JP4399566B2 - 人工ポンプ駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工心臓などに利用する血液ポンプなどの、人工ポンプを駆動するための人工ポンプ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人工心臓などに利用する血液ポンプなどの、人工ポンプを駆動するための人工ポンプ駆動装置には、例えば、特許第2726260号の特許公報に記載された「補助人工心臓駆動装置」がある。そこで、ここでは、先ず、かかる「補助人工心臓駆動装置」について具体的に説明する。
【0003】
図9に補助人工心臓駆動装置のシステム構成を示す。図9を参照すると、960Lが補助人工心臓である。流体駆動ユニットFDUには2つの流体駆動出力端が備わっている。流体駆動ユニットFDUを制御する電子制御ユニットECUには、リモート操作ボードREMが接続されている。
【0004】
図10に、図9の流体駆動ユニットFDUの構成を示す。まず概略で説明すると、このユニットFDUにはコンプレッサ971、真空ポンプ972、空気圧制御機構ADUL、ガス駆動機構GDUL、ヘリウムガスタンクHTA及び減圧弁961が備わっている。ガス駆動機構GDULの入力端は空気圧制御機構ADULの出力端に接続されている。ガス駆動機構GDULの出力端は、人工心臓960Lに接続されている。
【0005】
空気圧制御機構ADULを説明する。この機構には、6つの電磁弁951,952,953,954,955及び956が備わっている。電磁弁951,952及び953が正圧生成用に使用され、電磁弁954,955及び956が負圧生成用に使用される。電磁弁951及び952はアキュムレータAC1の内部に備わっており、電磁弁954及び955はアキュムレータAC2の内部に備わっている。電磁弁951及び953の入力端がコンプレッサ971の出力端に接続されており、電磁弁954の入力端(流体の流れ方向に関しては下流端)が真空ポンプ972の負圧出力端に接続されており、電磁弁956の入力端が大気に開放されており、電磁弁952,953,955及び956の出力端が空気圧制御機構ADULの出力端に接続されている。
【0006】
PS1及びPS2は、それぞれアキュムレータAC1及びAC2内部の圧力を検出するための圧力センサである。
【0007】
次に、ガス駆動機構GDULを説明する。この機構には、電磁弁958,959や、流体アイソレータAGA等が備わっている。電磁弁959は入力端が減圧弁961の出力端に接続され、出力端が流体アイソレータAGAの二次側に接続されている。電磁弁958は入力端が流体アイソレータAGAの二次側に接続され、出力端がアキュムレータAC2の内部に接続されている。
【0008】
図11に、図9に示す電子制御ユニットECUの構成を示す。図11を参照すると、電子制御ユニットECUは、制御ユニットCON1,CON2及びCON3、リモコン用受信ユニットSRU、本体側操作ボードMOB及び表示ユニットDSPUでなっている。
【0009】
制御ユニットCON1は、空気圧制御機構ADULの圧力センサPS1及びPS2の出力信号を監視して、アキュムレータAC1及びAC2内部の圧力が設定された圧力と一致するように、電磁弁951及び954を開閉制御する。制御ユニットCON2は、空気圧制御機構ADULの電磁弁952,953,955及び956を、設定された心拍周期、継続時間(又はデューティ)等に応じた所定タイミングで開閉制御する。
【0010】
制御ユニットCON3は、ガス駆動機構GDULの電磁弁958及び959を制御する。ガス駆動機構GDULの制御は、圧力センサPS3及びPS4の出力信号(PG1,PG2)を監視して行う。表示ユニットDSPUは、多数の7セグメント表示器でなっており、制御ユニットCON1,CON2及びCON3に接続されている。本体側操作ボードMOBは、制御ユニットCON1,CON2及びCON3に接続されている。リモコン用受信ユニットSRUの各々の出力ラインは、本体側操作ボードMOBの対応する信号ラインと同様に接続されている。
【0011】
したがって、上記補助人工心臓駆動装置のシステムでは、図9や図10に示すように、コンプレッサ971及び真空ポンプ972をそれぞれ異なるアキュムレータAC1,AC2に接続するとともに、補助人工心臓960Lを接続チューブ902aを介して流体アイソレータAGAの二次側に接続しており、電磁弁951,952,953,954,955,956などの開閉動作を制御することにより、予め陽圧に蓄圧されたアキュムレータAC1と、予め陰圧に蓄圧されたアキュムレータAC2とを、流体アイソレータAGAの一次側と交互に接続させ、これにより、補助人工心臓960Lを脈動させている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
一方、特願2001−074968の特許出願には、上記補助人工心臓駆動装置よりも小型化された血液ポンプ駆動装置が記載されている。そこで、次は、かかる「血液ポンプ駆動装置」について具体的に説明する。尚、念のために言えば、かかる「血液ポンプ駆動装置」の説明は、本発明が解決しようとする課題を明確にするために記載するものであって、本発明の出願時における技術水準・技術常識などを構成するものでない。
【0013】
図12は、本例における血液ポンプ駆動装置の全体概略図である。図に示すように、本例の血液ポンプ駆動装置1(「人工ポンプ駆動装置」に相当するもの)は、アイソレータ11、油圧ポンプ12(「駆動ポンプ」に相当するもの)、制御回路(制御装置)13、リザーブタンク14が、ハウジング100の内部に配置して構成されている。
【0014】
アイソレータ11は、その内部に空間が形成されており、該空間は可撓性を有するダイヤフラム111によって一次側室112と二次側室113とに画成されている。本例においてはダイヤフラム111として、フッ素ゴムを使用している。
【0015】
油圧ポンプ12は、後述の血液ポンプ51(「人工ポンプ」に相当するもの)を拍動させるための駆動源として用いられるものであり、本例では、ポンプハウジング121及び該ハウジング121の内部に配設され正逆回転可能な回転体としての羽根車122を備えた通常の摩擦ポンプである。ハウジング121には第1ポート121a及び第2ポート121bが形成されている。第1ポート121aは配管21を通じてアイソレータ11の一次側室112に連通している。第2ポート121bは配管22を通じてリザーブタンク14に連通している。また、羽根車122は、モータ123(「原動機」に相当するもの)からの駆動力で回転するようにされている。このモータ123は羽根車122を図示矢印Aで示す方向に正回転させることも、図示矢印Bで示す方向に逆回転させることもできる。さらに、回転速度も可変とすることができる。このようなモータとして、ブラシレスモータ、ステッピングモータが挙げられる。
【0016】
アイソレータ11の一次側室112には一次側圧力センサ31が、二次側室113には二次側圧力センサ33が取り付けられている。一次側圧力センサ31で計測された一次側室112内の圧力及び、二次側圧力センサ33で計測された二次側室113内の圧力は、制御回路13に伝達される。
【0017】
アイソレータ11の二次側室113は、配管23を通じて血液ポンプ51と連結している。また配管23の途中には、給排気用開閉バルブ41が取り付けられている。この給排気用開閉バルブ41はON−OFFバルブであり、配管23内の空気圧力が所定の範囲内に収まるように該配管23内の圧力を調整する役割を果たす。
【0018】
制御回路13は、油圧ポンプ12を駆動するためのモータ123及び給排気用開閉バルブ41に電気的に連結している。そして、一次側圧力センサ31で計測された一次側室112内の圧力、二次側圧力センサ33で計測された二次側室113内の圧力、その他、使用者の態様等の必要な情報を基に、油圧ポンプ12の回転方向、回転数に関する信号をモータ123に送ったり、給排気用開閉バルブ41のON、OFF信号等を出力する。
【0019】
血液ポンプ51は、ハウジング511及び、ハウジング511内に取り付けられたダイヤフラム512を備える。このダイヤフラム512によって、ハウジング511内の空間は流体室513と血液室514とに分割されている。尚、アイソレータ11の二次側室113は、配管23により血液ポンプ51の流体室513側に連通している。
