JP4393381B2 - インターフェロンの効果予測方法 - Google Patents

インターフェロンの効果予測方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4393381B2
JP4393381B2 JP2004519218A JP2004519218A JP4393381B2 JP 4393381 B2 JP4393381 B2 JP 4393381B2 JP 2004519218 A JP2004519218 A JP 2004519218A JP 2004519218 A JP2004519218 A JP 2004519218A JP 4393381 B2 JP4393381 B2 JP 4393381B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
interferon
cancer
gene
expression level
cox
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004519218A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2004005549A1 (ja
Inventor
嘉明 柳井
重人 山本
康三 山本
宏 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Original Assignee
Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK filed Critical Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Publication of JPWO2004005549A1 publication Critical patent/JPWO2004005549A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4393381B2 publication Critical patent/JP4393381B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • C12Q1/6886Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/158Expression markers

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、癌又はウイルス病治療において、生理活性物質又は抗癌剤、とりわけ、インターフェロンによる治療効果を予測する方法に関するものである。
インターフェロンは、抗ウイルス活性や腫瘍細胞増殖抑制活性を有することから、C型肝炎などのウイルス性の疾患や、腎臓癌などの癌の治療に有効であり、有力な治療方法として医療現場において利用されている。しかしながら、インターフェロンを用いた治療方法は、一部の患者に対しては満足のいく効果が発揮されないという事例が数多く報告されており、必ずしも、医療費や副作用の観点から有利な治療方法となるとは限らない。
一方、ヒトの全遺伝子解析を初めとする全世界的プロジェクトの結果としての遺伝学の発展により、DNAマイクロアレイ法などの遺伝子検索ツールの開発が急ピッチで進んでいる。エイチ・アブラタニ著、実験医学、増刊号、第19巻、第19号(2001年)、2518乃至2524頁には、DNAマイクロアレイ法を用いた遺伝子の発現プロファイルの解析により、癌の診断において治療対象の癌の特性を正確に評価する試み、また、ケー・チバ等著、実験医学、増刊号、第19巻、第19号(2001年)、2507乃至2512頁には、抗癌剤などの薬剤の効果の個人差を予測する試み、いわゆる薬理ゲノミクスが提案されている。これらの試みは、癌などの疾病の診断や治療において、試行錯誤的な治療を実施することなく、最初の治療から効果的な治療方法を選択することを可能とする。したがって、無駄な治療行為を減らすことで、副作用による患者の肉体的負担、及び、高価な医薬品の無駄使いを無くすことによる患者の医療費負担を軽減することができる。このような薬剤の効果を予測する方法は、インターフェロンを始めとするサイトカイン分野においては、いまだ確立していないが、もし確立されれば、インターフェロンを始めとするサイトカインを、効率的に癌又はウイルス病の治療に利用することができる。
