JP4421805B2 - ボイスクッキーを使用するセッション開始プロトコルの経路指定 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にインターネットテレフォニシステムに関し、より詳細には、セッション開始プロトコルに準拠するインターネットテレフォニシステムのインテリジェント通話の経路指定に関する。
【０００２】
【従来の技術】
本出願は、２００１年４月４日出願の米国仮出願第６０／２８１８８５号の優先権を主張し、その内容を参照によって本明細書に組み込む。
【０００３】
セッション開始プロトコル（ＳＩＰ：Ｓｅｓｓｉｏｎ ＩｎｉｔｉａｔｉｏｎＰｒｏｔｏｃｏｌ）は、１つまたは複数のＳＩＰエンドポイントとのインターネット電話の通話を含むマルチメディアセッションの生成、変更、および終了を行うためのシグナリングプロトコルである。ＳＩＰシグナリングプロトコルについての詳細は、１９９９年３月の「ＳＩＰ：Ｓｅｓｓｉｏｎ Ｉｎｉｔａｔｉｏｎ Ｐｒｏｔｏｃｏｌ（ＳＩＰ：セッション開始プロトコル）」と題する、ＩＥＴＦ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｅｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇ Ｔａｓｋ Ｆｏｒｃｅ）のＲＦＣ（Ｒｅｑｕｅｓｔ ｆｏｒ Ｃｏｍｍｅｎｔ）２５４３で述べられており（これ以後、ＲＦＣ ２５４３と呼ぶ）、それを参照によって本明細書に組み込む。ＳＩＰは、ＰＢＸまたはＨ．３２３でシグナリングするテレフォニに対する代替形態を提供する。
【０００４】
ＳＩＰエンドポイントは、互いに直接、通話を行うことができるが、プロキシおよびリダイレクトサーバを含むＳＩＰサーバは、一般的に通話設定プロセスの際に通話の経路指定を行う。そのような通話の経路指定は、発呼側エンドポイントから発信される、ＩＮＶＩＴＥメッセージと呼ばれる、通話確立メッセージに応答して、被呼側エンドポイントを確かめることを含む。ＩＮＶＩＴＥメッセージは、確かめられた被呼側エンドポイントに、または、発呼側エンドポイントに返送される、確かめられた被呼側エンドポイントのアドレスに転送される。
【０００５】
図１Ａは、一般的なプロキシＳＩＰサーバ１０を介して、ＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図である。ステップ３０では、プロキシサーバ１０は、発呼側エンドポイント１５からの招待を、ＩＮＶＩＴＥ要求の形で受信する。ＩＮＶＩＴＥ要求は、「Ｆｒｏｍ（発呼側）：」、「Ｔｏ（被呼側）：」、「Ｃｏｎｔａｃｔ（発呼側連絡先）：」、およびＩＮＶＩＴＥメッセージヘッダ内の他の標準的なフィールドの経路指定情報を含んでいる。メッセージヘッダの「Ｔｏ：」フィールドは、被呼側エンドポイント２０に関連付けられた一般的なＳＩＰＵＲＬを含んでいる。
【０００６】
プロキシサーバ１０は、ＩＮＶＩＴＥ要求を受け入れ、ステップ３２では、ＳＩＰメッセージヘッダの経路指定情報に基づいて通話の経路指定を行うため、ロケーションサーバ２５を使用することが好ましい。この点で、ロケーションサーバ２５は、被呼側エンドポイントに関連付けられたＳＩＰ ＵＲＬを検索し、ＵＲＬを正確なアドレスに転換する。一例として、たとえば「ｓａｌｅｓ＠ａｃｍｅ．ｃｏｍ」などの、一般的なＳＩＰ ＵＲＬ向けの通話を、たとえば、「ｂｏｂ＠ｎｙ．ａｃｍｅ．ｃｏｍ」などの特定の人物向けに転換することができる。ステップ３４で、検索されたアドレス情報は、プロキシサーバ１０に伝送される。
【０００７】
ステップ３６では、プロキシサーバ１０は、第２のＩＮＶＩＴＥ要求をより正確なアドレスに送出する。被呼側エンドポイント２０は、第２のＩＮＶＩＴＥ要求を受信し、要求されたユーザを、たとえば、ユーザの電話のベルを鳴らすことによって呼び出す。呼出しが応答された場合、被呼側エンドポイント２０は、ステップ３８でプロキシサーバ１０にＯＫ応答を介して成功表示を返送する。ステップ４０では、プロキシサーバ１０は、ＯＫ応答を発呼側エンドポイント１５に転送する。ステップ４２では、ＡＣＫ要求をプロキシサーバ１０に伝送することによって、成功結果の受領が発呼側エンドポイント１５で確認され、次いでステップ４４で、ＡＣＫ要求が被呼側エンドポイント２０に転送される。
【０００８】
図１Ｂは、一般的なリダイレクトＳＩＰサーバ４７を使用してＳＩＰ通話を確立するための代替方法の機能的ブロック図である。ステップ３１では、リダイレクトサーバ４７は、ＩＮＶＩＴＥ要求を受け入れ、ステップ３３で、図１Ａのプロキシサーバ１０と同様に、ＩＮＶＩＴＥメッセージヘッダの経路指定情報に基づいて通話の経路指定を行うため、ロケーションサーバ２５とコンタクトする。リダイレクトサーバ４７は、ステップ３５で受け取った新しく発見されたアドレスに直接コンタクトする代わりに、ステップ３７で、そのアドレスを発呼側エンドポイント１５に返送する。ステップ３９で、発呼側エンドポイント１５は、アドレスの受領をＡＣＫ要求によって確認する。
【０００９】
ステップ４１では、発呼側エンドポイント１５は、新しいＩＮＶＩＴＥ要求を、リダイレクトサーバ３０から戻されたアドレスに送出する。通話に成功する場合、被呼側エンドポイント２０は、ステップ４３でＯＫ応答を伝送し、発呼側エンドポイント１５は、ステップ４５でＡＣＫ要求を用いてハンドシェイクを完了する。
【００１０】
現在のＳＩＰ通話の経路指定の１つの制約は、ＩＮＶＩＴＥメッセージヘッダ内の標準的な経路指定フィールドから推定することができる発呼者の意図についての情報が限定されることである。通話の経路指定のための通話の意図情報をさらに収集するため、従来のアプローチでは、しばしば、ＩＶＲ（Ｉｎｔｅｒａｃｔｉｖｅ ｖｏｉｃｅ ｒｅｓｐｏｎｓｅ：対話型音声応答）システムを利用し、発呼者は、促されて、二重トーン多重周波数（ＤＴＭＦ：ｄｕａｌ ｔｏｎｅｍｕｌｔｉ−ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ）の数字の選択によって発呼者の意図についての情報をさらに提供する。たとえば、一般的なアドレスに通話を行う人は、アカウント情報を入力し、顧客サービス、販売、またはマーケティング部門などの特定の部門を選択するように求められる可能性があり、次いで通話は、その部門に適切に経路指定される。発呼者の意図情報をさらに確かめるためにＩＶＲシステムを使用することは、発呼者にとって非常に厄介で、不便であり、メッセージの交換およびデータベースのルックアップをさらに必要とするので、通話設定時間が長くなる。
【００１１】
新しいシステムでは、発呼者の意図を推定するため、ＩＶＲ指示に応答する音声認識技術を採用することができる。しかし、そのような音声認識技術も、発呼者にとって、煩雑で不便であり、エラーが出やすく、さらに通話設定時間が長くなる。
【００１２】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、入力通話のインテリジェントな経路指定のため、発呼者の意図情報を確かめるためのより効率的なシステムおよび方法が必要とされている。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発呼者から収集した情報を使用する、ＳＩＰ通話とも呼ばれる、ＳＩＰセッションをインテリジェントに経路指定するためのシステムおよび方法を対象としている。一実施形態では、本発明は、第１のデバイスと第２のデバイス間でＳＩＰセッションを確立するための方法を対象としており、その方法は、第１のデバイスから通話確立メッセージを受信するステップと、通話確立メッセージに応答して第１のデバイスのデータストアから発呼者の意図情報を検索するステップと、発呼者の意図情報を使用して第２のデバイスのアドレスを判定するステップと、アドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定するステップとを含んでいる。
