JP4386376B2 - イオン発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マイナスイオンやプラスイオンを生成するためのイオン発生装置に関する。イオン発生装置は、例えばヘアードライヤーや、ヘアーブローなどに組み込まれて、乾燥風と共にマイナスイオンを髪に送給するために使用される。
この種のイオン発生装置としては、例えば本出願人の提案に係る特許文献1が公知である。そこでは、絶縁性プラスチック材で構成した電極ホルダーと、電極ホルダーの筒壁の内外に配置される中央電極および対向電極と、筒壁に装着されて両電極を隔てる誘電筒などでイオン発生装置を構成している。使用時には、トランスで昇圧した高電圧のうち、ダイオードを通過したマイナス電流のみを中央電極に印加して、中央電極と対向電極との間にコロナ放電を生じさせ、空気中の酸素や微小水滴などにマイナスイオンを帯電させてマイナスイオン化することができる。なお、中央電極は先端が針状に尖らせてあり、対向電極は円筒状に形成してあって、その筒端縁(放電縁面)を、中央電極の軸心と直交し、かつ針状先端を通る同一平面内に位置させている。
本発明では対向電極の筒端に複数個の先鋭突起を設けるが、この種の電極構造は特許文献2に公知である。そこでは、絶縁性プラスチック材で構成した角ブロック状のホルダーに放電開口を形成し、放電開口の内周面に形成した段部に沿って平板状のアース電極を配置し、ホルダー内部に高電圧電極をアース電極と平行になる状態で埋設している。アース電極の放電端には複数個の尖端部が形成してある。この放電装置は、アース電極と高電圧電極との間に高電圧を印加してコロナ放電を起こし、フィルムや紙、あるいはコーヒー粉などの粉体に対して除電処理、または帯電処理を行うために使用される。
特許第3591723号公報(段落番号0031、図1) 特許第2622821号公報(段落番号0011、図2)
特許文献1のイオン発生装置を組み込んだヘアードライヤーによれば、イオン発生装置で生成したマイナスイオンを乾燥風と共に髪に向かって吹き付け供給できる。問題は、対向電極や中央電極の形状の僅かなばらつきや、電極ホルダーに対する組付位置の僅かなばらつきなどによって、個々のイオン発生装置の放電状態がばらつき、あるいは対向電極に綿埃が付着することで放電状態にばらつきを生じやすい。そのため、マイナスイオンの全体量にむらを生じ、あるいは放電部位が局部的に集約されてマイナスイオンの供給を均等に行えないおそれがある。
その点、特許文献2の放電装置は、対向電極に設けた複数個の尖端部に向かって放電線が安定的に生成できる。しかし、平板状のアース電極と、ホルダー内部に埋設される高電圧電極とを平行に配置するので、放電線の形成領域が段部の近傍に限られ、放電装置をヘアードライヤーに適用したとしても、マイナスイオンを均等に供給できない。
本発明の目的は、加工精度や組付精度の僅かなばらつきに左右されることなく、常に安定した状態でコロナ放電を起こすことができるうえ、従来のイオン発生装置に比べてマイナスイオンやプラスイオンの生成効率を向上できるイオン発生装置を提供することにある。
本発明のイオン発生装置は、筒壁30と、筒壁30の内面に設けられる筒底壁31とを含む絶縁プラスチック材製の電極ホルダー24と、筒壁30で囲まれる空間内に配置される放電電極25と、筒壁30の外周に配置されて放電電極25の周りを囲む対向電極26とを備えている。放電電極25の先端部分には針状に尖る放電ポイントPを設け、対向電極26には複数個の先鋭突起38を形成し、各先鋭突起38の突端38aは、筒壁30の中心軸線と直交する同一平面上に位置しており、各先鋭突起38の突端38aと放電電極25の放電ポイントPとの距離が、全て等しくなるように配置されており、各先鋭突起38の突端38aを等間隔に配置する。
筒壁30と、筒壁30の内面に設けられる筒底壁31とを含む絶縁プラスチック材製の電極ホルダー24と、筒壁30で囲まれる空間内に配置される放電電極25と、筒壁30の外周に配置されて放電電極25の周りを囲む対向電極26とを備えており、放電電極25の先端部分には針状に尖る放電ポイントPが設けてあり、対向電極26に複数個の先鋭突起38が形成してあり、各先鋭突起38の突端38aは、筒壁30の中心軸線と直交する同一平面上に位置しており、各先鋭突起38の突端38aと放電電極25の放電ポイントPとの距離が、全て等しくなるように配置されており、筒壁30の外周に沿って部分円弧状に配置された対向電極26の等間隔位置に、各先鋭突起38の突端38aを配置する。
放電電極25の放電ポイントPは、筒壁30の開口端面より筒底壁31の側へ凹んだ位置に設ける。
対向電極26の先鋭突起38の突端38aは、筒壁30の開口端面より筒底壁31の側へ凹んだ位置に設ける。
イオン発生装置に向かって風を送給する送風装置7を備えている。放電電極25の放電ポイントPは、対向電極26の先鋭突起38の突端38aと、筒壁30の開口端面との間に位置させてある。送風装置7で生起した風を対向電極26の周囲を経由して筒壁30の開口前方へ向かって送給することにより、両電極25・26のコロナ放電で生成したイオンを強制的に送給できるようにする。
電極ホルダー24に複数個の筒壁30を設け、各筒壁30で囲まれる空間内に放電電極25を配置する。放電電極25の周りを囲む1個の対向電極26を、各筒壁30の外周面に沿って連続配置する。
本発明では、筒壁30を備えた絶縁プラスチック材製の電極ホルダー24と、筒壁30内の空間に配置される放電電極25と、筒壁30の外周に配置されて放電電極25の周りを囲む対向電極26などでイオン発生装置を構成し、放電電極25の先端部分に、針状に尖る放電ポイントPを設け、さらに対向電極26に複数個の先鋭突起(以下、単に突起と記す。)38を形成した。このように、対向電極26に複数個の突起38を形成すると、各突起38の突端部分に放電弧を集約させて、コロナ放電を常に安定した状態で起こすことができ、従来構造のイオン発生装置において避けられなかった、個々のイオン発生装置における放電状態のばらつきを一掃できるうえ、マイナスイオンやプラスイオンの発生量をも増加できる。
放電電極25の放電ポイントPを、筒壁30の開口端面より筒底壁31の側へ凹んだ位置に設けると、放電ポイントPと先鋭突起38との間に形成される放電弧が、筒壁30の突端を回り込むように形成され、例えば筒壁30の開口付近において空気中の酸素や微小水滴をマイナスイオン化するので、マイナスイオンが対向電極26の電極部26aに付着するのをよく防止でき、その分だけマイナスイオンの発生量を増加できる。さらに、電極部26aの周面に綿埃が付着することがあっても、電極部26aの周面から筒壁30の開口の側へ突出する突起38の突端38aと放電ポイントPとの間でコロナ放電を起こすことができ、放電ポイントPと綿埃との間で火花放電(不整放電)が生じるのを極力避けることができる。
対向電極26の突起38の突端38aが、筒壁30の開口端面より筒底壁31の側へ凹んだ位置に設けてあると、突起38の位置を筒壁30の開口縁から充分に離すことができるので、コロナ放電によって生成されたマイナスイオン等が電極部26aに付着するのをさらに確実に防止できる。さらに、先と同様の理由で、電極部26aの周面に付着した綿埃と放電ポイントPとの間で火花放電が生じるのを極力避けることができる。
放電電極25の放電ポイントPを、対向電極26の突起38の突端38aと筒壁30の開口端面との間に位置させると、放電弧の弧頂から先鋭突起38の突端までの距離を、放電弧の弧頂から放電ポイントPまでの距離より大きくできるので、放電ポイントPと突起38の位置関係が逆に設定してある場合に比べて、一定の放電エネルギーを維持したままで、マイナスイオン等が電極部26aに付着するのを確実に防止して、マイナスイオン等の発生量をさらに増加できる。送風装置7で生起した風を対向電極26の周囲を経由して筒壁30の開口前方へ向かって送給する場合には、生成したマイナスイオン等を強制的に送給して、マイナスイオン等が電極部26aに付着するのをさらに確実に防止して、分布密度が高いマイナスイオン等を供給できる。
電極ホルダー24に複数個の筒壁30が設けてある場合に、各筒壁30の外周面に沿って1個の対向電極26を連続配置すると、筒壁30内に設けられる放電電極25ごとに対向電極26を設ける必要がないので、その分だけ放電部18の構造を簡素できるうえ、配線構造を簡素化して不整放電をよく防止できる。
(実施例) 図1ないし図9は本発明に係るイオン発生装置をヘアードライヤーに適用した実施例を示す。図2においてヘアードライヤーは、横長筒状の本体ケース1と、その下面一側に設けたハンドル2とを有し、これらケース構造体の内部に送風装置と、制御用の電気部品と、マイナスイオンを生成するためのイオン発生装置などを収容して構成してある。
ハンドル2の前面には、風量制御スイッチとヒータースイッチを兼ねるスイッチノブ3が設けてある。スイッチノブ3は、下端のオフ位置から上方へ向かってスライド変位させることにより、弱風、強風、ターボの順にスイッチ3aを切り換えて、モーター6の駆動回転数を大小に切り換えることができ、モーター6への通電がオン状態にあるとき、イオン発生装置も同時に駆動できる。ハンドル2は本体ケース1に対して、軸4の回りにケース下面に沿って折り畳み可能に連結してあり、その内部に先のスイッチ3aが収容してある。
本体ケース1の内部に組み込まれる送風装置は、ファンケース5と、ファンケース5の中央部分のホルダーに組み付けられるモーター6と、モーター6の出力軸に固定される軸流型のファン(送風装置)7と、十文字状に組まれた絶縁枠8に螺旋状に巻き付けられるヒーター9などで構成してある。ファン7は一方向へ回転駆動されて、本体ケース後端の吸込口12から吸い込んだ空気を加圧送給する。加圧された乾燥風は、ヒーター9の配置領域を経由する間に加熱されて温風となり、イオン発生装置で生成されたマイナスイオンと共に、本体ケース前端の吹出口13から吹き出し送給される。もちろん、ヒーター9への通電が停止された状態では、常温風とマイナスイオンとが送給される。
図1において、イオン発生装置は、商用電源(100V)を半波整流する整流回路15と、整流後の電流をパルス電流に変換するパルス発生回路16と、パルス電流を高電圧に昇圧するトランス17と、放電部18と、トランス17と放電部17との間に設けられるダイオード19などで構成してあって、マイナスイオンを生成できる。整流回路15、パルス発生回路16、トランス17およびダイオード19は樹脂モールド20内に埋設してある。図示したダイオード19を逆向きに接続すると、プラスイオンを生成できる。モーター6用のホルダーに隣接して円筒状の絶縁筒21が配置され、その内部に放電部18と樹脂モールド20とが収容してある。絶縁筒21はマイカ板で形成してあり、先に説明した絶縁枠8の中央交差部分をくり抜いて形成した凹部22に遊動不能に装着固定してある。
放電部18は、絶縁プラスチック材製の電極ホルダー24と、電極ホルダー24に組み付けられる放電電極25および対向電極26とで構成する。図5に示すように電極ホルダー24は、円盤状のベース壁28と、ベース壁28を4分割して絶縁枠21の側へ向かって伸びる4個の連結枠29とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。連結枠29で区分されたベース壁28の区画のひとつには、吹出口13と対向する円筒形の筒壁30が突設され、その内面中途部がベース壁28と面一状の筒底壁31で塞がれている。さらに絶縁筒21と隣接する側のベース壁28には、先の筒壁30に対応して多角形状のリブ筒32が突設してある。筒底壁31の中央には、放電電極25を組み付けるための穴33(図1参照)が前後貫通状に形成してある。各連結枠29に形成した横臥L字状の溝34に絶縁枠8を係合装着することにより、十文字状に組まれた絶縁枠8と電極ホルダー24とを互いに補強して位置決めできる。
