JP4424495B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
この触媒劣化検出方法では、触媒コンバータに流入する排ガスの空燃比(排気空燃比)を上記の如く空燃比変調させると、酸素ストレージ能力が高ければ酸素が触媒に吸蔵されるために触媒下流における排気センサ(O2センサ等)の応答が遅く或いは振幅が小さくなり、一方酸素ストレージ能力が低いと酸素は触媒にあまり吸蔵されることなく排出されるために触媒下流における排気センサの応答が速く或いは振幅が大きくなるという特性を利用している。即ち、触媒下流に設けた排気センサ(O2センサ等)の出力振幅を監視し、当該振幅が所定の基準値以上であると、酸素ストレージ能力が破過して低下し、触媒コンバータが劣化したと判定するようにしている(特許文献1)。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、触媒コンバータに流入する排ガスの空燃比変動を抑制しつつ触媒コンバータの浄化性能を高く維持でき、当該浄化性能の悪化を最小限に抑えながら触媒コンバータの劣化を確実に判定可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
これより、必要な吸着サイト数がさらに減少し、破過に対して厳しい傾向にある酸素やNOxの吸着サイトがより一層十分に確保される。
即ち、燃焼空燃比の変調周波数を高め、変調を高速化すると、上述したように触媒コンバータに流入する排ガスの空燃比変動が抑制されることになり、排気空燃比の変調振幅が容易に低減する。
また、請求項5の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記排気通路の前記触媒コンバータよりも排気下流側に排ガスの成分濃度を検出し出力する下流側排気センサを備え、前記単発リーン化手段による前記燃焼空燃比のリーン化により変化する前記下流側排気センサの出力に基づいて前記触媒コンバータの劣化を判定する劣化判定手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項6の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1乃至5のいずれかにおいて、前記排気通路の前記触媒コンバータよりも排気上流側に排ガスの成分濃度を検出し出力する上流側排気センサをさらに備え、前記空燃比変調手段は、前記上流側排気センサの出力に基づいて燃焼空燃比を変調させることを特徴とする。
また、請求項7の内燃機関の排気浄化装置では、請求項6において、内燃機関は複数の気筒を有する多気筒内燃機関であって、前記複数の気筒の各排気ポートから延び且つ前記排気通路に合流する複数の枝排気通路のうちの少なくとも2つ以上の枝排気通路を連通する排気連通路を備え、前記上流側排気センサは、前記排気連通路に前記各排気ポートからの距離が該各排気ポートから前記触媒コンバータまでの距離よりも短くなるように設けられていることを特徴とする。
即ち、排気連通路が複数の枝排気通路の各周縁と各排気ポートの周縁との間に介装されたスペーサ部に形成されていると、排気連通路がコンパクトに配設されるとともに排気ポートから上流側排気センサに至るまでの排ガスの輸送遅れが殆ど無くなり、上流側排気センサの出力に基づいて燃焼空燃比が内燃機関のサイクル程度の短周期で確実に高速変調される。
また、請求項2の内燃機関の排気浄化装置によれば、排気空燃比が実質的に変動しないように燃焼空燃比を変調させるので、触媒コンバータにおいて、必要な吸着サイト数をさらに減少させ、破過に対して厳しい傾向にある酸素やNOxの吸着サイトをより一層十分に確保でき、触媒コンバータの浄化性能をさらに高く維持することができる。
また、請求項4の内燃機関の排気浄化装置によれば、下流側排気センサの出力が所定のリッチ空燃比に相当する値に達したとき、即ち触媒コンバータにおけるHC、COの吸着能力が破過したタイミングで燃焼空燃比をリーン化するので、触媒コンバータに堆積したHC、COを適切にして効率よくパージすることができる。
また、請求項7の内燃機関の排気浄化装置によれば、複数の枝排気通路のうちの少なくとも2つ以上の枝排気通路を連通する排気連通路に比較的排気ポートに接近して上流側排気センサを設けることにより、上流側排気センサを一つとしながら、上流側排気センサの出力に基づいて燃焼空燃比を内燃機関のサイクル程度の短周期で高速変調させることができる。
図1には、車両に搭載された本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成図が示されており、以下、当該排気浄化装置の構成を説明する。
