本発明の情報変換システムは、図1に示すように、情報変換装置としての権利ゲートウェイ(権利GW)100を有する。権利ゲートウェイ100は、送信元のリポジトリ20によって処理された情報A(コンテンツおよびコンテンツの権利情報の少なくとも1つを含む)を、送信先のリポジトリ30の能力情報(性能やDRM能力)200に合わせて処理し、処理結果を情報Bとしてリポジトリ30に送信する。なお、特に断らない限り、コンテンツにはカタログ情報も含まれるが、コンテンツとカタログ情報を併記した場合は、コンテンツにはカタログ情報は含まれない。
権利ゲートウェイ100が参照するリポジトリ30の能力情報200には、ハード種別やソフト種別の情報(例えば、ユーザエージェント、OS、バージョン、ブラウザ、メモリ領域、DRM種類など)に加えて、スキーム(権利管理でできること、できないこと)などの情報が含まれている。
権利ゲートウェイ100は、このような能力情報200を参照しつつ、情報変換の方針を規定する変換ポリシーに基づいて、情報Aを処理して情報Bを生成する。
変換ポリシーは、権利情報に記録されたコンテンツの利用条件を送り先のリポジトリの能力情報(権利管理能力)に応じて変えるための変え方について規定している。例えば、変換ポリシーとして、権利管理能力別に、変換前の利用条件と変換後の利用条件とが規定されている。
変換ポリシーの記述例としては、一例として、異なる属性への変換、例えば、「期間」という属性から「回数」という属性への変換、すなわち、期間制限を行う権利情報(変換前の利用条件)から回数制限を行う権利情報(変換後の利用条件)への変換がある。また、変換ポリシーには、通信手段の違いによる権利情報の変換も記述可能である。
なお、変換ポリシーとして、権利情報に対応するコンテンツを送り先のリポジトリの能力に応じて変えるための変え方について規定することも可能である。例えば、この場合、変換ポリシーとしては、コンテンツの利用条件が変換されたときの当該コンテンツの変換方法が規定されている。
変換ポリシーは、権利情報の中に記述され、または、権利ゲートウェイ100の内部もしくは権利ゲートウェイ100によって参照可能な他の装置に保持されている。
権利ゲートウェイ100は、変換ポリシーに基づいて、
1.情報Aを変換せずに送信する
2.情報Aを変換して送信する
3.情報Aに複数の情報が含まれる場合、その中の1つまたは複数を選択して送信する
4.送信しない
といった動作を行う。
なお、情報Aを変換して送信する場合、変換ポリシーで規定されたルールを適用して情報Aを自動変換する方法の他に、ユーザに変換ポリシーを問い合わせ、その結果に基づいて情報Aを変換したり、リポジトリ間のニゴシエーションの結果に基づいて情報Aを変換したりする方法を採ることができる。
また、権利ゲートウェイ100は、図2に示すように、物理的に、各リポジトリ20、30から独立したデバイス101上に存在したり(図2(a)参照)、送信元のリポジトリ20と同一のデバイス21上に存在したり(図2(b)参照)、送信先のリポジトリ30と同一のデバイス31上に存在したり(図2(c)参照)、送信元のリポジトリ20および送信先のリポジトリ30と同一のデバイス41上に存在したりする(図2(d)参照)ことが可能である。
権利ゲートウェイ100は、図3に示すように、基本的な構成として、データの送受信を制御する送受信制御部110と、リポジトリからコンテンツ(カタログ情報を含む)や権利情報を取得するデータ取得部120と、変換ポリシーに従ってコンテンツや権利情報を変換するデータ変換部130と、権利ゲートウェイの各部の動作を制御する制御部140とを有する。データ変換部130は、変換ポリシーを参照する変換ポリシー参照部132を備えている。なお、上記各部の機能は、コンピュータにプログラムで規定された処理を実行させることによって実現される。
図4は、コンテンツ配信システムにおいて、権利ゲートウェイの配置が可能な位置を例示している。
権利ゲートウェイ100aは、各リポジトリから独立して配置されており、コンテンツコントローラ14aやストレージ15のDRM能力に基づいて、配信するコンテンツや権利情報を変換し、また、ポータル12に表示するカタログ情報を変換する。
権利ゲートウェイ100bは、コンテンツコントローラ14a上に配置されており、例えば、ストレージ15から別のストレージにコンテンツをチェックアウトする場合に、権利情報やコンテンツに対する必要な変換を行う。
また、権利ゲートウェイ100cは、ストレージ15上に配置されており、例えば、コンテンツコントローラ14aを介してストレージ15に格納されたコンテンツを別のコンテンツコントローラ14bで再生する場合に、権利情報やコンテンツに対する必要な変換を行う。
なお、コンテンツ配信システム上には、必ずしもすべての権利ゲートウェイ100a〜100cを配置する必要はなく、権利ゲートウェイ100a〜100cの1つまたは複数を配置することができる。また、1つの権利ゲートウェイ100を構成要素を単位として複数に分割し、各部分を複数のリポジトリ上に配置して多段構成とすることも可能である。
また、図5は、情報家電50のホームゲートウェイ上に権利ゲートウェイ100dを配置した例を示している。この権利ゲートウェイ100dは、権利ゲートウェイ100aや権利ゲートウェイ100b、100cの機能を代行することができる。
なお、図2(d)に示す権利ゲートウェイは、記録媒体上に、DRM能力を異にする複数のメモリ領域と共に権利ゲートウェイを配置したときの形態である。この権利ゲートウェイは、例えば、一方のメモリ領域から他方のメモリ領域にコンテンツを移動したりコピーしたりする場合に、権利情報やコンテンツに対する必要な変換を行う。
以下、コンテンツ配信システム上に配置された各権利ゲートウェイの動作について、いくつかの実施の形態として順に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、コンテンツコントローラ上に配置された権利ゲートウェイの動作について説明する。
図6に示すように、ストレージ15aには、コンテンツAおよび権利情報Aが格納されている。この権利情報には、当初、図7(a)に示すように、次の事項、
・利用条件:コンテンツの利用条件
・権利管理能力別の変換ポリシー:送信先のリポジトリのDRM能力に応じて、利用を許可するコンテンツの種類や利用条件の変換方法を決めた規定
・変換ポリシーの変更許可:権利ゲートウェイの変換処理能力に応じて、変換ポリシーの修正を権利ゲートウェイに許可する規定
が記述されている。但し、「変換ポリシーの変更許可」は、権利情報に必須の項目ではない。
権利情報の上記各項目のうち、利用条件は、コンテンツの制作ユニット10で設定され、変換ポリシーおよび変換ポリシーの変更許可は、配信コントローラ11で設定される。なお、変換ポリシーおよび変換ポリシーの変更許可についても制作ユニット10で設定することは可能である。
図8は、権利情報の記述例を示している。
