しかしながら、上述した従来の各技術においては、以下に示すような問題点がある。例えば、特許文献1に記載の表示装置のように、複数の光源301を用いて照射領域を複数に分割すると、照射領域の分割数以上の光源が必要になり、コストの増加と装置の大型化という課題を有する。また、各照射領域を分割するための仕切り板などの部材を配置しなければならず、照射面において、各領域を分割する仕切り板の有る部分と、仕切り板の無い部分とで、光照射量が異なってしまい、輝度ムラが発生するという課題を有する。
さらに、光源301としての冷陰極管の点灯と消灯を繰り返すと、光源301の寿命が短くなるという問題だけでなく、冷陰極管が備える蛍光体は、例えば、赤、緑、青などの蛍光体の色によって残光時間が異なるため、光源消灯時に色割れによる画質劣化が発生するという課題を有する。
また、例えば、特許文献2に記載の表示装置のように、導光板の背面に高分子分散型液晶を配置する表示装置では、一般に透過率が高くない液晶層を光が伝播することになり、特に、尾引き量、ボケ量が増加する大型のLCDなどにおいては、光の伝播距離が大きくなるため、光の損失が大きくなり、光の利用効率が悪くなる。
また、光源付近と、光源からの距離が大きいところでは、光が導光板から出射されるまでの伝播距離が異なるため、液晶層による光吸収量が異なり、面内位置によって伝播光量が異なってしまい、輝度ムラが生じるという課題を有する。
さらに、画像表示を行う液晶パネル内の液晶に到達する光は、偏光板を通過するため光量が減少しているが、導光板および高分子分散型液晶を伝播、散乱する光量は、画像表示用液晶パネルを透過してくる光量の10倍以上であり、多量の光によって高分子分散型液晶の劣化を引き起こすという課題がある。特に、冷陰極管から発せられる光に含まれる紫外光の影響が大きい。
さらに、例えば、特許文献3に記載の表示装置のように、導光板とアクチュエータとを用いた表示装置では、各画素に対応したアクチュエータをそれぞれ備えなければならず、各アクチュエータを独立に制御するために互いに分離する必要がある。このため、上記表示装置においては、各アクチュエータ間に隙間ができ、開口率が低下して光の利用効率が悪くなるとともに、同じ画面サイズのLCDに比べ解像度が劣る。さらに、アクチュエータだけで階調表現を行うために、アクチュエータの高速動作が必要であり、生産性やコストの面で課題を有する。
本発明に係る表示装置は、上記課題を解決するために、複数の画素を有する液晶パネルと、導光板を用いて前記液晶パネルに光を照射する照明装置とを備える表示装置において、前記照明装置は、前記導光板に接触して、前記導光板内における伝播光を散乱することにより、前記液晶パネルを照射する光の強度を変更する光路変更手段を備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、液晶パネルへ照射する光の強度を光路変更手段により変更することで、液晶パネルに対する光の照射期間と非照射期間とを設けることができ、液晶パネルでの動画の表示をインパルス型表示に近づけて、動画質を改善することが可能となる。
また、上記構成においては、照射状態において導光板を伝播する光が液晶パネルに照射され、非照射状態では伝播光は導光板内にて全反射している。このため、非照射状態での伝播光が導光板内にて全反射により保持されるから、液晶パネルに照射される光の瞬間輝度が上昇し、かつ、光の損失を最小限にした光利用効率の良好な表示装置を実現することができる。
前記表示装置は、さらに、前記光路変更手段が複数設けられ、前記複数の光路変更手段を、前記導光板に順次接触、または、順次非接触させる構成としてもよい。
これにより、液晶パネルの各領域部分に対して順次光の照射、非照射を切り換えることが可能であり、液晶の応答タイミングを考慮したインパルス型に近づけた良好な表示を実現することができる。
前記表示装置は、前記複数の光路変更手段を、前記液晶パネルの走査信号に同期して、前記導光板に接触、または、非接触させる構成でもよい。
これにより、液晶パネルに光を照射するタイミングにおいて、液晶の応答状態を略同一とすることができ、表示面内の表示ムラを低減することができる。
前記表示装置は、独立して前記導光板への接触、または、非接触の状態を変化させることが可能な1つの光路変更手段が、前記液晶パネルの複数の画素を照射するように、導光板に接触する構成としてもよい。
