JP4377156B2 - 長さ測定器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハイトゲージやノギス、デプスゲージ等の被測定物の寸法を測定する長さ測定器のスライダ構造に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、ハイトゲージやノギス、デプスゲージ等のように本体に対して摺動可能なスライダを設け、そのスライダの移動量から被測定物の寸法を測定する長さ測定器がある(例えば特許文献1)。これらの長さ測定器のスライダは被測定物の寸法を測定する過程で、誤差の発生を抑えるために精密かつ、頑丈に製作される必要がある。このスライダは一般に、鋳物でブロック体を製造し、このブロック体を機械加工により切削、穴あけ、塗装、研削といった加工工程を経て精密に製作される。
【0003】
【特許文献1】
特許2901886号(図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のようなスライダでは、製造して鋳物を機械加工するための工数が多くなってしまい、加工にかかる費用のため生産コストも高くなる。また、鋳物を製作する過程で、金型に溶融金属をピストンで高速圧入して鋳物をつくる亜鉛ダイカストや、金属粉末とバインダー(温度管理で流動特性を出す粘結材)の混合物を原料として射出成型するMIM等のように鋳物をより精密に製作することが行われている。しかし、鋳物製造用の金型が高価であるため、生産コストの削減には繋がらない。
【0005】
本発明は斯かる実情に鑑み、加工工数を少なくして安価にスライダを製造できる長さ測定器を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、本尺と、この本尺に対して摺動自在に取り付けられるスライダとを備えて構成され、前記スライダと前記本尺の相対位置から被測定物の長さ寸法を測定する長さ測定器において、前記スライダは、金属板をプレス成型して前記本尺の角部に摺接する部分を折り曲げて断面略L字型に形成されるスライダ本体と、このスライダ本体に設けられて、前記スライダ本体を補強するジョウとを有し、前記ジョウおよび前記スライダ本体の一面に前記本尺の両側が摺接することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、前記スライダのスライダ本体は金属板をプレス成型して前記本尺の角部に摺接する部分を折り曲げ形成される。従って、前記スライダ本体は切削、穴あけ、研削等の工程が一連のプレス成型によって容易に製作されるので、製作に手間がかからなく、生産コストも大きく削減される。また、プレス成型で形成されたスライダ本体は板厚があまり厚くできないため、撓む虞があるが、本発明では前記スライダ本体に前記補強部材を取り付けるのでスライダの強度も十分に確保できる。
【0008】
本発明では、前記したように、前記スライダ本体は断面略L字型に形成され、前記補強部材はスライダ本体に設けられるジョウであり、前記ジョウおよび前記スライダ本体の一面前記本尺の両側が摺接することを特徴とする
本発明では、前記ジョウとスライダ本体で1つのコーナーが形成されるものであり、ジョウは断面の厚み寸法が大きいものであるため、補強効果が大きく、コーナーが曲がりにくくなって、強度が強くなる。これによりスライダ本体の撓みによる測定誤差の発生を抑えることができる。さらに、ジョウが補強部材を兼ねることで部品点数の減少が図れる。
【0009】
また、本発明では、前記スライダ本体は2ヶ所のコーナーを有する断面略凹型に形成され、前記補強部材は、前記コーナーの少なくとも一方に設けられ、かつ、このコーナーを挟んで隣り合う2面を繋ぐ角部補強面部であることが好ましい。
前記スライダ本体をプレス成型して断面略凹型にすると強度が不十分となる虞があるが、この発明によると、2ヶ所のコーナーの少なくとも一方に、前記コーナーを挟んで隣り合う2面を繋ぐ角補強面を設けたので、コーナーが撓みに対して強くなり、測定誤差の発生を抑えることができる。
【0010】
また、本発明では、前記スライダ本体は2ヶ所のコーナーを有する断面略凹型に形成され、前記補強部材は、凹部の外側または内側に設けられ、かつ、前記凹部の少なくとも一方のコーナーを覆う補強板であることが好ましい。
この発明によると、前記凹部外側または内側に、前記凹部の2ヶ所のコーナーのうち少なくとも一方のコーナーを覆う補強板が設けられるので、凹部のコーナーが撓みに対して強くなり、測定時の誤差の発生を抑えることができる。また、このスライダ本体はプレスのために特別な金型を用意することがなく、容易にプレス成型が行える。
【0011】
