JP4411442B2 - 脳波−運動指令変換装置 - Google Patents
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Description
この発明は、コンピュータや機械装置等の作業機器の操作を手や言葉を介さずに脳波から検出した信号で実現する脳波−運動指令変換装置に関するものである。
神経・筋疾患患者のコミュニケーション手段の回復または運動機能の回復を目的として、従来は例えば以下のような技術が実施されている。すなわち、四肢の運動機能が残存する神経・筋疾患患者に対しては、スイッチやセンサによる入力方式によりコミュニケーション手段を回復する技術が実用化されている。また、眼球運動機能が残存する患者に対しては、視線を用いた入力装置が開発されている(特許文献1参照)。
一方、四肢の運動機能が減退している患者に対しては、筋活動に伴う電気的信号である筋電を計測し、その筋電の信号処理を実施することで脳からの運動指令を検出し、運動を補助または支援する装置へ入力することで運動機能を回復する技術が開発されている(特許文献2参照)。また、四肢の運動機能が残存しない患者に対しては、脳活動を計測し、その信号処理を実施することで、脳からの運動指令を検出したりコミュニケーション手段を回復したりする技術が開発されている。
さらに、患者の意思を二者択一で検出するために、近赤外分光装置を用いて脳血流変化を検出することにより、直接的思考とは異なる思考によって制御対象を制御する技術が開発されている(特許文献3)。また、頭皮上に配置した脳波電極を用いて、コンピュータ上のカーソルを二次元で操作する技術についても開発されている(非特許文献1)。そして、脳皮質に直接的に脳波用の電極を挿入することで、脳信号を検出する技術も開発されている(非特許文献2)。
特開2005−100366号公報
特開2004−180817号公報
特開2006−072606号公報
Wolpaw JR & McFarland DJ, Proc Natl Acad Sci USA., Vol.101, 17849-17854 (2004)
Hochberg LR et al., Nature, Vol.442, 164-171.
しかしながら、四肢の運動機能が残存する神経・筋疾患患者のために開発された従来技術では、四肢の運動機能を喪失した重度の神経・筋疾患患者に対しては用いることができない。また、四肢の運動機能が残存しない患者のために開発された近赤外分光装置を用いた従来技術では、血流活動を計測しているために、患者による意思表示から5〜10秒程度の時間遅れが原理的に発生する。一方、従来の頭皮上に配置した脳波電極を用いた場合でも、運動の指令に係わる脳活動を測定しているのではなく、コンピュータ上のカーソルを操作するための脳活動を新たに脳内に構築することで実現しているために、患者の運動指令に対して時間的な遅れが発生してしまう。さらに、直接的に脳内に電極を挿入する従来技術では、開頭手術を要するために医学的な危険性を伴う。
そこでこの発明は、開頭手術等のような従来技術における侵襲性の問題を解決するとともに、四肢の運動機能が残存しない患者に対して適用できないという問題および、人間の運動指令に対して発生する時間遅れの問題を解決することを目的とする。
この発明は、上記課題を有利に解決するものであり、この発明の脳波−運動指令変換装置は、脳の、自発的な運動指令のための領域である前頭葉領域に対応して頭皮上に配置されて、脳波を検出する電極と、前記前頭葉領域に対応する電極が検出した脳波から、自発的な運動指令に伴って発生する脳波であるシータ波を抽出する脳波抽出手段と、前記脳波抽出手段が抽出した自発的な運動指令に伴って発生するシータ波のパワーを検出する脳波パワー検出手段と、前記脳波パワー検出手段が検出した自発的な運動指令に伴って発生するシータ波のパワーが所定の指令閾値を越えて変化したか否かを識別し、前記自発的な運動指令に伴って発生するシータ波のパワーが前記指令閾値を越えて変化した場合に自発的な運動指令があったものと判断する運動指令判断手段と、前記運動指令判断手段が自発的な運動指令があったものと判断した場合に運動指令信号を出力する運動指令出力手段と、を具えることを特徴としている。
かかるこの発明の脳波−運動指令変換装置にあっては、脳の、自発的な運動指令のための領域に対応して頭皮上に配置された電極が、その脳からの脳波を検出し、脳波抽出手段が、その自発的な運動指令のための領域に対応する電極が検出した脳波から、自発的な運動指令に伴って発生する脳波を抽出し、脳波パワー検出手段が、その脳波抽出手段が抽出した自発的な運動指令に伴って発生する脳波のパワーを検出し、運動指令判断手段が、その脳波パワー検出手段が検出した自発的な運動指令に伴って発生する脳波のパワーが所定の指令閾値を越えて変化したか否かを識別して、前記自発的な運動指令に伴って発生する脳波のパワーが前記指令閾値を越えて変化した場合に運動指令があったものと判断し、そして運動指令出力手段が、その運動指令判断手段が運動指令があったものと判断した場合に運動指令信号を出力する。