【0020】
アイソレータ11の一次側室112、配管21、油圧ポンプ12、配管22、リザーブタンク14内には、シリコンオイルが封入されている。また、アイソレータ11の二次側室113、配管23、血液ポンプ51の流体室513内には、空気が封入されている。したがって、本例では、アイソレータ11のダイヤフラム111よりも上流側(油圧ポンプ12側)の一次側流体はシリコンオイル、下流側(血液ポンプ51側)の二次側流体は空気とされている。
【0021】
上記構成の血液ポンプ駆動装置1において、制御回路13からの制御信号がモータ123に伝達されて該モータ123が駆動し、このモータ123の駆動に伴って、例えば油圧ポンプ12の羽根車122が図の矢印Aで示される方向(反時計回り方向)に正回転駆動すると、油圧ポンプ12内のオイルが配管22を通ってリザーブタンク14に送出されるとともに、アイソレータ11の一次側室112内のオイルが配管21を通って第1ポート121aから油圧ポンプ12内に吸入される。このためアイソレータ11の一次側室112は減圧し、アイソレータ11内のダイヤフラム111は図示左方向(矢印D方向)に移動して一次側室112の容積を縮小するとともに二次側室113の容積を拡張する。二次側室113はその容積の拡張に伴って減圧するが、この圧力減少は配管23で二次側室113に連通した血液ポンプ51の流体室513に伝達される。このため流体室513は減圧して容積を減少しようとし、血液ポンプ51内のダイヤフラム512の曲率が流体室513側から見て凹の状態から凸の状態へと反転する。この曲率の反転によって拍動が生じ、血液室514内に血液が送り込まれる。
【0022】
また、例えば油圧ポンプ12の羽根車122が図の矢印Bで示される方向(時計回り方向)に逆回転駆動すると、リザーブタンク14内のオイルが配管22を通って油圧ポンプ12に汲み上げられるとともに、油圧ポンプ12内のオイルが第1ポート121aから配管21を通ってアイソレータ11の一次側室112に送出される。このため一次側室112は増圧し、アイソレータ11内のダイヤフラム111は図示右方向(矢印C方向)に移動して一次側室112の容積を拡張するとともに二次側室113の容積を減少する。二次側室113はその容積の縮小に伴って増圧するが、この圧力増加は配管23で二次側室113に連通した血液ポンプ51の流体室513に伝達される。このため流体室513は増圧して容積を拡張しようとし、血液ポンプ51内のダイヤフラムの曲率が流体室513側から見て凸の状態から凹の状態へと反転する。この曲率の反転によって拍動が生じ、血液室514から血液が送り出される。
【0023】
以上の動作を繰り返すことによって血液ポンプによる血液の拍動が繰り返される。したがって、油圧ポンプ12の正逆回転動作の周期が血液ポンプの拍動周期となるため、油圧ポンプ12の正逆回転周期で拍動数が決定される。
【0024】
また、血液ポンプ51の拍動を誘因するダイヤフラム512の曲率反転動作は、アイソレータ11の二次側室113及び血液ポンプ51の流体室513内の圧力に依存し、この圧力レベルを例えば−26.6KPa〜39.9KPa(−200mmHg〜+300mmHg)となるように調整したり、圧力の立ち上がりや立ち下がりを調整したりするには、油圧ポンプ12の回転速度(単位時間当たりの回転数)を調整してシリコンオイルの送出量又は吸入量を調整することにより行う。この役割は、従来技術の補助人工心臓駆動装置では、アキュムレータAC1,AC2(図10参照)が行っていたが、本例では油圧ポンプ12自身がその回転速度を調整することにより行うことができるので、アキュムレータAC1,AC2(図10参照)を不要とすることができ、血液ポンプ駆動装置の小型化が図れる。
【0025】
次に、本例の血液ポンプ駆動装置1の制御回路13における制御方法について、図13〜図16のフローチャートを用いて具体的に説明する。先ず、図13のS101において、血液ポンプ駆動装置1の電源がONされると、S102において、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図17参照)と、「吸引期間」のモータ123の出力VMP(図17参照)とが、それぞれの初期値(「第1設定値」及び「第2設定値」に相当するもの)に設定される。
【0026】
尚、「拍出期間」とは、油圧ポンプ12の羽根車122が図12の矢印Bで示される方向(時計回り方向)に逆回転駆動する期間であって、モータ123が拍出方向(図12の矢印Bで示される方向)に回転する期間を示しており、アイソレータ11の二次側室113に陽圧が発生する「陽圧過程」ではない(図17、後述する図2参照)。また、「吸引期間」とは、油圧ポンプ12の羽根車122が図12の矢印Aで示される方向(反時計回り方向)に正回転駆動する期間であって、モータ123が吸引方向(図12の矢印Aで示される方向)に回転する期間を示しており、アイソレータ11の二次側室113に陰圧が発生する「陰圧過程」ではない(図17、後述する図2参照)。
【0027】
そして、S103において、陽圧CP(mmHg)と、陰圧VP(mmHg)、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))、拍動数HR(1/min)が入力され、その後のS104において、血液ポンプ駆動装置1の駆動が開始されると、S105で圧力制御が開始されると同時に、S106でモータ出力パターン制御が開始される。
【0028】
ここでは、先ず、S105で開始された圧力制御について説明すると、図14に示すように、S111において、陽圧CP及び陰圧VPの駆動条件が自動的に認識された後に、S112において、二次側圧力センサ33を介して、アイソレータ11の二次側室113の最低圧Pminの測定を開始する。この点、最低圧Pminの測定は、アイソレータ11の二次側室113の圧力(以下、「駆動圧」という)が「0」mmHg以下である限り続けられ(S113:No)、「駆動圧」が「0」mmHgより大きくなると(S113:Yes)、最低圧Pminの測定を終了するとともに、最低圧Pminを確定する。
【0029】
その後は、S115において、最低圧Pminが陰圧VPよりも大きいか否かを判断する。このとき、最低圧Pminが陰圧VPよりも大きいと判断する場合には(S115:Yes)、S116において、「吸引期間」のモータ123の出力VMP(図17参照)の値を上昇させた後で、S117に進む。一方、最低圧Pminが陰圧VPよりも大きいと判断しない場合には(S115:No)、何もすることなく、S117に進む。そして、S117では、最低圧Pminが陰圧VPよりも小さいか否かを判断する。このとき、最低圧Pminが陰圧VPよりも小さいと判断する場合には(S117:Yes)、「吸引期間」のモータ123の出力VMP(図17参照)の値を低下させた後で、S119に進む。一方、最低圧Pminが陰圧VPよりも小さいと判断しない場合には(S117:No)、何もすることなく、S119に進む。
【0030】
そして、S119では、二次側圧力センサ33を介して、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmaxの測定を開始する。この点、最高圧Pmaxの測定は、「駆動圧」が「0」mmHg以上である限り続けられ(S120:No)、「駆動圧」が「0」mmHgより小さくなると(S120:Yes)、最高圧Pmaxの測定を終了するとともに、最高圧Pmaxを確定する。
【0031】
その後は、S122において、最高圧Pmaxが陽圧CPよりも大きいか否かを判断する。このとき、最高圧Pmaxが陽圧CPよりも大きいと判断する場合には(S122:Yes)、S123において、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図17参照)の値を低下させた後で、S124に進む。一方、最高圧Pmaxが陽圧CPよりも大きいと判断しない場合には(S122:No)、何もすることなく、S124に進む。そして、S124では、最高圧Pmaxが陽圧CPよりも小さいか否かを判断する。このとき、最高圧Pmaxが陽圧CPよりも小さいと判断する場合には(S124:Yes)、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図17参照)の値を上昇させた後で、S111に戻る。一方、最高圧Pmaxが陽圧CPよりも小さいと判断しない場合には(S124:No)、何もすることなく、S111に戻る。
