JP4396169B2 - 超音波探傷装置、超音波探傷プログラム及び超音波探傷方法 - Google Patents

超音波探傷装置、超音波探傷プログラム及び超音波探傷方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4396169B2
JP4396169B2 JP2003273986A JP2003273986A JP4396169B2 JP 4396169 B2 JP4396169 B2 JP 4396169B2 JP 2003273986 A JP2003273986 A JP 2003273986A JP 2003273986 A JP2003273986 A JP 2003273986A JP 4396169 B2 JP4396169 B2 JP 4396169B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
test material
flaw
signal
transmission signal
ultrasonic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003273986A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005037223A (ja
Inventor
幸理 飯塚
良 中之薗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2003273986A priority Critical patent/JP4396169B2/ja
Publication of JP2005037223A publication Critical patent/JP2005037223A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4396169B2 publication Critical patent/JP4396169B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2291/00Indexing codes associated with group G01N29/00
    • G01N2291/04Wave modes and trajectories
    • G01N2291/048Transmission, i.e. analysed material between transmitter and receiver

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Description

本発明は、被検材の表層部に超音波の表面波を透過させ、その透過波に基づいて被検材の表層部に存在する傷を検出する超音波探傷装置、超音波探傷プログラム及び超音波探傷方法に関する。
従来の超音波の表面波を用いた超音波探傷装置は、表面波の被検材への浸透深さがその表面波の波長に依存しており、被検材の表層部に存在する傷の表面波に対する反応が表面波の周波数に応じて変化する特性を有することから、所定の周波数の表面波となる送信波としてトーンバースト波を用いている。そして、この送信波に対応した透過波の減衰量が所定のしきい値を越えるときは開口傷と推定し、上記減衰量が所定のしきい値を越えないときは非開口傷と推定している(例えば、特許文献1参照。)。以下、この技術を第1の従来例と呼ぶ。
また、従来の超音波探傷装置には、被検材内にパルス波の超音波を伝搬させ、被検材の内部に存在する傷で反射した超音波信号に対応する探傷信号を、それぞれ中心周波数が異なり、周波数特性の形状がほぼ同一である複数の狭帯域バンドパスフィルタによりろ波し、ろ波された探傷信号のうち最もS/Nが高い探傷信号を選択し、選択された探傷信号を用いて傷の判別を行っているものもある(例えば、特許文献2参照。)。以下、この技術を第2の従来例と呼ぶ。
特開平10−213573号公報(請求項1,[0011]〜[0020]、図1〜図5) 特開昭64−38652号公報(第1頁,第4頁右上欄第11行目〜第5頁右下欄第1行目、第1図〜第3図)
ところで、上記した第1の従来例では、複数の正弦波を200Vp−p程度まで増幅するゲーティッドアンプを用いてトーンバースト波を生成する必要である。このため、第1の従来例による装置を、探触子を被検材の幅方向に並列に複数並べて被検材を同時に広範囲にわたって探傷するマルチチャネル化した場合には、装置が高価になるという課題があった。
一方、上記した第2の従来例では、探触子の周波数特性の谷間において狭帯域バンドパスフィルタを通過した探傷信号の強度が非常に弱くなるため、外来ノイズの影響を受けやすく、探傷信号のS/Nが悪くなるという課題があった。また、この装置を実際に現場で使用する際に探触子を装置に接続するケーブルが長い場合には、探傷信号の高周波域が減衰したり、探傷信号のS/Nが悪くなるという課題があった。さらに、この第2の従来例による装置をマルチチャネル化して表面波を用いた超音波探傷に適用した場合、上記したように、被検材の表層部に存在する傷の表面波に対する反応が表面波の周波数に応じて変化する特性を有することから、個々の超音波探触子の周波数特性のバラツキが、バンドパスフィルタの周波数帯域内においても影響し、各チャネルの検出能が一定にならないという課題があった。これは、一般的な超音波探傷で使われる反射法の場合、時間軸分解能を確保するために、バンドパスフィルタの帯域をあまり狭くできないからである。
さらに、上記した第1及び第2の従来例のいずれにおいても、傷のない健全面であっても被検材の表面粗さに応じて探傷信号の信号強度やそのバラツキ具合が異なるため、最適な探傷条件を設定することができないという課題があった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、安価にマルチチャネル化することができるとともに、マルチチャネルの個々の検出能を一定にすることができ、さらに表面粗さが異なる被検材でも最適な探傷条件を設定でき、高感度で探傷することができる超音波探傷装置、超音波探傷プログラム及び超音波探傷方法を得るものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る超音波探傷装置は、所定パルス幅のパルス信号を発生する送信部と、上記パルス信号を超音波の表面波に変換して、被検材の表層部に透過させる送信探触子と、上記表層部を透過した超音波の表面波を透過信号に変換する受信探触子と、上記表層部に存在する傷の検出能に対応して中心周波数が設定されるとともに、上記傷の透過信号のマルチチャネルにおけるバラツキ及び上記被検材の健全面の上記透過