従って、この発明の脳波−運動指令変換装置によれば、頭皮上に電極を配置された人が考える運動指令に応じて運動指令信号を出力することができるので、コンピュータや機械装置の操作を手や言葉を介さずに実現することができ、しかも頭皮上に電極を配置する非侵襲の脳波計測技術を用いるので、開頭手術等のような侵襲性に関する問題を解決することができ、また通常の自発的な運動指令に伴って発生する脳波活動を用いるので、四肢の運動機能が残存しない患者に対して適用できないという問題および人間の運動指令に対して発生する時間遅れに関する問題を解決することができる。
なお、この発明の脳波−運動指令変換装置においては、脳の、運動動作のための領域に対応して頭皮上に配置されて、脳波を検出する電極をさらに具え、前記脳波抽出手段は、前記運動動作のための領域に対応する電極が検出した脳波から、前記自発的な運動指令に応じた運動動作に伴って発生する脳波も抽出し、前記脳波パワー検出手段は、前記脳波抽出手段が抽出した運動動作に伴って発生する脳波のパワーも検出し、前記運動指令判断手段は、前記脳波パワー検出手段が検出した運動動作に伴って発生する脳波のパワーが所定の運動閾値を越えて変化したか否かも識別し、前記自発的な運動指令に伴って発生する脳波のパワーが前記指令閾値を越えて変化するとともに、前記運動動作に伴って発生する脳波のパワーも前記運動閾値を越えて変化した場合に運動指令があったものと判断するようにしても良く、このように、運動動作に伴って発生する脳波活動も併せて用いれば、より正確に運動指令に応じて運動指令信号を出力することができる。
すなわち、当該発明において用いる脳波活動は、運動指令に伴って前頭葉領域から発生する活動または、それに加えて運動動作に伴って中心回領域から発生する脳波活動であり、前頭葉領域から発生する脳波活動や、前頭葉領域および中心回領域から発生する脳波活動の振幅情報により、従来技術の課題を解決するものである。
以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の脳波−運動指令変換装置の第1実施例の構成を示すブロック線図、図2は、上記第1実施例および後述の第2実施例の脳波−運動指令変換装置における電極配置の基となる国際10−20法で定義される各種脳波電極の配置を示す説明図であり、図中、符号Hは上方から見た人の頭部を、図では上方に顔が向いた状態で示している。
図1に示すこの第1実施例の脳波−運動指令変換装置は、脳波電極E1と、増幅器1と、帯域通過濾波器(バンドパスフィルタ)2と、時間微分演算器3と、振幅演算器4と、統計検定演算器5と、信号生成器6とを具えており、ここにおける脳波電極E1は、人の脳の、自発的な運動指令のための領域である前頭葉、特に前頭前野に対応して頭部Hの頭皮上に配置される、図2に示す国際10−20法で定義されるFz電極に相当するものであって、その頭部Hから脳波を検出するものである。なお、この第1実施例では、図示しない参照電極を、脳波電極E1の周囲四箇所の、例えばFz電極の前方20%位置の図示しないFpz電極と、図示のF3,F4,Cz電極とにそれぞれ対応する位置に設定してローカルに脳波パワーを検出している。
増幅器1は、上記自発的な運動指令のための領域に対応する脳波電極E1が検出した脳波信号を増幅し、帯域通過濾波器2は、その増幅した脳波信号から、特定帯域の脳波時系列情報のみ、すなわちここでは自発的な運動指令に伴って発生する脳波である4〜8Hzのシータ波の時系列情報のみを濾波して抽出し、時間微分演算器3は、得られたシータ波の時系列データを時間微分処理し、振幅演算器4は、時間微分処理の結果からゼロクロッシングポイントを抽出することで、脳波時系列データの山と谷の位置を検出する。
統計検定演算器5は、ゼロクロッシングポイントにおける時間微分前の時系列の絶対値(脳波電圧の2乗値)を脳波のパワーとし、脳波電極E1で検出されるパワーに関して統計検定することにより、時間的にパワーが変化したか否かを検定する。この統計検定量として、この実施例では、平均値の差をパラメトリックに検定する、以下に示すt検定を用いる。
ここで、S1は、計測した脳波の電位の2乗値の最新のゼロクロッシングポイント(現時点)から過去n1個までの分散、S2は、計測した脳波の電位の2乗値の最新のゼロクロッシングポイントから過去n2個からn3個までの分散、
は、計測した脳波の電位の値の最新のゼロクロッシングポイントから過去n1個までの2乗平均値、
は、計測した脳波の電位の値の最新のゼロクロッシングポイントから過去n2個からn3個までの2乗平均値、n1,n2,n3は、n1<n2<n3の任意の整数である。また、自由度は、df=n1+n3−2に従う。
は、計測した脳波の電位の値の最新のゼロクロッシングポイントから過去n1個までの2乗平均値、
は、計測した脳波の電位の値の最新のゼロクロッシングポイントから過去n2個からn3個までの2乗平均値、n1,n2,n3は、n1<n2<n3の任意の整数である。また、自由度は、df=n1+n3−2に従う。
