JP4410488B2 - 画像表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、オーバードライブ階調に対応した電圧を表示画素に供給して前記表示画素における表示階調を一定時間で初期階調から目標階調に変化させる画像表示装置に関し、特にオーバードライブ階調の決定に際して用いるデータベースに記録する情報量を低減した画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶材料の光学特性を利用した画像表示装置において、いわゆるアクティブマトリックス方式による画像表示が行われている。かかるアクティブマトリックス方式では、表示画素(カラー表示を行う画像表示装置ではR(赤)、G(緑)、B(青)に対応した副画素)ごとに蓄積容量が配置され、表示画素ごとに配置された蓄積容量に対して所定の電位が書き込まれることによって、液晶材料に含まれる液晶分子の配向方向が制御され、画像表示が行われる。
【0003】
表示画素ごとに配置された蓄積容量に電位を蓄積するため、アクティブマトリックス方式の画像表示装置では、表示画素ごとにスイッチング素子が配置され、かかるスイッチング素子を制御するための走査線、スイッチング素子を介して蓄積容量に電位を供給するための信号線とがマトリックス状に配置された構造を有する。そして、画像表示を行う際には個々の表示画素に対して、液晶分子が表示階調に対応した配向方向となるよう信号線が所定の電圧をコンデンサに対して印加し、所望の画像を表示している。
【0004】
ところで、画像表示装置は通常60Hz程度のリフレッシュレートを有することから、1フレームの画像表示に許容される時間は16.7ms程度に限定されている。従って、個々の表示画素において階調の実現に許容される時間は、1フレームの画像表示に許容される時間によって制限される。一方で、液晶分子が配向方向を変化するには電圧が印加されてから一定の時間を必要とすることから、大画面または高精細の画像表示装置の場合、許容される時間内に所望の階調を実現できないという問題が存在した。
【0005】
従って、個々の表示画素等に対応した液晶分子に対して、信号線の電位を実現階調に対応した値よりも高い(もしくは低い)値とすることによって短時間で実現階調を実現するオーバードライブ手法が提案されている。図12は、オーバードライブ手法の原理を模式的に示すグラフである。図12では、表示画素に対して、電位V0に対応した階調N0を実現させることを想定しており、横軸を時間、縦軸を蓄積容量の電位とする。また、図12において曲線l1はスイッチング素子を介して蓄積容量と接続される信号線の電位をV1(>V0:階調N1に対応する電位)とした場合の階調の時間変化を示し、曲線l2は、信号線の電位をV0とした場合の階調の時間変化を示している。
【0006】
図12に示すように、表示画素の階調をN0とするためには、信号線の電位がV0の場合に時間t0だけ必要となるのに対して、信号線の電位がV1となる場合には、時間t1(<t0)で十分であることが示されている。従って、短時間で所望の階調を実現するためには、実現する階調に対応した電位と異なる電位(図12の例では、対応した電位よりも高い電位:以下、これらの電位に対応する階調のことを、「オーバードライブ階調」と称する)を信号線から供給するオーバードライブ手法を用いることが有効である(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−365094号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、オーバードライブ手法を用いて画像表示を行う構造とした場合、オーバードライブ階調を記憶するデータベースが必要となる。そして、従来の画像表示装置では、データベースを格納するために必要となるデータ容量が膨大なものとなり、通常の手法を用いてデータ圧縮を行った場合には画像品位の低下といった問題を有する。以下、かかる問題点について説明する。
【0009】
オーバードライブ手法を用いる際に必要なオーバードライブ階調について、液晶材料の特性を考慮した数値計算によって最適な値を導出することは不可能ではない。しかしながら、考慮すべき変数の数が多く、計算が煩雑になることから、画像表示の際にフレームごとに計算を行うことは現実的ではない。従って、通常は表示画素が保持する初期階調(例えば、前フレームにおける階調)と、実現したい階調である目標階調とのペアに対して、適切なオーバードライブ階調の値をすべて記録したデータベースを用意し、画像表示の際にデータベースを参照して信号線の電位を決定することとなる。
【0010】
しかしながら、データベースが記憶するデータ量は膨大な値となる。すなわち、オーバードライブ階調の値は初期階調と目標階調との対ごとに設ける必要があるが、初期階調および目標階調は、それぞれ表示画素が実現可能な階調幅、例えば256通り存在する。従って、データとして必要となるオーバードライブ階調の値は、初期階調の取りうる値と目標階調の取りうる値を乗算した値となり、階調数の自乗となる。しかも、かかるデータベースは表示画素ごとに設ける必要があることから、近年の画像表示装置の大画面化または高精細化に伴う表示画素数の増加に応じてデータ量は莫大な値となる。
【0011】
かかる問題に対して記憶するデータ量を圧縮する様々な手法が考案されているが、データ量を圧縮したデータベースを用いてオーバードライブ階調の導出を行う場合には別の問題が新たに生じる。具体的には、同一フレームにおける隣接表示画素の間の階調変化または同一表示画素における経過時間に対する階調変化を連続変化させたいにも関わらず、一定の表示画素または一定の時刻において、連続変化から外れた特異な階調が存在するという問題である。表示階調の若干の誤差そのものは視認上それほど問題にはならないが、かかる特異な階調が存在する場合、ユーザに強い違和感を与えることとなり、高品位の画像表示が困難となる。従って、記録するデータ量を低減しつつ、かかる特異な階調の発生を防止できる技術が要請されている。
【0012】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、オーバードライブ階調の決定に際して用いるデータベースに記録する情報量を低減しつつ優れた特性を実現する画像表示装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる画像表示装置は、オーバードライブ階調に対応した電圧を表示画素に供給して前記表示画素における表示階調を一定時間で初期階調から目標階調に変化させる画像表示装置であって、表示可能な階調値から抽出された複数の初期階調データと、表示可能な階調値から抽出された複数の目標階調データと、前記初期階調データと前記目標階調データとによって形成されたデータ対に対応づけられたオーバードライブ階調データと、オーバードライブ階調が許容範囲内の値となる初期階調と目標階調の対によって形成される通常範囲と、オーバードライブ階調が許容範囲から外れた値となる初期階調と目標階調との対によって形成される飽和範囲とを記録したデータベースと、前記初期階調データと異なる初期階調および/または前記目標階調データと異なる目標階調が入力された際に、該入力された初期階調に近接する初期階調データと、入力された目標階調に近接する目標階調データとによって形成されるデータ対を抽出するデータ抽出手段と、入力された初期階調と目標階調の対が前記飽和範囲および前記通常範囲のいずれに属するかを判定するデータ判定手段と、入力された初期階調と目標階調の対が前記飽和範囲に属する場合に前記許容範囲の限界値をオーバードライブ階調として導出し、前記通常領域に属する場合に少なくとも前記データ抽出手段によって得られた初期階調データ、目標階調データおよび対応するオーバードライブ階調データとに基づいてオーバードライブ階調を導出するオーバードライブ階調導出手段と、該オーバードライブ階調導出手段によって導出された階調に対応した電圧を前記表示画素に供給する信号線とを備えたことを特徴とする。
【0014】
この請求項1の発明によれば、データベース上に飽和範囲を設け、入力された初期階調と目標階調の対が飽和範囲に属する場合にオーバードライブ階調を許容範囲の限界値に一律に定めることとしたため、オーバードライブ階調の決定を迅速に行うことが可能である。
【0015】
また、請求項2にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記飽和領域は、オーバードライブ階調が許容範囲よりも高い値となる高階調飽和領域と、オーバードライブ階調が許容範囲よりも低い値となる低階調飽和領域とを有し、前記オーバードライブ階調導出手段は、入力された初期階調と目標階調の対が前記高階調飽和領域に属する場合に前記許容範囲の上限値をオーバードライブ階調として導出し、前記低階調飽和領域に属する場合に前記許容範囲の下限値をオーバードライブ階調として導出することを特徴とする。
【0016】
また、請求項3にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記データ判定手段は、前記データ抽出手段によって抽出されたデータ対が前記飽和範囲に属するか否かをさらに判定し、前記オーバードライブ階調導出手段は、入力された初期階調と目標階調の対が前記通常領域に属し、抽出された前記データ対が前記飽和範囲に属する場合に、入力された初期階調と目標階調との対と前記データ対との間に位置する前記飽和範囲と前記通常範囲の境界の情報を用いてオーバードライブ階調を導出することを特徴とする。
【0017】
この請求項3の発明によれば、入力された初期階調と目標階調の対が飽和範囲の近傍に位置する場合に、飽和領域の境界における情報を用いてオーバードライブ階調を導出することとしたため、導出したオーバードライブ階調に基づいて実現される階調の大小関係が、飽和領域に属する場合と飽和領域近傍に位置する場合に逆転することを防止することができる。
【0018】
また、請求項4にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記オーバードライブ階調導出手段は、入力された初期階調と目標階調の対が前記通常領域に属し、抽出された前記データ対が前記飽和範囲に属する場合に、入力された初期階調と目標階調との対と前記データ対との間に位置する前記飽和範囲と前記通常範囲の境界に属する初期階調と目標階調の対の中で、初期階調の値が入力された初期階調と等しい対または目標階調の値が入力された目標階調と等しい対の情報を用いてオーバードライブ階調を導出することを特徴とする。
【0019】
また、請求項5にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記データベースは、オーバードライブ階調の値が初期階調と等しくなる初期階調と目標階調の範囲である対角成分範囲をさらに記憶し、前記オーバードライブ階調導出手段は、入力された初期階調と目標階調との対が、前記対角成分範囲に属する場合には、入力された初期階調の値をオーバードライブ階調として導出することを特徴とする。