放電電極25は、先端が針状に尖らせてある金属線材からなり、その中途部を直角に折り曲げてL字状に形成してある。図1に示すように放電電極25をリブ32の側から穴33に挿通し、その先端部分の大半を筒壁30の内面に突出させることにより、筒壁30で囲まれる空間の中央部位に、先端の放電ポイントPを位置させることができる。放電電極25はタングステン線材で形成する。
対向電極26は、銅または鉄系合金の薄板を素材にして形成されるプレス金具からなり、円筒状ないしリング状の電極部26aと、電極部26aの一端から連出されるリード脚26bとを一体に備えている。電極部26aは筒壁30の外周面の基端部分に配置されて、先の放電電極25の周りを囲んでいる。図6に示すようにリード脚26bはひとつの絶縁枠8に沿って折り曲げられて、絶縁枠8に対してハトメ(筒状リベット)35で給電リード36と共にかしめ固定されている。このように、リード脚26bと給電リード36をハトメ35でかしめ固定すると、両者26b・36をハンダ付けする必要がないので、ハンダ用フラックスが周辺に流れて、放電電極25と給電リード39の接続部と導電性のフラックスとの間で不整放電(スパーク)が生じるのを確実に防止できる。
上記のように、乾燥風との関係で、ベース壁28より風上側に放電電極25と給電リード39との接続部を配置し、ベース壁28より風下側に対向電極26と給電リード36との接続部を配置すると、両接続部をベース壁28で確実に絶縁した状態で隔てることができ、したがって、両接続部の間で無用な放電が起こるのを防止して、イオン発生量が低下するのを防止できる。また、電極部26aと一体に設けたリード脚26bを絶縁枠8にハトメ35で固定すると、対向電極26の給電リード36を常に一定位置に固定して、両給電リード36・39の接続部の間で不整放電が起こるのを防止できる。
放電電極25と対向電極26との間に常に安定した状態のコロナ放電を起こし、さらに、従来のイオン発生装置に比べてマイナスイオン(またはプラスイオン)の生成効率を向上するために、本発明のイオン発生装置では、リング状の電極部26aの放電縁面側に複数個の先鋭突起(突起)38を設け、さらに放電電極25の放電ポイントPと、先鋭突起38と、筒壁30の開口端面との三者の位置関係を以下のように設定する点に特長がある。
詳しくは、図1に示すように放電電極25の放電ポイントPを、筒壁30の開口端面より筒底壁31の側へ寸法H1だけ凹んだ位置に設け、さらに、対向電極26の先鋭突起38の突端38aを、筒壁30の開口端面より筒底壁31の側へ寸法H2だけ凹んだ位置に設けて、放電ポイントPの位置を先鋭突起38の突端38aと筒壁30の開口端面との間に位置させる。つまり、不等式(0<H1<H2)を満足する位置関係に設定する。この実施例では、筒壁30の突出寸法を5.0mmとするとき、H1を1.5mmとし、H2を3.0mmとした。先鋭突起38は連続山形に形成してあり、この実施例では電極部26aの周囲7箇所に先鋭突起38を形成した(図5参照)。図1における符号39は中央電極25用の給電リード、40は絶縁性のシール材である。
上記の放電部構造によれば、放電電極25と正対する側から見て、筒壁30と対向電極26とは、それぞれ放電ポイントPを中心とする仮想円上に位置して同心円状になっており、しかも各先鋭突起38の突端38aは、筒壁30の中心軸線と直交する同一平面上に位置することになる。つまり、各先鋭突起38は、その突端38aと放電ポイントPとの距離が、全て等しくなるように配置してあり、したがって、各突端38aと放電ポイントPとの間に形成される放電弧の長さを均等化ができる。
吹出口13には、プレス金具からなる吹出口グリル42が配置され、その中央部分にプラスチック製の補助グリル43が固定してある。図4および図8に示すように補助グリル43は、吹出口グリル42の中央穴に外面側から嵌め込まれるリング枠43aと、リング枠43aの内部を十文字状に区分する交差枠43bとを一体に備えている。先の筒壁30は交差枠43bで区分されたひとつの区画に収まるように配置してあり、この区画に向かって送給されるマイナスイオンが金属製の吹出口グリル42に吸着されるのを防ぐために、先の区画に臨むリング枠43aの4分周縁に連続して、規制壁44が電極ホルダー24へ向かって突設してある(図4参照)。したがって、イオン発生装置で生成されたマイナスイオンは、補助グリル43の開口面から吹き出し送給される。
上記のように、対向電極26の放電縁面に先鋭突起38を設け、さらに、先に説明したように、放電ポイントPの位置を先鋭突起38の突端38aと筒壁30の開口端面との間に位置させたイオン発生装置によれば、従来構造のイオン発生装置において避けられなかった、個々のイオン発生装置における放電状態のばらつきを一掃して、常に安定した状態でコロナ放電を起こすことができ、しかも、マイナスイオンの生成効率を向上できた。具体的には、同じ構造のヘアードライヤーに、従来構造のイオン発生装置と、本発明に係るイオン発生装置を組み込んで、吹出口13から40cm離れた位置におけるマイナスイオンの数を計測した結果、従来装置では1200〜1400万個であったが、本発明装置では1700万個強と、分布密度が高い状態でマイナスイオンを送給できた。また、吹出口13から50cm離れた位置におけるマイナスイオンの数は、従来装置では400万個であったが、本発明装置では500〜600万個であった。
本発明のイオン発生装置は、図9の比較例に示す構造で実施することができる。そこでは、先鋭突起38の突端38aの位置が、放電ポイントPの位置と筒壁30の開口端面との間に位置するように対向電極26を構成した。この場合にも、個々のイオン発生装置における放電状態のばらつきはなく、安定した状態でコロナ放電を起こすことができる。図9において、コロナ放電時の放電弧(放電線)を符号Cで示している。
しかし、比較例においては、先鋭突起38が筒壁30の開口縁に近接するため、空気中の酸素や微小水滴と結合したマイナスイオンが、対向電極26の電極部26aに付着しやすく、さらに、電極部26aに綿埃が付着する場合に、火花放電(不整放電)を生じやすく、コロナ放電を常に安定的に行うことに関して僅かな懸念がある。因みに、上記実施例におけるイオン発生装置においては、先鋭突起38の位置が筒壁30の開口縁から充分に離れているため、コロナ放電によって生成されたマイナスイオンは、筒壁30の周囲を流れる乾燥風によって速やかに吹出口13へ送給され、マイナスイオンが電極部26aに付着する現象は見られない。
図10は、イオン発生装置の別の実施例を示す。図10(a)では、電極ホルダー24に2個の筒壁30を設け、各筒壁30で囲まれる空間内に放電電極25を配置し、2個の筒壁30の周りに眼鏡形の1個の対向電極26を配置した。その場合に、各放電電極25と対向電極26との放電弧の干渉を避けるために、電極部26aにおいて隣接する筒壁30・30の間を繋ぐ橋絡部分26cでは先鋭突起38を省略した。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同様に扱う。
図10(b)では、電極ホルダー24に3個の筒壁30を設け、各筒壁30で囲まれる空間内に放電電極25を配置し、3個の筒壁30の周りに1個の対向電極26を配置した。その場合にも、上記の対向電極26と同様に、隣接する筒壁30・30の間を繋ぐ橋絡部分26cでは先鋭突起38を省略して、放電弧の干渉を避けるようにした。
図11(a)〜(d)は先鋭突起38の変形例を展開図で示している。図11(a)では、電極部26aの放電縁面に山形の先鋭突起38を一定間隔おきに形成し、周方向へ隣接する先鋭突起38の山裾部分どうしを平坦な谷部で繋ぐようにした。図11(b)では、電極部26aの放電縁面に連続山形の先鋭突起38を形成した。その場合の先鋭突起38の隣接ピッチは、図1で説明した先鋭突起38の隣接ピッチより小さく設定して、先鋭突起38の総数を増加した。図11(c)では、図11(b)に示す対向電極において、周方向に隣接する先鋭突起38を2個おきに省略して、2個を一組とする先鋭突起38が一定間隔おきに隣接するようにした。図11(d)では、電極部26aの放電縁面の周方向4個所に限って山形の先鋭突起38を設けるようにした。
図12は、イオン発生装置のさらに別の実施例を示す。そこでは、放電電極25の放電ポイントPの位置寸法H1を、図1で説明した実施例に比べて小さくして、放電ポイントPを筒壁30の開口面に近づけ、放電ポイントPの位置寸法H1と、先鋭突起38の突端38aの位置寸法H2との差寸歩H3が大きくなるようにした。このように、放電ポイントPを筒壁30の開口面に接近配置すると、突起38の位置を筒壁30の開口縁から充分に離した状態で、筒壁30の開口付近において空気中の酸素や微小水滴をマイナスイオン化できるので、マイナスイオンが対向電極26の電極部26aに付着するのをよく防止でき、その分だけマイナスイオンの発生量を増加できる。さらに、電極部26aの周面に付着した綿埃と放電ポイントPとの間で火花放電が生じるのを避けることができる。
図13ないし図15は、それぞれ対向電極26の別の実施例を示す。図13においては、板材の片面に断面三角形状の先鋭突起(突起)38が一定間隔おきに形成してある押出材(または切削材)を素材にして、突起38と直交する向きに長い帯状のブランクを形成し、このブランクを突起38が内向きになる状態でリング状に折り曲げて対向電極26とした。この場合には、筒壁30の周面に外接する突起38の突端38aと放電ポイントPとの間に放電弧が形成される。
図14においては、連続波型に折り曲げられたブランク材を、リング状に折り曲げて対向電極26とした。この場合には、筒壁30の周面に外接する波形の突起38の突端38aと放電ポイントPとの間に放電弧が形成される。なお、波形の突起38を三角形状の山形に形成すると、突端38aの形状を先鋭にできるので、電界の集中度を高めて放電弧を突端38aに集中させることができる。
図15においては、対向電極26の形状を、放電ポイントPを中心とする部分球面状の椀形に形成し、その開口面より内側の内面壁に4個の先鋭突起(突起)38を折り起こし形成した。椀形の対向電極26は、例えば電鋳法によって形成されるメッシュ状の板材を素材にして形成でき、扇形に打ち抜かれたブランク材にプレス加工を施して形成する。先鋭突起38は、メッシュ状の板材を電鋳する際に同時に形成しておき、プレス加工が終了した後に折り起こし形成する。この場合の放電ポイントPと各先鋭突起38との距離は同じであり、各突起38の突端38aは放電ポイントPを中心とする円周上に位置する。椀形の対向電極26は、内面壁の全てが筒壁30から離れた位置にあるので、椀底部分をベース壁28に固定する。筒壁30の基端周面には、通風口92が開口してある。ファン7から送出された乾燥風の一部は、先の通風口92を介して筒壁30の周囲を吹き抜けるので、対向電極26に付着しようとするマイナスイオンを、吹出口13の側へ向かって強制的に送給して、マイナスイオンの送給量を向上できる。
上記以外に対向電極26は、無端リング状に形成することができる。先鋭突起38は山形に形成する必要はなく、鋸刃状、木の葉状、櫛刃状など先すぼまり形状に変更することができる。必要があれば、複数個の分割片で対向電極26を構成することができる。また、金属線材を例えば連続山形に折り曲げて対向電極26とすることができる。パンチングメタルやエキスパンドメタルで形成してもよい。必要に応じて、筒壁30の内面にマイカ板で形成した誘電筒を配置することができる。筒壁30は円筒形である必要はなく、多角形筒状に形成することができる。上記の各実施例における先鋭突起(突起)38の突端38aは、放電ポイントPを中心とする仮想円周上に位置させてある。
上記の実施例では、イオン発生装置をヘアードライヤーに適用した場合について説明したが、本発明のイオン発生装置は、ヘアーブローやストレーターなどの髪処理器や、足乾燥機、扇風機などに組み込むことができる。また、プラスイオンや、オゾンを生成し送給するために使用することができ、除電器として使用することができる。
イオン発生装置の概略断面図である。 ヘアードライヤーの側面図である。 ヘアードライヤーの縦断側面図である。 イオン発生装置とその周辺構造を示す断面図である。 イオン発生装置とその周辺構造を示す分解斜視図である。 図4におけるA−A線断面図である。 図4におけるB−B線断面図である。 図4におけるC−C線断面図である。 対向電極の構造の違いに伴う放電弧の違いを示す説明図である。 イオン発生装置の別の実施例を示す正面図である。 先鋭突起の変形例を示す対向電極の展開図である。 イオン発生装置のさらに別の実施例を示す断面図である。 対向電極の別の実施例を示す横断面図である。 対向電極の別の実施例を示す横断面図である。 対向電極の別の実施例を示す縦断面図である。
符号の説明
24 電極ホルダー
25 放電電極
26 対向電極
30 筒壁
31 筒底壁
38 先鋭突起

Claims (6)

  1. 筒壁(30)と、筒壁(30)の内面に設けられる筒底壁(31)とを含む絶縁プラスチック材製の電極ホルダー(24)と、筒壁(30)で囲まれる空間内に配置される放電電極(25)と、筒壁(30)の外周に配置されて放電電極(25)の周りを囲む対向電極(26)とを備えており、
    放電電極(25)の先端部分には針状に尖る放電ポイント(P)が設けてあり、
    対向電極(26)に複数個の先鋭突起(38)が形成してあり、
    各先鋭突起(38)の突端(38a)は、筒壁(30)の中心軸線と直交する同一平面上に位置しており、各先鋭突起(38)の突端(38a)と放電電極(25)の放電ポイント(P)との距離が、全て等しくなるように配置されており、
    各先鋭突起(38)の突端(38a)が等間隔に配置されていることを特徴とするイオン発生装置。
  2. 筒壁(30)と、筒壁(30)の内面に設けられる筒底壁(31)とを含む絶縁プラスチック材製の電極ホルダー(24)と、筒壁(30)で囲まれる空間内に配置される放電電極(25)と、筒壁(30)の外周に配置されて放電電極(25)の周りを囲む対向電極(26)とを備えており、
    放電電極(25)の先端部分には針状に尖る放電ポイント(P)が設けてあり、
    対向電極(26)に複数個の先鋭突起(38)が形成してあり、
    各先鋭突起(38)の突端(38a)は、筒壁(30)の中心軸線と直交する同一平面上に位置しており、各先鋭突起(38)の突端(38a)と放電電極(25)の放電ポイント(P)との距離が、全て等しくなるように配置されており、
    筒壁(30)の外周に沿って部分円弧状に配置された対向電極(26)の等間隔位置に、各先鋭突起(38)の突端(38a)が配置されていることを特徴とするイオン発生装置。
  3. 放電電極(25)の放電ポイント(P)が、筒壁(30)の開口端面より筒底壁(31)の側へ凹んだ位置に設けてある請求項1又は2記載のイオン発生装置。
  4. 対向電極(26)の先鋭突起(38)の突端(38a)が、筒壁(30)の開口端面より筒底壁(31)の側へ凹んだ位置に設けてある請求項3記載のイオン発生装置。
  5. イオン発生装置に向かって風を送給する送風装置(7)を備えており、
    放電電極(25)の放電ポイント(P)が、対向電極(26)の先鋭突起(38)の突端(38a)と、筒壁(30)の開口端面との間に位置させてあり、
    送風装置(7)で生起した風を対向電極(26)の周囲を経由して筒壁(30)の開口前方へ向かって送給することにより、両電極(25・26)のコロナ放電で生成したイオンを強制的に送給できる請求項3または4記載のイオン発生装置。
  6. 電極ホルダー(24)に複数個の筒壁(30)が設けられ、各筒壁(30)で囲まれる空間内に放電電極(25)が配置されており、
    放電電極(25)の周りを囲む1個の対向電極(26)が、各筒壁(30)の外周面に沿って連続配置してある請求項3、4または5記載のイオン発生装置。
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