そして信号生成器6は、統計検定量が一定の閾値以上になった場合に、運動の指令があったものとして、例えばコンピュータや機械装置等の、外部の作業機器7の作動を制御する制御信号を生成する。従って、増幅器1と帯域通過濾波器2は脳波抽出手段に相当し、時間微分演算器3と振幅演算器4と統計検定演算器5は脳波パワー検出手段に相当し、信号生成器6は運動指令判断手段および運動指令出力手段に相当する。なお、この実施例では、増幅器1と帯域通過濾波器2とは、通常のアナログ回路を用いてそれぞれ構成され、時間微分演算器3と振幅演算器4と統計検定演算器5と信号生成器6とは、帯域通過濾波器2の出力を図示しないアナログ/デジタルコンバータを介して入力される通常のパーソナルコンピュータの、あらかじめ与えられたソフトウェアに基づく作動で実現する機能によってそれぞれ構成されているが、これに限られるものではない。
この第1実施例の脳波−運動指令変換装置で、n1=n2=n3=6として、脳波を用いた運動指令の検出を実施した。信号生成器6における統計検定量の閾値としてt=3.17(df=10において両側検定の危険率p=0.01)を用いた。両手の第4指の屈曲・伸展を被験者が自発的に行っている際の脳波を、開眼状態において座位にて約10分程度計測し、200Hzのサンプリング周波数により取得した10名の被験者の脳波データを用いて、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置により右側の手指運動を検出した。
図3は、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置により検出した手指運動の結果の一例を示し、図の上段は右手指の運動に関連して発生する筋電図、中段は筋電図の結果をもとにした右手指運動を実施している時刻、下段は脳波をもとにこの第1実施例の脳波−運動指令変換装置が行った右手指の運動の検出結果である。図3の下段に示すように、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置が実行する方法(提案手法)により検出した手指運動は、図3の上段および中段に示す手指運動に伴う筋電結果と一致している。この第1実施例の脳波−運動指令変換装置では、統計検定にゼロクロッシングポイントからn1個までのデータとn2個からn3個までのデータとを用いたので、実時間での検出が可能であった。
図4は、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置による検出結果の確度を示し、ここで図4(a)は、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置により10名の被験者に対して手指運動を検出した結果の正答率と、ランダムに手指運動を検出した結果の正答率の比較結果を示している。正答率は、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置により検出した結果の時間長さが筋電発生の判定結果内にある確率として定義している。各棒グラフに示してあるエラーバーは正答率の被験者間の算術平均を実施した際の標準誤差を示している。この図4(a)に示すように、ランダムに手指運動を検出した場合と比較して、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置を用いて手指運動を検出した場合には、検出した結果中の正答率が増加する。
また図4(b)は、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置により10名の被験者に対して手指運動を検出した際に検出できた手指運動の確率と、ランダムに手指運動を検出した際に検出できた手指運動の確率との比較結果を示している。検出した手指運動の確率は、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置による検出結果が筋電発生の判定結果の時間内に存在する数の、筋電発生数中の割合として定義している。各棒グラフに示してあるエラーバーは検出した手指運動の確率の被験者間算術平均を実施した際の標準誤差を示している。この図4(b)に示すように、全手指運動中、この第1実施例の脳波−運動指令変換装置により検出できた手指運動は、ランダムに検出した手指運動と比較して増加する。
図5は、この発明の脳波−運動指令変換装置の第2実施例の構成を示すブロック線図であり、図中先の実施例と同様の部分はそれと同一の符合にて示す。この第2実施例の脳波−運動指令変換装置は、脳波電極の数と配置が先の実施例と異なっており、各部の構成は先の実施例と同等だが、脳波電極の相違に伴って各部での脳波の処理も異なっている。
