JP4380390B2 - 新規な芳香族酸化重合体 - Google Patents

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Description

本発明は新規な芳香族酸化重合体に関する。
クラウンエーテルは、数々の金属イオンやプロトン性水素をもつゲスト分子と効率よく相互作用してゲスト分子を捕捉できることが知られている。
そして、芳香族化合物の酸化重合体であるチオフェン酸化重合体を高機能化する試みとして、その側鎖に、または、チオフェン環に縮合してクラウンエーテル構造を有するチオフェン酸化重合体が知られている(非特許文献1、2、3)。これにより、酸化重合体に、ゲスト分子を補捉する機能を与えることが期待される。

Figure 0004380390
J. Am. Chem. Soc. 124, 12463 (2002) J. Mater. Chem. 9, 2139 (1999) J. Am. Chem. Soc. 115, 12214 (1993)
しかしながら、上記重合体では、さらなる高機能化の要望に未だ十分答えているとはいえず、クラウンエーテル構造に代表されるヘテロ原子を複数有する環状構造を有する新規な構造の酸化重合体が要望されていた。
本発明の目的は、ヘテロ原子を複数有する環状構造を有する新規な芳香族酸化重合体を提供することである。
すなわち本発明は、一般式(I)で表わされる芳香族化合物を酸化縮合して得られる芳香族酸化重合体を提供するものである。

Figure 0004380390

(式中、Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子または−NH−を表し、Qは、ベンゼン環の2位、3位、5位または6位に置換してもよいハロゲン原子またはアルキル基を表し、mは0〜2の整数であり、
は、下式(II)で表される二官能性基を表し、nは1以上の整数であり、
nが1の場合、Qは、1つのベンゼン環の2位と6位、2位と5位、または3位と5位とのいずれか一組の結合部位に結合し、nが2以上の場合、それぞれのベンゼン環に結合する2つのQは、該ベンゼン環の2位と6位、2位と5位、または3位と5位とのいずれか一組の結合部位に結合する。なおQ、QおよびXが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 0004380390

(式中、R〜Rは、同一または相異なり、二価のアルキレン基または二価の置換アルキレン基を表す。すべてのR〜Rは同一でも異なっていてもよい。YおよびZは同一または相異なり、酸素原子、硫黄原子または−N(R)−を表し、Rは水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表わし、aは0または1であり、bは2以上の整数であり、cは0または1であり、dは0または1である。なおRおよびYが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。)
本発明により、ヘテロ原子を複数有する環状構造を有する新規な芳香族酸化重合体を提供することができた。本酸化重合体は、金属イオン、アンモニウムイオン、オキソニウムイオン等の捕捉材料およびセンサーとして用いることができ、また該環状構造が主鎖芳香に並ぶことができるので伝導材料としても期待できる。
本発明の芳香族酸化重合体は、上記一般式(I)で表わされる芳香族化合物を酸化重合させて得られる重合体である。
上記一般式(I)のXは直接結合、酸素原子、硫黄原子または−NH−を表す。Xとして、直接結合、酸素原子および−NH−が好ましく、直接結合および酸素原子がより好ましく、酸素原子がさらに好ましい。
上記一般式(I)のQは、ベンゼン環の2位、3位、5位または6位に置換してもよいハロゲン原子またはアルキル基を表す。
上記一般式(I)のQにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子である。
上記一般式(I)のQにおけるアルキル基としては、炭素原子数1〜9のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、t−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基が上げられる。
上記一般式(I)のQとして、フッ素原子、塩素原子および炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、フッ素原子および炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
上記一般式(I)のQは、上式(II)で表される二官能性基を表し、nは1以上の整数であり、
nが1の場合、Qは、1つのベンゼン環の2位と6位、2位と5位、または3位と5位とのいずれか一組の結合部位に結合し、nが2以上の場合、それぞれのベンゼン環に結合する2つのQは、該ベンゼン環の2位と6位、2位と5位、または3位と5位とのいずれか一組の結合部位に結合する。
その際に2位と6位、または2位と5位のいずれかであることが好ましく、2位と6位であることがより好ましい。
上記一般式(I)におけるQ、QおよびXが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(I)において、mは0〜2の整数であり、nは1以上の整数である。mは0および1が好ましく、0が特に好ましい。nは1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1および2がさらに好ましく、1が特に好ましい。
上記式(II)のR〜Rは二価のアルキレン基または二価の置換アルキレン基を表し、すべてのR〜Rは同一でも異なっていてもよい。
上記式(II)のR〜Rにおける二価のアルキレン基として、炭素原子数1〜9のアルキレン基が好ましく、具体例としては、メチレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、1,1−プロピレン基、1,3−プロピレン基、2,2−プロピレン基、1,1−ブチレン基、2,2−ブチレン基、3−メチル−2,2−ブチレン基、3,3−ジメチル−2,2−ブチレン基、1,1−ペンチレン基、3,3−ペンチレン基、1,1−へキシレン基、1,1−ヘプチレン基、1,1−オクチレン基、1,1−ノニレン基が挙げられる。
上記式(II)のR〜Rにおける二価の置換アルキレン基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、二置換アミノ基等で置換された、炭素原子数1〜9のアルキレン基が好ましく、具体例としては、テトラフルオロ−1,2−エチレン基、2−メトキシ−1,3−プロピレン基、2−ジメチルアミノ−1,3−プロピレン基等を挙げることができる。
上記式(II)のR〜Rとしては、炭素原子数1〜9の二価のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキレン基がさらに好ましい。RおよびRとしてはメチレン基が特に好ましく、Rとしては1,2−エチレン基が特に好ましい。
上記式(II)におけるYおよびZは酸素原子、硫黄原子または−N(R)−を表し、すべてのYおよびZが同一でも異なっていてもよい。YおよびZとして、酸素原子および −N(R)−が好ましく、酸素原子がより好ましい。
上記式(II)におけるRは水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表わし、すべてのRは同一でも異なっていてもよい。
上記式(II)におけるRにおけるアルキル基として、好ましくは炭素原子数1〜9のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。
上記式(II)におけるRにおける置換アルキル基は、好ましくはハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基等で置換された炭素原子数1〜9のアルキル基であり、具体例としては、トリフルオロメチル基、2−t−ブチルオキシエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基等が挙げられる。
上記式(II)のRとしては、炭素原子数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記式(II)においてRおよびYが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
上記式(II)において、aは0または1であり、bは2以上の整数であり、cは0または1であり、dは0または1である。a、cおよびdについては、aが1、cが1およびdが1の組み合わせ、およびaが0、cが1およびdが0の組み合わせが好ましく、aが1、cが1およびdが1の組み合わせがより好ましい。bは2〜12の整数が好ましく、2〜8の整数がより好ましく、bは3〜5の整数がさらに好ましく、4または5が特に好ましい。
上記一般式(I)で表わされる芳香族化合物として、好ましい具体例を次に示す。

Figure 0004380390
本発明の酸化重合体は、上記一般式(I)で表される芳香族化合物を単独または混合して酸化重合することにより得てもよく、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、アニリン、ジフェニルジスルフィド、1,4−ジメトキシベンゼン、1,4−ジブトキシベンゼン、チオフェン、ピロール等の上記一般式(I)で表される芳香族化合物以外の芳香族化合物と混合して酸化重合することにより得てもよい。
上記一般式(I)で表される芳香族化合物に、その他の芳香族化合物を混合して用いる場合、その混合比は目的の酸化重合体の物性を損なわない範囲で適宜定められるが、上記一般式(I)で表される芳香族化合物が全モノマーに対して、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上である。
本発明の重合体は、下記構造式(III)で表わされる繰り返し単位を有する構造をもつものである。

Figure 0004380390

(式中、Q、Q、X、mおよびnは一般式(I)のそれらと同じ定義である。)
本発明の重合体の数平均分子量は、500〜1,000,000が好ましく、600〜100,000がより好ましく、700〜10,000がさらに好ましい。
本発明における上記一般式(I)で表される芳香族化合物(以下、モノマーと呼ぶことがある。)の酸化重合に用いる酸化方法に特に限定は無く、電解酸化を用いても化学試薬による酸化を用いてもよい。
電解酸化重合としては、Handbook of Conducting Polymers, 2nd Ed. 1998, Marcel Dekker記載の方法が挙げられる。化学酸化重合としては、Polymer, 35, 2915 (1994)記載の過硫酸アンモニウム塩を用いる方法や、Chem. Rev. 101, 3793 (2001)記載の酵素を用いる方法や、以下に述べる遷移金属化合物を用いる方法が例示される。
遷移金属を用いる方法では、遷移金属化合物は酸化剤または触媒として作用する。ここで、遷移金属化合物とは、周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第3〜12族の元素の化合物である。該遷移金属化合物中の遷移元素としては、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネテウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、セリウム、白金、金などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
遷移金属化合物を前記モノマーの酸化重合に酸化剤として作用させる場合、遷移金属化合物には、該モノマーを酸化する能力があればよく、通常、標準酸化還元電位(25℃)が0.1V以上であればよく、好ましくは0.2V以上であり、より好ましくは0.5V以上であり、さらに好ましくは1.0V以上である。
具体的には、日本化学会編「改訂4版化学便覧基礎編II」P465−468表12・40記載の水溶液中における標準電極電位(25℃)が0.1V以上である遷移金属化合物およびそのイオンが挙げられる。具体例としては、5価バナジウムイオン、3価マンガンイオン、3価鉄イオン、3価コバルトイオン、2価銅イオン、1価銀イオン、1価金イオン、4価セリウムイオン等の遷移金属イオンと、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボーレートイオン、ヘキサフルオロホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、水酸化物イオン、酸化物イオン、メトキサイドイオン、エトキサイドイオン等のカウンターアニオンと、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン等のカウンターカチオンからなる遷移金属化合物などを挙げることができる。該遷移金属化合物を酸化剤として作用させる場合、その使用量は特に限定されないが、すべてのモノマー1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、0.6〜2モルがより好ましく、0.7〜1.5モルがさらに好ましい。
前記モノマーの酸化重合に遷移金属化合物を触媒と用いる場合には、酸化剤を併用してもよい。該触媒としては、遷移金属原子と配位子化合物からなる遷移金属錯体触媒が望ましい。該酸化剤としては、酸素または過酸化物が望ましい。
遷移金属錯体触媒の遷移金属原子は、周期律表の第4〜11族の遷移金属原子である。好ましくは第一遷移元素系列の遷移金属原子であり、より好ましくはバナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅であり、さらに好ましくはマンガン、鉄、銅である。
該遷移金属原子の価数は、自然界に通常存在するものを適宜選択して使用することができ、例えばバナジウムの場合は3〜5価、マンガンの場合は2〜4価、鉄の場合は2〜4価、コバルトの場合は2価または3価、ニッケルの場合は2価、銅の場合は1価または2価等を用いることができる。
遷移金属錯体触媒の配位子化合物の具体例としては、ピリジン、キノリン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンズチアゾールおよびそれらの誘導体等の単座配位子化合物;エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、2,2’−ビピリジル、2,3−ブタンジオキシム、2,3−ビス(N−メチルイミノ)−ブタン、アセチルアセトン、アセチルアセトアルデヒド、ベンゾイルアセトン、サリチルアルデヒド、アセト酢酸、サリチル酸およびそれらの誘導体等の二座配位子化合物;ジエチレントリアミン、ビス(2−ピリジルメチル)アミン、ビス(2−ピリジルエチル)アミン、ビス(2−イミダゾリルメチル)アミン、ビス(2−オキサゾリルメチル)アミン、ビス(2−チアゾリルメチル)アミン、N−(2−ピリジルメチリデン)−N−(2−ピリジルメチル)アミン、2,2’:6’,2”−ターピリジン、3−(2−ピリジルメチルイミノ)−2−ブタノンオキシム、トリス(2−ピリジル)メタン、トリス(2−イミダゾリル)メタン、トリス(1−ピラゾリル)メタン、トリス(1−ピラゾリル)ホスフェイト、トリス(1−ピラゾリル)ボーレート、1,4,7−トリアザシクロノナンおよびそれらの誘導体等の三座配位子化合物;(2−ピリジルメチル)アミン、トリス(2−イミダゾリルメチル)アミン、トリス(1−ピラゾリルメチル)アミン、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリエタノール、トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン、トリエチレンテトラミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−エチレンジアミン二酢酸、N,N’−ビス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン、N,N’−ジサリシリデンエチレンジアミン、N−2−ヒドロキシエチル−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N−2−アミノエチル−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N−2−ピリジルメチル−N’−サリシリデンエチレンジアミン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンおよびそれらの誘導体等の四座配位子化合物;テトラエチレンペンタミン、N,N”−ビス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N”−ジエチレントリアミン二酢酸、N,N”−ビス(2−ピリジルメチル)ジエチレントリアミン、N,N”−ビス(2−イミダゾリルメチル)ジエチレントリアミン、N,N”−ビス(サリシリデン)ジエチレントリアミンおよびそれらの誘導体等の五座配位子化合物を挙げられ、これらからプロトンを一つまたはそれ以上取り去ったものでもよい。好ましくは配座数1〜4の配位子化合物であり、より好ましくは配座数1〜3の配位子化合物であり、さらに好ましくは配座数1または3の配位子化合物である。
遷移金属錯体触媒の遷移金属原子に対する配位子化合物のモル比は、好ましくは0.01〜1000であり、より好ましくは0.1〜100であり、さらに好ましくは0.5〜2であり、特に好ましくは1である。
遷移金属錯体触媒において、遷移金属原子と配位子化合物以外の構造は、触媒能を失活させないならば特に限定されるものではない。
本発明の遷移金属錯体には、電気的中性を保たせるようなカウンターイオンが添加されていてもよい。
該カウンターアニオンとしては、通常、ブレンステッド酸の共役塩基が使用され、具体例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボーレートイオン、ヘキサフルオロホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、水酸化物イオン、酸化物イオン、メトキサイドイオン、エトキサイドイオン等が挙げられる。カウンターカチオンとしては、アルカリ金属やアルカリ土類金属のカチオン等を適宜用いることができる。
遷移金属錯体触媒は、あらかじめ合成された錯体を用いることができるが、反応系中で錯体を形成させてもよい。
遷移金属錯体触媒の使用量は、すべてのモノマーに対する遷移金属原子の量として、0.001〜50モル%が好ましく、0.01〜20モル%がより好ましく、0.02〜10モル%がさらに好ましい。
併用される酸化剤として、酸素は不活性ガスとの混合物であってもよく、空気でもよい。過酸化物は、例えば、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸等が挙げられる。好ましい酸化剤としては、酸素または過酸化水素である。該酸化剤の使用量は特に限定されないが、酸素を用いる場合はモノマーに対して、通常、0.5当量以上大過剰に使用し、過酸化物を用いる場合はすべてのモノマーに対して、通常、0.5〜3当量を使用する。
上記モノマーの酸化重合は、反応溶媒中で行なうことが望ましい。該反応溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、シクロヘキサン等の鎖状および環状の脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;水が挙げられる。反応溶媒としては、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素、ニトリル類、エーテル類、ニトロ化合物類または水が好ましい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。
前記の反応溶媒の使用量は、通常、すべてのモノマーの濃度が0.1〜90重量%になるような割合で使用する。好ましい割合は1〜50重量%であり、より好ましい割合は2〜30重量%であり、さらに好ましい割合は5〜25重量%である。
酸化重合を実施する反応温度は、反応媒体が液状を保つ範囲であれば、特に限定されない。好ましい温度範囲は、0℃〜200℃であり、より好ましくは0℃〜150℃であり、さらに好ましくは0℃〜100℃である。反応時間は、反応温度などの反応条件で変わるが、通常、1時間以上、好ましくは2〜500時間である。
本発明の芳香族酸化重合体は、単独でも、また、他のポリマーおよび/または改質剤との組成物として用いることができる。組成物のポリマー成分として、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリルおよびそれらの共重合体等のポリオレフィン類;ポリオキシメチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)およびそれらの共重合体等のポリエーテル類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ジナフタレート)、ポリ(4−オキシベンゾエート)、ポリ(2−オキシ−6−ナフタレート)及びそれらの共重合体等のポリエステル類;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド類;ポリカーボネート;ポリフェニレンサルファイド;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性ポリマーを挙げることができる。組成物の改質剤成分として、具体的には2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン類等の安定剤;ポリハロゲン化物、リン酸エステル等の難燃剤;界面活性剤;流動改質剤を挙げることができる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
2−ヒドロキシ−1,3−キシリル−18−クラウン−5(以下、HXCと略す。)は、J. Am. Chem. Soc. 107, 2703 (1985)に記載される方法で合成した。(1,4,7−イソプロピル−1,4,7-トリアザシクロノナン)CuCl(以下、Cu(TACN)Cl2と略す。)は、J. Am. Chem. Soc. 120, 8556 (1998)に従って合成した。(N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン)Cu(OH)Cl(以下、Cu(OH)Cl・TMEDAと略す。)は市販のものを使用した。

Figure 0004380390
重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより展開溶媒をクロロホルムとして分析し、標準ポリスチレン換算値として測定した。重合体の構造分析はH NMR(CDCl中)およびIRを用いた。
実施例1
Cu(TACN)Cl2触媒を用いたHXCの重合:
Cu(TACN)Cl2 (5.18 mg, 13 mmol)をトルエン0.4 mlに溶解させ、そこに、HXC (41.3 mg, 133 mmol)を加えて、酸素雰囲気下6時間還流させる。反応溶液を濃縮し1 N塩酸を加えてしばらく攪拌し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮して得られるもの(定量的に回収)は、未反応のHCX(重量分率37%)を含む重量平均分子量1000の重合体である。
実施例2
Cu(OH)Cl・TMEDA触媒を用いたHXCの重合:
Cu(OH)Cl・TMEDA (4.6 mg, 10 mmol)を2-メトキシエタノール0.3 mlに溶解させ、そこに、HXC (31.4 mg, 100 mmol)を加えて、酸素雰囲気下12時間還流した。反応溶液を濃縮し1 N塩酸を加えてしばらく攪拌し、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮して得られたものは、未反応のHCX(重量分率20%)を含む重量平均分子量2700の重合体であった。図1に本重合体のNMRチャートを示す。
実施例3
Cu(OH)Cl・TMEDA触媒を用いたHXCの重合:
Cu(OH)Cl・TMEDA (4.6 mg, 10 mmol)にトルエン0.3 mlを加えしばらく攪拌した後、HXC (31.4 mg, 100 mmol)を加えて酸素雰囲気下48時間還流させた。反応溶液を濃縮し1 N塩酸を加えてしばらく攪拌し、酢酸エチルを加えた。このとき、有機層にも水層にも溶けない固体物の生成が認められた。分離した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮して得られたもの(重量分率10%)は、重量平均分子量3500の重合体である。遠心分離で回収される固体部分(重量分率90%)も、目的の重合体である(赤外分光により確認)。図2に本重合体のIRチャートを示す。
実施例4
K3[Fe(CN)6]を酸化剤に用いたHXCの重合:
K3[Fe(CN)6] (63.5 mg, 191 mmol)に水3.2 mlを加えしばらく攪拌した。K3[Fe(CN)6]が溶解したところで、HXC (30.0 mg, 96.4 mmol)を投入し、酸素雰囲気下12時間還流させた。生成した沈殿部分を遠心分離で回収した後、メタノール、水で洗浄して、真空乾燥し、黒色粉末状の重合体54.0 mg (収率69%)を得た。
実施例2で得られたポリマーのH NMRチャートを示す図である。 実施例3で得られたポリマーのIRチャートを示す図である。

Claims (1)

  1. 一般式(I)で表わされる芳香族化合物を酸化重合して得られる芳香族酸化重合体。

    Figure 0004380390

    (式中、Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子または−NH−を表し、Qは、ベンゼン環の2位、3位、5位または6位に置換してもよいハロゲン原子またはアルキル基を表し、mは0〜2の整数であり、
    は、下式(II)で表される二官能性基を表し、nは1以上の整数であり、
    nが1の場合、Qは、1つのベンゼン環の2位と6位、2位と5位、または3位と5位とのいずれか一組の結合部位に結合し、nが2以上の場合、それぞれのベンゼン環に結合する2つのQは、該ベンゼン環の2位と6位、2位と5位、または3位と5位とのいずれか一組の結合部位に結合する。なおQ、QおよびXが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。)

    Figure 0004380390

    (式中、R〜Rは、同一または相異なり、二価のアルキレン基または二価の置換アルキレン基を表す。すべてのR〜Rは同一でも異なっていてもよい。YおよびZは同一または相異なり、酸素原子、硫黄原子または−N(R)−を表し、Rは水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表わし、aは0または1であり、bは2以上の整数であり、cは0または1であり、dは0または1である。なおRおよびYが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。)
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