信号のS/Nとが上記傷とノイズとの識別が可能となる所定の値になるように、帯域幅を上記中心周波数で除算した比帯域幅が設定された複数の狭帯域バンドパスフィルタと、上記被検材の表面粗さに基づき、上記傷と上記ノイズとの識別が可能となるように、上記複数の狭帯域バンドパスフィルタのいずれかを選択して上記透過信号を供給する選択スイッチと、上記選択された狭帯域バンドパスフィルタから出力された上記透過信号について、上記被検材の健全面の上記透過信号の信号強度と、予め設定した上記傷のしきい値とに基づいて、上記傷の有無を判定する評価部とを備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る超音波探傷装置は、所定パルス幅のパルス信号を発生する送信部と、上記パルス信号を超音波の表面波に変換して、被検材の表層部に透過させる送信探触子と、上記表層部を透過した超音波の表面波を透過信号に変換する受信探触子と、上記表層部に存在する傷の検出能に対応して中心周波数が設定されるとともに、上記傷の透過信号のマルチチャネルにおけるバラツキ及び上記被検材の健全面の上記透過信号のS/Nとが所定の値になるように、帯域幅を上記中心周波数で除算した比帯域幅が設定された複数の狭帯域バンドパスフィルタと、上記複数の狭帯域バンドパスフィルタのいずれかを選択して上記透過信号を供給する選択スイッチと、上記被検材の表面粗さを測定する表面粗さ計と、上記表面粗さと、上記表面粗さに対応して選択すべき上記狭帯域バンドパスフィルタとの組み合わせに関するフィルタ選択テーブルと、上記表面粗さ計の測定結果に基づいて上記フィルタ選択テーブルを参照して選択すべき上記狭帯域バンドパスフィルタを決定し、この決定に基づいて上記選択スイッチを切り換える制御部と、上記選択された狭帯域バンドパスフィルタから出力された上記透過信号について、上記被検材の健全面の上記透過信号の信号強度と、予め設定した上記傷のしきい値とに基づいて、上記傷の有無を判定する評価部とを備えていることを特徴としている。
また、本発明は、上記の超音波探傷装置に係り、上記送信部と上記送信探触子とを接続するケーブルの長さは、上記ケーブルの伝搬特性と上記狭帯域バンドパスフィルタの個数に対応して設定されることを特徴としている。
また、本発明は、上記の超音波探傷装置に係り、上記受信探触子から出力される上記透過信号を所定の増幅度で増幅して上記選択スイッチに供給するプリアンプを備え、上記受信探触子と上記プリアンプとを接続するケーブルの長さは、上記ケーブルの伝搬特性と上記狭帯域バンドパスフィルタの個数に対応して設定されることを特徴としている。
また、本発明に係る超音波探傷プログラムは、コンピュータを上記制御部として機能させることを特徴としている。
また、本発明に係る超音波探傷方法は、被検材の表層部に存在する傷の検出能に対応して中心周波数が設定されるとともに、上記傷の透過信号のマルチチャネルにおけるバラツキ及び上記被検材の健全面の上記透過信号のS/Nとが上記傷とノイズとの識別が可能となる所定の値になるように、帯域幅を上記中心周波数で除算した比帯域幅が設定された複数の狭帯域バンドパスフィルタを備え、所定パルス幅のパルス状の超音波の表面波を上記被検材の表層部に透過させ、上記表層部を透過した超音波の表面波を透過信号に変換し、上記被検材の表面粗さ及び上記検出能に基づき、上記傷と上記ノイズとの識別が可能となるように、上記複数の狭帯域バンドパスフィルタの中からいずれかを選択して上記透過信号を通過させ、上記選択された狭帯域バンドパスフィルタから出力された上記透過信号について、上記被検材の健全面の上記透過信号の信号強度と、予め設定した上記傷のしきい値とに基づいて、上記傷の有無を判定することを特徴としている。
本発明は以上説明したように、所定パルス幅のパルス信号を発生する送信部と、パルス信号を超音波の表面波に変換して、被検材の表層部に透過させる送信探触子と、表層部を透過した超音波の表面波を透過信号に変換する受信探触子と、表層部に存在する傷の検出能に対応して中心周波数が設定されるとともに、上記傷の透過信号のマルチチャネルにおけるバラツキ及び上記被検材の健全面の上記透過信号のS/Nとが所定の値になるように、帯域幅を中心周波数で除算した比帯域幅が設定された複数の狭帯域バンドパスフィルタと、複数の狭帯域バンドパスフィルタのいずれかを選択して透過信号を供給する選択スイッチと、選択された狭帯域バンドパスフィルタから出力された透過信号について、被検材の健全面の透過信号の信号強度と、予め設定した傷のしきい値とに基づいて、傷の有無を判定する評価部とを備えている。
したがって、安価にマルチチャネル化することができるとともに、マルチチャネルの個々の検出能を一定にすることができ、さらに表面粗さが異なる被検材でも最適な探傷条件を設定でき、高感度で探傷することができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における超音波探傷装置を示すブロック図である。
この実施の形態1の超音波探傷装置は、送信部1と、ケーブル2〜4と、送信探触子5と、受信探触子6と、プリアンプ7と、選択スイッチ8及び9と、狭帯域バンドパスフィルタ(NWBPF)101〜105と、メインアンプ11と、評価部12とから構成されている。送信部1は、パルス幅が0nsecより大きく100nsec以下(好ましくは、0nsecより大きく50nsec以下)のパルス信号SPを発生する。これは、超音波探傷の対象である被検材13が鋼材からなる場合、10MHz程度以下の周波数帯域の探傷信号が得られれば良いからである。ケーブル2及び3の長さは2m以内であることが望ましい一方、ケーブル4の長さは数m以上でも良い。
送信探触子5は、被検材13と水などで音響接触されており、送信部1からケーブル2を介して供給される電気的なパルス信号SPをパルス状の超音波の表面波に変換して、被検材13の表層部に透過させる。受信探触子6は、被検材13と水などで音響接触されており、被検材13の表層部を透過した超音波の表面波を電気的な透過信号STに変換してケーブル3を介してプリアンプ7に供給する。プリアンプ7は、透過信号STを所定の増幅度で増幅して増幅後の透過信号ST1をケーブル4を介して選択スイッチ8に供給する。
