JP4389018B2 - リチウムイオン導電性材料及びリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
Li+[M(SX)4-n,(Q)n]-
[上記の式において、MはB(ホウ素)もしくはAl(アルミニウム)を表わし、Xは、置換基を有していてもよい脂肪族基、芳香族基、もしくは芳香族基置換アルキル基を表わし、Qは有機配位子を表わし、そしてnは、0、1、2もしくは3を表わす]
で表わされるリチウム塩が固体微粒子として固体媒体中に分散されてなるリチウムイオン導電性材料にある。
Li+[M(SX)4-n,(Q)n]-
[上記の式において、Mは、BもしくはAlを表わし、Xは、置換基を有していてもよい脂肪族基、芳香族基、もしくは芳香族基置換アルキル基を表わし、Qは有機配位子を表わし、そしてnは、0、1、2もしくは3を表わす]
で表わされるリチウム塩が固体微粒子として固体媒体中に分散されてなるリチウムイオン導電性材料からなる導電性シート、そして陰極シートがこの順に重ね合わされた状態で巻き回されて収容されてなるリチウム二次電池にもある。
(1)従来のリチウムイオン導電性材料ではリチウムイオン輸率が0.5未満であるのに対して、本発明のリチウムイオン導電性材料ではリチウムイオン輸率が0.5以上、特に0.6〜0.8と高い値を示す。
(2)本発明のリチウムイオン導電性材料は熱安定性が高く、200℃まで作動可能である。
(3)本発明のリチウムイオン導電性材料は、固体媒体としてフッ素系ポリマーを使用することができ、従って膜強度の高いリチウムイオン導電性薄膜を形成することができる。(4)本発明のリチウム塩は水分に対して高い安定性を示し、かつ吸水性も低いため、リチウム二次電池の導電性材料として使用する前の材料保存や膜製造工程での湿度管理を緩和できる。
(5)膜の製造は、溶媒を使用しても、あるいは使用しなくても可能である。
(6)従来のリチウムイオン導電性材料では、その室温における導電率が10-4Scm-1程度で、既に限界と考えられているが、本発明のリチウムイオン導電性材料は、そのイオン伝導機構が従来と異なり、条件の整備により、室温における導電率を10-4Scm-1を超えることができると期待される。
(7)電極との界面特性が良くなる(界面抵抗が安定で低く抑えられる)と期待される。
(1)リチウム塩が固体微粒子の状態にある。
(2)Qが配位性の窒素原子もしくは酸素原子を有する有機配位子である。
(3)nが0もしくは1である。
(4)Mが、B(ホウ素)である。
(5)Xが、置換基として電子吸引性基を有する脂肪族基、芳香族基、もしくは芳香族置換アルキル基である。
(6)上記置換基がフッ素原子もしくはシアノ基である。
(7)Xが、置換基としてフッ素原子もしくはシアノ基を有する炭素原子数1〜12の脂肪族基、炭素原子数6〜12の芳香族基、もしくは炭素原子数6〜12の芳香族基が置換された炭素原子数1〜6のアルキル基を表わす。
(1)固体媒体中に固体微粒子状のリチウム塩が互いに接触状態で密に分散されている。
(2)固体媒体が、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(メトキシオリゴエチレングリコキシ)メタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、およびフッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選ばれる重合体である。
(3)固体媒体が、さらに可塑剤を含む。
(4)上記の可塑剤が、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる化合物である。
Li+[B(SX)4]-で表わされるリチウム塩は、水素化ホウ素リチウムとHSXで表わされるチオールとを、前者1モルに対して後者4モルの割合で溶媒に溶解させ、これを加熱することにより合成することができる。チオールの例としては、ベンゼンチオール、フッ素化ベンゼンチオール、アルキルチオール、およびフッ素化アルキルチオールを挙げることができる。上記の溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチルピロリドン、およびアセトニトリルを挙げることができる。また、加熱温度は一般に、室温〜150℃の範囲の温度が選ばれる。