【００１４】
別の実施形態では、本発明は、第１のデバイスと第２のデバイス間でＳＩＰセッションを確立するための方法を対象としており、その方法は、ＳＩＰセッションを確立するために第１のデバイスから通話確立メッセージを受信するステップと、その通話確立メッセージに応答し第１のデバイスに格納された情報を検索するステップと、その検索された情報に基づいて第２のデバイスのアドレスを判定するステップと、そのアドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定するステップとを含んでいる。
【００１５】
他の実施形態では、本発明は、第１のデバイスと第２のデバイス間でＳＩＰセッションを確立するための方法を対象としており、その方法は、ＳＩＰセッションを確立するために第１のデバイスから通話確立メッセージを受信するステップと、第１のデバイスに格納された情報の検索を行うためにサーバのアドレスを第１のデバイスに伝送するステップと、第１のデバイスから検索された情報を受信するステップと、検索された情報に基づいて第２のデバイスのアドレスを判定するステップと、そのアドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定するステップとを含んでいる。
【００１６】
別の実施形態では、本発明は、ＳＩＰプロトコルに準拠する通信システムを対象としており、そのシステムは、第１のデバイス、第２のデバイス、および第１のデバイスと第２のデバイス間で動作するサーバを含んでいる。第１のデバイスは、ＳＩＰセッションを確立するため、サーバに対して通話確立メッセージを伝送する。サーバは、その通話確立メッセージを受信し、それに応答して、第１のデバイスに格納された情報の検索を行う。サーバはさらに、検索された情報に基づいて第２のデバイスのアドレスを判定し、そのアドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定する。
【００１７】
別の実施形態では、本発明は、第１のデバイスと第２のデバイス間でＳＩＰセッションを確立する通信ネットワークの第１のサーバであって、第２のサーバと結合した第１のサーバを対象としており、第１のサーバは、第１のデバイスから通話確立メッセージを受信し、それに応答し、第１のデバイスに格納された情報の検索を行うために、第２のサーバのアドレスを第１のデバイスに伝送することを特徴としている。サーバはさらに、検索された情報に基づいて第２のデバイスのアドレスを判定し、そのアドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定する。
【００１８】
したがって、本発明は、標準的な経路指定情報のみを使用するときよりも、被呼者アドレスのインテリジェントな判定を可能にすることを理解されたい。発呼側デバイスから検索される付加的な情報によって、ユーザのプロファイル、習慣、通話の意図などがより良く理解されるため、最適な被呼者をより良く決定するように通話が処理される。
【００１９】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、ならびに利点は、以下の詳細な説明、添付の請求項、および添付図面とともに考慮するとき、より十分に理解されよう。
【００２０】
【発明の実施の形態】
図２は、本発明の一実施形態による、セッション開始プロトコル（ＳＩＰ）に準拠した通信システムのブロック図である。システムは、たとえば、公衆インターネット５４などのワイドエリアネットワークを介し、被呼側エンドポイント５２向けの通話を開始する発呼側エンドポイント５０を含んでいる。発呼側エンドポイント５０、被呼側エンドポイント５２、およびインターネット５４は、ＲＦＣ ２５４３に記述されているＳＩＰシグナリングプロトコルに準拠していることが好ましい。
【００２１】
発呼側および被呼側エンドポイント５０、５２は、ＳＩＰ対応電話機、携帯電話、パーソナルコンピュータ、スイッチ、ルータ、および／または同様のものなどであることが好ましい。各発呼側および被呼側エンドポイントは、たとえば、入力ケーブル、キーボード、キーパッドなど入力データを受け取る入力デバイス５９、６５と関連付けられている。さらに各発呼側および被呼側エンドポイントは、たとえば、出力ケーブル、ディスプレイなどの出力データを提供する出力デバイス６１、６３と関連付けられている。発呼側および被呼側エンドポイント５０、５２はさらに、音声データを受信および送信し、かつ発呼者と被呼者間で音声会話を可能にする送受話器６０、６２と関連付けられていることが好ましい。
【００２２】
図２の通信システムはさらに、発呼側と被呼側エンドポイント５０、５２間のＳＩＰ通話を経路指定するＳＩＰサーバ５６を含むことが好ましい。ＳＩＰサーバ５６は、図１Ａ〜１Ｂのプロキシおよびリダイレクトサーバ１０、４７と同様のプロキシサーバまたはリダイレクトサーバであることが好ましい。しかし、ＳＩＰサーバ５６は、ユーザのプロファイル、習慣、通話の意図などをより良く理解するため、これ以後ボイスクッキー情報と呼ぶ、発呼側エンドポイントから検索される発呼者に関連付けられた情報を使用する機能が拡張されている。ＳＩＰサーバ５６は、検索されたクッキー情報に基づいてＳＩＰ通話を経路指定することが好ましい。
【００２３】
ＳＩＰサーバ５６は、ロケーションサーバ５８およびウェブサーバ５７と結合されることが好ましい。ロケーションサーバは、ＳＩＰ通話の経路指定のために使用される位置情報を含んでいる。ロケーションサーバは、図１Ａ〜１Ｂのロケーションサーバ２５と同様なものとすることができる。
【００２４】
ウェブサーバ５７は、発呼側エンドポイント５０からのＨＴＴＰ要求の受信および処理を行う機能のあるハイパーテキストトランスファプロトコル（ＨＴＴＰ：ｈｙｐｅｒｔｅｘｔ ｔｒａｎｓｆｅｒ ｐｒｏｔｏｃｏｌ）サーバであることが好ましい。一実施形態によると、ウェブサーバ５７は、ＳＩＰサーバ５６と同じドメインを共有する。ウェブサーバ５７は、ＨＴＴＰ要求の中で伝送されるボイスクッキーを受信し、そのクッキーをＳＩＰサーバ５６に転送する機能を含んでいる。ウェブサーバ５７はさらに、ＳＩＰサーバからの新しいボイスクッキーを受信し、発呼側エンドポイントへのＨＴＴＰ応答の中にクッキーを書き込む機能を含んでいる。
【００２５】
本発明の一実施形態によると、ウェブサーバ５７、ＳＩＰサーバ５６、および／またはロケーションサーバ５８は、単一のマシンに存在する。別の実施形態では、サーバは、互いに、ローカルエリアネットワーク、専用ワイドエリアネットワーク、または公衆インターネット５４を介して結合された２つまたは３つの別個のマシンに存在する。
【００２６】
通常、ＳＩＰサーバ５６は、よりインテリジェントに入力ＳＩＰ通話を経路指定するために、発呼側エンドポイントのボイスクッキーの検索を行う。ボイスクッキーは、一例として、名前、住所、電話番号、電子メールのアドレス、アカウント番号、取引履歴、請求履歴、部門名または選択、販売員の好みまたは選択、言語の好みまたは選択、製品の好みまたは選択、あるいは、たとえば通常、対話型音声応答システムによって収集される発呼者の意図情報、ユーザのプロファイル情報、ユーザの習慣情報、またはウェブサイトのドメインに関連付けられた従来のブラウザクッキーに含まれる情報などの、通話を経路指定するために使用することのできる他のあらゆる情報を含むことができる。