斯かる状況に鑑み、本発明の第一の課題は、癌又はウイルス病治療において、インターフェロンの効果を予測する方法を提供することにある。また、本発明の第二の課題は、インターフェロンの効果の予測を容易に実施することを可能とするキットを提供することにある。さらに本発明の第三の課題は、癌又はウイルス病の治療方法に関し、インターフェロンをより効果的に利用する方法を提供することにある。
本発明者等は、広く癌又はウイルス病患者由来の細胞株において、インターフェロン関連遺伝子の発現プロファイルを検索することによって、インターフェロンの感受性と関連深い遺伝子を見いだした。さらに、それらの遺伝子の発現量を調べることによって癌又はウイルス病治療におけるインターフェロンの効果を予測する方法を確立し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、上記第一の課題を、インターフェロン関連遺伝子、とりわけ、シクロオキシゲナーゼ−2遺伝子の発現量に着目して、癌又はウイルス病治療におけるインターフェロンの効果を予測する方法を提供することにより解決するものである。
さらに、本発明は、上記第二の課題を、癌又はウイルス病治療におけるインターフェロンの効果を予測することを目的とした、シクロオキシゲナーゼ−2遺伝子の発現量測定用のキットを提供することにより解決するものである。
さらに、本発明は、上記第三の課題を、インターフェロンとシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質の阻害剤を含有する癌又はウイルス病治療薬を提供することにより解決するものである。
第1図は、各インターフェロン−α感受性グループにおけるmRNAレベルでのCox−2遺伝子の相対発現量を示す。
本発明は、癌又はウイルス病の治療において、患者にインターフェロンを投与する前に、インターフェロンの治療効果を予測する方法に関するものである。本発明でいうインターフェロンとは、ヒトを含む温血動物のインターフェロン全般を含み、ヒトを含む温血動物由来の細胞を適宜の方法で培養して、適宜のインターフェロン誘発剤を作用し産生させることにより製造されたもの、ヒトを含む温血動物由来のインターフェロンの遺伝子を組み込んだ適宜の発現ベクターを、大腸菌、酵母などの微生物、動物、植物、又はそれらの培養細胞内に導入し、適宜の誘導剤を用いて産生させることにより製造されたもの、又は、化学合成法などのプロテインエンジニアリングの手法によって、全部又は一部が人為的に製造されたものであってもよい。本発明で用いるインターフェロンは、天然型、組換型の両方を含み、その製法、由来は問わない。また、インターフェロンを産生誘導する物質を患者に投与することによって、あるいは、遺伝子治療などによって体内に導入された外来性のインターフェロン遺伝子によって、患者の体内で産生されたインターフェロンであってもよい。また、本発明で用いるインターフェロンとして、インターフェロンの安定性、作用効果を調節するために、例えば、グルコース、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、フコース、マンノース、キシロース、シアル酸などの単糖によって構成されたN−グリコシル結合型又はO−グリコシル結合型糖鎖、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸などの硫酸化糖質による糖鎖、又は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、プルランなどの水溶性高分子により修飾されたインターフェロン、または、インターフェロン活性を有する範囲内で部分的にアミノ酸配列が改変されたインターフェロンであってもよい。
また、インターフェロンと、インターフェロン以外の物質、例えば、腫瘍壊死因子、インターロイキン、成長ホルモンなどの生理活性物質、抗癌剤、抗生物質、ワクチン、生薬、漢方薬などとの併用の場合であっても、本発明のインターフェロンの効果予測方法は適用可能である。
