JP4393148B2 - 末梢型ベンゾジアゼピン受容体遺伝子解析によるストレス感受性の判断方法 - Google Patents

末梢型ベンゾジアゼピン受容体遺伝子解析によるストレス感受性の判断方法 Download PDF

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Description

本発明は、末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)遺伝子解析によるストレス感受性の判断方法に関する。
ベンゾジアゼピン系製剤は、筋弛緩作用・抗痙攣作用・抗不安作用・鎮静作用などの作用をもつ薬物であり、臨床的に広く使われている。これらの薬剤は、中枢型ベンゾジアゼピン受容体(central-type benzodiazepine receptor; CBR)に作用することによりその薬効を発揮する。
CBRは、抑制性伝達物質として知られるγ-アミノ酪酸(GABA)の受容体と塩素イオン(Cl-)チャンネルとの巨大分子複合体の一部であり、中枢神経系に集中している。
一方、末梢型ベンゾジアゼピン受容体(peripheral-type benzodiazepine receptor; PBR)は、種々の末梢組織、特にステロイド産生組織である副腎皮質に数多く現れている(非特許文献1)。ステロイド産生の最初のステップは、ミトコンドリアにおけるコレステロールからプレグネノロンへの転換である。この反応の鍵を握るのがミトコンドリアPBRであると考えられている(非特許文献2)。ステロイド産生細胞にPBRが多く存在するのは、このような機能と関係しているからである。
不安は精神症状のうちでも主要なものの1つである。ストレスは精神障害の元となり、社会心理的ストレッサーが不安エピソードに先行することが広く知られている。このようなストレス反応に密接にリンクした生体システムは大脳辺縁系-視床下部-下垂体-副腎系であり、この系によりストレス関連のステロイドホルモンが生産される。
急性ストレスにより末梢組織におけるPBRが増加し、慢性ストレスによりそれが減少することが動物実験で示されている(非特許文献3)。ヒトの場合は主に血小板で調べられており、動物実験での結果と同様に、急性ストレスにより血小板PBRが増加し、慢性ストレスにより減少することが観察されている(非特許文献4)。しかしながら、これらは個体や集団における変化を調べたものであり、個体間の差異に関しては研究がされていなかった。
最近、本発明者は、ストレスを研究する上で比較の対照群(Control)として扱われる健常な成人を対象に、血小板PBRと不安レベルとがどのように関係するかを調べた。
その結果、血小板PBRの発現量は、現在の不安状態(状態不安:ステート)よりも寧ろ不安に対する感受性(特性不安:トレート)と相関することが明らかになった (非特許文献5)。すなわち、通常の社会生活上でのストレスや不安に対する感受性が各個人で異なっており、それが血小板PBR値に反映するものと考えられた。
ところで、ヒトのPBR遺伝子座は22番染色体にあり(22q13.31)、全長cDNAもクローニングされている(非特許文献6, 7)。この遺伝子は4つのエクソンから成り立ち、最初のエクソン(エクソン 1)の全部と4番目のエクソン(エクソン 4)の半分は非コード領域である。エクソン 2はPBRリガンド(PK 11195 など)の結合部位として知られるが、機能の詳細は不明である(非特許文献1)。
Gavish M. et al., (1999) Pharmacol Rev 51: 629-650. Krueger KE, Papadopoulos V (1990) J Biol Chem 265: 15015-15022. Drugan RC, et al., (1986) Pharmacol Biochem Behav 24: 1673-1677. Karp L, et al., (1989) Life Sci 44: 1077-1082. Nakamura K, et al., (2002) Psychopharmacology 16: 301-303. Riond J, et al., (1991) Eur J Biochem 195: 305-311. Chang YJ, et al., (1992) DNA Cell Biol 11: 471-480.
本発明は、ストレス感受性を判定する方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、PBR遺伝子の所定の多型を解析することにより、多型とストレス感受性との間に関連を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、末梢型ベンゾジアゼピン受容体遺伝子の遺伝子多型を解析し、得られる解析結果を指標として、ストレス感受性を評価する方法である。
上記方法において、末梢型ベンゾジアゼピン受容体遺伝子多型としては、該受容体のアミノ酸配列のうち第162番目のアミノ酸をコードするコドンの多型が挙げられる。このような多型として、例えばCGTホモ型、CGT/CATヘテロ型及びCATホモ型から選ばれる少なくとも1つを例示することができる。