これにより、導光板と光路変更手段との接触面を大きくすることができるため、液晶パネルに照射する光量を増加させることができ、光の利用効率を向上させることが可能となる。
前記表示装置は、前記液晶パネルの走査線と平行な方向に配置される複数の光路変更手段が、前記導光板に同時に接触、または、非接触する構成としてもよい。
これにより、液晶パネルの走査線と平行に各照射領域を形成することができ、液晶パネルの線順次走査に対応した線順次照射が可能になり、さらに、光路変更手段の駆動制御を簡略化することができる。
前記表示装置は、前記導光板の光入射面と、前記液晶パネルの走査線とが略平行である構成としてもよい。
これにより、任意の光照射領域において、導光板に入射された光が光照射領域を必ず通過するため、光利用効率を向上することができる。
前記表示装置は、前記液晶パネルの液晶の応答が略完了した領域に対して光を照射するように、前記光路変更手段が前記導光板へ接触する構成としてもよい。
これにより、液晶パネルが所望の階調を示す状態で、液晶パネルへの光照射が行われるため、所望の階調表示が可能となる。
前記表示装置は、前記光路変更手段が、前記導光板に対する接触、または非接触の状態を変化させる圧電体素子を備える構成としてもよい。
これにより、導光板と光路変更手段との間での接触、非接触の状態を変化させることが、上記圧電体素子により容易に実現できる。
前記表示装置は、前記光路変更手段の前記導光板との接触面が、有機樹脂により形成される構成としてもよい。
これにより、光路変更手段と導光板との接触状態が上記有機樹脂によって良好となるため、導光板からの出射光量が増加し、光利用効率を向上することができる。
前記表示装置は、前記導光板が、光の入射される第1導光層と、該第1導光層よりも小さい屈折率を有する第2導光層とを備え、前記導光板の光入射面の対向する面に、前記第1導光層を伝播する光を、前記第2導光層にも伝播させる光反射手段を備える構成としてもよい。
これにより、伝播する光の光路長を確保することができ、第1導光層で伝播光を混合することができるので、十分に混合され均一になった光を導光板から出射することが可能となる。
前記表示装置は、前記第1導光層の屈折率がn1、前記第2導光層の屈折率がn2であって、前記第1導光層を伝播する光の前記第2導光層への入射角の大きさが、sin−1(n2/n1)以上となるように、前記導光板への入射光が設定される構成としてもよい。
これにより、導光板を伝播する光が、第1導光層で全反射して混合されるため、より均一な照明光を得ることができる。
前記表示装置は、前記導光板に光を入射する発光素子が複数設けられていてもよい。また、前記表示装置は、前記発光素子の発光色が複数色であってもよい。さらに、前記表示装置は、前記発光素子が、少なくとも1つの発光ダイオードを含むものであってもよい。
これにより、照明装置の照射強度を向上することが可能であり、さらに、発光色を複数色とすることで、色純度を高め、色再現性を向上することができる。さらに、発光ダイオードにより急峻な発光スペクトルを有する発光素子を容易に実現できるから、色再現性を向上することができる。
本発明に係る表示装置は、以上のように、複数の画素を有する液晶パネルと、導光板を用いて前記液晶パネルに光を照射する照明装置とを備える表示装置において、前記照明装置は、前記導光板に接触して、前記導光板内における伝播光を散乱することにより、前記液晶パネルを照射する光の強度を変更する光路変更手段を備えている構成である。
これにより、液晶パネルへ照射する光の強度を変更することで、液晶パネルに対する光の照射期間と非照射期間を実現することが可能となるので、液晶パネルでの動画像の表示をインパルス型表示に近づけて、動画質の改善が可能となる。
また、上記構成においては、照射状態において導光板内を伝播する光が液晶パネルに出射され、非照射状態では伝播光が導光板内にて全反射されるため、瞬間輝度を向上させて、光の損失を最小限にした光利用効率の良好な表示装置を実現することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
以下、実施の各形態により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
〔第1の実施形態〕
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。なお、各図は、理解しやすいように誇張して記載しており、実際の大きさや間隔とは異なる。
