JP4394193B2

JP4394193B2 - Link chain

Info

Publication number: JP4394193B2
Application number: JP05141399A
Authority: JP
Inventors: 正博永江; 満六郎木
Original assignee: Daido Kogyo Co Ltd
Current assignee: Daido Kogyo Co Ltd
Priority date: 1999-02-26
Filing date: 1999-02-26
Publication date: 2010-01-06
Anticipated expiration: 2019-02-26
Also published as: JP2000249196A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイレントチェーン及びリーフチェーン等の複数のリンクプレートをピンにて連結したリンクチェーンに係り、特にエンジン内においてクランクシャフト及びカムシャフトを連動するタイミングチェーンに用いて好適であり、詳しくは特定の材質からなるリンクプレート及びピンを用いたリンクチェーンに関する。
【０００２】
【従来の技術】
近時、高速及び高荷重条件下で使用されるタイミングチェーンにサイレントチェーンが用いられている。
【０００３】
従来、タイミングチェーンとして用いられるサイレントチェーンは、例えばＣ；０．５［Ｗｔ％］の炭素鋼を焼入れ・焼戻し又は恒温変態処理等の熱処理をして硬度４００〜６００［Ｈｖ］程度（５５０Ｈｖ近辺）としたリンクプレートと、低炭素はだ焼鋼を浸炭焼入れにより表面硬化したピンとを組合せてなり、リンクプレートに穿孔されたピン孔にピンが嵌挿して屈曲しつつ、駆動側スプロケット及び従動側スプロケットに噛合して駆動している。
【０００４】
この際、上記リンクの屈曲によるピンとピン孔との摺接により、ピン及びピン孔に摩耗が発生し、チェーン伸びが大きくなってエンジンの長寿命要求に応えられない場合を生じる。なお一般に、上記チェーンの駆動に伴うピン及びピン孔の摩耗は、ピン：ピン孔（リンクプレート）≒７：３の割合で進行する。
【０００５】
このような状況から、例えば特公昭５７−６０４２２号公報に示すように、炭素鋼からなるピン素材にクロマイジング処理を施して、表面に非常に硬質のＣｒ炭化物層を１０〜２０［μｍ］程度形成したピンが採用され、これによりピンの摩耗を少なくしてチェーン全体の伸びを小さくすることが図られている。
【０００６】
図３は、前記浸炭焼入ピンと、上記Ｃｒ炭化物層を形成したピン（表面硬さ１３００［Ｈｖ］以上）を用いたチェーンを、所定の荷重で所定時間運転した状態のチェーンの伸び率を示す図（比較摩耗試験データ）である。これにより、Ｃｒ炭化物層を形成したピンを用いることにより大幅な伸びの低減、即ちチェーンの長寿命化が図られることがわかる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、エンジンの高回転化や長寿命の要求から、更にチェーンの伸びの低減が望まれている。上記Ｃｒ炭化物層を被覆したピンを組込んだチェーンにあっては、ピンの摩耗が減少する結果、ピン摩耗量：ピン孔（リンクプレート）≒１：９となり、上記更なるチェーンの伸びの対策としては、リンクプレートのピン孔の摩耗量にも注目する必要がある。
【０００８】
リンクプレートのピン孔の摩耗による伸びを低減する対策として、リンクプレートに浸炭を施して焼入れすることが考えられる。このものは（浸炭焼入プレート）は、図４に示すように、炭素鋼通常熱処理プレートに比してチェーンの伸び率の向上が見られるが、図５に示すように、該浸炭焼入プレート、例えば表面から０．２［ｍｍ］（板厚の１７［％］）浸炭したプレートは、靭性が低下することに基づき、浸炭を施さない標準プレートに対して引張り強度（破断荷重）が著しく低下する。
【０００９】
更に、リンクプレートの引張り強度を維持すること、並びにチェーンと噛合するスプロケットの歯面及びチェーンに摺接するチェーンガイド、ダンパー等が早期に摩耗することを防ぐことも望まれている。
【００１０】
そこで、本発明は、ピン及びリンクプレートの硬度の絶対値及び両者の差を考慮して、ピンに対応したリンクプレートの材質を選定することにより、上記課題を解決したリンクチェーンを提供することを目的とするものである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
請求項１に係る本発明は、多数のリンクプレート（２）をピン（３）にて連結したリンクチェーンにおいて（図１、図２参照）、
前記ピンが、その表面に、クロム（Ｃｒ）、バナジウム（Ｖ）、ニオブ（Ｎｂ）、チタン（Ｔｉ）、ジルコニウム（Ｚｒ）、タンタル（Ｔａ）、モリブデン（Ｍｏ）、タングステン（Ｗ）の少なくとも１種類の、拡散浸透法により形成されるビッカース硬度が１３００［Ｈｖ］以上の金属炭化物層を５［μｍ］以上被覆してなり、