具体的には、上記遺伝子多型は、G485A置換による一塩基多型として表わされる。G485A置換は非コード領域のG650T置換と連鎖するため、G650T置換による一塩基多型としても表される。
さらに、本発明の方法において、遺伝子多型の解析は、末梢型ベンゾジアゼピン受容体のアミノ酸配列のうち第162番目のアミノ酸をコードするDNAを含む遺伝子を増幅させ、得られる増幅産物について多型分析を行うものである。
本発明によりPBR遺伝子解析によるストレス感受性を判定する方法が提供される。本発明の判定方法は、不安障害などのストレス性疾患の予防並びに予後の予想に有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ヒト末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)遺伝子を用い、該遺伝子によりコードされる162番目のアミノ酸配列に着目した。そして、上記遺伝子の塩基配列のうち第485番目の遺伝子多型を解析することで、当該多型とストレスとの関連を見出し、本発明を完成するに至った。
ヒトにおけるPBR解析及び遺伝子採取源には、採取が容易な血液細胞(例えば血小板、白血球、末梢血リンパ球)が用いられる。ストレス研究では、血小板に発現するPBR(血小板PBR)が測定されることが多く、データも集積しているため、血小板PBRをPBR遺伝子の表現型として調べるのが好ましい。ストレス感受性との関連性を明らかにする場合、健常の成人を対象とすることが望ましく、実験結果に影響を及ぼす可能性のある薬物、例えば抗不安薬を最近3ヶ月以内に服用した者、あるいは精神疾患の既往歴のある者を除外することが望ましい。
上記採取源から、当業者に利用可能な周知の方法(例えばフェノール・クロロホルム法により、容易に遺伝子を調整することができる。
PBR遺伝子は、図1に示すように、4つのエクソンから構成されており、エクソン4の半分は非コード領域である。エクソン4の領域でアミノ酸置換が知られている個所は、第147番目と第162番目であり、147番目はアラニンからスレオニンへの置換(Ala147Thr)、第162番目はアルギニンからヒスチジンへの置換(Arg162His)となっている。そして、塩基ではそれぞれ、PBR遺伝子の塩基配列において439番目のGからAへの置換(G439A)、485番目のGからAへの置換(G485A)に対応している。さらに、エクソン4の3'非コード領域では、G569A置換及びG650T置換が認められている(Nakamura等によりGenBankに登録済み。GenBank accession number:G569A置換(AB076379)、G650T置換(AB076380))。
従って、本発明においては、上記エクソン4における前記2箇所のコード領域の塩基置換(G439A 、G485A)、並びに前記2箇所の非コード領域の塩基置換(G569A、G650T)を解析することができる。
ここで、健常者28人を対象とした予備実験において、血小板PBRとの相関を示したのは、前記の塩基置換のうち、G485A置換とG650T置換であり、G439A置換とG485Aに関しては、有意な相関が得られなかった。また、G485A置換とG650T置換とが連鎖することは確認されている。従って、本発明では、G485A置換及びG650T置換のいずれかについて解析を行うことができる。
本発明では、PBR遺伝子のエクソン4領域において、アミノ酸置換が生じる第162番目のアミノ酸のコドン型(アミノ酸変換単位)の相違(遺伝子多型)とPBRの発現量との関係に基づき、ストレス感受性を評価し得る。評価の基準として、第162番目アミノ酸のコドン型として、CGTホモ型、CGT/CATヘテロ型、CATホモ型の3種類又はその一部を用いる。
遺伝子多型の解析は、PBR遺伝子のエクソン4領域について行う。遺伝子多型の解析は、PCR-APLP法、PCR-RFLP法又はPCR-SSCP法によるミューテーションスクリーニング、及びシークエンスによって行うことができる。具体的には、PBRのアミノ酸配列のうち第162番目のアミノ酸配列のコード領域を含むDNAをPCR法により増幅させる。そして、APLP法を採用する場合は、得られた反応産物の鎖長を検出する。RFLP法の場合は、得られた増幅産物の塩基置換部を認識し切断して、前記断片の鎖長を検出する。SSCP法では、一本鎖DNAの高次構造変異のゲル移動度の差を検出する。そして、反応産物のシークエンスによって塩基配列を読みとり、第162番目のコドンの遺伝子型を判定する。
本発明のPCR法に用いるプライマーは、PBR遺伝子のエクソン4に存在する第162番目のアミノ酸コドンを含むDNA領域を増幅できる1組のプライマーであれば任意に設計することが可能である。例えば、以下の塩基配列を有するものをプライマーとして使用することができる。
Exon4-f(フォワード): 5'-TGGTGGATCTCCTGCTGGTCAGT-3'(配列番号1)
Exon4-r(リバース): 5'-CCAAGAACATGCTCTAAGCATGCAG-3'(配列番号2)
これらプライマーは、通常の化学合成により得ることができ、そのサイズは、15〜30 mer程度が好ましく、特に、20〜25 merのものが好ましい。