【００２７】
ボイスクッキー情報は、種々のメカニズムにより発呼側エンドポイントに格納されることが好ましい。例を挙げると、クッキーは、たとえば登録のページなどの特定のウェブサイトまたはウェブサイトの特定のページを訪ねるユーザから預かることができる。ボイスクッキー情報は、どのくらいの頻度で、特定の発呼者がそのウェブサイトを訪れているか、ショッピングカードの中の現在の項目、またはそのウェブサイトから購入した品物のあるドルベースの金額を指し示すことができる。このシナリオでは、ボイスクッキーをブラウザクッキーと同一なものとすることができ、ＳＩＰサーバ５６は、ウェブサイト上のユーザの最近の、そして過去の活動に基づいて通話を経路指定することが可能である。
【００２８】
付加的なボイスクッキー情報は、ＳＩＰ通話中または通話後に、ＳＩＰサーバ５６または発呼側エンドポイント５０が書き込むことができる。たとえば、付加的なボイスクッキー情報は、取引履歴情報、通話履歴情報、被呼側販売員情報および／または同種類のものを更新することができる。
【００２９】
図３は、ボイスクッキー情報に基づきＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図であり、ＳＩＰサーバ５６はプロキシサーバ５６ａである。ステップ７０では、プロキシサーバ５６ａは、発呼側エンドポイント５０からＩＮＶＩＴＥメッセージを受信する。ＩＮＶＩＴＥ要求は、「Ｆｒｏｍ：」、「Ｔｏ：」、「Ｃｏｎｔａｃｔ：」、およびＩＮＶＩＴＥメッセージヘッダ内の他のフィールドの中に標準的な経路指定情報を含んでいることが好ましい。
【００３０】
プロキシサーバ１０はＩＮＶＩＴＥメッセージを受け入れ、ステップ７２で、通話のための動作が行われているが、被呼者はまだ確かめられていないことを指し示すため、ＴＲＹＩＮＧ（試行）メッセージを発呼側エンドポイントに伝送することが好ましい。この試行メッセージとともに、プロキシサーバ５６ａはさらに、関連したボイスクッキーを検索するため、ウェブサーバ５７に関連付けられたハイパーテキストマークアップ言語（ＨＴＭＬ：ｈｙｐｅｒｔｅｘｔ ｍａｒｋｕｐ ｌａｎｇｕａｇｅ）のリンクを伝送することが好ましい。ＨＴＭＬリンクは、ＴＲＹＩＮＧメッセージのＳＩＰメッセージ本体部分で伝送されることが好ましい。
【００３１】
ステップ７４では、発呼側エンドポイントは、ブラウザ５０ａを呼び出し、ＨＴＭＬリンクの解釈を試みる。そのようにして、ステップ７６で、ブラウザ５０ａは、ＨＴＭＬリンクのＵＲＬに関連付けられたすべてのクッキーとともにＨＴＴＰ要求をウェブサーバ５７に送出する。ステップ７８では、ウェブサーバ５７は、受信したクッキーを要求元のプロキシサーバ５６ａに転送する。ステップ８０では、ウェブサーバ５７は、任意選択でブラウザ５０ａによる解釈のためにＨＴＭＬのコンテンツを伝送する。
【００３２】
ボイスクッキー情報の転送は、発呼者に対してトランスペアレントな仕方で行われることが好ましい。さらに、当技術分野で通常的である適切なディジタル暗号化および署名技術を採用することによって、ボイスクッキーに対するアクセス許可を確実なものとし、さらにボイスクッキーが本物であることを保証することができる。
【００３３】
プロキシサーバ５６ａは、ＩＮＶＩＴＥメッセージに含まれる経路指定情報とともに検索したボイスクッキー情報を使用して、通話の経路指定先の最も正確なアドレスを判定する。たとえば、通話が顧客販売部門向けで、ボイスクッキー情報が発呼者と話した、前回の顧客販売担当者の名前を含む場合、プロキシサーバ５６ａは、自動的に通話を、利用可能ないずれかの担当者ではなくその顧客販売担当者に経路指定する。
【００３４】
ステップ８１では、プロキシサーバ５６ａは第２のＩＮＶＩＴＥメッセージを確かめられたアドレスに送出する。検索されたボイスクッキー情報もまた、ＩＮＶＩＴＥメッセージの本体で発呼側エンドポイントに提供することができる。このことは、たとえば、被呼側エンドポイント５２の顧客担当者と、特定のウェブサイトで購入する商品について、通話を行う発呼側エンドポイント５０の発呼者との間の話し合いを容易なものとするため、望ましいものとなる可能性がある。商品情報を、ユーザがウェブサイトをナビゲートして品物を電子ショッピングカートに入れるとき、発呼側エンドポイントにボイスクッキー情報として格納することができる。
【００３５】
被呼側エンドポイント５２は、第２のＩＮＶＩＴＥメッセージを受信し、要求のユーザを、たとえば、ユーザの電話を鳴らすことによって呼び出す。通話が応答される場合、ステップ８２で、被呼側エンドポイント５２は、成功表示をプロキシサーバ５６ａに、ＯＫ応答によって返送する。ステップ８４では、プロキシサーバ５６ａは、ＯＫ応答を発呼側エンドポイント５０に転送する。ステップ８６では、成功結果の受取りは、ＡＣＫ要求をプロキシサーバ５６ａに伝送することによって発呼側エンドポイント５０で確認され、次いでステップ８８で、ＡＣＫ要求が被呼側エンドポイント５２に転送される。ステップ９０では、発呼側と被呼側のエンドポイント５０、５２のユーザ間の音声会話がそれぞれの送受話器６０、６２を介して行われる。
【００３６】
図４は、本発明の別の実施形態による、ＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図であり、ＳＩＰサーバ５６はリダイレクトサーバ５６ｂである。ステップ１００では、リダイレクトサーバ５６ｂは、ＩＮＶＩＴＥメッセージを受け入れ、図３のプロキシサーバ５６ａと同様に、ステップ１０２で、ＨＴＭＬリンクとともにＴＲＹＩＮＧメッセージを伝送する。ステップ１０４では、ブラウザ５０ａはＨＴＭＬリンクを解釈するよう試み、ステップ１０６で、格納されたボイスクッキーとともに要求をウェブサーバ５７に伝送する。ステップ１０８では、ボイスクッキーが、通話を経路指定する最も正確なアドレスを判定する際に使用するために、リダイレクトサーバに伝送される。ウェブサーバ５７はさらに、ブラウザ１１０で表示するため、ＨＴＭＬのコンテンツを伝送することができる。
【００３７】
ステップ１１２では、リダイレクトサーバ５６ｂは、アドレスを発呼側エンドポイント５０に返送し、発呼側エンドポイント５０は、アドレスの受領をＡＣＫ要求によって確認する。ステップ１１４では、発呼側エンドポイント５０は、新しいＩＮＶＩＴＥ要求をリダイレクトサーバ５６ｂから返送されたアドレスに送出する。通話が成功する場合、被呼側エンドポイント５２はＯＫ応答を伝送し、発呼側エンドポイント５０は、ＡＣＫ要求を用いてハンドシェイクを完了する。ステップ１１６では、発呼側と被呼側のエンドポイント５０、５２のユーザ間の音声会話がそれぞれの送受話器６０、６２を介して行われる。
【００３８】
図３と図４で例示した実施形態では、ＨＴＭＬリンク１０２を、プロキシまたはリダイレクトＳＩＰサーバ５６ａ、５６ｂからの応答ＳＩＰメッセージで伝送するが、当業者は、当技術分野で知られている他のメカニズムもリンクを伝送するために利用することができることを理解すべきである。たとえば、リンクをインスタントメッセージの中でＳＩＰサーバによって伝送することができる。この例によると、インスタンスメッセージは発呼者に対して、リンクを選択し通話を続けるように指示することができる。リンクを起動することによって、格納されたボイスクッキーとともに、ＨＴＴＰ要求のウェブサーバへの伝送を行うことができる。
【００３９】
