JP4398729B2 - 多層安全書類およびその製造方法 - Google Patents

Description

本発明は独立クレームに記載される多層安全書類および多層安全書類の製造方法に係るものである。

多層安全書類はWO 00/50238から既知であり、この書類では印刷可能な支持材料がその両面に積層された被覆膜または積層された複合被覆膜を備えている。被覆膜はレーザーに反応するプラスチックを用いた押出被覆によりロール状の印刷可能な支持材料に積層される。

模造や偽造のし難い安全書類が要望されていた。

独立クレームの特徴を有する本発明に係る多層安全書類は、更なる安全特徴を安全書類に追加することができ、これらの安全特徴は模造や偽造を非常に難しくする。従属クレームに開示された手段によって、独立クレームに記載された安全書類の有利な向上および改良が可能になる。特に都合がいいのは、複合層のフォトポリマー被覆膜をポリエチレンからなる追加の安全特徴で完成することで、これはポリエチレンが多層安全書類の通常の構成要素に容易に接合するからである。多層安全書類の厚さをかなり大きくするために、そしてフォトポリマー層に追加される体積ホログラム用に充分な数のブラッグ格子面を付与するためには、フォトポリマー層をその厚みが５０μｍよりかなり大きくならないように形成することが都合がいい。さらに、支持材料を少なくとも部分的に透明な複合被覆膜または少なくとも部分的に透明な被覆膜で保護することが都合がいい。ここで、この保護層を耐引掻性に形成することが特に都合がいい。多層安全書類の層をレーザーに反応するように形成することによって、多層安全書類に更なる安全特徴を都合の良い仕方で追加することが許容される。

独立クレームの特徴を有する本発明にかかる多層安全書類の製造方法は、考えられる偽造者にとって偽造しにくい追加の安全特徴を、僅かな追加費用で多層安全書類に含むことができるという利点を有する。従属クレームに開示された手段によって、独立クレームに記載された方法の有利な向上および改良が可能になる。特に都合がいいのは、安全書類の異なる構成要素を非常に正確に揃えることができる。さらに、この方法は余り大きな場所を必要としないのが都合がいい。同様に、低い温度および圧力で、被覆膜または複合被覆膜を付着するのが都合がよく、拠って、製造費用を低く抑えることができる。さらに都合がいいのは、ロールウェブ状に完成されるので、（湾曲状に完成される場合のように）費用のかかる輸送機構を避けることができる。都合のいい仕方で、表面模様を安全書類に刻印することができ、この場合この模様は書類の偽造に対する安全を高める追加の安全特徴である。

本発明に係る多層安全書類および本発明にかかる多層安全書類の製造方法の更なる利点は、下記の説明から読み取ることができる。

本発明の多層安全書類によれば、模造や偽造を非常に難しくする。

本発明の実施例は図面に基づいて示され、以下より詳細に説明される。

図１には、本発明に係る多層安全書類が概略的に断面図で示される。この書類は印刷可能であり、安全紙またはプラスチックからなりえる支持材料３０からなる。この支持材料は、例えば、編みこみ模様または透かし模様等の安全要素を備え、印刷可能である。支持材料の印刷可能な構成要素は多層安全書類が組み合わされる前に既に付着されている。このため、例えば、凹版印刷（鋼板凹版印刷等）、凸版印刷（フレキソ印刷等）、平版印刷（オフセット印刷等）または孔版印刷（スクリーン印刷等）の異なる印刷方法を使用することができる。特に好ましい実施例では、支持材料３０は複合層からなり、この複合層では紙またはプラスチック層３４が両面に少なくとも部分的に透明なプラスチック被覆３２、３６を備える。

支持材料３０は被覆膜または複合被覆膜１０に接合されている。この被覆膜または複合被覆膜１０は支持材料を環境の及ぼす影響、例えば引っ掻き等から保護する目的を持つ。このため、複合被覆膜１０は好ましくは２層構造を有し、好ましくは書類の外側を向いた一つの耐引掻性のポリエステル層１２を備える。その下には、支持材料３０側を向いたポリエチレン層１４が配されている。被覆膜または複合被覆膜１０は少なくとも部分的に透明である。

