JP4374738B2 - 故障点標定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送配電線上の複数のデータ収集装置により収集された電流を用いて故障点を標定する故障点標定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
送配電線の故障点標定に関する技術としては、1地点または複数地点の変電所におけるCT・PT等の電気量収集手段により得た電圧・電流を用い、距離継電器原理や故障電流の分流比に着目した故障点標定原理を使用するもの(特公平6−68535号公報、特開平8−122395号公報等)や、故障発生に起因するサージの送電線各端における到達時間差に着目した方式(サージ方式という)、更には、パルスを送電線上に印加し、その反射波の到達時間に着目した方式(パルス方式)が実用化されている。
【0003】
また、上記特公平6−68535号公報に代表される多端子判定形の故障点標定技術の問題点(長距離通信インフラが必要である、電気量を収集できない端が発生する場合がある等)や、上記特開平8−122395号公報に代表される1端子判定形の故障点標定技術の問題点(送電線に複数の電源や負荷が分岐接続されている時に原理的な標定誤差を生じる等)を解決する故障点標定方法として、本出願人による特願平11−157593号が存在する。
この先願の請求項2には、送配電線上に少なくとも電流を同期させて収集可能なデータ収集装置を複数配置し、互いに隣接するデータ収集装置により収集した電流ベクトルの差分を検出してその差分(差電流)が一定値を越えたときの隣接データ収集装置間の地点を故障点として標定する故障点標定方法(以下では、先願の故障点標定方法という)が開示されている。
【0004】
この先願の故障点標定方法では、例えば、本出願人による特願平11−150840号に記載されたデータ収集装置を用い、隣接する2つの電流収集地点(データ収集装置の設置点)における電流量の差分が単純に一定値以上となった場合に故障点を標定している。
ここで、特願平11−150840号に記載されたデータ収集装置の基本的な構成は、送配電線の任意地点から収集したアナログ電気量をディジタル値に変換するディジタル変換手段と、このディジタル変換手段の出力を用いて電気量を演算する演算手段と、この演算手段により演算された電気量を送信先に伝送する伝送手段とを備え、送配電線の任意の複数地点に設けられた鉄塔または電柱に設置可能としたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した先願の故障点標定方法によると、電流を収集するデータ収集装置の精度に固有の比率誤差(パーセント誤差ともいい、一種の測定精度誤差)があり、しかも系統に大電流が流れた場合に、故障発生ではないにも関わらず一定値以上の差電流を検出してしまい、その結果、故障点を誤判定するおそれがある。
【0006】
ここで、図2は、最も単純な2端子送電線にデータ収集装置を設置した例であり、(a)は送配電線401の一端に電源G、他端に負荷Lを有し、両者間の鉄塔にデータ収集装置D1,……Dn,……Dn+2がそれぞれ設置された片端電源系統の例、(b)は送配電線401の両端にR電源、S電源を有し、両者間の鉄塔にデータ収集装置D1,……Dn,……Dn+2がそれぞれ設置された両端電源系統の例である。
これらの図において、例えばn番目のデータ収集装置Dnとn+1番目のデータ収集装置Dn+1との間の地点で故障が発生した場合の、1番目からn番目までのデータ収集装置D1〜Dnの検出電流ベクトル及びn+1番目以降のデータ収集装置Dn+1〜の検出電流ベクトルの例を図3に示す。
【0007】
前述した先願の故障点標定方法では、図3に示すようにn番目のデータ収集装置Dnによる検出電流とn+1番目のデータ収集装置Dn+1による検出電流との差分(差電流)が一定値以上であることを検出して、これらのデータ収集装置Dn,Dn+1の間の地点に故障点が存在すると判定している。
【0008】
図2において、系統故障がない健全時のn番目のデータ収集装置Dnによる検出電流とn+1番目のデータ収集装置Dn+1による検出電流ベクトルの例を図4に示す。なお、各データ収集装置Dn,Dn+1はそれぞれn番目、n+1番目の鉄塔に設置されるため、図4ではデータ収集装置Dn,Dn+1による検出電流をn番鉄塔通過電流、n+1番鉄塔通過電流と表示してある。
n番鉄塔とn+1番鉄塔との間に分岐線がない場合、両鉄塔に流れる電流はほぼ等しい。しかし、各鉄塔に設置した個々のデータ収集装置において電流収集精度に関する固有の比率誤差(パーセント誤差)がある場合、n番鉄塔とn+1番鉄塔の収集電流間に差が生じる。
【0009】
図4(a)は、鉄塔通過電流が小さい場合の比率誤差に基づく差電流を示しており、この差電流は、図4(b)に示すごとくn番鉄塔、n+1番鉄塔の通過電流が大きくなるほど大きくなる。
従って、先願の故障点標定方法のように差電流の大きさのみに着目した標定方法では、比率誤差に起因する差電流を故障発生時の差電流と誤認混同してしまう問題がある。特にこの誤判定は、鉄塔通過電流が大きい場合に顕著となる。