30mLのテトラヒドロフラン(THF)にペンタフルオロチオール10.25g(5.12×10-2モル)を溶解して溶液を調製し、この溶液に2MのLiBH4(1.28×10-2モル)のTHF溶液6.40mLをゆっくり滴下し、次いで24時間加熱還流した。この還流の途中で生成物の沈殿が観察された。還流操作が終了した後、溶媒を減圧下で留去し、残渣をTHFで三回洗浄した。ついで、100℃で24時間減圧下で乾燥して、白色の生成物(7.30g)を得た。この生成物は、元素分析とIRからテトラキス(ペンタフルオロベンゼンチオレート)ホウ酸リチウムであると確認された。IR:980cm-1(B−S伸縮振動)
ポリエチレンオキシド(固体媒体)0.10gと実施例1で得たテトラキス(ペンタフルオロベンゼンチオレート)ホウ酸リチウム(リチウム塩)0.10gとを秤り取り、乳鉢で混合して、微粒子状の固体媒体と微粒子状のリチウム塩とが、質量比5:5で混合した混合物(リチウム塩比率:50質量%)を得た。次いで、得られた混合物を90℃でホットプレスによりシート状として、リチウム塩含有シートを得た。
同様にして、リチウム塩比率が各々、10質量%、20質量%、40質量%、60質量%、そして80質量%のリチウム塩含有シートを得た。
PEGDME(ポリエチレングリコールジメチルエーテル、分子量1000、固体媒体)0.16gと実施例1で得たテトラキス(ペンタフルオロベンゼンチオレート)ホウ酸リチウム(リチウム塩)0.04gとを秤り取り、70℃で12時間攪拌混合して、ワックス状の固体媒体に微粒子状のリチウム塩が、質量比8:2で混合した分散物(リチウム塩比率:20質量%)を得た。次いで、得られた分散物を40℃でホットプレスによりシート状として、リチウム塩含有シートを得た。
同様にして、リチウム塩比率が各々、40質量%と60質量%のリチウム塩含有シートを得た。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF、固体媒体)0.10gと実施例1で得たテトラキス(ペンタフルオロベンゼンチオレート)ホウ酸リチウム(リチウム塩)0.10gとを秤り取り、乳鉢で混合して、微粒子状の固体媒体と微粒子状のリチウム塩とが、質量比5:5で混合した混合物(リチウム塩比率:50質量%)を得た。次いで、得られた混合物を190℃でホットプレスによりシート状として、リチウム塩含有シートを得た。
同様にして、リチウム塩比率が各々、30質量%と70質量%のリチウム塩含有シートを得た。
20mLのアセトンにフッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP、固体媒体)0.18gを溶解させた溶液に、実施例1で得たテトラキス(ペンタフルオロベンゼンチオレート)ホウ酸リチウム(リチウム塩)0.12gの粉末を加え、12時間攪拌し、次いで30分間超音波を付与することにより分散液を得た。次いで、溶媒を減圧下で留去し、さらに80℃で24時間減圧下で乾燥した。この乾燥物を180℃ホットプレスによりシート状として、リチウム塩含有シート(リチウム塩含有率:40質量%)を得た。
18−クラウン−6(可塑剤)0.04gと実施例1で得たテトラキス(ペンタフルオロベンゼンチオレート)ホウ酸リチウム(リチウム塩)0.12gとを秤り取り、乳鉢で混合して、微粒子状の固体媒体と微粒子状のリチウム塩とが、質量比2:6で混合した混合物(リチウム塩比率:50モル%)を得た。次いで、得られた混合物を190℃でホットプレスによりシート状として、リチウム塩含有シートを得た。
同様にして、リチウム塩比率が各々、33モル%(可塑剤/リチウム塩=2.0)と66モル%(可塑剤/リチウム塩=0.5)のリチウム塩含有シートを得た。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)0.10g、18−クラウン−6(可塑剤)0.03g、そして実施例1で得たテトラキス(ペンタフルオロベンゼンチオレート)ホウ酸リチウム(リチウム塩)0.10gとを秤り取り、乳鉢で混合して、微粒子状の固体媒体と微粒子状のリチウム塩とが、質量比5:5で混合し、リチウム塩と可塑剤とが1:1のモル比で存在する混合物(リチウム塩比率:約50モル%)を得た。次いで、得られた混合物を190℃でホットプレスによりシート状として、リチウム塩含有シートを得た。
30mLのテトラヒドロフラン(THF)にペンタフルオロチオール10.25g(5.12×10-2モル)を溶解して溶液を調製し、この溶液に1MのLiAlH4(1.28×10-2モル)のTHF溶液12.8mLをゆっくり滴下し、次いで24時間加熱還流した。この還流の途中で生成物の沈殿が観察された。還流操作が終了した後、溶媒を減圧下で留去し、残渣をTHFで三回洗浄した。ついで、100℃で24時間減圧下で乾燥して、白色の生成物(7.30g)を得た。この生成物は、元素分析とIRからテトラキス(ペンタフルオロベンゼンチオレート)アルミン酸リチウムであると確認された。
ポリエチレンオキシド(固体媒体)0.10gと実施例1で得たテトラキス(ペンタフルオロベンゼンチオレート)アルミン酸リチウム(リチウム塩)0.10gとを秤り取り、乳鉢で混合して、微粒子状の固体媒体と微粒子状のリチウム塩とが、質量比5:5で混合した混合物(リチウム塩比率:50質量%)を得た。次いで、得られた混合物を90℃でホットプレスによりシート状として、リチウム塩含有シートを得た。
Claims (16)
- 下記の式:
Li+[M(SX)4-n,(Q)n]-
[上記の式において、MはBもしくはAlを表わし、Xは、置換基を有していてもよい脂肪族基、芳香族基、もしくは芳香族基置換アルキル基を表わし、Qは有機配位子を表わし、そしてnは、0、1、2もしくは3を表わす]
で表わされるリチウム塩が固体微粒子として固体媒体中に分散されてなるリチウムイオン導電性材料。 - 固体媒体中に固体微粒子状のリチウム塩が互いに接触状態で密に分散されている請求項1に記載のリチウムイオン導電性材料。
- Mが、Bである請求項1もしくは2に記載のリチウムイオン導電性材料。
- Xが、置換基として電子吸引性基を有する脂肪族基、芳香族基、もしくは芳香族基置換アルキル基である請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載のリチウムイオン導電性材料。
- 置換基がフッ素原子もしくはシアノ基である請求項4に記載のリチウムイオン導電性材料。
- 固体媒体が、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(メトキシオリゴエチレングリコキシ)メタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、およびフッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選ばれる重合体である請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載のリチウムイオン導電性材料。
- 固体媒体が、さらに可塑剤を含む請求項6に記載のリチウムイオン導電性材料。
- 可塑剤が、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる化合物である請求項7に記載のリチウムイオン導電性材料。
- 密閉容器中に、陽極シート、下記の式:
Li + [M(SX) 4-n ,(Q) n ] -
[上記の式において、Mは、BもしくはAlを表わし、Xは、置換基を有していてもよい脂肪族基、芳香族基、もしくは芳香族基置換アルキル基を表わし、Qは有機配位子を表わし、そしてnは、0、1、2もしくは3を表わす]
で表わされるリチウム塩が固体微粒子として固体媒体中に分散されてなるリチウムイオン導電性材料からなる導電性シート、そして陰極シートがこの順に重ね合わされた状態で巻き回されて収容されてなるリチウム二次電池。 - 固体媒体中に固体微粒子状のリチウム塩が互いに接触状態で密に分散されている請求項9に記載のリチウム二次電池。
- Xが、置換基として電子吸引性基を有する脂肪族基、芳香族基、もしくは芳香族基置換アルキル基である請求項9もしくは10に記載のリチウム二次電池。
- 置換基がフッ素原子もしくはシアノ基である請求項11に記載のリチウム二次電池。
- Mが、Bである請求項9乃至12のうちのいずれかの項に記載のリチウム二次電池。
- 固体媒体が、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(メトキシオリゴエチレングリコキシ)メタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、およびフッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選ばれる重合体である請求項9乃至13のうちのいずれかの項に記載のリチウム二次電池。
- 固体媒体が、さらに可塑剤を含む請求項14に記載のリチウム二次電池。
- 可塑剤が、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる化合物である請求項15に記載のリチウムイオン二次電池。
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