本実施形態に係る液晶表示装置は、図1に示すように、導光板100と、該導光板100の側端面に配置された光源(発光素子)101と、該導光板100の一方の表面上に配置された液晶パネル102と、該導光板100の液晶パネル102と反対側の他の表面に配置された光路制御部(光路変更手段)34とを有している。本実施形態では、導光板100と、光源101と、光路制御部34とにより、液晶パネル102に対する光の照明装置(バックライト)を構成している。
液晶パネル102は、複数の画素をマトリクス状に備え、各画素にそれぞれ印加される、LCDで表示するための映像信号に基づく信号電圧により、各画素での光の透過率をそれぞれ変化させることで、画像を表示できるようになっている。上記映像信号は、各画素での輝度を示すデータ信号、水平同期信号、垂直同期信号などを含むものである。また、液晶パネル102は、導光板100の一方の表面に近接または密着して、導光板100の一方の表面と略平行となるように装着されている。
光源101は、例えば冷陰極管であり、1本以上、例えば2本の冷陰極管が、略長方形板状の導光板100の互いに対面する各側面に、各冷陰極管からの光を導光板100内に照射するように取り付けられている。よって、各冷陰極管は、それらの長手方向が、上記液晶パネル102の各側面の長手方向に沿うようにそれぞれ設けられている。
なお、上記では、光源101として、線状光源である冷陰極管を用いた例を挙げたが、点状光源である発光ダイオードなどを用いることもでき、また、光源101を導光板100の互いに対向する2つの各側面にそれぞれ設けた例を挙げたが、1つの側面にのみ設けてもよく、さらに、液晶パネル102からの画像の輝度を高めるために、3つの各側面や、4つの各側面に光源101をそれぞれ設けることも可能である。
液晶パネル102と導光板100との間には、拡散シート、反射偏光シートなどの各種光学シートを配置してもよい(図示せず)。また、光源101の周囲を反射率の高い部材で覆うことにより、導光板100への入射光量を増加させ、光利用効率を向上することもできる。
さらに、導光板100の端面で、光源101が配置されない側端面に、ミラーや白PET(Poly Ethylene Terephthalate)などの反射部材を配置することで光利用効率を向上させてもよい。
前記光路制御部34は、導光板100に対する、接触、および非接触を択一的に作動することにより、導光板100内の伝播光の光路を変更して、導光板100の表面から液晶パネル102を照射する光の強度を変更する手段(光路変更手段)である。また、光路制御部34は、導光板100の表面から液晶パネル102への光の照射状態および非照射状態を制御する各照射領域に応じて、複数、設置されていることが好ましい。
さらに、光路制御部34は、それが導光板100に対して非接触状態のとき、光路制御部34の一方の表面が、導光板100の他方の表面(つまり、液晶パネル102とは反対側の面)に対して、近接し、かつ略平行となるように取り付けられていることが望ましい。
このような光路制御部34は、圧電体素子103と、導光板100に接触する側の圧電体素子103表面全体上に形成された、膜状の有機樹脂104とを有している。圧電体素子103は、印加される電圧により、導光板100の厚さ方向に沿って変位(伸縮)動作するように設けられた変位部である。
また、圧電体素子103のそれぞれは、液晶パネル102の走査信号に同期して、液晶の応答がほぼ完了した液晶パネル102の領域を照射するように、後述する方法によって制御される。これにより、導光板100内を伝播する光は、液晶パネル102の所望される領域に対し、所望のタイミングで導光板100から出射される。
圧電体素子103は、アルミニウム、銀、銅、白金、チタン、モリブデンなどの金属により構成される電極層と、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛などの圧電セラミクスにより構成される圧電体層とを複数それらの厚さ方向に互いに積層したもので、印加電圧に応じて変位を圧電体層の厚さ方向(つまり、導光板100の厚さ方向)に生じるものである。
また、有機樹脂104は、ポリビニルアルコールやポリイソプレンなどで構成させることができ、導光板100の他方の表面との接触(当接)により、導光板100内の伝播光の光路を変更して、導光板100の一方の表面から液晶パネル102を照射する光の強度を変更するための接触部である。