本発明でいうインターフェロン関連遺伝子とは、例えば後述の表4に例示される、インターフェロンにより発現誘導される遺伝子、インターフェロンを発現誘導する遺伝子、インターフェロンの効果を増減させる遺伝子、又は、インターフェロンのシグナル伝達に関連する遺伝子であって、例えば、インターフェロン受容体遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、インターフェロンシグナル伝達関連遺伝子、多剤薬剤耐性遺伝子などが挙げられる。これら遺伝子の発現量のデータは、インターフェロンの癌又はウイルス病の治療効果を予測するために極めて有利に利用できる。とりわけ、シクロオキシゲナーゼ−2(以後、本明細書において「Cox−2」と略記されることもある)遺伝子は、本発明によって、その発現量が少ない細胞はインターフェロンに対する感受性が高いという現象が確認され、インターフェロンの感受性を低下させる作用を持つことが明らかにされた。したがって、Cox−2遺伝子の発現量のデータは、インターフェロンの治療効果を推測するために極めて有用である。Cox−2遺伝子は、炎症時に過剰に発現してプロスタグランジンを産生するという作用を持つ炎症反応に関わる遺伝子であることが知られている。
本発明でいう癌又はウイルス感染細胞とは、癌又はウイルス感染組織由来の細胞であり、癌又はウイルス病の患者から採取した癌又はウイルス感染細胞であっても、それらの株化細胞であってもよく、とりわけ、治療対象の患者の組織から摘出された癌又はウイルス感染細胞であるのが好ましい。また、患者から癌又はウイルス感染細胞の採取が困難な場合は、癌又はウイルス病由来の組織などを考慮して、入手可能な株化細胞のうち、最も類似したもので代用することができる。また、ウイルス病モデルとして、人為的にウイルスを感染させた正常細胞を用いることもできる。なお、本発明は、検査対象の細胞が癌細胞又はウイルス感染細胞に限定されず、正常細胞のインターフェロンの感受性を調べることに適用することができる。
インターフェロン関連遺伝子の発現量を調べる方法としては、インターフェロン関連遺伝子のタンパク質レベルでの発現量を測定する方法、すなわち、癌又はウイルス感染細胞により産生されたインターフェロン関連タンパク質を適宜な方法により抽出するか、あるいは、細胞そのままを使用して、遺伝子発現しているタンパク質の量を調べる方法であり、例えば、常法の、エンザイムイムノアッセイ法、ラジオイムノアッセイ法、免疫沈降法、免疫細胞染色法、電気泳動法、ウエスタンブロッティング法、パニング法、HPLC法、ペプチドシークエンス法、フローサイトメトリー法、マススペクトル法などが挙げられ、これらを適宜組み合わせて用いることができる。
また、インターフェロン関連遺伝子の発現量を調べる方法としては、インターフェロン関連遺伝子のmRNAレベルによる発現量を、例えば、癌又はウイルス感染細胞からmRNAを適宜の方法により単離するか、あるいは単離操作を省いて細胞中に存在したままのmRNAを、所望により逆転写酵素反応処理によりcDNAに変換した後、インターフェロン関連遺伝子に特異的な塩基配列を有するDNA又はRNAを用いて目的の遺伝子から転写されたmRNA量を測定する方法が挙げられ、mRNAの測定方法としては、例えば、常法の、ノーザンブロッティング法、サザンブロッティング法、ハイブリダイゼーション法、マグネットビーズ法、電気泳動法、PCR法、DNAシークエンシング法などが挙げられ、これらを適宜組み合わせて行うことができる。本発明においては、PCR法の変法である後述のリアルタイムPCR法が、処理速度及び定量精度が優れるので最も有利に用いられる。また、使用可能なmRNA又はそれに対応するcDNAとしては、治療対象の患者の癌又はウイルス感染細胞から抽出したものを用いることが好ましいが、他の患者の細胞、臓器あるいは組織由来のものを代用することも可能である。さらに、プレブロッテング膜、DNAマイクロアレイなどの加工品も利用することができ、それらの市販品を用いることも随意である。
癌又はウイルス感染細胞のインターフェロン感受性を調べる方法としては、まず、腸癌、肺癌、膵癌、乳癌、胃癌、肝癌、腎癌、神経癌、皮膚癌、咽喉癌、肉腫、子宮癌などの癌、又は、B型肝炎、C型肝炎などのウイルス病患者から採取した癌又はウイルス感染細胞、又はこれらに由来する培養株化細胞を、100乃至10,000IU/mlのインターフェロンを含む適宜の培養培地中で、適宜の時間培養した後、ヨウ化プロピジウムなどの色素で染色処理し、分光光度計又はフローサイトメトリーなどの測定装置により、死滅若しくはアポトーシスを起こした細胞の割合を測定する。各細胞におけるインターフェロン感受性は、上記のインターフェロンを含む培地で培養した細胞の死滅若しくはアポトーシスを起こした細胞の割合から、対照として、インターフェロンを含まない培地で培養した細胞の死滅若しくはアポトーシスを起こした細胞の割合を減じて算出することができる。また、ヌードマウスなどの実験動物に癌又はウイルス病患者から採取した癌又はウイルス感染細胞を移植し、当該動物にインターフェロンを適宜の用量で投与し、適宜の期間飼育した後、当該動物体内の腫瘍の大きさを測定して、インターフェロンを投与しなかった動物体内の腫瘍の大きさと比較することによって、移植に供した癌又はウイルス感染細胞のインターフェロンに対する感受性を測定することもできる。