前記リンクプレートが、炭素を０．３０〜０．５５［重量％］の範囲で含有する炭素鋼又は合金鋼を素材として、その表面から板厚の２５［％］以下の深さで窒化層を形成して、その表面のビッカース硬度を５００〜７００［Ｈｖ］の範囲に調整してなる、
リンクチェーンにある。
【００１２】
また、前記リンクプレートの芯部のビッカース硬度が、４００〜６５０［Ｈｖ］の範囲からなる。
【００１５】
請求項２に係る本発明は、多数のリンクプレートをピンにて連結したリンクチェーンにおいて、
前記ピンが、その表面に、クロム、バナジウム、ニオブ、チタン、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、タングステンの少なくとも１種類の、拡散浸透法により形成されるビッカース硬度が１３００［Ｈｖ］以上の金属炭化物層を５［μｍ］以上被覆してなり、
前記リンクプレートが、炭素を０．３０〜０．６０［重量％］の範囲で、かつクロム、バナジウム、ニオブ、チタン、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、タングステンの少なくとも１種類の元素を含有した合金鋼を素材として、熱処理により前記少なくとも１種類の元素よりなる微細な金属炭化物を略々均一に残留させて、該リンクプレート全体でロックウェル硬度が５２〜５７［ＨＲＣ］の範囲からなる、
リンクチェーンにある。
【００１６】
なお、上記リンクチェーンは、サイレントチェーンに適用して好適であるが、これに限らず、吊下用・引張り用等に用いられるリーフチェーン、木材加工用のブレードチェーン等の、他のリンクプレートとピンとの組合せによるチェーンにも適用可能である。
【００１７】
【発明の効果】
請求項１に係る本発明によると、リンクプレート表面を窒化処理により硬度を向上したので、金属炭化物層を有して硬度の高いピンに対しても、ピン孔の摩耗を増加することなく、チェーン伸びを低減できると共に、窒化深度は浅く、脆性による引張り強度の低下に対する影響はなく、チェーンの破断強度を保持することができ、また本リンクプレートによる硬さ程度では、それと摺接するスプロケット歯面、チェーンガイド等の摩耗に対しての影響は少なく、伸びの少ない実用的なリンクチェーンを得ることができる。
【００１８】
また、リンクプレート芯部が高い靭性を有しており、表面が窒化により硬化されているにも拘らず、充分な引張り強度を保持することができる。
【００２１】
請求項２に係る本発明によると、リンクプレート全体に亘って、高い硬度を有する微細な金属炭化物を略々均一に残留して、表面に硬度の高い金属炭化物層を被覆したピンと組合せても、ピン孔を早期に摩耗することを防止して、チェーン伸びの低減化を図ることができ、かつリンクプレート全体としての硬度はそれ程高くなく、引張り強度を保持できると共に、スプロケット歯面等の摺接する部材の摩耗も所定レベルに抑えることができ、実用性の高いリンクチェーンを得ることができる。
【００２２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をサイレントチェーンに適用した実施の形態について説明する。図１は、サイレントチェーンの正面図、図２は、同平面図である。
【００２３】
サイレントチェーン１は、内側に２個の歯２ａ，２ａを有する多数のリンクプレート２をピン３により交互に連結して無端状に構成されている。各列のリンクプレート２は、偶数枚及び奇数枚からなり、図示の実施例にあって２枚のリンクプレートからなるリンク列と３枚のリンクプレートからなるリンク列とからなり、少ない枚数のリンク列の両側には、上記歯２ａを有さないガイドリンクプレート４がピン３によりカシメられて連結されている。従って、ガイドリンクプレート４を有するガイドリンク列１₁ とガイドリンクプレートを有さないノンガイドリンク列１₂ とがピン３によりチェーン長手方向に交互に連結されてなる。
【００２４】
上記サイレントチェーン１は、上記リンクプレート２の歯２ａがスプロケットと噛合することにより動力伝達が行なわれる。各リンク列１₁ ，１₂ は、スプロケットに噛合する際及び噛合から外れる際、屈曲してリンクプレート２のピン孔５とピン３とが相対回転する。特に、エンジンのタイミングチェーンとして用いられる場合、比較的大きな張力が作用しかつ高温に晒されている環境下にあって、上記リンクプレートのピン孔５とピン３との相対回転が、ピン及びピン孔の摩耗となって、チェーン伸びの原因となっている。
【００２５】
前記ピンは、Ｃｒ，Ｖ，Ｎｂ，Ｔｉ，Ｚｒ，Ｔａ，Ｍｏ，Ｗの少なくとも１種類の硬度１３００［Ｈ_P ］以上の金属炭化物層を、拡散浸透法によりピン表面の少なくとも５［μｍ］以上被覆して形成されている。
【００２６】
〔実施例１〕窒化処理したリンクプレート