すなわち、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置は、脳波電極E1,E2,E3の、三個の脳波電極を具えており、先の実施例の装置と比べて追加された脳波電極E2およびE3は、人の脳の、運動動作のための領域である中心回領域に対応して頭部Hの頭皮上に配置される、図2に示す国際10−20法で定義されるC3電極およびC4電極に相当するものであって、その頭部Hから脳波を検出するものである。なお、この第2実施例では、図示しない参照電極を、C3電極に相当する脳波電極E2の周囲四箇所の、例えば図示のF3,T3,P3,Cz電極にそれぞれ対応する位置に設定するとともに、C4電極に相当する脳波電極E3の周囲四箇所の、例えば図示のF4,T4,P4,Cz電極にそれぞれ対応する位置に設定して、脳波電極E2およびE3についてもローカルに脳波パワーを検出している。
そしてこの第2実施例の脳波−運動指令変換装置では、実施例1と同一の処理を、三個の脳波電極E1,E2,E3の全てに適用する。すなわち、増幅器1は、上記自発的な運動指令のための領域に対応する脳波電極E1が検出した脳波信号と、上記運動動作のための領域に対応する脳波電極E2,E3が検出した脳波信号とをそれぞれ増幅し、帯域通過濾波器2は、それら増幅した脳波信号からそれぞれ、特定帯域の脳波時系列情報のみ、すなわちここでは自発的な運動指令に伴って発生する脳波である4〜8Hzのシータ波の時系列情報のみを濾波して抽出し、時間微分演算器3は、三個の脳波電極E1,E2,E3について得られたシータ波の時系列データをそれぞれ時間微分処理し、振幅演算器4は、時間微分処理の結果からゼロクロッシングポイントを抽出することで、三個の脳波電極E1,E2,E3について得られた脳波時系列データのそれぞれについて山と谷の位置を検出する。
統計検定演算器5は、ゼロクロッシングポイントにおける時間微分前の時系列の絶対値(脳波電圧の2乗値)を脳波のパワーとし、三個の脳波電極E1,E2,E3についてそれぞれ検出されるパワーに関して先の実施例と同様の統計検定することにより、時間的にパワーが変化したか否かを検定する。そして信号生成器6は、三個の脳波電極E1,E2,E3の全てについて、統計検定量がそれぞれ一定の閾値以上になった場合に、運動の指令があったものとして、例えばコンピュータや機械装置等の、外部の作業機器7の作動を制御する制御信号を生成する。
図6は、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置により手指運動を検出した結果の一例を示し、図の上段は右手指の運動に関連して発生する筋電図、中段は筋電図の結果をもとにした右手指運動を実施している時刻、下段は脳波をもとにこの第1実施例の脳波−運動指令変換装置が行った右手指の運動の検出結果である。図6の下段に示すように、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置により検出した手指運動は、上段および中段に示す手指運動に伴う筋電結果と良く一致している。この第2実施例の脳波−運動指令変換装置でも、統計検定にゼロクロッシングポイントからn1個までのデータとn2個からn3個までのデータとを用いたので、実時間での検出が可能であった。
図7は、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置による検出結果の確度を示し、ここで図7(a)は、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置により10名の被験者に対して手指運動を検出した結果の正答率と、ランダムに手指運動を検出した結果の正答率の比較結果を示している。正答率は、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置により検出した結果の時間長さが筋電発生の判定結果内にある確率として定義している。各棒グラフに示してあるエラーバーは正答率の被験者間の算術平均を実施した際の標準誤差を示している。この図7(a)に示すように、ランダムに手指運動を検出した場合と比較して、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置を用いて手指運動を検出した場合には、検出した結果中の正答率が増加する。
また図7(b)は、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置により10名の被験者に対して手指運動を検出した際に検出できた手指運動の確率と、ランダムに手指運動を検出した際に検出できた手指運動の確率との比較結果を示している。検出した手指運動の確率は、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置による検出結果が筋電発生の判定結果の時間内に存在する数の、筋電発生数中の割合として定義している。各棒グラフに示してあるエラーバーは検出した手指運動の確率の被験者間算術平均を実施した際の標準誤差を示している。この図7(b)に示すように、全手指運動中、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置により検出できた手指運動は、ランダムに検出した手指運動と比較して増加する。