インターフェロン関連遺伝子の発現量を評価する方法として、例えば、細胞、組織間で発現量の差の少ない遺伝子、例えば、グリセロアルデヒドリン酸脱水素酵素などの解糖系の酵素又はβアクチンなどの細胞骨格系の構成タンパク質などのmRNA又はタンパク質レベルでの発現量を内部標準にしてインターフェロン関連遺伝子の相対発現量を算出する方法、癌又はウイルス感染細胞とそれらの由来細胞におけるmRNA又はタンパク質レベルでの発現量を比較して、癌又はウイルス感染細胞におけるインターフェロン関連遺伝子の発現量の増減を調べる方法、又は、経時的に患者から癌又はウイルス感染細胞を摘出し、mRNA又はタンパク質レベルでの発現量の推移を調べる方法などが挙げられる。
インターフェロン感受性の程度と、インターフェロン関連遺伝子のmRNA又はタンパク質レベルでの発現量との相関性は、適宜の統計的手法により、所望の有意差水準において有意差が存在するか否かにより判定される。統計的手法としては、例えば、マン・ホイットニーのU検定、スチューデントのt検定、クラスター分析などが例示できる。
本発明のインターフェロンの効果を予測する方法の一例を述べる。癌又はウイルス病患者由来の癌又はウイルス感染細胞からmRNAを調製し、これを鋳型にして逆転写酵素によりcDNAを調製する。得られたcDNAを鋳型にして、インターフェロン関連遺伝子の一種であるCox−2遺伝子の任意の一部分を特異的に増幅可能にデザインしたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、熱耐性DNAポリメラーゼによりPCR反応を行い、Cox−2遺伝子の発現量を測定する。このとき、どの細胞においてもほぼ同じ発現量を示すことが知られるβアクチン遺伝子の発現量を同時に測定し、βアクチンに対するCox−2遺伝子の相対発現量を算出する。
Cox−2遺伝子の相対発現量が少ない細胞ほどインターフェロンに対する感受性が高いため、このような癌又はウイルス感染細胞を有する患者に対してのインターフェロンによる治療は効果的である。この場合、Cox−2遺伝子の相対発現量は低ければ低いほど好ましく、望ましくは0.1以下である。
上記のPCR法による定量操作を簡便化するために、鋳型DNA以外の成分、例えば、Cox−2遺伝子を複製増幅可能なプライマー、熱耐性DNAポリメラーゼ、基質のデオキシヌクレオチド三リン酸などを混合したプレミックスは、本発明の実施を容易にするうえで有利である。
また、Cox−2遺伝子の発現量が多い癌又はウイルス感染細胞を有する患者の場合、インターフェロン感受性を高めるためにCox−2遺伝子発現を抑制することは、インターフェロンによる癌又はウイルス病の治療をより効果的にすることができる。Cox−2遺伝子発現を抑制する方法としては、例えば、Cox−2mRNAに対するアンチセンスDNA、アンチセンスRNA又は2本鎖RNAを癌又はウイルス感染細胞に導入する方法、インドメタシンなどのCox−2タンパク質の阻害剤を癌又はウイルス感染細胞に導入するか患者に投与する方法が挙げられる。インドメタシンなどのCox−2タンパク質阻害剤とインターフェロンとの併用は、Cox−2遺伝子の発現量に関係なくインターフェロンによる治療効果を高めることが可能になるので、Cox−2阻害剤とインターフェロンを含んでなる癌又はウイルス病治療剤は、より多くの癌又はウイルス病患者にとって、有効な治療方法となる。
以下、実験に基づいてより詳細に本発明を説明する。
実験1:各種臓器由来の細胞株のインターフェロン感受性
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)、ジャパニーズ・コレクション・オブ・リサーチ・バイオリソーシス(JCRB)、ヨーロピアン・コレクション・オブ・セル・カルチャーズ(ECACC)、ジャーマン・コレクション・オブ・ミクロオルガニズムズ・アンド・セル・カルチャーズ(DSMZ)、国立医薬品食品研究所(NIHN)、理研細胞バンク(RCB)又は東北大学加齢医学研究所(IDAC)から入手した93種類の株化細胞又は癌又はウイルス病患者から摘出した27種類の癌又はウイルス感染細胞を、10%(v/v)牛胎児血清を含有するRPMI1640培地中に1×10乃至3×10個/mlの濃度で培養した後、1,000IU/mlのインターフェロン−αを添加し、37℃、5%CO中で48時間培養した。