材質がＳＣＭ４３５（クロムモリブデン合金鋼）で板厚が１．２［ｍｍ］のリンクプレート素材に、シアン酸塩（ＫＣＮＯ）を主成分とする塩浴中に浸して、空気を送り込みながら比較的低温下で窒化する、いわゆるタフトライト処理（軟窒化処理）を５８０［℃］で約１０分間行う。このようにして作られたリンクプレートは、表面硬さ・断面硬さは、図６の窒化処理プレートに示す通りである。即ち、窒化層（拡散層）が表面から約０．２［ｍｍ］あり、板厚（１．２ｍｍ）の約１７［％］に相当する。なお、材質ＳＣＭ４３５の成分は、Ｃ；０．３５［％］、Ｓｉ；０．２７［％］、Ｍｎ；０．６５［％］、Ｃｒ；１．１２［％］、Ｍｏ；０．１８［％］、残余は鉄及び不純物からなる。
【００２７】
そして、図７は、窒化層の深さを変えたリンクプレートの引張り強度を試験した結果であり、該図７から明らかなように、窒化層が約０．２５［ｍｍ］までは、窒化処理しないリンクプレートと略々同じ強度（破断強度）を有し、かつ窒化層が０．２５［ｍｍ］、即ち板厚の２１［％］を越えると、脆くなり、窒化層の増加に略々比例して破断強度が低下する。従って、窒化層が０．３０［ｍｍ］（板厚の２５［％］）以下、好ましくは０．２０［ｍｍ］（板厚の１７［％］）以下であることが、リンクプレートの強度上望ましい。
【００２８】
また、前記表面にＣｒ等の炭化物層を被覆したピンと、上記窒化処理プレートの組合せによるサイレントチェーンは、図４に示すように、従来の炭素鋼通常熱処理したプレート及び浸炭焼入れしたプレートよりもチェーンの伸び率が減少し、上記炭素鋼通常熱処理プレートに比して約３０［％］の伸び率の低減が確認された。更に、本窒化処理プレートは、表面硬度が約６００［Ｈｖ］であり、この程度の表面硬度では、図８に示すように高周波焼入れ又は浸炭焼入れしたスプロケットの歯面に対して従来のプレート（炭素鋼通常熱処理プレート及び浸炭プレート）より摩耗を増加する等の影響を与えることはなく、かつリンクプレート自体の歯面（クロッチ面ａ、フランク面ｂ；図１参照）の摩耗が軽減されることが確認された。
【００２９】
上記窒化処理プレートは、Ｃ；０．３０〜０．５０［Ｗｔ％］の範囲で含有する炭素鋼又は合金鋼を素材として適用可能であり、かつその表面から板厚の２５［％］以下の深さで窒化層が形成され、その表面硬さが５００〜７００［Ｈｖ］の範囲に調整されればよい。
【００３０】
また、該窒化処理プレートは、芯部硬さが４００〜６５０［Ｈｖ］の範囲にあって、脆性による引張り強度の低下が少ないものが好ましい。
【００３１】
〔参考例２〕炭化物層を被覆したリンクプレートを、以下参考例として説明する。なお、該参考例を便宜上実施例と表記する。
材質がＳＣＭ４３５で板厚が１．２［ｍｍ］のリンクプレート素材を、浸炭処理して表面の炭素濃度を増加した後、金属クロム粉末及び活性剤としての塩化アンモニウム（ＮＨ_４Ｃｌ）、焼付防止剤としてアルミナ（Ａｌ_２Ｏ_３）等を一緒にして密閉容器内に詰め、電気炉に入れて昇温・保持し、Ｃｒをリンクプレート表面に拡散浸透させる、いわゆるクロマイジング処理を施す。これにより、リンクプレートの表面には、ＣｒとＦｅの固溶体からなる固溶体中にＣｒとＣとの化合物であるＣｒ炭化物が多数点在するＣｒ炭化物層が形成された。
【００３２】
そして、該表面にＣｒ炭化物層を有するリンクプレートは、引張り強度を上げるため、約８５０［℃］により焼入れしかつ約２３０［℃］にて焼戻しをした後、表面及びピン孔が研磨される。これにより、該リンクプレートは、基部がマルテンサイトからなり、充分な強度を保持しつつ、表面から約５［μｍ］に亘って形成されたＣｒ炭化物層の表面粗さが改善される。
【００３３】
該表面にＣｒ炭化物層が被覆されたリンクプレートと前記ピンとの組合せによるサイレントチェーンは、図４に示すように、従来のチェーンに対して約６０［％］の伸び率の低減が確認された。
【００３４】
該リンクプレートは、表面に、硬度１３５０［Ｈｖ］からなる極めて硬いＣｒ炭化物層が被覆されているため、図８に示すように、スプロケット歯面の摩耗を増大してしまう。同様な理由で、ゴム、プラスチック又は金属からなるチェーンガイド、チェーンテンショナ、ダンパー等のチェーンと摺接する部材（チェーン振動防止部材）の摩耗を促進させてしまう。
【００３５】
このため、スプロケット歯と接触するリンクプレートのクロッチ面ａ又はフランク面ｂ（歯面）（図１参照）、及び上記チェーンガイド等に摺接するリンクプレートの背面ｄ（図１参照）を研削して、Ｃｒ炭化物層を除去する。更に、角を丸めるため、該リンクプレートは再度研磨される。
【００３６】
このようにして作られたリンクプレート（噛合い面炭化物層除去あり）は、図８に示すように、スプロケット歯面の摩耗量を、従来のプレートと略々同等の問題のないレベルに低減し得た。該リンクプレートは、歯面（クロッチ面ａ又はフランク面ｂ）及び背面ｄを研磨してＣｒ炭化物層を除去したが、プレートの側面は、そのままＣｒ炭化物層が被覆されているため、リンクプレート同士の摺接に対しては、ピンとピン孔の摺接と同様に、極めて摩耗の少ない構造になっており、かつ凝着摩耗に対しても優れた特性を有する。