選択スイッチ8は、入力端にケーブル4が接続されるとともに、5つの出力端にそれぞれNWBPF101〜105の入力端が接続され、操作者の操作により選択スイッチ9と連動して切り換えられ、ケーブル4を介してプリアンプ7から供給された増幅後の透過信号ST1をNWBPF101〜105のいずれか1つに供給する。選択スイッチ9は、5つの入力端にそれぞれNWBPF101〜105の出力端が接続されるとともに、出力端にメインアンプ11の入力端が接続され、操作者の操作により選択スイッチ8と連動して切り換えられ、NWBPF101〜105のいずれか1つから出力された、ろ波された透過信号SSLをメインアンプ11に供給する。NWBPF101〜105は、コイルとコンデンサとにより構成されるLC型のアナログフィルタからなる。NWBPF101の中心周波数fc1は3.0MHz、NWBPF102の中心周波数fc2は3.6MHz、NWBPF103の中心周波数fc3は4.5MHz、NWBPF104の中心周波数fc4は6.0MHz、NWBPF105の中心周波数fc5は9.0MHzである。NWBPF101〜105の比帯域幅は25%以下(好ましくは、20%以下)であることが望ましい。ここで、比帯域幅とは、あるNWBPFが図2に示す周波数特性を有する場合、帯域幅Bを中心周波数fcで除算した結果(B/fc)をいう。なお、ここで、比帯域幅の下限は、透過信号以外の、例えば、送信パルスや雑エコーなどと干渉して計測できなくなる比率の値とする。
メインアンプ11は、選択スイッチ9から供給される、ろ波された透過信号SSLを所定の増幅度で増幅して増幅後の透過信号SSL1を評価部12に供給する。評価部12は、メインアンプ11から供給される増幅後の透過信号SSL1に基づいて被検材13の表層部に存在する開口傷14を検出する。具体的には、評価部12は、メインアンプ11から供給される増幅後の透過信号SSL1について、被検材13の健全面の透過信号の信号強度と、予め設定した開口傷のしきい値とに基づいて、開口傷14の有無を判定する。なお、図1には、送信部1がパルス信号を送信探触子5に送信するタイミングを決定する同期信号を生成する同期信号生成回路や、透過信号STを各周波数の到達時刻に合わせて各周波数ごとに分割して抽出するゲート回路などは図示されていない。
図3は、この実施の形態1における超音波探傷装置をマルチチャネル化する場合に、送信探触子5及び受信探触子6を被検材13上に配置する際の一例を示す図である。図3から分かるように、送信探触子5及び受信探触子6は、被検材13の幅方向(図3において紙面内の上下方向)に、所定間隔でn(nは自然数)個ずつ配置する。送信探触子5及び受信探触子6の幅は約10mmであり、nは、通常、16〜32程度である。したがって、この実施の形態1における超音波探傷装置をマルチチャネル化すれば、被検材13を幅方向に約160〜320mmにわたって、同時に又は各チャネルごとに順次に、探傷することができる。なお、n個の送信探触子5及び受信探触子6を用いて開口傷を同時に探傷する場合には、図1に示す送信探触子5及び受信探触子6以外の構成要素はnチャネル分設ける必要がある。一方、n個の送信探触子5及び受信探触子6を用いて開口傷をチャネルごとに順次に探傷する場合には、図1に示す送信探触子5及び受信探触子6以外の構成要素は1チャネル分設けるだけで良い。
次に、評価部12におけるしきい値の設定方法について説明する。上記したように、超音波の表面波は、浸透深さがその表面波の波長に依存しているため、開口傷の深さh1と透過波の信号強度について、図4に示すような関係がある。図4において、透過波信号強度の比Tとは、被検材において、超音波の表面波が健全面を透過した透過波の信号強度に対する、同表面波が傷面で減衰しながら透過した透過波の信号強度の比をいう。また、開口傷の深さ/波長(h1/λ)とは、探傷された開口傷の深さh1をその開口傷を探傷した超音波の表面波の波長λで除算した結果をいう。図4から分かるように、透過波信号強度の比T、すなわち、正規化された透過信号の信号強度は、開口傷の深さ/波長(h1/λ)が0から0.5までは比較的略直線的に減少した後、透過波の回折の影響により、開口傷の深さ/波長(h1/λ)が0.5近傍以降で一定値(約0.2)となっている(上記特許文献1参照)。一方、被検材13は、健全面であっても、その表面粗さの影響により、透過信号の信号強度が増減するため、しきい値の比率を透過波信号強度の比Tが1.0に近くに設定すると、誤検出となる場合がある。したがって、しきい値の比率は、上記透過波信号強度の比Tの0.3〜0.9が良く、特に、0.4〜0.6が最も適している。
また、しきい値を設定するタイプとしては、正規化タイプと実値タイプとがある。以下では、上記しきい値の比率として0.5を設定する場合について説明する。正規化タイプは、メインアンプ11から供給される増幅後の透過信号SSL1のうち、被検材13の健全面の透過信号の信号強度が一定の値、例えば、1Vになるように、プリアンプ7の増幅度又はメインアンプ11の増幅度のいずれか一方若しくは両方を調整し、例えば、上記1Vの信号強度の0.5である0.5Vをしきい値とするものである。一方、実値タイプは、プリアンプ7及びメインアンプ11の増幅度を調整することなく、メインアンプ11から供給される増幅後の透過信号SSL1のうち、被検材13の健全面の透過信号の実測された信号強度(実値)の0.5をしきい値とするものである。すなわち、実値タイプでは、例えば、上記実値が1.2Vである場合には、その0.5である0.6Vがしきい値となる。
次に、上記したNWBPF101〜105の中心周波数fc1〜fc5の設定方法について説明する。上記した特許文献1によれば、図4に示す曲線の傾斜部分Lは、上記透過波信号強度の比をTとし、探傷された開口傷の深さをh1とし、その開口傷を探傷した超音波の表面波の波長をλとした場合に、以下に示す式(1)で近似できるとする。
T=1−(1/0.6)・(h1/λ) ・・・(1)
したがって、しきい値の比率を0.5とすると、透過波信号強度の比Tが0.5となる表面波の波長λ0.5は、式(2)で表される。
λ0.5=h1/0.3 ・・・(2)
今、表面波の音速を3000m/sとすると、超音波の波長λ、周波数f及び速度vとの間には式(3)に示す関係があるから、透過波信号強度の比Tが0.5となる表面波の周波数、すなわち、NWBPFの中心周波数fcは、式(4)で表される。
λ=v/f ・・・(3)
c=0.9/h1[MHz] ・・・(4)
以上のことから、この実施の形態1において、検出すべき開口傷の大きさ、すなわち、所望の検出能をそれぞれ0.30mm、0.25mm、0.20mm、0.15mm、0.10mmとすると、式(4)より、NWBPF101〜105の中心周波数fc1〜fc5は、上記したように、それぞれ3.0MHz、3.6MHz、4.5MHz、6.0MHz、9.0MHzに設定されることになる。
次に、上記構成の超音波探傷装置の動作について説明する。まず、送信部1は、例えば、周期が40nsecのパルス信号SPを発生し、ケーブル2を介して送信探触子5に供給する。これにより、送信探触子5がパルス信号SPを超音波の表面波に変換して、被検材13の表層部に透過させるので、被検材13の表層部、特に、開口傷14を経て伝達された表面波、すなわち、透過波が受信探触子6によって受信される。受信探触子6は、被検材13の表層部を透過した透過波を透過信号STに変換してケーブル3を介してプリアンプ7に供給する。プリアンプ7は、透過信号STを所定の増幅度で増幅して増幅後の透過信号ST1をケーブル4を介して選択スイッチ8に供給する。