【0020】
また、請求項6にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記データ判定手段は、前記データ抽出手段によって抽出されたデータ対と、入力された初期階調と目標階調との対との間に、前記通常範囲と前記対角成分範囲との境界が存在するか否かを判定し、前記オーバードライブ階調導出手段は、前記通常範囲と前記対角成分範囲との境界が存在する場合に該境界の情報を用いてオーバードライブ階調を導出することを特徴とする。
【0021】
また、請求項7にかかる画像表示装置は、上記の発明において、データ対と、入力された初期階調と目標階調との対との間に前記通常範囲と前記対角成分範囲との境界が存在する場合に、入力された初期階調と目標階調との対と前記データ対との間に位置する前記対角成分範囲と前記通常範囲の境界に属する初期階調と目標階調との対の中で、初期階調の値が入力された初期階調と等しい対または目標階調の値が入力された目標階調と等しい対の情報を用いてオーバードライブ階調を導出することを特徴とする。
【0022】
また、請求項8にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記許容範囲内のオーバードライブ階調から抽出された複数のオーバードライブ階調データと、存在しうる初期階調から抽出された複数の初期階調データと、前記オーバードライブ階調データおよび前記初期階調データとによって形成されたデータ対に対応づけられ、前記初期階調データに対して前記オーバードライブ階調データを一定期間だけ印加した場合に実現される実現階調データとを記録したフィードバックデータベースと、前記オーバードライブ階調導出手段によって導出されたオーバードライブ階調と、該オーバードライブ階調の導出に用いられた初期階調とに基づいて、前記フィードバックデータベースを参照して対応する実現階調を導出する実現階調導出手段と、をさらに備え、前記オーバードライブ階調導出手段は、次フレーム時のオーバードライブ階調導出の際に前記実現階調導出手段によって導出された実現階調を入力された初期階調として扱うことを特徴とする。
【0023】
この請求項8の発明によれば、フィードバックデータベースをさらに備え、かかるフィードバックデータベースを用いて実際に実現される実現階調を導出し、導出結果を次回のオーバードライブ階調導出の際に初期階調値として利用することとしたため、オーバードライブ階調導出の際の誤差が蓄積されることを防止することができる。
【0024】
また、請求項9にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記フィードバックデータベースにおけるオーバードライブ階調データは、前記データベースに記録されたオーバードライブ階調データと等しい値であり、初期階調データは、前記データベースに記録されたオーバードライブ階調データと等しい値であることを特徴とする。
【0025】
この請求項9の発明によれば、フィードバックデータベースに記録される情報と、データベースに記録された情報とを共通化することとしたため、フィードバックデータベースに使用するメモリ等の記憶容量を低減することができる。
【0026】
また、請求項10にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記オーバードライブ階調導出手段は、前フレーム時の階調に対応した初期階調と、現フレーム時の階調に対応した目標階調との差分値が1階調差であって、かつ導出されたオーバードライブ階調の値と初期階調との差分値が0より大きく、1未満となる場合に、該階調差が1になるようオーバードライブ階調の値を調整することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である画像表示装置について説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。さらに、符号に付くa、b、c等の識別文字は必要に応じて付けるものとし、“表示画素8a、8b、8c”のように複数の同一部分が存在する場合には、必要に応じて“表示画素8”と総称して記述する。
【0028】
(実施の形態1)
まず、この発明の実施の形態1にかかる画像表示装置について説明する。本実施の形態1にかかる画像表示装置は、オーバードライブ手法を用いることによって、オーバードライブ階調に関するデータベース上に飽和範囲および対角成分範囲を設定し、かかる領域の境界情報を適宜利用してオーバードライブ階調を決定するオーバードライブ階調決定部を備えた構造を有する。
【0029】
図1は、本実施の形態1にかかる画像表示装置の全体構造を模式的に示す回路図である。図1に示すように、本実施の形態1にかかる画像表示装置は、画像表示パネル1と、画像表示パネル1に対して表示信号を供給する信号線駆動回路2と、走査信号を供給する走査線駆動回路3と、オーバードライブ階調を決定し、信号線駆動回路2に対してオーバードライブ階調を出力するオーバードライブ階調決定部4とを備える。
【0030】
画像表示パネル1は、外部から表示信号を取り込む信号線5と、走査信号を取り込む走査線6と、マトリックス状に配置された表示画素8とを備える。表示画素8は、コンデンサ9と、走査信号によって駆動状態が制御され、表示信号に応じてコンデンサ7に階調を供給するスイッチング素子10とを有する。スイッチング素子10は上記機能を果たすのであれば任意の構造とすることが可能であるが、通常は薄膜トランジスタを用いる。
【0031】
信号線駆動回路2は、画像表示パネル1を構成する表示画素8中にそれぞれ配置されたコンデンサ9に対して、信号線5を介して電位を供給するためのものである。具体的には、信号線駆動回路2は、個々の表示画素8の階調情報が外部から入力され、かかる階調に対応した電圧をコンデンサ9に対して印加する機能を有する。
【0032】
走査線駆動回路3は、画像表示パネル1に対して、より具体的には画像表示パネル1を構成する表示画素8中にそれぞれ配置されたスイッチング素子10の駆動状態を制御するためのものである。走査線駆動回路3は、複数配置された走査線6a、6b等に対して順次スイッチング素子10のオン電圧を供給する機能を有する。このため、本実施の形態1にかかる画像表示装置は、信号線駆動回路2から供給される表示信号と同期をとることによって、マトリックス状に配置された表示画素8中のコンデンサ9に対して、表示画像に対応した階調を順次供給することが可能な構造を有する。
【0033】
オーバードライブ階調決定部4は、表示画像に対応した階調情報を外部から入力し、信号線駆動回路2に対して個々の表示画素8で表示しようとする階調に対応したオーバードライブ階調値を出力するためのものである。具体的には、現フレーム時に表示画素8で実現したい階調である目標階調と、前フレーム時に実現された階調である初期階調とを入力し、信号線駆動回路2に対してオーバードライブ階調を出力する構造を有する。オーバードライブ階調とは、初期階調と目標階調との関係によって決定される階調値であって、表示画素8を構成するコンデンサ9に対してオーバードライブ階調に対応した電圧を印加することによって所定の短期間、例えば16.7msで所望の目標階調を実現可能な、目標階調と異なる値の階調値のことをいう。
【0034】
オーバードライブ階調決定部4は、所定の演算を行う階調導出部11と、オーバードライブ階調の導出の際に参照するデータベース12と、入力される目標階調および初期階調に基づいてデータベース12から適切なデータを抽出するデータ抽出部13と、抽出されたデータの属性等を判定するデータ判定部14とを有する。オーバードライブ階調決定部4を構成する各要素の詳細およびオーバードライブ階調決定部4の動作については後に詳細に説明する。なお、オーバードライブ階調決定部4に対して初期階調を入力するために、前フレーム時における階調情報を保持するフレームバッファ15がオーバードライブ階調決定部4の外部に配置され、フレームバッファ15からオーバードライブ階調決定部4に対して初期階調が供給される構造を有する。
【0035】
次に、画像表示パネル1の具体的構造について説明する。図2は、画像表示パネル1の構造を示す断面図である。図2に示すように、画像表示パネル1は、所定の回路構造を備えたアレイ基板17と、アレイ基板17に対して対向配置された対向基板18と、アレイ基板17と対向基板18との間に封入された液晶層19とを備えた構造を有する。アレイ基板17の内表面上には、表示画素に対応して画素電極20が配置され、対向基板18の内表面上には共通電極21が配置される。なお、共通電極21は、画素電極20と同様に表示画素に対応して複数設けることとしても良いが、通常はいずれの共通電極の電位も0電位に維持されることから対向基板18の内表面の前面に渡って一体的に形成される。本実施の形態1にかかる画像表示装置では、画素電極20と共通電極21を電極とし、間に挟まれた液晶層19を誘電体層としてコンデンサが形成され、かかるコンデンサが図1に示すコンデンサ9に相当する。なお、画像表示パネル1を形成する信号線5、走査線6およびスイッチング素子10は、図2において図示省略されているが、一般にアレイ基板17上に形成される。
【0036】
液晶層19は、コンデンサ9の誘電体層として機能するのみならず、コンデンサ9に印加された電圧に応じて画像表示パネル1における光透過率を変動させる機能を有する。具体的には、液晶層19は、分子構造に異方性を有する液晶分子を含んで形成され、かかる液晶分子の配向方向がアレイ基板17および対向基板18の内表面上に配置される配向膜(図示省略)によって所定の秩序に従って配置されている。液晶分子の配向方向は液晶層19に対して印加される電界の方向および強度によって制御される性質を有すると共に、分子構造の異方性に起因して液晶分子は光学的に異方性を有する。かかる光学異方性によって、液晶層19に入力された光は、液晶分子の配向状態によって偏光面の方向が制御され、例えばアレイ基板17および対向基板18の外表面上に配置される偏光板(図示省略)との相乗効果によって光透過率が制御される。従って、コンデンサ9に印加される電圧を制御することによって表示画素に対応した領域ごとの光透過率が制御され、画面上に濃淡が表示されることにより画像表示が行われる。
【0037】
一方、液晶層19に含まれる液晶分子は、印加電圧に対して配向方向が変化するまでに一定の時間を必要とする。かかる事情により、本実施の形態1にかかる画像表示装置では、オーバードライブ手法を用いてオーバードライブ階調に対応した電圧を液晶層19に対して印加し、短時間で液晶分子を所望の方向に配向させている。
【0038】