PCR法の反応工程はプライマー、配列などによって異なるが、本発明のエクソン4においてはタッチダウンPCR法が適している。PCRのサイクルや温度条件は、適宜定めることができる。例えば、熱変性:94℃で30秒、アニーリング:67℃で30秒、伸張反応:72℃で1分を1サイクルとし、これを10サイクル行う。1サイクルごとにアニーリングの温度を1℃ずつ下げ、10サイクル目で57℃とする。次に、熱変性:94℃で30秒、アニーリング:57℃で30秒、伸張反応:72℃で1分を1サイクルとし、これを25サイクル行う。最後に、伸張反応を72℃で7分行う。
本発明において、PBR遺伝子多型と血小板PBR発現量との相関関係を明らかにする上で用いられる血小板PBRの発現量は、受容体結合実験によって求めることができる。血小板は、血液サンプルを遠心処理して血小板を含むプラズマ分画を採取し、更にプラズマ分画を遠心分離することで血小板ペレットを得ることができる。
血小板PBR結合実験は、通常当業者が行う任意の方法を採用すればよい(Nakamoto Y, et al., (1996) Brain Res 717: 91-98.)。受容体発現量は、単位蛋白質量あたりのモル数(fmol/mg protein)として得られるため、PBR発現量を比較することにより、PBR遺伝子多型と血板PBR発現量との関係を調べることができる。
不安感受性を評価するには、不安感受性の指標としてSTAI(State-Trait Anxiety Inventory)を用いればよい。STAIとは「状態-特性不安尺度」のことであり、今この瞬間に自分に当てはまる「状態不安(State Anxiety)」と普段のいつもの自分に当てはまる「特性不安(Trait Anxiety)」の主観的評定を意味する。また、不安感受性とは、個人の性格特性としての不安に対する反応の強さであり、一過性の状態不安に対して比較的安定した個人の性格傾向を示し、STAIの特性不安を評定することにより調べることが可能である。
本発明では、162番目のコドンにおいて、いずれの多型を有するときにそれぞれどのような血小板PBR発現量又は不安感受性が得られるかを検討することにより、血小板PBRの遺伝子型の相違に起因するPBR発現量及びストレス感受性を評価することが可能となる。この場合、PBR発現量はBmaxを用い、不安感受性の指標にはSTAIを用いることができる。Bmaxは、値が小さいほど受容体発現量が少なく、ストレスや不安に対する感受性が低いことを示す。また、STAIではトレートが小さいほど、不安感受性が低いことを示す。例えば、162番目のコドンにおいて、CGTホモ型と、CGT/CATヘテロ型及び/又はCATホモ型との間でBmax及びSTAIを比較する。比較したいずれかの群間において平均値の統計学的有意差があれば、当該有意差のあるコドン型を有し、より小さい平均値を示す対象は、ストレス感受性が低く、ストレスにもなりにくい体質であると評価することができる。その結果、前記評価に基づいて、不安障害などストレス性疾患の予防並びに予後予想を行うことができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は実施例により限定されるものではない。
(1) 対象
健常の成人51人(男性26人・女性25人、 年齢:26〜60才)を対象とした。抗不安薬などの薬物をこの3ヶ月間に服用したもの、精神疾患の既往のあるものは除外した。不安評価尺度のSTAI(State-Trait Anxiety Inventory)により被験者の不安レベルを調べ、さらに血液25 ml の供与を受けた。血液は、5 ml が遺伝子解析用であり、20 ml が血小板PBRの測定用である。
本実施例は東京都精神医学総合研究所の倫理委員会の承認を得て実施され、研究対象者には文書で説明を行った上で署名による同意を得た。
(2) 遺伝子解析
PBRのエクソン 4領域について多型を調べた。PCRおよびSSCPを行ない、シークエンスを行なった。PCRは100 ng genomic DNA、200 μM dNTPs、5 μM primers、1.5 units Taq polymerase (AmpliTaqGold(登録商標))で行った。SSCP 分析はPCR産物2.0 μlを30.0 μlのバッファー(100% formamide、 0.1% xylene cyanol、 0.1% bromophenol blue、20 mM EDTA)に入れて80℃で5分加熱し、すぐに氷で冷やした。その中から2 μlを取り出し、5 - 20%のポリアクリルアミドゲルで150V、 5時間、Tris-glycineバッファーで電気泳動を行い、銀染色した(Silver Stain Plus(登録商標)、Bio-Rad)。シークエンスについては、PCR産物をpGEM-T Easy Vector(pGEM(登録商標)-T Easy Vector System II、Promega)でクローニングして、Big Dye(登録商標) TerminatorをつけるPCRを行い(ABI PRISM (登録商標)BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit、 Applied Biosystems)、ABI 377 auto sequencer(Applied Biosystems)でシークエンスを行った。