よって、本発明は、データ収集装置固有の比率誤差に起因する故障点の誤判定を防止するようにした故障点標定方法を提供することを解決課題とする。
【0010】
次に、先願の故障点標定方法において、系統の複数地点で発生した同時故障(異地点多重故障)に対しては、各故障発生地点を挟む複数区間で差電流を検出し、各差電流発生地点のすべてを故障発生地点と判定して異地点多重故障を検出している。
しかし、図6(a)に示すように、全てのデータ収集装置が正常でn+1番鉄塔のデータ収集装置に直接またはその直近に(以下、これらを総称して近傍という)系統故障が発生した場合、n+1番鉄塔を挟んだ両側の連続2区間L1,L2で差電流を検出する場合がある。先願の故障点標定方法では、このように単純故障であるにも関わらず、2区間での異地点多重故障と誤判定してしまう。
【0011】
また、実際の系統では単純故障の方が発生確率が高いにも関わらず、上述したように故障発生地点(n+1番鉄塔)を挟む2区間L1,L2のごとく故障発生範囲を広く誤判定してしまうため、故障点を確認するための現地巡視を行う場合に、巡視範囲を広げなければならないという問題があった。
従って、本発明は、異地点多重故障の誤判定を有効に防止可能な故障点標定方法を提供することも解決課題とする。
【0012】
更に、ある地点のデータ収集装置で不良が発生して電流検出精度が低下すると、この地点での検出電流値に誤差が生じる場合がある。この場合、不良が発生した地点を含む2区間で差電流を検出する恐れがあり、分岐点鉄塔の場合には、不良が発生した地点を含む2〜3区間で差電流を検出する恐れがある。
例えば、図6(b)に示すように、n+1番鉄塔に設置されたデータ収集装置の電流入力部に不良が発生すると、このn+1番鉄塔を挟む連続した2区間L1,L2で差電流が検出され、2〜3区間の同時故障と判定される結果、図6(a)のようにデータ収集装置設置点近傍の系統故障と区別がつかないことも生じる。
そこで、本発明は、データ収集装置の不良発生時における誤判定を防止する故障点標定方法を提供することも解決課題とする。
【0013】
また、2地点のデータ収集装置に挟まれた区間に分岐点を含む系統では、分岐点から電流が分流したり分岐点に電流が合流するため、2地点の電流を用いた差電流検出では区間内に故障がない場合でも差電流を検出して故障と誤判定する恐れがある。更に、分岐点を含む区間で差電流を検出したとしても、それが区間を構成する何れかのデータ収集装置の不良に起因する場合もある。
そこで、本発明は、分岐点を含む系統における故障点の誤判定を防止する故障点標定方法を提供することも解決課題とする。
【0014】
更に、1つのデータ収集装置における収集電気量が1〜2相電流のみであった場合、ディジタルリレー等においてデータ収集装置を監視するために用いられている3相電流を使用した零相監視・平衡度監視手段は使えない。
一般に、故障点標定装置におけるデータ収集装置等の精度不良は標定精度に影響するものであり、上述の零相監視・平衡度監視に代わる精度監視手段の実現が要求される。
そこで、本発明は、データ収集装置における収集電気量が1〜2相のみの時にもデータ収集装置を高精度に監視することができる故障点標定方法の提供も解決課題とする。
【0015】
また、一般に高精度な故障点標定を実施しようとする場合、送配電線上に短い間隔でデータ収集装置を多数配置することが考えられる。このような方法をとると、長距離送電線や多数の分岐線を有する系統ではデータ収集装置の設置点が多数になるので、各収集装置が収集したデータを伝送して標定演算実施手段に集約しようとすると、集約に要する伝送時間が長くなったり、集約するのに必要なメモリ容量が大きくなる等の問題がある。
そこで、本発明は、標定演算のための収集データ量や演算回数を削減し、高速かつ効率の良い標定を行うようにした故障点標定方法を提供することも解決課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した各課題を解決するため、請求項1記載の発明は、分岐点を有する系統において、送配電線上に少なくとも電流を同期させて収集可能なデータ収集装置を複数配置し、
前記分岐点を中心としてこの分岐点に隣接する複数のデータ収集装置によって囲まれる区間を第1の区間とし、前記複数のデータ収集装置により検出された電流を、前記分岐点方向に流れる電流極性に合わせて総和した値を前記第1の区間の差電流として計算し、
前記第1の区間の差電流が一定値以上である場合に、
前記第1の区間に隣接する複数の隣接区間の何れかにおいて当該隣接区間の両端P,Qのデータ収集装置の収集電流から一定値以上の差電流が検出されたときに、差電流が検出された隣接区間における前記第1の区間と接する方の端Qのデータ収集装置の収集電流を前記第1の区間と接しない方の端Pのデータ収集装置の収集電流に置き換え、これらの置き換えた収集電流を用いて、改めて仮の前記第1の区間の差電流を算出し、
この差電流が一定値以上であるときに各隣接区間において前記第1の区間と接する方の端Qの近傍の故障と判定し、前記差電流が一定値以下であって各隣接区間において当該隣接区間の両端のデータ収集装置により差電流が検出されたときは当該隣接区間において前記第1の区間と接する方の端Qに設置されたデータ収集装置の不良と判断すると共に、
前記第1の区間に隣接する複数の隣接区間の全てにおいて複数のデータ収集装置の収集電流から一定値以上の差電流が検出されない場合に、前記第1の区間内に故障点が存在すると判定するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1は実施形態が適用される系統構成図である。
図において、100は変電所(A端)、200は変電所(B端)、300は変電所(C端)、401,402は送配電線、110は変電所100内に設置されるデータ収集装置、210は変電所200内に設置されるデータ収集装置、310は変電所300の直近に設置されるデータ収集装置、411〜414は送配電線401,402に設置されるデータ収集装置、500はディジタルリレーのハードウェア等を流用して構成される故障点標定装置本体、710〜715,720は各データ収集装置に対応して設けられたデータ伝送部である。
なお、上記データ収集装置及びデータ伝送部は何れも同一の構成とし、送配電線の任意地点の鉄塔に設置可能なコンパクトなサイズとする。ここで、データ収集装置及びデータ伝送部の設置地点は図示例に何ら限定されるものではない。
【0024】
図7は、上記データ収集装置の一例を示すブロック図であり、特願平11−150840号に記載されたデータ収集装置を例示している。ここでは、便宜的に変電所100内のデータ収集装置110について図示するが、前述のように他のデータ収集装置210,310,……も同一構成である。
図7において、PTは送配電線401の電圧量を検出する計器用変圧器(光電圧センサPDであっても良い)、CTは電流量を検出する変流器であり、これらによって収集した電圧・電流がデータ収集装置110に入力される。
【0025】
データ収集装置110は、収集したアナログの電気量をディジタル信号に変換するディジタル変換部111と、種々の電気量の演算や伝送制御、操作部制御等を行う演算部112と、演算結果である電気量データを送信して1箇所に集約させたり、書き込み用の設定値や収集起動指令等を受信するために、携帯電話やPHS等の公衆無線電話回線を利用して後述するデータ伝送部や他のデータ収集装置との間で無線伝送(電話通信)するための伝送機能部113と、電話アンテナ117と、操作員が設定値書き込みや収集の起動、収集電気量の読み込み等の操作指令を行うための操作部114と、演算部112による演算結果やプログラム等を記憶するメモリ部115と、太陽電池パネル等に接続された電源部116とから構成されている。
【0026】
ここで、前記操作部114は、このデータ収集装置が鉄塔上のように常時は操作員のいない場所に設置されることを前提としているため、省略するか着脱式として遠隔操作可能にすることも考えられる。なお、操作部114は設定値や演算結果の表示機能も有している。
上述のように携帯電話やPHSに代表される無線電話通信を伝送手段に用いることで、電力会社は予め専用の通信回線や伝送設備を確保、維持する必要がなくなり、設備費用や保守費用も少なくて済む。特に最近では、携帯電話やPHSが広く普及しているので、これらの社会的な無線電話環境の充実がこの種のデータ伝送の実現を可能にしている。
【0027】
図8は、図7の演算部112において電気回路ロジック処理もしくはプログラム処理により実現される機能ブロック図である。
図8において、図7のディジタル変換部111によりディジタル値に変換された収集電気量は電気量演算部1121に入力され、振幅値・実効値・位相差・インピーダンス・変化幅等の諸電気量が演算される。これらの電気量は故障検出リレー判定部1122に送られ、その判定出力がゲート1123の一方の入力端子に送られる。ゲート1123の他方の入力端子には、必要に応じて収集指令部1127からの収集指令が入力され、ゲート1123の出力が「H」レベルの時に接点1124が閉じて電気量がメモリに取り込まれるとともに、遅延タイマ1125にも信号が入力される。
【0028】
収集指令部1127からの収集指令は遠隔からの無線電話通信や操作部114からの入力(イベント起動)、または起動時刻の設定値に従って定周期で発生するものである。また、メモリへの保存動作も、必要に応じ設定値に従って定周期で保存しても良い。
なお、メモリに保存された電気量は操作部114にも表示される。更に、一定時間経過後に遅延タイマ1125から起動信号が伝送出力処理部1126に送られ、収集した電気量や演算後の電気量を伝送するべく伝送機能部113が駆動される。
【0029】
ここで、系統健全時の送配電線各地点における電圧電流分布はほぼ一様であり、送配電線各端の電気量取得によって十分である場合が多いが、故障時は送配電線各地点の電圧電流分布が一様ではないので、故障発生時の動作が重要である故障点標定装置にとって、電線故障時の各地点における電気量収集の有無は装置性能に大きく影響する。