【0032】
次に、図13のS106で開始されたモータ出力パターン制御について説明すると、図15に示すように、S131において、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))、拍動数HR(1/min)が自動的に認識された後に、S132において、以下の式(1)を使用して、「拍出期間」をmsec単位で算出する。
「拍出期間」=60000/HR×SD/100 …
式(1)
【0033】
そして、S133において、モータ123の回転方向を拍出方向(図12の矢印Bで示される方向)に設定し、S134において、タイマーをスタートさせて、経過時間の計測を開始する。その後は、S135において、モータ123を、「拍出期間」の出力CMP(図17参照)で駆動させる。この点、「拍出期間」の出力CMP(図17参照)によるモータ123の駆動は、経過時間が「拍出期間」になるまで続けられ(S136:No)、経過時間が「拍出期間」になると(S136:Yes)、S137において、モータ123の出力を「0」にし、S138において、タイマーをリセットさせて、図16のS139に進む。
【0034】
また、図16のS139においては、以下の式(2)を使用して、「吸引期間」をmsec単位で算出する。
「吸引期間」=60000/HR×(1−SD/100) … 式(2)
そして、S140において、モータ123の回転方向を吸引方向(図12の矢印Aで示される方向)に設定し、S141において、タイマーをスタートさせて、経過時間の計測を開始する。その後は、S142において、モータ123を、「吸引期間」の出力VMP(図17参照)で駆動させる。この点、「吸引期間」の出力VMP(図17参照)によるモータ123の駆動は、経過時間が「吸引期間」になるまで続けられ(S143:No)、経過時間が「吸引期間」になると(S143:Yes)、S144において、モータ123の出力を「0」にし、S145において、タイマーをリセットさせて、図15のS131に戻る。
【0035】
以上より、図12の血液ポンプ駆動装置1では、図14の圧力制御により、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図17参照)及び「吸引期間」のモータ123の出力VMP(図17参照)を調整しつつ、図15及び図16のモータ出力パターン制御により、図17の方形波で示すようにして、モータ123の出力を「拍出期間」のCMP又は「吸引期間」のVMPに制御しており、これにより、図17の実線で示すように、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))をもって、「拍出期間」と「吸引期間」とを繰り返すとともに、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmaxを陽圧CPに制御し、アイソレータ11の二次側室113の最低圧Pminを陰圧VPに制御することができる。
【0036】
尚、図17は、アイソレータ11の二次側室113の圧力を二次側圧力センサ33で測定した結果を実線で示したものであり、さらに、モータ123の出力CMP,VMPについてタイミングを合わせて記載している。この点、モータ123の出力CMP,VMPについては、モータ123の回転方向が互いに反対になるものであるが、図17では、モータ123の回転方向を無視して、その大きさのみを考慮して記載している。
【0037】
また、図17では、血液ポンプ駆動装置1と同じ駆動条件(陽圧CP(mmHg)と、陰圧VP(mmHg)、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))、拍動数HR(1/min))の下で、従来技術の補助人工心臓駆動装置を駆動させた場合の流体アイソレータAGA(図10参照)の二次側の圧力を圧力センサPS4(図10参照)で測定し、その測定結果を、血液ポンプ駆動装置1のタイミングに合わせて二点鎖線で示している。
【0038】
この点、図17の実線と二点鎖線とを「陽圧過程」において比較すると、血液ポンプ駆動装置1の二次側室113の圧力(図17の実線)の立ち上がりが、従来技術の補助人工心臓駆動装置を駆動させた場合の流体アイソレータAGAの二次側の圧力(図17の二点鎖線)の立ち上がりよりも、遅いことがわかる。これは、血液ポンプ駆動装置1の「陽圧過程」における血液の拍出(図17の実線の積分値)が、従来技術の補助人工心臓駆動装置ほど(図17の二点差線の積分値)に行われないことを意味している。
【0039】
したがって、血液ポンプ駆動装置1(図12参照)は、従来技術の補助人工心臓駆動装置と比較すれば小型・軽量であるため、例えば、患者がリハビリや散歩などを行う際には、従来技術の補助人工心臓駆動装置(図9参照)から血液ポンプ駆動装置1(図12参照)に切り替えて使用することが有効であると考えられるが、この点、その切り替えをスムーズかつ確実に行うためには、駆動条件(陽圧CP(mmHg)と、陰圧VP(mmHg)、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))、拍動数HR(1/min))を同じに設定することが重要であるが、単に、それらの駆動条件を同じに設定しただけでは、「陽圧過程」における血液の拍出が不足するという問題点があった。
【0040】
尚、従来技術の補助人工心臓駆動装置(図9参照)から血液ポンプ駆動装置1(図12参照)への切り替えは、例えば、従来技術の補助人工心臓駆動装置の補助人工心臓960L(図9参照)と血液ポンプ駆動装置1の血液ポンプ51(図12参照)とが同格の構成部品であるため、従来技術の補助人工心臓駆動装置の接続チューブ902a(図9参照)と血液ポンプ駆動装置1の配管23とを切替可能に接続することにより行われる。
【0041】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされた人工ポンプ駆動装置であって、同一の駆動条件の下で他の装置(従来技術)から切り替えても、「陽圧過程」における血液の拍出を同等に行うことができるようにすることを第1の課題とする。
【0042】
一方、図17の実線と二点鎖線とを「陰圧過程」において比較すると、血液ポンプ駆動装置1の二次側室113の圧力(図17の実線)と、従来技術の補助人工心臓駆動装置を駆動させた場合の流体アイソレータAGAの二次側の圧力(図17の二点鎖線)との間において、明確な差はない。したがって、同一の駆動条件をもって、従来技術の補助人工心臓駆動装置(図9参照)から血液ポンプ駆動装置1(図12参照)へ切り替えた場合には、「陰圧過程」における血液の吸引を同等に行うことができるとも考えられる。
【0043】
しかしながら、従来技術の補助人工心臓駆動装置の補助人工心臓960L(図9参照)と、血液ポンプ駆動装置1の血液ポンプ駆動装置1とのいずれも、心房という柔らかい部屋から血液を吸い上げているので、同じ吸引圧力があっても同じ吸引能力があるとは限らず、例えば、従来技術の補助人工心臓駆動装置(図9参照)では、「陰圧過程」において、心臓壁がカニューレに吸い付く現象(以下、「吸い付き現象」という)が起きなくても、血液ポンプ駆動装置1(図12参照)に切り替えると、同一の駆動条件(同じ吸引圧力)であっても、「陰圧過程」において、「吸い付き現象」が起きることがあり、「陰圧過程」における血液の吸引に支障をきたす問題点があった。
【0044】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされた人工ポンプ駆動装置であって、同一の駆動条件の下で他の装置(従来技術)から切り替えても、「吸い付き現象」を防止しつつ、「陰圧過程」における血液の吸引を同等に行うことができるようにすることを第2の課題とする。
【0045】
【課題を解決するための手段】