また、有機樹脂104は、光を散乱するためであって(詳細な原理は後述)、透過率の悪いカラーフィルタを使って画素を形成する必要がないので、表示に用いる可視波長域を散乱反射する白色とすることができ、光の利用効率を向上させることが可能なものである。有機樹脂104は、導光板100との接触を確実化するために弾性を備えていることが好ましく、また、光を効率よく散乱させるために白色であることが望ましい。
図2は、導光板100内にて全反射する光を示す図である。空気の屈折率をn0、導光板100の屈折率をn1、導光板100の主面Pの法線に対する入射角をθとすると、全反射条件は式1のようになり、式1を満たすθで導光板100の主面Pに入射した場合、伝播光は反射角θで全反射される。また、導光板100の側端面Qより入射される光の入射角(側端面Qの法線に対する角度)をθ0、その時の屈折角をθ1とすると、その関係は式2となり、また、θ1とθとは互いに補角の関係なので式3のように表すことができ、θとθ0の関係は式4のようになり、n0を1とすると、n1が√2より大きい場合は、導光板100の側端面の入射角によらず入射した光はすべて導光板100内で全反射する。
sinθ≧n0/n1 …式1
sinθ1=(n0/n1)sinθ0 …式2
cosθ=(n0/n1)sinθ0 …式3
(n1)2≧1+sin2θ0 …式4
導光板100の材料として一般的に用いられている材料は、光透過性に優れたポリメチルメタクリレート(PMMA)であり、その屈折率は1.49程度と、√2より大きいものである。したがって、通常、導光板100の側端面より入射された光は、導光板100内の反射による損失無く伝播し、導光板100の光入射側端面に平行な他の側端面に至るまで出射されない。
しかし、図3の(A)に示すように、圧電体素子103によって有機樹脂104が導光板100に接触している場合、導光板100内を伝播する光L11は有機樹脂104に到達し散乱される。このとき、散乱された光L12が全反射条件を満たさない場合、導光板100から出射されることになる。ここで、導光板100における全反射面でのエバネセント光は、全反射面から数波長程度漏れる。したがって、本実施形態において、接触とは有機樹脂104の表面が導光板100の表面までの距離が、伝搬する光の波長以下に配置されることである。また、波長は表示に用いられる光の波長であるため可視波長域であり、380nm〜780nmである。
また、図3の(B)に示すように、有機樹脂104が導光板100に対し非接触である場合、導光板100内を伝播する光は散乱されることなく、全反射により伝播される。ここで、圧電体素子103の励起状態は、導光板100に接触している(A)の状態、導光板100に非接触である(B)の状態のどちらでも本発明の効果は得られるが、有機樹脂104などの磨耗の影響を考慮すると、(B)の状態が励起状態であることが望ましい。
図4は、本発明と従来例との開口率の比較を示す図である。ここで、開口率とは、導光板100における、液晶パネル102が配置される面と対向する面の面積に対する、有機樹脂104と導光板100との接触面の占有面積の割合である。図4(a)は圧電体素子103および有機樹脂104を光散乱に使用した本実施形態であり、図4(b)は圧電体素子および有機樹脂を表示画素として使用した場合(上述した特許文献3のもの)である。
図4(b)において、カラー表示を行う場合、圧電体素子に特定色のみを透過するカラーフィルタを配置する必要があり、赤色フィルタ105、緑色フィルタ106、青色フィルタ107のように配置される。このため、特定色以外の光が吸収されて損失となり光の利用効率が悪くなるだけでなく、階調表現を行うために各画素を独立制御する必要があるから、多数の各圧電体素子間に隙間を形成する必要があり、隙間における光出射は行われないため、開口率が低下してしまう。
しかし、図4(a)においては、圧電体素子103および有機樹脂104により画素を形成する必要がないため、カラーフィルタを使用せずに、特定色に限らずに散乱反射することができるだけでなく、圧電体素子103および有機樹脂104を表示画素に対して大きくすることができるため、隙間が減少して開口率が増加し、光の利用効率を向上させることが可能となる。