上記の点に鑑み、図8の例ではデータ収集装置に故障検出継電器(故障検出リレー判定部1122)を内蔵し、その動作時に電気量を伝送するようにした。故障検出継電器としては公知のものを使用し、収集電気量が電流のみの場合は過電流継電器・変化幅継電器や電流継電器等を使用する。電気量として電圧も収集している場合は、過電圧継電器・不足電圧継電器、電圧・電流両方を用いたインピーダンスで動作判定をする距離継電器等が例として挙げられる。
このように故障検出継電器の動作時に電気量を伝送する構成とすれば、前述のイベント起動と同様に、電気量を常時伝送する必要がない分だけ無線出力が周囲環境に及ぼす影響を一層低減でき、消費電力も抑えられる利点がある。更に、故障点標定装置にとって不要なデータ、例えば健全時または健全相の電気量の伝送を省くことが可能であり、大容量伝送手段を使わずに本発明の実施が可能となる。
【0030】
また、送配電線上に複数のデータ収集装置が存在する場合、各装置による電気量収集起動のタイミングやディジタル変換部の変換タイミングは非同期である。しかし、例えば特開昭58−208676号公報によれば、送電線各端電気量間の高精度のベクトル位相関係の検出、すなわち、送電線各端電気量の同期取得が前提となっている。各データ収集装置における収集電気量間のベクトル位相関係を高精度に検出する場合には、上述したタイミングずれを補正する手段が必要となる。
【0031】
なお、図示しないが、全方位測位システム(GPS:グローバルポジショニングシステム)を用いて高精度の時刻データを人工衛星から取得し、この時刻情報を演算部112の電気量に付加することにより、各データ収集装置間のタイミングずれを補正してすべての収集装置が同一の時刻情報を取得することができる。上記GPSにより、各データ収集装置が電気量収集時にその時刻データを電気量に付加して収集時刻付きの電気量を1ヶ所に集約すれば、集約先で各収集データ間のタイミング差、つまり時刻差の補正が可能である。例えば、第1、第2の二つのデータ収集装置による収集データが各々時刻(t1,t2)に収集されたデータである場合、時刻差(△t=t2−t1)と電気量の周波数fとを用い、第2のデータ収集装置の電気量に対して2πf△t〔rad〕(πは円周率)の位相補正(加算)を行うことにより、第2のデータ収集装置の電気量があたかも時刻t1に収集されたかの如く取り扱うことができる。このような技術は例えば特開平6−338037号公報等によって確立されているから、これらの技術を利用すれば、複数のデータ収集装置間での電気量のベクトル位相同期が可能である。
【0032】
図1に示したデータ伝送部710〜715,720は、前段のデータ伝送部からの伝送データに、自己の対応するデータ収集装置の収集データを付加して順次伝送し、最終的に1ヶ所に集約して故障点標定装置本体500に送るためのものである。このデータ伝送部も鉄塔や電柱に設置可能なコンパクトなものとし、データ伝送部の相互間では例えば小出力無線技術により伝送データを増幅し、中継する。これにより、大規模な伝送設備を用いずに従来の各端電気量伝送設備と同等の機能を実現することができる。
【0033】
図9はデータ伝送部710の内部構成であり、自己の対応するデータ収集装置110から送られる電気量データを受信する伝送受信部7101と、全区間のデータ伝送部から小電力無線通信により送られた電気量データを受信する伝送受信部7105と、設定された起動時刻や操作部からの入力に従い、或いは遠隔からの指令によって電気量の収集指令を出力する収集指令部7102と、この収集指令により動作する接点7103及び遅延タイマ7104と、所定時限の経過後に起動される伝送出力処理部7106とを備えている。そして、接点7103を介してデータ収集装置が収集した電気量データをメモリに保存すると共に、前区間のデータ伝送部から受信した電気量データを伝送出力処理部7106において合成し、故障点標定装置本体500に伝送するものである。
なお、データ収集装置の構成は、図7,図8に示した構成に何ら限定されるものではない。同様にして、データ伝送部の構成も図9に何ら限定されない。また、図9のデータ伝送部をデータ収集装置に内蔵することも可能である。
【0034】
さて、図1の構成において、本発明の第1参考形態では、故障点標定原理を、先願の故障点標定方法における「隣接する2箇所の電流収集地点で収集した2つの電流値の差電流の大きさが一定値以上の場合に両地点間を故障点と判定する」第1の工程と、「隣接する2箇所の電流収集地点で収集した2つの電流値(例えば、n番鉄塔通過電流とn+1番鉄塔通過電流)に基づく特徴電流値と差電流との比率が一定値以上の場合に両地点間を故障点と判定する」第2の工程との両方の判定が成立したことをもって故障点を標定するものである。つまり、第1の工程による判定論理と第2の工程による判定論理との論理積とする。
ここで、上記特徴電流値とは、以下に説明するように、例えば2箇所の電流収集地点で収集した2つの電流値のうちの大きい方の電流値や、2つの電流値の和などである。
【0035】
図5は、この参考形態による故障点標定特性を示している。
