JP4374406B2 - 網状延伸ウェブの製法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、網状延伸ウェブの製法および装置に関し、特に製膜工程でフィルムに切れ目を生じさせることにより、工程が短縮化され、装置が簡便となり、延伸性の良いスリットフィルムになることより、生産性が良く、強度等の物性の良い網状延伸ウェブの製法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の網状延伸ウェブは、網状直交不織布の原料ウェブとして使用され、また、紙、フィルム、不織布、発泡シート等のタテ補強、ヨコ補強等に使用されるもので、従来の糸1本づつ織られたり編まれたりしている織物や編物による補強よりも、その生産性が良いこと、製品が薄くてフラットであること、薄いにも係わらず強度があること、通気性のウェブが容易に製造できること等の利点を活かして、広範囲に使用されてきている。
これら網状延伸ウェブの製法としては、フィルムに切れ目を形成し、その後に切れ目の方向に延伸する方式と、延伸したフィルムをスプリットする方式があった。
フィルムに切れ目を形成させる方式に関しては、カミソリ刃、回転刃のような鋭い刃先を利用する方式がある(実開昭50−122389号、特公昭60−37786号、特公昭61−23104号等がある)。これらの方式は、刃が摩耗して寿命が短くなる問題と、多数の刃の先端の機械精度を厳密に出すことは困難であり、特に広巾装置では、巾全体に精度を維持することはさらに困難性を増すことになる。また、それらの刃を加熱して、熱で溶かしてフィルムに切れ目を開ける方式がある(特公昭61−11757号等)。この方式は、上記の刃の持っている問題点以外に、熱による歪(ひずみ)が生じるため、刃の精度を維持することが困難である問題点もある。また、熱による切れ目は、フィルムが熱の影響を受け、延伸性が良いように急冷して結晶性を少なくしたフィルムの延伸性を悪くする不具合もあった。
また、別の方式として、延伸フィルムをスプリットする方式(実公昭51−38980号、特許2965729号等)があるが、スプリット性が良い延伸フィルムは、ポリマーの種類、延伸条件等において、きわめて限られた場合にしか利用できなかった。
以上のように、このようなスリットおよびスプリット方式は、近年の高生産性や高品質化、低コスト化が求められるようになってくると、さらに高精度の装置が要求され、これらの装置費がかさむ問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、製膜時に切れ目を入れることにより、製膜装置とスリット装置を兼ねることで、装置コストを安くし、工程を短縮し、高生産性を達成することにある。
また、他の目的は、急冷されたフィルムをスリットすることで、高倍率延伸を実現でき、高強度の網状延伸ウェブの製造を可能にすることにある。即ち、高温の熱がかかることで、急冷されたフィルムの延伸性が悪くなることや、精度の悪くなった刃によってスリットされることによる延伸性が悪くなることを回避することも目的とする。
更に他の目的は、高度の機械精度が要求されないフィルムスリット方式を提供することで、高速で運転しても高精度でフィルムをスリットできるようにすることにある。即ち、従来の高速での運転による刃の摩耗の問題や高温での熱によって刃に歪が生じ、精度がわるくなることを回避することも目的とする。
更に他の目的は、フィルム製膜とフィルムスリット装置を兼ねた簡便な製膜・スリット手段を提供する装置にすることにより、簡便な手段にもかかわらず、高生産性で高品質の網状延伸ウェブを提供することにある。即ち、従来は、製膜装置と別にフィルムスリット装置が必要であり、その機械的精度がフィルムの巾全体に対して要求されるので、コストの高い装置であり、また、製膜装置と別に設置することは、広い工場が必要で、工程が複雑になっているのを解消することも目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく、鋭意研究し下記の発明に至った。
本発明は、熱可塑性フィルムにスリットを生じさせ、その切れ目を有するフィルムを延伸することによる網状延伸ウェブの製法であって、Tダイスよりの溶融フィルムを成形し、多数の刃状の突起が設けられている冷却シリンダ上にその溶融フィルムを密着させることによって、冷却フィルムをその冷却シリンダ上に形成させ、その冷却フィルムに形成されている刃状の突起部分に、切れ目を生じさせ、その切れ目を多数有するフィルムを切れ目の長さ方向に1軸延伸することによって網状延伸ウェブの製造を可能にしたものである。