陰性対象としては、インターフェロン−αを含有しない培地で同様に培養した細胞を用いた。培養後、培養液から細胞を採取し、70%(v/v)冷エタノール水溶液中に2時間放置し固定化した。固定化された細胞を40μg/mlのヨウ化プロピジウムを含有するリン酸−食塩緩衝液(pH7.2)中で20分染色した。染色された細胞は、フローサイトメトリー(ベックマンコールター社販売、商品名『EPICS XL』)によって、各細胞のDNA含量を測定し、専用のソフトウエア(ベックマンコールター社販売、商品名『WINCYCLE』)によって、アポトーシスの割合を計測した。さらに、陰性対照として、インターフェロン−α非添加で培養した各細胞のアポトーシスの割合を減じた後、インターフェロン−α感受性の評価し、感受性の程度により4グループ(A乃至D)にランク分けした。すなわち、アポトーシスの割合が、5%未満をAグループ、5以上10%未満をBグループ、10以上20%未満をCグループ、20%以上をDグループとした。結果を表1乃至3に示す。
Figure 0004393381
Figure 0004393381
Figure 0004393381
表1乃至3に示すように、実験に用いた120種類の細胞は、インターフェロン−αの感受性のランク分けにより、Aグループが95、Bグループが11、Cグループが13、Dグループが1に分類された。
実験2:各種細胞による各種因子の発現
表1乃至3に示す120種類の細胞から、市販のRNA調製キット(商品名『RNeasy Mini kit』、キアゲン社販売)を使用して、常法にしたがってそれぞれRNAを調製した。1μgの上記RNA、100ngのランダムヘキサマー及び100単位のマウス乳癌ウイルス逆転写酵素を含む100μlの反応溶液を調製し、25℃10分間、42℃30分間反応させた後、70℃で10分間処理して、反応を停止させ、cDNAを得た。
次に、DNAデータベースのユニジーン(Unigene)に登録されている51種類のインターフェロン関連遺伝子と、内部標準遺伝子としてβアクチン遺伝子に対応するPCR用のプライマー(配列表における配列番号1乃至104)を作製した。常法にしたがって、リアルタイムPCR法を市販の装置(商品名『ABIPRISM 7700 シークエンス・ディテクション・システム』、アプライドバイオシステムズ社販売)を用いて行った。すなわち、20ngのcDNA、100nMのセンスプライマー及び100nMのアンチセンスプライマーを水に溶解し12.5μlの水溶液とし、それに12.5μlの『SYBRグリーンPCRマスターミックス』(アプライドバイオシステムズ社販売)を添加して反応溶液を調製した。これを、90℃15秒、60℃1分で45サイクルのPCRを行い、各遺伝子の発現量を、内部対照のβアクチン遺伝子の発現量と比較し、相対発現量として数値化した。次に、実験1での感受性のランク分けにしたがい、各遺伝子において、Aグループに対するB、C又はDグループについてマン・ホイットニーのU検定を行い、有意水準p<0.01又はp<0.05で有意差があるかどうか調べた。結果を表4に示す。
Figure 0004393381
表4の結果から、インターフェロン関連遺伝子のうちCox−2遺伝子のmRNAレベルの発現量は、インターフェロン−αの感受性の高い癌又はウイルス感染細胞において、統計的に有意に低い発現量を示すことが明らかとなった。図1にmRNAレベルにおけるCox−2遺伝子の発現量を統計処理した結果を示す。また、表5に、mRNAレベルにおける各細胞株のCox−2遺伝子の相対発現量と感受性のランク分け結果を示す。Cox−2遺伝子の相対発現量と感受性のランク分け結果とを比較すると、肝、腎、肉腫、皮膚、腸、肺、神経、乳及び胃由来の細胞株においても、Cox−2遺伝子の発現量が低い場合に、インターフェロン−αの感受性が高くなり、特に、肝、腸、肉腫由来の癌細胞において顕著に感受性が高くなった。また、インターフェロン−α高感受性とランク分けされた細胞であるグループCおよびDの細胞株においては、Cox−2mRNAの相対発現量が0.1を越えるものは皆無であった。したがって、この結果は、Cox−2遺伝子発現はインターフェロン−αの抗腫瘍活性の阻害要因となり、Cox−2遺伝子の発現を測定することにより、インターフェロン−αの治療効果の予測が可能であることを示している。とりわけ、肝臓癌、大腸癌において、Cox−2遺伝子の発現量は、インターフェロン−α感受性と負の相関関係を示した。