被覆膜または複合被覆膜１０と支持材料３０の間には、本発明にかかるフォトポリマー複合層２０が配されており、ここでこの複合層には情報が写し込まれている。そのような情報は好ましくは、多層安全書類用の追加の安全特徴である体積ホログラムとして形成される。特に好ましい実施例では、フォトポリマー複合層２０は三重構造を有し、この層では情報を有する実際のフォトポリマー層２４は両面に各々フォトポリマー被覆膜２２、２６を備える。このフォトポリマー被覆膜は好ましくはポリエチレンから形成される。そのため、フォトポリマー被覆膜２２は被覆膜または複合被覆膜１０のポリエチレン層１４に接合され、フォトポリマー被覆膜２６は紙またはプラスチック層３４のポリエチレン被覆に接合される。拠って、ここではポリエチレン被覆が都合のいい方法で相互に接合されており、この接合は少ない装置および費用で実現できる。このフォトポリマー複合層２０は少なくとも部分的に透明に形成され、拠って、フォトポリマー層２４およびフォトポリマー被覆膜２２、２６も少なくとも部分的に透明である。

好ましい実施例では、支持材料３０は、フォトポリマー複合層２０が存在しない側面に別の複合被覆膜または別の被覆膜４０を有し、この被覆膜は支持材料に直接に付着されている。被覆膜または複合被覆膜１０と同様に、好ましい実施例では、この別の複合被覆膜または被覆膜４０は支持材料側を向いたポリエチレン層４２と多層安全書類の外側を向いた耐引掻性のポリエステル層４４を備える。このため、支持材料は多層安全書類のこの側面でも磨耗から保護されている。別の複合被覆膜または被覆膜４０は少なくとも部分的に透明に形成されている。

さらに好ましい実施例では、支持材料３０とフォトポリマー複合層２０との間にフォトエマルジョンを備えてもよい。このフォトエマルジョンに、例えばパスポート写真等の情報を写し込むことができる。特に好ましい実施例では、この場合、支持材料３０と別の複合被覆膜または被覆膜４０との間に、フォトエマルジョンによって引き起こされた支持材料の変形を妨げる裏面エマルジョンを配することができる。

さらに、上述の印刷方法を使用の下、追加の情報を多層安全書類の異なる層間に含ませることもできる。例えば、支持材料３０とフォトポリマー複合層２０間、被覆膜または複合被覆膜１０のポリエチレン１４とポリエステル１２間、別の被覆膜または複合被覆膜４０のポリエチレン４２とポリエステル４４間、または支持材料３０と別の被覆膜または複合被覆膜４０間に情報を印刷することができる。それに加えて、ホログラムまたは安全ストライプを上述の層間に配することができる。

別の好ましい実施例では、多層安全書類の層をレーザーに反応するように形成してもよい。すなわち、レーザーを照射されると、層の色が変わったり、光透過性が変わったり、厚みが変わったりする。対応する層の性質のそのような局地的な変化は情報の追加を可能にする。好ましくは、フォトポリマー被覆層２２および／または２６、および／または被覆層または複合被覆層１０（ここでは、好ましくは支持材料側を向いたポリエチレン層１４）、および／または別の被覆層または複合被覆層４０（ここでは、好ましくは支持材料側を向いたポリエチレン層４２）、および／または支持材料３０の透明なプラスチック被覆３２および／または３６がレーザーに反応するように形成されている。

図１に示される本発明に係る多層安全書類の本発明にかかる製造方法を図２に概略的に示し、以下に説明する。ここで、この方法はこの図の左側から始まり、右側で終わる。材料の移動方向は図２では、各々参照番号が付された矢印によって示される。下記の実施形態では、各矢印の参照番号のみを述べる。以下、図１に示された多層安全書類の製造を説明する。主な構成要素である被覆層または複合被覆層１０、フォトポリマー複合層２０、支持材料３０、別の被覆膜または複合被覆膜の構成に関しては繰り返し説明せずに、上述の例を参照する。

ロールウェブ１００状の支持材料３０は、このロールから繰り出され、引き続いて接着剤１０４が供給される。ここで、ロール１００から繰り出された支持材料３０は方向２０２の方向へさらに移動する。特に好ましい実施例では、接着剤１０４はその後加熱装置１０６によって乾燥される。

次のステップでは、ロールウェブ１１０状のフォトポリマー複合層２０がこのロールから繰り出されて、接着剤１０４が塗布された支持材料３０の側面に供給される。ここで、上述の情報（例えば、体積ホログラム）は、既に最終形態になっており、図２に示されていないフォトポリマー複合層２０のフォトポリマー層２４に追加される。好ましい実施形態では、フォトポリマー複合層２０は図２に示すように側方に供給される。これは、フォトポリマー複合層２０が繰り出される方向２０４は、支持材料３０の繰り出し方向２０２に対して略垂直であることを意味する。別の実施例では、しかしながら、フォトポリマー複合層２０の繰り出し方向２０４が支持材料の繰り出し方向２０２に対して平行であるように本発明を構成することも可能である。