図5において、横軸はmax{|In|,|In+1|}であり、n番鉄塔電流Inとn+1番鉄塔電流In+1のうちで何れか大きい方の電流の大きさである。これらの電流値は、n番鉄塔、n+1番鉄塔にそれぞれ設置されたデータ収集装置によって測定される。また、縦軸は、n番鉄塔電流Inとn+1番鉄塔電流In+1とのベクトル差分の大きさ、つまり|In−In+1|である。
更に、図5中の不感帯は、先願の故障点標定方法における「差電流の大きさが一定値以上」の特性限界(一定値)を示し、また、図5中の特性限界線Xは、前記第2の工程による判定論理における比率の特性限界線を示している。この比率の特性限界線Xと縦軸と不感帯の特性線Yとで囲まれた部分が故障と判定される領域である。なお、比率の特性限界線Xは任意に設定可能である。
【0036】
この図5に、前述した図4の(a),(b)の電流特性をプロットしてみると、第1の工程のみによる先願の故障点標定方法では比率特性を考慮していないため、鉄塔通過電流が大きい場合のデータ収集装置の比率誤差に基づく差電流(図4(b)による特性点)が故障点判定(つまり誤判定)に直結するが、前記第2の工程の比率特性を追加して論理積をとった場合、差電流の大きさ|In−In+1|が一定値以上であり、しかも、特徴電流値であるmax{|In|,|In+1|}と差電流の大きさ|In−In+1|との比率が一定値以上にならない限り、故障点判定に結びつくことはない。
すなわち、第2の工程による判定論理が追加されたことで、単に差電流の大きさのみを一定値と比較する場合に比べて故障点標定が一層厳密になっている。これにより、鉄塔通過電流が大きい場合のデータ収集装置の比率誤差に基づく差電流によって故障点が誤判定される恐れを低減することができる。
【0037】
なお、この参考形態では、特徴電流値をmax{|In|,|In+1|}、つまり2箇所の電流収集地点で収集した2つの電流値のうちの大きい方の値としている。この特徴電流値を、例えば|In|+|In+1|、つまり2つの電流値の和とした場合には、得られる特性に多少の差異が生じるものの、本発明の作用効果を十分に達成することができる。すなわち、特徴電流値には種々の値を用いることができる。
【0038】
次に、第2参考形態を説明する。
この参考形態は、連続する2区間で一定値以上の差電流が検出された場合に、これらの2区間に挟まれた電流収集地点の近傍を故障点として判定する。
例えば、図6(a)において、n番鉄塔、n+1番鉄塔、……にデータ収集装置が設置されており、n+1番鉄塔の前後の区間L1,L2において一定値以上の差電流が検出された場合には、故障点をn+1番鉄塔近傍と判定するものである。
【0039】
差電流検出が1区間の場合は2つのデータ収集装置(2つの鉄塔)間のゾーン判定であるのに対し、本参考形態の方法は実際の故障発生地点である鉄塔位置を標定結果とするポイント判定となり、標定精度が高くなる利点がある。特に、実際の系統故障では、異地点多重故障より単純故障の方が多発するため、本発明による標定方法は有効である。また、実際に異地点多重故障が発生した場合も、電線巡視に当たっては、まず本発明による標定結果である特定の鉄塔を巡視し、故障発生痕が見られない場合は異地点多重故障と判定して特定鉄塔を挟む2区間の巡視に移行すればよいので、従来における巡視と同様の手間で済む。
【0040】
次いで、第3参考形態を述べる。
この参考形態は、連続する2区間で一定値以上の差電流が検出された場合に、上述した第2参考形態による系統故障判定と、データ収集装置の不良判定とを区別するための方法である。
【0041】
特定地点のデータ収集装置に不良が発生した場合でも、このデータ収集装置を中心として前後に隣接する2つのデータ収集装置が正常であれば区間内に系統故障がない限り、前記2つのデータ収集装置間で差電流は検出されない。
例えば、図6(b)の系統において、n+1番鉄塔に設置されたデータ収集装置が不良になった場合は、n番鉄塔〜n+1番鉄塔の区間L1、n+1番鉄塔〜n+2番鉄塔の区間L2で差電流が検出される。
しかし、n+1番鉄塔を中心としてその前後にあるn番鉄塔,n+2番鉄塔のデータ収集装置が正常であれば、n番鉄塔〜n+2番鉄塔間の電流はほぼ一様であるため、n番鉄塔電流とn+2番鉄塔電流との差電流演算を実施すると、図6(b)に表されるごとく差電流は検出されない。
【0042】
すなわち、第3参考形態では、n番鉄塔〜n+1番鉄塔間、n+1番鉄塔〜n+2番鉄塔間で差電流を検出した場合に、n番鉄塔電流とn+2番鉄塔電流との間の差電流(ここでは便宜的にΔIとする)について例えば第1参考形態による故障点標定演算を実施し、その結果故障と判定されなければ第3参考形態によってn+1番鉄塔のデータ収集装置を不良と判定するものである。また、一定値以上の差電流ΔIが検出された場合は、図6(a)に示したように、第2参考形態によりn+1番鉄塔近傍での系統故障と判定するか、もしくはn番鉄塔〜n+1番鉄塔間、n+1番鉄塔〜n+2番鉄塔間で同時発生した異地点多重故障と判定するものである。
【0043】
次いで、本発明の第4参考形態を説明する。
2地点のデータ収集装置に挟まれた区間に分岐点がある場合、全ての分岐点以遠にもデータ収集装置を設置し、全収集装置での電流の和を差電流とし、先願の故障点標定方法または第1参考形態に代表される故障点標定方法を実施する。ただし、全収集装置での電流の和を差電流とするには、全データ収集装置の電流極性を、分岐点方向に流れる電流を全て正または負極性に合わせる必要がある。
【0044】
図10は、n番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔に囲まれたn+1番鉄塔が分岐点となっている、いわゆるT分岐の例である。Dn-1,Dn,Dn+2,Dn+3,Dm,Dm+1はデータ収集装置を示し、その電流極性は図示の通りである。I1はn番鉄塔における収集電流、I2はn+2番鉄塔における収集電流、I3はm番鉄塔における収集電流を示す。なお、図10には各電流I1〜I3のベクトル図も併記してある。
【0045】
n番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔に設置されたデータ収集装置Dn,Dn+2,Dmは、分岐点(n+1番鉄塔)に流れる電流の極性について、n番鉄塔は正極性、n+2番鉄塔及びm番鉄塔は負極性と見るように設置されている。この場合の差電流は、n+2番鉄塔電流、m番鉄塔電流の符号を反転し、差電流△=|I1−I2−I3|とすればよい。
以後は、先願の故障点標定方法を用いても良いし、第1参考形態により差電流と比率特性とを考慮して標定演算を実施すればよい。
【0046】
つまり、本参考形態では、分岐点であるn+1番鉄塔を中心としてこのn+1番鉄塔に隣接するデータ収集装置Dn,Dn+2,Dmによって囲まれた区間を一つの区間としたときに、前記データ収集装置Dn,Dn+2,Dmの収集電流を用いて差電流Δを計算し、一定値以上の差電流が検出された場合は、前記分岐点を中心とする一つの区間内に故障点があると判定する。
従って、|I1−I2−I3|=0であれば、故障電流If=0であり、3つの区間内に故障点はないと判定する。
【0047】
次に、請求項1の発明の実施形態を説明する。
この発明は、図10に示したような分岐を含む区間における系統故障とデータ収集装置の不良とを判別する方法である。以下では、図10のT分岐系統を例にとって説明する。
【0048】
第4参考形態により差電流を検出した場合、常に区間内の系統故障と断定できるわけではなく、区間内のデータ収集装置の不良である可能性もある。そこで、以下の処理により系統故障またはデータ収集装置の不良を判別する。
(1)分岐点を含む区間A(図10において、n+1番鉄塔を中心としてn番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔により囲まれる区間)、隣接する各区間(図10において、区間Bはn−1番鉄塔〜n番鉄塔、区間Cはn+2番鉄塔〜n+3番鉄塔、区間Dはm番鉄塔〜m+1番鉄塔)の差電流を計算する。
【0049】
ここで、区間Aは請求項1における第1の区間に相当し、区間B,C,Dは請求項1における隣接区間に相当し、n−1番鉄塔、n+3番鉄塔、m+1番鉄塔は各隣接区間において第1の区間と接しない方の端Pに相当し、n番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔は各隣接区間において第1の区間と接する方の端Qに相当する。
【0050】
区間Aで差電流が検出され、かつ、B,C,D全区間が差電流無しの場合、n番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔のデータ収集装置は全て正常とし、区間Aを系統故障発生区間とする(後述する図11のステップS1〜S5)。
【0051】
(2)次に、例えば区間B,C,Dのうち区間Bのみ差電流を検出した場合(図11のステップS6)には、
・区間A,Bの同時故障
・n番鉄塔近傍の系統故障
・n番鉄塔のデータ収集装置の不良
の3通りが考えられる。
また、区間C、区間Dにおいても単独差電流検出(単独故障)及び複数区間での差電流検出(異地点同時故障)が考えられ(同S8,S10)、何れにせよ系統故障とデータ収集装置の不良とを判別する必要がある。この判別を実施するために、図11のフローチャートを用いる。
【0052】
図11は、図10の系統及び記号を用い、第3参考形態における故障点標定方法(データ収集装置の不良検出方法)を3端子区間に拡張した例である。
基本的な考え方として、区間Aを含む連続区間で差電流を検出した場合(ステップS2)、区間B,C,Dの区間Aと接しないn−1番鉄塔、n+3番鉄塔、m+1番鉄塔の電流を仮の区間Aを構成する電流収集地点(n番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔)の電流と置き換え(同S6〜S11)、改めて差電流判定を行う(同S12〜S25)ものである。
【0053】
このような電流置き換え処理をすることにより、区間Aを構成し、かつ、電流精度不良の可能性のあるデータ収集装置(n番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔)の電流を使わないため、区間A〜BまたはA〜CまたはA〜Dに系統故障がなければ差電流を検出しない(同S13におけるNO分岐)。