この例では、利用条件として、期間制限が設けられており、再生できる期間が「始め=2001/10/10 終わり=2001/12/12」と規定されている。
また、権利管理能力別の変換ポリシーとして、「リポジトリの能力=期間制限なし,回数制限あり,ヘルパーアプリ対応なし」の場合(つまり、期限を制限するDRM能力を有しないため再生期間の利用条件は順守できないが、再生回数を制限するDRM能力は有し、但し、指定した再生回数を満了した後に再度再生回数の指定を受けるアプリケーションには対応できない場合)に、利用条件の期間制限を「回数制限=30回」に変換することが規定され、また、「リポジトリの能力=期間制限なし,回数制限あり,ヘルパーアプリ対応」の場合(つまり、期限管理はできないが、再生回数を制限するDRM能力を有し、指定した再生回数を満了した後に再度再生回数の指定を受けるアプリケーションにも対応できる場合)に、利用条件の期間制限を「回数制限=10回」に変換し、再生回数が10回に達した後に、再生回数の再指定を受けるアプリケーションに対応すべきことが規定されている。なお、ここで、ヘルパーアプリとは、送信先のリポジトリにおける以後の動作を規定するアプリケーションである。ヘルパーアプリは、後述する方法により、送信先のリポジトリで取得可能である。
このように、再生回数を再指定する際に、利用条件で規定された再生許容期間が過ぎていれば、回数制限をゼロ(0)に設定し、また、再生許容期間が過ぎていなければ、同様に、再生許容期間が過ぎるまで再生回数の再指定を繰り返すことにより、再生期間を規定する利用条件に見合った規制が可能になる。
さて、コンテンツコントローラ14上の権利ゲートウェイ100bは、ストレージ15aに格納されているコンテンツAを別のストレージ15bにチェックアウトする場合、次の処理を行う。
ユーザがコンテンツコントローラ14に対してチェックアウト操作を実行すると、権利ゲートウェイ100bは、コンテンツコントローラ14を通じて、ストレージ15bの能力情報210を取得する。
そして、権利ゲートウェイ100bは、コンテンツコントローラ14を通じて、ストレージ15aのコンテンツAおよび権利情報Aにアクセスし、能力情報210と権利情報Aとを参照し、必要に応じてコンテンツや権利情報の変換を行い、変換結果をコンテンツBおよび権利情報Bとしてストレージ15bに送信する。
例えば、ストレージ15bのDRM能力が「期間制限なし,回数制限あり,ヘルパーアプリ対応なし」の場合は、権利情報の利用条件を「回数制限=30回」に書き換えて(つまり、ライセンス変換を行って)ストレージ15bに送る。
一方、ストレージ15bのDRM能力が「期間制限なし,回数制限あり,ヘルパーアプリ対応」の場合は、権利情報の利用条件を「回数制限=10回」に変換し、また、再生回数満了後に再生回数の再指定を受けるためのヘルパーアプリケーションを生成して権利情報に加え、ストレージ15bに送る。
図7(b)は、後者の場合に権利ゲートウェイ100bによって変換された後の権利情報を示している。
この権利情報の「利用条件2」は、権利ゲートウェイ100bが変換ポリシーに従って変換処理を行った後の利用条件であり、
<再生>
<回数制限=10回>
<ヘルパーアプリID=5>
</再生>
と記述される。
また、この権利情報の「権利管理能力別の変換ポリシー2」には、図7(a)の「権利管理能力別の変換ポリシー」がそのまま記述され、または、図7(a)の権利情報において「変換ポリシーの変更許可」が与えられている権利ゲートウェイ100bが前記変換ポリシーを変更した場合に、当該変更後の変換ポリシーが記述される。
また、権利ゲートウェイ100bが変換ポリシーを変更した場合は、その履歴が「変換ポリシー変更履歴」として権利情報に記述される。
ここで、変換ポリシーの変更許可が与えられる権利ゲートウェイの具体例は、次のとおりである。販売代理店の種類によって、例えば、コンテンツ制作会社直営の権利ゲートウェイには変更許可を与え、チェーンの権利ゲートウェイには許可を与えない。また、権利ゲートウェイが実装されたデバイスの種類によって、例えば、セキュアチップ上に実装された権利ゲートウェイの場合は、書き換えの許可を与える。いずれにしても、流通過程でどの権利ゲートウェイが書き換えを行ったのかがわかるように、変換ポリシー変更の履歴を残しておく。
また、「ヘルパーアプリ」は、権利ゲートウェイ100bが生成した「ID=5」のヘルパーアプリケーションであり、このアプリケーションの実体が権利情報に記述され、または、アプリケーションIDとこのアプリケーションを取得するためのURLとが権利情報に記述される。後者の場合、アプリケーションの実体は、URLにアクセスすることにより取得される。
なお、権利情報の各項目のうち「利用条件」以外の項目は、権利情報に必須の項目ではない。但し、「権利管理能力別の変換ポリシー2」は、権利ゲートウェイでのライセンス変換を一度だけでなくその後も引き続き可能にするためには、必須の項目となる。
また、権利情報Aに、期間制限の権利管理能力を有しないリポジトリにはコンテンツを配信しないという変換ポリシーが記述されている場合は、ストレージ15bへのチェックアウト処理は実行しない。
また、権利情報Aの変換ポリシーに、「期間制限」を「回数制限」に変換する場合には音は送信するが映像は送らないまたは特定のメタデータしか送らないと記述されている場合は、フィルタリングを行って、指定されたデータのみをストレージ15bに送信する。
また、権利情報Aの変換ポリシーに規定されていることを前提に、「期間制限」を「回数制限」に変換した場合に、音の質を落とす変換も行われる。
また、変換後のコンテンツが変換後の利用条件を参照するように、権利情報にリンク情報を追加する。
以上のように、権利情報の変換ポリシーとして、本来の権利管理能力を持たないストレージに対して利用条件の変更を許容する規定を設け、この変換ポリシーに従って利用条件の書き換えを行う権利ゲートウェイを設けることにより、DRM能力を異にする(例えば、旧型の)ストレージであっても、コンテンツのチェックアウトに用いることが可能になる。
なお、図6のストレージ15aとストレージ15bは、同一記録媒体上の異なるメモリ領域であっても良い。
また、ヘルパーアプリケーションは、権利情報とは別にストレージ15bに送信するようにしても良い。
また、権利情報の「利用条件2」に従ってコンテンツの利用が行われた場合、権利ゲートウェイは、それを権利情報に「権利実行履歴」として記録するようにしても良い。図7(c)は、「権利実行履歴」が記録された権利情報を例示している。「権利実行履歴」は、例えば、
<実行履歴>
<再生 タイムスタンプ=2001/10/11 12:00 リポジトリID=1>
:
</実行履歴>
のように記述される。
(実施の形態2)
実施の形態2では、ストレージ上に配置された権利ゲートウェイの動作について説明する。
まず、図9において、ストレージ15a上に配置された権利ゲートウェイ100cが、ストレージ15aに格納されたコンテンツをコンテンツコントローラ14を介して別のストレージ15bにチェックアウトする場合にどのような動作を行うかについて説明する。