これら第1および第2の課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、可撓性を有する画成部材で隔てられた一次側室と二次側室とが形成されたアイソレータと、前記アイソレータの一次側室に連通する駆動ポンプと、前記アイソレータの二次側室に連通する人工ポンプと、前記駆動ポンプの駆動源である原動機と、前記原動機を制御する制御装置と、を備え、前記駆動ポンプの内部の液媒体を前記アイソレータの一次側室に送出させるために前記原動機の出力を第1設定値にする制御を行う拍出期間と、前記アイソレータの一次側室の液媒体を前記駆動ポンプの内部に吸入させるために前記原動機の出力を第2設定値にする制御を行う吸引期間とを交互に繰り返すことにより、前記人工ポンプを脈動させる人工ポンプ駆動装置であって、前記制御装置は、前記拍出期間のうち、当該拍出期間が始まってから所定の第1時間が経過するまでの拍出初期期間では、前記原動機の出力を前記第1設定値よりも大きな出力値にする制御を行うとともに、前記第1時間を前記アイソレータの二次側室の圧力に基づいて変更する制御を行い、前記吸引期間のうち、当該吸引期間が始まってから所定の第2時間が経過するまでの吸引初期期間では、前記原動機の出力を所定の第2傾きをもって前記第2設定値に到達させる制御を行うこと、を特徴としている。
【0046】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載する人工ポンプ駆動装置であって、前記制御装置は、前記拍出初期期間では、前記原動機の出力を最大にする制御を行うこと、を特徴としている。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載する人工ポンプ駆動装置であって、前記制御装置は、前記拍出初期期間が経過した後は、当該拍出期間が終了するまで、前記原動機の出力を前記第1設定値から所定の第1傾きをもって変動させる制御を行うこと、を特徴としている。
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する人工ポンプ駆動装置であって、前記制御装置は、前記アイソレータの二次側室の圧力に基づいて、前記第1設定値を変更する制御を行うこと、を特徴としている。
さらに、請求項5に係る発明は、請求項3に記載する人工ポンプ駆動装置であって、前記制御装置は、前記アイソレータの二次側室の圧力に基づいて、前記第1傾きを変更する制御を行うこと、を特徴としている
【0047】
このような特徴を有する本発明の人工ポンプ駆動装置においては、原動機を第1設定値で出力させる拍出期間では、駆動ポンプの内部の液媒体がアイソレータの一次側室に送出されるため、アイソレータの一次側室は増圧し、アイソレータ内の画成部材が変形して、アイソレータの一次側室の容積が拡張するとともに、アイソレータの二次側室の容積が縮小する。そして、アイソレータの二次側室は、その容積の縮小に伴って増圧するが、この圧力増加は、アイソレータの二次側室に連通した人工ポンプに伝達されて、人工ポンプから血液が送り出される。
【0048】
一方、原動機を第2設定値で出力させる吸引期間では、アイソレータの一次側室の液媒体が駆動ポンプの内部に吸入されるため、アイソレータの一次側室は減圧し、アイソレータ内の画成部材が変形して、アイソレータの一次側室の容積が縮小するとともに、アイソレータの二次側室の容積が拡張する。そして、アイソレータの二次側室は、その容積の拡張に伴って減圧するが、この圧力減少は、アイソレータの二次側室に連通した人工ポンプに伝達されて、人工ポンプに血液が送り込まれる。
【0049】
したがって、本発明の人工ポンプ駆動装置では、原動機を第1設定値で出力させる拍出期間と原動機を第2設定値で出力させる吸引期間とを交互に繰り返すことにより、人工ポンプを脈動させることができる。
【0050】
そして、本発明の人工ポンプ駆動装置では、拍出期間において、単に、原動機を第1設定値で出力させるのではなく、拍出期間のうち、当該拍出期間が始まってから所定の第1時間が経過するまでの拍出初期期間において、原動機の出力を第1設定値よりも大きな出力値にする制御を行っており、これにより、「陽圧過程」におけるアイソレータの二次側室の圧力の立ち上がりを、他の装置(従来技術)のものに可能な限り近づけることができるので、同一の駆動条件の下で他の装置(従来技術)から切り替えても、「陽圧過程」における血液の拍出を同等に行うことができる。
しかも、アイソレータの二次側室の圧力に基づいて、第1時間を変更する制御を行うので、流出抵抗(管路抵抗や血圧など)の変化に応じて、「陽圧過程」における血液の拍出を適切に行うことができる。
【0051】
また、本発明の人工ポンプ駆動装置では、吸引期間において、単に、原動機を第2設定値で出力させるのではなく、吸引期間のうち、当該吸引期間が始まってから所定の第2時間が経過するまでの吸引初期期間では、原動機の出力を所定の第2傾きをもって第2設定値に到達させる制御を行っており、これにより、「陰圧過程」におけるアイソレータの二次側室の圧力の立ち下がりを、他の装置(従来技術)のものより緩やかにすることにより、「吸い付き現象」が起きないようにしているので、同一の駆動条件の下で他の装置(従来技術)から切り替えても、「吸い付き現象」を防止しつつ、「陰圧過程」における血液の吸引を同等に行うことができる。
【0052】
出初期期間において、原動機の出力を第1設定値よりも大きな出力値にする制御を行うものとしては、例えば、原動機の出力を最大にする制御を行うものがある。
【0053】
また、本発明の人工ポンプ駆動装置において、「陽圧過程」におけるアイソレータの二次側室の圧力の立ち上がりを他の装置(従来技術)のものに十分に近づけることができなくても、拍出初期期間が経過した後は、拍出期間が終了するまで、原動機の出力を第1設定値から所定の第1傾きをもって変動させる制御を行えば、「陽圧過程」における血液の拍出の過剰・不足を修正することができるので、同一の駆動条件の下で他の装置(従来技術)から切り替えても、「陽圧過程」における血液の拍出を同等に行うことができる。
【0054】
また、本発明の人工ポンプ駆動装置において、アイソレータの二次側室の圧力に基づいて、1設定値又は第1傾きを変更する制御を行えば、流出抵抗(管路抵抗や血圧など)の変化に応じて、「陽圧過程」における血液の拍出を適切に行うことができる
【0055】
尚、同一とされる駆動条件は、アイソレータの二次側室の陽圧と、アイソレータの二次側室の陰圧、拍出期間と吸引期間との和に対する拍出期間の割合、拍動数から構成される。
【0056】
また、上記「人工ポンプ」とは、上記「駆動ポンプ」と区別するために便宜上設けた名称であり、本明細書においては、心臓機能を補助するため又は心臓機能を代用するためのポンプの総称として使用している。また、上記「駆動ポンプ」としては、液媒体を送出又は吸入するポンプであれば基本的にはどのような形式のポンプでも良い。例えば、摩擦ポンプ、カスケードポンプ、タービンポンプ、渦ポンプ、渦流ポンプ、再生ポンプ、円周流ポンプ、ボルテックスポンプ等が挙げられる。また、「液媒体」としては、液体であれば特に限定されないが、耐食性、安定性の点から、オイルを使用することが好ましい。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。本実施の形態は、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した血液ポンプ駆動装置1(図12参照)と同一の構成を有するので、その各構成の具体的な説明は省略する。但し、本実施の形態では、血液ポンプ駆動装置1(図12参照)の制御回路13(図12参照)における制御方法が、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したもの(図13〜図17参照)とは異なるので、その点について詳細に説明する。
【0058】
先ず、図4のS1において、血液ポンプ駆動装置1の電源がONされると、S2において、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図1参照)と、「吸引期間」のモータ123の出力VMP(図1参照)とが、それぞれの初期値(「第1設定値」及び「第2設定値」に相当するもの)に設定される。さらに、S2において、モータ123が最大出力を行う時間T(「第1時間」に相当するもの)と、「拍出期間」におけるモータ123の出力の上昇率θ(「第1傾き」に相当するもの)とが、それぞれの初期値に設定される。
【0059】
尚、「発明が解決しようとする課題」の欄で既に説明したが、念のために言うと、「拍出期間」とは、油圧ポンプ12の羽根車122が図12の矢印Bで示される方向(時計回り方向)に逆回転駆動する期間であって、モータ123が拍出方向(図12の矢印Bで示される方向)に回転する期間を示しており、アイソレータ11の二次側室113に陽圧が発生する「陽圧過程」ではない(図1、後述する図2参照)。また、「吸引期間」とは、油圧ポンプ12の羽根車122が図12の矢印Aで示される方向(反時計回り方向)に正回転駆動する期間であって、モータ123が吸引方向(図12の矢印Aで示される方向)に回転する期間を示しており、アイソレータ11の二次側室113に陰圧が発生する「陰圧過程」ではない(図1、後述する図2参照)。
【0060】
そして、S3において、陽圧CP(mmHg)と、陰圧VP(mmHg)、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))、拍動数HR(1/min)が入力され、その後のS4において、血液ポンプ駆動装置1の駆動が開始されると、S5で圧力制御が開始されると同時に、S6でモータ出力パターン制御が開始される。
【0061】
ここでは、先ず、S5で開始され圧力制御について説明すると、図5に示すように、S11において、陽圧CP及び陰圧VPの駆動条件が自動的に認識された後に、S12において、二次側圧力センサ33を介して、アイソレータ11の二次側室113の最低圧Pmin(図1参照)の測定を開始する。この点、最低圧Pmin(図1参照)の測定は、アイソレータ11の二次側室113の圧力(以下、「駆動圧」という)が「0」mmHg以下である限り続けられ(S13:No)、「駆動圧」が「0」mmHgより大きくなると(S13:Yes)、最低圧Pmin(図1参照)の測定を終了するとともに、最低圧Pmin(図1参照)を確定する。
【0062】
その後は、S15において、最低圧Pmin(図1参照)が陰圧VPよりも大きいか否かを判断する。このとき、最低圧Pmin(図1参照)が陰圧VPよりも大きいと判断する場合には(S15:Yes)、S16において、「吸引期間」のモータ123の出力VMP(図1参照)の値を上昇させた後で、S17に進む。一方、最低圧Pmin(図1参照)が陰圧VPよりも大きいと判断しない場合には(S15:No)、何もすることなく、S17に進む。そして、S17では、最低圧Pmin(図1参照)が陰圧VPよりも小さいか否かを判断する。このとき、最低圧Pmin(図1参照)が陰圧VPよりも小さいと判断する場合には(S17:Yes)、「吸引期間」のモータ123の出力VMP(図1参照)の値を低下させた後で、S19に進む。一方、最低圧Pmin(図1参照)が陰圧VPよりも小さいと判断しない場合には(S17:No)、何もすることなく、S19に進む。
【0063】
そして、S19では、二次側圧力センサ33を介して、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmax(図1参照)の測定を開始する。このとき、「拍出期間」が終了した時点で(S20:Yes)、S21に進み、アイソレータ11の二次側室113の圧力を測定し、拍出末期圧Pend(図1参照)として確定する。一方、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmax(図1参照)の測定は、「駆動圧」が「0」mmHg以上である限り続けられ(S22:No)、「駆動圧」が「0」mmHgより小さくなると(S22:Yes)、最高圧Pmax(図1参照)の測定を終了するとともに、最高圧Pmax(図1参照)を確定する。
【0064】
その後は、図6のS24に進む。図6のS24では、アイソレータ11の二次側室113の拍出末期圧Pend(図1参照)が陽圧CPよりも大きいか否かを判断する。このとき、拍出末期圧Pend(図1参照)が陽圧CPよりも大きいと判断する場合には(S24:Yes)、さらに、S25において、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmax(図1参照)が、アイソレータ11の二次側室113の拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも大きいか否かを判断する。このとき、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも大きいと判断する場合には(S25:Yes)、S26において、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図1参照)の値を低下させ、さらに、S27において、モータ123が最大出力を行う時間T(図1参照)を短縮させた後に、図5のS11に戻る。
【0065】
一方、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも大きいと判断しない場合には(S25:No)、さらに、S28において、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmax(図1参照)が、アイソレータ11の二次側室113の拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも小さいか否かを判断する。このとき、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも小さいと判断する場合には(S28:Yes)、S29において、「拍出期間」におけるモータ123の出力の上昇率θ(図1参照)を低下させた後に、図5のS11に戻る。一方、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも小さいと判断しない場合には(S28:No)、S30において、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図1参照)の値を低下させた後に、図5のS11に戻る。
【0066】
また、上述したS24において、拍出末期圧Pend(図1参照)が陽圧CPよりも大きいと判断しない場合には(S24:No)、さらに、S31において、アイソレータ11の二次側室113の拍出末期圧Pend(図1参照)が陽圧CPよりも小さいか否かを判断する。このとき、拍出末期圧Pend(図1参照)が陽圧CPよりも小さいと判断する場合には(S31:Yes)、さらに、S32において、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmax(図1参照)が、アイソレータ11の二次側室113の拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも小さいか否かを判断する。このとき、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも小さいと判断する場合には(S32:Yes)、S33において、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図1参照)の値を上昇させ、さらに、S34において、モータ123が最大出力を行う時間T(図1参照)を延長させた後に、図5のS11に戻る。
【0067】
一方、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも小さいと判断しない場合には(S32:No)、さらに、S35において、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmax(図1参照)が、アイソレータ11の二次側室113の拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも大きいか否かを判断する。このとき、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも大きいと判断する場合には(S35:Yes)、S36において、「拍出期間」におけるモータ123の出力の上昇率θ(図1参照)を上昇させた後に、図5のS11に戻る。一方、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも大きいと判断しない場合には(S35:No)、S37において、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図1参照)の値を上昇させた後に、図5のS11に戻る。
【0068】
また、上述したS31において、拍出末期圧Pend(図1参照)が陽圧CPよりも小さいと判断しない場合には(S31:No)、さらに、S38において、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmax(図1参照)が、アイソレータ11の二次側室113の拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも小さいか否かを判断する。このとき、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも小さいと判断する場合には(S38:Yes)、S39において、モータ123が最大出力を行う時間T(図1参照)を延長させた後に、図5のS11に戻る。一方、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも小さいと判断しない場合には(S38:No)、さらに、S40において、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmax(図1参照)が、アイソレータ11の二次側室113の拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも大きいか否かを判断する。このとき、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも大きいと判断する場合には(S40:Yes)、S41において、モータ123が最大出力を行う時間T(図1参照)を短縮させた後に、図5のS11に戻る。一方、最高圧Pmax(図1参照)が、拍出末期圧Pend(図1参照)と定数αとの和よりも大きいと判断しない場合には(S40:No)、何もすることなく、図5のS11に戻る。
【0069】
次に、図4のS6で開始されたモータ出力パターン制御について説明すると、図7に示すように、S51において、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))、拍動数HR(1/min)が自動的に認識された後に、S52において、以下の式(1)を使用して、「拍出期間」をmsec単位で算出する。
「拍出期間」=60000/HR×SD/100 …
式(1)
【0070】
そして、S53において、モータ123の回転方向を拍出方向(図12の矢印Bで示される方向)に設定し、S54において、タイマーをスタートさせて、経過時間の計測を開始する。その後は、S55において、モータ123を、最大出力で駆動させる。この点、最大出力によるモータ123の駆動は、経過時間が、モータ123が最大出力を行う時間T(図1参照)になるまで続けられる(S56:No)。そして、経過時間が、モータ123が最大出力を行う時間T(図1参照)になると(S56:Yes、以下、「拍出初期期間」という)、S57において、モータ123の出力を、「拍出期間」の出力CMP(図1参照)に調整する。さらに、S58において、モータ123の出力を、「拍出期間」におけるモータ123の出力の上昇率θ(図1参照)をもって、一定の割合で変動させる。この点、「拍出期間」におけるモータ123の出力の上昇率θ(図1参照)によるモータ123の駆動は、経過時間が、「拍出期間」になるまで続けられ(S59:No)、経過時間が「拍出期間」になると(S59:Yes)、S60において、モータ123の出力を「0」にするとともに、タイマーをリセットさせて、図8のS61に進む。
【0071】
また、図8のS61においては、以下の式(2)を使用して、「吸引期間」をmsec単位で算出する。
「吸引期間」=60000/HR×(1−SD/100)
… 式(2)
そして、S62において、モータ123の回転方向を吸引方向(図12の矢印Aで示される方向)に設定し、S63において、タイマーをスタートさせて、経過時間の計測を開始する。そして、S64において、モータ123の出力を、一定の割合(「第2傾き」に相当するもの)をもって、「吸引期間」の出力VMPにまで到達させる。この点、かかるモータ123に対する制御は、経過時間が上昇期間t(「第2時間」に相当するもの、図1参照)になるまで続けられる(S65:No)。ここで、一定の割合とは、「吸引期間」の出力VMPを上昇期間t(図1参照)で除した値であり、かかる上昇期間t(図1参照)は、前もって設定されたものである。その後は、経過時間が上昇期間t(図1参照)になると(S65:Yes、以下、「吸引初期期間」という)、S66において、モータ123を、「吸引期間」の出力VMP(図1参照)で駆動させる。この点、「吸引期間」の出力VMP(図1参照)によるモータ123の駆動は、経過時間が、「吸引期間」から後述する低下期間を引いた時間になるまで続けられ(S67:No)、経過時間が、「吸引期間」から後述する低下期間を引いた時間になると(S67:Yes)、S68において、モータ123の出力を、一定の割合をもって、「0」にまで到達させる。この点、かかるモータ123に対する制御は、経過時間が「吸引期間」になるまで続けられる(S69:No)。ここで、一定の割合とは、「吸引期間」の出力VMPを低下期間で除した値であり、かかる低下期間は、前もって設定されたものである。その後は、経過時間が「吸引期間」になると(S69:Yes)、S70において、タイマーをリセットさせて、図7のS51に戻る。
【0072】
以上より、図12の血液ポンプ駆動装置1では、図5及び図6の圧力制御により、「拍出期間」のモータ123の出力CMP(図1参照)及び、「吸引期間」のモータ123の出力VMP(図1参照)、モータ123が最大出力を行う時間T(図1参照)、「拍出期間」におけるモータ123の出力の上昇率θ(図1参照)を調整しつつ、図7及び図8のモータ出力パターン制御により、図1の方形波で示すようにして、モータ123の出力を、「拍出初期期間」における最大出力又は、「拍出期間」のCMP、「拍出期間」における上昇率θによる出力変動、「吸引期間」の上昇期間tにおける一定の割合による出力変動、「吸引期間」のVMP、「吸引期間」の低下期間における一定の割合による出力変動に制御している。
【0073】
これにより、図1の実線で示すように、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))をもって、「拍出期間」と「吸引期間」とを繰り返すとともに、アイソレータ11の二次側室113の拍出末期圧Pendを陽圧CPに制御し、アイソレータ11の二次側室113の最低圧Pminを陰圧VPに制御することができる。このとき、陽圧CPは200mmHg、アイソレータ11の二次側室113の最高圧Pmaxは226mmHg、「拍出期間」は310msec、拍動数は60bpmである。
【0074】
尚、図1は、アイソレータ11の二次側室113の圧力を二次側圧力センサ33で測定した結果を実線で示したものであり、さらに、モータ123の出力CMP,VMPなどについてタイミングを合わせて記載している。この点、モータ123の出力CMP,VMPなどについては、モータ123の回転方向が互いに反対になるものであるが、図1では、モータ123の回転方向を無視して、その大きさのみを考慮して記載している。
【0075】
また、図2では、図1の実線に加え、血液ポンプ駆動装置1と同じ駆動条件(陽圧CP(mmHg)と、陰圧VP(mmHg)、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))、拍動数HR(1/min))の下で、従来技術の補助人工心臓駆動装置を駆動させた場合の流体アイソレータAGA(図10参照)の二次側の圧力を圧力センサPS4(図10参照)で測定し、その測定結果を、血液ポンプ駆動装置1のタイミングに合わせて二点鎖線で示している。
【0076】
この点、図2の実線と二点鎖線とを「陽圧過程」において比較すると、血液ポンプ駆動装置1の二次側室113の圧力(図2の実線)の立ち上がりが、従来技術の補助人工心臓駆動装置を駆動させた場合の流体アイソレータAGAの二次側の圧力(図2の二点鎖線)の立ち上がりよりも、やや遅いことがわかる。しかしながら、「陽圧過程」の全体から見れば、血液ポンプ駆動装置1の二次側室113の圧力(図2の実線)が、従来技術の補助人工心臓駆動装置を駆動させた場合の流体アイソレータAGAの二次側の圧力(図2の二点鎖線)よりも、高い期間が多く、そのため、血液ポンプ駆動装置1の「陽圧過程」における血液の拍出(図2の実線の積分値)が、従来技術の補助人工心臓駆動装置の「陽圧過程」における血液の拍出(図2の二点鎖線の積分値)と、ほぼ同等であることがわかる。
【0077】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の血液ポンプ駆動装置1では、「拍出期間」において、単に、モータ123を、「拍出期間」のモータ123の出力CMPで出力させるのではなく、図1に示すように、「拍出期間」のうち、当該「拍出期間」が始まってからモータ123が最大出力を行う時間Tが経過するまでの「拍出初期期間」において、モータ123の出力を、最大出力にする制御を行っている(図7のS55,S56)。これにより、図2に示すように、「陽圧過程」におけるアイソレータ11の二次側室113の圧力の立ち上がり(図2の実線)を、従来技術の補助人工心臓駆動装置のもの(図2の二点鎖線)に可能な限り近づけることができる。
【0078】
さらに、本実施の形態の血液ポンプ駆動装置1では、図1に示すように、「拍出初期期間」が経過した後は、「拍出期間」が終了するまで、モータ123の出力を、モータ123の出力CMPから所定の上昇率θをもって変動させる制御を行っている(図7のS57〜S59)。これにより、図2に示すように、血液ポンプ駆動装置1の「陽圧過程」における血液の拍出(図2の実線の積分値(66mmHg・sec))と、従来技術の補助人工心臓駆動装置の「陽圧過程」における血液の拍出(図2の二点鎖線の積分値(65mmHg・sec))とが、ほぼ同等となり、「陽圧過程」における血液の拍出の過剰・不足を修正することができる。したがって、同一の駆動条件(陽圧CP(mmHg)と、陰圧VP(mmHg)、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))、拍動数HR(1/min))の下で(図4のS3参照)、従来技術の補助人工心臓駆動装置から血液ポンプ駆動装置1に切り替えても、「陽圧過程」における血液の拍出を同等に行うことができる。
【0079】
また、本実施の形態の血液ポンプ駆動装置1では、アイソレータ11の二次側室113の圧力(最高圧力Pmax、拍出末期圧Pend、最低圧Pmin)に基づいて、当該「拍出期間」が始まってからモータ123が最大出力を行う時間T(図6のS27,S34,S39,S41)や、「拍出期間」におけるモータ123の出力CMP(図6のS26,S30,S33,S37)、「拍出期間」におけるモータ123の上昇率θ(図6のS29,S36)、「吸引期間」におけるモータ123の出力VMP(図5のS16,S18)を変更する制御を行っている。したがって、血液ポンプ51などにおける流出抵抗(管路抵抗や血圧など)の変化に応じて、「陽圧過程」における血液の拍出を適切に行うことができる。
【0080】
また、本実施の形態の血液ポンプ駆動装置1では、「吸引期間」において、単に、モータ123を、「吸引期間」のモータ123の出力VMPで出力させるのではなく、図1に示すように、「吸引期間」のうち、当該「吸引期間」が始まってから上昇期間tが経過するまでの「吸引初期期間」では、モータ123の出力を一定の割合をもって、「吸引期間」のモータ123の出力VMPに到達させる制御を行っている(図8のS64,S65)。これにより、図2に示すように、「陰圧過程」におけるアイソレータ11の二次側室113の圧力の立ち下がりが(図2の実線)、従来技術の補助人工心臓駆動装置のもの(図2の二点鎖線)より緩やかとなり、その結果、「吸い付き現象」が起きない。したがって、同一の駆動条件(陽圧CP(mmHg)と、陰圧VP(mmHg)、SD(「拍出期間」と「吸引期間」との和に対する「拍出期間」の割合(%))、拍動数HR(1/min))の下で(図4のS3参照)、従来技術の補助人工心臓駆動装置から血液ポンプ駆動装置1に切り替えても、「吸い付き現象」を防止しつつ、「陰圧過程」における血液の吸引を同等に行うことができる。
【0081】
また、「吸引期間」のうち、当該「吸引期間」が始まってから上昇期間tが経過するまでの「吸引初期期間」が、(t=)20msecから(t=)200msecの範囲において、「陰圧過程」におけるアイソレータ11の二次側室113の圧力の立ち下がり速度と、同等の吸引状態(アイソレータ11のダイヤフラム111の変形が所定量で同等になった状態)を実現した際の、「吸引期間」の長さや、油圧ポンプ12の回転数、拍動数を確認したが、「陰圧過程」におけるアイソレータ11の二次側室113の圧力の立ち下がり速度が遅いほど、すなわち、上記の「吸引初期期間」が長くなるほど、油圧ポンプ12の回転数がより低回転数(低出力)で、かつ、「吸引期間」がより短時間で、同等の吸引状態(アイソレータ11のダイヤフラム111の変形が所定量で同等になった状態)を実現できることがわかった。
【0082】
例えば、「吸引期間」のうち、当該「吸引期間」が始まってから上昇期間tが経過するまでの「吸引初期期間」を、(t=)20msecとした場合と、(t=)100msecとした場合とにおいて、同等の吸引状態(アイソレータ11のダイヤフラム111の変形が所定量で同等になった状態)を実現した際の、「吸引期間」の長さや、油圧ポンプ12の回転数、拍動数を、図3の表に示す。図3の表により、(t=)100msecとした場合は、(t=)20msecとした場合と比べて、油圧ポンプ12の回転数がより低回転数(低出力)で、かつ、「吸引期間」がより短時間で、同等の吸引状態(アイソレータ11のダイヤフラム111の変形が所定量で同等になった状態)を実現できることがわかる。
【0083】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、本実施の形態の血液ポンプ駆動装置1では、「拍出期間」において、図1に示すように、「拍出期間」のうち、当該「拍出期間」が始まってからモータ123が最大出力を行う時間Tが経過するまでの「拍出初期期間」において、モータ123の出力を、最大出力にする制御を行うことにより(図7のS55,S56)、図2に示すように、「陽圧過程」におけるアイソレータ11の二次側室113の圧力の立ち上がり(図2の実線)を、従来技術の補助人工心臓駆動装置のもの(図2の二点鎖線)に可能な限り近づけているが、この点、モータ123の出力を、「拍出期間」におけるモータ123の出力CMPの初期値よりも大きな出力値にする制御を行うことにより、図2に示すように、「陽圧過程」におけるアイソレータ11の二次側室113の圧力の立ち上がり(図2の実線)を、従来技術の補助人工心臓駆動装置のもの(図2の二点鎖線)に可能な限り近づけてもよい。
【0084】
また、本実施の形態の血液ポンプ駆動装置1では、図2に示すように、血液ポンプ駆動装置1の「陽圧過程」における血液の拍出(図2の実線の積分値)と、従来技術の補助人工心臓駆動装置の「陽圧過程」における血液の拍出(図2の二点鎖線の積分値)とを、ほぼ同等とするため、図1に示すように、「拍出初期期間」が経過した後は、「拍出期間」が終了するまで、モータ123の出力を、モータ123の出力CMPから所定の上昇率θをもって変動させる制御を行っている(図7のS57〜S59)。但し、「拍出初期期間」において、モータ123の出力を、最大出力にする制御を行うことにより(図7のS55,S56)、あるいは、「拍出期間」におけるモータ123の出力CMPの初期値よりも大きな出力値にする制御を行うことにより、血液ポンプ駆動装置1の「陽圧過程」における血液の拍出(図2の実線の積分値)と、従来技術の補助人工心臓駆動装置の「陽圧過程」における血液の拍出(図2の二点鎖線の積分値)とが、ほぼ同等になるのであれば、「拍出初期期間」が経過した後から、「拍出期間」が終了するまでに、モータ123の出力を、モータ123の出力CMPから所定の上昇率θをもって変動させる制御を行わなくともよい。
【0085】
また、本実施の形態の血液ポンプ駆動装置1では、図1に示すように、「拍出初期期間」が経過した後は、「拍出期間」が終了するまで、モータ123の出力を、モータ123の出力CMPから所定の上昇率θをもって変動させる制御を行っているが(図7のS57〜S59)、この点、上記の上昇率θは、アイソレータ11の二次側室113の圧力(最高圧力Pmax、拍出末期圧Pend、最低圧Pmin)に基づいて変更される制御を行っているので(図6のS29,S36)、負の値になることもある。
【0086】
なお、本実施の形態の血液ポンプ駆動装置1における制御方法は、制御回路13に内蔵された記憶媒体にプログラムとして記録されたものであるが、この点、制御回路13に接続された読み取り装置において読み取られるプログラムとして記憶媒体において記録されたものであってもよい。
【0087】
【発明の効果】
本発明の人工ポンプ駆動装置では、拍出期間において、単に、原動機を第1設定値で出力させるのではなく、拍出期間のうち、当該拍出期間が始まってから所定の第1時間が経過するまでの拍出初期期間において、原動機の出力を第1設定値よりも大きな出力値にする制御を行っており、これにより、「陽圧過程」におけるアイソレータの二次側室の圧力の立ち上がりを、他の装置(従来技術)のものに可能な限り近づけることができるので、同一の駆動条件の下で他の装置(従来技術)から切り替えても、「陽圧過程」における血液の拍出を同等に行うことができる。
しかも、アイソレータの二次側室の圧力に基づいて、第1時間を変更する制御を行うので、流出抵抗(管路抵抗や血圧など)の変化に応じて、「陽圧過程」における血液の拍出を適切に行うことができる。
【0088】
また、本発明の人工ポンプ駆動装置では、吸引期間において、単に、原動機を第2設定値で出力させるのではなく、吸引期間のうち、当該吸引期間が始まってから所定の第2時間が経過するまでの吸引初期期間では、原動機の出力を所定の第2傾きをもって第2設定値に到達させる制御を行っており、これにより、「陰圧過程」におけるアイソレータの二次側室の圧力の立ち下がりを、他の装置(従来技術)のものより緩やかにすることにより、「吸い付き現象」が起きないようにしているので、同一の駆動条件の下で他の装置(従来技術)から切り替えても、「吸い付き現象」を防止しつつ、「陰圧過程」における血液の吸引を同等に行うことができる。
【0089】
また、本発明の人工ポンプ駆動装置において、「陽圧過程」におけるアイソレータの二次側室の圧力の立ち上がりを他の装置(従来技術)のものに十分に近づけることができなくても、拍出初期期間が経過した後は、拍出期間が終了するまで、原動機の出力を第1設定値から所定の第1傾きをもって変動させる制御を行えば、「陽圧過程」における血液の拍出の過剰・不足を修正することができるので、同一の駆動条件の下で他の装置(従来技術)から切り替えても、「陽圧過程」における血液の拍出を同等に行うことができる。
【0090】
また、本発明の人工ポンプ駆動装置において、アイソレータの二次側室の圧力に基づいて、1設定値又は第1傾きを変更する制御を行えば、流出抵抗(管路抵抗や血圧など)の変化に応じて、「陽圧過程」における血液の拍出を適切に行うことができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の血液ポンプ駆動装置において、アイソレータの二次側室の圧力を測定した結果を実線で示したものであり、さらに、モータの出力についてタイミングを合わせて記載した図である。
【図2】 本発明の血液ポンプ駆動装置において、アイソレータの二次側室の圧力を測定した結果を実線で示したものであり、それに加えて、補助人工心臓駆動装置(従来技術)において、アイソレータの二次側の圧力を測定した結果を二点鎖線で示した図である。
【図3】 本発明の血液ポンプ駆動装置において、「吸引期間」のうち、当該「吸引期間」が始まってから上昇期間が経過するまでの「吸引初期期間」を、20msecとした場合と、100msecとした場合とにおいて、同等の吸引状態(アイソレータのダイヤフラムの変形が所定量で同等になった状態)を実現した際の、「吸引期間」の長さや、油圧ポンプの回転数、拍動数を示した表である。
【図4】 本発明の血液ポンプ駆動装置のフローチャート図である。
【図5】 本発明の血液ポンプ駆動装置のフローチャート図である。
【図6】 本発明の血液ポンプ駆動装置のフローチャート図である。
【図7】 本発明の血液ポンプ駆動装置のフローチャート図である。
【図8】 本発明の血液ポンプ駆動装置のフローチャート図である。
【図9】 補助人工心臓駆動装置(従来技術)のシステム構成を示した図である。
【図10】 補助人工心臓駆動装置(従来技術)の流体駆動ユニットの構成を示した図である。
【図11】 補助人工心臓駆動装置(従来技術)の電子制御ユニットの構成を示した図である。
【図12】 血液ポンプ駆動装置の全体概略図である。
【図13】 血液ポンプ駆動装置のフローチャート図である。
【図14】 血液ポンプ駆動装置のフローチャート図である。
【図15】 血液ポンプ駆動装置のフローチャート図である。
【図16】 血液ポンプ駆動装置のフローチャート図である。
【図17】 血液ポンプ駆動装置において、アイソレータの二次側室の圧力を測定した結果を実線で示したものであり、さらに、モータの出力についてタイミングを合わせて記載し、それらに加えて、補助人工心臓駆動装置(従来技術)において、アイソレータの二次側の圧力を測定した結果を二点鎖線で示した図である。
【符号の説明】
1 血液ポンプ駆動装置(人工ポンプ駆動装置)
11 アイソレータ
111 アイソレータのダイヤフラム(画成部材)
112 アイソレータの一次側室
113 アイソレータの二次側室
12 油圧ポンプ(駆動ポンプ)
123 油圧ポンプのモータ(原動機)
13 制御回路(制御装置)
51 血液ポンプ(人工ポンプ)
CMP 拍出期間のモータの出力値
VMP 吸引期間のモータの出力値
T モータが最大出力を行う時間(第1時間
t 上昇期間(第2時間
θ 「拍出期間」におけるモータの出力の上昇率

Claims (5)

  1. 可撓性を有する画成部材で隔てられた一次側室と二次側室とが形成されたアイソレータと、前記アイソレータの一次側室に連通する駆動ポンプと、前記アイソレータの二次側室に連通する人工ポンプと、前記駆動ポンプの駆動源である原動機と、前記原動機を制御する制御装置と、を備え、前記駆動ポンプの内部の液媒体を前記アイソレータの一次側室に送出させるために前記原動機の出力を第1設定値にする制御を行う拍出期間と、前記アイソレータの一次側室の液媒体を前記駆動ポンプの内部に吸入させるために前記原動機の出力を第2設定値にする制御を行う吸引期間とを交互に繰り返すことにより、前記人工ポンプを脈動させる人工ポンプ駆動装置であって、
    前記制御装置は、前記拍出期間のうち、当該拍出期間が始まってから所定の第1時間が経過するまでの拍出初期期間では、前記原動機の出力を前記第1設定値よりも大きな出力値にする制御を行うとともに、前記第1時間を前記アイソレータの二次側室の圧力に基づいて変更する制御を行い、前記吸引期間のうち、当該吸引期間が始まってから所定の第2時間が経過するまでの吸引初期期間では、前記原動機の出力を所定の第2傾きをもって前記第2設定値に到達させる制御を行うこと、を特徴とする人工ポンプ駆動装置。
  2. 請求項1に記載する人工ポンプ駆動装置であって、
    前記制御装置は、前記拍出初期期間では、前記原動機の出力を最大にする制御を行うこと、を特徴とする人工ポンプ駆動装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する人工ポンプ駆動装置であって、
    前記制御装置は、前記拍出初期期間が経過した後は、当該拍出期間が終了するまで、前記原動機の出力を前記第1設定値から所定の第1傾きをもって変動させる制御を行うこと、を特徴とする人工ポンプ駆動装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する人工ポンプ駆動装置であって、
    前記制御装置は、前記アイソレータの二次側室の圧力に基づいて、前記第1設定値を変更する制御を行うこと、を特徴とする人工ポンプ駆動装置。
  5. 請求項3に記載する人工ポンプ駆動装置であって、
    前記制御装置は、前記アイソレータの二次側室の圧力に基づいて、前記第1傾きを変更する制御を行うこと、を特徴とする人工ポンプ駆動装置
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