また、本発明では、前記スライダおよび前記本尺の少なくとも一方には前記スライダおよび前記本尺の他方に摺動する摺動部材が設けられていることが好ましい。
この発明によると、前記スライダおよび前記本尺の少なくとも一方に、前記スライダ及び前記本尺の他方に摺動する摺動部材が設けられるので、従来のようにスライダおよび本尺を研削する工程が不要で、かつ、容易に前記スライダを前記本尺に対して摺動可能にすることができる。従って、製作における手間が省け、また加工にかかるコストも削減できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
[第一実施形態]
図1及び図2を用いて第一実施形態について説明する。
図1は第一実施形態の長さ測定器であるハイトゲージ1の全体正面図である。図1においてハイトゲージ1は、本尺2と、本尺2の基端部に設けられるベース21と、本尺2に摺動可能に設けられるスライダ10と、スライダ10に取り付けられ被測定物に当接するスクライバ31を有するジョウ30とを備えている。
【0013】
本尺2は金属製であって断面矩形形状をしており、長手方向に沿う両辺は互いに平行に形成されている。また本尺2には図示しないラックが設けられている。本尺2の基端部には金属等の比重の大きい部材で形成されるベース21が設けられていて、ハイトゲージ1を垂直に支持している。
【0014】
スライダ10はスライダ本体100と、スライダ本体100の補強部材としてのジョウ30と、スライダ本体100に本尺2を介して取り付けられるスライダ前面部130と、スライダ10の摺動量を調整するハンドル120とを備えている。
【0015】
ジョウ30は、本尺2の長手方向と平行、かつ摺接するようにスライダ10に設けられている。ジョウ30の端部には本尺2と垂直となるようにスクライバ取り付け部301が形成されている。
スクライバ取り付け部301には固定子32が設けられ、この固定子32にスクライバ31を装着し固定ねじ33を締めることで、スクライバ31をジョウ30に固定している。これにより、スクライバ31は被測定物によってその形状や条件に合ったものに交換できるように着脱可能となっている。スクライバ31は被測定物に当接する当接部311を有し、当接部311が被測定物に当接するようにスライダ10を本尺2の長手方向に沿って摺動させて測定が行われる。
【0016】
スライダ10の摺動にはハンドル120が用いられている。ハンドル120は図示しないピニオンが設けられており、このピニオンと本尺2に設けられるラックが噛合している。これにより、ハンドル120の回転量に応じた移動量だけスライダ10は本尺2に対して摺動可能となっている。
【0017】
スライダ前面部130は、略平板状に形成されており、電子表示部131と、操作ボタン132と、図示しない検出部を備えている。検出部は、本尺2の長手方向に沿って一定のピッチ間隔で設けられた複数の電極と静電容量結合する複数の電極を有し、スライダ10の移動に伴って変化する静電容量からスライダ10の移動量を検出する静電容量式センサである。本実施形態では、このセンサに限らず、例えば、光学式センサ等の他のセンサを利用した検出部を利用してもよい。この検出部での検出結果は電気信号に変換され電子表示部131に送られ、この電子表示部131でスライダ10の変位量がデジタル表示されている。また、操作ボタン132によって電源のオン、オフの切り替えや、測定時に基準となる面を設定するためのゼロ設定等の設定ができるようになっている。これにより、この操作ボタン132でゼロ設定を行い基準面を設定し、この基準面から当接部311までの長さ寸法を電子表示部131に表示させることができる。
【0018】
図2はスライダ本体100及びジョウ30の斜視図である。
スライダ本体100は、SPCC(冷延鋼板)等の鋼板をプレス成型することにより形成され、一連のプレス成型において切削や穴あけ等の必要な加工作業が行われる。このようなスライダ本体100の板厚は所定寸法に形成されており、例えば、本実施形態では3.0ミリメートルに形成されているが、この寸法は全体の大きさや用途によって変動するものであるため、この寸法に限定されるものではない。
このスライダ本体100は、断面略L字型に形成され、ハンドル120が取り付けられる側の第一側面104と、第一側面104に垂直に設けられる背面103と、第一側面104の背面103とは反対側に一体に設けられる前面部取り付け面108とを有している。背面103の第一側面104とは反対側の端部は段差が設けられ、背面103より板厚が薄く形成されるジョウ設置部105となっている。このジョウ設置部105には取り付け孔101が設けられ、この取り付け孔101に取り付けボルトを通してジョウ30をスライダ本体100に固定している。この時、ジョウ30は背面103とジョウ設置部105との間に設けられる段差によって位置決めされるため、容易に固定することができる。
【0019】
スライダ本体100の背面103の略中央には孔部106が設けられている。この孔部106の第一側面104側には、第一側面104と同平面上にハンドル設置部121がスライダ本体100と一体形成されており、ハンドル設置部121には、ハンドル挿入孔122が設けられている。孔部106のジョウ設置部105側からハンドル挿入孔122に向かって略L字部材107が設けられ、この略L字部材107のハンドル挿入孔122の中心軸延長上にハンドル軸受け107Aが設けられている。ハンドル120は、このハンドル挿入孔122に挿入され、その先端がハンドル軸受け107Aに支持され、このハンドル軸受け107Aを中心に回転可能とされる。
【0020】
図3は第一実施形態のジョウ30の斜視図である。図2、図3において、ジョウ30は断面略矩形状の金属製部材であり、本尺2と平行にスライダ本体100のジョウ設置部105に取り付けられるジョウ本体302と、このジョウ本体302の端部に略垂直に一体に設けられるスクライバ取り付け部301とによって略L字型に形成されている。ジョウ本体302の矩形の一面がジョウ設置部105に取り付けられることで、このジョウ設置部105と垂直となるジョウ本体302の一面が第一側面104と対向する。このジョウ本体302の第一側面104と対向する面の幅は第一側面104の幅(背面103と垂直となる方向の長さ)と同寸法であり、これは本尺2の厚みと略同寸法に設定されている。
ジョウ30の第一側面104に対抗する面には摺動部材である摺動駒34が駒設置部35に取り付けられている。この摺動駒34は合成樹脂や金属等の適宜な部材で形成されていて、表面は予め平滑に研磨されている。この摺動駒34の表面と本尺2が当接することによって両端は滑らかに摺動できるようになっている。摺動駒34は、ジョウ本体302の両端部に各1個ずつ設けられている。スクライバ31を取り付けるスクライバ取り付け部301は、本尺2との摺動面との角度が直角に規制されている。このため、従来では摺動面を研削加工した後に、スクライバ取り付け部301を直角研削していたが、第一実施形態では基準をスクライバ取り付け部301として、摺動駒34を調整することで、直角研削加工にかかる手間が大きく削減される。
【0021】
スライダ本体100の前面部取り付け面108には前面部取り付け孔109が設けられ、ジョウ本体302の前面側にも同様に前面部取り付け孔306が設けられている。スライダ前面部130がこれらの前面部取り付け孔109,306にねじ止めされてスライダ本体100に本尺2を介して取り付けられている。
【0022】
この構成のスライダ10では、スライダ本体100の第一側面104とジョウ30の摺動駒34とで本尺2を挟んで、対向配置されている。これにより、ジョウ30が設置される側のコーナーに力が加わっても、厚みのあるジョウ30がこの力を受けるため撓みが発生せず、コーナーに撓みに対する耐久性を持たせることができ、測定時に測定誤差が発生しない。
【0023】
このような第一実施形態では次のような効果を得ることができる。
(1)スライダ10のスライダ本体100は鋼板をプレス成型して本尺2の角部に摺接する部分を折り曲げ形成されているので、スライダ本体100の製作はプレス成型により多くの工程が短時間で行われる。そのため、製作に手間がかからなく、生産コストも大きく削減される。また、スライダ本体100に補強部材であるジョウ30を取り付けるので強度も十分に確保できる。さらに、従来では重量のある鋳物をベースにしていたのに対し、鋼板で作成されたスライダ10を用いるのでスライダ10の軽量化ができる。
(2)スライダ本体100を断面略L字型に形成し、ジョウ30を補強部材としてスライダ本体100に取り付けて、本尺2の両側がジョウ30とスライダ本体100の第一側面104とで摺接されるようにしたので、ジョウ30とスライダ本体100でコーナーを形成することでコーナーが撓みにくくなり、測定誤差の発生を抑えることができる。
(3)ジョウ30に、本尺2に摺動する摺動駒34が設けられるので、容易にスライダ10を本尺2に対して摺動可能にすることができる。
(4)摺動駒34をジョウ本体302の両端部にそれぞれ設けることで、本尺2のガイドとなり、本尺2とスライダがずれることがない。
(5)本尺2の摺接面とスクライバ31の角度を直角にするために、スクライバ31を基準として摺動駒34を研削し、角度を調整しているので、研削作業が軽減し手間がかからなく、製造コストも削減できる。
【0024】
[第二実施形態]
次に本発明の第二実施形態について説明する。
ここで、第一実施形態と同一の構成要件については同符号で示し、説明を省略する。以下後述する第三実施形態についても同様である。