よって、区間Aを構成するデータ収集装置(n番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔)の不良と判定することができる(同S21,S23,S25)。逆に差電流を検出した場合(同S13におけるYES分岐)、区間Aを構成するデータ収集装置(n番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔)の至近故障もしくは異地点多重故障が予想される(同S15,S17,S19)。
なお、図10は、第2参考形態に従い、データ収集装置(n番鉄塔、n+2番鉄塔、m番鉄塔)の至近故障と判定出力させる例である。
【0054】
次いで、第5参考形態を説明する。第3参考形態によるデータ収集装置の不良判定方法を応用することで、先の解決課題として述べたようにデータ収集装置が3相電流を収集していない場合でも、収集装置の不良判定を行うことができる。
系統健全状態においては、系統には潮流のみ存在し、系統上の全区間の流入・流出電流は平衡している。そこで、系統上の全区間のデータ収集装置について一斉に、もしくは区間毎にその区間を構成する全データ収集装置について一斉に、電流収集を実施して差電流判定を行う。
【0055】
この結果、データ収集装置が正常であれば必ず差電流は検出されない。差電流を検出した場合、その系統または区間を構成するデータ収集装置の何れかが不良であると判定する。データ収集装置の不良がある場合、連続する2区間で差電流が検出されるはずであるから、区間を構成するデータ収集装置のうちどれが不良かは第3参考形態により特定可能であり、分岐線を含む区間においては請求項1の発明により特定可能である。
【0056】
最後に、第6参考形態を述べる。系統故障発生時に全てのデータ収集装置から電流情報を一斉に集めるのではなく、必要最低限の電流情報を集めて標定演算を行う方が高速化や効率向上に寄与することができる。
そこで、第6参考形態では、図12のフローチャートに従って標定処理を行うようにした。
【0057】
始めに、多数の区間に細分された系統を、まず大まかな区間(この区間は細分された複数の区間の集合である)に区分けする。つまり、図12のステップS31において、NO.0,n,2n,……,mと番号が付されたデータ収集装置の相互間が大まかな一区間に相当する。これらの各区間NO.0〜n,n〜2n,……の差電流を検出することにより図10で説明したような仮判別を実施する(ステップS32)。以後、差電流検出区間のみに着目し(同S33)、更に細かい区分けを行いながら標定を続ける(同S34〜S46)。
【0058】
具体的には、差電流検出区間がある場合に、その区間の両端のデータ収集装置にNO.0,NO.nという番号付けを行う(同S34)。次に、nを二分してxを求め(同S35)、細分された区間NO.0〜xにおける差電流検出の判定を行う(S36)。そして、差電流検出の有無に応じて、区間NO.0〜xまたは次の区間NO.x〜nを新たな差電流発生区間と定義する(S37,S38)。
これらの処理はxが1より大きい限り、繰り返し実行される(同S39のYES分岐)。xが1以下になったら(同NO分岐)、以下のステップに進む。
【0059】
最終差電流発生区間aと隣接する複数の区間bにおいて差電流が検出されたか否かを判断し(同S40)、検出されなかった場合には区間aの故障と判定する(同S44)。また、検出された場合には区間a〜bの両端で差電流が発生したか否かを判断し(同S41)、その結果に応じて区間a〜bに挟まれた地点の故障または区間a〜bに挟まれたデータ収集装置の不良と判定する(同S42,S43)。そして、ステップS42,S43,S44の後に、仮判別により差電流が検出された全区間(大まかに分割された区間の全て)について詳細判別が終了したか否かを判断し(同S45)、未了の差電流発生区間があればその区間に着目して(同S46)ステップS34以下の詳細判別処理を繰り返し実行する。
【0060】
次に、この参考形態による効果を説明する。例えば、100のデータ収集装置で99の区間に細分化された2端子送電線における1地点での系統故障を仮定する。各区間毎に差電流検出を行うと、
・データ収集装置から集めた100組の電流データを用い、最大99回の差電流判定が必要となる(第6参考形態を実施しない場合)。
【0061】
一方、図12のフローチャートにおいて、変数nの初期設定を仮に50とした場合の処理の最大量は、
・No.0,50,99の鉄塔(データ収集装置)から電流データを収集(トータル収集データ=3組)
No.0〜50,50〜99の2回の差電流計算(トータル差電流計算=2回)
(No.0〜50区間で差電流検出とする)
・x=25とし、No.25の電流データ収集(トータル収集データ=4組)
No.0〜25,25〜50の2回の差電流計算(トータル差電流計算=4回)
(No.0〜25区間で差電流検出とする)
・x=13とし、No.13の電流データ収集(トータル収集データ=5組)
No.0〜13,13〜25の2回の差電流計算(トータル差電流計算=6回)
(No.0〜13区間で差電流検出とする)
