JP4385152B2 - 2価反応性水溶性高分子誘導体及びそれを含有する複合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペーサーとして、リガンド(抗原、抗体等のタンパク質、ホルモン等)と低分子薬剤、マーカー分子、タンパク質、ミセル、またはリポソームなどの作用性物質が結合するヘテロな2価反応性水溶性高分子誘導体、それにより得られる複合体、該複合体を含有する医薬・診断薬組成物及び該複合体の製造方法に関する。本発明で得られる複合体は、医薬品運搬体、診断、検査等に用いることができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、医薬品、同位元素、マーカ物質等に対し、抗原、抗体、トランスフェリン等のタンパク質やホルモンなどのリガンドを結合させることで特異性を付与する研究開発が多岐にわたる分野で行われている。
特に抗体等のタンパク質を抗癌剤等の医薬品や放射性同位元素、毒素等のタンパク質に結合させて部位特異的医薬品や特異性の高い診断薬として利用することが期待されている。また抗体とアルカリフォスファターゼ等の酵素を結合した複合体もアッセイ用試薬などで実用化されている。
【0003】
これらの複合化は直接結合あるいはリポソーム等のキャリアを介して行われており、抗体を例にとれば抗体糖鎖をアルデヒドに酸化し、ヒドラジド基を付与した作用物質(酵素、リポソーム等)と結合させる方法や、抗体のアミノ基にマレイミド基を導入し作用物質にチオール基を導入し結合させる方法、還元剤により内在性のジスルフィド基を還元しチオールを生じさせ反応させる方法、アビジン・ビオチンを介して結合する方法などがある(総説、酵素免疫測定法第3版 石川ら医学書院(1987))。
【0004】
一方、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」と称することもある。)はフレキシブルな水溶性高分子でありタンパク質修飾剤として多くの例が検討されきた。PEGは低毒性、低免疫源性であり、さらにPEG修飾によりタンパク質の血中滞留性を大きく改善する効果が公知となっている(「DDSの進歩1995−1996」中山書店 p82−94(1995))。
【0005】
最近、このPEGを上記で述べたようなスペーサーとして使用する研究も行われており、特にリポソーム分野ではPEG部分をスペーサーとした抗体結合リポソームについての研究が盛んになっている。
また、極性基を有する脂質や両親媒性のポリマー等は、脂質ミセル、高分子ミセル、リポソーム、脂質ミセル閉鎖2重層等の微粒子を形成することが知られている。
【0006】
これらの微粒子を薬剤や核酸等のキャリアーとして利用する試みが近年多くなされている。リポソームでは脂質相に脂溶性物質を、内部水相に水溶性物質を封入でき、低分子化合物のみならずタンパク質などの高分子物質まで担持できることから、薬剤、タンパク質、核酸などのDDS用キャリアーとして数多くの研究がなされている。近年、薬剤の封入による毒性低減等の効果に加え、リポソーム表面に抗体、糖鎖などを結合することによるターゲッティング機能等を付与されたリポソームの実用化研究も進展している。
【0007】
一方、リポソームの一般的欠点である凝集、肝臓、脾臓等の網内系での非特異的捕捉に関してはポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリグリセリン等の水溶性高分子をリポソームに導入することで改善されることが知られるようになった。特にポリエチレングリコール修飾に関しては非常に多くの研究がなされ、ポリエチレングリコール修飾による網内系での取り込み抑制が効果的であることは周知である。
【0008】
さらにリポソームにターゲッティング機能と網内系回避効果を合わせ持たせるためにポリエチレングリコールで修飾したリポソームのポリエチレングリコール末端にさらに抗体等のターゲッティングリガンドを結合させたリポソームが開示されている。
すなわち、官能基を付与したポリエチレングリコール−脂質誘導体を介して抗体とリポソームを複合体化する方法が示されてきており、以下を例示することができる。(Klibanovら J.Liposome Res.2 (1992)321、特開平6−126152号公報、特開平6−220070号公報、WO94/22429、Hansenら BBA 1239(1995)133、Shahinianら BBA 1237(1995)99)。
【0009】
これらは、脂質とポリエチレングリコール誘導体を有機溶媒中で反応し、脂質−PEG−官能基なる化合物を合成する。さらに他の構成脂質と共にリポソーム化したのち抗体と結合させることで抗体−PEG−リポソームの複合体を得る。
具体的なポリエチレングリコール脂質誘導体としては特開平6−126152号公報では脂肪族炭化水素−PEG−カルボニルイミダゾールが、さらに特開平6−220070号公報、BBA 1237(1995)99ではフォスファチジルエタノールアミン(PE)−PEG−マレイミドが、また、WO94/22429、Hansenら BBA 1239(1995)133ではPE−PEG−NH2 −Biotin、ジステアロイルフォスファチジルエタノールアミン(DSPE)−PEG−ヒドラジド(Hz)、DSPE−PEG−3−(2−ピリジルチオ)プロピオニル(PDP)を用いた抗体結合リポソームが開示された。
【0010】
これらにより抗体の結合率が向上すること、また、血中動態が改善されることが示された。
しかしながら同時にいくつかの問題点も指摘された。すなわちDSPE−PEG−Hzを用いた方法では抗体処理の過程で抗体活性の低下があり、また抗体の結合効率があまり改善されないことが示された。DSPE−PEG−PDPではリポソーム化後に還元処理が必要であり封入薬剤への影響の可能性があり、かつ、操作が煩雑であることが、PE−PEG−NH2 −ビオチンではアビジン/ビオチンを介した結合であり、生体内投与では異種蛋白としての免疫源性が考えられること、さらに、脂肪族炭化水素−PEG−カルボニルイミダゾールではPEG誘導体が封入すべき薬剤のアミノ基と反応してしまう可能性があること等の問題が挙げられた。
【0011】
さらに十分な効率で抗体を結合させるには抗体に対し過剰量のPEG脂質誘導体をリポソームに組み込まねばならず、そのため抗体結合後においても活性基を有するPEG部分が他成分(in vivo投与の場合は生体成分)と反応し易い境界領域に過剰に残存することになる。またこのような量の脂質−PEG−官能基誘導体をリポソームに組み込んだ場合、リポソーム内封物の漏れが加速されることも示されている(BBA 1237(1995)99)。
これらの点で従来技術は必ずしも十分満足いくものではなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる従来の問題点を解決すべく検討した結果、合成水溶性高分子の誘導体であってアミノ基との反応性部位及びチオール基または潜在的なチオール基(例えばS−アセチルチオ基)を有することを特徴とするヘテロな2価反応性水溶性高分子をスペーサーとして用いることで従来の問題点を改善することができることを見いだした。
【0013】
また、ヘテロな2価反応性の水溶性高分子誘導体をまずリガンドに結合し、ついでその他端を介してミセル等の作用性物質に結合する、さらに必要に応じて作用性物質と反応性を有する1価の水溶性高分子を結合する工程を用いて容易にリガンド結合体を製造する方法を見いだした。
即ち、本発明によれば、アミノ基との反応性部位及びチオール基部分または潜在的チオール基部分を有することを特徴とする2価反応性水溶性高分子誘導体;下記式(I)で表わされる上記の水溶性高分子誘導体;
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Sはチオール基部分または潜在的チオール基部分を表わし、Pは水溶性高分子を表わし、Nはアミノ基との反応性部位を表わす。また、R1 及びR2 は任意の連結基を表わすが、R1 及び/またはR2 は必須ではない。);潜在的チオール基がS−アセチルチオ基である上記の高分子誘導体;水溶性高分子が生分解性ポリマーまたはポリエチレングリコールである上記の高分子誘導体;水溶性高分子がポリエチレングリコールである上記の高分子誘導体;アミノ基との反応性部位がスクシンイミド基である上記の高分子誘導体;上記の高分子誘導体を介してリガンドと作用性物質が結合した複合体;下記式(II)で表される上記の複合体;
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、Lは作用性物質を表わし、Aはリガンドを表わし、S,R1 ,P,R2 及びNは前記と同義を表わす。);作用性物質が低分子薬剤、マーカー分子、タンパク質、ミセル及びリポソームから選ばれる上記の複合体;作用性物質がリポソームまたはミセルである上記の複合体;リガンドが抗体である上記の複合体;リガンドが1−3−1抗体である上記の複合体;作用性物質に、さらに、作用性物質と反応性を有する1価反応性水溶性高分子誘導体が結合した上記の複合体が提供される。
【0018】
さらに、上記の複合体を含有する医薬組成物;抗腫瘍剤として使用することを特徴とする上記の医薬組成物;上記の複合体を含有する診断薬組成物;上記の2価反応性水溶性高分子誘導体をリガンドに結合させ、次いで該水溶性高分子誘導体の他端を介して作用性物質に結合させる工程からなる上記の複合体の製造方法;さらに、作用性物質と反応性を有する1価反応性水溶性高分子誘導体を結合させる工程を含む上記の製造方法;2価反応性水溶性高分子誘導体とリガンドが、リガンドのアミノ基を介して結合している上記の製造方法;2価反応性水溶性高分子誘導体と作用性物質が、2価反応性水溶性高分子誘導体のチオール基部分を介して作用性物質のチオール基反応性部分と結合している上記の製造方法が提供される。
【0019】
すなわち、本発明の水溶性高分子(以下、「本高分子化合物」または「本水溶性高分子」と称することもある。)をまずアミノ基を有するリガンドと結合しチオール基付与PEG−リガンド複合体を得(Sアセチルチオ基の場合は穏和な条件で脱アセチル後)、さらにチオール反応性部位を付与されたリポソーム等の作用性物質と混合し反応させることで容易にリガンド−PEG−作用性物質複合体を得ることができた。
【0020】
これによれば抗体等リガンドの活性低下を招く恐れのある酸化や還元を必要としない。また作用性物質に影響をあたえる可能性の少ないチオール基を介した反応方法で複合体形成が可能となった。
驚くべきことに、本高分子化合物を介して、例えば、抗体とリポソームを結合すると、高分子部分を有しない同じ組み合わせの官能基を有する低分子化合物を介して結合した場合に比較しターゲット細胞に対する高い結合活性を示すことが見いだされた。さらに従来指摘されていた内封物の漏れを低減する効果も見いだされた。
【0021】
また、本方法によれば先に抗体等のリガンド−PEG誘導体を形成するため、従来法のような熱力学的に不安定な作用性物質に、過剰な官能基PEG脂質誘導体を導入することなくリガンド−PEG結合体形成が可能である。その為、従来の官能基PEG脂質により生じる可能性のある影響をうけることなく、リポソーム等の作用性物質製造技術、薬剤等の封入技術等従来の知見を十分利用し、作用性物質を形成することが可能である。
【0022】
また従来法ではリガンド結合後においても活性基を有するPEG部分が他成分(in vivo投与の場合は生体成分)と反応し易い境界近傍に過剰に残存することになるがこの問題点も生じない。
またヘテロな2価反応性の水溶性高分子誘導体を用いることにより、抗体等リガンドの活性低下を招く恐れのある酸化や還元を行う必要がない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の水溶性高分子誘導体は2価反応性である。本発明において、2価反応性とは、同一分子内にある官能基と反応し得る基が2つあり、かつ、それらが異なるものである場合をいう。
【0024】
本発明に用いられる水溶性高分子はポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリグリセリン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリアミノ酸等の合成高分子であり、好ましくはポリエチレングリコールである。また、ポリアミノ酸、ポリオキシ酸等の生分解性ポリマーも好適に使用される。分子量は約500〜20000が好ましく、1500〜10000がより好ましく、さらに好ましくは2000から6000である。
【0025】
本発明の水溶性高分子誘導体は上記のような水溶性高分子の一方の末端にチオール基部分あるいは潜在的チオール基部分を有し、他端にアミノ基との反応性部位を有する。
潜在的チオール基とは、保護されたチオール基のことであり、適当な処理により脱保護することができる。好ましくはアセチルチオ基が挙げられる。
チオール基あるいは潜在的チオール基は直接水溶性高分子に付加してもよく、あるいは連結基として中間にアルキレン、カルボニル、エステル、アミド等を介して結合してもよい。
【0026】
アミノ基との反応性部位としては、そのカルボキシル基あるいは水酸基がアミノ基との縮合反応をすることができる部位をいう。具体的には、スクシンイミドエステル、イソチオシアネート、スルフォニルクロライド、カルボニルイミダゾール等を用いて達成することができるが、より好ましくは、スクシンイミドエステルである。なお、アミノ基との反応性部位も、直接水溶性高分子に付加してもよいし、上記のような連結基を介して結合しても良い。
【0027】
本発明の水溶性高分子誘導体は、限定するものではないが、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルで活性化したポリエチレングリコールとメルカプトエチルアミンを反応することで得ることができる。またアミノ基及びカルボキシル基を有するポリエチレングリコールにS−アセチルチオグリコール酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SATA)、S−アセチルチオプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルあるいはS−アセチルチオ酢酸・無水物を反応させ、アミノ末端にS−アセチルチオ基を導入し、さらにカルボキシル基をN−ヒドロキシスクシンイミドとN,N′−ジクロロヘキシルカルボジイミド又はトリフルオロ酢酸p−ニトロフェニルエステルで活性化することで得ることができる。
【0028】
上記のようにして得られた本発明の2価反応性水溶性高分子誘導体は、リガンドと作用性物質を結合した複合体を形成することができる。
リガンドは好ましくはアミノ基を有している必要があり、本水溶性高分子のアミノ基との反応性部位と結合する。リガンドとしては、レクチン、抗原、抗体、ホルモン、伝達物質等が挙げられる。好ましくは抗体、より好ましくは大腸癌反応性の1−3−1抗体である。また、後述の複合体の製造方法の記述の欄で述べているようなリガンドも使用可能である。
【0029】
アミノ基を有するリガンドと本水溶性高分子との結合は、水溶液中でリガンドと本水溶性高分子とを混合し常温で反応させることで容易に達成できる。リガンドに対する高分子誘導体のモル比は約0.3〜50倍が好ましく、より好ましくは0.8〜30倍程度である。
なお、本水溶性高分子としてS−アセチルチオ基を付与した高分子を用いる場合は、上記のようにしてリガンドに結合させた後、脱アセチルしてチオール基とした後、以下で述べる作用性物質との結合に供することができる。脱アセチル条件は実質的にリガンドが安定な穏和な条件であれば特に限定されるものではないが、好ましくはヒドロキシルアミンを用い中性の緩衝溶液中、常温で、終濃度でおよそ5mMから200mM好ましくは20mMから200mM、より好ましくは20mMから100mMの範囲で反応させることで達成される。
【0030】
上記のようにして、リガンドを結合させた後、本水溶性高分子の他端に、作用性物質を結合させることができる。
作用性物質とは、メトトレキセート、マイトマイシンC、ドキソルビシン、ダウノマイシン等の低分子薬剤、アミノフルオレッセイン、フルオレッセインカダベリン、ルシフェリルイエローカダベリン、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等のマーカー分子、ネオカルシノスタチン、ジフテリアトキシンA鎖、リシンA鎖、ウロキナーゼ、エラスターゼ、アルギナーゼ、アスパラギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、プラスミノーゲンアクチベーター、インターロイキン2、TNF等のタンパク質、エンドルフィン、カルシトニン、ブラジキニン、CRF関連ペプチド等のペプチドミセル、リポソームが挙げられるが、本発明で好ましいのはミセル、リポソームである。なお、ミセル、リポソーム中には、医薬品や診断薬が封入されていても良い。ミセルについては後述する。
【0031】
これらに封入しうる医薬品としてはアドリアマイシン、ダウノマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、マイトマイシン、ブレオマイシン、アクチノマイシン、5−FU(フルオロウラシル)等の抗腫瘍剤、チモロール等のアドレナリン遮断剤、クロニジン等の高血圧剤、プロカインアミド等の制吐剤、クロロキニーネ等の抗マラリア剤、アンフォテンシン等の抗生物質、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩及び誘導体;リシンAやジフテリアトキシン等の毒素タンパク質及びそれをコードするDNA、TNF等のサイトカイン遺伝子をコードするDNA、アンチセンスDNA等にヌクレオチド類等が挙げられる。上記抗腫瘍剤等の薬学的に許容しうる塩としては、多価陰イオン性物質との塩、例えばクエン酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩が好ましい。特に好ましくは抗腫瘍剤が挙げられる。
【0032】
また、診断薬としては、放射性元素、例えばインジウム、テクネシウム等のイメージング薬剤;ホースラディシュパーオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等の酵素;ガドリニューム等のMRI造影剤;ヨーソ等のX線造影剤;CO2 等の超音波造影剤;ユーロピウム誘導体、カルボキシフルオレッセイン等の蛍光体;N−メチルアクリジウム誘導体等の発光体等が挙げられる。
これら医薬品及び診断薬用のミセル、リポソームへの導入は、それ自体既知の通常用いられる方法で行うことができる。例えばミセル、リポソーム形成時にpH勾配等の濃度勾配を形成させ、このポテンシャルを駆動力としてイオン化可能な薬剤を取り込ませる方法(Cancer Res.49 5922(1989))を用いてもよい。
【0033】
作用性物質には既知の方法によりチオール基との反応性部位を付与させて用いる。すなわち、マレイミド基、アルキルハライド基、アジリディン基、ピリジルジチオ基等から選ばれる反応基を用いることができるが、好ましくはマレイミド基である。特に限定するものではないが、具体例としてはマレイミドカプロイルジパルミチルフォスファチジルエタノールアミン(特開平4−346918号公報)やマレイミドフェニルブチロイルフォスファチジルエタノールアミンなどのマレイミド基部分を有する脂質をフォスファチジルコリンやコレステロールとともに公知の方法にしたがってリポソーム化する(リポソーム 2章 野島ら編江南堂(1988))ことでマレイミド基部分を有するリポソームを得ることができる。リポソームとしては、MLV、LUV、SUV等の種々のリポソームを用いることができるが、好ましくはLUVである。
【0034】
またN−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサノエートと蛋白質を反応することでマレイミド部分を有する蛋白質を得ることができる。さらにマレイミドフルオレッセイン、エオシンマレイミド等の蛍光色素を用いることもできる。
これらチオール反応性基を付与した作用性物質は、上記で得られたチオール基を有する本水溶性高分子−リガンド複合体と中性付近の緩衝液中で混合することで容易に複合体化することができ、目的とするリガンド−PEG−作用性物質からなる複合体を得ることができる。さらに必要に応じて限外ろ過、ゲル濾過クロマトグラフィーイオン交換クロマトグラフィー等の手法を用いて精製して使用することができる。
【0035】
次に本発明の複合体の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法の概要を図5に示す。図中高分子1は、リガンド中の官能基Aと反応性を有するA′部分及び作用性物質に組み込まれた反応性部分Bと結合するB′部分とからなる、即ち前述の2価反応性水溶性高分子誘導体である。高分子2はBと結合するB″を有する。B′とB″は同一残基であってもよい。このように、本発明においては、作用性物質と反応性を有する1価反応性高分子が結合されていても良い。
【0036】
本発明においては、まず、ヘテロな2価反応性の水溶性高分子1をリガンドに結合し、ついでその他端を介して作用性物質に結合する、さらに必要に応じて作用性物質と反応性を有する1価の高分子2を結合する工程を用いて複合体を製造することを特徴とする。
リガンド中のAとしてはアミノ基、糖鎖部分を用いることができるが、好ましくはアミノ基である。アミノ基反応性の基としてA′は、前述のとおりである。
【0037】
B及びB′の組み合わせは、実質的にBがリガンドと反応することがなく、特異的にB−B′結合を生ずる組み合わせから選ばれるが、B′としてチオール基、Bとしてチオール反応性基とする組み合わせが好ましい。チオール基は前述のように反応前には保護された潜在的なチオール基、即ち、S−アセチルチオ基でもよく、この場合は、反応に際して脱保護して用いることができる。
【0038】
本発明に用いられるリガンドは前述の他トランスフェリン、EGF、アルファフェトプロテイン(AFP)等のタンパク質、インシュリン等のペプチドまたはポリクロナール抗体、モノクロナール抗体等の抗体から選ばれるリガンドであり、その全体であっても、また酵素処理等によって得られるそのフラグメントであっても良い。各種疾患の治療用に用いる場合は、マウス−ヒトのキメラ抗体、ヒト抗体が好ましい。
【0039】
水溶性高分子1及び2は前述の水溶性高分子として挙げたものが用いられ、高分子1及び2は異なった組み合わせでもまた同一の組み合わせでもよい。
リガンドと本高分子1との反応は前述のとおりである。
前述のように、S−アセチルチオ基を付与した高分子を用いる場合はリガンドに結合後、脱アセチルしてチオール基を得ることができる。
【0040】
本発明において、作用性物質としては前記のようなものが挙げられるが、特にミセル、リポソームが好ましい。よって以下、複合体としてミセル、リポソームを代表例として本発明を説明することもあるが、作用性物質としてはミセル、リポソームに限定されるものではない。ミセルは、両親媒性分子から構成される。ミセルを構成する両親媒性分子としては、親水性部分及び疎水性部分を含み、それ自体既知の通常用いられる方法によりミセルを形成し得るものであれば如何なるものであってもよく、それらの中で好適な両親媒性分子としては脂質を挙げることができる。
【0041】
本発明におけるミセルを形成し得る脂質としては、例えば、天然フォスファチジルコリン、例えば卵黄フォスファチジルコリン(EYPC)等;フォスファチジルコリン(PC)、例えばジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)、ジミリストイルフォスファチジルコリン(DMPC)、ジステアロイルフォスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルフォスファチジルコリン(DOPC)等;天然フォスファチジルエタノールアミン、例えば卵黄フォスファチジルエタノールアミン(EYPC);フォスファチジルエタノールアミン(PE)、例えばジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルフォスファチジルエタノールアミン(DOPE)等;フォスファチジルグリセロール(PG)、例えばジパルミトイルフォスファチジルグリセロール(DPPG)等;フォスファチジルセリン(PS);フォスファチジルイノシトール(PI);フォスファチジン酸(PA)等のリン脂質、スフィンゴ糖脂質、グリセロ糖脂質等を挙げることができる。これらの脂質は単独または2種以上、あるいはこれらとコレステロール等の非極性物質と組み合わせて用いられる。
【0042】
本発明におけるミセルには、上記脂質や非極性物質の他に、リガンド−高分子1複合体及び高分子2との結合に供される脂質誘導体が組み込まれてなる。このような脂質誘導体としては、ミセルに組み込まれた反応性部位B、即ち、チオール基反応性部位としてマレイミド基、アルキルハライド基、アジリディン基、ピリジルジチオ基から選ばれる反応基を有するリン脂質誘導体を用いることができるが、好ましくはマレイミド基である。特に限定するものではないが、具体例としてはマレイミドカプロイルジパルミチルフォスファチジルエタノールアミン(特開平4−346918号公報)やマレイミドフェニルブチロイルフォスファチジルエタノールアミンなどのマレイミド基部分を有する脂質を用いることができる。
【0043】
上記脂質誘導体は、ミセル形成両親媒性分子に対して0.1〜8mol%、好ましくは0.5〜3mol%、より好ましくは1〜3mol%の組成比で用いることができる。コレステロールはミセル形成両親媒性分子に対して0〜100mol%、好ましくは40〜70mol%の組成比で用いることができる。
【0044】
本発明におけるミセルは如何なる方法で製造されたものでもよく、上記素材を用いてそれ自体既知の通常用いられる製造技術を用いて製造できる。例えばガラス壁に付着させた脂質薄膜に水溶液を加え機械的振盪を加え形成するマルチラメラリポソーム(MLV)や、超音波処理法、エタノール注入法、フレンチプレス法によって得られるスモールユニラメラリポソーム(SUV)、界面活性剤除去法、逆相蒸発法(リポソーム 砂本順三ら 南洪堂 1988)、MLVを均一ポア経を有するメンブランを加圧して押し出すイクストゥルージョン法等から得られるラージユニラメラリポソーム(LUV)を用いることができる(Liposome Technology,Vol.1 2nd Edition)。
【0045】
さらに、ミセルには、医薬品や診断用薬剤が封入されていてもよい。
ミセルに封入しうる医薬品、診断薬としては前述のとおりである。
リガンド−高分子1複合体と上記リポソーム、ミセルとの反応は約4℃〜40℃で中性の緩衝液中で混合することで容易に達成できる。またチオールが保護されている場合は反応前に前述のごとく脱保護して用いることができる。
反応時のpHは約5〜8が好ましく、より好ましくは5.5〜7.0である。反応時に1mM程度のEDTAを添加することもできる。
【0046】
リガンド−高分子1複合体はミセルに組み込まれた反応性脂質に対して2mol当量以下、好ましくはmol当量程度以下を用いて反応させることができる。少量のリガンドで目的とするターゲッティング能を得ることができる場合は、必ずしも多量のリガンドを結合させる必要はなく、残存するミセル上の反応性基に高分子2を加えて反応させることができる。なお、高分子2を添加することにより、例えば医薬品、診断薬として使用する場合ミセル−高分子1−リガンド複合体の血中での滞留性をもたせることができる。
【0047】
本発明において高分子2としては、前述のとおりであるが、高分子2は実質的にミセルとの共有結合部位のみを有する。
限定するものではないが、高分子2として例えば、2,4−ビス(ポリエチレングリコール)−6−クロロ−S−トリアジンとシステインからなるチオール基を有するPEG誘導体(特開平4−346918号公報)、N−プロピオネート−3−(チオール)メトキシポリオキシエチレンアミン(J.Controlled Release 28(1994)155)等を用いることができる。
【0048】
高分子2はミセルとリガンド−高分子1複合体の反応後さらに引き続き反応させてもよく、ミセル−リガンド−高分子1複合体を一旦精製してからさらに添加しても良い。
添加量はミセルに組み込まれた反応性脂質の0.2〜5mol当量、好ましくは0.5〜2mol当量であり、中性の緩衝液中で約4℃〜40℃で混合することで容易に反応が達成できる。
【0049】
反応時のpHは約5〜8が好ましく、より好ましくは5.5〜7.0である。反応時に1mM程度のEDTAを添加することもできる。
本発明で得られたリガンド結合ミセルは、さらに必要に応じて限外濾過、ゲル濾過クロマトグラフィーイオン交換クロマトグラフィー等の手法を用いて精製して使用することができる。
【0050】
【実施例】
以下に実施例を示し、さらに詳細な説明を行うが、本発明はその要旨を越えない限りこれらに限定されるものではない。
【0051】
実施例1
塩化メチレン10mlに溶解したポリ(エチレングリコール)−ビス−ω−アミノ−α−カルボキシル(PEG平均分子量3400、Shearwater polymers,Inc) 1gにS−アセチルチオグリコール酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma)74.8mg及びトリエチルアミン41μlを添加した。攪拌し溶解後、さらに10mgのS−アセチルチオグリコール酸N−ヒドロキシスクシンイミドを添加し室温で3.5時間攪拌し反応した。反応進行はTLC(クロロホルム/メタノール=85/10、ヨーソ発色、以下TLCは同様の条件で行った)で添加したポリ(エチレングリコール)−ビス−ω−アミノ−α−カルボキシルの低Rfのスポットが高Rf(約0.6)にシフトすることで確認した。
【0052】
窒素下に溶媒を留去した反応物にクロロホルム10mlを添加し溶解した。クロロホルムで膨潤したsep−pak(SILICA PLUS Wates社)に添加しクロロホルム/メタノール(4/1(v/v))で溶出することでサンプルを前処理した。再び窒素下に溶媒を留去しクロロホルムに溶解後、シリカゲルカラム(ローバーカラム LiChroprep Si60 25×310cm 関東化学)に添加した。クロロホルムで洗浄後、クロロホルム/メタノール(85/15(V/V))で展開溶離しTLCのRfが約0.6の主生成物をプールし精製した。窒素下に溶媒を留去し583mgを得た。543mgを約2mlの脱水した塩化メチレンに溶解しジエチルエーテルを加え沈殿化し濾取し真空ポンプで減圧乾燥した。脱水した塩化メチレン5mlに溶解したのち、N−ヒドロキシスクシンイミド(Sigma)17.8mgを加え10分間攪拌した。さらにN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド31.9mgを添加し窒素雰囲気下、攪拌しつつ室温で一夜反応した。沈殿物を濾別後、窒素下に溶媒を留去し少量の脱水塩化メチレンに溶解した。エチルエーテルを加え析出した沈殿を濾取し真空ポンプで減圧乾燥しTLCで単一な目的物337mg(以下「Ac−S−PEG−Suc」と表記)を取得した。 1H−NMRにより目的物生成を確認した。
【0053】
【化5】
【0054】
【表1】
【0055】
さらにヒトγグロブリンへの結合実験で目的物生成を確認した。
すなわち、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)及び1mMEDTAからなる緩衝液に溶解したヒトγグロブリン(IgG、F(ab′)2 )(4.7mg/ml)0.9mlに、脱水メタノールに溶解した30mg/mlのAc−S−PEG−Sucを添加した。添加量は抗体モル比で0〜8倍とし、添加量とPEG導入量の関係を調べた。Ac−S−PEG−Sucを添加し25℃で1時間反応後、セファクリルS100(ファルマシア社)を用い、同上緩衝液で展開することでゲルクロマトグラフィー精製し未反応のAc−S−PEG−Suc(PEG分子量3.4K)と抗体(分子量100K)を分離した。
【0056】
得られた修飾抗体の一部についてヒドロキシルアミンで脱保護した。すなわち抗体溶液0.9mlに0.1mlのヒドロキシルアミン溶液(0.5M ヒドロキシルアミン、0.5MHEPES、25mM EDTA、pH7.0)を加え25℃、10分間反応し脱アセチル後、0.1Mリン酸緩衝液pH6.0 1mM EDTAで平衡化したPD−10(ファルマシア社)で低分子を除去しチオール基を有する抗体を得た。抗体に導入されたチオール基は4、4’ジチオピリジン(シグマ社)を用いる方法に準じて測定した(続生化学実験講座5 p109 日本生化学編)。対照としてヒドロキシルアミンで脱保護処理をしていない各修飾抗体のチオール含量を同様に測定した。その結果、図1に示すようにAc−S−PEG−Sucで修飾したヒトγグロブリンはヒドロキシルアミンで脱保護により生じる潜在的なチオール基、即ちS−アセチルチオ基を有しており、それはAc−S−PEG−Sucの添加量に依存し増大することが確認された。
【0057】
実施例2
抗CEAマウスモノクロナール抗体(IgG1 F(ab′)2 )に実施例1と同様にAc−S−PEG−Sucを反応させ修飾抗体を得たのち、陽イオン交換樹脂で抗体蛋白を精製した。即ち反応液(3.4mg/ml 2ml)に0.1M酢酸を添加しpH4に調整し、0.1M酢酸pH4.0の緩衝液で平衡化した2mlベッドのSPセファロース(ファルマシア社)に添加した。同上の緩衝液4mlで洗浄後50mMリン酸緩衝液(pH7.5)でタンパク質を溶出した。セントリコン30(アミコン社)限外ろ過器で緩衝液を50mMリン酸緩衝液(pH7.0)、1mMEDTAに調整した後、実施例1と同様にヒドロキシルアミンを加えて脱保護した。SH基を付与された抗体はPD−10で脱塩及び0.1Mリン酸緩衝液pH6.0、1mMEDTA溶液に交換し以下に述べるリポソームとの結合に用いた。なおAc−S−PEG−Suc及びAc−S−PEG−Sucの加水分解物に相当するAc−S−PEG−COOH(実施例1でスクシンイミド化前の化合物)は本条件でSPセファロースには結合しなかった。
【0058】
また対照としてAc−S−PEG−Sucの代わりにS−アセチル基とスクシンイミド基の間にPEG部分を持たないS−アセチルチオグリコール酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma)(以下、「SATA」と称することもある。)を本抗体と反応し、PD−10で脱塩、ヒドロキシルアミン脱保護、PD−10脱塩(0.1Mリン酸緩衝液pH6.0 1mMEDTA)し同様にチオール基を付与された抗体を調整した。
【0059】
蛍光色素カルボキシフルオレッセインを封入し、チオールとの反応性を有するマレイミド化リン脂質を膜成分をして有するリポソームを用い上述抗体との結合を検討した。
即ち、ジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)/コレステロール(CHOL)/マレイミドカプロイルジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミン(特開平4−346918号公報) 18/10/0.5(モル比)からなる固型脂質混合物100mgに0.1Mカルボキシフルオレッセイン水溶液(pH7付近に調整)1mlを加え水和しマルチラメラリポソームを作製した。さらにextruder(Lipex Biomembranes)を用い0.1μmのポリカーボネートメンブランで整粒した。
【0060】
抗体とリポソームの結合は0.1Mクエン酸緩衝液pH6中、抗体終濃度0.48mg/ml、リポソーム終濃度(脂質として)19mg/mlとして25℃で1時間反応することで行い、反応後セファロースCL6B(ファルマシア社)によりゲル濾過クロマト分離することで未反応抗体及び非封入カルボキシフルオレッセインを分離除去した。
【0061】
作製した各イムノリポソームの活性は抗原を固定化した96穴プラスチックスプレート上への結合量を内封したカルボキシフルオレッセインの蛍光量を測定することで行った。即ち、96穴プレート(ファルコン社)に20ug/mlの抗原CEAを50μl/穴添加し37℃、2時間固定化した。CEAを除去後PBSで洗浄し5%ウシ血清アルブミンでブロッキングした。PBSで洗浄後、1%ウシ血清アルブミンで各濃度に希釈したリポソーム溶液を50μl/穴添加し、4℃で90分間反応した。PBSで十分に洗浄後、2%triton×100含有PBSを100μl/穴添加し37℃で30分インキュベートすることでリポソームからカルボキシフルオレッセインを溶出させた。その一部をとりPBSで希釈し励起波長492nm、蛍光波長520nmで蛍光測定を行い抗原プレートに結合したリポソーム量を比較した。
その結果、図2に示す様にAc−S−PEG−Sucを用い抗体にSHを導入し作製したイムノリポソームで高い結合活性が示された。
【0062】
実施例3
実施例2のリポソームに代えてマレイミド含有蛍光色素であるフルオレッセインマレイミド(フナコシ)を用い複合体を作製した。すなわち実施例2に示したSH−PEG−抗CEA抗体(0.1Mリン酸緩衝液pH6.0、1mMEDTA溶液)に2.5mg/ml 0.35mlにフルオレッセインマレイミドのDMSO溶液3.8mg/mlを5μl添加し攪拌しながら25℃で30分反応した。
【0063】
反応後PBSで平衡化したPD−10(ファルマシア)でゲル濾過することで未反応のフルオレッセインマレイミドを除去した。495nmと、280nmの吸光度よりフルオレッセインマレイミドの導入率を算出したところ1抗体当たり0.9分子のフルオレッセインマレイミドが導入された。本蛍光ラベル抗体をヒト胃癌細胞株MKN45に添加し、ヒト血清中50μg/mlで氷冷下に1時間混合した。PBSで十分に洗浄した後、フローサイトメーターにより癌細胞への結合を観察した。その結果、図3に示す様に本複合体が癌細胞と結合し蛍光を示していることが確認された。
【0064】
実施例4
クロロホルム1mlにPEGジスクシンイミジルスクシネート(日本油脂 サンブライト4001 PEG平均分子量5000)を20mg(4μmol)溶解した。PEG溶液を攪拌しながら脱水したメタノールに溶解したメルカプトエチルアミン塩酸塩(シグマ)4μmolを滴下した。さらに72mMトリエチルアミン(脱水メタノール中)56μlを添加した。窒素雰囲気下に室温で7時間反応したのちニンヒドリン反応によりアミノ基の消費をみたところ、ニンヒドリンネガティブでありジサクシンイミドPEGと反応していることが確認された。得られたSH− PEG−サクシンイミドを窒素気流下に乾固し脱水メタノール1mlに再溶解した。不溶物をろ過し以下の抗体との反応に用いた。
【0065】
PEG誘導体48.7μlを50mMリン酸緩衝液pH7.5、1mM EDTAに溶解したヒトγグロブリン3.9mg/ml、0.5mlに攪拌しながら添加し、37℃で1時間振盪した。未反応のPEG誘導体と抗体は0.1Mリン酸緩衝液pH6.0 1mM EDTAで平衡化したセファデックスG75カラム(1.2cm×12cm)を用いたゲル濾過クロマトグラフィーにより行った。同緩衝液で展開し最初に溶出された抗体フラクションを集め導入されたチオール量を実施例1と同様に定量した。その結果、抗体1molあたり0.75molのチオールが導入された。
さらに実施例2と同様にリポソームへ結合し、得られたリポソームをSDS電気泳動で解析したところ抗体の結合が確認された。
【0066】
実施例5
カルボキシフルオレッセインの漏れ比較
実施例2と同様に作製した抗体結合0.1Mカルボキシフルオレッセイン封入リポソームにさらにチオール化ポリエチレングリコール(特開平4−346918号公報)を反応し抗体及びポリエチレングリコールを結合したイムノリポソームを作製した。20mMリン酸緩衝液(pH7.5)、0.3M NaClで平衡化したPD−10カラムでゲル濾過して未封入のカルボキシフルオレッセインを除去した。さらに37℃でインキュベートしリポソームから漏れるカルボキシフルオレッセイン量を測定した。
【0067】
カルボキシフルオレッセインの漏れはShahinianら(BBA 1239(1995)157)の方法で定量化した。すなわちインキュベートしているリポソームから一定時間後にサンプリングし同上緩衝液で希釈し蛍光量(励起波長492nm 蛍光波長520nm)を測定した。同時にリポソームを2%SDSに加え可溶化(壊した)後の蛍光量を測定した。封入されているカルボキシフルオレッセインは自己消光しており蛍光強度はリポソームから漏れたカルボキシフルオレッセイン量を反映することから、両者の比で漏れ量を算出した。
【0068】
図4に示す様に抗体−PEG−リポソームは非修飾のリポソーム(EMC−リポソーム)と同等以上の安定性が示された。
Shahinianら(BBA 1239(1995)157)はPEG先端にマレイミド基を導入したリポソーム(マレイミド−PEG−リポソームあるいは抗体結合−PEG−リポソーム)がPEG部分のないEMC−PEを用いたリポソームより漏れが大きいことを示しているが、本方法で作製したリポソームでは対応するEMC−リポソームと同等以上の安定性を示した。
【0069】
実施例6
実施例2と同様にしてカルボキシフルオレッセイン封入抗体結合リポソームを作製した。さらにリポソーム反応液に分子量6000のPEGを用い作製したチオール化ポリエチレングリコール(特開平4−346918号公報)を添加した。0.1Mリン酸緩衝液pH6.0 1mMEDTAに溶解したチオール化ポリエチレングリコールを脂質100mgに対して2.5μmol添加し10℃で一夜反応した。反応後、セファロースCL6B(ファルマシア社)によりゲル濾過クロマト分離することで未反応抗体、チオール化ポリエチレングリコール及び非封入カルボキシフルオレッセインを分離除去した。
【0070】
さらに実施例2と同様に抗原を固定化した96穴プラスチックスプレート上への結合量を内封したカルボキシフルオレッセインの蛍光量を測定した。その結果チオール化ポリエチレングリコールでコートした抗体結合リポソームにおいても図6に示す様にAc−S−PEG−Sucを用い抗体にSHを導入して作製したイムノリポソームで高い結合活性が示された。
【0071】
実施例7
リポソームとして下記に示すアドリアマイシン封入リポソーム及び抗体としてヒトIgGを用いる以外は実施例5と同様にして抗体及びPEGを結合したアドリアマイシン封入リポソーム(PEGイムノリポソーム)を作製した。対照としてチオール化PEGのみを結合したリポソーム(PEGリポソーム)及び、両者とも結合しないリポソーム(リポソーム)を作製した。
【0072】
アドリアマイシン封入リポソームはジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)/コレステロール(CHOL)/マレイミドカプロイルジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミン18/10/0.5(モル比)からなる固形脂質混合物100mgあたり1mlの0.3Mクエン酸緩衝液pH4.0を加えボルテックスミキサーで水和しマルチラメラリポソームを作製、ついでこのリポソームを順次0.2μm及び0.1μmのポアサイズのポリカーボネート膜を装着したextruder(Lipex Biomembranes)で60℃で加温しつつ加圧濾過し、整粒したリポソームを作製した。さらに得られたリポソーム溶液を1M NaOHで中和した後、脂質重量の1/10重量のアドリアマイシン(協和発酵)を添加し、97%以上のアドリアマイシンを封入することで作製された。
【0073】
各リポソームの血中滞留性を比較するため、雄性BALB/cマウスにアドリアマイシン量として2mg/kgを尾静脈から投与した。各時間後に屠殺し血漿を採取した。アドリアマイシン量をKonnoらの方法(Cancer Res.47 4471(1987))に従って塩酸エタノールで抽出後、蛍光測定により定量した。
【0074】
なおfreeのアドリアマイシンは投与後速やかに血漿より消失し、この条件では検出されないことから、検出されたアドリアマイシン量は各リポソーム体としての挙動を反映すると考えられる。
その結果を図7に示すが、本方法で作製した抗体及びPEGを結合したアドリアマイシン封入リポソームは高い血中安定性を示した。
【0075】
実施例8
アドリアマイシンを封入した本発明の2価反応性水溶性高分子誘導体を用いたイムノリポソームの腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性をin vitroで検証した。ヒト大腸癌に反応性を有するヒト抗体の例を用い、以下に示すように本イムノリポソームのターゲット細胞に対する選択的な抗腫瘍効果が確認された。
【0076】
・大腸癌反応性1−3−1抗体
常法によりIgGにクラススイッチしCHO細胞で発現した特開平5−304987号公報に記載のヒト大腸癌反応性ヒトモノクロナール抗体1−3−1をペプシン消化により(特開平4−346918号公報参照)F(ab’)2 断片として使用した。
抗体の反応性を確認する目的でFITCで蛍光標識した上記抗体を作製し、ヒト大腸癌細胞DLD−1(大日本製薬社製)及び正常細胞としてヒト臍帯血管内皮細胞由来SV−3T細胞(Agric.Biol.Chem.55(11),2847−2853,1991)に対する反応性をフローサイトメーターにて測定した。
【0077】
すなわち、本蛍光抗体をBSA溶液(1%牛血清アルブミン(BSA)を含むPBS)で50μg/mlになるように調製し、細胞に加えて氷上で1時間反応させた。BSA溶液で1回洗浄後、最終濃度2μg/mlのプロピジウムアイオダイド(PI)を加えて、フローサイトメーター(FACScan ベクトンディッキンソン)にて測定した。
生細胞、すなわちPI陰性細胞をゲーティング操作により選択し、FITCの蛍光強度を表す平均チャンネル値について、それぞれの細胞での抗体を含まない場合の値をバックグラウンド値として差し引いた値を図8に示す。
1−3−1抗体は、SV−3T細胞よりも、DLD−1細胞に対して高い反応性が確認された。
【0078】
・イムノリポソームの作製
実施例7と同様にしてアドリアマイシン封入PEGイムノリポソームを作製した。
・細胞増殖抑制活性(Cytotoxicity)
本イムノリポソームを健常人由来血清で順次希釈しアドリアマイシン換算濃度で40μg/mlからの希釈系列を作製した。細胞に添加して37℃1時間インキュベートした後、培地で1回洗浄し37℃で培養した。リポソームサンプルを添加していないコントロールがコンフルエントになった時点でMTTアッセイ(J.Immunol.Methods,65 55(1983))を行い細胞数を計測した。
各リポソーム濃度における細胞数をコントロールの細胞数を100%として相対表示した。
図9にヒトDLD−1細胞及びSV−3T細胞に対する増殖抑制活性を示す。本イムノリポソームはターゲットである大腸癌DLD−1に対してより特異的な抑制効果を示した。即ち、本イムノリポソームは抗腫瘍効果を有することがわかる。
【0079】
【発明の効果】
本発明の2価反応性水溶性高分子誘導体を用いると、リガンド及びリポソーム等の作用性物質と混合、反応させることで、容易にリガンド−高分子−作用性物質複合体を得ることができる。本発明の水溶性高分子誘導体によると、リガンドの活性低下や、作用性物質に対する影響を防止することができる。
本発明の製造方法によれば、抗体等のリガンドをPEG等の高分子誘導体に結合させた後ミセルに結合させるため、熱力学的に不安定なミセルに対しPEG等の高分子誘導体を過剰量導入することなく、従って、これらの影響を受けることなく、リガンド結合体を製造することができる。
さらに、本発明においてミセル中に薬物等を封入した場合、内封物の漏れを低減させることが可能であり、また、抗原等の標的分子に対し高い結合活性を示すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】抗体へのAc−S−PEG−Suc導入と脱保護によるチオール基の生成を示す。横軸は抗体とAc−S−PEG−Sucの反応時のモル比を、縦軸はそれによって生成した抗体1分子あたりのチオール基分子数を示す。白丸はAc−S−PEG−Sucとの反応後ヒドロキシルアミンで脱保護した抗体を、黒丸はヒドロキシルアミンを用いた脱保護処理をしなかった抗体を示す。
【図2】Ac−S−PEG−Sucまたは、SATAを用いてチオール基を導入した抗CEA抗体を結合したカルボキシフルオレッセイン封入リポソームの結合活性を示す。各イムノリポソーム及び抗体非結合リポソームをCEA固定化プレートは反応させ、洗浄後プレートに結合したリポソーム量を蛍光により測定した。横軸は各リポソーム量(脂質量)をまた縦軸は励起波長492nm、蛍光波長520nmでの蛍光強度を示す。丸印はAc−S−PEG−Sucでチオール基を導入した抗体を用いたイムノリポソームを、四角は、SATAでチオール基を導入した抗体を用いたイムノリポソームを、また×印は抗体非結合のリポソームを示す。
【図3】Ac−S−PEG−Sucでチオール基を導入した抗体とフルオレッセインマレイミドとを結合した蛍光抗体のMKN45癌細胞への結合活性を示す。細胞と反応後フローサイトメータにより解析した。図中aは蛍光抗体と未反応の、bは蛍光抗体と反応した細胞群を示す。また横軸は蛍光量、縦軸は細胞数を示す。
【図4】Ac−S−PEG−Sucを用いたイムノリポソーム(白丸)からの内封カルボキシフルオレッセインの漏れと対応する非修飾リポソーム(黒四角)からの漏れの比較を示す。縦軸はリポソームに残存するカルボキシフルオレッセインの%を、横軸はインキュベーション時間を示す。
【図5】本発明によるリガンド結合ミセルの製造法の概略を示す。Aはリガンド中の官能基を、A′はAと反応性を有する基を、Bはミセル粒子に導入した反応性基でありB′及びB″と特異的な反応性を有する。
【図6】Ac−S−PEG−SucまたはSATAを用いてチオール基を導入した抗CEA抗体を結合し、さらに、チオール化ポリエチレングリコールをコートしたカルボキシフルオレッセイン封入リポソームの結合活性を示す。横軸は各リポソーム量(脂質量)を、また縦軸は励起波長492nm、蛍光波長520nmでの蛍光強度を示す。丸印はAc−S−PEG−Sucでチオール基を導入した抗体を用いたイムノリポソームを、四角は、SATAでチオール基を導入した抗体を用いたイムノリポソームを、また、×印は抗体非結合のリポソームを示す。
【図7】血中濃度推移の比較を示す。縦軸は血漿中のアドリアマイシン量濃度を、横軸は時間を示す。各点は一群四匹の平均及びSDを示す。図中、丸はAc−S−PEG−Sucでチオール基を導入した抗体を用いたイムノリポソームを、四角はチオール化PEGのみを結合したリポソームを、×はチオール化PEGも結合していない、単純なリポソームを表す。
【図8】1−3−1抗体のDLD−1細胞及びSV−3T細胞に対する反応性を示す図である。縦軸は平均チャンネル数から、抗体を含まない場合の値をバックグラウンド値として差し引いた値を示す。
【図9】実施例8で得られたイムノリポソームのDLD−1細胞及びSV−3T細胞に対する細胞増殖抑制活性を示す図である。縦軸はリポソームサンプル添加時の細胞数(MTTアッセイにおける吸光度)をコントロールを100%として示した。横軸はリポソームをアドリアマイシン濃度として示した。□はDLD−1細胞を、○はSV−3T細胞の増殖率を示す。
Claims (20)
- 水溶性高分子がポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリグリセリン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリアミノ酸、又はポリオキシ酸である請求項1記載の2価反応性水溶性高分子誘導体。
- 水溶性高分子がポリエチレングリコールである請求項1記載の2価反応性水溶性高分子誘導体。
- Nがスクシンイミドエステルである請求項1〜3のいずれか記載の2価反応性水溶性高分子誘導体。
- 作用性物質が低分子薬剤、マーカー分子、タンパク質、ミセル及びリポソームから選ばれる請求項5記載の複合体。
- 作用性物質がリポソーム又はミセルである請求項5記載の複合体。
- アミノ基を有するリガンドが抗体である請求項5〜7のいずれか記載の複合体。
- N 1 が−CO−である請求項5〜8のいずれか記載の複合体。
- 作用性物質に、さらに、作用性物質と反応性を有する1価反応性水溶性高分子誘導体が結合した請求項5〜9のいずれか記載の複合体。
- 請求項5〜10のいずれか記載の複合体を含有する医薬組成物。
- 抗腫瘍剤として使用することを特徴とする請求項11記載の医薬組成物。
- 請求項5〜10のいずれか記載の複合体を含有する診断薬組成物。
- 請求項1〜4のいずれか記載の2価反応性水溶性高分子誘導体を、アミノ基を有するリガンドに結合させ、次いで該水溶性高分子誘導体のアセチルチオ基をメルカプト基に変換して、作用性物質に結合させる工程からなる、請求項5〜10のいずれか記載の複合体の製造方法。
- さらに、作用性物質と反応性を有する1価反応性水溶性高分子誘導体を結合させる工程を含む請求項14記載の製造方法。
- 2価反応性水溶性高分子誘導体と作用性物質が、2価反応性水溶性高分子誘導体のチオール基部分を介して作用性物質のチオール基反応性部分と結合している請求項14又は15記載の製造方法。
- 作用性物質が低分子薬剤、マーカー分子、タンパク質、ミセル及びリポソームから選ばれる請求項14〜16のいずれか記載の製造方法。
- 作用性物質がリポソームまたはミセルである請求項14〜16のいずれか記載の製造方法。
- アミノ基を有するリガンドが抗体である請求項14〜18のいずれか記載の製造方法。
- 請求項14〜19のいずれか記載の製造方法で製造される複合体。
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