図２に示す好ましい実施例では、さらに読み取り装置１１２および支持材料３０およびフォトポリマー複合層２０上にある位置決めマークに基づいて、フォトポリマー複合層２０と支持材料３０が、両材料が非常に正確に組み合わされるように揃えられる。フォトポリマー複合層２０の供給後、フォトポリマー複合層２０と支持材料３０の集合体はパンチ１１４によって個々の使用形態に打ち抜かれる。支持材料の繰り出し方向とフォトポリマー複合層２０の繰り出し方向は平行ではないので、これは特にこの好ましい実施例では必須である。両繰り出し方向が平行である既に説明した同様の可能な実施例では、個々の使用形態への打ち抜きはこの時点では必須ではない。

支持材料とフォトポリマー複合層２０の集合体は一緒に支持材料またはフォトポリマー複合層の繰り出し方向にさらに移動し、図２に示される実施例では前進方向２０６は支持材料の繰り出し方向２０２に対応する。更なるステップでは、ロールウェブ１２０状の被覆膜１０またはロールウェブ１２０状の複合被覆膜１０がフォトポリマー複合層２０に上方から供給される。供給方向２０８は、フォトポリマー複合層２０と支持材料３０の集合体の前進方向である方向２０６に対応する。全ての層は、以下では、加熱された押し付けローラ１２２によって積層される。すなわち、これらは圧力および熱を付与しながら組み合わされる。積層温度は１００℃乃至２００℃で、好ましくは１００℃乃至１５０℃である。次のステップで、好ましい実施例では、被覆膜または複合被覆膜１０、フォトポリマー複合膜２０および支持材料３０からなる集合体が冷却装置１２４、好ましくは通風装置により冷却される。

別の好ましい実施例では、ロールウェブ１２０状の複合被覆膜または被覆膜１０の供給と同時に、ロールウェブ１２１状の別の被覆膜４０またはロールウェブ１２１状の別の複合被覆膜４０を支持材料３０の裏側に供給する。別の被覆膜または別の複合被覆膜４０の供給方向２０８は、被覆膜または複合被覆膜１０の供給方向に対応する。この好ましい実施例では、別の被覆膜または別の複合被覆膜４０が同時に多層安全書類の全ての通常の構成要素（複合被覆膜または被覆膜１０、フォトポリマー複合層２０および支持材料３０）と一緒に、圧力および熱を付与しながら積層され、好ましい実施例では冷却される。この場合、製造された多層安全書類は、複合被覆膜または被覆膜１０、フォトポリマー複合層２０、支持材料３０および別の被覆膜または別の複合被覆膜４０の構成要素からなる。

更なるステップでは、まだウェブ状の多層安全書類はパンチ１２６によって非常に正確に個々の使用形態に打ち抜かれる。個々の使用形態への打ち抜き前、途中または後に、別の実施例では、触覚による安全要素を追加するために、型押し要素によって安全書類の表面が凸状または凹状に型押しされる。このため、型押しの箇所は被覆膜または複合被覆膜１０および／または別の被覆膜または別の複合被覆膜４０または（別の被覆膜または別の複合被覆膜４０がない場合は）支持材料３０である。刻印された表面模様は、ここでは少なくとも部分的にマイクロ文字として形成されてもよい。さらに、刻印された表面模様は少なくとも部分的にレンズ状構造含むように形成されてもよい。

レーザーに反応するように形成されたフォトポリマー被覆膜２２および／または２６を有するフォトポリマー複合層２０を形成する場合、および／または被覆膜または複合被覆膜１０および／または別の被覆膜または別の複合被覆膜４０および／または支持材料３０をレーザーに反応するように構成する場合、ロール１００から支持材料３０を繰り出した後、またはフォトポリマー複合層２０と支持材料３０を組み合わせた後、または支持材料３０、フォトポリマー複合層２０および被覆膜または複合被覆膜１０および／または別の被覆膜または別の複合被覆膜４０を積層した後に、周知のレーザー装置で情報を対応の層に追加することもできる。情報の追加は色の変化、光透過性の変化、または層厚の変化(例えば、層の除去または泡状化)により実現される。

別の好ましい実施例では、引き続いて一つまたはそれ以上の読取装置１３０によって、安全書類に存在する安全特徴または追加されたデータが読み取られ、基準値を用いて検査される。最後に、検査を合格し、打ち抜かれた個々の使用形態は更なるステップ１３２で積み重ねられる。不完全な安全書類は前もって選び捨てられる。

本発明に係る多層安全書類を示す概略断面図である。 本発明に係る多層安全書類の製造方法を示す概略図である。

符号の説明

１０ 被覆膜または複合被覆膜
１２ 耐引掻性の層
１４ ポリエチレン層
２０ フォトポリマー複合層
２２、２６ フォトポリマー被覆膜
２４ フォトポリマー層
３０ 支持材料
４０ 複合被覆膜
４２ ポリエチレン層
４４ 耐引掻性の層