(3) 受容体結合実験
血液サンプル(20 ml)をEDTA-2K(抗凝固剤)を含むプラスチック試験管に採取し、180 x gで遠心した(4°Cで15分)。血小板を含むプラズマを採取し、更に1500 x gで血小板を遠心分離した(4°Cで15分)。血小板ペレットは -80°Cで冷凍保存した。受容体結合実験は通常の方法で行った。ホット(放射標識)およびコールド(未標識)リガンドは、それぞれ[3H]PK 11195 と PK 11195 を用いた(Nakamoto Y, et al., (1996) Brain Res 717: 91-98.)。
(4) 不安感受性試験
STAIはCharles D. Spielberger の状態-特性不安理論(state-trait anxiety theory)に基づいて作成された不安尺度であり、状態不安尺度と特性不安尺度とから成り立っており、両尺度とも各々20の質問項目を有している(Spielberger CD, et al., (1970) Manual for the State-Trait Anxiety Inventory. Palo Alto (CA): Consulting Psychologist Press.)。STAIは心理学をはじめ臨床医学でも広く使用されている。本発明では、中里らによるSTAI日本版(中里克治, 水口公信, (1982) 心身医学 22: 107-112.)を用いた。STAIは採血と同時に実施し、自記式時間無制限法をとった。STAIの実施に際しては、環境の影響を受けやすい状態不安尺度を先に、特性不安尺度を後から実施した。また、採点は臨床心理士が担当し、被験者には個人情報の機密を約束した。不安得点は、状態不安、特性不安の両尺度ともに20点(最低点)から80点(最高点)の間に分布する。
(5) 結果
健常者51人の末梢血リンパ球より遺伝子DNAを抽出し、PBR遺伝子のエクソン 4領域のアミノ酸置換のあるコドン162(CGT→CAT:Arg162His)を調べた。このGからAへ置換する部位はPBR遺伝子の下流485塩基(翻訳開始点を塩基1とする)に当たる。51人中17人(33.3%)に485番目の塩基の多型が、G/Aヘテロ接合体(CGT/CATヘテロ型)が見られ、3人(5.9%)にA/Aホモ接合体(CATホモ型)が見られた。残りの31人(60.8%)には置換がなかった(G/Gホモ接合体(CGTホモ型))。
この遺伝子多型と血小板PBRの発現量(Bmax; fmol/mg protein)との関係を調べたところ(平均値±SD)、485番の塩基がG/Gホモ接合体(CGTホモ型)では2035±828(n=28)、G/Aヘテロ接合体(CGT/CATヘテロ型)では1153±423(n=15)、A/Aホモ接合体(CATホモ型)では1079±235(n=3)であった(図2)。G/Gホモ(CGTホモ型)グループの値に比しG/Aヘテロ(CGT/CATヘテロ型)グループの値は40%以上有意に(P<0.0001)低下しており、A/Aホモ(CATホモ型)グループの値も同様に有意に(P<0.005)低下していることが示された。
さらに遺伝子多型とSTAI(トレート)との関係をみると、G/Gホモ(CGTホモ型)では42.4±7.4(n=28)であるのに対し、G/Aヘテロ(CGT/CATヘテロ型)では38.7±5.1(n=15)であり、有意に低下していた(P<0.05 one-tail)。A/Aホモ(CATホモ型)との関係では有意な結果は得られなかった(図3)。
健常者51名の遺伝子多型とPBR結合試験結果及び不安感受性試験結果を以下の表1(CGTホモ型)、表2(CGT/CATヘテロ型)、表3(CATホモ型)に示す。
(表1)
No sex STAI(state) STAI(trait) Bmax G485G
───────────────────────────────────────
1 F 23 35 1875 G/G
2 F 45 52 1426 G/G
3 F 57 48 3048 G/G
4 F 48 61 1521 G/G
5 F 32 49 2493 G/G
6 F 30 42 2850 G/G
7 M 48 50 1781 G/G
8 F 2835 G/G
9 M 32 33 2900 G/G
10 M 44 41 2655 G/G
11 M 56 46 1757 G/G
12 M 46 48 1535 G/G
13 M 40 36 3785 G/G
14 M 41 48 1093 G/G
15 M 34 41 795 G/G
16 M 34 28 1868 G/G
17 F 38 37 1560 G/G
18 F 41 33 1226 G/G
19 M 39 45 G/G
20 F 25 40 1800 G/G
21 F 47 38 1983 G/G
22 M 50 40 G/G
23 M 4320 G/G
24 M 33 31 1560 G/G
25 F 33 47 1638 G/G
26 F 2808 G/G
27 F 41 44 1310 G/G
28 F 41 35 1140 G/G
29 M 46 48 1205 G/G
30 F 39 49 2210 G/G
31 M 43 43 G/G
───────────────────────────────────────