この場合、この装置の操作者は、被検材13の表面粗さを、例えば、触針式又はレーザ式の表面粗さ計を用いて予め測定しておく。そして、操作者は、被検材13の表面粗さが粗いときは中心周波数が低いNWBPF、例えば、中心周波数fc1が3.0MHzであるNWBPF101を選択するために、選択スイッチ8及び9を連動させて切り換える。一方、操作者は、被検材13の表面粗さが粗くないときは中心周波数が高いNWBPF、例えば、中心周波数fc5が9.0MHzであるNWBPF105を選択するために、選択スイッチ8及び9を連動させて切り換える。
これにより、被検材13の表面粗さが粗いときは、プリアンプ7から出力された増幅後の透過信号ST1は、選択スイッチ8を経てNWBPF101において3.0MHzを中心周波数fc1としてろ波され、選択スイッチ9を経てメインアンプ11に供給される。一方、被検材13の表面粗さが粗くないときは、プリアンプ7から出力された増幅後の透過信号ST1は、選択スイッチ8を経てNWBPF105において9.0MHzを中心周波数fc5としてろ波され、選択スイッチ9を経てメインアンプ11に供給される。これにより、メインアンプ11が選択スイッチ9から供給される、ろ波された透過信号SSLを所定の増幅度で増幅して増幅後の透過信号SSL1を評価部12に供給するので、評価部12は、メインアンプ11から供給される増幅後の透過信号SSL1について、被検材13の健全面の透過信号の信号強度と、予め設定した開口傷のしきい値とに基づいて、開口傷14の有無を判定する。
以上説明した動作を、被検材13を幅方向に約160〜320mmにわたって、n個のチャネルについて、同時に又は各チャネルごとに順次に行う。
ここで、図5及び図6にマルチチャネル化し、NWBPF101〜105の比帯域幅(B/fc)を変化させた場合の実験結果の一例を示す。図5において、サンプルSP0はNWBPFを使用しなかった場合、サンプルSP1はNWBPFの比帯域幅(B/fc)が100%である場合、サンプルSP2はNWBPFの比帯域幅(B/fc)が50%である場合、サンプルSP3はNWBPFの比帯域幅(B/fc)が25%である場合、サンプルSP4はNWBPFの比帯域幅(B/fc)が10%である場合の、それぞれの開口傷を透過した透過波に対応した透過信号の信号強度の一例である。一方、図6において、サンプルSP0はNWBPFを使用しなかった場合、サンプルSP1はNWBPFの比帯域幅(B/fc)が100%である場合、サンプルSP2はNWBPFの比帯域幅(B/fc)が50%である場合、サンプルSP3はNWBPFの比帯域幅(B/fc)が25%である場合、サンプルSP4はNWBPFの比帯域幅(B/fc)が10%である場合の、被検材の健全面を透過した透過波に対応した透過信号のS/Nの一例である。
図5を参照すると、送信探触子5及び受信探触子6の各周波数特性のバラツキが影響して、同一の深さの開口傷を探傷した場合であっても、NWBPFを使用しなかった場合やNWBPFの比帯域幅(B/fc)が大きい場合には、開口傷を透過した透過波に対応した透過信号の信号強度(開口傷の透過信号強度)にバラツキがあるが、NWBPFの比帯域幅(B/fc)が25%以下である場合には、開口傷の透過信号強度はほとんどばらつくことなく、一定の検出能が得られることが分かる。また、図6を参照すると、NWBPFの比帯域幅(B/fc)を狭くするに従って、被検材の健全面を透過した透過波に対応した透過信号のS/N(健全面S/N)が上昇し、NWBPFの比帯域幅(B/fc)が25%以下である場合には、実用上十分な健全面S/Nが得られることが分かる。バンドパスフィルタの帯域幅をこのように狭くすると、反射法を用いた超音波探傷では信号の幅が長くなって時間軸分解能が悪化するが、透過法を用いた超音波探傷では、時間的に透過信号を他のエコー(例えば、被検材の裏面における反射エコーなど)と分離する必要がないので、バンドパスフィルタの帯域幅を狭帯域にすることは問題にならない。
また、図7及び図8は、様々な表面粗さを有する被検材13上で操作者が送信探触子5及び受信探触子6を移動させつつ、開口傷を探傷した場合の検出結果の一例を示す図である。図7は中心周波数が6.0MHzであるNWBPFを用いた場合の検出結果である。図7において、波形a及び波形bは表面粗さが小さい被検材に存在する深さがそれぞれ0.15mm及び0.20mmである開口傷の透過信号強度、波形c及び波形dは表面粗さが大きい被検材に存在する深さがそれぞれ0.15mm及び0.20mmである開口傷の透過信号強度の一例である。図7を参照すると、中心周波数が6.0MHzであるNWBPFを用いた場合には、被検材の表面が粗くなければ深さが0.15mmである開口傷まで検出することができるが、被検材の表面が粗いと深さが0.20mmである開口傷も検出することができないことが分かる。これは、被検材の表面が粗い場合には、健全面での透過信号強度の低下も大きくなるため、ノイズと識別できないからである。
一方、図8は中心周波数が4.5MHzであるNWBPFを用いた場合の検出結果である。図8において、波形a及び波形bは表面粗さが小さい被検材に存在する深さがそれぞれ0.15mm及び0.20mmである開口傷の透過信号強度、波形c及び波形dは表面粗さが大きい被検材に存在する深さがそれぞれ0.15mm及び0.20mmである開口傷の透過信号強度の一例である。図8を参照すると、中心周波数が4.5MHzであるNWBPFを用いた場合には、中心周波数が6.0MHzであるNWBPFを用いた場合とは逆に、被検材の表面が粗くなくても深さが0.15mmである開口傷が検出することができない一方、被検材の表面が粗くても深さが0.20mmである開口傷も検出することができることが分かる。このように、中心周波数が異なる複数のNWBPFを設けることにより、被検材の表面粗さに応じて最適な検出能で開口傷を探傷することができる。
さらに、図9は、ケーブル2及び3の長さを変化させた場合の透過信号の周波数特性の一例を示す図である。図9において、曲線a〜曲線dはケーブル2及び4の長さをそれぞれ10m、5m、2m、0.5mとした場合の透過信号の周波数特性の一例である。図9を参照すると、ケーブル2及び4の長さを2m以内にすれば、高周波帯域まで良好な特性が得られるので、NWBPFの個数を増加させることができる。