図５は、本発明の一実施形態による、被呼側エンドポイントのアドレスを判定するための機能的ブロック図である。ロケーションサービス１００は、発呼側エンドポイントからＩＮＶＩＴＥメッセージ情報１０２を受信することが好ましい。その情報は、被呼側エンドポイントの一般的なＳＩＰ ＵＲＬを含むことが好ましい。ロケーションサーバ１００はさらに、ウェブサーバ５７から転送されるボイスクッキー情報１０４を受信する。ロケーションサーバ１００は、経路指定情報とボイスクッキー情報に応じてアドレス１０６を生成する。アドレスは、たとえば、特定のＩＰアドレスとすることができる。
【００４０】
ロケーションサービスは、プロキシサーバ５６ａまたはリダイレクトサーバ５６ｂに存在するソフトウェアモジュールであることが好ましい。あるいは、ロケーションサービスは、プロキシまたはリダイレクトサーバのいずれか一方と結合するロケーションサーバ５８に存在するソフトウェアモジュールとすることができる。しかし、当業者は、ロケーションサービスがファームウェア、ハードウェア、あるいはソフトウェア、ファームウェア、および／またはハードウェアのあらゆる組合せによっても、実装することができることを理解すべきである。
【００４１】
図６は、本発明の一実施形態によるＳＩＰ通話セットアップのためのプロセスの流れ図である。プロセスが開始すると、ステップ２１０で、ＳＩＰサーバ５６は、発呼側エンドポイント５０からＳＩＰ ＩＮＶＩＴＥの形の通話確立メッセージを含む入力ＳＩＰ通話を受信する。一例では、ＳＩＰサーバ５６を「ｓｉｐａｃｍｅ．ｃｏｍ．」に配置することができる。ＳＩＰ ＩＮＶＩＴＥメッセージは、ヘッダの中に標準的な経路指定情報を含んでいる。ステップ２１２では、ＳＩＰサーバ５６は、通話をよりインテリジェントに経路指定するため、発呼側エンドポイントに格納されたボイスクッキーの検索を行う。この点で、ＳＩＰサーバ５６はＨＴＭＬリンクを、ＳＩＰ応答メッセージの一部として、または、たとえばインスタントメッセージなどの、スタンドアロン通信のいずれかで、発呼側エンドポイント５０に伝送する。たとえば、ＨＴＭＬリンクを「ａ．ａｃｍｅ．ｃｏｍ．」とすることができる。
【００４２】
ステップ２１４では、発呼側のエンドポイントに存在するブラウザは、提供されたドメイン名に関連付けられたボイスクッキーが発呼側エンドポイントに存在するかどうかを判定する。この点で、ブラウザは、ボイスクッキー情報が格納されていることが知られている、特定のファイル名、ファイル拡張子などを検索することができる。所与の例では、ブラウザは、ドメイン「．ａｃｍｅ．ｃｏｍ．」に関連付けられたすべてのボイスクッキーを求めて、クッキーディレクトリを検索することができる。
【００４３】
ドメインに関連付けられたボイスクッキーが存在する場合、ステップ２１６で、ボイスクッキーは、発呼側エンドポイントからウェブサーバに、ＨＴＭＬリンクを解釈するための発呼側エンドポイントのＨＴＴＰ要求の中で伝送される。ステップ２１８では、ウェブサーバ５７は、受信したボイスクッキーをＳＩＰサーバに転送する。
【００４４】
ステップ２２０では、ＳＩＰサーバ５６は、ＳＩＰ ＩＮＶＩＴＥメッセージとボイスクッキー情報の経路指定情報に応じて、被呼側エンドポイントのアドレスを判定する。たとえば、ボイスクッキー情報が、通話の経路指定先の特定の部門または販売員を指示する可能性がある。ステップ２２２では、ＳＩＰサーバは、通話を判定されたアドレスに基づいて被呼側エンドポイントに経路指定する。
【００４５】
ステップ２２４では、新しいボイスクッキー情報を発呼側エンドポイントに書き込む必要があるかどうかが判定される。応答がＹＥＳ（はい）の場合、ステップ２２６で、新しいボイスクッキー情報は、今後の通話の経路指定に使用するため、発呼側エンドポイントに書き込まれる。この点で、ＳＩＰサーバ５６は、ボイスクッキーの新しいまたは更新された値を、発呼側エンドポイントに対するＨＴＴＰ応答に値をセットする、ウェブサーバ５７に伝送する。
【００４６】
本発明の一実施形態によると、ＳＩＰサーバ５６は、さらに、たとえば、「ａｃｍｅ．ｃｏｍ」などの特定のウェブサイトのブラウザ動作に基づいて、ＳＩＰエンドポイント、またはＰＳＴＮを介して従来の非ＳＩＰ電話に接続するＳＩＰ−公衆交換電話網（ＰＳＴＮ）ゲートウェイに対してアウトバウンド通話を開始することができる。たとえば、特定のブラウザ動作とは、破棄されたショッピングカートである可能性がある。
【００４７】
検出されたブラウザ動作に応答して、ウェブサイトは、たとえば、「ａ．ａｃｍｅ．ｃｏｍ．」などのウェブサーバ５７と関連付けられたＨＴＭＬリンク７４をエンドポイントに伝達する。ＨＴＭＬリンクを解釈して、エンドポイントはボイスクッキーとともにＨＴＴＰ要求をウェブサーバ５７に伝送する。ボイスクッキーは、たとえば、ウェブサイト上の最近のユーザの活動に関連付けられたものとすることができる。ウェブサーバ５７は、そのクッキーをＳＩＰサーバ５６に転送し、次いでＳＩＰサーバ５６は、アウトバウンド通話をユーザのほか、適切な販売員に対しても開始する。本発明の一実施形態によると、ＳＩＰサーバ５６は、アウトバウンド通話を開始する際、受信したボイスクッキーの全体または一部を販売員に伝送する。
【００４８】
本発明をある特定の実施形態で記述してきたが、当業者にとって、本発明の範囲および趣旨を決して逸脱することなく、変形形態を考案することは難しくないであろう。したがって本発明は、具体的に記述したものとは別の方法でも実施することができること理解されたい。すなわち、本発明の本実施形態は、すべての点で、例示しているものであり、限定するものではないものと見なすべきであり、本発明の範囲は前述の説明ではなく添付の請求項およびその相当部分によって指示される。
【図面の簡単な説明】
【図１Ａ】一般的なプロキシＳＩＰサーバを使用して、ＳＩＰ通話を確立する機能的ブロック図である。
【図１Ｂ】一般的なリダイレクトＳＩＰサーバを使用して、ＳＩＰ通話を確立するための代替方法の機能的ブロック図である。
【図２】本発明の一実施形態によるセッション開始プロトコルに準拠した通信システムの概略的ブロック図である。
【図３】プロキシＳＩＰサーバを使用し、ボイスクッキー情報に基づきＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図である。
【図４】リダイレクトＳＩＰサーバを使用し、ボイスクッキー情報に基づきＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図である。
【図５】引き出されたボイスクッキー情報に基づきアドレス情報を判定するための機能的ブロック図である。
【図６】本発明の一実施形態によるＳＩＰ通話のセットアップのためのプロセスの流れ図である。
【符号の説明】
５０ 発呼側エンドポイント
５０ａ ブラウザ
５２ 被呼側エンドポイント
５４ 公衆インターネット
１０、５６ａ プロキシサーバ
５６ｂ リダイレクトサーバ
５７ ウェブサーバ
１００ ロケーションサービス
１０２ ＩＮＶＩＴＥメッセージ経路指定情報
１０４ ボイスクッキー情報
１０６ アドレス
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にインターネットテレフォニシステムに関し、より詳細には、セッション開始プロトコルに準拠するインターネットテレフォニシステムのインテリジェント通話の経路指定に関する。
【０００２】
【従来の技術】
本出願は、２００１年４月４日出願の米国仮出願第６０／２８１８８５号の優先権を主張し、その内容を参照によって本明細書に組み込む。
【０００３】
セッション開始プロトコル（ＳＩＰ：Ｓｅｓｓｉｏｎ ＩｎｉｔｉａｔｉｏｎＰｒｏｔｏｃｏｌ）は、１つまたは複数のＳＩＰエンドポイントとのインターネット電話の通話を含むマルチメディアセッションの生成、変更、および終了を行うためのシグナリングプロトコルである。ＳＩＰシグナリングプロトコルについての詳細は、１９９９年３月の「ＳＩＰ：Ｓｅｓｓｉｏｎ Ｉｎｉｔａｔｉｏｎ Ｐｒｏｔｏｃｏｌ（ＳＩＰ：セッション開始プロトコル）」と題する、ＩＥＴＦ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｅｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇ Ｔａｓｋ Ｆｏｒｃｅ）のＲＦＣ（Ｒｅｑｕｅｓｔ ｆｏｒ Ｃｏｍｍｅｎｔ）２５４３で述べられており（これ以後、ＲＦＣ ２５４３と呼ぶ）、それを参照によって本明細書に組み込む。ＳＩＰは、ＰＢＸまたはＨ．３２３でシグナリングするテレフォニに対する代替形態を提供する。
【０００４】
ＳＩＰエンドポイントは、互いに直接、通話を行うことができるが、プロキシおよびリダイレクトサーバを含むＳＩＰサーバは、一般的に通話設定プロセスの際に通話の経路指定を行う。そのような通話の経路指定は、発呼側エンドポイントから発信される、ＩＮＶＩＴＥメッセージと呼ばれる、通話確立メッセージに応答して、被呼側エンドポイントを確かめることを含む。ＩＮＶＩＴＥメッセージは、確かめられた被呼側エンドポイントに、または、発呼側エンドポイントに返送される、確かめられた被呼側エンドポイントのアドレスに転送される。
【０００５】
図１Ａは、一般的なプロキシＳＩＰサーバ１０を介して、ＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図である。ステップ３０では、プロキシサーバ１０は、発呼側エンドポイント１５からの招待を、ＩＮＶＩＴＥ要求の形で受信する。ＩＮＶＩＴＥ要求は、「Ｆｒｏｍ（発呼側）：」、「Ｔｏ（被呼側）：」、「Ｃｏｎｔａｃｔ（発呼側連絡先）：」、およびＩＮＶＩＴＥメッセージヘッダ内の他の標準的なフィールドの経路指定情報を含んでいる。メッセージヘッダの「Ｔｏ：」フィールドは、被呼側エンドポイント２０に関連付けられた一般的なＳＩＰＵＲＬを含んでいる。
【０００６】
プロキシサーバ１０は、ＩＮＶＩＴＥ要求を受け入れ、ステップ３２では、ＳＩＰメッセージヘッダの経路指定情報に基づいて通話の経路指定を行うため、ロケーションサーバ２５を使用することが好ましい。この点で、ロケーションサーバ２５は、被呼側エンドポイントに関連付けられたＳＩＰ ＵＲＬを検索し、ＵＲＬを正確なアドレスに転換する。一例として、たとえば「ｓａｌｅｓ＠ａｃｍｅ．ｃｏｍ」などの、一般的なＳＩＰ ＵＲＬ向けの通話を、たとえば、「ｂｏｂ＠ｎｙ．ａｃｍｅ．ｃｏｍ」などの特定の人物向けに転換することができる。ステップ３４で、検索されたアドレス情報は、プロキシサーバ１０に伝送される。
【０００７】
ステップ３６では、プロキシサーバ１０は、第２のＩＮＶＩＴＥ要求をより正確なアドレスに送出する。被呼側エンドポイント２０は、第２のＩＮＶＩＴＥ要求を受信し、要求されたユーザを、たとえば、ユーザの電話のベルを鳴らすことによって呼び出す。呼出しが応答された場合、被呼側エンドポイント２０は、ステップ３８でプロキシサーバ１０にＯＫ応答を介して成功表示を返送する。ステップ４０では、プロキシサーバ１０は、ＯＫ応答を発呼側エンドポイント１５に転送する。ステップ４２では、ＡＣＫ要求をプロキシサーバ１０に伝送することによって、成功結果の受領が発呼側エンドポイント１５で確認され、次いでステップ４４で、ＡＣＫ要求が被呼側エンドポイント２０に転送される。
【０００８】
図１Ｂは、一般的なリダイレクトＳＩＰサーバ４７を使用してＳＩＰ通話を確立するための代替方法の機能的ブロック図である。ステップ３１では、リダイレクトサーバ４７は、ＩＮＶＩＴＥ要求を受け入れ、ステップ３３で、図１Ａのプロキシサーバ１０と同様に、ＩＮＶＩＴＥメッセージヘッダの経路指定情報に基づいて通話の経路指定を行うため、ロケーションサーバ２５とコンタクトする。リダイレクトサーバ４７は、ステップ３５で受け取った新しく発見されたアドレスに直接コンタクトする代わりに、ステップ３７で、そのアドレスを発呼側エンドポイント１５に返送する。ステップ３９で、発呼側エンドポイント１５は、アドレスの受領をＡＣＫ要求によって確認する。
【０００９】
ステップ４１では、発呼側エンドポイント１５は、新しいＩＮＶＩＴＥ要求を、リダイレクトサーバ３０から戻されたアドレスに送出する。通話に成功する場合、被呼側エンドポイント２０は、ステップ４３でＯＫ応答を伝送し、発呼側エンドポイント１５は、ステップ４５でＡＣＫ要求を用いてハンドシェイクを完了する。
【００１０】
現在のＳＩＰ通話の経路指定の１つの制約は、ＩＮＶＩＴＥメッセージヘッダ内の標準的な経路指定フィールドから推定することができる発呼者の意図についての情報が限定されることである。通話の経路指定のための通話の意図情報をさらに収集するため、従来のアプローチでは、しばしば、ＩＶＲ（Ｉｎｔｅｒａｃｔｉｖｅ ｖｏｉｃｅ ｒｅｓｐｏｎｓｅ：対話型音声応答）システムを利用し、発呼者は、促されて、二重トーン多重周波数（ＤＴＭＦ：ｄｕａｌ ｔｏｎｅｍｕｌｔｉ−ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ）の数字の選択によって発呼者の意図についての情報をさらに提供する。たとえば、一般的なアドレスに通話を行う人は、アカウント情報を入力し、顧客サービス、販売、またはマーケティング部門などの特定の部門を選択するように求められる可能性があり、次いで通話は、その部門に適切に経路指定される。発呼者の意図情報をさらに確かめるためにＩＶＲシステムを使用することは、発呼者にとって非常に厄介で、不便であり、メッセージの交換およびデータベースのルックアップをさらに必要とするので、通話設定時間が長くなる。
【００１１】
新しいシステムでは、発呼者の意図を推定するため、ＩＶＲ指示に応答する音声認識技術を採用することができる。しかし、そのような音声認識技術も、発呼者にとって、煩雑で不便であり、エラーが出やすく、さらに通話設定時間が長くなる。
【００１２】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、入力通話のインテリジェントな経路指定のため、発呼者の意図情報を確かめるためのより効率的なシステムおよび方法が必要とされている。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発呼者から収集した情報を使用する、ＳＩＰ通話とも呼ばれる、ＳＩＰセッションをインテリジェントに経路指定するためのシステムおよび方法を対象としている。一実施形態では、本発明は、第１のデバイスと第２のデバイス間でＳＩＰセッションを確立するための方法を対象としており、その方法は、第１のデバイスから通話確立メッセージを受信するステップと、通話確立メッセージに応答して第１のデバイスのデータストアから発呼者の意図情報を検索するステップと、発呼者の意図情報を使用して第２のデバイスのアドレスを判定するステップと、アドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定するステップとを含んでいる。
【００１４】
別の実施形態では、本発明は、第１のデバイスと第２のデバイス間でＳＩＰセッションを確立するための方法を対象としており、その方法は、ＳＩＰセッションを確立するために第１のデバイスから通話確立メッセージを受信するステップと、その通話確立メッセージに応答し第１のデバイスに格納された情報を検索するステップと、その検索された情報に基づいて第２のデバイスのアドレスを判定するステップと、そのアドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定するステップとを含んでいる。