average 40.2 42.4 2034.9
SD 8.3 7.4 848.2
SEM 1.6 1.4 160.3
n 28 28 28
(表2)
No sex STAI(state) STAI(trait) Bmax G485A
───────────────────────────────────────
32 F 28 26 1680 G/A
33 F 35 43 1003 G/A
34 F 45 44 1220 G/A
35 M 38 30 1258 G/A
36 M 41 40 541 G/A
37 M 50 34 1618 G/A
38 M 43 39 1189 G/A
39 M 841 G/A
40 M 35 43 1198 G/A
41 F 43 41 448 G/A
42 F 35 43 813 G/A
43 M 47 40 1520 G/A
44 F 35 39 G/A
45 M 895 G/A
46 M 44 38 1975 G/A
47 M 45 41 1093 G/A
48 F 29 40 G/A
───────────────────────────────────────

average 39.5 38.7 1152.8
SD 6.5 5.1 422.6
SEM 1.7 1.3 109.1
n 15 15 15
(表3)
No sex STAI(state) STAI(trait) Bmax A485A
───────────────────────────────────────
49 F 27 25 1045 A/A
50 F 31 40 863 A/A
51 M 44 48 1330 A/A
───────────────────────────────────────

average 34 37.7 1079.3
SD 8.9 11.7 235.4
SEM 5.1 6.7 135.9
n 3 3 3

以上の結果より、PBR遺伝子のエクソン 4領域におけるコドン 162の遺伝子多型(G/Aヘテロ及びA/Aホモ)は血小板PBRの発現が少ないことが示された。すなわち、各個人のストレスや不安に対する感受性(耐性)が血小板PBRの値に反映することを我々は既に示したが(Nakamura K, et al., (2002) Psychopharmacology 16: 301-303)、遺伝子多型を調べることにより簡便かつ確実にストレス感受性を知ることができることが判った。
PBRはストレス時のみならず、種々の不安障害(全般性不安障害・パニック障害・全般性社会恐怖など)や外傷性ストレス障害(PTSD)においても反応が示されている(Gavish M. et al., (1999) Pharmacol Rev 51: 629-650.)。本実施例により、1/3の日本人は不安に対する感受性が低く、ストレスにもなりにくい体質であることが示された。PBR遺伝子解析によるストレス感受性の判断は、これら不安障害などストレス性疾患の予防ならびに予後予想にも役立つものと期待される。
PBR受容体の遺伝子を示す図である。直線部分はイントロンを、ボックス部分はエクソンを示し、灰色部分はPBRコード領域を、白色部分は非コード領域を示す。 血小板PBRの発現量を示す図である。G485G(白色カラム)はG/Gホモ型、G485A(灰色カラム)はG/Aヘテロ型、及びA485A(黒色カラム)はA/Aホモ型を示す。**はP<0.005。各カラム中の( )内の数字は検体数を示す。 STAIを示す図である。G485G(白色カラム)はG/Gホモ型、G485A(灰色カラム)はG/Aヘテロ型、及びA485A(黒色カラム)はA/Aホモ型を示す。*はP<0.05。各カラム中の( )内の数字は、検体数を示す。
配列番号1:合成DNA
配列番号2:合成DNA

Claims (4)

  1. 末梢型ベンゾジアゼピン受容体のアミノ酸配列のうち第162番目のアミノ酸をコードするコドンの遺伝子多型を解析し、得られる解析結果ストレス感受性と関連づけることを特徴とする、ストレス感受性の検出方法
  2. 第162番目のアミノ酸をコードするコドン型がCGTホモ型、CGT/CATヘテロ型及びCATホモ型から選ばれる少なくとも1つである請求項1記載の方法。
  3. 遺伝子多型がG485A置換又はG650T置換による一塩基多型である請求項1記載の方法。
  4. 遺伝子多型の解析が、末梢型ベンゾジアゼピン受容体のアミノ酸配列のうち第162番目のアミノ酸をコードするDNAを含む遺伝子を増幅させ、得られる増幅産物について多型分析を行うものである、請求項1記載の方法。
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