・x=7とし、No.7の電流データ収集(トータル収集データ=6組)
No.0〜7,7〜13の2回の差電流計算(トータル差電流計算=8回)
(No.0〜7区間で差電流検出とする)
・x=4とし、No.4の電流データ収集(トータル収集データ=7組)
No.0〜4,4〜7の2回の差電流計算(トータル差電流計算=10回)
(No.0〜4区間で差電流検出とする)
・x=2とし、No.2の電流データ収集(トータル収集データ=8組)
No.0〜2,2〜4の2回の差電流計算(トータル差電流計算=12回)
(No.2〜4区間で差電流検出とする)
・x=1とし、No.3の電流データ収集(トータル収集データ=9組)
No.2〜3,3〜4の2回の差電流計算(トータル差電流計算=14回)
(No.2〜3区間で差電流検出とする)
・x=1より、No.2〜3区間が故障発生区間とする。
というように、最大で収集データ9組、差電流計算は14回となり、収集データ量・差電流演算回数共に大幅に処理が削減されることが判る。
【0062】
なお、本参考形態において、nの値は特に限定されるものではない。系統構成・データ収集装置の設置状況により、最適のn値は不定であり、場合によっては、図12のフローチャートのステップS32における間隔0〜n,n〜2n,……は不定間隔とすることも想定される。何れにせよ、本参考形態の要旨は、最初に大まかな区間判別をしたあと、適宜細分された区間を対象として差電流検出による詳細な判別処理に移行する点にある。
なお、図12は、第3参考形態を包含したフローチャートとなっている。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、データ収集装置固有の比率誤差に起因する故障点の誤判定を防止すると共に、単独故障であるにも関わらず異地点多重故障と誤判定してしまうのを未然に防止することができる。
また、データ収集装置の電流入力部の不良を系統故障と区別して検出することができ、これは収集電気量が1〜2相のみである場合にも有効である。
更に、本発明は分岐点を含む系統にも適用可能であり、標定演算のための収集データ量や演算回数を削減して高速かつ効率の良い故障点標定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態が適用される系統構成図である。
【図2】 片端電源系統、両端電源系統における電流分布の説明図である。
【図3】 系統故障発生時のデータ収集装置の検出電流ベクトル図である。
【図4】 系統健全時における比率誤差に基づく差電流を説明するための電流ベクトル図である。
【図5】 第1参考形態による故障点標定特性を示す図である。
【図6】 系統故障発生時の各鉄塔における電流ベクトル及び差電流検出の有無を説明する図である。
【図7】 図1におけるデータ収集装置の構成図である。
【図8】 図7における演算部の構成図である。
【図9】 図1におけるデータ伝送部の構成図である。
【図10】 T分岐を有する系統の構成図及びベクトル図である。
【図11】 図10の系統を対象とした故障点標定方法のフローチャートである。
【図12】 第6参考形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100,200,300 変電所
110,210,310,411〜414 データ収集装置
401,402 送配電線
500 故障点標定装置本体
710〜715,720 データ伝送部
Dn-1,Dn,Dn+2,Dn+3,Dm,Dm+1 データ収集装置
Claims (1)
- 分岐点を有する系統において、送配電線上に少なくとも電流を同期させて収集可能なデータ収集装置を複数配置し、
前記分岐点を中心としてこの分岐点に隣接する複数のデータ収集装置によって囲まれる区間を第1の区間とし、前記複数のデータ収集装置により検出された電流を、前記分岐点方向に流れる電流極性に合わせて総和した値を前記第1の区間の差電流として計算し、
前記第1の区間の差電流が一定値以上である場合に、
前記第1の区間に隣接する複数の隣接区間の何れかにおいて当該隣接区間の両端P,Qのデータ収集装置の収集電流から一定値以上の差電流が検出されたときに、差電流が検出された隣接区間における前記第1の区間と接する方の端Qのデータ収集装置の収集電流を前記第1の区間と接しない方の端Pのデータ収集装置の収集電流に置き換え、これらの置き換えた収集電流を用いて、改めて仮の前記第1の区間の差電流を算出し、
この差電流が一定値以上であるときに各隣接区間において前記第1の区間と接する方の端Qの近傍の故障と判定し、前記差電流が一定値以下であって各隣接区間において当該隣接区間の両端のデータ収集装置により差電流が検出されたときは当該隣接区間において前記第1の区間と接する方の端Qに設置されたデータ収集装置の不良と判断すると共に、
前記第1の区間に隣接する複数の隣接区間の全てにおいて複数のデータ収集装置の収集電流から一定値以上の差電流が検出されない場合に、前記第1の区間内に故障点が存在すると判定することを特徴とする故障点標定方法。
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