【００１５】
他の実施形態では、本発明は、第１のデバイスと第２のデバイス間でＳＩＰセッションを確立するための方法を対象としており、その方法は、ＳＩＰセッションを確立するために第１のデバイスから通話確立メッセージを受信するステップと、第１のデバイスに格納された情報の検索を行うためにサーバのアドレスを第１のデバイスに伝送するステップと、第１のデバイスから検索された情報を受信するステップと、検索された情報に基づいて第２のデバイスのアドレスを判定するステップと、そのアドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定するステップとを含んでいる。
【００１６】
別の実施形態では、本発明は、ＳＩＰプロトコルに準拠する通信システムを対象としており、そのシステムは、第１のデバイス、第２のデバイス、および第１のデバイスと第２のデバイス間で動作するサーバを含んでいる。第１のデバイスは、ＳＩＰセッションを確立するため、サーバに対して通話確立メッセージを伝送する。サーバは、その通話確立メッセージを受信し、それに応答して、第１のデバイスに格納された情報の検索を行う。サーバはさらに、検索された情報に基づいて第２のデバイスのアドレスを判定し、そのアドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定する。
【００１７】
別の実施形態では、本発明は、第１のデバイスと第２のデバイス間でＳＩＰセッションを確立する通信ネットワークの第１のサーバであって、第２のサーバと結合した第１のサーバを対象としており、第１のサーバは、第１のデバイスから通話確立メッセージを受信し、それに応答し、第１のデバイスに格納された情報の検索を行うために、第２のサーバのアドレスを第１のデバイスに伝送することを特徴としている。サーバはさらに、検索された情報に基づいて第２のデバイスのアドレスを判定し、そのアドレスを使用してＳＩＰセッションを第２のデバイスに経路指定する。
【００１８】
したがって、本発明は、標準的な経路指定情報のみを使用するときよりも、被呼者アドレスのインテリジェントな判定を可能にすることを理解されたい。発呼側デバイスから検索される付加的な情報によって、ユーザのプロファイル、習慣、通話の意図などがより良く理解されるため、最適な被呼者をより良く決定するように通話が処理される。
【００１９】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、ならびに利点は、以下の詳細な説明、添付の請求項、および添付図面とともに考慮するとき、より十分に理解されよう。
【００２０】
【発明の実施の形態】
図２は、本発明の一実施形態による、セッション開始プロトコル（ＳＩＰ）に準拠した通信システムのブロック図である。システムは、たとえば、公衆インターネット５４などのワイドエリアネットワークを介し、被呼側エンドポイント５２向けの通話を開始する発呼側エンドポイント５０を含んでいる。発呼側エンドポイント５０、被呼側エンドポイント５２、およびインターネット５４は、ＲＦＣ ２５４３に記述されているＳＩＰシグナリングプロトコルに準拠していることが好ましい。
【００２１】
発呼側および被呼側エンドポイント５０、５２は、ＳＩＰ対応電話機、携帯電話、パーソナルコンピュータ、スイッチ、ルータ、および／または同様のものなどであることが好ましい。各発呼側および被呼側エンドポイントは、たとえば、入力ケーブル、キーボード、キーパッドなど入力データを受け取る入力デバイス５９、６５と関連付けられている。さらに各発呼側および被呼側エンドポイントは、たとえば、出力ケーブル、ディスプレイなどの出力データを提供する出力デバイス６１、６３と関連付けられている。発呼側および被呼側エンドポイント５０、５２はさらに、音声データを受信および送信し、かつ発呼者と被呼者間で音声会話を可能にする送受話器６０、６２と関連付けられていることが好ましい。
【００２２】
図２の通信システムはさらに、発呼側と被呼側エンドポイント５０、５２間のＳＩＰ通話を経路指定するＳＩＰサーバ５６を含むことが好ましい。ＳＩＰサーバ５６は、図１Ａ〜１Ｂのプロキシおよびリダイレクトサーバ１０、４７と同様のプロキシサーバまたはリダイレクトサーバであることが好ましい。しかし、ＳＩＰサーバ５６は、ユーザのプロファイル、習慣、通話の意図などをより良く理解するため、これ以後ボイスクッキー情報と呼ぶ、発呼側エンドポイントから検索される発呼者に関連付けられた情報を使用する機能が拡張されている。ＳＩＰサーバ５６は、検索されたクッキー情報に基づいてＳＩＰ通話を経路指定することが好ましい。
【００２３】
ＳＩＰサーバ５６は、ロケーションサーバ５８およびウェブサーバ５７と結合されることが好ましい。ロケーションサーバは、ＳＩＰ通話の経路指定のために使用される位置情報を含んでいる。ロケーションサーバは、図１Ａ〜１Ｂのロケーションサーバ２５と同様なものとすることができる。
【００２４】
ウェブサーバ５７は、発呼側エンドポイント５０からのＨＴＴＰ要求の受信および処理を行う機能のあるハイパーテキストトランスファプロトコル（ＨＴＴＰ：ｈｙｐｅｒｔｅｘｔ ｔｒａｎｓｆｅｒ ｐｒｏｔｏｃｏｌ）サーバであることが好ましい。一実施形態によると、ウェブサーバ５７は、ＳＩＰサーバ５６と同じドメインを共有する。ウェブサーバ５７は、ＨＴＴＰ要求の中で伝送されるボイスクッキーを受信し、そのクッキーをＳＩＰサーバ５６に転送する機能を含んでいる。ウェブサーバ５７はさらに、ＳＩＰサーバからの新しいボイスクッキーを受信し、発呼側エンドポイントへのＨＴＴＰ応答の中にクッキーを書き込む機能を含んでいる。
【００２５】
本発明の一実施形態によると、ウェブサーバ５７、ＳＩＰサーバ５６、および／またはロケーションサーバ５８は、単一のマシンに存在する。別の実施形態では、サーバは、互いに、ローカルエリアネットワーク、専用ワイドエリアネットワーク、または公衆インターネット５４を介して結合された２つまたは３つの別個のマシンに存在する。
【００２６】
通常、ＳＩＰサーバ５６は、よりインテリジェントに入力ＳＩＰ通話を経路指定するために、発呼側エンドポイントのボイスクッキーの検索を行う。ボイスクッキーは、一例として、名前、住所、電話番号、電子メールのアドレス、アカウント番号、取引履歴、請求履歴、部門名または選択、販売員の好みまたは選択、言語の好みまたは選択、製品の好みまたは選択、あるいは、たとえば通常、対話型音声応答システムによって収集される発呼者の意図情報、ユーザのプロファイル情報、ユーザの習慣情報、またはウェブサイトのドメインに関連付けられた従来のブラウザクッキーに含まれる情報などの、通話を経路指定するために使用することのできる他のあらゆる情報を含むことができる。
【００２７】
ボイスクッキー情報は、種々のメカニズムにより発呼側エンドポイントに格納されることが好ましい。例を挙げると、クッキーは、たとえば登録のページなどの特定のウェブサイトまたはウェブサイトの特定のページを訪ねるユーザから預かることができる。ボイスクッキー情報は、どのくらいの頻度で、特定の発呼者がそのウェブサイトを訪れているか、ショッピングカードの中の現在の項目、またはそのウェブサイトから購入した品物のあるドルベースの金額を指し示すことができる。このシナリオでは、ボイスクッキーをブラウザクッキーと同一なものとすることができ、ＳＩＰサーバ５６は、ウェブサイト上のユーザの最近の、そして過去の活動に基づいて通話を経路指定することが可能である。
【００２８】
付加的なボイスクッキー情報は、ＳＩＰ通話中または通話後に、ＳＩＰサーバ５６または発呼側エンドポイント５０が書き込むことができる。たとえば、付加的なボイスクッキー情報は、取引履歴情報、通話履歴情報、被呼側販売員情報および／または同種類のものを更新することができる。
【００２９】
図３は、ボイスクッキー情報に基づきＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図であり、ＳＩＰサーバ５６はプロキシサーバ５６ａである。ステップ７０では、プロキシサーバ５６ａは、発呼側エンドポイント５０からＩＮＶＩＴＥメッセージを受信する。ＩＮＶＩＴＥ要求は、「Ｆｒｏｍ：」、「Ｔｏ：」、「Ｃｏｎｔａｃｔ：」、およびＩＮＶＩＴＥメッセージヘッダ内の他のフィールドの中に標準的な経路指定情報を含んでいることが好ましい。
【００３０】
プロキシサーバ１０はＩＮＶＩＴＥメッセージを受け入れ、ステップ７２で、通話のための動作が行われているが、被呼者はまだ確かめられていないことを指し示すため、ＴＲＹＩＮＧ（試行）メッセージを発呼側エンドポイントに伝送することが好ましい。この試行メッセージとともに、プロキシサーバ５６ａはさらに、関連したボイスクッキーを検索するため、ウェブサーバ５７に関連付けられたハイパーテキストマークアップ言語（ＨＴＭＬ：ｈｙｐｅｒｔｅｘｔ ｍａｒｋｕｐ ｌａｎｇｕａｇｅ）のリンクを伝送することが好ましい。ＨＴＭＬリンクは、ＴＲＹＩＮＧメッセージのＳＩＰメッセージ本体部分で伝送されることが好ましい。
【００３１】
ステップ７４では、発呼側エンドポイントは、ブラウザ５０ａを呼び出し、ＨＴＭＬリンクの解釈を試みる。そのようにして、ステップ７６で、ブラウザ５０ａは、ＨＴＭＬリンクのＵＲＬに関連付けられたすべてのクッキーとともにＨＴＴＰ要求をウェブサーバ５７に送出する。ステップ７８では、ウェブサーバ５７は、受信したクッキーを要求元のプロキシサーバ５６ａに転送する。ステップ８０では、ウェブサーバ５７は、任意選択でブラウザ５０ａによる解釈のためにＨＴＭＬのコンテンツを伝送する。
【００３２】
ボイスクッキー情報の転送は、発呼者に対してトランスペアレントな仕方で行われることが好ましい。さらに、当技術分野で通常的である適切なディジタル暗号化および署名技術を採用することによって、ボイスクッキーに対するアクセス許可を確実なものとし、さらにボイスクッキーが本物であることを保証することができる。
【００３３】
プロキシサーバ５６ａは、ＩＮＶＩＴＥメッセージに含まれる経路指定情報とともに検索したボイスクッキー情報を使用して、通話の経路指定先の最も正確なアドレスを判定する。たとえば、通話が顧客販売部門向けで、ボイスクッキー情報が発呼者と話した、前回の顧客販売担当者の名前を含む場合、プロキシサーバ５６ａは、自動的に通話を、利用可能ないずれかの担当者ではなくその顧客販売担当者に経路指定する。
【００３４】
ステップ８１では、プロキシサーバ５６ａは第２のＩＮＶＩＴＥメッセージを確かめられたアドレスに送出する。検索されたボイスクッキー情報もまた、ＩＮＶＩＴＥメッセージの本体で発呼側エンドポイントに提供することができる。このことは、たとえば、被呼側エンドポイント５２の顧客担当者と、特定のウェブサイトで購入する商品について、通話を行う発呼側エンドポイント５０の発呼者との間の話し合いを容易なものとするため、望ましいものとなる可能性がある。商品情報を、ユーザがウェブサイトをナビゲートして品物を電子ショッピングカートに入れるとき、発呼側エンドポイントにボイスクッキー情報として格納することができる。
【００３５】
被呼側エンドポイント５２は、第２のＩＮＶＩＴＥメッセージを受信し、要求のユーザを、たとえば、ユーザの電話を鳴らすことによって呼び出す。通話が応答される場合、ステップ８２で、被呼側エンドポイント５２は、成功表示をプロキシサーバ５６ａに、ＯＫ応答によって返送する。ステップ８４では、プロキシサーバ５６ａは、ＯＫ応答を発呼側エンドポイント５０に転送する。ステップ８６では、成功結果の受取りは、ＡＣＫ要求をプロキシサーバ５６ａに伝送することによって発呼側エンドポイント５０で確認され、次いでステップ８８で、ＡＣＫ要求が被呼側エンドポイント５２に転送される。ステップ９０では、発呼側と被呼側のエンドポイント５０、５２のユーザ間の音声会話がそれぞれの送受話器６０、６２を介して行われる。
【００３６】
図４は、本発明の別の実施形態による、ＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図であり、ＳＩＰサーバ５６はリダイレクトサーバ５６ｂである。ステップ１００では、リダイレクトサーバ５６ｂは、ＩＮＶＩＴＥメッセージを受け入れ、図３のプロキシサーバ５６ａと同様に、ステップ１０２で、ＨＴＭＬリンクとともにＴＲＹＩＮＧメッセージを伝送する。ステップ１０４では、ブラウザ５０ａはＨＴＭＬリンクを解釈するよう試み、ステップ１０６で、格納されたボイスクッキーとともに要求をウェブサーバ５７に伝送する。ステップ１０８では、ボイスクッキーが、通話を経路指定する最も正確なアドレスを判定する際に使用するために、リダイレクトサーバに伝送される。ウェブサーバ５７はさらに、ブラウザ１１０で表示するため、ＨＴＭＬのコンテンツを伝送することができる。
【００３７】
ステップ１１２では、リダイレクトサーバ５６ｂは、アドレスを発呼側エンドポイント５０に返送し、発呼側エンドポイント５０は、アドレスの受領をＡＣＫ要求によって確認する。ステップ１１４では、発呼側エンドポイント５０は、新しいＩＮＶＩＴＥ要求をリダイレクトサーバ５６ｂから返送されたアドレスに送出する。通話が成功する場合、被呼側エンドポイント５２はＯＫ応答を伝送し、発呼側エンドポイント５０は、ＡＣＫ要求を用いてハンドシェイクを完了する。ステップ１１６では、発呼側と被呼側のエンドポイント５０、５２のユーザ間の音声会話がそれぞれの送受話器６０、６２を介して行われる。
【００３８】
図３と図４で例示した実施形態では、ＨＴＭＬリンク１０２を、プロキシまたはリダイレクトＳＩＰサーバ５６ａ、５６ｂからの応答ＳＩＰメッセージで伝送するが、当業者は、当技術分野で知られている他のメカニズムもリンクを伝送するために利用することができることを理解すべきである。たとえば、リンクをインスタントメッセージの中でＳＩＰサーバによって伝送することができる。この例によると、インスタンスメッセージは発呼者に対して、リンクを選択し通話を続けるように指示することができる。リンクを起動することによって、格納されたボイスクッキーとともに、ＨＴＴＰ要求のウェブサーバへの伝送を行うことができる。
【００３９】
図５は、本発明の一実施形態による、被呼側エンドポイントのアドレスを判定するための機能的ブロック図である。ロケーションサービス１００は、発呼側エンドポイントからＩＮＶＩＴＥメッセージ情報１０２を受信することが好ましい。その情報は、被呼側エンドポイントの一般的なＳＩＰ ＵＲＬを含むことが好ましい。ロケーションサーバ１００はさらに、ウェブサーバ５７から転送されるボイスクッキー情報１０４を受信する。ロケーションサーバ１００は、経路指定情報とボイスクッキー情報に応じてアドレス１０６を生成する。アドレスは、たとえば、特定のＩＰアドレスとすることができる。
【００４０】
ロケーションサービスは、プロキシサーバ５６ａまたはリダイレクトサーバ５６ｂに存在するソフトウェアモジュールであることが好ましい。あるいは、ロケーションサービスは、プロキシまたはリダイレクトサーバのいずれか一方と結合するロケーションサーバ５８に存在するソフトウェアモジュールとすることができる。しかし、当業者は、ロケーションサービスがファームウェア、ハードウェア、あるいはソフトウェア、ファームウェア、および／またはハードウェアのあらゆる組合せによっても、実装することができることを理解すべきである。
