号32aの表示領域3a1〜3c3の図柄を確定し(S59)、その表示領域3a1〜3c3へ該当する図柄を停止表示する。
例えば、「80H,0AH」の図柄停止コマンド33が受信バッファ23aに記憶されていれば、9つすべての表示領域3a1〜3c3の図柄を一度に確定し、停止表示する。また、「80H,0CH」の図柄停止コマンド33が受信バッファ23aに記憶されていれば、中段の表示領域3bに表示される3つの図柄2,5,8を一度に確定し、停止表示する。
なお、変動表示の終了タイミングの到来前であっても、図柄停止コマンド33を受信した場合には、その図柄停止コマンド33により指示された表示領域3a1〜3c3の変動表示を即座に停止(確定)する。よって、図柄停止コマンド33を受信するタイミングで、変動表示を実際に終了させることができる。
S51の処理においてコマンド受信フラグ23bがオフされている場合や(S51:No)、S54,S56,S58,S59の各処理の実行後は、変動表示の状況に応じて各処理を実行し(S60)、その後、この変動表示処理を終了する。
次に、図13及び図14のタイミングチャートを参照して、上述の説明に基づく変動表示のタイミングについて説明する。まず、図13を参照して、9つ全ての図柄を一度に停止表示(確定)させる場合のタイミングについて説明する。主制御基板Cから表示用制御基板Dへ変動パターン指定コマンド31が送信されると、図柄1(3a1)〜図柄9(3c3)の全ての図柄について変動表示が開始される。この変動パターン指定コマンド31に続いて、高速変動の最中に、停止図柄指定コマンド32が9つの表示領域3a1〜3c3に対して順に送信される。停止図柄指定コマンド32が表示用制御基板Dによって受信されると、その停止図柄指定コマンド32により指定される停止図柄に合わせて、高速変動中に図柄の差し替えが行われる。
その後、変動パターン指定コマンド31で指定された変動パターンで、表示用制御基板Dによって変動表示が継続され、変動表示の終了タイミングで、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ、9つの全図柄を一度に停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33(80H,0AH(図7参照))が送信される。この図柄停止コマンド33が表示用制御基板Dにより受信されると、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動表示が終了する。変動表示の終了後は、所定時間の経過により、各表示領域3a1〜3c3に停止表示されている停止図柄指定コマンド32で指定した停止図柄の表示が別の表示に切り替えられる。
なお、変動表示の終了タイミングが到来する前に、表示用制御基板Dが図柄停止コマンド33を受信した場合には、変動パターン指定コマンド31で指定された変動表示の終了タイミングが到来していなくても、停止図柄指定コマンド32により指定された停止図柄を、指定された表示領域3a1〜3c3へ、即座に、停止表示する。かかる制御により、図柄停止コマンド33の送信(受信)タイミングに合わせて、変動表示を終了させることができるのである。
次に、図14のタイミングチャートを参照して、上段、下段、中段の順に、9つの図柄を3図柄ずつ停止表示(確定)させる場合のタイミングについて説明する。停止図柄指定コマンド32の送信までは、図13のタイミングと同様に行われ、高速変動中に図柄の差し替えが行われる。
変動表示終了のタイミングで、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ、まず、上段の表示領域3aに表示される図柄を停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33が送信される(80H,0BH(図7参照))。この図柄停止コマンド33が表示用制御基板Dにより受信されると、上段の図柄1,4,7が停止表示(確定)する(図3参照)。次に、下段の表示領域3cに表示される図柄を停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33が送信され(80H,0DH(図7参照))、下段の図柄3,6,9が停止表示(確定)する(図3参照)。更に、中段の表示領域3bに表示される図柄を停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33が送信され(80H,0CH(図7参照))、中段の図柄2,5,8が確定する(図3参照)。以上3つの図柄停止コマンド33により、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動表示が終了する。
このように図柄のスクロール方向に合わせて、上段、下段、中段の順に図柄を停止表示(確定)させることにより、制御によって表示上に表される仮想図柄リール41〜43を、実際の図柄リールのように表現することができる。なお、図柄のスクロール方向が縦方向の場合には、図柄の停止表示(確定)は、例えば、左、右、中の順に行われる。