そして図7(a)に示すように、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置により検出した信号の正答率は、先の第1実施例の脳波−運動指令変換装置により検出した信号の正答率(図4(a))より増加する。一方、図7(b)に示すように、この第2実施例の脳波−運動指令変換装置により検出した手指運動の確率は、先の第1実施例の脳波−運動指令変換装置により検出した手指運動の確率(図4(b))より減少する。従って、第1実施例の脳波−運動指令変換装置と第2実施例の脳波−運動指令変換装置とは、作業機器7の制御が、正答率を重視するものか確率を重視するものかによって選択することが好ましい。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば脳波電極の配置や数は、所用に応じて適宜変更することができる。また、統計検定量として、ノンパラメトリックに検定するものを用いても良い。
さらに、自発的な運動指令に伴う脳波の発生からその運動指令に応じた運動動作に伴う脳波の発生までの間に10分の数秒のタイムラグが存在することは知られているので、上記統計検定にゼロクロッシングポイントからn1個までのデータとn2個からn3個までのデータとを用いる代わりにn2個からn3個までのデータだけを用いるようにしても良く、このようにすれば、実際の運動動作に10分の数秒先行して運動指令を検出することが可能である。
かくしてこの発明の脳波−運動指令変換装置によれば、脳からの運動指令に関する信号を、直接の運動や言語を介さずに実時間において検出することが可能になるので、筋・神経疾患患者等の運動機能を補助する機械装置等を制御する信号を生成してその制御を可能にしたり、コンピュータ画面上のカーソルを操作することによりコミュニケーション手段を確保したりすることができる。
また、この発明の脳波−運動指令変換装置は、非侵襲的に用いることができるので、筋・神経疾患患者に限らず、一般の健常者に対してもコンピュータや機械装置とのインタフェースとして用いることができる。
1 増幅器
2 帯域通過濾波器
3 時間微分演算器
4 振幅演算器
5 統計検定演算器
6 信号生成器
7 作業機器
E1,E2,E3 脳波電極
H 頭部
2 帯域通過濾波器
3 時間微分演算器
4 振幅演算器
5 統計検定演算器
6 信号生成器
7 作業機器
E1,E2,E3 脳波電極
H 頭部
Claims (6)
- 脳の、自発的な運動指令のための領域である前頭葉領域に対応して頭皮上に配置されて、脳波を検出する電極と、
前記前頭葉領域に対応する電極が検出した脳波から、自発的な運動指令に伴って発生する脳波であるシータ波を抽出する脳波抽出手段と、
前記脳波抽出手段が抽出した自発的な運動指令に伴って発生するシータ波のパワーを検出する脳波パワー検出手段と、
前記脳波パワー検出手段が検出した自発的な運動指令に伴って発生するシータ波のパワーが所定の指令閾値を越えて変化したか否かを識別し、前記自発的な運動指令に伴って発生するシータ波のパワーが前記指令閾値を越えて変化した場合に自発的な運動指令があったものと判断する運動指令判断手段と、
前記運動指令判断手段が自発的な運動指令があったものと判断した場合に運動指令信号を出力する運動指令出力手段と、
を具えることを特徴とする、脳波−運動指令変換装置。 - 脳の、運動動作のための領域である中心回領域に対応して頭皮上に配置されて、脳波を検出する電極をさらに具え、
前記脳波抽出手段は、前記中心回領域に対応する電極が検出した脳波から、前記自発的な運動指令に応じた運動動作に伴って発生する脳波であるシータ波も抽出し、
前記脳波パワー検出手段は、前記脳波抽出手段が抽出した運動動作に伴って発生するシータ波のパワーも検出し、
前記運動指令判断手段は、前記脳波パワー検出手段が検出した運動動作に伴って発生するシータ波のパワーが所定の運動閾値を越えて変化したか否かも識別し、前記自発的な運動指令に伴って発生するシータ波のパワーが前記指令閾値を越えて変化するとともに、前記運動動作に伴って発生するシータ波のパワーも前記運動閾値を越えて変化した場合に自発的な運動指令があったものと判断することを特徴とする、請求項1記載の脳波−運動指令変換装置。 - 前記自発的な運動指令に伴って発生するシータ波を検出する電極は、国際10−20法により定義されるF z 電極であることを特徴とする、請求項1または2記載の脳波−運動指令変換装置。
- 前記運動動作に伴って発生するシータ波を検出する電極は、国際10−20法により定義されるC 3 電極およびC 4 電極の少なくとも一方であることを特徴とする、請求2または3記載の脳波−運動指令変換装置。
- 前記脳波パワーの検出は、統計検定によって行なうことを特徴とする、請求項1から4までの何れか1項記載の脳波−運動指令変換装置。
Priority Applications (1)
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