Claims (12)

1. 印刷可能な支持材料（３０）、少なくとも一つの少なくとも部分的に透明な被覆膜または少なくとも部分的に透明な複合被覆膜（１０）からなる多層安全書類の製造方法であって、
   （ａ）ロールウェブ（１００）状の支持材料（３０）に接着剤（１０４）を少なくとも部分的に塗布するステップと、
   （ｂ）プラスチックからなるフォトポリマー被覆膜（２２、２６）がその両面に接着されたフォトポリマー層（２４）からなり、このフォトポリマー層（２４）とフォトポリマー被覆膜（２２、２６）は少なくとも部分的に透明であり、フォトポリマー層の少なくとも一領域には情報が写し込まれているロールウェブ（１１０）状のフォトポリマー複合層を接着剤が供給された支持材料の側面に供給するステップと、
   （ｃ）ロールウェブ（１２０）状の被覆膜（１０）またはロールウェブ（１２０）状の複合被覆膜（１０）を上方からフォトポリマー複合層（２０）に供給するステップと、
   （ｄ）被覆膜と、フォトポリマー複合層と支持材料を加熱された押し付けローラ（１２２）によって組み合わせるステップと、
   （ｅ）打ち抜き装置（１２６）により個々の使用形態に打ち抜くステップと
   を備えることを特徴とする多層安全書類の製造方法。
2. フォトポリマー複合層（２０）は、供給される間に、フォトポリマー複合層に存在する位置決めマーク、そして支持材料上に存在する別の位置決めマークに基づいて支持材料と揃えられ、この位置決めマークは前もって位置決めマーク読取装置（１１２）により読み取られることを特徴とする請求項１記載の多層安全書類の製造方法。
3. フォトポリマー複合層の供給前に、接着剤は加熱装置（１０６）により乾燥されることを特徴とする請求項１または２記載の多層安全書類の製造方法。
4. フォトポリマー複合層（２０）は側方から供給され、フォトポリマー複合層の移動方向（２０４）は支持材料の移動方向（２０２）に略垂直であることを特徴とする請求項１乃至３の何れか１項に記載の多層安全書類の製造方法。
5. 被覆層または複合被覆層の供給前に、打ち抜き装置（１１４）によりフォトポリマー複合層（２０）と接合された支持材料（３０）から個々の使用形態が打ち抜かれることを特徴とする請求項１乃至４の何れか１項に記載の多層安全書類の製造方法。
6. 被覆層または複合被覆層の供給方向（２０８）は、フォトポリマー複合層と接合された支持材料の移動方向（２０６）とほぼ平行であることを特徴とする請求項１乃至５の何れか１項に記載の多層安全書類の製造方法。
7. 支持材料、フォトポリマー複合層と被覆膜または複合被覆膜との接合前に、ロールウェブ（１２１）状の別の被覆膜（４０）またはロールウェブ（１２１）状の別の被覆膜（４０）が、支持材料のフォトポリマー複合層を有さない側面に供給されることを特徴とする請求項１乃至６の何れか１項に記載の多層安全書類の製造方法。
8. フォトポリマー複合層側に存在しない被覆膜または複合被覆膜（４０）、並びにフォトポリマー複合層（２０）および支持材料（３０）およびフォトポリマー複合層（２０）側の被覆膜または複合被覆膜（１０）の組み合わせは、加熱された押し付けローラ（１２２）によって同様の工程で行われることを特徴とする請求項７記載の多層安全書類の製造方法。
9. 支持材料（３０）、フォトポリマー複合層（２０）および被覆膜または複合被覆膜（１０、４０）の組み合わせ時の温度は１００℃と２００℃間の範囲にあることを特徴とする請求項１乃至８の何れか１項に記載の多層安全書類の製造方法。
10. 安全書類に含まれるデータと安全特徴は、個々の使用形態への打ち抜き後に一つまたはそれ以上の読取装置（１３０）により検査されることを特徴とする請求項１乃至９の何れか１項に記載の多層安全書類の製造方法。
11. 打ち抜き前および／または打ち抜き途中および／または打ち抜き後に、表面模様が安全書類に刻印されることを特徴とする請求項１乃至１０の何れか１項に記載の多層安全書類の製造方法。
12. 表面模様は少なくとも部分的にマイクロ文字としておよび／または少なくとも部分的にレンズ状構造として形成されることを特徴とする請求項１１記載の多層安全書類の製造方法。

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