このように、この実施の形態1の構成によれば、被検材の表層部に超音波の表面波を透過させ、その透過波に基づいて被検材の表層部に存在する傷を検出する超音波探傷装置において、パルス状の表面波を用いるとともに、比帯域幅(B/fc)が25%以下(好ましくは、20%以下)である複数のNWBPFを設けている。そして、被検材の表面粗さや所望とする検出能に応じて上記複数のNWBPFの中から1個のNWBPFを選択可能に構成し、選択されたNWBPFでろ波された透過信号に基づいて、被検材13の健全面の透過信号強度を測定し、その透過信号強度を基準としたしきい値を用いて開口傷14の有無を検出している。
したがって、マルチチャネル化した場合であっても、上記した第1の従来例のようにゲーティッドアンプを用いる必要がないので、装置が高価になることはない。また、送信探触子5及び受信探触子6の周波数特性の谷間において透過信号の信号強度が弱くなったとしても、比帯域幅(B/fc)が25%以下(好ましくは、20%以下)であるNWBPFを用いているため、外来ノイズも抑制され、NWBPFからは高いS/Nの透過信号を得ることができる。さらに、この実施の形態1の構成によれば、複数のNWBPFを設けているため、被検材の健全面の表面粗さに応じて探傷信号強度やそのバラツキ具合が異なった場合であっても、測定者は、被検材13の表面粗さが粗いときは中心周波数が低いNWBPFを、被検材13の表面粗さが粗くないときは中心周波数が高いNWBPFを選択することができるため、常に最適な検出能で開口傷を探傷することができる。
また、この実施の形態1の構成によれば、NWBPFを選択した後に、その選択されたNWBPFでろ波された、被検材13の健全面の透過信号の信号強度を測定し、その透過信号強度を基準としたしきい値を用いて開口傷14の有無を検出しているため、NWBPFを選択した後の検出能を一定にすることができる。さらに、この実施の形態1の構成によれば、検出を所望する開口傷の深さh1に応じて、図4に示す、開口傷の深さ/波長(h1/λ)と透過波信号強度の比Tとの関係を利用して、所望の検出能に応じたNWBPFの中心周波数を適切に設定することができる。
また、この実施の形態1の構成によれば、ケーブル2及び3の長さを2m以内としているので、高周波帯域まで良好な特性が得られ、高い周波数まで信号強度が大きい透過信号が得られるようになり、高周波数帯域のNWBPFを用いることができ、より適切な周波数間隔でNWBPFの個数を増加させることができる。
以上説明したように、この実施の形態1の構成によれば、超音波の表面波の透過法による被検材の表層部の開口傷の検出において、様々な被検材に対し、常に最適な探傷条件で所望の検出能が得られるようになり、かつ低いコストで装置を実現することができる。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2における超音波探傷装置を示すブロック図である。図10において、図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。図10に示す超音波探傷装置においては、制御部21、記憶部22及び表面粗さ計23が新たに設けられている。また、この実施の形態2においては、鋼材からなる被検材24の表層部には、非開口傷25が存在するものとする。
制御部21は、CPU(中央処理装置)等からなり、記憶部22に記憶された超音波探傷プログラムを実行することにより、超音波探傷処理を実行し、装置全体を制御する。すなわち、超音波探傷プログラムが記憶部22から読み出されると、制御部21に読み込まれ、制御部21の動作を制御する。制御部21は、超音波探傷プログラムが起動されると、超音波探傷プログラムの制御により、後述する超音波探傷処理を実行するのである。記憶部22は、ROMやRAM等の半導体メモリ、FD(フロッピー(登録商標)・ディスク)が装着されるFDドライブ、HD(ハード・ディスク)が装着されるHDドライブ、MO(光磁気)ディスクが装着されるMOディスクドライブ、あるいはCD(コンパクト・ディスク)−ROM、CD−R(Recordable)、CD−RW(ReWritable)やDVD−ROM、DVD−R、DVD−RW等が装着されるCD/DVDドライブ等からなる。記憶部22には、上記した制御部21が実行すべき超音波探傷プログラム及び後述するフィルタ選択テーブルが予め記憶されているとともに、制御部21が上記した超音波探傷プログラムを実行する際に作業用として用いられる。
表面粗さ計23は、例えば、触針式やレーザー方式からなり、制御部21の制御の下、被検材24の表面粗さを測定し、その測定結果を制御部21に供給する。この実施の形態2においては、表面粗さ計23を用いて様々な被検材の表面粗さを予め測定するとともに、各表面粗さを有する被検材の表層部に存在する非開口傷25を探傷するのに最適なNWBPFを予め決定する。そして、各表面粗さと最適なNWBPFとの組み合わせに関するフィルタ選択テーブルを予め作成し、上記記憶部22に記憶しておくものとする。
この実施の形態2における超音波探傷装置をマルチチャネル化する場合は、上記実施の形態1において図3を用いて説明したように、被検材24の幅方向(図10において紙面に直交する方向)に、所定間隔でn(nは自然数)個ずつの送信探触子5及び受信探触子6を配置する。なお、n個の送信探触子5及び受信探触子6を用いて非開口傷を同時に探傷する場合には、図10に示す送信探触子5及び受信探触子6以外の構成要素はnチャネル分設ける必要がある。一方、n個の送信探触子5及び受信探触子6を用いて非開口傷をチャネルごとに順次に探傷する場合には、図10に示す送信探触子5及び受信探触子6以外の構成要素は1チャネル分設けるだけで良い。
次に、評価部12におけるしきい値の設定方法について説明する。超音波の表面波は、浸透深さがその表面波の波長に依存しているため、非開口傷の深さh2と透過波の信号強度について、図11に示すような関係がある。図11において、透過波信号強度の比Tは、図4に示す透過波信号強度の比Tと同様の意味である。また、非開口傷の深さ/波長(h2/λ)とは、探傷された非開口傷の深さ位置h2をその非開口傷を探傷した超音波の表面波の波長λで除算した結果をいう。図11から分かるように、透過波信号強度の比T、すなわち、正規化された透過信号の信号強度は、非開口傷の深さ/波長(h2/λ)が0から0.3までは比較的略直線的に上昇した後、透過波の回折の影響により、非開口傷の深さ/波長(h2/λ)が0.5近傍以降徐々に飽和に向かっている(上記特許文献1参照)。
次に、上記したNWBPF101〜105の中心周波数fc1〜fc5の設定方法について説明する。上記した特許文献1によれば、図11に示す曲線の傾斜部分Lについて、上記透過波信号強度の比をTとし、探傷された非開口傷の深さ位置をh2とし、その非開口傷を探傷した超音波の表面波の周波数をfとした場合に、非開口傷の深さ位置h2は、以下に示す式(5)で近似できるとする。
2=1.8T/f ・・・(5)