【００３７】
なお、上記実施例は、金属炭化物層としてＣｒ炭化物を用いたが、上記クロマイジングの代りに、チタンナイジング（Ｔｉ）等の他の金属拡散浸透処理を施すことにより、Ｖ，Ｎｂ，Ｔｉ，Ｚｎ，Ｔａ，Ｍｏ又はＷの金属炭化物層を被覆してもよく、またリンクプレート母材からの金属の滲出により複数の金属炭化物を散在させてもよく、更にＣｒ−Ｎｉ、Ｃｒ−Ｍｏ等の複合金属炭化物でもよい。
【００３８】
上記金属炭化物層被覆リンクプレートは、Ｃを０．３０〜０．５５［Ｗｔ％］の範囲で含有する炭素鋼又は合金鋼を素材として適用可能であり、かつその表面に、Ｃｒ，Ｖ，Ｎｂ，Ｔｉ，Ｚｒ，Ｔａ，Ｍｏ，Ｗの少なくとも１種類の硬度が１３００［Ｈｖ］以上の金属炭化物層を５［μｍ］以上の厚さに拡散浸透法により被覆すればよい。
【００３９】
〔実施例３〕炭化物を含有したリンクプレート
材質がＣ；０．５２［％］、Ｃｒ；１．００［％］Ｖ；０．２０［％］を主要成分とする合金鋼からなるリンクプレート素材を、約８６０［℃］で焼入れ後、約２３０［℃］焼戻しして、硬度５４［ＨＲＣ］（５８０［Ｈｖ］換算）に調整した後、研磨して構成される。該リンクプレートは、表面に限らず、その内部に亘って極めて硬い微細なＣｒ炭化物が略々均一に点在されて、リンクプレート全体で約５４［ＨＲＣ］の上記硬度が保持される。
【００４０】
上記Ｃｒ炭化物を含有したリンクプレートと従来の浸炭焼き入れピンとを組合せたサイレントチェーンは、図３に示すように、炭素鋼通常熱処理プレートと浸炭焼入れピンとの組合せからなる従来のサイレントチェーンよりも伸び率が高くなってしまうが、本実施例によるＣｒ炭化物含有リンクプレートとＣｒ炭化物層被覆ピンとの組合せによると、図４に示すように、従来のチェーンに対して約４０［％］の伸び率の低減が図られる。これは、プレート母材内部、従ってピン孔周囲にも、硬度１３００［Ｈｖ］を越える非常に硬いＣｒ炭化物が豊富に内在しているため、浸炭焼入れピンではピンが摩耗してチェーン伸びを促進するが、ピン自体を表面が非常に硬いＣｒ炭化物層にて構成すると、ピンの摩耗が低減されると共にリンクプレートのピン孔の摩耗も低減されることによる。
【００４１】
また、本実施例によるＣｒ炭化物含有プレートは、その表面全体ではそれ程硬度が高くなく、従って図８に示すように、スプロケットの歯面摩耗量に対して、従来の通常熱処理プレートを使用したチェーンに比して僅かに増加するが、実用上問題のないレベルに保っている。また、リンクプレート全体は、硬度がそれ程高くなく、従って靭性の低下による引張り強度の低下を防止し得る。
【００４２】
上記金属炭化物含有リンクプレートは、Ｃ；０．３０〜０．６０［Ｗｔ％］の範囲で、かつＣｒ，Ｖ，Ｎｂ，Ｔｉ，Ｚｒ，Ｔａ，Ｍｏ，Ｗの少なくとも１種類の元素を含有した合金鋼を素材として適用可能であり、焼入れ・焼戻し又は恒温変態処理等の適当な熱処理により、硬度が１３００［Ｈｖ］を超える非常に硬く微細な金属炭化物を略々均等に残留させて、プレート全体の硬さを５２〜５７［ＨＲＣ］の範囲に調整すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を適用し得るサイレントチェーンを示す正面図。
【図２】その平面図。
【図３】各ピンとリンクプレートによるチェーン伸び試験の結果を示す図。
【図４】Ｃｒ炭化物層形成ピンを組込んだ各リンクプレートによるチェーン伸び試験の結果を示す図。
【図５】標準リンクプレートと浸炭リンクプレートの引張り強度の比較を示す図。
【図６】各リンクプレートの表面からの距離によるビッカース硬さを示す図。
【図７】窒化層深さによるチェーンの引張り強度を示す図。
【図８】各リンクプレートによるスプロケットの歯面の摩耗量を示す図。
【符号の説明】
１リンク（サイレント）チェーン
２リンクプレート
３ピン
５ピン孔[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a link chain in which a plurality of link plates such as a silent chain and a leaf chain are connected by pins, and is particularly suitable for use in a timing chain that interlocks a crankshaft and a camshaft in an engine. The present invention relates to a link chain using a link plate and pins made of the above materials.