同図に示すように、内燃機関であるエンジン本体(以下、単にエンジンという)1としては、例えば吸気管噴射型(Multi Point Injection:MPI)4気筒ガソリンエンジンが採用される。
シリンダヘッド2には、各気筒毎に吸気ポート11が形成されており、各吸気ポート11と連通するようにして吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。吸気マニホールド10には、電磁式の燃料噴射弁6が取り付けられており、燃料噴射弁6には、燃料パイプ7を介して燃料タンクを擁した燃料供給装置(図示せず)が接続されている。
吸気マニホールド10の燃料噴射弁6よりも上流側には、吸入空気量を調節する電磁式のスロットル弁14が設けられており、併せてスロットル弁14の弁開度θthを検出するスロットルポジションセンサ(TPS)16が設けられている。さらに、スロットル弁14の上流には、吸入空気量を計測するエアフローセンサ18が介装されている。エアフローセンサ18としては、例えばカルマン渦式エアフローセンサが使用される。
詳しくは、排気マニホールド20は、各ブランチの周縁に一体化して設けられた周縁フランジ22が別体のスペーサ部としてのマニ側スペーサ部材24及びヘッド側スペーサ部材26を介して各排気ポート21の周縁に固定されることでシリンダヘッド2に接続されている。なお、スペーサ部を排気マニホールド20やシリンダヘッド2に一体に形成するようにしてもよい。そして、詳細は後述するように、マニ側スペーサ部材24にはO2センサ(上流側排気センサ)28が設けられている。
これら図2〜図4に示すように、マニ側スペーサ部材24及びヘッド側スペーサ部材26は、排気マニホールド20の周縁フランジ22と近似する外形の板状をなし、マニ側スペーサ部材24には各気筒毎に排気ポート21と同径の貫通孔24aが穿設され、ヘッド側スペーサ部材26にはやはり各気筒毎に排気ポート21と同径の貫通孔26aが穿設されている。そして、これらマニ側スペーサ部材24及びヘッド側スペーサ部材26は、それぞれボルト孔24e、26dを貫通するボルト23により周縁フランジ22とともにシリンダヘッド2の各排気ポート21の周縁に共締めされている。これより、両スペーサ部材24、25に穿設された各4つの貫通孔24a、26aを介して各排気ポート21からの排ガスが排気マニホールド20側に流通する。
そして、センサ固定ベース25のねじ孔25aにO2センサ28が螺合して固定されており、O2センサ28の検出部28aは挿入孔24b内及び屈曲路26b内に位置している。
また、ヘッド側スペーサ部材26のねじ孔26cには、吸気連通路30の一端が接続されており、吸気連通路30は、図1に示すように、連通路31を介してエンジン1の吸気マニホールド10と連通している。つまり、排気連通路29は吸気連通路30を介して吸気マニホールド10と連通している。このように、排気連通路29が吸気マニホールド10と連通していると、排気連通路29内の排ガスが吸気負圧によって吸気マニホールド10に還流し、排気連通路29に設けられたO2センサ28のガス交換が促進され、O2センサ28の検出精度が向上する。
三元触媒50は、担体に貴金属として銅(Cu),コバルト(Co),銀(Ag),白金(Pt),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd)のいずれかを有している。これより、三元触媒50は、排気空燃比(排気A/F)が理論空燃比(ストイキ)近傍であるときにおいて、炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)を貴金属に吸着し、HC、COの酸化反応を促進するとともにNOxの還元反応を促進する機能を有している。
ECU(電子コントロールユニット)60は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えており、当該ECU60により、エンジン1を含めた排気浄化装置の総合的な制御が行われる。
一方、ECU60の出力側には、上述の燃料噴射弁6、点火コイル8、スロットル弁14の他、車室内に設けられた警告灯64等の各種出力デバイスが接続されており、これら各種出力デバイスには各種センサ類からの検出情報に基づき演算された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期等がそれぞれ出力される。詳しくは、各種センサ類からの検出情報に基づき目標空燃比(目標A/F)が設定され、当該目標A/Fに応じて燃焼空燃比(燃焼室における空燃比、燃焼A/F)が設定され、適正な量の燃料が適正なタイミングで燃料噴射弁6から噴射されるとともにスロットル弁14が適正な開度に調整される。また、点火プラグ4により適正なタイミングで火花点火が実施される。