【0025】
前述したとおり、プレス成型では十分な厚さの板厚を確保できず、スライダ本体100を断面略凹型に形成した場合凹部のコーナーにおいて強度不足となってしまう。第二実施形態ではこの問題を解決して断面略凹部型のスライダ本体100でもコーナーの強度を補強できる構造を提供する。
【0026】
図4(A)は第二実施形態におけるハイトゲージ1のスライダ本体100Aの平面図であり、図4(B)は図4(A)のB−B線における断面図である。図4において、スライダ本体100Aは鋼板を断面略凹型にプレス成型され、第一側面104と、背面103と、ジョウ30が設けられる側の第二側面111と、第一側面104及び第二側面111の背面103とは反対側に設けられる前面部取り付け面108、113とを有している。第二側面111と背面103とのコーナー110の一部にこれらの2面を繋ぐ角部補強面部112が設けられている。この角部補強面部112は、第二側面111と背面103とのコーナー110の一部をプレス成型の過程で外側から45度に面打ちしたものである。この角部補強面部112は本尺2の長手方向に沿って所定間隔を開けて複数(第二実施形態では3箇所)設けられている。この角部補強面部112は鋼板をプレス成型する過程で形成されているため、プレス成型後に面打ち加工等の作業を必要としない。この角部補強面部112により第二側面111と背面103とのコーナー110は撓みに対して強くなり、測定誤差を抑えることが可能である。
【0027】
また、第二側面111の前面部取り付け面113にはジョウ30が設けられ、ジョウ30に取り付けられている摺動駒34の位置にあわせて、第二側面111側に摺動孔114が設けられている。摺動駒34はこの摺動孔114に貫通され、本尺2の摺動面に摺接されている。
【0028】
第二実施形態によれば、第一実施形態の(1)の効果に加えて次の効果が得られる。
(6)第二側面111と背面103との間のコーナー110に、このコーナー110を挟んで隣り合う2面を繋ぐ角部補強面部112を設けたので、コーナー110が撓みに対して強くなり、測定誤差の発生を抑えることができる。
(7)角部補強面部112の形成はスライダ本体100Aを形成するための一連のプレス成型工程の中に組み込まれているため、加工等の手間を削減できる。
【0029】
[第三実施形態]
次に第三実施形態について説明する。
第三実施形態は、第二実施形態と同様、断面略凹部型に形成されたスライダ本体100Bの補強方法についての実施例である。
【0030】
図5は第三実施形態のスライダ本体100Bの断面図である。図5において、スライダ本体100Bは鋼板を断面略凹型にプレス成型され、第一側面104と、背面103と、第二側面111と、前面部取り付け面108,113を有している。これらの面で形成されるコーナー110Bを外側から覆うように補強板115が溶接されている。これにより、コーナー110Bの強度を補強することができ、撓みにより測定誤差が発生することがない。第二実施形態では角部補強面部112を形成するためのプレス成型時に別途金型が必要となるが、第三実施形態ではこのような特別な金型を用意する必要は無く、通常の金型のみでスライダ本体100Bが形成されている。
【0031】
第三実施形態によれば、第一実施形態の(1)の効果に加えて次の効果が得られる。
(8)断面略凹型に形成されたスライダ本体100Bの凹部外側に、凹部の2ヶ所のコーナー110を覆う補強板115が設けられるので、凹部のコーナー110Bが撓みに対して強くなり、測定時の誤差の発生を抑えることができる。
(9)スライダ本体100Bの形成に通常の金型のみでプレス成型可能であるため、新たに金型を作成する必要が無く経済的である。
【0032】
尚、本発明の長さ測定器は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0033】
第一実施形態において、ハイトゲージ1はハンドル120の操作によってスライダ10が摺動するものとしているが、これに限らない。例えば、図6に示すようにスライダ本体100に送り孔116を設け、この送り孔116に図示しない送り箱を貫通した送りねじを通してスライダ移動を微調整できるものであってもよい。すなわち、スライダを本尺に対して摺動させて長さ測定をできるものであればよく、スライダの摺動装置、長さ寸法の表示装置等が限定されない。
また、ハイトゲージである必要はなく、ノギスやデプスゲージ等の長さ寸法を測定する測定器であればよい。
【0034】