Figure 0004393381
実験3:Cox−2タンパク質阻害剤のインターフェロン感受性への効果
実験2の結果により、Cox−2遺伝子の発現はインターフェロン−αの感受性に影響を与えることが明らかになった。そこで、Cox−2タンパク質の阻害剤で処理された癌又はウイルス感染細胞において、インターフェロン−αの感受性がどのように変化するかを調べた。癌又はウイルス感染細胞としては、Cox−2mRNAの発現量が比較的高く、インターフェロン−αの感受性が低いものを実験1及び2の結果を参照して7種類選抜し、それぞれ、1,000IU/mlのインターフェロン−α及び5μMのインドメタシンを添加して、実験1と同様にして、アポトーシスの割合を計測した。インドメタシンは非ステロイド性の抗炎症薬の一種であり、Cox−2タンパク質の活性を阻害する作用を有する。結果を表6に示す。
Figure 0004393381
表6の結果から、各細胞におけるアポトーシスの割合、即ちインターフェロン−αの感受性は、インドメタシンを併用することにより高くなることが明らかになった。この結果は、インドメタシンによってCox−2タンパク質の作用が阻害されるため、インターフェロン−αの感受性が高まり、アポトーシスの割合が増加したことを示している。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:インターフェロンの効果予測
肺癌患者5名から摘出した癌細胞から、常法にしたがって、それぞれmRNAを採取し、得られたmRNAを鋳型にしてマウス乳癌ウイルス逆転写酵素によりcDNAを調製し、20ng/12.5μlのcDNA溶液とした。一方、Cox−2mRNA検出用のプライマー(配列表における配列番号71及び72)あるいはβアクチンmRNA検出用のプライマー(配列表における配列番号103及び104)各100nMを、熱耐性DNAポリメラーゼなどを含有する『SYBRグリーンPCRマスターミックス』(アプライドバイオシステムズ社販売)を混合したプレミックス反応液12.5μlを、上記cDNA溶液に添加して合計25μlのPCR反応溶液を調製した。これらを、リアルタイムPCR装置(商品名『ABIPRISM 7700 シークエンス・ディテクション・システム』、アプライドバイオシステムズ社販売)により、90℃15秒、60℃1分で45サイクルのPCRを行い、βアクチンmRNAの発現量を基準にしてCox−2遺伝子の発現量を算出した。
一方、肺癌患者5名から摘出した上記癌細胞を、それぞれ、1匹当り1×10個ずつ15匹のヌードマウスの腹腔に移植し、その2日後に、5匹に1匹当り1,000IUのインターフェロン−αを静脈投与した。3週間後に、ケー・ハラナカ等、『インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー』、第34巻、第2号、263乃至267頁(1984年)に記載の方法にしたがって腫瘍体積を計測し、インターフェロン−αを投与しなかった対照と比較し抗腫瘍効果を評価した。その結果、mRNAレベルでのCox−2遺伝子の発現量が少ないほどインターフェロン−αによる抗腫瘍効果は高くなっていた。
実施例2:インターフェロン製剤
滅菌処理した生理食塩水に、1000,000IU/mlのヒトインターフェロン−α及び5mMのインドメタシンを溶解し、除菌濾過して、滅菌したガラス製バイアルに1mlずつ充填し、本発明のインターフェロン製剤を製造した。
本品は、Cox−2タンパク質の阻害剤であるインドメタシンを含有しているので、Cox−2遺伝子の発現量が多い癌又はウイルス感染細胞を保有する患者に対しても、インターフェロン−αを効果的に投与することができる。
叙述のとおり、本発明によれば、癌又はウイルス感染細胞におけるインターフェロンの感受性は、Cox−2遺伝子の発現量と負の相関性を有していることから、この遺伝子の発現量を測定することにより、インターフェロンの効果を予測できる。したがって、本発明を癌又はウイルス病の治療に先立って用いれば、インターフェロンによる治療を安全にかつ無駄なく行うことができる。また、インターフェロンとCox−2タンパク質の阻害剤を併用すれば、Cox−2遺伝子の発現量が高い癌又はウイルス感染細胞においても、インターフェロンの効果を増強することができる。したがって、Cox−2遺伝子の発現量を測定することは、インターフェロンの適用可能な癌又はウイルス病を調べることを可能とし、さらに、インターフェロンによる癌又はウイルス病治療におけるCox−2タンパク質の阻害剤の併用の要否をも判定することも可能とする。

