JP4414383B2 - 自動列車運転装置及びその調整方法 - Google Patents
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パターン速度V=(7.2×βi×S)1/2(ただし、βi:減速度、S:残走距離)
ここで、βiは、列車のブレーキ性能を考慮して仮設定されるが、最終的には試験走行による調整の結果、得られた値が設定される。
定点停止制御は、次のように行われる。
まず、列車速度と残走距離とから、どのゾーンに列車が存在しているかを判断する。次に、その存在しているゾーンに設定されているブレーキノッチを選択する。以上の動作が、列車が停止するまで繰り返される。
また、停止駅の最適な目標パターン減速度βiを決定するために、試験走行による調整を繰り返す必要があるという問題もあった。
駅別の列車の停止までの目標パターンの演算に用いられる目標パターン減速度を格納した駅別パターン減速度格納部、
入力情報に基き、列車速度及び目標停止点までの残走距離を演算する速度・残走距離演算部、
この速度・残走距離演算部により演算された残走距離及び駅別パターン減速度格納部に格納された目標パターン減速度を用いて列車の停止までの目標パターンを演算する目標パターン演算部、
この目標パターン演算部により演算された目標パターンに列車速度が沿うようにブレーキノッチを選択するブレーキノッチ選択部、
このブレーキノッチ選択部により選択されたブレーキノッチと列車の走行地点ごとの列車速度である走行軌跡とを記憶する走行軌跡・ブレーキ記憶部、
及びこの走行軌跡・ブレーキ記憶部に記憶されたブレーキノッチの選択状態及び列車の走行軌跡における列車速度と目標パターンとの偏差に基づき、駅別パターン減速度格納部に格納された目標パターン減速度を補正するパターン減速度補正部を備えたものである。
駅別の列車の停止までの目標パターンの演算に用いられる目標パターン減速度を格納した駅別パターン減速度格納部、
入力情報に基き、列車速度及び目標停止点までの残走距離を演算する速度・残走距離演算部、
この速度・残走距離演算部により演算された残走距離及び駅別パターン減速度格納部に格納された目標パターン減速度を用いて列車の停止までの目標パターンを演算する目標パターン演算部、
この目標パターン演算部により演算された目標パターンに列車速度が沿うようにブレーキノッチを選択するブレーキノッチ選択部、
このブレーキノッチ選択部により選択されたブレーキノッチと列車の走行地点ごとの列車速度である走行軌跡とを記憶する走行軌跡・ブレーキ記憶部、
及びこの走行軌跡・ブレーキ記憶部に記憶されたブレーキノッチの選択状態及び列車の走行軌跡における列車速度と目標パターンとの偏差に基づき、駅別パターン減速度格納部に格納された目標パターン減速度を補正するパターン減速度補正部を備えたので、定点停止制御中のブレーキノッチ出力状態と列車の走行軌跡により、目標パターン減速度を補正するようにし、列車の実減速度が調整時の値から変化した場合等、実列車減速度と目標パターン減速度に不整合が生じた場合にも、次回以降は、再調整を行うことなく、乗心地がよくて停止精度が安定した定点停止制御を継続することができるという効果がある。
図1は、この発明の実施の形態1による自動列車運転装置を示す構成図である。
図1において、自動列車運転装置1には、地点信号受信装置3からの地点情報を受けて、目標停止点までの残走距離を設定する残走距離設定部6と、残走距離設定部6により設定された残走距離及び速度発電機2からの速度情報を受けて、列車の進行に合わせて、自列車速度、自列車加速度、目標停止点までの残走距離を演算する速度・加速度・残走距離演算部5(速度・残走距離演算部)と、ATC信号受信装置4からのATC信号情報を受けて、制限速度である目標速度を設定する目標速度設定部7との3系統の入力情報処理部がある。
目標パターン演算部8には、速度・加速度・残走距離演算部5の出力である残走距離と、目標速度設定部7の出力である目標速度が入力され、列車が停止するまでの目標パターンを次式により演算する。
目標パターン速度V=(7.2×βi×S)1/2(ただし、βi:減速度、S:残走距離)
この演算において、演算定数である減速度βiは、停止駅別に固有の値であるため、駅別パターンβ格納部9内の当該駅対応の目標パターン減速度を参照する。なお、目標速度設定部7により設定される目標速度は、制限速度として目標パターン演算部8に入力され、上式による目標パターン速度が制限速度を超える場合には、制限速度に制限された目標パターンとする。
ブレーキノッチ選択部10は、目標パターンと速度・加速度・残走距離演算部5の出力である自列車速度とを比較して、出力するブレーキノッチを決定して、力行・ブレーキ制御装置11へ出力する。