次に、データベース12の構造について説明する。図3は、データベース12内に保持されるテーブルについて模式的に示す図である。なお、図3は、データベース12内に保持される全データのうち、ある特定の表示画素に対応したテーブルについて示している。従って、実際にはデータベース12内には、図3に示すデータ構造が、表示画素の個数分だけ存在することとなる。
【0039】
図3に示すように、データベース12内に記憶されるテーブルは、初期階調および目標階調に関して、初期階調データNの値を行とし、目標階調データN’の値を列としており、任意の初期階調データNm、目標階調データNn’によって形成されるデータ対Dmnに対して、オーバードライブ階調データΔNmnと、ΔNmnとΔN(m+1)nの差分値である差分データdYmnと、ΔNmnとΔNm(n+1)との差分値である差分データdXmnと、ΔN(m+1)(n+1)とΔNm(n+1)の差分値である差分データdYmn’とが情報として記憶された構造を有する。従って実際には表示画素ごとに4枚のテーブルが存在することとなるが、以下では簡単のため、図3に示すテーブルを参照することにより、ΔNmn、dYmn、dXmn、dYmn’の値が得られるものとする。
【0040】
ここで、データ構造における初期階調Nの値および目標階調N’の値は、全階調に対応したものではなく、全階調のうち所定数のものに対応した値のみを用いてデータ構造が構成される。例えば、個々の表示画素において8ビット(=256階調)の画像表示が行われる場合、データベース12に記憶される初期階調Nおよび目標階調N’の数はそれぞれ256通りとなるのではなく、例えば上位3ビットごとの階調(=0、31、63、95、127、159、191、223、255)に対応した初期階調データN0、N1、N2、・・・、N8および目標階調データN0’、N1’、N2’、・・・、N8’とが記憶される。なお、以下では初期階調データおよび目標階調データの値に関して、N0=N0’、N1=N1’、・・・、N8=N8’とする。
【0041】
そして、データベース12は、初期階調データ、目標階調データおよびこれらによって形成されたデータ対ごとに記憶する情報の他に、テーブル上の領域を高階調飽和領域22、低階調飽和領域23、対角成分領域24およびこれらに属さない通常領域25とに区別して記憶する。高階調飽和領域22は、初期階調に対して目標階調が著しく高い値となる場合であって、目標階調の実現に必要となるオーバードライブ階調に対応した電圧が、信号線駆動回路2によって供給可能な範囲を上回る値となる領域のことをいう。また、低階調飽和領域23は、初期階調に対して目標階調が著しく低い値となる場合であって、目標階調の実現に必要となるオーバードライブ階調に対応した電圧が、信号線駆動回路2によって印加可能な範囲を下回る値となる領域のことをいう。さらに、対角成分領域24は、オーバードライブ階調が初期階調の値と等しくなる領域のことをいう。
【0042】
これらの領域情報の記憶態様としては、上記した条件を満たすデータ対をすべて記憶した構造としても良い。しかしながら、本実施の形態1ではデータ構造がテーブル状となるため、列を構成する初期階調Nと行を構成する目標階調N’との関係式で領域の境界を定めることとする。また、図3に示すように対角成分領域24は線形で表示されるが、コンデンサの使用態様等によっては一定の面積を有する領域となる場合も存在する。逆に、高階調飽和領域22および低階調飽和領域23に関しても、線形の領域となる場合があることももちろんである。
【0043】
次に、図3に示すデータ構造を有するデータベース12を備えたオーバードライブ階調決定部4の動作について説明する。上記のようにオーバードライブ階調決定部4は、短期間で目標階調を実現可能なオーバードライブ階調を決定するためのものである。なお、本実施の形態1において、オーバードライブ階調決定部4の動作は、表示画素8における初期階調の値および目標階調の値によって異なることから、以下では初期階調の値および目標階調の値に応じた場合分けのプロセスについて説明した後、各場合に応じたオーバードライブ階調の決定について説明を行う。
【0044】
図4は、オーバードライブ階調決定部4による初期階調および目標階調に応じた場合分けのプロセスを説明するためのフローチャートである。以下、図4を参照しつつオーバードライブ階調決定部4による場合分けについて説明する。
【0045】
まず、外部からオーバードライブ階調決定部4に対して入力された初期階調および目標階調の値が、データベース12に記憶された初期階調データおよび目標階調データと一致するか否かが、データ判定部14によって判定される(ステップS101)。そして、一致するデータが存在する場合にはケース1に分類され、後述するプロセスに従ってオーバードライブ階調の決定が行われる。一方、データベース12内に一致するデータが存在しない場合には、ステップS102に移行する。
【0046】
そして、入力された初期階調および目標階調によって形成される入力データ対が、図3の通常領域25、26に属するか否かが、データ判定部14によって判定される(ステップS102)。入力データ対が通常領域25、26のいずれかに属する場合にはステップS103に移行し、通常領域25、26以外、具体的には高階調飽和領域22、低階調飽和領域23、対角成分領域24のいずれかに属する場合には、ステップS104に移行する。
【0047】
ステップS102において、入力データ対に対応する点が通常領域25、26に属さない場合について先に説明する。通常領域25、26に属さない場合、対角成分領域24に属するか否かが、データ判定部14によって判定される。対角成分領域24に属さないと判定された場合にはケース2に分類され、対角成分領域24に属すると判定された場合にはケース3に分類され、それぞれ後述のプロセスに従ってオーバードライブ階調の決定が行われる。なお、ケース2に分類される場合とは具体的には高階調飽和領域22または低階調飽和領域23に属する場合であって、図3における点A、点Bがケース2に該当する。
【0048】
ステップS102で通常領域25、26のいずれかに属すると判定された場合には、データ抽出部13によって、データベース12内に記憶されたデータのうち、入力データ対に近接するデータが抽出される(ステップS104)。データ抽出部13によって抽出されるデータは、入力データ対を構成する初期階調および目標階調の値よりも大かつ最も近接した値と、初期階調および目標階調の値よりも小かつ最も近接した値とする。従って、抽出される初期階調データおよび目標階調データはそれぞれ2個となり、個々の初期階調データおよび目標階調データによって形成されるデータ対は4通りとなる。本ステップにおいて抽出されたデータ対は、以降のステップにおける判定に利用される。
【0049】
その後、入力データ対に対応したデータベース12内における点の近傍に対角成分領域24が存在するか否かが、データ判定部14によって判定される(ステップS105)。具体的には、データ判定部14は、ステップS104において抽出された4個のデータ対によって形成される領域内に対角成分領域24が存在するか否かを判定し、存在する場合にはステップS106に移行し、存在しない場合にはステップS107に移行する。
【0050】
入力データ対に対応する点の近傍に対角成分領域24が存在する場合には、さらにデータ判定部14によって、近傍に高階調飽和領域22または低階調飽和領域23が存在するか否かが判定される(ステップS106)。具体的には、抽出された4個のデータ対によって形成される領域内に高階調飽和領域22または低階調飽和領域23が存在するか否かが判定され、存在しない場合にはケース5に分類され、存在する場合にはケース7に分類される。ケース5は入力データ対に対応した点の近傍に対角成分領域24のみが存在する場合であって、ケース7は対角成分領域24と、高階調飽和領域22、低階調飽和領域23のいずれかとが存在する場合である。なお、図3における点E、点Fがケース5に該当し、点G、点Hがケース7に該当する。
【0051】
一方、入力データ対に対応する点の近傍に対角成分領域24が存在しない場合にも、データ判定部14によって、近傍に高階調飽和領域22または低階調飽和領域23が存在するか否かが判定される(ステップS107)。具体的な手法はステップS106と同様であり、存在する場合にはケース6に分類され、存在しない場合にはケース4に分類される。なお、図3における点Dがケース6に該当し、点Cがケース4に該当する。
【0052】
次に、図4に示したフローチャートに従って分類されたケース毎にオーバードライブ階調を決定するプロセスについて説明する。まず、ケース1〜3におけるオーバードライブ階調の決定について簡潔に説明する。
【0053】
ケース1は入力された初期階調および目標階調と一致する初期階調データおよび目標階調データがデータベース12中に存在する場合であるため、データベース12中には対応するオーバードライブ階調データが存在する。従って、データ抽出部13は、入力された初期階調および目標階調によって形成される入力データ対に対応したオーバードライブ階調データを抽出し、抽出された値がオーバードライブ階調決定部4から信号線駆動回路2に出力される。
【0054】
ケース2は、入力した初期階調および目標階調によって形成された入力データ対が対角成分領域24に属する場合であるため、オーバードライブ階調は初期階調と等しい値に決定される。従って、ケース2に分類された場合、オーバードライブ階調決定部4は、信号線駆動回路2に対して初期階調と等しい階調をオーバードライブ階調として出力する。
【0055】
ケース3は、入力された初期階調および目標階調によって形成される入力データ対が高階調飽和領域22または低階調飽和領域23にのみ属する場合であるため、対応するオーバードライブ階調は信号線駆動回路2で印加可能な最高階調または最低階調に一意に決定される。従って、ケース3に分類され、入力データ対が高階調飽和領域22に属する場合には、オーバードライブ階調決定部4から実現可能な最高階調値が信号線駆動回路2に対して出力される。また、低階調飽和領域23に属する場合には、オーバードライブ階調決定部4から信号線駆動回路2に対して、実現可能な最低階調値がオーバードライブ階調として出力される。以上、入力されたデータ対がケース1〜3に分類される場合には、特定の演算を行わず各ケースに対応したオーバードライブ階調の値が決定される。
【0056】
次に、ケース4〜7に分類された場合におけるオーバードライブ階調の決定プロセスについて説明する。図5〜図7は、図4のフローチャートに従って分類されたケースにおけるオーバードライブ階調決定を説明するための図である。具体的には、図5(a)、(b)はそれぞれケース4、ケース5について示し、図6(a)、(b)はケース6、図7(a)、(b)はケース7について示す図である。
【0057】