ただし、透過波信号強度の比Tは、式(6)に示す範囲で推定することができる。
0<T<0.5 ・・・(6)
したがって、しきい値の比率を0.2とすると、透過波信号強度の比Tが0.2となる表面波の周波数、すなわち、NWBPFの中心周波数fcは、式(5)を周波数fについて変形するとともに、透過波信号強度の比Tに0.2を代入すると、式(7)で表される。
c=0.36/h2 ・・・(7)
以上のことから、この実施の形態2において、検出すべき非開口傷の深さ位置、すなわち、所望の検出能をそれぞれ0.30mm、0.25mm、0.20mm、0.15mm、0.10mmとすると、式(7)より、NWBPF101〜105の中心周波数fc1〜fc5は、それぞれ1.2MHz、1.44MHz、1.8MHz、2.4MHz、3.6MHzに設定されることになる。
次に、上記構成の超音波探傷装置を構成する制御部21の超音波探傷処理について説明する。まず、制御部21は、非開口傷25を探傷する前に、表面粗さ計23に対して被検材24の表面粗さの測定を指示する。表面粗さ計23は、制御部21からの指示に応じて、触針式又はレーザ式で被検材24の表面粗さを測定し、その測定結果を制御部21に供給する。これにより、制御部21は、表面粗さ計23から供給された測定結果に基づいて、記憶部22に記憶されているフィルタ選択テーブルを参照して、最適なNWBPFを検索し、その検索結果に基づいて選択スイッチ8及び9を連動させて切り換える。
例えば、制御部21は、表面粗さ計23から供給された測定結果が被検材24の表面粗さが粗いことを示している場合には、上記フィルタ選択テーブルを参照して、中心周波数が低いNWBPF、例えば、中心周波数fc1が1.2MHzであるNWBPF101を選択するために、選択スイッチ8及び9を連動させて切り換える。一方、制御部21は、表面粗さ計23から供給された測定結果が被検材24の表面粗さが粗くないことを示している場合には、上記フィルタ選択テーブルを参照して、中心周波数が高いNWBPF、例えば、中心周波数fc5が2.4MHzであるNWBPF105を選択するために、選択スイッチ8及び9を連動させて切り換える。
次に、制御部21は、送信部1に対してパルス信号SPの発生を指示する。送信部1は、制御部21からの指示に応じて、例えば、周期が40nsecのパルス信号SPを発生し、ケーブル2を介して送信探触子5に供給する。これにより、送信探触子5がパルス信号SPを超音波の表面波に変換して、被検材24の表層部に透過させるので、被検材24の表層部、特に、非開口傷25を経て伝達された表面波、すなわち、透過波が受信探触子6によって受信される。受信探触子6は、被検材24の表層部を透過した透過波を透過信号STに変換してケーブル3を介してプリアンプ7に供給する。プリアンプ7は、制御部21によって設定された増幅度で透過信号STを増幅して増幅後の透過信号ST1をケーブル4を介して選択スイッチ8に供給する。
これにより、被検材24の表面粗さが粗いときは、プリアンプ7から出力された増幅後の透過信号ST1は、例えば、選択スイッチ8を経てNWBPF101において1.2MHzを中心周波数fc1としてろ波され、選択スイッチ9を経てメインアンプ11に供給される。一方、被検材24の表面粗さが粗くないときは、プリアンプ7から出力された増幅後の透過信号ST1は、例えば、選択スイッチ8を経てNWBPF105において2.4MHzを中心周波数fc5としてろ波され、選択スイッチ9を経てメインアンプ11に供給される。これにより、メインアンプ11が選択スイッチ9から供給される、ろ波された透過信号SSLを、制御部21によって設定された増幅度で増幅して、増幅後の透過信号SSL1を評価部12に供給するので、評価部12は、メインアンプ11から供給される増幅後の透過信号SSL1について、被検材24の健全面の透過信号の信号強度と、予め設定した非開口傷のしきい値とに基づいて、非開口傷25の有無を判定した後、制御部21にその判定結果を通知する。
制御部21は、評価部12から判定結果の通知を受けると、以上説明した動作を、被検材24を幅方向に約160〜320mmにわたって、n個のチャネルについて、同時に又は各チャネルごとに順次に行う。
このように、この実施の形態2の構成によれば、装置各部を制御する制御部21を設けるとともに、表面粗さ計23を設けて被検材24の表面粗さを測定し、その測定結果を制御部21に供給するようにしたので、非開口傷25の有無の判定がほとんど自動化される。これにより、測定者の手間が省けるとともに、測定時間が短縮される。もちろん、上記した実施の形態1で得られる効果も同様に得られる。
以上、本発明の実施の形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、上述の各実施の形態においては、NWBPFはアナログフィルタである例を示したが、これに限定されず、デジタルフィルタでも良い。その場合には、選択スイッチ8の前段に、アナログの透過信号ST1をデジタルの透過データDT1に変換するアナログ・デジタル変換器を設けるとともに、選択スイッチ9の後段に、NWBPFでろ波されたデジタルの透過データをアナログの透過信号に変換するデジタル・アナログ変換器を設ける必要がある。
また、上述の各実施の形態においては、被検材13及び23はいずれも鋼材からなる例を示したが、これに限定されず、被検材13及び23はアルミニウムやステンレスの圧延材でも良い。また、被検材13及び23が鋼材も含めた鋳造材からなる場合は、超音波の表面波は被検材の健全面であっても信号強度が大きいため、パルス信号SPの周波数は5MHz程度までで十分であり、パルス信号SPのパルス幅は200nsec程度、例えば、150nsec以上250nsec以下で良い。また、被検材13及び23が表面粗さが少なく微小な傷までの検出が要求されるセラミックからなる場合は、パルス信号SPの周波数は50MHz程度まで帯域が必要であり、パルス信号SPのパルス幅は0nsecより大きく10nsec以下であることが望ましい。
また、上述の各実施の形態においては、探傷する前に表面粗さ計を用いて被検材の表面粗さを測定する例を示したが、これに限定されず、1個又は複数個のNWBPFの中心周波数fcについて、予め被検材の表面粗さと表面波の透過信号強度との関係を測定してフィルタ選択テーブルとして印刷したり、記憶部22に記憶しておいても良い。このように構成すれば、上述の実施の形態1では、測定者は、表面粗さ計を用いずに印刷されたフィルタ選択テーブルを参照してNWBPFを選択することができるし、上述の実施の形態2では、制御部21は、表面粗さ計を用いずに図示せぬフィルタ選択テーブルを参照してNWBPFを選択することができる。
また、上述の各実施の形態においては、NWBPF10の個数は5個である例を示したが、これに限定されず、NWBPF10の個数は、2個、3個、4個、あるいは6個以上でも良い。