[0002]
[Prior art]
Recently, silent chains are used for timing chains used under high speed and high load conditions.
[0003]
Conventionally, a silent chain used as a timing chain has a hardness of about 400 to 600 [Hv] (for example, around 550 Hv) by heat-treating, for example, C; 0.5 [Wt%] carbon steel by quenching / tempering or isothermal transformation treatment. The link plate and the pin hardened by carburizing and quenching low carbon hardened steel are combined, and the drive side sprocket and the driven side sprocket are inserted into the pin hole drilled in the link plate and bent. Is engaged and driven.
[0004]
At this time, due to sliding contact between the pin and the pin hole due to the bending of the link, the pin and the pin hole may be worn, and the chain may be stretched so that the long life requirement of the engine cannot be met. In general, the wear of pins and pin holes accompanying the driving of the chain proceeds at a ratio of pin: pin hole (link plate) ≈7: 3.
[0005]
From such a situation, for example, as shown in Japanese Patent Publication No. 57-60422, a pin material made of carbon steel is subjected to chromizing treatment to form a very hard Cr carbide layer on the surface of about 10 to 20 [μm]. The formed pins are employed, thereby reducing pin wear and reducing the overall chain elongation.
[0006]
FIG. 3 shows the elongation rate of a chain in which a chain using the carburized and hardened pin and a pin (surface hardness of 1300 [Hv] or more) on which the Cr carbide layer is formed is operated for a predetermined time with a predetermined load. It is a figure (comparison abrasion test data). As a result, it can be seen that by using the pin formed with the Cr carbide layer, the elongation can be greatly reduced, that is, the life of the chain can be extended.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in recent years, it has been desired to further reduce the elongation of the chain because of the demand for higher engine rotation and longer life. In a chain incorporating a pin coated with the above-mentioned Cr carbide layer, as a result of reducing pin wear, the pin wear amount: pin hole (link plate) ≈1: 9, and further measures against chain elongation. Therefore, it is necessary to pay attention to the wear amount of the pin hole of the link plate.
[0008]
As a measure for reducing the elongation due to wear of the pin holes of the link plate, it is conceivable to carburize and harden the link plate. As shown in FIG. 4, the carburizing and quenching plate is improved in chain elongation as compared with the carbon steel normal heat treatment plate. However, as shown in FIG. For example, a plate carburized 0.2 mm from the surface (17% of the plate thickness) has a significantly reduced tensile strength (breaking load) compared to a standard plate that is not carburized based on a decrease in toughness. To do.
[0009]
Furthermore, it is also desired to maintain the tensile strength of the link plate and to prevent the tooth surface of the sprocket meshing with the chain and the chain guide, damper, etc. that are in sliding contact with the chain from wearing out early.
[0010]
Therefore, the present invention provides a link chain that solves the above problems by selecting the material of the link plate corresponding to the pin in consideration of the absolute value of the hardness of the pin and the link plate and the difference between the two. It is the purpose.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
The present invention according to claim 1 is a link chain in which a large number of link plates (2) are connected by pins (3) (see FIGS. 1 and 2).
The pin has at least one of chromium (Cr), vanadium (V), niobium (Nb), titanium (Ti), zirconium (Zr), tantalum (Ta), molybdenum (Mo), and tungsten (W) on the surface thereof. A metal carbide layer having a Vickers hardness of 1300 [Hv] or more formed by a diffusion permeation method is coated over 5 [μm],
The link plate is made of carbon steel or alloy steel containing carbon in the range of 0.30 to 0.55 [wt%], and a nitride layer is formed at a depth of 25 [%] or less of the plate thickness from the surface. Formed, and the Vickers hardness of the surface is adjusted to a range of 500 to 700 [Hv],
In the link chain.