図5は、圧電体素子103の接触および非接触を制御する構成例を示すブロック図である。圧電体素子103は、LCDで表示する映像信号を受信して照射または非照射を伝達するパルス信号を発生するためのパルス発生部108と、パルス発生部108からのパルス信号を受信して圧電体素子103のそれぞれを独立して駆動する駆動部109とで制御することができる。したがって、照射または非照射を行うために各圧電体素子103への電圧印加タイミングを、表示映像信号に同期して制御することになる。
すなわち、圧電体素子103の駆動を、特に、液晶パネル102の走査信号、つまり映像信号に含まれる垂直同期信号、水平同期信号に同期させることにより、液晶の応答が完了する的確なタイミングで、液晶パネル102の各領域に対する光の照射、非照射を制御することが可能である。例えば、互いに隣り合う一連の走査線群単位で、各光路制御部34を、上記走査信号に基づき、導光板100に対し接触、または、非接触となるように、対応する各圧電体素子103が上記駆動部109により制御・駆動される。
ここで、液晶の応答と照射タイミングの関係を図6に示す。図6は、表示を黒、白、黒としたときの図で、縦軸が光透過率(階調輝度)を表し、横軸が時間を表している。液晶パネル102は、透過率の変化により階調表現を行っており、また、液晶の透過率が変化するには所定の時間を必要とするため、所望の透過率に到達していない、透過率が変化している状態(図6中の(A)の時間帯)で光を照射すると、所望の階調表示が行えないため画質劣化となってしまう。したがって、所望の透過率に到達した、透過率が安定している状態(図6中の(B)の時間帯)において光照射を行うことが望ましい。
また、本実施形態においては、液晶パネル102の光透過率によって表示画像の階調表現を行っており、圧電体素子103は液晶パネル102に対する光の照射、非照射のみを制御すればよく、階調表現の必要がないので、圧電体素子103の動作速度は、液晶パネル102の走査信号に同期した所望のタイミングでの動作が可能な速度でよい。
なお、上記液晶の応答が完了して安定している状態の時間帯内において、圧電体素子103により照射期間、非照射期間との割合を可変制御することで、液晶パネル102の画像表示において、さらに階調表現を加えることも可能である。または、圧電体素子103による液晶パネル102への光の照射量を制御することでも、大まかな階調表現を設定することができ、液晶パネル102での実際の階調表示に対する補助的なものとして適用することも可能である。
図7は、複数配置される圧電体素子103の駆動によって導光板100の表面から光が照射される領域の一例を示す図である。図7は、導光板100の表面を液晶パネル102の走査方向(走査線に対して直交する方向)に沿って仮に5つの領域(a)〜(e)に、それぞれが互いに隣接するように分割した場合である。
ここで、液晶パネル102の全面に対して1フレーム期間内のあるタイミングで同時に光を照射し、続いて、非照射期間を設定すること(1フレーム期間内で間欠的にフラッシングする全面同時フラッシュ型)によっても、ホールド型表示からインパルス型表示に近づけることができ、動画質の改善効果を得ることができる。
しかしながら、下記に示すような各タイミング例で各照射領域(a)〜(e)において、1フレーム期間内で順次照射、非照射を行うことで、各照射領域(a)〜(e)からの、光が照射されるタイミングにおける液晶パネル102の液晶応答状態を互いに略均一化することが可能になり、液晶パネル102での表示ムラを低減することができる。
図8において、各照射領域(a)〜(e)の各波形の縦軸は照射と非照射との状態を示し、横軸は時間を示す。図8の例では、領域(a)に対応する液晶パネル102における液晶の応答がほぼ完了したときに、領域(a)に対向する液晶パネル102の領域に対して光を照射し、他の領域には光を照射しないように制御し、次に、領域(b)に対応する液晶パネル102における液晶の応答がほぼ完了したときに、領域(b)に対向する液晶パネル102の領域に光を照射するようにし、他の領域には光を照射しないように制御し、次に、領域(c)に対応する液晶パネル102における液晶の応答がほぼ完了したときに、領域(c)に対向する液晶パネル102の領域に光を照射するように制御し、他の領域には光を照射しないようにし、次に、領域(d)に対応する液晶パネル102における液晶の応答がほぼ完了したときに、領域(d)に対向する液晶パネル102の領域に光を照射するように制御し、他の領域には光を照射しないようにし、次に、領域(e)に対応する液晶パネル102における液晶の応答がほぼ完了したときに、領域(e)に対向する液晶パネル102の領域に光を照射するようにし、他の領域には光を照射しないように、各領域での光の照射を互いに排他的に制御するものである。