ケース4は、入力データ対が通常領域25または26に属し、入力データ対の近傍に飽和領域および対角成分領域のいずれも存在しない場合である。以下、ケース4におけるオーバードライブ階調の決定について、図3における点Cを例に、図5(a)を参照して説明する。まず、図5(a)に示すように、初期階調NCおよび目標階調NC’に対応した点Cが存在し、初期階調NCおよび目標階調NC’と上位3ビットが一致する初期階調データN3、目標階調データN5’によって形成されるデータ対D35に対応したオーバードライブ階調データΔN35と、差分データdY35、差分データdX35、差分データdY35’が抽出され、階調導出部11に出力される。ケース4は、入力データ対に対応する点の近傍に高階調飽和領域22、低階調飽和領域23および対角成分領域24のいずれもが存在しない場合であるため、図5(a)では、これらの領域は図示されず、上記の点Cおよび抽出されたデータ対はいずれも通常領域25または通常領域26に属することとなる。そして、入力データ対、抽出されたデータ対およびデータ対に対応するオーバードライブ階調データは、入力データ対の近傍に対角成分領域および飽和領域が存在しない旨の情報とともに、階調導出部11に入力される。
【0058】
階調導出部11は、上記したデータに基づいて、初期階調NCと目標階調NC’とに対応したオーバードライブ階調ΔNCを決定する。まず、初期階調NがN3≦N≦N4、目標階調N’がN’=N5’の領域においてオーバードライブ階調の値が直線的に変化するものと近似して、N=NC、N’=N5’に対応したオーバードライブ階調ΔNC5の値を導出する。ΔNC5の値は、
ΔNC5=ΔN35+{(NC−N3)/(N4−N3)}dY35 ・・・(1)
の形式で表されることから、階調導出部11は(1)式を演算することによってΔNC5を導出することが可能である。同様に、N3≦N≦N4かつN’=N6’の領域においてオーバードライブ階調の値が連続的に変化すると近似して、N=NC、N’=N6’に対応したオーバードライブ階調ΔNC6を導出する。具体的には、
ΔNC6=ΔN35+dX35+{(NC−N3)/(N4−N3)}dY35’・・・(2)
と表される。(2)式に従って演算を行うことによりΔNC6が導出され、(1)式で導出されたΔNC5と共にΔNCの導出に使用される。
【0059】
なお、図3を参照して説明したデータベース12を用いた場合には、データベース12中に記憶される目標階調データはいずれも下位5ビットの値が0となる。従って、(NC−N4)はNCの下位5ビットの値となり、また隣接する目標階調データの差分値(=N5−N4)は一定の値(=32)となることから、計算をより簡易に行うことも可能である。
【0060】
その後、階調導出部11は、導出したオーバードライブ階調ΔNC5、ΔNC6、目標階調データN5’、N6’、入力された目標階調値NC’を用いて入力データ対に対応したオーバードライブ階調ΔNCを導出する。具体的には、N=NC、N5’≦N≦N6’の領域でオーバードライブ階調の値が直線的に変化すると近似してΔNCを導出する。具体的には、ΔNCは、
ΔNC={(N6’−NC’)ΔNC5+(NC’−N5’)ΔNC6}/(N6’−N5’)・・・(3)
と表され、階調導出部11は、(3)式に従ってΔNCを導出し、導出したΔNCの値を信号線駆動回路2に出力する。以上で、ケース4に分類されたオーバードライブ階調の決定および信号線駆動回路2に対する出力は終了する。
【0061】
次に、ケース5に分類された場合のオーバードライブ階調の決定について、図3における点Dを例に、図5(b)を参照して説明する。ケース5は、通常領域25または通常領域26に属し、入力データ対に対応した点Dの近傍に対角成分領域24が近傍に位置する場合である。かかる場合におけるオーバードライブ階調ΔNDの導出について説明する。
【0062】
まず、データ抽出部13は、データベース12に保持されたデータのうち初期階調データN3、目標階調データN3’およびこれらによって形成されるデータ対D33に対応したΔN33、差分データdY33、差分データdX33、差分データdY33’と、対角成分領域24のうち、点Dに最も近接し、かつ初期階調NDに対応した点の目標階調Ndia1’を抽出し、階調導出部11に出力する。
【0063】
そして、階調導出部11は、かかるデータに基づいて、入力された初期階調NDと、目標階調ND’とに対応したオーバードライブ階調ΔNDを決定する。まず、初期階調NがN3≦N≦N4、目標階調N’がN’=N3’の領域においてオーバードライブ階調が直線的に変化すると近似してN=ND、N’=N3’におけるオーバードライブ階調ΔND4の値を導出する。具体的には、初期階調ND、初期階調データN3、N4およびオーバードライブ階調データΔN34、差分データdY34に基づいて(1)式と同様の演算を行い、ΔND3を導出する。
【0064】
その後、階調導出部11は、N=ND、N3’≦N’≦Ndia1’の範囲でオーバードライブ階調が直線的に変化するとの近似の下で、初期階調ND、目標階調ND’におけるオーバードライブ階調ΔNDを導出する。対角成分領域24におけるオーバードライブ階調ΔNdia1の値は入力された初期階調NDおよび目標階調ND’と等しい値となることから、ΔNDは、
ΔND={(Ndia1’−ND’)ΔND3+(ND’−N3’)ND}/(Ndia1’−N3’)・・・(4)
と表され、階調導出部11がかかる演算を行うことによって、Dの場合におけるオーバードライブ階調が導出される。すなわち、ケース5の場合には、4個のデータ対および対応するオーバードライブ階調データに基づいてオーバードライブ階調の導出が行われるのではなく、抽出されたデータ対およびデータ対に対応するデータのみならず、さらに対角成分領域24の境界における情報を用いてオーバードライブ階調の導出が行われている。オーバードライブ階調の導出が行われた後、階調導出部11は、信号線駆動回路2に対して出力し、信号線駆動回路2は出力されたオーバードライブ階調値に対応した電圧を印加する。
【0065】
次に、ケース6に分類された場合のオーバードライブ階調の決定について図6(a)、(b)を参照して説明する。ケース6は、入力データ対が通常領域25または通常領域26に属し、かつ入力データ対に対応した点の近傍に飽和領域が存在する場合である。かかるケース6の場合について、入力データ対の近傍に低階調飽和領域23が存在する場合と、高階調飽和領域22が存在する場合とに分けてオーバードライブ階調の導出を説明する。
【0066】
まず、入力データ対の近傍に低階調飽和領域23が存在する場合のオーバードライブ階調の導出について、図3における点Eを例に、図6(a)を参照して説明する。データ抽出部13は、初期階調データN3、目標階調データN1’によって形成されるデータ対D31に対応したオーバードライブ階調データΔN31、差分データdY31、dX31、dY31’とを抽出する。また、データ抽出部13は、低階調飽和領域23のうち、点Eに最も近接し、かつ初期階調NEに対応した点の目標階調NLS1’とを抽出し、抽出したこれらのデータを階調導出部11に出力する。
【0067】
そして、階調導出部11は、初期階調NがN3≦N≦N4、目標階調N’がN’=N2’の領域においてオーバードライブ階調が直線的に変化すると近似して、N=NE、N’=N2’におけるオーバードライブ階調ΔNE3の値を導出する。具体的には、(2)式と同様の演算を階調導出部11において行うことで、ΔNE2が導出される。
【0068】
その後、階調導出部11は、初期階調NがN=NE、目標階調N’がNLS1’≦N’≦N2’の領域においてオーバードライブ階調が直線的に変化すると近似してオーバードライブ階調ΔNEを導出する。低階調飽和領域23に属する点におけるオーバードライブ階調の値は信号線駆動回路2が印加可能な階調の最低値ΔNmin(例えば、0電位)であることから、低階調飽和領域23に属するN=NE、N’=NLS1’におけるオーバードライブ階調の値はΔNminとなる。従って、ΔNEは、
ΔNE={(N2’−NE’)ΔNmin+(NE’−NLS1’)ΔNE3}/(N2’−NLS1’)・・・(5)
と表される。階調導出部11がかかる演算を行うことによって、入力データ対に対応した点が通常領域に属し、かつ低階調飽和領域の近傍に位置する場合のオーバードライブ階調の値が導出される。そして、階調導出部11は、導出されたオーバードライブ階調を信号線駆動回路2に対して出力し、信号線駆動回路2はオーバードライブ階調に対応した電位を印加する。
【0069】
次に、ケース6に分類される場合のうち、入力データ対に対応した点の近傍に高階調飽和領域22が存在する場合のオーバードライブ階調の決定について図3における点Fを例に、図6(b)を参照して説明する。データ抽出部13は、初期階調NFおよび目標階調NF’と上位3ビットが一致する初期階調データN3、目標階調データN7’によって形成されるデータ対D37に対応したオーバードライブ階調データΔN37と、差分データdY37、dX37、dY37’を抽出する。また、データ抽出部13は、高階調飽和領域22のうち、点Fに最も近接し、かつ初期階調NFに対応した点の目標階調NHS1’とを抽出し、これら抽出したデータを階調導出部11に出力する。
【0070】
そして、階調導出部11は、初期階調NがN3≦N≦N4、目標階調N’がN’=N7’の領域においてオーバードライブ階調が直線的に変化すると近似して、N=NF、N’=N7’におけるオーバードライブ階調ΔNF7の値を導出する。具体的には、(1)式と同様の演算を階調導出部11において行うことで、ΔNF8が導出される。
【0071】
その後、階調導出部11は、初期階調NがN=NF、目標階調N’がN7’≦N’≦NHS1’の領域においてオーバードライブ階調が直線的に変化すると近似して初期階調NF、目標階調NF’におけるオーバードライブ階調ΔNFを、図6(a)の場合と同様の手法によって導出する。低階調飽和領域23に属する点におけるオーバードライブ階調の値は信号線駆動回路2が印加可能な階調の最高値ΔNmaxであることから、低階調飽和領域23に属するN=NE、N’=NLS1’におけるオーバードライブ階調の値はΔNmaxとなる。従って、ΔNFは、
ΔNF={(NHS1’−NF’)ΔNF7+(NF’−N7’)ΔNmax}/(NHS1’−N7’)・・・(6)
と表される。階調導出部11がかかる演算を行うことによって、入力データ対に対応した点が通常領域に属し、かつ高階調飽和領域の近傍に位置する場合のオーバードライブ階調の値が導出される。そして、階調導出部11は、導出されたオーバードライブ階調を信号線駆動回路2に対して出力し、信号線駆動回路2はオーバードライブ階調に対応した電圧を印加する。
【0072】
次に、ケース7に分類された場合のオーバードライブ階調の決定について、図7(a)、(b)を参照して説明する。ケース7は、入力データ対に対応する点が通常領域25または通常領域27に属し、かつ入力データ対に対応した点の近傍に飽和領域および対角成分領域の双方が存在する場合である。かかるケース7の場合について、入力データ対に対応した点の近傍に低階調飽和領域23が存在する場合と、高階調飽和領域22が存在する場合とにおける場合とに分けてオーバードライブ階調の導出プロセスを説明する。