ユーザがコンテンツコントローラ14に対してチェックアウト操作を実行すると、コンテンツコントローラ14は、ストレージ15bの能力情報210を取得してストレージ15aに送信する。
そして、ストレージ15a上の権利ゲートウェイ100cは、権利情報Aと能力情報210とを参照して、権利情報Aの変換ポリシーに基づいて、必要に応じてコンテンツAおよび権利情報Aの変換を行い、変換結果をコンテンツBおよび権利情報Bとしてストレージ15bに送信する。
次に、図10において、ストレージ15上に配置された権利ゲートウェイ100cが、コンテンツコントローラ14aを介してストレージ15に格納されたコンテンツを別のコンテンツコントローラ14bで再生する場合にどのような動作を行うかについて説明する。ここで、コンテンツコントローラ14aは回数制限のDRM能力を有するが、コンテンツコントローラ14bは時間制限のDRM能力しか有しないとする。
ユーザがコンテンツコントローラ14bにストレージ15を装着してコンテンツAの再生操作を実行すると、コンテンツコントローラ14bは、能力情報220をストレージ15に送信する。
そして、ストレージ15上の権利ゲートウェイ100cは、権利情報Aと能力情報220とを参照して、権利情報Aの変換ポリシーに基づいて、必要に応じてコンテンツAおよび権利情報Aの変換を行う。
例えば、権利情報Aの利用条件に回数制限数が規定され、かつ、変換ポリシーに「回数制限はできないが時間制限はできるコンテンツコントローラで実行する場合は、時間制限を3分にする」と記述されている場合は、権利情報Aの利用条件を「時間制限3分」に変換し、これを権利情報Bとして、コンテンツと共にコンテンツコントローラ14bに送信する。
そして、コンテンツコントローラ14bは、権利情報Bの利用条件に従って、コンテンツBを3分間だけ再生する。
このように、権利情報の変換ポリシーとして、本来の権利管理能力を持たないストレージやコンテンツコントローラに対して利用条件の変更を許容する規定を設け、この変換ポリシーに従って利用条件の書き換えを行う権利ゲートウェイを設けることにより、DRM能力を異にする(例えば、旧型の)ストレージやコンテンツコントローラであっても、コンテンツのチェックアウトや再生が可能になる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、ポータルページに表示するカタログ情報を最適化する権利ゲートウェイの動作について説明する。
この権利ゲートウェイ100aは、図11に示すように、独立したデバイスとして配置されており、また、例えばリポジトリのモデル番号(型番)からダウンロードスキームやDRM能力を参照できる能力テーブルを格納した能力データベース300を保持している。
まず、コンテンツコントローラ14は、当該コンテンツ配信システムで配信可能なコンテンツを知るために、ポータル12にアクセスして、コンテンツコントローラ14の能力情報を送信する(1)。
そして、ポータル12は、コンテンツコントローラ14の能力情報を権利ゲートウェイ100aに送信する(2)。
そして、権利ゲートウェイ100aは、配信コントローラ11から、当該システムで配信可能なコンテンツのカタログ情報Aおよび権利情報Aを受信する(3)。
そして、権利ゲートウェイ100aは、コンテンツコントローラ14の能力情報にDRM能力の情報が含まれている場合にはそのDRM能力の情報を用いて、また、コンテンツコントローラ14の能力情報にDRM能力の情報が含まれていない場合には能力データベース300の能力テーブルからそのコントローラタイプに対応するDRM能力情報を読み出して、コンテンツコントローラ14が権利情報Aの利用条件またはライセンス変換した利用条件のいずれかに適応できる権利管理能力を有するか否かについて判断し、コンテンツコントローラ14の権利管理能力で対応可能なコンテンツのカタログ情報のみを選択して、ポータル12に送信する(4)。
そして、ポータル12は、権利ゲートウェイ100aから送られたカタログ情報をコンテンツコントローラ14に提示する(5)。
このように、本システムでは、ポータル12にアクセスしたコンテンツコントローラ14に有効なコンテンツのカタログ情報のみを提示することができる。
なお、ポータル12にアクセスしたユーザの希望により、上記のような限定を加えずにカタログ情報を提示するようにしても良い。
また、変換ポリシーは、必ずしも権利情報の中に記述する必要はない。例えば、図12に示す一方の配信コントローラ11bは、変換ポリシーを記述した権利情報A2を保持しているが、他方の配信コントローラ11aは、変換ポリシーIDだけが記述された権利情報A1を保持している。権利ゲートウェイ100aは、各変換ポリシーIDに対応する参照用変換ポリシー400を保持しており、権利情報A1を受信したとき、その中に記述された変換ポリシーIDに対応する参照用変換ポリシー400を読み出す。
また、権利情報の中には変換ポリシーに関する記述を一切行わず、権利ゲートウェイ100aが変換ポリシー410を保持するようにしても良い。
また、図13に示すように、公開された変換ポリシーや登録された変換ポリシーを蓄積する変換ポリシーデータベース510を備えた変換ポリシーサーバ500を別に設け、権利情報の中には変換ポリシーIDと変換ポリシーサーバ500のURLとを含めるようにしても良い。このような権利情報を受信した権利ゲートウェイ100は、受信した権利情報に含まれるURLを用いて変換ポリシーサーバ500にアクセスし、変換ポリシーIDに対応する変換ポリシーを取得することができる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、ユーザヘルプサービスを行う権利ゲートウェイについて説明する。ここで、ユーザヘルプサービスとは、コンテンツコントローラやストレージの使い方、それらで利用できるコンテンツの種類など、各種問い合わせに応じるサービスである。
図14に示すように、ユーザは、コンテンツコントローラ14a、ストレージ15、およびコンテンツコントローラ14bを所有しているとする。コンテンツコントローラ14aは、自己の能力情報220aを格納し、コンテンツコントローラ14bは、自己の能力情報220bを格納している。また、ストレージ15は、自己の能力情報210と、コンテンツコントローラ14bの能力情報220bと、コンテンツコントローラ14aでの使用履歴610aと、コンテンツコントローラ14bでの使用履歴610bとを格納している。
ユーザは、例えば、自分が所有しているコンテンツコントローラおよびストレージの組み合わせに最適な配信スキーマが分からない場合、または、新しいコンテンツコントローラを買いたいが、現在ストレージに格納しているコンテンツがそれで再生可能か否か確認したい場合、または、現在ストレージに格納しているコンテンツに最適な新しいコンテンツコントローラを教えて欲しい場合に、ユーザヘルプサービスを利用する。