また、図9に示すように、液晶の応答完了タイミングに合わせて領域(a)と領域(b)とを照射し、次に領域(b)と領域(c)とを照射し、次に領域(c)と領域(d)とを照射し、次に領域(d)と領域(e)とを照射し、次に領域(e)と領域(a)とを照射するように、圧電体素子103を駆動制御してもよい。
また、図10に示すように、液晶の応答完了タイミングに合わせて、領域(a)を照射し、次に領域(a)と領域(b)を照射し、次に領域(b)と領域(c)を照射し、次に領域(c)と領域(d)を照射し、次に領域(d)と領域(e)を照射し、次に領域(e)を照射するように、圧電体素子103を駆動制御してもよい。
図8〜図10は照射タイミングの制御例を示すものであり、照射量や照射時間を限定するものではない。また、理解を容易にするため、導光板100の照射領域の分割数を5としたが、必ずしも5分割である必要はない。ここで、図7に示すように、光源101からの光は、液晶パネル102の走査線と平行となる導光板100の側端面から入射することが望ましい。すなわち、複数の照射領域をすべて通過するように光入射を行うことにより、任意の領域が照射状態であっても伝播光を出射することができるため、光利用効率が良くなる。
図11は、本実施形態において照射領域を3分割とした場合の、それぞれの照射状態における光照射強度と1フレーム期間の光照射強度を示す図である。図11(a)は本実施形態のように圧電体素子103を駆動することにより、液晶パネル102の各領域に対して順次光の照射を行ってインパルス型表示に近づけた場合を示しており、図11(b)は液晶パネル102の全面が常時照射されるホールド型表示を示す。また、縦軸は光照射強度を表し、ホールド型表示における照射強度を1とし、横軸は液晶パネルの走査方向の位置を表し、照射領域を3分割としている。
図11(a)において、非照射領域の導光板100内を伝播する光は全反射することにより液晶パネル102に出射されず、導光板100内に入射された光は照射領域のみから液晶パネル102に出射されるため、瞬間的な光照射強度は、図11(b)に示されるホールド型表示の瞬間的な光照射強度の約3倍となる。また、1フレーム期間内の光照射強度の合計は、図11(a)のように非照射期間が有っても、図11(b)と同じ光照射強度となる。
すなわち、1フレーム期間内に光の非照射期間を設けることにより、インパルス型表示に近づけることが可能となり、動画質の改善ができ、さらに、光の利用効率が良い表示装置を得ることが可能となる。さらに、瞬間的な光照射強度を高めることも可能である。また、導光板100による光の損失が少ないため、大型のディスプレイにも容易に対応できる。
〔第2の実施形態〕
図12は、本実施形態に係る液晶表示装置の断面図である。本実施形態では、導光板100が導光板第1層200と導光板第2層201とから構成される。導光板第2層201は、有機樹脂104に対面する位置に配置されている。
本実施形態では、光源101を構成する発光素子として、発光する光に狭指向性を有する発光ダイオードを使用している。導光板100の側端面に配置される光源101と反対側の側端面には、光反射手段202として導光板第1層200に傾斜した反射面が設けられている。上記反射面では、光利用効率を向上させるために、導光板100内を伝播する光を主に正反射するミラー部材が配置されている。
表示画質の向上手段として色再現範囲を広げる方法があり、実現方法として、光源101に色純度の高い、赤色、緑色、青色の各発光色を有する発光ダイオードを用いる方法がある。しかしながら、点状光源である発光ダイオードを光源101として用いると、図13に示すように、輝度ムラおよび色ムラが生じる領域(A)が生じてしまう。
領域(A)では、発光ダイオードから発せられる光が指向性を有しているため、各発光ダイオードからの光が十分に混合されず、領域(A)を伝播する光を液晶パネル102に照射してしまうと、輝度ムラ、色ムラが生じてしまう。領域(B)においては、各発光ダイオードからの光が十分に混合するだけの距離があり、均一な白色光となっており、領域(B)を伝播する光を液晶パネル102に照射しても輝度ムラ、色ムラは生じない。