【0073】
まず、入力データ対に対応した点の近傍に低階調飽和領域23および対角成分領域24の双方が存在する場合について、入力された初期階調NがNG、目標階調N’がNG’となる図3の点Gを例に、図7(a)を参照して説明する。データ抽出部13は、低階調飽和領域23のうち点Gに最も近接し、かつ初期階調NGと等しい初期階調に対応した点の目標階調NLS2’と、対角成分領域24のうち、点Gに最も近接し、かつ初期階調NGと等しい初期階調に対応した点の目標階調Ndia2’とを抽出する。抽出したデータは、階調導出部11に出力され、オーバードライブ階調の導出に使用される。
【0074】
そして、階調導出部11は、かかるデータに基づいて、入力された初期階調NG、目標階調NG’に対応したオーバードライブ階調ΔNGを導出する。既に説明したように、低階調飽和領域23に属する点におけるオーバードライブ階調は信号線駆動回路2が供給可能な最低階調ΔNminに一意に定められ、対角成分領域24に属する点におけるオーバードライブ階調の値は初期階調および目標階調に等しい値となる。従って、オーバードライブ階調ΔNGは、低階調飽和領域23に属し、初期階調NGかつ目標階調NLS2’に対応するΔNminと、対角成分領域24に属し、初期階調NGかつ目標階調Ndia2’に対応するオーバードライブ階調ΔNdia2(=NG)から導出することが可能である。具体的には、ΔNGは、
ΔNG={(Ndia2’−NG’)ΔNmin+(NG’−NLS2’)ΔNdia2}/(Ndia2’−NLS2’)・・・(7)
と表される。階調導出部11がかかる演算を行うことによって、入力データ対に対応した点が通常領域に属し、かつ対応した点の近傍に低階調飽和領域23および対角成分領域24が存在する場合のオーバードライブ階調の値が導出される。そして、階調導出部11は、導出されたオーバードライブ階調を信号線駆動回路2に出力し、信号線駆動回路2はオーバードライブ階調に対応した電圧を印加する。
【0075】
最後に、ケース7に分類される場合のうち、入力データ対に対応した点の近傍に高階調飽和領域22および対角成分領域24が存在する場合のオーバードライブ階調の決定について、初期階調がNH、目標階調がNH’となる図3における点Hを例に、図7(b)を参照して説明する。データ抽出部13は、データベース12に保持されたデータの中から、高階調飽和領域22のうち点Hに最も近接し、かつ初期階調NHと等しい初期階調に対応した点の目標階調NHS2’と、対角成分領域24のうち、点Hに最も近接し、かつ初期階調NHと等しい初期階調に対応した点の目標階調Ndia3’とを抽出する。抽出したデータは階調導出部11に出力され、入力データ対に対応するオーバードライブ階調の導出に使用される。
【0076】
そして、階調導出部11は、入力されたデータに基づいて、入力された初期階調NH、目標階調NH’に対応したオーバードライブ階調ΔNGを導出する。既に説明したように高階調飽和領域22に属する点におけるオーバードライブ階調は信号線駆動回路2が印加可能な最大階調ΔNmaxに一意に定まり、対角成分領域24に属し、初期階調NHおよび目標階調Ndia3’に対応するオーバードライブ階調ΔNdia3(=NH)に決定される。従って、入力データ対に対応したオーバードライブ階調ΔNHは、
ΔNH={(NHS2’−NH’)ΔNdia3+(NH’−Ndia3’)ΔNmax}}/(NHS2’−Ndia3’)・・・(8)
と表される。階調導出部11がかかる演算を行うことによって、入力データ対に対応した点が通常領域に属し、かつ対応した点の近傍に高階調飽和領域22および対角成分領域24が存在する場合のオーバードライブ階調の値が導出される。そして、階調導出部11は、導出されたオーバードライブ階調を信号線駆動回路2に対して出力し、信号線駆動回路2はオーバードライブ階調に対応した電圧を印加する。
【0077】
次に、本実施の形態1にかかる画像表示装置の利点について説明する。まず、オーバードライブ手法を用いて実現する階調と異なるオーバードライブ階調の値を信号線駆動回路2に出力することによって、表示画素8の階調を短時間で所望の値に変化させることが可能である。従って、高精細または大画面の画像表示装置においても、1フレーム内に所望の階調を実現することが可能となり、高品位な画像表示を行うことが可能となる。
【0078】
また、本実施の形態1にかかる画像表示装置は、オーバードライブ階調を決定する際に参照するデータベース12に記憶する情報量を従来よりも低減できるという利点を有する。すなわち、本実施の形態1において、データベース12は、すべての階調に対応した初期階調データ、目標階調データおよびオーバードライブ階調データを記憶するのではなく、所定間隔の離散的な値についてのみ記憶する。従って、データベース12上に記憶するデータ量が圧縮されておりデータベース12に必要なデータ容量を低減することが可能である。具体的には、256階調の表示が可能な表示画素を有する画像表示装置の場合、すべての初期階調および目標階調に対応したオーバードライブ階調データを記憶することとすると、256×256だけデータが必要となる。一方、本実施の形態1では256階調のうち上位3ビットに対応した階調値を用いることとしているため、8×8だけのデータで十分である。また、各データ対に対応してΔN、dY、dX、dY’の4通りの値をあらかじめ記憶することとしたため、オーバードライブ階調を導出する際の演算上の負荷を低減することが可能である。
【0079】
さらに、高階調飽和領域22、低階調飽和領域23および対角成分領域24をあらかじめ設定しておくことにより、入力データ対がかかる領域に属すると判定された場合に、オーバードライブ階調の導出を迅速に行うことができるという利点を有する。すなわち、入力データ対に対応した点がこれらの領域に属する場合、個々の初期階調および目標階調に関わらずオーバードライブ階調は一意に定められるため、階調導出部11で演算を行う手間を省くことが可能となり、オーバードライブ階調の決定に要する時間を短縮化することが可能である。
【0080】
また、これらの飽和領域等に属する場合にはオーバードライブ階調の値をあらかじめ一意に決定しておく方が画像品位の観点からも好ましい。例えば、入力データ対が対角成分領域24に属するような場合であっても、対角成分領域24が設定されていないとケース4の場合のような演算が行われることとなる。この場合、導出されるオーバードライブ階調の値が初期階調の値と等しくなれば問題とはならないが、実際には演算結果に誤差が生じる場合がある。誤差が生じた場合には、例えば、静止画像を表示しているにもかかわらず、階調が変動することとなって表示画面上にちらつき等が生じるため、画像品位の観点からは好ましくない。従って、本実施の形態1のように、所定領域についてはあらかじめオーバードライブ階調の値を定めておくことで、高品位の画像表示を実現できるという利点を有する。
【0081】
さらに、入力データ対に対応する点が通常領域に属し、かつ対応する点の近傍に飽和領域等が存在する場合に、近傍に存在する飽和領域等の境界に関する情報を利用してオーバードライブ階調の決定を行うことによる利点が存在する。以下、かかる利点について説明する。
【0082】
一般に、画面に表示された画像に関する視認上の特性として、隣接する一連の表示画素群において一部の表示画素が特異な階調を示す場合や、同一表示画素の階調の時間変化に関して特異点が存在する場合には、画像品位の劣化として認識されやすいことが知られている。本実施の形態1にかかる画像表示装置では、データベース12に記憶する情報量を低減していることから実際に表示される階調に若干の変動が生じることは避けられないが、表示される階調の大小関係が逆転することは避けなくてはならない。
【0083】
例えば、隣接する3個の表示画素A、B、Cについて、初期階調が同一で、目標階調NA’、NB’、NC’がNA’<NB’<NC’となる場合を考える。かかる場合、オーバードライブ階調が与えられた結果実際に表示される階調NA’’、NB’’、NC’’についてもNA’’<NB’’<NC’’の関係を維持することが画像品位の観点からは好ましい。かかるケースにおいて、仮にAに対応した表示画素の入力データ対が低階調飽和領域23に属し、B、Cが通常領域25に属しかつ低階調飽和領域23の近傍に位置する場合を考える。このようなケースにおいて、B、Cについて低階調飽和領域23の境界情報を考慮せずにオーバードライブ階調を導出した場合、実際に表示される階調についてNA’’>NB’’<NC’’のように大小関係の一部が逆転する可能性がある。かかる逆転が生じた場合には表示画素Bにおいて特異点が存在することとなり、画像品位が低下する。
【0084】
本実施の形態1にかかる画像表示装置では、上記の表示画素B、Cの場合に単にオーバードライブ階調データ等を用いて演算を行うのではなく、飽和領域の境界情報を用いて、具体的にはケース6、7のような導出プロセスを行うことによって上記の大小関係を維持している。従って、実現される階調そのものの値は変動するおそれがあるものの、隣接する表示画素間における大小関係、または同一表示画素における異なるフレーム間における階調の大小関係を維持して、高品位の画像表示を可能としている。このことは、通常領域25と低階調飽和領域23との関係に限定されず、他の領域間の関係においても該当し、その結果、あらゆる階調に関して、本実施の形態1にかかる画像表示装置では階調の大小関係を維持できるという利点を有する。
【0085】
また、オーバードライブ階調の決定の際に近傍に位置する飽和領域等の情報を利用することによる別の利点も存在する。すなわち、図5(b)〜図7(b)の場合のように、入力データ対に対応した点に対して、入力データ対を形成する初期階調と等しい初期階調を有し、かつ飽和領域等に属するものが存在する場合、かかる条件を満たす点を直接利用して演算することが可能であって、図5(a)の場合のように、3回に渡って演算を行う必要がなくなる。従って、本実施の形態1にかかる画像表示装置は、飽和領域等の情報を利用することによって、オーバードライブ階調の導出を迅速に行うことが可能となる利点を有する。
【0086】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる画像表示装置について説明する。本実施の形態2にかかる画像表示装置は、実施の形態1に係る画像表示装置と同様の構成を有する一方、入力データ対に基づいてオーバードライブ階調を決定するプロセスを単純化することによってオーバードライブ階調の決定を迅速かつ容易に行うこととしている。具体的には、本実施の形態2にかかる画像表示装置は、実施の形態1と同様に図1〜図3と同様の構造を有する一方、図8に示すフローチャートに従ってオーバードライブ階調の決定が行われる。以下、図8を参照して本実施の形態2にかかる画像表示装置におけるオーバードライブ階調の決定プロセスについて説明する。
【0087】
まず、外部からオーバードライブ階調決定部4に対して入力された初期階調の値と目標階調の値に対応した階調値について、上位Mビットの値が一致するか否かを決定する(ステップS201)。一致する場合にはさらにステップS202に移行し、一致しない場合はステップS203に移行する。ここで、実施の形態2では階調の値を8ビット(256階調)とし、M=3とする。すなわち、十進数表記でいうと、初期階調の値と目標階調の値の双方が、0〜31、32〜63、64〜95、96〜127、128〜159、160〜191、192〜223、224〜255のいずれかのうち同一の範囲に属していれば、本ステップにおいて上位Mビットの値が一致すると判断される。
【0088】
ステップS201において上位Mビットの値が一致する場合、初期階調と目標階調とのそれぞれに対応した階調値がすべてのビットに関して完全に一致するか否かを判定する(ステップS202)。完全に一致する場合にはステップS204に移行し、一致しない場合にはステップS205に移行する。
【0089】
初期階調と目標階調とのそれぞれに対応した階調値が完全に一致する場合、階調導出部11は、オーバードライブ階調の値を初期階調および目標階調と等しい値に決定する(ステップS204)。
【0090】
初期階調と目標階調とが一致しない場合、さらに初期階調が目標階調よりも大きな値を有するか否かを判定する(ステップS205)。初期階調が目標階調よりも大きな値を有する場合にはステップS206に移行し、初期階調が目標階調よりも小さな値を有する場合にはステップS207に移行する。
【0091】
初期階調が目標階調よりも大きな値を有する場合、オーバードライブ階調導出部11は、以下の計算式に従ってオーバードライブ階調ΔNを導出する(ステップS206)。すなわち、初期階調(および目標階調)の上位Mビット(例えば、3ビット)の値A0に対応したデータ対におけるオーバードライブ階調データΔNA0、差分データdYA0、dXA0、dYA0’と、初期階調の下位5ビットの値に対応する十進数B0、目標階調の下位5ビットの値に対応する十進数B1とを用いて、ΔNは、
ΔN=ΔNA0+(dXA01/32)−{dYA0(32−B1)+dYA0’B1}/32−(dYA00/32) ・・・(9)
と表される。オーバードライブ階調導出部11は、(9)式に示す演算を行うことによって入力データ対に対応したオーバードライブ階調ΔNを導出し、かかる導出の後、ステップS208に移動する。
【0092】
オーバードライブ階調ΔNの導出後、入力データ対が低階調飽和領域23に属するか否かの判定を行う。具体的には、例えば低階調飽和領域23と通常領域25の境界をあらかじめ初期階調Nと目標階調N’の関係式で求めておき、入力データ対の位置について判断を行う。低階調飽和領域23に属する場合には、信号線駆動回路2は、オーバードライブ階調ΔNに対応した電圧を印加することができないため、オーバードライブ階調ΔNの値に関わらず信号線駆動回路2が供給可能な最低電位に対応した階調の値を出力することとし(ステップS211)、オーバードライブ階調の決定プロセスが終了する。一方、低階調飽和領域23に属さないと判定された場合、ステップS206で導出したオーバードライブ階調ΔNの値がそのまま信号線駆動回路2に対して出力され(ステップS210)、決定プロセスが終了する。
【0093】
一方、ステップS205において初期階調が目標階調よりも小さな値であると判断された場合、以下の計算式に従ってオーバードライブ階調ΔNを導出する(ステップS207)。具体的には、初期階調が目標階調よりも小さな値となる場合には、オーバードライブ階調ΔNは、
ΔN=ΔNA0+(dXA01/32)−(dYA00/32)・・・(10)
と表される。オーバードライブ階調導出部11は、(10)式に示す演算を行うことによって入力データ対に対応したオーバードライブ階調ΔNを導出し、かかる導出の後、ステップS209に移動する。
【0094】
ステップS207でオーバードライブ階調ΔNを導出した後、データ判定部14は、入力データ対に対応する点が高階調飽和領域22に属するか否かを判定する(ステップS209)。高階調飽和領域22に属する場合には、信号線駆動回路2は、オーバードライブ階調ΔNに対応した電圧を印加することができない。従って、ステップS207で導出したオーバードライブ階調ΔNの値に関わらず、オーバードライブ階調導出部11は、信号線駆動回路2が供給可能な最大電位に対応した階調の値を出力することとし(ステップS212)、オーバードライブ階調の決定プロセスが終了する。一方、高階調飽和領域22に属さない場合、ステップS207で導出したオーバードライブ階調ΔNが信号線駆動回路2に対して出力される(ステップS213)。
【0095】
なお、ステップS201において初期階調と目標階調が上位Mビットで一致しなかった場合、以下の計算式に従ってオーバードライブ階調ΔNが導出される。ΔNは、初期階調の上位3ビットの値と目標階調の上位3ビットの値とで決定されるデータ対に対応したデータ対におけるオーバードライブ階調データΔN、差分データdYA1、dXA1、dYA1’と、初期階調の下位5ビットの値に対応する十進数B0、目標階調の下位5ビットの値に対応する十進数B1とを用いて、
ΔN=ΔNA1+(dXA1B1/32)−[{dYA1(32−B1)+dYA1’B1}/32](B0/32)・・・(11)
と表される。オーバードライブ階調導出部11は、(11)式に示す演算を行うことによって入力データ対に対応したオーバードライブ階調ΔNを導出し、ステップ205と同様に初期階調が目標階調よりも大きな値を有するか否かを判定し(ステップS214)、判定結果に応じてステップS208またはステップS209に移行する。
【0096】
本実施の形態2では、図3のテーブル上における入力データ対に対応した点が、通常領域に属しかつ飽和領域の近傍に位置するか否かの判定を行わず、飽和領域近傍に属する場合であっても、ステップS203において一律に処理することとしている。飽和領域近傍に属するにもかかわらず通常の処理によってオーバードライブ階調を導出することによって導出精度は若干低下するものの、迅速な処理が可能となる。
【0097】
また、本実施の形態2では、入力データ対に対応した点が、図3に示す対角成分近傍に位置するか否かについてはステップS201による判定を行っている。すなわち、データベース12に記憶する情報量を低減した関係上、実施の形態1の場合と同様の理由で、演算結果には誤差が生じるおそれが存在する。そして、階調の誤差に起因した階調の大小関係の逆転が生じた場合、特に対角線近傍で目立つことから、少なくとも対角線近傍における階調の大小関係の逆転を避ける必要がある。従って、本実施の形態2でも対角線近傍におけるオーバードライブ階調値は連続的に変化するよう(9)式および(10)式の係数等を決定している。すなわち、(9)式はステップS207の条件を満たす領域において演算結果たるオーバードライブ階調の値が連続的に変化するよう構成されており、(10)式に関しても同様である。さらに、初期階調と目標階調とが完全に一致する条件で(9)式と(10)式とを演算すると、演算結果たるオーバードライブ階調の値は互いに一致し、かつ演算結果は初期階調の値と一致する。このことは、対角成分を含む対角成分の近傍領域において導出されるオーバードライブ階調の値が連続的に変化することとなり、階調の大小関係が逆転することを防止している。
【0098】
さらに、本実施の形態2では、入力データ対が飽和領域に属する場合には、実施の形態1と同様にオーバードライブ階調を一律に決定し、演算処理を行わないこととしている。このため、かかる場合において演算を行わずに迅速にオーバードライブ階調を導出することが可能である。
【0099】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる画像表示装置について説明する。本実施の形態3にかかる画像表示装置は、オーバードライブ階調決定部が、実際に表示された階調に基づいて次フレームにおけるオーバードライブ階調を決定するフィードバック構造を有する。なお、本実施の形態3にかかる画像表示装置は、オーバードライブ階調決定部以外は実施の形態1、2と同様の構成を有することから、以下ではオーバードライブ階調決定部の構造および動作を中心として説明を行う。
【0100】
図9は、本実施の形態3にかかる画像表示装置を構成するオーバードライブ階調決定部の構造を示す模式図である。図9に示すように、オーバードライブ階調決定部30は、実施の形態1、2と同様に前フレーム時における階調を記憶するフレームバッファ15、オーバードライブ階調導出部11、データベース12、データ抽出部13、データ判定部14のみならず、フィードバックループに用いられるフィードバックデータベース31と、フィードバックデータベース31からデータを抽出するデータ抽出手段32とを備えた構造を有する。
【0101】
フィードバックデータベース31は、フレームバッファ15とオーバードライブ階調導出部11から出力されるデータを引数として、実際に実現されていると推定される階調値を導出してフレームバッファ15に対して出力する際のデータベースとして用いられるものである。
【0102】
図10は、フィードバックデータベース31が有するテーブルの構造を示す模式図である。図10に示すように、フィードバックデータベース31は、テーブル構造を有し、行方向に初期階調を備え、列方向には実際に実現されたものと推定される実現階調を備える。テーブル構造としては、データベース12と同様の値が記録された通常領域25、26と、データベース12の高階調飽和領域22の境界における情報に基づいて値が定まる高階調飽和境界線33と、データベース12の低階調飽和領域の境界における情報に基づいて値が定まる低階調飽和境界線34とを有する。具体的には、フィードバックデータベース31は、所定間隔、例えば上位3ビットごとの初期階調データNと実現階調データN’’によって形成されるデータ対のうち、通常領域25、26に属するものに関して、データベース12に記憶されたのと同様の値のオーバードライブ階調ΔN、差分データdY、dX、dY’が記憶されている。なお、フィードバックデータベース31は、既に述べたようにフレームバッファ15とオーバードライブ階調導出部11とから出力されるデータを引数とする。従って、実際のテーブル構造としてはこれらの引数が行および列を構成し、フレームバッファ15に出力する実現階調がテーブルの値となる。しかしながら、ここではフィードバックデータベース31とデータベース12との類似性を示すために、初期階調を行とし、目標階調を置換した実現階調を列としてテーブル上にオーバードライブ階調を記憶した構造で示している。
【0103】
次に、本実施の形態3にかかる画像表示装置において、フィードバックデータベース31およびデータ抽出部32を用いたフィードバックループについて説明する。まず、オーバードライブ階調導出部11によって第mフレームにおけるオーバードライブ階調ΔNが導出され、信号線駆動回路2と共に、データ抽出部32に出力される。同時に、フレームバッファ15に保持された初期階調N(=第m−1フレーム時の階調)がデータ抽出部32に出力される。
【0104】
データ抽出部32は、入力されたオーバードライブ階調ΔNと、初期階調Nとを引数としてフィードバックデータベース31を参照し、実現階調ΔN’’を抽出する。そして、抽出された実現階調ΔN’’を第mフレームで表示された実際の階調値としてフレームバッファ15に出力し、フレームバッファ15は、第m+1フレーム時のオーバードライブ階調の導出にあたって、実現階調ΔN’’を初期階調ΔNとして出力する。その後、実施の形態1または実施の形態2で説明したのと同様のプロセスによって、オーバードライブ階調導出部11は、第m+1フレームにおける階調表示を行うためのオーバードライブ階調の導出を行う。
【0105】
特殊な例として、オーバードライブ階調導出部11における入力データ対がデータベース12において低階調飽和領域23内に位置する場合を考える。なお、かかる例において、初期階調をNLとし、目標階調をNL’とする。図11は、かかる場合における実現階調の導出プロセスを説明するための模式図である。
【0106】
入力データ対がデータベース12において低階調飽和領域23内に位置する場合、既に説明したようにオーバードライブ階調は信号線駆動回路2が印加可能な最低電圧に対応したΔNminとなる。従って、オーバードライブ階調が導出された後、データ抽出部32にはオーバードライブ階調導出部11からの出力としてΔNminが入力される。一方、フレームバッファ15からは、かかる導出の際に用いられた初期階調NLが入力される。従って、データ抽出部32は、かかるΔNmin、NLを引数としてフィードバックデータベース31を参照する。フィードバックデータベース31のテーブル上に記憶されたオーバードライブ階調の値がΔNminとなるのは、低階調飽和境界線34上であることから、データ抽出部32は、低階調飽和境界線34上であって、初期階調NLの値に対応する点を探し、かかる点に対応する実現階調の値を抽出する。その結果、データ抽出部32は、実現階調NL’を抽出して、フレームバッファ15に出力してフレームバッファ15上の記録を書き換える。
【0107】
目標階調NL’は、現フレーム時において実現しようとした階調の値であるが、入力データ対が低階調飽和領域23に属することから実際には実現できなかった階調を意味する。実現階調NL’’は、本来実現しようとした階調ではないが、オーバードライブ階調ΔNminを出力することによって結果として実現された実際の階調を意味する。従って、データ抽出部32は、実現階調をフレームバッファ15に出力することによって、実際に実現された階調をフレームバッファ15に書き込むこととなる。
【0108】
本実施の形態3にかかる画像表示装置は、外部接続機器からオーバードライブ階調決定部30に対して入力された階調情報を次フレーム時における初期階調として用いるのではなく、導出されたオーバードライブ階調等に基づいて実際に実現されるものと推定される実現階調を次フレーム時における初期階調として用いている。かかるフィードバックループによる利点について以下で説明する。
【0109】
既に説明したように、オーバードライブ階調の導出に際して初期階調および目標階調によって形成される入力データ対が飽和領域に属する場合には、信号線駆動回路2は、目標階調を実現可能なオーバードライブ階調に対応した電圧を印加することはできない。従って、実施の形態1または実施の形態2では、これらの飽和領域に属する場合には印加可能な最大電圧または最小電圧に対応した階調をオーバードライブ階調として出力する構造としている。しかしながらかかる近似を行った結果、オーバードライブ階調に対応した電圧を印加しても目標階調を実現することはできず、一定の割合で階調に誤差が生じ、目標階調と実際の階調とが異なる値となる。
【0110】
目標階調と実際の階調とが異なる値となった場合、本来は次フレームの初期階調としては実際の階調が使用される必要があるにも関わらず、従来の手法では前フレーム時の目標階調がそのまま次フレームの初期階調として使用されることとなる。しかしながら、オーバードライブ階調は初期階調と目標階調とによって導出されるものであるため、初期階調の値が実際の値を反映しない場合には、次フレーム時に実現される階調はさらに目標階調の値から乖離することとなる。そして、以後のフレームにおいて、実際の値と異なる初期階調が入力され続けることとなるため階調誤差が累積することとなり、高品位の画像表示がきわめて困難となる。
【0111】
このため、本実施の形態3にかかる画像表示装置は、フィードバックデータベース31およびデータ抽出部32を用いてフィードバックループを行うこととし、任意のフレーム時において実際に実現された階調を次フレーム時の初期階調として処理し、誤差の累積を防止している。
【0112】
次に、フィードバックデータベース31のテーブル構造を図10に示すものにしたことによる利点について説明する。誤差の累積を防止するためにフィードバックループを行うことが好ましい一方、新たにフィードバックデータベース31を設けることによって記憶する情報量が増加することは好ましくない。従って、フィードバックデータベース31を設ける場合には、記憶する情報量をできる限り低減することが要請される。
【0113】
図10を参照して既に説明したように、フィードバックデータベース31は、通常領域25、26に関してはデータベース12と同様の値とすることが可能である。オーバードライブ階調の導出の際に初期階調と目標階調とで形成される入力データ対が通常領域25、26に属する場合にはほぼ正確なオーバードライブ階調が導出されるためである。従って、概念的には通常領域25、26における記憶情報はフィードバックデータベース31上に存在するが、実際にはデータベース12に記憶された情報を流用することが可能である。従って、通常領域25、26に記憶すべき情報の分だけ、フィードバックデータベース31は記憶情報量を低減することが可能である。
【0114】
また、高階調飽和境界線33、低階調飽和境界線34は、データベース12における高階調飽和領域22、低階調飽和領域23の境界と同一の形状を有する。従って、データベース12に記憶された境界情報をそのまま流用することによって構成することが可能である。従って、フィードバックデータベース31上には、高階調飽和境界線33、低階調飽和境界線34に関する情報を記憶する必要がない。
【0115】
従って、フィードバックデータベース31に記憶される情報は、いずれもデータベース12上に記憶された情報を流用できることから、フィードバックデータベース31を形成するために新たに記憶容量を設ける必要がない。このため、本実施の形態3にかかる画像表示装置では、フィードバックデータベース31を(概念上)新たに設けたにもかかわらず、記憶する情報量の増加を防止できるという利点を有する。
【0116】
なお、実施の形態3にかかる画像表示装置において、初期階調と目標階調とが一致しない場合であって、導出されるオーバードライブ階調と初期階調との差分値の絶対値が0より大きく、1未満となる場合には、かかる差分値の絶対値を1に調整することが好ましい。オーバードライブ階調がかかる範囲の値の場合には結果として得られる階調が初期階調と同じ値になる可能性があり、画像品位が低下することとなるためである。なお、かかる調整はフィードバックデータベースを用いた本実施の形態3において顕著に効果を発揮するが、実施の形態1または実施の形態2にかかる画像表示装置に適用することとしても良い。
【0117】
以上、実施の形態1〜3に渡って本発明を説明してきたが、本発明は上記のものに限定されず、当業者であれば様々な実施例、変形例および応用例に想到することが可能である。例えば、実施の形態1〜3においては、オーバードライブ階調決定部4は、電圧に対応した階調値を用いて処理することとしているが、入力および出力を、電圧値そのものとしても良い。また、階調値以外の値であって、電圧値に対応した値を用いることとしても良い。
【0118】
また、実施の形態1〜3にかかる画像表示装置は、図2でも示すようにいわゆるTN(Twisted Nematic)方式の液晶表示装置であるが、かかる構造に限定して理解する必要はなく、画素電極および共通電極の双方がアレイ基板または対向基板の一方に配置され、アレイ基板等の表面と平行な方向に電界が印加されるIPS(In-Plane Switching)方式としても良い。さらには、スイッチング素子を用いたアクティブマトリックス方式ではなく、パッシブマトリックス方式としてもよい。これらの液層表示装置は、いずれも液晶層を誘電体層としたコンデンサによって画像表示を行う構造を有する点で共通性を有し、オーバードライブ階調を導出して短時間に表示画素の階調を所望の値に変化させる必要があるためである。
【0119】
さらに、実施の形態1において、ケース4〜7でオーバードライブ階調を導出する際に、初期階調を定数、目標階調を変数として演算した後、目標階調を定数、初期階調を変数として演算する手法を採用しているが((1)式、(2)式参照)、かかる順序に限定する必要はなく、最初に目標階調を定数として演算を行う構成とすることも可能である。また、演算にあたって行方向と列方向に関して演算を行う構成とせず、任意の方向に関して演算を行うこととしても良い。
【0120】
また、図4および図8に示すフローチャートに関して、ステップの順序は絶対的なものではなく、適宜ステップを入れ替えることとして良い。例えば、図8のステップS208、S209の処理は、最初に行うこととしても良い。
【0121】
さらに、実施の形態1〜3では、オーバードライブ階調の導出の際に、オーバードライブ階調は初期階調および目標階調の変化に対して直線的に変化するとの近似を用いている。しかしながら、オーバードライブ階調の導出の際に、一次近似に限定する必要はなく、二次近似、三次近似等、高次の近似を行うこととしても良い。特に、オーバードライブ階調導出部11の演算速度が高速の場合には、より正確なオーバードライブ階調の導出が可能となるため好ましい。
【0122】
また、オーバードライブ階調決定部4、30は、画像表示装置に内蔵する形態のみならず、画像表示装置とは別個の外部装置として構成され、使用時に画像表示装置に付合した状態で使用することとしても良いし、ビデオドライバ等、画像表示装置に対して映像信号を出力する装置の中に組み込んで、使用時に画像表示装置と共に用いることとしても良い。さらに、オーバードライブ階調決定部4、30を構成するオーバードライブ階調導出部11、データベース12等は別々のものとして図1等に示されているが、これらを一体化して形成することとしても良い。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、データベース上に飽和範囲を設け、入力された初期階調と目標階調の対が飽和範囲に属する場合にオーバードライブ階調の値を許容範囲の限界値に一律に定める構成としたため、迅速なオーバードライブ階調の決定を行えるという効果を奏する。