また、上述の各実施の形態においては、測定者が送信探触子5及び受信探触子6を被検材上で移動させる例を示したが、これに限定されず、送信探触子5及び受信探触子6を被検材上を摺動させる駆動部を設けても良い。さらに、上述の実施の形態2では、上記駆動部を制御部21が制御するように構成しても良い。このように構成すれば、ほとんど自動化することができるので、測定時間を短縮することができるとともに、手間がかからない。
また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。例えば、上述の実施の形態1では被検材13の表層部に存在する開口傷14を探傷する例を示し、上述の実施の形態2では被検材24の表層部に存在する非開口傷25を探傷する例を示したが、これに限定されない。例えば、いずれの実施の形態においても、被検材の表層部に存在する開口傷及び非開口傷の両方を探傷するように構成しても良い。この場合、NWBPFは、いずれの実施の形態においても、図1に示す5個のNWBPFと、図10に示す5個のNWBPFの計10個を設けることになる。
本発明の実施の形態1における超音波探傷装置を示すブロック図である。 NWBPFの周波数特性の一例を示す特性図である。 同装置をマルチチャネル化する場合に送信探触子5及び受信探触子6を被検材13上に配置する際の一例を示す図である。 開口傷の深さh1と透過波の信号強度との関係の一例を示す図である。 同装置をマルチチャネル化し、NWBPFの比帯域幅(B/fc)を変化させた場合の実験結果の一例を示す図である。 同装置をマルチチャネル化し、NWBPFの比帯域幅(B/fc)を変化させた場合の実験結果の一例を示す図である。 中心周波数が6.0MHzであるNWBPFを用いた場合の被検材における開口傷の検出結果の一例を示す図である。 中心周波数が4.5MHzであるNWBPFを用いた場合の被検材における開口傷の検出結果の一例を示す図である。 ケーブル2及び3の長さを変化させた場合の透過信号の周波数特性の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2における超音波探傷装置を示すブロック図である。 非開口傷の深さh2と透過波の信号強度との関係の一例を示す図である。
符号の説明
1 送信部、2〜4 ケーブル、5,51〜5n 送信探触子、6,61〜6n 受信探触子、7 プリアンプ、8,9 選択スイッチ、101〜105 NWBPF、11 メインアンプ、12 評価部、13,24 被検材、14 開口傷、21 制御部、22 記憶部、23 表面粗さ計、25 非開口傷。

Claims (6)

  1. 所定パルス幅のパルス信号を発生する送信部と、
    前記パルス信号を超音波の表面波に変換して、被検材の表層部に透過させる送信探触子と、
    前記表層部を透過した超音波の表面波を透過信号に変換する受信探触子と、
    前記表層部に存在する傷の検出能に対応して中心周波数が設定されるとともに、前記傷の透過信号のマルチチャネルにおけるバラツキ及び前記被検材の健全面の前記透過信号のS/Nとが、前記傷とノイズとの識別が可能となる所定の値になるように、帯域幅を前記中心周波数で除算した比帯域幅が設定された複数の狭帯域バンドパスフィルタと、
    前記被検材の表面粗さに基づき、前記傷と前記ノイズとの識別が可能となるように、前記複数の狭帯域バンドパスフィルタのいずれかを選択して前記透過信号を供給する選択スイッチと、
    前記選択された狭帯域バンドパスフィルタから出力された前記透過信号について、前記被検材の健全面の前記透過信号の信号強度と、予め設定した前記傷のしきい値とに基づいて、前記傷の有無を判定する評価部と
    を備えていることを特徴とする超音波探傷装置。
  2. 所定パルス幅のパルス信号を発生する送信部と、
    前記パルス信号を超音波の表面波に変換して、被検材の表層部に透過させる送信探触子と、
    前記表層部を透過した超音波の表面波を透過信号に変換する受信探触子と、
    前記表層部に存在する傷の検出能に対応して中心周波数が設定されるとともに、前記傷の透過信号のマルチチャネルにおけるバラツキ及び前記被検材の健全面の前記透過信号のS/Nとが所定の値になるように、帯域幅を前記中心周波数で除算した比帯域幅が設定された複数の狭帯域バンドパスフィルタと、
    前記複数の狭帯域バンドパスフィルタのいずれかを選択して前記透過信号を供給する選択スイッチと、
    前記被検材の表面粗さを測定する表面粗さ計と、
    前記表面粗さと、前記表面粗さに対応して選択すべき前記狭帯域バンドパスフィルタとの組み合わせに関するフィルタ選択テーブルと、
    前記表面粗さ計の測定結果に基づいて前記フィルタ選択テーブルを参照して選択すべき前記狭帯域バンドパスフィルタを決定し、この決定に基づいて前記選択スイッチを切り換える制御部と、
    前記選択された狭帯域バンドパスフィルタから出力された前記透過信号について、前記被検材の健全面の前記透過信号の信号強度と、予め設定した前記傷のしきい値とに基づいて、前記傷の有無を判定する評価部と
    を備えていることを特徴とする超音波探傷装置。
  3. 前記送信部と前記送信探触子とを接続するケーブルの長さは、前記ケーブルの伝搬特性と前記狭帯域バンドパスフィルタの個数に対応して設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波探傷装置。
  4. 前記受信探触子から出力される前記透過信号を所定の増幅度で増幅して前記選択スイッチに供給するプリアンプを備え、前記受信探触子と前記プリアンプとを接続するケーブルの長さは、前記ケーブルの伝搬特性と前記狭帯域バンドパスフィルタの個数に対応して設定されることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の超音波探傷装置。
  5. コンピュータを請求項2乃至4のいずれかに記載の前記制御部として機能させるための超音波探傷プログラム。
  6. 被検材の表層部に存在する傷の検出能に対応して中心周波数が設定されるとともに、前記傷の透過信号のマルチチャネルにおけるバラツキ及び前記被検材の健全面の前記透過信号のS/Nとが前記傷とノイズとの識別が可能となる所定の値になるように、帯域幅を前記中心周波数で除算した比帯域幅が設定された複数の狭帯域バンドパスフィルタを備え、
    所定パルス幅のパルス状の超音波の表面波を前記被検材の表層部に透過させ、前記表層部を透過した超音波の表面波を透過信号に変換し、前記被検材の表面粗さ及び前記検出能に基づき、前記傷と前記ノイズとの識別が可能となるように、前記複数の狭帯域バンドパスフィルタの中からいずれかを選択して前記透過信号を通過させ、前記選択された狭帯域バンドパスフィルタから出力された前記透過信号について、前記被検材の健全面の前記透過信号の信号強度と、予め設定した前記傷のしきい値とに基づいて、前記傷の有無を判定することを特徴とする超音波探傷方法。