[0012]
Moreover, the Vickers hardness of the core part of the said link plate consists of the range of 400-650 [Hv] .
[0015]
The present invention according to claim 2 is a link chain in which a number of link plates are connected by pins,
On the surface of the pin, at least one kind of chromium, vanadium, niobium, titanium, zirconium, tantalum, molybdenum, tungsten is formed of a metal carbide layer having a Vickers hardness of 1300 [Hv] or more formed by a diffusion penetration method. [Μm] or more coating,
An alloy steel in which the link plate contains carbon in a range of 0.30 to 0.60 [wt%] and contains at least one element of chromium, vanadium, niobium, titanium, zirconium, tantalum, molybdenum, and tungsten. As a material, the fine metal carbide made of the at least one element is substantially uniformly left by heat treatment, and the Rockwell hardness of the entire link plate is in the range of 52 to 57 [HRC].
In the link chain.
[0016]
The link chain is suitable for application to a silent chain, but is not limited to this, and other link plates such as a leaf chain used for hanging and pulling, a blade chain for wood processing, etc. It can also be applied to chains in combination with pins.
[0017]
【The invention's effect】
According to the first aspect of the present invention, since the hardness of the link plate surface is improved by nitriding treatment, even for a pin having a metal carbide layer and a high hardness, the chain does not increase wear of the pin hole. Elongation can be reduced, the nitriding depth is shallow, there is no influence on the decrease in tensile strength due to brittleness, the breaking strength of the chain can be maintained, and the hardness of this link plate makes the sprocket tooth surface in sliding contact with it, There is little influence on the wear of the chain guide and the like, and a practical link chain with little elongation can be obtained.
[0018]
Further, the link plate core portion has high toughness and can maintain a sufficient tensile strength despite the fact that the surface is hardened by nitriding.
[0021]
According to the second aspect of the present invention, even when combined with a pin having a highly hard metal carbide layer on its surface, a fine metal carbide having a high hardness remains substantially uniformly throughout the link plate. The pin hole can be prevented from wearing out early and chain elongation can be reduced, and the overall link plate hardness is not so high, and the tensile strength can be maintained, and the sprocket tooth surface and the like can be in sliding contact. The wear of the member can also be suppressed to a predetermined level, and a highly practical link chain can be obtained.
[0022]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments in which the present invention is applied to a silent chain will be described. FIG. 1 is a front view of the silent chain, and FIG. 2 is a plan view thereof.
[0023]
The silent chain 1 is configured in an endless manner by connecting a large number of link plates 2 having two teeth 2a, 2a on the inside alternately by pins 3. The link plates 2 in each row are composed of an even number and an odd number. In the illustrated embodiment, the link plate 2 is composed of a link row composed of two link plates and a link row composed of three link plates. On both sides of the row, guide link plates 4 that do not have the teeth 2a are crimped by pins 3 and connected. Therefore, the non-guide link row 1 ₂ having no guide link rows 1 ₁ and guide link plates having a guide link plate 4 is formed by alternately connected to the chain longitudinal direction by the pin 3.
[0024]
The silent chain 1 transmits power when the teeth 2a of the link plate 2 mesh with the sprocket. Each link row 1 _1, 1 _2, when departing from the time and meshing meshing with the sprocket, the pin hole 5 and the pin 3 of the link plate 2 is bent to rotate relative to each other. In particular, when used as a timing chain of an engine, the relative rotation between the pin hole 5 and the pin 3 of the link plate is caused by the relative rotation between the pin hole 5 and the pin 3 in an environment where a relatively large tension acts and is exposed to a high temperature. Hole wear causes chain elongation.
[0025]
The pin is made of a metal carbide layer having a hardness of 1300 [H _P ] or higher of at least one of Cr, V, Nb, Ti, Zr, Ta, Mo, and W, and at least 5 [μm] or more on the surface of the pin by a diffusion penetration method. It is formed by coating.
[0026]
[Example 1] A link plate material having a nitrided link plate material of SCM435 (chromium molybdenum alloy steel) and a plate thickness of 1.2 mm is placed in a salt bath containing cyanate (KCNO) as a main component. A so-called tuftlite treatment (soft nitriding treatment) is carried out at 580 [° C.] for about 10 minutes by dipping and nitriding at a relatively low temperature while feeding air. The link plate thus produced has the surface hardness and the cross-sectional hardness as shown in the nitriding plate in FIG. That is, the nitride layer (diffusion layer) is about 0.2 [mm] from the surface, which corresponds to about 17 [%] of the plate thickness (1.2 mm). The components of the material SCM435 are C: 0.35 [%], Si: 0.27 [%], Mn: 0.65 [%], Cr: 1.12 [%], Mo; 0.18 [ %], And the balance consists of iron and impurities.