この発明では、一連の定点停止制御中の列車走行軌跡と出力ブレーキノッチを記憶する走行軌跡・ブレーキ記憶部12と、その記憶内容を分析するパターンβ補正部13が設けられており、パターンβ補正部13により、列車走行軌跡、ブレーキ出力状態を分析して必要と判断した場合に、駅別パターンβ格納部9内の当該駅に対応する目標パターン減速度を補正できる構成となっている。
図2では、列車21が目標停止点26に停止するまでの定点停止制御の例を示し、目標パターン23に対して列車走行軌跡24及びこれらの偏差25が示されている。地上子A22と地上子B28は、地点信号を発信し、図1の地点信号受信装置3によって受信される。また、図2には、目標停止点26までのブレーキノッチ27の選択出力状況が示されている。
図3は、この発明の実施の形態1による自動列車運転装置の目標パターン減速度に対して実列車減速度が不足する場合の定点停止制御を示す概念図である。
図3において、21〜28は図2におけるものと同一のものである。
図4は、この発明の実施の形態1による自動列車運転装置の目標パターン減速度に対して実列車減速度が過剰な場合の定点停止制御を示す概念図である。
図4において、21〜28は図2におけるものと同一のものである。
図2では、列車21が目標停止点26に停止するまでの定点停止制御の例を示し、列車21が地上子A22を通過すると、残走距離設定部6は、その地点情報から目標停止点までの残走距離を設定するとともに、目標パターン演算部8は、定点停止制御区間と認識して駅別に設定された減速度βiを用いて目標パターン23を演算する。つまり、地上子Aは、定点停止制御の開始地点である。その後は、ブレーキノッチ選択部10により、自列車速度(列車走行軌跡24の各点)と目標パターン23とを比較して、その偏差25に基づき、列車21が目標パターン23に沿って減速するようにブレーキノッチ27を選択して、力行・ブレーキ制御装置11に出力する。
なお、この例ではブレーキノッチは、1から7ノッチ(N)まであるものとする。地上子B28は、車軸回転数を積算して求めている残走距離の誤差を補正するために設けられている。
通常、目標パターン減速度βiと列車21の実減速度が同等の場合は、図2のようにパターンに沿って減速し、目標停止点付近に停止することができる。
この場合は、図3のように、不足の程度にもよるが、通常よりもブレーキノッチを増段して所定の減速度を得ようとする動きとなる。ブレーキノッチを最大としても不足する場合は、目標パターン23を超過したまま、収束することなく減速を続け、目標停止点を超えて停止することになる。
この場合は、図4のように、通常のブレーキノッチでは過減速となり、目標パターン23を大きく下回ることになるため、ブレーキノッチを減段する動きとなる。ブレーキノッチを最小としても、目標パターン23に戻らない場合は、目標停止点手前に停止するのと同時に、目標パターンよりも低速で走行するため、走行時間が延びてしまい、遅着になることも懸念される。
例えば、目標パターン23と列車走行軌跡24の偏差25がある基準を超えたとき、あるいは、出力ブレーキノッチの平均段がある基準値を超えたとき等に、それを是正する方向、つまり、速度超過・ブレーキ高ノッチ側のときは、目標パターン減速度βiを下げる方向に、逆に、速度不足・ブレーキノッチ低位側のときは、目標パターン減速度βiを上げる方向に、当該駅に対応する値を自動的に補正する。
この操作により、次回以降、列車が同駅に停止する際、補正された目標パターンに沿う制御を行うことから、補正前よりも追随性が良くなり、停止精度、乗心地も向上させることができる。
図5は、この発明の実施の形態2による自動列車運転装置を示す構成図である。
図5において、1〜13は図1におけるものと同一のものである。図5では、パターンβ補正部13を有効にするか無効にするかを切替える有効スイッチ54が設けられている。
有効スイッチ54以外の動作は、実施の形態1と同様である。
また、有効スイッチ54は、図5では機械的な接点スイッチのイメージであるが、周辺の他機器からの情報を基に、有効/無効を切替える形のものであってもよい。
これにより、例えば、調整走行中は有効、営業運転中は無効としたり、また、同じ調整走行中においても、調整適用時は有効、確認運転時は無効とする等、各種走行の中から特定の運用・走行を選んで目標パターン減速度の最適化を行うことができる。
図6は、この発明の実施の形態3による模擬走行用計算機を示す構成図である。