Claims (2)

  1. 治療対象の患者由来の癌又はウイルス感染細胞におけるシクロオキシゲナーゼ−2遺伝子の発現量を測定し、内部対照のβアクチン遺伝子の発現量と比較し、βアクチン遺伝子の発現量に対するシクロオキシゲナーゼ−2遺伝子の相対発現量が0.1以下である場合、当該患者の癌又はウイルス病治療におけるインターフェロンの効果が高いと予測する方法。
  2. シクロオキシゲナーゼ−2遺伝子のDNA配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと、熱耐性DNAポリメラーゼを含んでなる、シクロオキシゲナーゼ−2遺伝子の発現量に基づいて、癌又はウイルス病治療におけるインターフェロンの効果予測するためのキット。
JP2004519218A 2002-07-03 2003-06-30 インターフェロンの効果予測方法 Expired - Fee Related JP4393381B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002195147 2002-07-03
JP2002195147 2002-07-03
PCT/JP2003/008296 WO2004005549A1 (ja) 2002-07-03 2003-06-30 インターフェロンの効果予測方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2004005549A1 JPWO2004005549A1 (ja) 2005-11-04
JP4393381B2 true JP4393381B2 (ja) 2010-01-06

Family

ID=30112330

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004519218A Expired - Fee Related JP4393381B2 (ja) 2002-07-03 2003-06-30 インターフェロンの効果予測方法

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP4393381B2 (ja)
AU (1) AU2003246161A1 (ja)
TW (1) TW200411068A (ja)
WO (1) WO2004005549A1 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
WO2004005549A1 (ja) 2004-01-15
TW200411068A (en) 2004-07-01
AU2003246161A1 (en) 2004-01-23
JPWO2004005549A1 (ja) 2005-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7401710B2 (ja) 正規化バイオマーカースコアからがん治療を特定するためのシステム及び方法
Wang et al. Tet2-mediated clonal hematopoiesis in nonconditioned mice accelerates age-associated cardiac dysfunction
Huangfu et al. The IL-17 family in diseases: from bench to bedside
Walsh et al. The emergence of the IL‐36 cytokine family as novel targets for inflammatory diseases
Paller et al. The spectrum of manifestations in desmoplakin gene (DSP) spectrin repeat 6 domain mutations: Immunophenotyping and response to ustekinumab
Fu et al. T-bet is critical for the development of acute graft-versus-host disease through controlling T cell differentiation and function
JP2005512961A5 (ja)
Wabitsch et al. Anti–PD-1 in combination with trametinib suppresses tumor growth and improves survival of intrahepatic cholangiocarcinoma in mice
CN107475386B (zh) 用于诊治骨肉瘤的长链非编码rna标志物
US20220392638A1 (en) Precision enrichment of pathology specimens
JP4393381B2 (ja) インターフェロンの効果予測方法
Zgolli et al. Drug rash with eosinophilia and systemic symptoms (DRESS) syndrome induced by imatinib
CN107365859B (zh) LncRNA作为诊治骨肉瘤的分子标志物
RU2469737C1 (ru) Способ лечения хронического риносинусита
TWI836429B (zh) 一種預測一癌症病患對於干擾素基因的刺激物激動劑的易感性的方法及套組
Damsky et al. Treatment of sarcoidosis with cutaneous involvement with tofacitinib
CN111139299B (zh) Josd2蛋白在制备治疗恶性肿瘤药物中的应用
JP2004000190A (ja) 腫瘍壊死因子の効果予測方法
CN114470196B (zh) CCL3/CCR4中和抗体、NF-κB抑制剂在制备NEC治疗药物中的用途
KR102668508B1 (ko) 고염식 환경에서의 뇌종양 진단용 조성물
US20240156901A1 (en) Gal3bp polypeptide compositions and methods for treatment of cancer and determining treatment responsiveness
CN109628592B (zh) 甲状腺癌相关标志物及其应用
US11994511B2 (en) Biomarkers indicative of prostate cancer and treatment thereof
US20040053288A1 (en) Method for estimating therapeutic efficacy of tumor necrosis factor
EP2708606A1 (en) Novel biomarkers for human cervical cancer and/or HPV infection

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090904

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091006

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091013

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121023

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees