JP4403214B2 - 合成ポリアミド繊維の染色方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は合成ポリアミド繊維の染色方法に関するものであり、さらに詳しくは、合成ポリアミド繊維を特定のジスアゾ染料により鉄媒染染色する方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、ナイロン等合成ポリアミド繊維の染色においては、酸性染料あるいは金属錯塩酸性染料が主に使用されている。酸性染料は堅牢度が劣り、金属錯塩酸性染料はクロム等の重金属を含んでおり環境負荷が高いことなどが問題となってきた。一方、環境毒性のより低い金属、例えば、ニッケル、コバルト、鉄等を用いる媒染などの研究も行われてきた。
このうち鉄媒染は、環境毒性の面で期待される。しかし、この鉄媒染は、他の金属媒染の場合と比較して特に実用に耐えうる堅牢度を得ることが困難で、従来からクロム媒染などに、各種のアゾ染料が多用されていたにもかかわらず、殆ど実用化されていない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、鉄媒染染色による摩擦堅牢度や耐光堅牢度の低下を抑制し、合成ポリアミド繊維の実用可能な染色方法を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決する為の手段】
上記目的達成のため到達した本発明は、合成ポリアミド繊維を、遊離酸の形で式（２）で表されるジスアゾ染料を含有するｐＨ3.5〜４の染浴で処理した後、硫酸第一鉄を酢酸水溶液に溶解してなる媒染液により鉄媒染することを特徴とするものである。
【０００５】
【化２】

（２）
【０００６】
本発明においては、染浴をｐＨ４以下に維持するため、摩擦堅牢度低下の原因となる水酸化鉄の発生が抑制される。同時に耐光堅牢度も向上する。
しかし染浴のｐＨを３未満にするとポリアミド繊維の過染色による脆化が生じる恐れがある。
染液のより好ましいｐＨ値の範囲は、３．５〜３．８である。
【０００７】
【発明の実施の形態】
鉄塩の水溶液からなる媒染液は、通常、前記染浴のｐＨの範囲内又はその近辺にある。従って、鉄塩の水溶液のｐＨ値の調整は全く不要であるが、液中での水酸化鉄発生を抑制するために、鉄塩は酸性水溶液、望ましくは酢酸の水溶液に溶解して使用するとよい。
更に、染色終了後、ソーピング剤によるソーピングを行う。
本発明の鉄媒染方法は、ナイロン又はナイロンと他の繊維を混紡した繊維材料の染色に好適に用いることができる。
【０００８】
【実施例】
以下、実施例により具体的に本発明を説明する。
各堅牢度試験と測定は以下の方法により行った。
摩擦堅牢度：ＪＩＳ Ｌ０８４９−１９９６ 学振法（グレースケールで測定）
耐光堅牢度：ＪＩＳ Ｌ０８４２−１９９６ （ブルースケールで測定）
実施例１
【０００９】
【化３】

（２）
【００１０】
遊離酸の形で上記（２）の構造をもつ染料を、ナイロン６６に対して４％o.w.f.、同じく均染剤１％o.w.f.を使用し、酢酸により染浴をｐＨ３．５に調整し、浴比３０：１にて染浴を攪拌しながら初浴４０℃より１時間かけて９８℃まで昇温する。９８℃で３０分間維持した後、酢酸１％水溶液に溶解した硫酸第一鉄１％o.w.f.添加する。更に６０分維持した後、被染物を染浴より取り出し、ソーピング剤２％o.w.f.が入った浴比３０：１の洗浄浴に入れ、常温から８０℃まで昇温し、２０分維持する。その後、水洗し、取り出した染色物を乾燥した。こうして得られた染色物は濃色の黒色に染まっており、良好な摩擦堅牢度や耐光堅牢度を有した。その結果を表１に示す。
【００１１】
比較例１
実施例１で使用したと染料を染浴ｐＨ５．５に調整して、水に溶解した硫酸第一鉄を用い、他は実施例１と同条件で染色、ソーピングした。こうして得られた染色物の堅牢度結果を表１に示す。
【００１２】
【表１】

【００１３】
【発明の効果】
本発明により、合成ポリアミド繊維等の摩擦堅牢度や耐光堅牢度等に優れた鉄媒染染色が可能となり、クロム等の重金属を使用せずに高堅牢度が得られ、特に濃色でのナイロン染色等に有用である。

Claims (1)

1. 合成ポリアミド繊維を、遊離酸の形で式（２）で表されるジスアゾ染料を含有するｐＨ3.5〜４の染浴で処理した後、硫酸第一鉄を酢酸水溶液に溶解してなる媒染液により鉄媒染することを特徴とする合成ポリアミド繊維の染色方法。
   

   

   （２）