[0027]
FIG. 7 shows the result of testing the tensile strength of the link plate with the nitride layer depth changed. As is apparent from FIG. 7, the nitride layer is subjected to nitriding treatment up to about 0.25 [mm]. It has almost the same strength (breaking strength) as the non-link plate, and when the nitrided layer exceeds 0.25 [mm], that is, 21 [%] of the plate thickness, it becomes brittle and is approximately proportional to the increase in nitrided layer. As a result, the breaking strength decreases. Therefore, the nitride layer should be 0.30 [mm] (25 [%] of the plate thickness) or less, preferably 0.20 [mm] (17 [%] of the plate thickness) or less in view of the strength of the link plate. desirable.
[0028]
In addition, the silent chain by the combination of the pin whose surface is coated with a carbide layer such as Cr and the above-mentioned nitriding plate, the chain of the chain is more than the conventional carbon steel heat-treated plate and carburized and quenched plate as shown in FIG. The elongation rate decreased, and a reduction in elongation rate of about 30 [%] was confirmed compared to the carbon steel normal heat treatment plate. Further, this nitriding plate has a surface hardness of about 600 [Hv], and at this level of surface hardness, as shown in FIG. 8, a conventional plate (carbon) is used against the tooth surface of the induction-hardened or carburized-hardened sprocket. It does not have an effect of increasing wear compared to steel normal heat-treated plates and carburized plates), and the wear on the tooth surfaces (crotch surface a, flank surface b; see FIG. 1) of the link plate itself can be reduced. confirmed.
[0029]
The nitriding plate can be applied as a carbon steel or alloy steel containing C in a range of 0.30 to 0.50 [Wt%] and has a thickness of 25 [%] or less from the surface. A nitride layer may be formed at a depth, and the surface hardness may be adjusted to a range of 500 to 700 [Hv].
[0030]
In addition, the nitriding plate preferably has a core hardness in the range of 400 to 650 [Hv] and a small decrease in tensile strength due to brittleness.
[0031]
[ Reference Example 2] A link plate coated with a carbide layer will be described below as a reference example. The reference example is referred to as an example for convenience.
After carburizing a SCM435 material with a plate thickness of 1.2 [mm] to increase the surface carbon concentration, metallic chromium powder and ammonium chloride (NH ₄ Cl) as activator, seizure prevention Alumina (Al ₂ O ₃ ) or the like is packed together in an airtight container as an agent, placed in an electric furnace, heated and held, and subjected to a so-called chromizing treatment in which Cr diffuses and penetrates the surface of the link plate. As a result, a Cr carbide layer in which a large number of Cr carbides, which are compounds of Cr and C, are scattered in a solid solution composed of a solid solution of Cr and Fe is formed on the surface of the link plate.
[0032]
The link plate having the Cr carbide layer on the surface is quenched at about 850 [° C.] and tempered at about 230 [° C.] to increase the tensile strength, and then the surface and pin holes are polished. As a result, the surface of the Cr carbide layer formed from the surface of the link plate to about 5 [μm] is improved while the base portion is made of martensite and maintains sufficient strength.
[0033]
As shown in FIG. 4, in the silent chain formed by combining the link plate having the Cr carbide layer coated on the surface and the pin, it was confirmed that the elongation rate was reduced by about 60% compared to the conventional chain.
[0034]
Since the surface of the link plate is coated with a very hard Cr carbide layer having a hardness of 1350 [Hv], wear of the sprocket tooth surface increases as shown in FIG. For the same reason, wear of a member (chain vibration preventing member) that is in sliding contact with the chain, such as a chain guide, a chain tensioner, or a damper made of rubber, plastic, or metal, is promoted.
[0035]
For this reason, the crotch surface a or flank surface b (tooth surface) (see FIG. 1) of the link plate that comes into contact with the sprocket teeth and the back surface d (see FIG. 1) of the link plate that comes into sliding contact with the chain guide or the like are ground. Remove the Cr carbide layer. Furthermore, the link plate is polished again to round off the corners.
[0036]
As shown in FIG. 8, the link plate made in this way (with the meshing surface carbide layer removed) reduces the amount of wear on the sprocket tooth surface to a level that is almost equivalent to that of conventional plates. Obtained. In the link plate, the tooth surface (the crotch surface a or the flank surface b) and the back surface d were polished to remove the Cr carbide layer, but the side surfaces of the plate were directly covered with the Cr carbide layer. As with the sliding contact between the pin and the pin hole, it has a structure with very little wear and has excellent characteristics against adhesive wear.
[0037]
In addition, although the said Example used Cr carbide | carbonized_material as a metal carbide layer, V, Nb, Ti, etc. can be performed by giving other metal spreading | diffusion permeation processes, such as titanium nizing (Ti), instead of the said chromizing. A metal carbide layer of Zn, Ta, Mo, or W may be coated, and a plurality of metal carbides may be scattered by leaching of metal from the link plate base material. Further, Cr—Ni, Cr—Mo, etc. A composite metal carbide may be used.