第一実施形態において、摺動駒34を取り付け、本尺2との摺動を滑らかにしているが、これに限らない。例えば、本尺2の長手方向に沿って摺動板を取り付けた構造であってもよい。また摺動部材が備え付けられていないものであってもよいが、この場合は本尺2とジョウ30との摺動を滑らかにするために研削加工が必要となり、生産コストが増大してしまう。従ってジョウ30と本尺2との摺動を滑らかにする摺動部材を取り付けることが好ましい。
【0035】
第二実施形態において、断面略凹型のスライダ本体100Aのコーナー110を補強する角部補強面部112は、コーナー110に対して45度に形成されているが、これに限らない。例えば、角部補強面部が背面103に対して60度で設けられているものでもよい。ただし、角部補強部は背面103と第二側面111を繋ぐ補強面であってその角度は限定されないが、この角度が90度に近くなるにつれ補強力が弱くなっていく。従って、第二実施形態のように45度に形成されている場合が、どのような方向から力が加わっても均等に補強できる角度であるため最も好ましい。
【0036】
第二実施形態において、角部補強面部112は凹部の外側より面打ちをするとしているが、これに限らない。例えば、背面103と第二側面111との間のコーナー110に複数の直角三角形の柱部材を所定間隔に配置して角部を補強するものであってもよい。ただし、この場合は、これらの柱部材を別途用意する必要があり、またこれらの柱部材を取り付けるために溶接等の接着作業が必要となる。
【0037】
第二実施形態において、角部補強面部112は、背面103と第二側面111との間のコーナー110に設置されている。また第三実施形態において、は凹部の両方の角部を補強しているが、これに限らない。例えば、背面103と第一側面104を補強するものであってもよい。
【0038】
第三実施形態において、補強板115はスライダ本体100Bの外側に設けられているが、これに限らない。例えば、スライダ本体100Bの内側に設けられているものであってもよい。ただし、この場合、本尺2を通すスペースが圧迫される可能性があるため、予めスライダ本体100Bのサイズを大きく設定しておく必要がある。
【0039】
【発明の効果】
本尺に対して摺動自在に設けられるスライダにおいて、スライダ本体は金属板をプレス成型して本尺の角部に摺接する部分を折り曲げ形成されるので、前記スライダ本体は切削、穴あけ等の工程を一連のプレス成型により容易に製作され、生産コストも大きく削減される。また、前記スライダ本体に前記補強部材を取り付けるので強度も十分に確保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態における長さ測定器の全体正面図。
【図2】第一実施形態におけるスライダの斜視図。
【図3】第一実施形態におけるジョウの斜視図。
【図4】(A)は第二実施形態におけるスライダ本体の平面図、(B)は図4(A)におけるB−B線の断面図。
【図5】第三実施形態におけるスライダ本体の断面図。
【図6】第一実施形態における長さ測定器の変形例におけるスライダ本体の斜視図。
【符号の説明】
1・・・ハイトゲージ(長さ測定器)、2・・・本尺、10・・・スライダ、30・・・ジョウ、34・・・摺動駒(摺動部材)、100,100A,100B・・・スライダ本体、112・・・角部補強面部、115・・・補強板。

Claims (4)

  1. 本尺と、この本尺に対して摺動自在に取り付けられるスライダとを備えて構成され、前記スライダと前記本尺の相対位置から被測定物の長さ寸法を測定する長さ測定器において、
    前記スライダは、金属板をプレス成型して前記本尺の角部に摺接する部分を折り曲げて断面略L字型に形成されるスライダ本体と、このスライダ本体に設けられて、前記スライダ本体を補強するジョウとを有し、前記ジョウおよび前記スライダ本体の一面に前記本尺の両側が摺接する
    ことを特徴とする長さ測定器。
  2. 請求項1に記載の長さ測定器において、
    前記スライダ本体は2ヶ所のコーナーを有する断面略凹型に形成され、
    前記補強部材は、前記コーナーの少なくとも一方に設けられ、かつ、このコーナーを挟んで隣り合う2面を繋ぐ角部補強面部であることを特徴とする長さ測定器。
  3. 請求項1に記載の長さ測定器において、
    前記スライダ本体は2ヶ所のコーナーを有する断面略凹型に形成され、
    前記補強部材は、スライダ本体の外側または内側に設けられ、かつ、前記凹部の少なくとも一方のコーナーを覆う補強板であることを特徴とする長さ測定器。
  4. 請求項1から請求項のいずれかに記載の長さ測定器において、
    前記スライダおよび前記本尺の少なくとも一方には前記スライダおよび前記本尺の他方に摺動する摺動部材が設けられていることを特徴とする長さ測定器。
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