さらに本発明は、上記冷却シリンダ上のその突起部分にある前記冷却フィルムに、軟化点以上に加熱された熱ロールを密着させることによる切れ目を生じさせることによって、網状延伸ウェブの製造を可能にしたものである。
さらに本発明は、熱可塑性フィルムに切れ目を生じさせ、その切れ目を有するフィルムを延伸することによる網状延伸ウェプの製法であって、Tダイスよりの溶融フィルムを成形し、表面に多数の溝が設けられ、その溝の内部より負圧吸引されている冷却シリンダにその溶融フィルムを密着させることにより、冷却フィルムをそのシリンダ上に形成させ、その溝の内部からの負圧吸引によりその冷却フィルムに突起部分を形成させ、その突起部分に切れ目を生じさせ、その切れ目を多数有するフィルムを切れ目の長さ方向に1軸延伸することにより、網状延伸ウェブの製造を可能にしたものである。
さらに本発明は、上記冷却フィルムの突起部分の一部を、循環するスライス刃により除去して切れ目を生じさせることにより、網状延伸ウェブの製造を可能にしたものである。
さらに本発明は、溶融樹脂フィルムを成形させるTダイスと、その溶融フィルムを密着させ冷却フィルムを形成させる表面に、刃状の突起または溝が設けられている冷却シリンダと、その冷却フィルム上に形成されている突起部分に切れ目を形成させる装置と、その切れ目を多数有するフィルムの切れ目の長さ方向に1軸延伸する装置とからなる網状延伸ウェブの製造装置により網状延伸ウェブの製造を可能にしたものである。。
さらに本発明は、上記冷却シリンダが、多数の刃状の突起または溝が設けられている金属板を、冷却シリンダ上に巻き付けて固着した冷却シリンダであることにより網状延伸ウェブの製造を可能にしたものである。
【0005】
本発明の熱可塑性フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂、またはこれらの樹脂の共重合樹脂からなるフィルムが使用される。
また、本発明のフィルムは、単層のフィルムばかりでなく、片面または両面に内部と異なる組成の層を有する2層または3層フィルムにも適用される。これらの多層フィルムは、表面を接着層として内部より軟化点の低い樹脂を使用することにより、直交不織布のタテウェブとヨコウェブとの相互の接着に有効である。
【0006】
本発明は、Tダイ製膜における冷却シリンダを使用する。冷却シリンダとフィルムに切れ目を入れる装置を兼ねることができるようにするためである。また、冷却シリンダに密着している状態で刃状の突起部分を熱で切れ目を入れることにより、フィルムに熱の影響を少なくすることができるようにしたものである。また、冷却シリンダを用いるのは、溶融フィルムを急冷し、結晶化度の低い冷却フィルムにすることにより、延伸切れを少なくし、高倍率延伸を可能にし、高強度の網状延伸ウェブを得ることができる。
なお、冷却とは、溶融フィルムが冷却して固化する温度をいい、必ずしも室温以下を意味するものではない。
【0007】
本発明において、冷却シリンダ上に設けられている刃状の突起は、一定の長さ方向を有する尖った突起であるが、熱でスリットする場合もあり、必ずしも先端が鋭利である必要はない。
刃先が鋭利で、加熱していないロールでスリットする場合は、そのロールはゴム弾性を有するロールであることが好ましい。ゴム弾性にすることにより、刃先の精度の悪さを吸収できるからである。
冷却フィルムに形成されている刃状の突起を加熱ロールでスリットする場合のロール温度は、一般的にはそのフィルムの融点以上が望ましい。しかし、急冷されたフィルムや非晶性フィルムのように、明確な融点を有しない場合もあり、加熱により樹脂が流動を開始するという意味での軟化温度以上であることが望ましい。
本発明における切れ目とは、一定の長さ方向を有する開口をいう。そしてその長さ方向に延伸1軸延伸することにより、一定方向に強い網状延伸ウェブとすることができる。
本発明において、冷却シリンダ上に刃状の突起や溝を設ける簡便な手段としては、金属の板に刃状の突起や溝を設けておき、その板を冷却シリンダに巻き付けて固定する手段をとることができる。この固定の手段は、金属板または冷却シリンダのいずれか一方または双方を磁化しておくことで簡便に固定できる。また、接着剤により固着してもよい。
【0008】
本発明は切れ目の方向へ延伸されるが、その方向は、厳密な意味で切れ目の方向と一致している必要はなく、45度未満の角度の方向であれば、切れ目の方向と認められる。
本発明は、切れ目の方向へ1軸延伸される。1軸延伸には、タテ延伸とヨコ延伸があり、タテ方向へ切れ目が入れられたフィルムはタテ延伸され、ヨコ方向へ切れ目が入ったフィルムはヨコ方向へ延伸される。
タテ延伸は、延伸前の巾がほぼ維持されている近接延伸(特公昭61−55456号等)や圧延や、延伸後の巾が延伸前の巾のほぼ延伸倍率の平方根分の1になる純1軸延伸や両者の中間に属する延伸もあり、本発明はこれらの方式のすべてを使用することができる。