JP2003273986A 2003-07-14 2003-07-14 超音波探傷装置、超音波探傷プログラム及び超音波探傷方法 Expired - Fee Related JP4396169B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003273986A JP4396169B2 (ja) 2003-07-14 2003-07-14 超音波探傷装置、超音波探傷プログラム及び超音波探傷方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003273986A JP4396169B2 (ja) 2003-07-14 2003-07-14 超音波探傷装置、超音波探傷プログラム及び超音波探傷方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005037223A JP2005037223A (ja) 2005-02-10
JP4396169B2 true JP4396169B2 (ja) 2010-01-13

Family

ID=34211068

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003273986A Expired - Fee Related JP4396169B2 (ja) 2003-07-14 2003-07-14 超音波探傷装置、超音波探傷プログラム及び超音波探傷方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4396169B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6034259B2 (ja) * 2013-01-25 2016-11-30 日本電信電話株式会社 検査方法および検査装置
CN105810260B (zh) * 2014-12-30 2017-10-27 中核武汉核电运行技术股份有限公司 一种基于电子切换的多路超声信号复用器
KR101971350B1 (ko) * 2017-08-25 2019-04-22 남형수 가변 프로브 홀더와 이를 포함하는 초음파 검사 시스템의 신호 분석 방법
CN111830134A (zh) * 2020-07-15 2020-10-27 上海工程技术大学 一种超声无损检测系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005037223A (ja) 2005-02-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6317708B2 (ja) 超音波探傷システム、超音波探傷方法及び航空機構造体
CA2616900C (en) Method for error-free checking of tubes for surface faults
US20150000095A1 (en) Ultrasonic flaw detection method, ultrasonic flaw detection apparatus, and pipe manufacturing method
JP2011027754A (ja) 被検体の超音波無破壊試験のための回路装置
KR101251204B1 (ko) 초음파 비파괴 검사 장치 및 초음파 비파괴 검사 방법
Avanesians et al. Wave separation: Application for arrival time detection in ultrasonic signals
JP4396169B2 (ja) 超音波探傷装置、超音波探傷プログラム及び超音波探傷方法
CN103076392A (zh) 利用超声对大材料厚度的测试对象无损检查的方法和装置
US20110048134A1 (en) Ultrasonic diagnostic apparatus
US9081121B2 (en) Method for a mud cake thickness determination
JP6479478B2 (ja) 超音波探傷方法
JPH04323553A (ja) 超音波共振探傷方法および装置
KR101826917B1 (ko) 다중 채널 초음파를 이용한 장거리 배관 진단 방법
CN114397365B (zh) 一种超声波检测钢砼结构缺陷方法
JP5904154B2 (ja) 超音波探傷方法および超音波探傷装置
JP2001343365A (ja) 金属薄板の厚み共振スペクトル測定方法及び金属薄板の電磁超音波計測方法
JP3036387B2 (ja) 超音波探傷方法及び装置
RU2472143C1 (ru) Способ ультразвукового контроля
RU2472145C1 (ru) Устройство для акустико-эмиссионного контроля композиционных материалов
RU2191376C2 (ru) Способ измерения размеров дефектов при ультразвуковом контроле изделий
JPH07248317A (ja) 超音波探傷方法
JP2008111742A (ja) ホイール溶接部の非破壊検査方法及び装置
JP4552230B2 (ja) 超音波探傷方法及び装置
KR101550706B1 (ko) 초음파를 이용한 두께 측정 장치 및 이의 두께 측정 방법
JP2005233865A (ja) 構造部材の腐食判定方法および装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090414

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090612

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090929

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091012

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131030

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees