JP4376369B2 - 半同軸空洞共振器フィルタ - Google Patents

半同軸空洞共振器フィルタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半同軸空洞共振器フィルタに係わり、とくにUHF帯で用いるコムライン型の半同軸空洞共振器フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は、従来のコムライン型半同軸空洞共振器フィルタを示す構造図で、5次のバンドパスフイルタの例である。同図において、外導体2の一方(下側)には共振棒11〜15が間隔S1〜S4を隔てて取り付けられ、もう一方(上側)の外導体2にはねじ31〜35が取り付けられている。共振棒11〜15の各々とねじ31〜35の各々はその先端が対向しており、その間隔m1〜m5はねじの回転によりねじの突き出し量h1〜h5を変えることで可変である。従って各共振棒とねじの先端間のギャップにより形成される付加容量も可変設定できる。高周波信号の入出力はループ4、4を介して行われる。
【0003】
このような半同軸空洞共振器フィルタでは、個々の共振棒により構成される共振器の同調周波数、隣接共振器間の結合度の調整と、入出力の整合をとる必要がある。このうち各共振器の同調周波数は、各共振棒の長さをほぼλ0/4(λ0:通過帯域の中心周波数の波長)とし、前記のねじとの間隔m1〜m5を調整することにより調整されている。また、隣接共振器間の結合度は、隣接する共振棒の間隔S1〜S4の選定により調整されている。さらに入出力の整合は、ループ4、4と、それに隣接する共振棒11、15との間隔k、k′の選定により行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の半同軸空洞共振器フィルタにおいては、共振器間の結合度を調整するのに、結合度を合わせるためにある一ヶ所の共振棒の間隔、例えば共振棒11と共振棒12の間隔S1を動かすと、次の共振棒12と共振棒13の間隔S2も変わるので、双方の結合度が変化し難しい調整になる。さらに、共振棒を動かすと同調周波数調整のねじ31〜35との対向状態も変わり、また入出力のループ4と隣接する共振棒11又は15の間隔k、k’も変わることから、すべての調整が連動し、複雑な調整になるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解決し、調整が容易で、しかも同じ外形(大きさ、外観)のままで、広い周波数範囲で所望の特性が得られる半同軸空洞共振器フィルタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外導体と、その外導体の第1の面に垂直にかつ直線状に配置されてその一端が取り付けられた複数の共振棒と、前記外導体の第1の面に対向する第2の面に前記共振棒に対応するよう取り付けられ、かつ前記第1の面に取り付けられた前記共振棒の一端とは反対側の他端と前記外導体との間の電気的容量を可変するための可変コンデンサと、前記共振棒と前記可変コンデンサの対で形成される複数の共振器の間に前記共振棒と交互となるように設けられ、かつ各々が互いに連結可能な部分結合棒を連結することにより構成された複数の結合棒とからなり、前記部分結合棒を連結して前記結合棒の長さ及び太さの少なくとも一方を調節することにより隣接する共振器間の結合度を設定できるようにしたことを特徴とする半同軸空洞共振器フィルタを開示する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明になる半同軸空洞共振器フィルタの構成例を示すもので、従来例の図2と同様に5次のバンドパスフィルタの例である。この構造の特徴は、各共振棒の間(中間位置)に金属製の結合棒51〜54を設け、また従来のねじ31〜35に代わって可変コンデンサ61〜65を設けた点で、他は図2と同様である。そして、本構成では、各共振棒11〜15の位置は固定とし、その間隔S1〜S4も全て等しく一定とし、共振器間の結合度は、隣接する2つの共振棒の丁度中間の位置に、その片端を上側の外導体2に取り付けて設けられた共振棒51〜54の長さ(もしくは太さ)により調整される。入出力の整合は従来と同じく、両端の共振棒11、15とループ4、4の間隔により行われる。さらに各共振器の同調周波数は、各共振棒の長さをほぼλ0/4とすると共に、可変コンデンサ61〜65により上側外導体2と共振棒との間の容量を可変することで調整される。ここで各可変コンデンサは、例えば双方の電極をそれぞれ複数枚の平行な金属板で構成し、一方の固定電極の金属板の間に他方の電極の金属板が挿入されるように回転可能な機構で取り付けたものを用いる。このような可変コンデンサにすると、従来のように共振棒とねじの先端同志を対向させたコンデンサよりも大きな容量範囲で可変することができる。
【0009】
ここで具体例として、図3に示したように470〜770MHzを50波に分け、そのそれぞれの通過帯域幅を6MHz(±3MHz)、中心周波数をF0=473、479、…767MHzとしたとき、この50波の各々に対して図4の特性、即ち通過帯域内での損失は2dB以下、同帯域内の偏歪1dB以内、F0±7.5MHzに於ける減衰量を3dB以上(F0を0dBとしたとき)、F0±20MHzに於ける減衰量を50dB以上(F0を0dBとしたとき)という特性を満たすフィルタを図1の5段フィルタを用いて設計した例を示す。このフィルタの上下の外導体2、2の高さ(底面から上面まで)は63.9mm、幅は139.2mmでこれは図2の場合と同じである。可変コンデンサ61〜65は、図3のように中心周波数が大幅に変わるのに対応するために、少なくとも3PF程度の容量可変制御が必要であるが、これは前述のような可変コンデンサの構造とすることで容易に実現できる。
【0010】
一方、共振器間の結合度は結合棒の長さにより調整するが、これも50波の内のどの周波数チャネルかによって異なってくる。ここでは中心の共振棒13を対称軸として、結合棒52、53の長さL2、L3を等しくし、結合棒51、54の長さL1、L4も等しくするものとし、各周波数に対して定めた値を図5に示す。この結果は、図3の最低の中心周波数473MHz、最高の中心周波数767MHz及び適当に選んだ中間の2周波に対して実測により図4の特性を満たす長さL1〜L4を求め、この実測データから算出した周波数x(MHz)の3次の近似式
【数1】
Figure 0004376369
【数2】
Figure 0004376369
から各波に対する長さL2、L3(mm)を求め、また
【数3】
Figure 0004376369
【数4】
Figure 0004376369
から各波に対する長さL1、L4(mm)を求めたものである。
【0011】
図6は、中心周波数F0=713MHzの周波数チャネルに対するフィルタ特性の実測例で、結合棒の長さはL1=L4=14mm、L2=L3=10mmとし可変コンデンサ同調周波数を調整し、入出力の整合をとって構成したフィルタ特性である。この図から容易にわかるように、図4の特性を満たしている。また、図7は、中心周波数F0=473MHzの周波数チャネルに対するフィルタ特性の実測例で、結合棒の長さはL1=L4=52mm、L2=L3=44mmとしたものである。この結果も図4の特性を満たしている。さらに図6と図7の特性は、周波数をずらして中心周波数を合わせてみると、殆ど同じ特性となり、1枚の図面では区別した表示が不可能なほどよく一致している。
【0012】
図5の結果をみると、図3の周波数帯域のどの周波数チャネルに対しても、長さが8〜52mmの1mmおきの結合棒45種類を用意しておけば、図4に示した特性のバンドパスフィルタが実現できる。こうして、共振棒を移動することがないので、各共振器の同調周波数の調整は可変コンデンサの調整で、共振器間の結合度の調整は図5に示された長さの結合棒を選定することで、さらに入出力の整合は間隔k、k′の調整でフィルタとしての調整が行え、それらの調整が相互に影響し合うことが少ないので、調整工数を大幅に低減することができる。
【0013】
図6の構成例では、図5に示したように、長さの異なる結合棒を必要なだけ用意して共振器間の結合度を調整するものとしたが、この方法では図5の例では45種類の長さのものを用意する必要がある。これに代わる方法として、例えば1、2、5、10、20、30mmといった数種類の長さを持ち、互いに連結可能な結合棒を用意しておくようにしてもよい。そしてこれらを組み合わせることで、図5に示した長さの結合棒を実現する。図8は、この方法で中心周波数F0=713MHzのフィルタを構成したときの実測特性例で、図6と殆ど同じ特性が得られている。
【0014】
さらに、結合度を可変する別の方法としては、結合棒の太さを変えてもよい。結合棒を太くすると結合棒を長くするのと同様の作用が得られ、細くすると短くするのと同様の作用が得られる。この性質を用いても広い中心周波数の範囲に対して対応が可能であり、また長さ、太さの双方を変えればさらに広い周波数範囲への対応が可能とする。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、中心周波数が広い範囲で変化しても、同じ外観形状でほぼ同等な特性フィルタを実現でき、かつその調整の工数を従来よりも大幅に低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる半同軸空洞共振器フィルタの構成例を示す図である。
【図2】従来の半同軸空洞共振器フィルタの構成例を示す図である。
【図3】UHF帯周波数チャネルの例である。
【図4】フィルタ特性の例である。
【図5】図4の特性を実現する結合棒の長さを示す図である。
【図6】図1のフィルタの実測特性例である。
【図7】図1のフィルタの実測特性例である。
【図8】図1の結合棒をいくつかの長さの結合棒を連絡して実現したときの実測特性例である。
【符号の説明】
2 外導体
4 ループ
11〜15 共振棒
51〜54 結合棒
61〜65 可変コンデンサ

Claims (1)

  1. 外導体と、その外導体の第1の面に垂直にかつ直線状に配置されてその一端が取り付けられた複数の共振棒と、前記外導体の第1の面に対向する第2の面に前記共振棒に対応するよう取り付けられ、かつ前記第1の面に取り付けられた前記共振棒の一端とは反対側の他端と前記外導体との間の電気的容量を可変することで同調周波数の調整を行うための可変コンデンサと、前記共振棒と前記可変コンデンサの対で形成される複数の共振器の間に前記共振棒と交互となるように設けられ、且つ各々が互いに連結可能な部分結合棒を連結することにより構成された複数の結合棒とからなり、前記部分結合棒を連結して前記結合棒の長さ及び太さの少なくとも一方を調節することにより隣接する共振器間の結合度を設定できるようにしたことを特徴とする半同軸空洞共振器フィルタ。
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