以下、上記のように構成された本発明に係る排気浄化装置における空燃比変調制御内容について説明する。
図5には、本発明に係る空燃比変調制御の制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下図5に基づき本発明に係る空燃比変調制御について説明する。
ステップS10では、三元触媒50上流側のO2センサ28の検出情報に基づき、O2センサ28の出力が所定値X1より大であるか否かを判別する。即ち、排気A/Fが所定値X1に対応する所定のA/F値よりもリッチA/F側であるか否かを判別する。ここに、所定値X1は目標A/Fであって且つ変調制御における平均A/Fである。
ところで、上述したように、O2センサ28はマニ側スペーサ部材24とヘッド側スペーサ部材26とにより形成された排気連通路29を介して各気筒の各排気ポート21から供給される排ガスの排気A/Fを検出可能に構成されている。従って、O2センサ28は、一つでありながら、燃焼A/Fの変調により変動する排気A/Fを排気ポート21に極めて近い位置で検出することが可能である。このようにO2センサ28が排気ポート21を出た直後の排ガスの排気A/Fを各気筒毎に検出可能であると、排気ポート21からO2センサ28までの排気通路容積が小さいことで、従来のようにO2センサが触媒の直上流にある場合に比べて排ガスの輸送遅れによるO2センサ28の検出遅れが殆どなくなり、各気筒の燃焼サイクル毎の短い変調周期(内燃機関のサイクル程度の短周期)、即ち高い変調周波数で燃焼A/Fを高速変調させることが可能である。
このように平均A/Fが所定のリッチA/Fとされると、三元触媒50において、破過に対し比較的余裕のあるリッチA/F側のHC、COの吸着サイトに比べ破過に対して厳しい傾向にあるリーンA/F側のO2やNOxの吸着サイトが十分に確保されることになる。これにより、特にNOxやO2の三元触媒50への吸着能力が一層良好に持続される。
また、燃焼A/Fの変調を高速化すると、上述したように、HC、CO、NOxのCOPでの浄化効率が向上する一方、A/F変動に対する余裕度、即ちウィンドウ幅が狭くなり、HC、CO、NOxの浄化性能を高く維持し難いのであるが、このようなウィンドウ幅の減少にも拘わらず、やはり三元触媒50におけるHC、CO、NOxの浄化性能を高く維持することができる。
また、ここでは、所定値X1をストイキよりもややリッチ寄りとしたが、所定値X1はストイキ相当値であってもよく、或いは所定値X1をストイキ相当値に固定してリーン化ゲインに対しリッチ化ゲインを同等値とするようにしてもよい。このようにしても上記同様の効果を得ることができる。
これにより、三元触媒50に堆積したHC、COが当該単発的なリーン化により効率よくパージされ、HC、COの吸着サイトについても良好に確保される。
従って、三元触媒50におけるHC、CO、NOxの浄化性能の悪化を最小限に抑え、HC、CO、NOxの浄化性能を全体として高く維持することができる。
ところで、このようにしてHC、COの吸着サイトが良好に確保されると、所定期間が経過するまではさらに単発的なリーン化が継続され、三元触媒50にはO2が吸着し始める。そして、酸素ストレージ能力が破過すると、O2が三元触媒50から流出することになり、これにより触媒劣化判定が実施される。
上述のように燃焼A/Fを単発的に所定期間(所定サイクル)だけ所定のリーンA/Fに設定すると、三元触媒50に供給されるO2の量は略一定であり、酸素ストレージ能力が変化しなければ酸素ストレージ能力が破過した後における三元触媒50下流側のO2センサ42の出力値は一定のはずである。しかしながら、三元触媒50が劣化して酸素ストレージ能力が低下すると、酸素ストレージ能力が破過し易くなり、所定期間経過時における三元触媒50下流側のO2センサ42の出力の変化幅が大きくなる。
ステップS20の判別結果が真(Yes)でO2センサ42の出力の変化幅が所定幅Y1より大と判定された場合には、三元触媒50が劣化して酸素ストレージ能力が破過し易くなっていると判断でき、この場合には、ステップS22に進み、触媒劣化と判定するとともに、警告灯64を点灯する。一方、ステップS20の判別結果が偽(No)でO2センサ42の出力の変化幅が所定幅Y1以下と判定された場合には、酸素ストレージ能力は低下しておらず、ステップS24に進み、触媒正常と判定するとともに、警告灯64を消灯状態に保持する。