このとき、コンテンツコントローラ14aは、ストレージ15を装着してポータル12にアクセスし、コンテンツコントローラ14aが保持するコンテンツコントローラ14aの能力情報220aと、ストレージ15が保持するストレージ15の能力情報210、コンテンツコントローラ14bの能力情報220b、コンテンツコントローラ14aでの使用履歴610a、およびコンテンツコントローラ14bでの使用履歴610bとをポータル12に送信する(1)。
そして、ポータル12は、上記の能力情報および使用履歴情報を権利ゲートウェイ100aに送信する(2)。
そして、権利ゲートウェイ100aは、リポジトリの能力情報とその能力に適したサービスとを記述した能力テーブルを格納する能力データベース300を有しており、ポータル12からリポジトリの能力情報や使用履歴情報が送られると、能力データベース300の能力テーブルを参照して、リポジトリ自身の能力情報、または、リポジトリが保有する1つ以上の他のリポジトリの能力情報と、その使用履歴とを基に、ユーザに合ったコンテンツ情報を提供する(3)。
そして、ポータル12は、例えば、次のような回答、
「あなたのコンテンツコントローラ14aに最適なのは、スキーマ1です。でもストレージ15との組み合わせでは、スキーマ2をお勧めします。近頃は、コンテンツコントローラ14bの方をよくお使いになるようなので、その場合、スキーマ3が便利です。」
をコンテンツコントローラ14aに送信する(4)。
また、ポータル12の付加サービスとして、コンテンツコントローラの新製品のプロモーションを兼ねて、「あなたの持っているコンテンツは、次の新製品だと全部実行できます。次の人気商品では、以下のコンテンツが実行できません。」といったサービスを提供することもできる。
このようなユーザヘルプサービスでは、図15に示すように、リポジトリ30aが、自己の能力情報200aだけでなく、他のリポジトリ30b、30cの能力情報200b、200cや使用履歴600b、600cを管理し、これらの能力情報や使用履歴をすべて権利ゲートウェイ100に送ることにより、能力データベース300を持つ権利ゲートウェイ100から、それらの能力情報や使用履歴に基づく適切なアドバイスを受けることが可能になる。
このとき、例えば、リポジトリ30aが、コンテンツ蓄積メディアや電子チケット格納メディアのスロット付き携帯電話の場合、その他のリポジトリ30b、30cは、コンテンツ蓄積メディアやコンテンツプレーヤ、電子チケット格納メディアなどである。また、リポジトリ30aがホームゲートウェイの場合、その他のリポジトリ30b、30cは、コンテンツ蓄積または電子チケットサービス対応携帯電話、コンテンツ蓄積メディア、コンテンツプレーヤ、電子チケット格納メディア、コンテンツ蓄積メディアや電子チケット格納メディアのスロット付き携帯電話などである。
(実施の形態5)
実施の形態5では、コンテンツの配信に権利ゲートウェイを用いるコンテンツ配信システムについて説明する。
図16に示す配信システムにおいて、配信コントローラ11は、配信するコンテンツの格納先を示すコンテンツ参照データベース700と、リポジトリのモデル番号からDRM能力を参照できる能力テーブルを格納した能力データベース310とを有する。
配信コントローラ11は、制作ユニット10からコンテンツを受信すると、配信コントローラ11のポリシーに基づいて配信コンテンツを生成し、生成した配信コンテンツのオリジナルを自ら保持するとともに、権利ゲートウェイ100aに変換要求を送り、配信コンテンツの変換を依頼する。この変換要求には、
・配信コンテンツ
・変換先フォーマット(または変換先の権利管理性能、またはコントローラタイ
プ、ストレージタイプ)
・配信コントローラ11で設定した変換ポリシー
が含まれる。
そして、変換要求を受信した権利ゲートウェイ100aは、配信コンテンツを要求されたフォーマットに変換して格納する。
コンテンツ参照データベース700には、コンテンツ名と、そのコンテンツを利用するために必要な権利管理性能と、配信コンテンツの格納先とが記録される。従って、コンテンツ参照データベース700には、制作ユニット10で設定されたコンテンツの利用条件に対応する権利管理性能が必要なコンテンツの格納先として、配信コントローラ11が記録され、また、変換ポリシーに従って変換した利用条件に対応する権利管理性能が必要なコンテンツの格納先として、権利ゲートウェイ100aが記録されることになる。
そして、配信コントローラ11は、配信の準備が整ったコンテンツの配信コンテンツ情報をポータル12に送信する。
そして、ポータル12は、受信した配信コンテンツ情報に基づいて、ポータルページに載せるコンテンツを更新する。
そして、ユーザがコンテンツコントローラ14からポータル12にアクセスしてコンテンツを選択すると、ポータル12は、コンテンツコントローラ14の接続を配信コントローラ11に切り換える。
そして、配信コントローラ11は、コンテンツコントローラ14に能力情報を要求することにより、または、能力データベース310の能力テーブルでコンテンツコントローラ14のモデル番号に対応するDRM能力を参照することにより、ユーザの権利管理性能を確認する。
そして、配信コントローラ11は、コンテンツ参照データベース700から、コンテンツ名がユーザの選択したコンテンツのコンテンツ名に一致し、かつ、権利管理性能がユーザの権利管理性能に一致するコンテンツの格納先を検索する。
この検索結果として格納先が配信コントローラ11自身である場合は、該当する配信コンテンツをコンテンツコントローラ14に送信する。一方、格納先が権利ゲートウェイ100aである場合は、コンテンツコントローラ14の接続を権利ゲートウェイ100aに切り換える。
後者の場合、権利ゲートウェイ100aは、格納している配信コンテンツの中から、ユーザが要求する配信コンテンツを検索して、コンテンツコントローラ14に送信する。
また、図17は、ポータル12がコンテンツ参照データベース710と能力データベース320とを有する場合を示している。
このシステムの配信コントローラ11は、制作ユニット10からコンテンツを受信すると、配信コントローラ11のポリシーに基づいて配信コンテンツを生成し、生成した配信コンテンツのオリジナルを自ら保持するとともに、権利ゲートウェイ100aに変換要求を送り、配信コンテンツの変換を依頼する。変換要求の内容は、図16の場合と同じである。また、配信コントローラ11は、配信コンテンツ情報をポータル12に登録する。
そして、変換要求を受信した権利ゲートウェイ100aは、配信コンテンツを要求されたフォーマットに変換して格納し、配信コンテンツ情報をポータル12に送信する。
そして、ポータル12は、配信コンテンツ情報を受信してコンテンツ参照データベース710に記録するとともに、受信した配信コンテンツ情報に基づいて、ポータルページに載せるコンテンツを更新する。
そして、ユーザがコンテンツコントローラ14からポータル12にアクセスすると、ポータル12は、コンテンツコントローラ14から得たコントローラタイプやストレージタイプの情報を基に、能力データベース320の能力テーブルを用いてユーザの権利管理性能を確認し、ユーザに提示するコンテンツを、ユーザの権利管理性能に対応するコンテンツに変更する。