図6において、計算機61には、図1の自動列車運転装置1を構成する、速度・加速度・残走距離演算部5、残走距離設定部6、目標速度設定部7、目標パターン演算部8、駅別パターンβ格納部9、ブレーキノッチ選択部10、走行軌跡・ブレーキ記憶部12、パターンβ補正部13、のそれぞれの機能を計算機上で実現する同名の65〜72の処理部が設けられている。すなわち、計算機61には、速度・加速度・残走距離演算部65、残走距離設定部66、目標速度設定部67、目標パターン演算部68、駅別パターンβ格納部69、ブレーキノッチ選択部70、走行軌跡・ブレーキ記憶部71、パターンβ補正部72が設けられ、さらに実施の形態2で説明したような有効スイッチ54が設けられている。
速度模擬入力部62、地点信号模擬入力部63、ATC信号模擬入力部64は、路線・車両性能データ格納部73の情報を参照しながら、上記各処理部に対して模擬的に速度、地点信号、ATC信号を入力できる構成となっている。
また、速度模擬入力部62には、ブレーキノッチ選択部70が出力するブレーキノッチが入力され、速度・加速度・残走距離演算部65では、模擬速度については、ブレーキノッチ選択部70が出力したブレーキノッチも考慮に入れて速度を演算する。
計算機61の速度・加速度・残走距離演算部65、残走距離設定部66、目標速度設定部67、目標パターン演算部68、駅別パターンβ格納部69、ブレーキノッチ選択部70、走行軌跡・ブレーキ記憶部71、パターンβ補正部72は、図1の速度・加速度・残走距離演算部5、残走距離設定部6、目標速度設定部7、目標パターン演算部8、駅別パターンβ格納部9、ブレーキノッチ選択部10、走行軌跡・ブレーキ記憶部12、パターンβ補正部13と同様に動作し、駅別パターンβ格納部69に格納された該当駅に対応する目標パターン減速度(模擬目標パターン減速度)を補正することができる。
この計算機61を用いて、模擬的な定点停止制御を行った場合、実列車が当該路線上を走行するときの挙動に近い結果が得られるため、有効スイッチ54を有効として目標パターン減速度補正機能を活かして、繰返し定点停止制御を行わせると、目標パターン減速度が最適値に近づくことになる。
4 ATC信号受信装置、5 速度・加速度・残走距離演算部、
6 残走距離設定部、7 目標速度設定部、8 目標パターン演算部、
9 駅別パターンβ格納部、10 ブレーキノッチ選択部、
11 力行・ブレーキ制御装置、12 走行軌跡・ブレーキ記憶部、
13 パターンβ補正部、54 有効スイッチ、61 計算機、
62 速度模擬入力、63 地点信号模擬入力、64 ATC信号模擬入力、
65 速度・加速度・残走距離演算部、66 残走距離設定部、
67 目標速度設定部、68 目標パターン演算部、
69 駅別パターンβ格納部、70 ブレーキノッチ選択部、
71 走行軌跡・ブレーキ記憶部、72 パターンβ補正部、
73 路線・車両性能データ格納部。
Claims (3)
- 列車を目標停止点に停止させる定点停止制御を行う自動列車運転装置において、
駅別の上記列車の停止までの目標パターンの演算に用いられる目標パターン減速度を格納した駅別パターン減速度格納部、
入力情報に基き、列車速度及び上記目標停止点までの残走距離を演算する速度・残走距離演算部、
この速度・残走距離演算部により演算された残走距離及び上記駅別パターン減速度格納部に格納された目標パターン減速度を用いて上記列車の停止までの目標パターンを演算する目標パターン演算部、
この目標パターン演算部により演算された目標パターンに上記列車速度が沿うようにブレーキノッチを選択するブレーキノッチ選択部、
このブレーキノッチ選択部により選択されたブレーキノッチと上記列車の走行地点ごとの列車速度である走行軌跡とを記憶する走行軌跡・ブレーキ記憶部、
及びこの走行軌跡・ブレーキ記憶部に記憶されたブレーキノッチの選択状態及び列車の走行軌跡における列車速度と上記目標パターンとの偏差に基づき、上記駅別パターン減速度格納部に格納された目標パターン減速度を補正するパターン減速度補正部を備えたことを特徴とする自動列車運転装置。 - 上記パターン減速度補正部の上記機能を有効にするか無効にするかを切替える有効スイッチを備えたことを特徴とする請求項1記載の自動列車運転装置。
- 請求項1または請求項2記載の自動列車運転装置を模擬するように構成された計算機を用いて、上記列車を目標停止点に停止させる定点停止制御を模擬することにより、上記計算機上の駅別の模擬目標パターン減速度を補正し、この計算機により補正された駅別の模擬目標パターン減速度を、上記自動列車運転装置の上記パターン減速度格納部に格納された対応する駅別の目標パターン減速度の初期値とすることを特徴とする自動列車運転装置の調整方法。
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