以上説明したように、本発明に係る排気浄化装置によれば、三元触媒50において、流入する排ガスの排気A/Fの変調振幅を低減することでHC、CO、NOxの吸着に必要な吸着サイト数を減少させることができ、また、排気A/Fの変調周期間の平均A/FをリッチA/Fとなるように変調させてO2やNOxの吸着サイトを十分に確保できるとともに三元触媒50に吸着し堆積したHC、COを単発的なリーン化によりパージすることでHC、COの吸着サイトについても良好に確保することができ、三元触媒50におけるHC、CO、NOxの浄化性能の悪化を最小限に抑え、触媒コンバータにおけるHC、CO、NOxの浄化性能を全体として高く維持することができる。そして、このように三元触媒50におけるHC、CO、NOxの浄化性能の悪化を最小限に抑えながら、三元触媒50の劣化を確実に判定することができる。
例えば、上記実施形態では、三元触媒50の劣化を判定するようにしたが、劣化判定の対象は三元触媒に限られず、NOx触媒等如何なる触媒コンバータであってもよい。
また、上記実施形態では、排気センサ28、42としてO2センサを用いるようにしたが、排気センサはA/Fセンサ(LAFS等)、NOxセンサ等であってもよい。
また、上記実施形態では、燃焼A/Fの変調周波数を高めることで三元触媒50に流入する排ガスの排気A/Fの振幅を低減させるようにしたが、三元触媒50に流入する排ガスの排気A/Fの振幅を低減させることができれば、その他の方法を用いるようにしてもよい。
20 排気マニホールド
21 排気ポート
24 マニ側スペーサ部材
26 ヘッド側スペーサ部材
28 O2センサ(上流側排気センサ)
29 排気連通路
40 排気管
42 O2センサ(下流側排気センサ)
50 三元触媒(触媒コンバータ)
60 ECU(電子コントロールユニット)
64 警告灯
Claims (8)
- 内燃機関の排気通路に配設され、排気浄化を行う触媒コンバータと、
内燃機関における燃焼空燃比の変調振幅に対し前記触媒コンバータに流入する排ガスの排気空燃比の振幅が低減するよう該燃焼空燃比を変調させる空燃比変調手段と、
前記空燃比変調手段により変調される前記排気空燃比の変調周期間の平均空燃比を理論空燃比またはリッチ空燃比に設定する平均空燃比設定手段と、
前記空燃比変調手段に拘わらず前記燃焼空燃比を所定期間に亘り単発的にリーン化する単発リーン化手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記空燃比変調手段は、前記排気空燃比が実質的に変動しないように前記燃焼空燃比を変調させることを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記空燃比変調手段は、燃焼空燃比の変調周波数を高めることで前記排気空燃比の変調振幅を低減させることを特徴とする、請求項1または2記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記排気通路の前記触媒コンバータよりも排気下流側に排ガスの成分濃度を検出し出力する下流側排気センサを備え、
前記単発リーン化手段は、前記下流側排気センサの出力が所定のリッチ空燃比に相当する値に達したとき前記燃焼空燃比をリーン化することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記排気通路の前記触媒コンバータよりも排気下流側に排ガスの成分濃度を検出し出力する下流側排気センサを備え、
前記単発リーン化手段による前記燃焼空燃比のリーン化により変化する前記下流側排気センサの出力に基づいて前記触媒コンバータの劣化を判定する劣化判定手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記排気通路の前記触媒コンバータよりも排気上流側に排ガスの成分濃度を検出し出力する上流側排気センサをさらに備え、
前記空燃比変調手段は、前記上流側排気センサの出力に基づいて燃焼空燃比を変調させることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 内燃機関は複数の気筒を有する多気筒内燃機関であって、
前記複数の気筒の各排気ポートから延び且つ前記排気通路に合流する複数の枝排気通路のうちの少なくとも2つ以上の枝排気通路を連通する排気連通路を備え、
前記上流側排気センサは、前記排気連通路に前記各排気ポートからの距離が該各排気ポートから前記触媒コンバータまでの距離よりも短くなるように設けられていることを特徴とする、請求項6記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記複数の枝排気通路の各周縁は前記各排気ポート毎に貫通孔が穿設されたスペーサ部を介して前記各排気ポートの周縁に接続されており、
前記排気連通路は前記スペーサ部に形成されていることを特徴とする、請求項7記載の内燃機関の排気浄化装置。
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