そして、ユーザがポータルページからコンテンツを選択すると、ポータル12は、コンテンツ参照データベース710から、コンテンツ名がユーザの選択したコンテンツのコンテンツ名に一致し、かつ、権利管理性能がユーザの権利管理性能に一致するコンテンツの格納先を検索し、この検索した格納先にコンテンツコントローラ14の接続を切り換える。
そして、コンテンツコントローラ14と接続された配信コントローラ11または権利ゲートウェイ100aは、ユーザの要求するコンテンツをコンテンツコントローラ14に送信する。
また、図18は、権利ゲートウェイ100aが能力データベース300を有し、ポータル12がコンテンツ参照データベース710を有する場合を示している。
このシステムの配信コントローラ11は、制作ユニット10からコンテンツを受信すると、配信コントローラ11のポリシーに基づいて配信コンテンツを生成し、生成した配信コンテンツのオリジナルを自ら保持するとともに、権利ゲートウェイ100aに変換要求を送り、配信コンテンツの変換を依頼する。変換要求の内容は、図16の場合と同じである。また、配信コントローラ11は、配信コンテンツ情報をポータル12に登録する。
そして、変換要求を受信した権利ゲートウェイ100aは、配信コンテンツを要求されたフォーマットに変換して格納し、配信コンテンツ情報をポータル12に送信する。
そして、ポータル12は、配信コンテンツ情報を受信してコンテンツ参照データベース710に記録するとともに、受信した配信コンテンツ情報に基づいて、ポータルページに載せるコンテンツを更新する。
そして、ユーザがコンテンツコントローラ14からポータル12にアクセスすると、ポータル12は、コンテンツコントローラ14から得たコントローラタイプやストレージタイプの情報を権利ゲートウェイ100aに送り、権利ゲートウェイ100aは、能力データベース300の能力テーブルを用いて、当該コントローラタイプやストレージタイプの権利管理性能を求めてポータル12に返す。そして、ポータル12は、ユーザに提示するコンテンツを、ユーザの権利管理性能に対応するコンテンツに変更する。
そして、ユーザがポータルページからコンテンツを選択すると、ポータル12は、コンテンツ参照データベース710から、コンテンツ名がユーザの選択したコンテンツのコンテンツ名に一致し、かつ、権利管理性能がユーザの権利管理性能に一致するコンテンツの格納先を検索し、この検索した格納先にコンテンツコントローラ14の接続を切り換える。
そして、コンテンツコントローラ14と接続された配信コントローラ11または権利ゲートウェイ100aは、ユーザの要求するコンテンツをコンテンツコントローラ14に送信する。
なお、図19に示すように、権利ゲートウェイ100aが能力データベース300を有し、配信コントローラ11がコンテンツ参照データベース700を有する形態も可能である。
このように、上記各システムでは、制作ユニット10のライセンスポリシーに加えて、配信コントローラ11のライセンスポリシーを追加することができるため、コンテンツの著作権を損なわない範囲で、コンテンツを利用できるコンテンツコントローラ14やストレージ15の機種を拡大し、コンテンツの利用を促進することができる。一方、コンテンツの制作者は、コンテンツコントローラ14やストレージ15のDRM性能を考慮して利用条件を設定する煩わしさから解放される。
また、上記各システムのうち、特に、コンテンツ参照データベース710と能力データベース320とを共にポータル12に設けた図17のシステムでは、ポータル12にアクセスしたコンテンツコントローラ14に対して迅速な応答が可能である。
一方、コンテンツ参照データベース710、700と能力データベース300とを別の装置に設けた図18および図19のシステムでは、負荷の分散を図ることができる。
なお、他のバリエーションとして、配信コントローラから変換要求を受けてライセンスの変換処理を行う権利ゲートウェイが、権利ゲートウェイのポリシーに基づいて、ライセンス変換のルールを追加できるようにしても良い。但し、制作ユニットや配信コントローラにより、権利ゲートウェイのこのような動作が禁止されている場合は、その限りでない。
また、ライセンス変換に複数の選択肢がある場合は、ユーザ(またはコントローラ)がポータル12上、または、配信コントローラ11上もしくは権利ゲートウェイ100a上で選択を行うようにしても良い。
また、権利ゲートウェイ100aは、コンテンツコントローラ14のアクセス履歴を管理することにより、コンテンツコントローラ14に対してコンテンツの複数回のダウンロードを許可するライセンスに変換することが可能になる。
また、権利ゲートウェイ100aは、コンテンツコントローラ14への配信を管理することにより、アクセス時のコンテンツコントローラ14およびストレージ15の状態に適したコンテンツを配信する動的なライセンスに変換することが可能になる。
(実施の形態6)
実施の形態6では、ホームゲートウェイ上に配置された権利ゲートウェイの動作について説明する。
まず、図20において、ホームゲートウェイ16上にある権利ゲートウェイ100dが、配信コントローラ11からコンテンツをコンテンツコントローラ14にダウンロードする場合にどのような動作を行うかについて説明する。
ユーザがコンテンツコントローラ14からコンテンツダウンロード操作を実行すると、ホームゲートウェイ16は、配信コントローラ11からコンテンツAと権利情報Aをダウンロードする。
そして、権利ゲートウェイ100dは、ホームゲートウェイ16によりコンテンツコントローラ14およびストレージ15の能力情報220、210を取得する。なお、ホームゲートウェイ16上に家庭内の端末の情報のデータベースが設けられている場合もある。
そして、権利ゲートウェイ100dは、能力情報220、210と権利情報Aとを参照して、権利情報Aの変換ポリシーに基づいて、必要に応じてコンテンツAおよび権利情報Aの変換を行い、変換結果をコンテンツBおよび権利情報Bとしてコンテンツコントローラ14に送信する。
次に、図21において、ホームゲートウェイ16上にある権利ゲートウェイ100dが、ストレージ15aに格納されているコンテンツAを別のストレージ15bにチェックアウトする場合にどのような動作を行うかについて説明する。
ユーザがコンテンツコントローラ14に対してチェックアウト操作を実行すると、コンテンツコントローラ14は、ストレージ15bの能力情報210を取得する。また、コンテンツコントローラ14は、ストレージ15aのコンテンツAおよび権利情報Aにアクセスして、ホームゲートウェイ16に能力情報210、コンテンツA、および権利情報Aを送信する。但し、ホームゲートウェイ16が家庭内端末に関する情報データベースを有する場合は、能力情報210の送信は不要である。