ヨコ延伸は、フィルムの両耳端を把持してヨコに延伸する手段が一般的で、テンター方式も使用できる。本発明人らの先発明であるプーリ式延伸(特公昭57−30368号、特公昭63−3068号等)方式は、簡便な手段で高倍率にヨコ延伸でき、延伸倍率を広範囲に簡単に変えられる等の利点があり、本発明のヨコ延伸に特に適する。また、溝ロールを上下から組み合わせることによるヨコ延伸手段(特公昭59−32307号)等も使用することができる。
【0009】
【実施の形態】
以下本発明の例を図に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明の網状延伸ウェブにおけるスリットフィルム製造プロセスの例を示した。押出機(図示されていない)より導かれた溶融樹脂がTダイス1のダイリイプ2より押し出されて溶融フィルム3が成形されるようになっている。Tダイス1の下方の冷却された(冷却手段は図示していない)冷却シリンダ4上には、シリンダ4の巾方向に長さを有する刃状の多数の突起5が設けられている。溶融フィルム3は、冷却シリンダ4上にエアーナイフ6によるエアーにより冷却シリンダ4上に密着されることにより、冷却シリンダ4上に冷却フィルム7が形成されるようになっている。その冷却フィルム7の突起5の上にあるフィルム8は、チルロール9(水バスでもよい)で冷却されるようになっている柔らかいシリコンゴムロール10で冷却シリンダ4へ密着させられるようになっている。さらに、突起5の上にあるフィルム8は、加熱されている熱ロール11により溶融切断され、切れ目が形成されるようになっている。切れ目が形成されたフィルム12は、引取ニップロール13a、13bにより引き取られ、この図では切れ目はヨコ方向であるので、ヨコ延伸装置へと導かれれるようになっている。
なお、図1では、熱ロールで切れ目を入れる例を示したが、刃状の突起が鋭利な場合は、熱ロールでなくても、室温のゴムロール等によりスリットすることもできる。
【0010】
図2は、本発明の網状延伸ウェブ製造におけるスリットフィルム製造プロセスの別の例を示したものである。Tダイス1より溶融樹脂がダイリイプ2より溶融フィルム3が押し出される。Tダイス1の下方の冷却された冷却シリンダ4上にタテ方向(進行方向)に長さを持つ多数の溝21が設けられている。溶融フィルム3は、冷却シリンダ4上にエアーナイフ6によるエアーにより冷却シリンダ4上に密着されることにより、冷却シリンダ4上に冷却フィルム7が形成される。その冷却フィルム7の溝21の内部が焼結合金からなる(図4で示す)ことによって通気性を有し、内部より吸引されることにより、溝21の中でフィルムが押し込まれて溝21の中へ押し込まれ突起が22が生じるようになっている。
冷却シリンダ4上のフィルム7は、引取ニップロール13a、13bで引き取られ、溝の中に押し込まれた突起部分22が、フィルム7の表面に設置されたナイフ23により先端が削り取られ、フィルムに切れ目が開けられるようになっている。切れ目が形成されたフィルム24は、この図ではタテ方向の切れ目であるので、タテ延伸装置へ導かれるようになっている。
【0011】
図3は、図1の冷却シリンダ4を、やはり断面方向よりその一部を詳しく示した。図の斜線部分全体が金属の板状体31で、冷却シリンダ4上に磁性で密着するようになっており、板状体31が冷却シリンダ4と一体になり、冷却シリンダ4の一部を構成するようになっている。この板状体31には、冷却シリンダ4の巾方向に長さを有する刃状の突起5が設けられている。この図では、冷却シリンダの厚み方向が拡大して示してあるが、突起は0.1mmから1mm程度あり、先端32のみをさらに鋭利にすることもできる。
冷却フィルム7は、この板状体31に密着しており、板状体31の突起部分5の先端のフィルム33は、フィルム7が金属板31に密着する作用で、通常他の部分より薄くなるようになっている。シリンダの内部は、冷却パイプ34が設けられており、冷却媒体が循環している。
【0012】
図4は、図2の冷却シリンダ4に近似した断面図であるが、図2では、タテ方向(進行方向)に長い溝21の例を示したが、図4では、冷却シリンダ4の巾方向(ヨコ方向)に溝41がある例を示す。図の斜線部分全体が金属の板状体42で、冷却シリンダ4上にホットメルト接着剤で固定されている。ホットメルト接着剤を使用することにより、板状体をシリンダを加熱することにより簡単に脱離できる。この板状体42の溝41の底部は穴が開いており、冷却シリンダに通じている。冷却シリンダ4は、焼結合金からなり、シリンダ4の内部43を負圧吸引することにより、フィルム7の溝部にある部分が、溝42の底部に押し込められ、溝の中に突起部44を形成する。冷却フィルム7は、この板状体42に密着しており、フィルムの突起部分44の先端は、負圧により引き伸ばされて、通常他の部分より薄くなるようになっている。なお、この引き伸ばし作用は、主としてフィルムが完全に固化しないでまだ流動性を有する時点で起こり、フィルムに特に加熱手段を必要とせず、製膜時のフィルムが有する熱を有効に利用できるのも、本製法の特徴の一つである。