[0038]
The metal carbide layer-covered link plate can be applied with carbon steel or alloy steel containing C in the range of 0.30 to 0.55 [Wt%] as a material, and Cr, V, Nb on the surface thereof. , Ti, Zr, Ta, Mo, W may be coated with a metal carbide layer having a hardness of 1300 [Hv] or more to a thickness of 5 [μm] or more by a diffusion penetration method.
[0039]
[Example 3] A link plate material made of an alloy steel whose main component is C; 0.52 [%], Cr; 1.00 [%] V; 0.20 [%] containing carbide. After quenching at about 860 [° C.], tempering at about 230 [° C.] and adjusting to a hardness of 54 [HRC] (converted to 580 [Hv]), and then polishing. The link plate is not limited to the surface, and extremely hard fine Cr carbide is scattered almost uniformly throughout the inside of the link plate, so that the entire hardness of the link plate is maintained at about 54 [HRC].
[0040]
As shown in FIG. 3, the silent chain combining the link plate containing Cr carbide and the conventional carburizing and quenching pin has a higher elongation than the conventional silent chain consisting of a combination of a carbon steel normal heat treatment plate and a carburizing and quenching pin. However, according to the combination of the Cr carbide-containing link plate and the Cr carbide layer covering pin according to the present embodiment, as shown in FIG. 4, the elongation rate is reduced by about 40 [%] with respect to the conventional chain. Is planned. This is because abundantly very hard Cr carbide exceeding hardness 1300 [Hv] is also present inside the plate base material, and therefore around the pin hole, so that the carburized and quenched pin promotes chain elongation due to wear of the pin. However, if the pin itself is formed of a Cr carbide layer having a very hard surface, the wear of the pin is reduced and the wear of the pin hole of the link plate is also reduced.
[0041]
Further, the Cr carbide-containing plate according to the present example is not so hard on the entire surface, and therefore, as shown in FIG. Although it increases slightly, it is kept at a level where there is no practical problem. Further, the entire link plate is not so high in hardness, and therefore it is possible to prevent a decrease in tensile strength due to a decrease in toughness.
[0042]
The metal carbide-containing link plate contains at least one element of Cr, V, Nb, Ti, Zr, Ta, Mo, and W in a range of C; 0.30 to 0.60 [Wt%]. Alloy steel can be used as a raw material, and by the appropriate heat treatment such as quenching / tempering or isothermal transformation treatment, very hard and fine metal carbide exceeding 1300 [Hv] remains almost evenly, and the whole plate May be adjusted to a range of 52 to 57 [HRC].
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a front view showing a silent chain to which the present invention can be applied.
FIG. 2 is a plan view thereof.
FIG. 3 is a diagram showing a result of a chain elongation test using each pin and a link plate.
FIG. 4 is a view showing a result of a chain elongation test using each link plate incorporating a Cr carbide layer forming pin.
FIG. 5 is a diagram showing a comparison of tensile strength between a standard link plate and a carburized link plate.
FIG. 6 is a diagram showing Vickers hardness according to the distance from the surface of each link plate.
FIG. 7 is a diagram showing the tensile strength of a chain according to the nitrided layer depth.
FIG. 8 is a diagram showing the amount of wear on the tooth surface of a sprocket by each link plate.
[Explanation of symbols]
1 Link (silent) chain 2 Link plate 3 Pin 5 Pin hole

Claims

In a link chain that connects many link plates with pins,
On the surface of the pin, at least one kind of chromium, vanadium, niobium, titanium, zirconium, tantalum, molybdenum, tungsten is formed of a metal carbide layer having a Vickers hardness of 1300 [Hv] or more formed by a diffusion penetration method. [Μm] or more coating,
The link plate is made of carbon steel or alloy steel containing carbon in the range of 0.30 to 0.55 [wt%], and the Vickers hardness of the core portion of the link plate is 400 to 650 [Hv]. The nitride layer is formed at a depth of 25% or less of the plate thickness from the surface of the link plate, and the Vickers hardness of the surface is adjusted to the range of 500 to 700 [Hv]. Become
Link chain.

In a link chain that connects many link plates with pins,
On the surface of the pin, at least one kind of chromium, vanadium, niobium, titanium, zirconium, tantalum, molybdenum, tungsten is formed of a metal carbide layer having a Vickers hardness of 1300 [Hv] or more formed by a diffusion penetration method. [Μm] or more coating,
An alloy steel in which the link plate contains carbon in a range of 0.30 to 0.60 [wt%] and contains at least one element of chromium, vanadium, niobium, titanium, zirconium, tantalum, molybdenum, and tungsten. As a material, the fine metal carbide made of the at least one element is substantially uniformly left by heat treatment, and the Rockwell hardness of the entire link plate is in the range of 52 to 57 [HRC].
Link chain.