ホームゲートウェイ16上の権利ゲートウェイ100dは、能力情報210と権利情報Aとを参照して、権利情報Aの変換ポリシーに基づいて、必要に応じてコンテンツAおよび権利情報Aの変換を行い、変換結果をコンテンツBおよび権利情報Bとしてコンテンツコントローラ14を介してストレージ15bに送信する。
このように、ホームゲートウェイ16上に権利ゲートウェイ100dを設けることにより、ホームゲートウェイ16は、情報家電へのコンテンツのダウンロードや、情報家電内でのコンテンツのチェックアウトなどを円滑に制御することができる。
(実施の形態7)
実施の形態7では、ピア・ツー・ピア(peer to peer)ファイル交換により「個人対個人」がサーバを介さずにネットワーク上で音楽や画像などのコンテンツを交換する場合の権利ゲートウェイの動作について説明する。
図22は、リポジトリ20とリポジトリ30とが、権利ゲートウェイ100を介して情報(コンテンツ(カタログ情報を含む)および権利情報)を双方向でやりとりする状態を示している。
リポジトリ20からリポジトリ30に情報A(コンテンツ(カタログ情報を含む)および権利情報)を送信するとき、権利ゲートウェイ100は、送信先のリポジトリ30の能力情報200bを取得し、取得した能力情報200bと情報Aの権利情報とを参照し、必要な変換を行った後、情報Aをリポジトリ30に送信する。このとき、権利ゲートウェイ100は、変換の履歴を格納する。
そして、リポジトリ30からリポジトリ20に情報Bを送信するとき、権利ゲートウェイ100は、これまでの変換履歴800を参照して、情報B(コンテンツ(カタログ情報を含む)および権利情報)の変換の処理を変える。
例えば、リポジトリ20からリポジトリ30への変換が何度も行われている場合は、リポジトリ30からリポジトリ20への送信時に、料金を安くしたり、権利を有利に変換したりする(例えば、期間の場合は通常よりも長くし、回数の場合は通常よりも多くする)。
また、リポジトリ20からリポジトリ30への情報提供が無料で行われている場合は、リポジトリ30からリポジトリ20への送信時に、料金を無料にする。これに対し、リポジトリ20からリポジトリ30への情報提供が有料で行われている場合は、リポジトリ30からリポジトリ20への送信時に、料金を有料にする。
また、リポジトリ20からリポジトリ30への変換が何度も有料で行われており、かつ、リポジトリ20が多くの利益を上げている場合は、リポジトリ30からリポジトリ20への送信時に、料金を高くしたり、権利を不利に変換したりする(例えば、期間の場合は通常よりも短くし、回数の場合は通常よりも少なくする)。
このように、本実施の形態では、権利ゲートウェイ100は、ピア・ツー・ピアの情報交換において、バランスが取れた情報交換の推進を可能にする。
(実施の形態8)
実施の形態8では、各リポジトリの能力情報をサーバで管理するシステムについて説明する。
このシステムは、図23に示すように、各リポジトリの能力情報を管理する能力情報管理サーバ900を有する。
ユーザは、装置購入時などにリポジトリの能力情報を能力情報管理サーバ900に登録することができる。能力情報を登録したリポジトリは、能力情報を自ら管理する必要がなくなる。
リポジトリ20からリポジトリ30aに情報を送信するとき、権利ゲートウェイ100は、送信先のリポジトリ30aからリポジトリ30aのIDを受信し、能力情報管理サーバ900にアクセスして、リポジトリ30aのIDに対応するリポジトリ30aの能力情報を取得する。
なお、能力情報管理サーバ900は、権利ゲートウェイ上、ポータル上、配信コントローラ上、またはリポジトリ上のいずれの位置に存在しても良い。
(実施の形態9)
実施の形態9では、権利ゲートウェイでのライセンス変換に個人情報を利用するシステムについて説明する。
このシステムは、図24に示すように、能力情報管理サーバ900に加えて、顧客情報や買い物履歴情報などの個人情報を管理する個人情報管理サーバ1000を有する。
このシステムでは、ユーザがコンテンツコントローラ14からポータル12にアクセスし、コンテンツコントローラ14のIDがポータル12に送信されると(1)、ポータル12は、受信したコンテンツコントローラIDを権利ゲートウェイ100aに送信する(2)。
そして、権利ゲートウェイ100aは、配信コントローラ11からカタログ情報Aおよび権利情報Aを受信する(3、4)。
また、権利ゲートウェイ100aは、能力情報管理サーバ900からコンテンツコントローラIDに対応する能力情報を取得するとともに、個人情報管理サーバ1000にアクセスし、コンテンツコントローラIDから顧客情報や購入履歴情報などの個人情報を取得する(5)。
そして、権利ゲートウェイ100aは、配信コントローラ11から受信したカタログ情報Aの中からコンテンツコントローラ14の権利管理能力に適合するカタログ情報を選択し、選択したカタログ情報の中から、例えば、既に購入されたコンテンツのカタログ情報を除いて、ポータル12に送信する(6)。
そして、ポータル12は、権利ゲートウェイ100aから送信されたカタログ情報をコンテンツコントローラ14に提示する(7)。
そして、コンテンツコントローラ14が、権利ゲートウェイ100aのアドレスを取得して、コンテンツやカタログ情報のダウンロードを権利ゲートウェイ100aに改めて要求すると(8)、権利ゲートウェイ100aは、コンテンツコントローラ14へのダウンロード向けに変換したコンテンツBやカタログ情報Bをコンテンツコントローラ14に送信する(9)。
このように、本実施の形態のシステムでは、権利ゲートウェイ100によるコンテンツや権利情報の変換に、個人情報を反映させることができる。
(実施の形態10)
実施の形態10では、車載の情報ゲートウェイ上に配置された権利ゲートウェイの動作について説明する。
車載の情報ゲートウェイは、カーナビゲーション装置やカーオーディオ装置などの車載装置のゲートウェイとして動作し、例えば、家庭内の端末に配信された音楽情報や地図情報などのコンテンツを車載装置にダウンロードする場合に、このデータ伝送を仲介する。
図25は、家庭内で取得したコンテンツを携帯電話で送信し、権利ゲートウェイ100eを配置した車載の情報ゲートウェイ17を介して、コンテンツコントローラ14やストレージ15にダウンロードするシステムを示している。この場合、配信コントローラ11は携帯電話であり、コンテンツコントローラ14はカーナビゲーション装置やカーオーディオ装置である。
ユーザがコンテンツコントローラ14に対してコンテンツのダウンロードの操作を実行すると、車載の情報ホームゲートウェイ17は、配信コントローラ11からコンテンツAと権利情報Aをダウンロードする。
そして、権利ゲートウェイ100eは、車載の情報ゲートウェイ17によりコンテンツコントローラ14およびストレージ15の能力情報220、210を取得する。但し、車載の情報ゲートウェイ17に車載装置の情報のデータベースがある場合は、この動作は不要である。
そして、権利ゲートウェイ100eは、能力情報220、210と権利情報Aとを参照し、権利情報Aの変換ポリシーに基づいて、必要に応じてコンテンツAや権利情報Aの変換を行い、変換結果をコンテンツBおよび権利情報Bとしてコンテンツコントローラ14に送信する。このコンテンツBおよび権利情報Bは、コンテンツコントローラ14またはストレージ15で蓄積される。
図26は、権利ゲートウェイ100eが配置された車載の情報ゲートウェイ17を介して、ストレージ15aに格納されているコンテンツAをストレージ15bにチェックアウトする場合の構成を示している。
ユーザがコンテンツコントローラ14aに対して「ストレージ15aからストレージ15bへ」のチェックアウト実行操作を行うと、コンテンツコントローラ14aは、コンテンツAと権利情報Aを含むチェックアウト要求を車載の情報ゲートウェイ17に送信する。
そして、車載の情報ゲートウェイ17は、コンテンツコントローラ14bにアクセスし、コンテンツコントローラ14bおよびストレージ15bの能力情報220、210を取得する。但し、車載の情報ゲートウェイ17が、車内端末に関する情報データベースを有する場合は、能力情報220、210の取得は不要である。
そして、権利ゲートウェイ100eは、能力情報220、210と権利情報Aとを参照し、変換ポリシーに基づいて、必要に応じてコンテンツAおよび権利情報Aの変換を行い、変換結果をコンテンツBおよび権利情報Bとしてコンテンツコントローラ14bに送信する。このコンテンツBおよび権利情報Bは、ストレージ15bで蓄積される。
このように、本実施の形態では、車両に権利ゲートウェイを設けることにより、車載機器にダウンロードするコンテンツのライセンス変換が可能になる。
なお、ここでは、携帯電話から車載機器にコンテンツをダウンロードする場合について説明したが、この逆、つまり、車載機器から携帯電話にコンテンツをダウンロードするようにしても良い。この場合、コンテンツコントローラは携帯電話、配信コントローラは車載機器となる。
(実施の形態11)
実施の形態11では、電子チケットサービスにおける権利ゲートウェイの動作について説明する。
電子チケットに関しては、電子チケットがユーザに表示するためのコンテンツを保持している場合もありうるが、ここでは、電子チケットとして、ユーザに入場などの許可を与える権利情報のみが流通する場合について説明する。
図27は、コンテンツコントローラ14からネットワーク13を通じて電子チケット(権利情報A)を購入することが可能な電子チケットサービスのシステムを示している。
ユーザがコンテンツコントローラ14に対して電子チケット購入(支払いを伴わない場合を含む)の操作を実行すると、コンテンツコントローラ14は、権利ゲートウェイ100aに対して、コンテンツコントローラ14の能力情報220およびストレージ15の能力情報210と共に権利情報(電子チケット)のダウンロード要求を送信する。但し、権利ゲートウェイ100aが、コンテンツコントローラ14およびストレージ15に関する情報データベースを有する場合は、それぞれのIDを送信するのみでも良い。
そして、権利ゲートウェイ100aは、能力情報220、210と権利情報Aとを参照し、必要に応じて、変換ポリシーに基づいて権利情報(電子チケット)Aの変換を行い、変換結果を権利情報Bとしてコンテンツコントローラ14に送信する。この権利情報(電子チケット)Bは、ストレージ15に格納される。
このとき、権利ゲートウェイ100aで行われる権利情報(電子チケット)変換の具体例としては、次のようなものがある。
例えば、期間が制限され、その期間内であれば何回でも利用できる電子チケットを、期間管理のできないコンテンツコントローラおよびストレージに配信する場合は、権利情報(電子チケット)を、1回使いきりのチケットと、そのチケットを使用した後、再度電子チケットのダウンロード要求を行うためのヘルパーアプリケーションとに変換して送信する。
また、電子チケットの使用可能な場所が規定されている場合において、この電子チケットを場所制限のできないコンテンツコントローラおよびストレージに配信するときは、場所制限付きの権利情報(電子チケット)を、有効な場所に行った時に電子チケットのダウンロード要求を行うためのヘルパーアプリケーションに変換して送信する。
なお、これらのヘルパーアプリケーションは、権利情報と独立に送信することも、権利情報の一部として送信することも可能である。
そして、権利ゲートウェイ100aは、コンテンツコントローラ14からのヘルパーアプリケーションに基づく電子チケットの取得要求を受け付け、その要求が正当である場合に、適切な権利情報(コンテンツ情報付きの場合もある)をコンテンツコントローラ14に送信する。
このように、権利ゲートウェイを介在させた電子チケットサービスシステムでは、電子チケットの購入が可能な機器の範囲を拡げることができ、また、電子チケットサービスに供する電子チケットの種類を拡大することができる。
なお、本実施の形態では、コンテンツの利用条件を、コンテンツの利用期間や利用回数で規定する例を主に示したが、コンテンツの利用条件は、次に示すように、種々の観点から規定することができる。
・コピー規制
コピーの禁止
・回数による規制
操作回数(再生回数、表示回数、印刷回数、コピー回数など)
1回とみなす最短時間(開始からどれだけ経過したら1回とみなすか)
・期間の規制
日時指定(開始日時、終了日時)
再生・表示を始めてからの時間
コンテンツ利用の累積時間
ライセンス発行からの時間
ライセンス受信からの時間
ライセンス受信から(ライセンスの)終了命令受信まで
時間帯指定(例えば、午前中、10:00〜15:00)
・場所による規制
移動中の禁止/移動中のみ利用可
場所(学校、家、特定の場所)
・天気による規制
・気温による規制
・個人認証による規制
年齢
性別
所有の商品リスト
使用履歴
・デバイスの性能による規制
音質、画質
但し、天気、温度、場所、個人認証による利用条件の規定は、その検知手段を有する場合に可能になる。例えば、
・リポジトリにセンサ(判断デバイス)が付いている場合
・問い合わせサーバがあり、そのサーバへの問い合わせの機能が付いている場合
・特定のエリアで、情報がBluetoothや無線LANなどで発信されており、リポジトリにその受信機能がある場合
などである。
また、本実施の形態では、利用条件の変換(ライセンス変換)の具体例として、期間制限を回数制限に変換する例を示しているが、その他、次のようなライセンス変換も可能である。
<期間から回数への変換>
・最短時間の指定ができない場合、最短時間の指定ができる場合よりも許可回数が増える
・音質(端末のパフォーマンス)が悪いと、再生許可回数が増える
<回数から回数への変換>
・歌詞の再生(表示)ができない端末向けには、曲の再生許可回数を増やす
・印刷ができない端末では、印刷許可回数分だけ表示許可回数を増やす
・1画面の表示時間制限がない場合や、表示や再生の戻れない制限がない場合
コンテンツのページ数が少なくなる
文字が少なくなる
章(コンテンツの部分)ごと、場所ごとにライセンスが必要になる
場所(位置)ごとにライセンスが必要になる
・最短時間の指定ができない場合
a.最後まで再生/表示しないと1回にならない場合、回数を減らす
b.1秒でも再生/表示すると1回になる場合、回数を増やす
<期間から期間への変換>
・終了日時が検出できない場合、終了命令受信までに変換
<場所から期間(時間帯指定)への変換>(場所の検出ができない場合)
・電車では許可しないという権利を、ラッシュアワーは許可しないに変換
・学校のみ許可という権利を、9:00−15:00まで許可に変換
<気温から期間(時間帯・期間指定)への変換>
・気温20度以上の場合許可するという権利を、期間と時間帯の制限(夏の昼間など)に変換
などである。
また、電子チケット使用時の条件によって権利の変換を変えることができる。条件の具体例としては、例えば、次のようなものが考えられる。
1)チケット使用時にユーザ認証を行うか否か
ユーザ認証の種類には、上記PINや生体認証などがある。PINは通常4桁の数字を入力するが、桁数によってセキュリティが高くなる。PINよりも生体認証の方がセキュリティが高い場合もあり、生体認証の中でも指紋認証よりも虹彩認証の方がセキュリティが高いと言われている。このようなユーザ認証の有無、ユーザ認証がある場合もその手段によって変換を変えることができる。
2)通信路のセキュリティレベル
例えば、Bluetooth自体には通信路のセキュリティ機能が規定されているが、赤外線には通信としてセキュア通信の機能がない。このように通信路のセキュリティ機能があるか否かで変換を変えることができる。
3)運用のしやすさ
例えば、ICカードのタッチアンドゴーサービスでは、通信時間が短いため、処理がエラーになる確率が高いが、一方、Bluetoothや赤外線では、通信距離が長いため、再送処理などで処理時間が長くなっても対応することができ、エラーになる確率は低い。また、ICカードの接触通信を用いる場合は、処理が完了するまでユーザはデバイスを動かせないため、エラーになる確率は低い。このように、運用時にエラーの発生する確率が低い通信路を用いているか否かで変換を変えることができる。
このように、電子チケット使用時の条件によって権利の変換を変えることにより、チケット発行者が望むチケット使用時の条件を満たしているユーザ端末に対しては、当該ユーザに有利になるように権利の変換方法を変えて、差別化を図ることができる。
これらに共通しているのは、電子チケットの改札時に用いる通信手段(例えば、Bluetooth、赤外線、非接触)を条件にして、権利を変換していることである。
すなわち、同じ種類の電子チケットであっても、ユーザ端末により、チケット使用時の通信手段が異なることがある。例えば、Bluetooth、赤外線、非接触、その他の無線通信といった通信手段が考えられる。通信手段によってセキュリティのレベルが異なる場合は、通信手段に応じて権利の変換を変える。
ここで、Bluetooth、赤外線、非接触の特徴(長所/短所など)について説明しておく。Bluetoothの特徴としては、例えば、1)盗難防止のためのセキュリティが通信規格として存在すること、2)通信距離が長いため、処理に時間がかかっても正常に終了できること、3)指向性がなく、例えば、端末を所定の方向に向ける必要がないことなどが挙げられる。赤外線の特徴としては、例えば、1)盗難防止のためのセキュリティが通信規格として存在しないこと、2)指向性があることなどが挙げられる。非接触の特徴としては、例えば、1)通信距離が短いため、処理に時間がかかった場合にエラーが多いこと、2)短時間で処理を終わらせようとするため、(例えば、タッチアンドゴー)エラーが多いこと、3)短時間で処理が終わる(タッチアンドゴー)サービスを想定するため、パスワード入力などのユーザ認証を省いたシステムもあり、このようなシステムでは、使用時にユーザのパスワード入力が要求されないと、拾ったデバイスの(本来の持ち物でない)電子チケットが使えてしまうことなどが挙げられる。なお、上記の特徴は、状況によっては長所であったり、逆に短所であったりするため、実際の適用に当たっては、各サービスに応じた様々な変換が必要になってくる。
例えば、期間制限を回数制限に変える場合、チケット使用時の通信路としてよりセキュアな通信手段をサポートしている端末については、回数を多めに変換し、セキュアでない通信路の場合には、回数を少なくする(例えば、1回券)ように変換する。これにより、サービスの差別化を図ることができる。よって、よりセキュアなデバイスを持っているユーザは手間を省くことができ、サービス運用側は運用時のエラーを減らすようにサービスを制御することができる。
具体的には、例えば、期間制限と回数制限の管理機能を持つチケットアプリケーションAが実装されている携帯端末Aがあるが、チケット改札処理の通信手段として非接触にしか対応していない場合は、セキュアでない通信路であるため、複数回有効なチケットは配信せず、期間制限かまたは1回だけ有効なチケットに変換して配送する。これに対し、同じチケットアプリケーションAが実装されている携帯端末Bが存在し、チケット改札処理の通信手段としてBluetoothに対応している場合は、セキュアな通信路であるため、複数回有効なチケットを配信する。つまり、複数回有効なチケットは高額になるため、セキュアな通信路の場合のみ当該サービスを許可する。
また、例えば、度数管理機能を持つチケットアプリケーションBが実装されている携帯端末Cがあるが、チケット改札処理の通信手段として非接触にしか対応していない場合は、セキュアでない通信路であるため、少なめに最大度数の制限を付けて(例えば、最大度数=500)チケットを配信する。これに対し、同じチケットアプリケーションBが実装されている携帯端末Dが存在し、チケット改札処理の通信手段としてBluetoothに対応している場合は、セキュアな通信路であるため、多めに最大度数の制限を付けて(例えば、最大度数=1000)チケットを配信する。
また、格納デバイスにPIN(Personal Identifier Number)入力機能があるかどうかによって権利の変換を変えることも可能である。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、コンテンツの著作権を保護するための利用制限が多様化し、それに対応する各種のDRM能力を備えた機器や記録媒体が作られている状況のもとで、著作権を損なわずに、コンテンツの利用が可能となる機器や記録媒体の範囲を拡げ、コンテンツの利用の促進を図ることを可能にする。
また、音楽などの配信サービスに止まらず、電子チケットサービスなどのシステムの利便性を高め、これらのオンラインサービスの利用を促進することができる。
また、コンテンツの制作者は、コンテンツ利用機器の各種のDRM性能を考慮してコンテンツの利用条件を設定する煩わしさから開放される。
また、コンテンツ購入のポータルページには、ユーザの機器で利用可能なコンテンツのみが表示されるため、ユーザが利用できないコンテンツを間違って購入する危険を防ぐことができる。
また、新たにコンテンツ利用機器や記録媒体を購入する際に、このシステムから適切なアドバイスを受けることができる。