【００４１】
図６は、本発明の一実施形態によるＳＩＰ通話セットアップのためのプロセスの流れ図である。プロセスが開始すると、ステップ２１０で、ＳＩＰサーバ５６は、発呼側エンドポイント５０からＳＩＰ ＩＮＶＩＴＥの形の通話確立メッセージを含む入力ＳＩＰ通話を受信する。一例では、ＳＩＰサーバ５６を「ｓｉｐａｃｍｅ．ｃｏｍ．」に配置することができる。ＳＩＰ ＩＮＶＩＴＥメッセージは、ヘッダの中に標準的な経路指定情報を含んでいる。ステップ２１２では、ＳＩＰサーバ５６は、通話をよりインテリジェントに経路指定するため、発呼側エンドポイントに格納されたボイスクッキーの検索を行う。この点で、ＳＩＰサーバ５６はＨＴＭＬリンクを、ＳＩＰ応答メッセージの一部として、または、たとえばインスタントメッセージなどの、スタンドアロン通信のいずれかで、発呼側エンドポイント５０に伝送する。たとえば、ＨＴＭＬリンクを「ａ．ａｃｍｅ．ｃｏｍ．」とすることができる。
【００４２】
ステップ２１４では、発呼側のエンドポイントに存在するブラウザは、提供されたドメイン名に関連付けられたボイスクッキーが発呼側エンドポイントに存在するかどうかを判定する。この点で、ブラウザは、ボイスクッキー情報が格納されていることが知られている、特定のファイル名、ファイル拡張子などを検索することができる。所与の例では、ブラウザは、ドメイン「．ａｃｍｅ．ｃｏｍ．」に関連付けられたすべてのボイスクッキーを求めて、クッキーディレクトリを検索することができる。
【００４３】
ドメインに関連付けられたボイスクッキーが存在する場合、ステップ２１６で、ボイスクッキーは、発呼側エンドポイントからウェブサーバに、ＨＴＭＬリンクを解釈するための発呼側エンドポイントのＨＴＴＰ要求の中で伝送される。ステップ２１８では、ウェブサーバ５７は、受信したボイスクッキーをＳＩＰサーバに転送する。
【００４４】
ステップ２２０では、ＳＩＰサーバ５６は、ＳＩＰ ＩＮＶＩＴＥメッセージとボイスクッキー情報の経路指定情報に応じて、被呼側エンドポイントのアドレスを判定する。たとえば、ボイスクッキー情報が、通話の経路指定先の特定の部門または販売員を指示する可能性がある。ステップ２２２では、ＳＩＰサーバは、通話を判定されたアドレスに基づいて被呼側エンドポイントに経路指定する。
【００４５】
ステップ２２４では、新しいボイスクッキー情報を発呼側エンドポイントに書き込む必要があるかどうかが判定される。応答がＹＥＳ（はい）の場合、ステップ２２６で、新しいボイスクッキー情報は、今後の通話の経路指定に使用するため、発呼側エンドポイントに書き込まれる。この点で、ＳＩＰサーバ５６は、ボイスクッキーの新しいまたは更新された値を、発呼側エンドポイントに対するＨＴＴＰ応答に値をセットする、ウェブサーバ５７に伝送する。
【００４６】
本発明の一実施形態によると、ＳＩＰサーバ５６は、さらに、たとえば、「ａｃｍｅ．ｃｏｍ」などの特定のウェブサイトのブラウザ動作に基づいて、ＳＩＰエンドポイント、またはＰＳＴＮを介して従来の非ＳＩＰ電話に接続するＳＩＰ−公衆交換電話網（ＰＳＴＮ）ゲートウェイに対してアウトバウンド通話を開始することができる。たとえば、特定のブラウザ動作とは、破棄されたショッピングカートである可能性がある。
【００４７】
検出されたブラウザ動作に応答して、ウェブサイトは、たとえば、「ａ．ａｃｍｅ．ｃｏｍ．」などのウェブサーバ５７と関連付けられたＨＴＭＬリンク７４をエンドポイントに伝達する。ＨＴＭＬリンクを解釈して、エンドポイントはボイスクッキーとともにＨＴＴＰ要求をウェブサーバ５７に伝送する。ボイスクッキーは、たとえば、ウェブサイト上の最近のユーザの活動に関連付けられたものとすることができる。ウェブサーバ５７は、そのクッキーをＳＩＰサーバ５６に転送し、次いでＳＩＰサーバ５６は、アウトバウンド通話をユーザのほか、適切な販売員に対しても開始する。本発明の一実施形態によると、ＳＩＰサーバ５６は、アウトバウンド通話を開始する際、受信したボイスクッキーの全体または一部を販売員に伝送する。
【００４８】
本発明をある特定の実施形態で記述してきたが、当業者にとって、本発明の範囲および趣旨を決して逸脱することなく、変形形態を考案することは難しくないであろう。したがって本発明は、具体的に記述したものとは別の方法でも実施することができること理解されたい。すなわち、本発明の本実施形態は、すべての点で、例示しているものであり、限定するものではないものと見なすべきであり、本発明の範囲は前述の説明ではなく添付の請求項およびその相当部分によって指示される。
【図面の簡単な説明】
【図１Ａ】一般的なプロキシＳＩＰサーバを使用して、ＳＩＰ通話を確立する機能的ブロック図である。
【図１Ｂ】一般的なリダイレクトＳＩＰサーバを使用して、ＳＩＰ通話を確立するための代替方法の機能的ブロック図である。
【図２】本発明の一実施形態によるセッション開始プロトコルに準拠した通信システムの概略的ブロック図である。
【図３】プロキシＳＩＰサーバを使用し、ボイスクッキー情報に基づきＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図である。
【図４】リダイレクトＳＩＰサーバを使用し、ボイスクッキー情報に基づきＳＩＰ通話を確立するための機能的ブロック図である。
【図５】引き出されたボイスクッキー情報に基づきアドレス情報を判定するための機能的ブロック図である。
【図６】本発明の一実施形態によるＳＩＰ通話のセットアップのためのプロセスの流れ図である。
【符号の説明】
５０ 発呼側エンドポイント
５０ａ ブラウザ
５２ 被呼側エンドポイント
５４ 公衆インターネット
１０、５６ａ プロキシサーバ
５６ｂ リダイレクトサーバ
５７ ウェブサーバ
１００ ロケーションサービス
１０２ ＩＮＶＩＴＥメッセージ経路指定情報
１０４ ボイスクッキー情報
１０６ アドレス
Claims (5)
- セッション開始プロトコル（ＳＩＰ）に準拠する通信システムであって、
第１のデバイスと、
第２のデバイスと、
前記第１のデバイスと前記第２のデバイス間で動作するサーバとを備え、前記第１のデバイスは、ＳＩＰセッションを確立するために前記サーバに、ルーティング情報を含む通話確立メッセージを伝送し、前記サーバは、前記通話確立メッセージを受信し、それに応答して、前記第１のデバイスに格納された、前記第１のデバイスのユーザのプロファイル、習慣、又は通話の意図に関連する情報の検索を前記第１のデバイスを用いて行い、前記サーバは、検索された前記情報を特定のウェブサイトを介して受信し、前記サーバはさらに、前記通話確立メッセージに含まれるルーティング情報に基づいて決定したアドレスの中から、検索された情報を用いて最も正確なアドレスを判定して、前記通話確立メッセージに含まれるルーティング情報と検索された情報に基づいて前記第２のデバイスのアドレスを判定し、かつ前記アドレスを使用して前記ＳＩＰセッションを前記第２のデバイスに経路指定することを特徴とするシステム。 - 前記情報が、前記第１のデバイスのユーザについて収集された情報を含む請求項１に記載のシステム。
- 前記情報が、特定のウェブサイトとの前記ユーザの対話を含む請求項１に記載のシステム。
- 前記サーバが、前記第１のデバイスによって開始される今後のＳＩＰセッションの経路指定に使用するために、前記第１のデバイスに書き込まれる新しい情報を、前記第１のデバイスへ伝送することをさらに特徴とする請求項１に記載のシステム。
- 前記サーバが、前記検索された情報を前記第２のデバイスに伝送することをさらに特徴とする請求項１に記載のシステム。
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