そこで、本実施形態では、図12に示すように、導光板100が導光板第1層200と導光板第2層201から構成されており、導光板第1層200の屈折率をn1とし、導光板第2層201の屈折率をn2(<n1)とすると、図14に示す角度sin−1(n2/n1)以上で導光板第1層200から導光板第2層201に向かう光は全反射され、導光板第2層201内に進入し、導光板第2層201内を伝播することが防止されている。本実施形態では、上記角度sin−1(n2/n1)を導光板第1層200内にて伝播する光の導光板第2層201に対する入射角とする。
すなわち、導光板第1層200内を伝播する光の導光板第2層201に対する入射角をsin−1(n2/n1)以上になるように、上記光が導光板第1層200に入射するように制御すると、導光板100内を全反射により伝播し、導光板100から出射されない。ここで、伝播角を制御するために導光板第1層200に入射する角度を制御するには、発光ダイオードの発する光を制御するか、シリンドリカルレンズなどを用いて角度を設定することで実現できる。
したがって、発光ダイオードからの光を導光板第1層200内のみを全反射させて伝播することができ、図15に示すように、圧電体素子103によって有機樹脂104が導光板第2層201に接触していても、導光板第1層200内を伝播する光L21は散乱することがないので、導光板100から出射されない。すなわち、上記光L21は、圧電体素子103による有機樹脂104の導光板100への接触、非接触に関係なく、導光板第1層200内を全反射する。
導光板第1層200を伝播する光は、導光板100から出射されることなく全反射を繰り返して入射面と対向する面に到達する。図16に示すように、入射面と対向する面には光反射手段202が設けられている。ここで、光反射手段202は、導光板第1層200の端面を傾斜させミラーなどを配置して実現される。導光板第1層200を伝播する光L21は、光反射手段202によって反射されるが、このとき、端面には傾斜が設けられているため、光の伝播角が変化する。
これにより、導光板第1層200内を全反射していた光L21が、導光板第1層200および導光板第2層201内を全反射する光L22になる。すなわち、導光板100内全体を全反射しながら伝播する光L22となる。このとき、伝播光L22は、発光ダイオードから発されてから十分な距離を伝播しており、各発光ダイオードからの光は十分に混合されているため均一な白色光となっている。
導光板100内全体を伝播する光L22は、図17に示すように、圧電体素子103によって有機樹脂104が導光板第2層201に接触している場合、伝播角が変化しているため、有機樹脂104との接触部において散乱される。したがって、有機樹脂104で散乱された光L23が、導光板100内での全反射条件を満たさない場合、導光板100から液晶パネル102側に出射される。
しかし、有機樹脂104が導光板第2層201に対し非接触である場合、伝播光L22は導光板100内を全反射し、有機樹脂104にて散乱されることがないため、導光板100から出射されない。
以上のとおり、圧電体素子103を駆動制御することにより、有機樹脂104の導光板100への接触、非接触を制御でき、液晶パネル102の所望の領域を照射することが可能である。さらに、伝播光L23は均一な白色光であるため、点光源に起因する輝度ムラや色ムラを低減することができる。ここで、各領域への照射タイミングなどは、前述の第1の実施形態と同様の方法で実現可能である。
また、導光板第2層201よりも高い屈折率を有する部材を導光板第2層201と有機樹脂104との間に設けてもよく、例えば、図18に示すように、アクリル板やガラス板などの透過性板203を備えることができる。透過性板203は、圧電体素子103および有機樹脂104が形成される基板とスペーサなどを介して一体で作成することができ、これを導光板第1層200および透過性板203よりも小さい屈折率を有する低屈折率の接着剤で接着することで、容易に導光板第2層201を形成することができる。
このように、本実施形態に記載の構成により、動画質の改善効果が得られ、さらに、光利用効率を向上することができ、さらに、色再現範囲を拡大することができ、輝度ムラや色ムラを低減した表示装置を容易に得ることが可能となる。
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施形態は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。