【0124】
また、この発明によれば、入力された初期階調と目標階調の対が飽和範囲の近傍に位置する場合に飽和領域の境界における情報を用いてオーバードライブ階調を導出する構成としたため、導出したオーバードライブ階調に基づいて実現されるコンデンサの電位の大小関係が、飽和領域に属する場合と飽和領域近傍に位置する場合に逆転することを防止できるという効果を奏する。
【0125】
また、この発明によれば、フィードバックデータベースをさらに備え、かかるフィードバックデータベースを用いて実際に実現されるコンデンサの電圧を導出し、導出結果を次回のオーバードライブ階調導出の際に初期階調として利用することとしたため、オーバードライブ階調導出の際に生じる誤差が蓄積されることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる画像表示装置の全体構造を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる画像表示装置を構成する画像表示パネルの構造を示す図である。
【図3】実施の形態1にかかる画像表示装置が備えるデータベースのテーブル構造を示す図である。
【図4】実施の形態1にかかる画像表示装置において、オーバードライブ階調の導出プロセスを示すフローチャートである。
【図5】(a)は、ケース4に分類された場合におけるオーバードライブ階調の導出プロセスを説明するための図であり、(b)は、ケース5に分類された場合におけるオーバードライブ階調の導出プロセスを説明するための図である。
【図6】(a)、(b)は、ケース6に分類された場合におけるオーバードライブ階調の導出プロセスを説明するための図である。
【図7】(a)、(b)は、ケース7に分類された場合におけるオーバードライブ階調の導出プロセスを説明するための図である。
【図8】実施の形態2にかかる画像表示装置において、オーバードライブ階調の導出プロセスを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態3にかかる画像表示装置の構造を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3にかかる画像表示装置が備えるフィードバックデータベースのテーブル構造を示す図である。
【図11】実施の形態3にかかる画像表示装置におけるフィードバック処理を説明するための図である。
【図12】オーバードライブ手法を説明するための模式的なグラフである。
【符号の説明】
1 画像表示パネル
2 信号線駆動回路
3 走査線駆動回路
4 オーバードライブ階調決定部
5 信号線
6 走査線
7 コンデンサ
8 表示画素
9 コンデンサ
10 スイッチング素子
11 オーバードライブ階調導出部
12 データベース
13 データ抽出部
14 データ判定部
15 フレームバッファ
17 アレイ基板
18 対向基板
19 液晶層
20 画素電極
21 共通電極
22 高階調飽和領域
23 低階調飽和領域
24 対角成分領域
25 通常領域
26 通常領域
27 通常領域
30 オーバードライブ階調決定部
31 フィードバックデータベース
32 データ抽出手段
32 データ抽出部
33 高階調飽和境界線
34 低階調飽和境界線

Claims (10)

  1. オーバードライブ階調に対応した電圧を表示画素に供給して前記表示画素における表示階調を一定時間で初期階調から目標階調に変化させる画像表示装置であって、
    表示可能な階調値から抽出された複数の初期階調データと、表示可能な階調値から抽出された複数の目標階調データと、前記初期階調データと前記目標階調データとによって形成されたデータ対に対応づけられたオーバードライブ階調データと、オーバードライブ階調が許容範囲内の値となる初期階調と目標階調の対によって形成される通常範囲と、オーバードライブ階調が許容範囲から外れた値となる初期階調と目標階調との対によって形成される飽和範囲とを記録したデータベースと、
    前記初期階調データと異なる初期階調および/または前記目標階調データと異なる目標階調が入力された際に、該入力された初期階調に近接する初期階調データと、入力された目標階調に近接する目標階調データとによって形成されるデータ対を抽出するデータ抽出手段と、
    入力された初期階調と目標階調の対が前記飽和範囲および前記通常範囲のいずれに属するかを判定するデータ判定手段と、
    入力された初期階調と目標階調の対が前記飽和範囲に属する場合に前記許容範囲の限界値をオーバードライブ階調として導出し、前記通常領域に属する場合に少なくとも前記データ抽出手段によって得られた初期階調データ、目標階調データおよび対応するオーバードライブ階調データとに基づいてオーバードライブ階調を導出するオーバードライブ階調導出手段と、
    該オーバードライブ階調導出手段によって導出された階調に対応した電圧を前記表示画素に供給する信号線と、
    を備えたことを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記飽和領域は、オーバードライブ階調が許容範囲よりも高い値となる高階調飽和領域と、オーバードライブ階調が許容範囲よりも低い値となる低階調飽和領域とを有し、
    前記オーバードライブ階調導出手段は、入力された初期階調と目標階調の対が前記高階調飽和領域に属する場合に前記許容範囲の上限値をオーバードライブ階調として導出し、前記低階調飽和領域に属する場合に前記許容範囲の下限値をオーバードライブ階調として導出することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記データ判定手段は、前記データ抽出手段によって抽出されたデータ対が前記飽和範囲に属するか否かをさらに判定し、
    前記オーバードライブ階調導出手段は、入力された初期階調と目標階調の対が前記通常領域に属し、抽出された前記データ対が前記飽和範囲に属する場合に、入力された初期階調と目標階調との対と前記データ対との間に位置する前記飽和範囲と前記通常範囲の境界の情報を用いてオーバードライブ階調を導出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
  4. 前記オーバードライブ階調導出手段は、入力された初期階調と目標階調の対が前記通常領域に属し、抽出された前記データ対が前記飽和範囲に属する場合に、入力された初期階調と目標階調との対と前記データ対との間に位置する前記飽和範囲と前記通常範囲の境界に属する初期階調と目標階調の対の中で、初期階調の値が入力された初期階調と等しい対または目標階調の値が入力された目標階調と等しい対の情報を用いてオーバードライブ階調を導出することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
  5. 前記データベースは、オーバードライブ階調の値が初期階調と等しくなる初期階調と目標階調の範囲である対角成分範囲をさらに記憶し、
    前記オーバードライブ階調導出手段は、入力された初期階調と目標階調との対が、前記対角成分範囲に属する場合には、入力された初期階調の値をオーバードライブ階調として導出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像表示装置。
  6. 前記データ判定手段は、前記データ抽出手段によって抽出されたデータ対と、入力された初期階調と目標階調との対との間に、前記通常範囲と前記対角成分範囲との境界が存在するか否かを判定し、
    前記オーバードライブ階調導出手段は、前記通常範囲と前記対角成分範囲との境界が存在する場合に該境界の情報を用いてオーバードライブ階調を導出することを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
  7. 前記オーバードライブ階調導出手段は、前記データ抽出手段によって抽出されたデータ対と、入力された初期階調と目標階調との対との間に前記通常範囲と前記対角成分範囲との境界が存在する場合に、入力された初期階調と目標階調との対と前記データ対との間に位置する前記対角成分範囲と前記通常範囲の境界に属する初期階調と目標階調との対の中で、初期階調の値が入力された初期階調と等しい対または目標階調の値が入力された目標階調と等しい対の情報を用いてオーバードライブ階調を導出することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
  8. 前記許容範囲内のオーバードライブ階調から抽出された複数のオーバードライブ階調データと、存在しうる初期階調から抽出された複数の初期階調データと、前記オーバードライブ階調データおよび前記初期階調データとによって形成されたデータ対に対応づけられ、前記初期階調データに対して前記オーバードライブ階調データを一定期間だけ印加した場合に実現される実現階調データとを記録したフィードバックデータベースと、
    前記オーバードライブ階調導出手段によって導出されたオーバードライブ階調と、該オーバードライブ階調の導出に用いられた初期階調とに基づいて、前記フィードバックデータベースを参照して対応する実現階調を導出する実現階調導出手段と、
    をさらに備え、前記オーバードライブ階調導出手段は、次フレーム時のオーバードライブ階調導出の際に前記実現階調導出手段によって導出された実現階調を入力された初期階調として扱うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の画像表示装置。
  9. 前記フィードバックデータベースにおけるオーバードライブ階調データは、前記データベースに記録されたオーバードライブ階調データと等しい値であり、初期階調データは、前記データベースに記録されたオーバードライブ階調データと等しい値であることを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
  10. 前記オーバードライブ階調導出手段は、前フレーム時の階調に対応した初期階調と、現フレーム時の階調に対応した目標階調との差分値が1階調差であって、かつ導出されたオーバードライブ階調の値と初期階調との差分値が0より大きく、1未満となる場合に、該階調差が1になるようオーバードライブ階調の値を調整することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
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