以上説明したように、本実施例のパチンコ機Pによれば、変動パターン指定コマンド31によって一連の変動パターンを一度に指定することができるので、変動表示の状態が変化する各ポイント毎に主制御基板Cから制御用コマンドを送信する必要がない。よって、主制御基板Cによる変動表示の制御負担を軽減することができると共に、変動表示の制御のために主制御基板Cに搭載されるプログラム容量やデータ容量を減少させて、主制御基板Cのプログラム開発を容易にすることができる。
また、表示用制御基板D側で、変動パターン指定コマンド31に対応する変動表示の制御を変更すれば、主制御基板Cのプログラムをそのままにして変動パターンを変更することができる。よって、主制御基板Cを共通化しつつ、単に表示用制御基板Dを取り替えるだけで、LCDディスプレイ3上に異なった変動表示を行わせることができる。
更に、パチンコ機Pの電源投入時における初期画面の設定は、電源投入コマンド1(81)を1コマンド(2バイト)、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信することにより行うことができるので、かかる初期画面の設定を瞬時に完了して、その初期画面を電源投入時に確実に表示することができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施例では、本発明の制御用コマンドを主制御基板Cから変動表示の制御を行う表示用制御基板Dへ直接送信した。しかし、これに代えて、主制御基板Cから一旦、表示用制御基板D以外の他のサブ基板へ制御用コマンドを送信し、そのサブ基板から表示用制御基板Dへ制御用コマンドを送信して変動表示を制御したり、或いは、そのサブ基板によって制御用コマンドを変動表示が変化するポイント毎に詳細に展開し、その展開されたコマンドをサブ基板から表示用制御基板Dへ送信して、変動表示を制御するようにしても良い。なお、後者の構成にすれば、主制御基板Cおよび表示用制御基板Dでの変動表示の制御負担を軽減することができる。後者のように構成する場合には、表示用制御基板Dおよびサブ基板の全体が請求項1記載の表示用制御手段に該当する。
また、本発明の制御用コマンドは、LCDディスプレイ3の変動表示の制御のために用いられたが、かかる制御用コマンド又はそのコマンド体系を用いて、効果音を発する効果音基板や、各種のランプを点滅させるランプ基板を制御するようにしても良い。
更に、本実施例の電源投入コマンド81〜85では、9つの表示領域3a1〜3c3にそれぞれ表示される9つの図柄が指定されたが、かかる指定に加えて、背景画面や図柄以外のキャラクターなどを指定するようにしても良い。
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機の制御装置において、前記主制御基板は、電源投入時に所定の前記電源投入コマンドを前記表示用制御基板へ送信するものであり、前記表示用制御基板は、複数種類の前記電源投入コマンドにそれぞれ対応した複数種類の初期画面データを記憶する初期画面データ記憶手段と、前記電源投入コマンドを受信した場合に、その電源投入コマンドに応じた初期画面データを前記初期画面データ記憶手段から読み出して前記表示装置へ表示する初期画面表示手段とを備えていることを特徴とする遊技機の制御装置1。表示用制御基板は、主制御基板の種類毎に異なった電源投入コマンドを受信することにより、電源投入時に表示される初期画面を主制御基板の種類毎に異なったものとすることができる。よって、かかる初期画面の違いにより主制御基板の種類(バージョン、機種など)を確認することができる。一般に、同じ種類の表示用制御基板および表示装置を使用し、主制御基板だけを変更して、複数種類の遊技機が製造されるが、かかる遊技機の種類を初期画面の表示により確認(判別)することができるのである。
請求項1記載の遊技機の制御装置、または、遊技機の制御装置1は、前記電源投入コマンドに加えて更に、前記制御用コマンドとして、前記変動表示の一連の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドと、前記変動表示の終了時に前記表示装置に停止表示される停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドと、その停止図柄指定コマンドにより指定された停止図柄を前記表示装置へ停止表示(確定表示)させるタイミングを指定するための図柄停止コマンドとを備えていることを特徴とする遊技機の制御装置2。
請求項1記載の遊技機の制御装置、または、遊技機の制御装置1若しくは2において、前記制御用コマンドを前記主制御基板から一方向にのみ送信する一方向手段を備えていることを特徴とする遊技機の制御装置3。
請求項1記載の遊技機の制御装置、又は、遊技機の制御装置1から3のいずれかにおいて、前記主制御基板から送信される制御用コマンドは、前記表示用制御基板へ直接送信されることを特徴とする遊技機の制御装置4。