このような板状体31、42を別に製作しておき、冷却シリンダに固着出来るようにすることにより、簡便安価に突起部分や溝を設けることができるばかりでなく、突起部や溝の種々のパターンを用意でき、種々の品種の網状延伸ウェブにも、同一製膜装置で対応できるのも本発明の特徴の一つである。
図5は、図1のナイフ23の代わりに、循環する帯状のスライス刃51の例を示す。
図5で縦方向に突起22を有するフィルム7が矢印Aの方向に進行しており、そのフィルム7の表面に沿って、帯状のスライス51がガイドロール52に案内されて、フィルムの巾方向(図の矢印B方向)に循環するようになっている。スライス刃51の刃の部分53により、突起22の先端が削り取られ、フィルム7に多数の切れ目が開けられるようになっている。
なお、突起22の切り取られた先端は、吸引して回収される。
【0013】
図6から図10までは、本発明により形成される切れ目の形態の例(図A)とそれを延伸した網状延伸ウェブの形態の例(図B)を示す。
図6Aは、冷却フィルムにヨコに千鳥状の切れ目を入れた例であり、図6Bはそれをヨコ延伸したパターンを示す。
図7は、ヨコに直線的な切れ目が入った例を示す。
図8は、若干斜めヨコに直線的な切れ目が入った例を示す。
図9は、タテに千鳥状の切れ目を入れた例を示す。
図10は、他のタテスリットのパターンの例を示す。
これらの切れ目パターンは、図1の冷却シリンダ上の突起や図2の溝21の配列パターンにより、このような切れ目パターンを生じさせることができる。
なお、図9B、図10Bのように、タテ延伸後のウェブの網の目間が拡がっているが、それはタテ延伸が近接延伸である場合に生じ、純1軸延伸では、巾を拡幅することにより網の目の拡がったパターンを生じる。
なお、図9で示した切れ目は長さsで、切れ目と切れ目の間の切れていない部分mは、通常sに対して小さく、好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.5mm以下である。スリットの間隔pは、通常5mm以下、好ましくは3mm以下、最も好ましくは2mm以下である。
なお、図8のヨコスリットの例で、切れ目の方向と延伸方向が厳密には一致していない例であり、切れ目の方向と延伸方向との角度が45度未満であれば、本発明の切れ目の方向に含まれる。
図11は、タテ延伸した網状タテ延伸ウェブ111と網状ヨコ延伸ウェブ112を積層し、直交積層不織布とした例を示す。
図11は、双方とも本発明でスリットした例を示したが、実用的には、どちらか片方を本発明でスリットし延伸したウェブで、他方を従来の網状延伸ウェブとすることもできる。
【0014】
【実施例】
実施例1
図1に示す装置を使用して、アイソタクチックポリプロピレン樹脂(MFR 2)を押出機で溶融し、Tダイス(ダイス有効巾600mm)で、260℃で押出し、10℃の冷却水が循環する冷却シリンダ上に120ミクロンのフィルムとして製膜する。冷却シリンダには、長さ25mmの刃状の突起(突起の高さ0.18mm)がピッチ2mmに千鳥状にヨコ方向に配列されている。溶融フィルムがエアーナイフにより冷却シリンダに密着させられ、さらにチルロールで冷やされているシリコンスポンジロールでさらにシリンダに密着させられた。オイル循環加熱により、300℃に加熱されている加熱ロールにより突起部のフィルムが溶断され、ヨコに切れ目が入ったスリットフィルムとなった。ヨコスリットフィルムは、プーリ型ヨコ延伸装置に導かれ、110℃でヨコ方向に8倍延伸され、網状ヨコ延伸ウェブとなった。このポリプロピレンの網状ヨコ延伸ウェブのヨコ方向の強伸度は、47g/texで、伸度18%であった。
【0015】
実施例2
図2に示す装置を使用して、ポリエチレンテレフタレート樹脂(IV値0.72)を押出機で溶融し、Tダイス(ダイス有効巾1400mm)で、280℃で押出し、45℃の冷却水が循環する冷却シリンダ上に150ミクロンのフィルムとして製膜する。冷却シリンダには、長さ30mmの溝(溝の深さ0.3mm)がピッチ1.8mmで千鳥状に配列されている。溶融フィルムがエアーナイフにより冷却シリンダに密着させられ、さらにチルロールで冷やされているシリコンスポンジロールでさらにシリンダに密着させられる。冷却シリンダから剥がされた溝による突起を有するフィルムは、図5の循環するスリッターにより突起部分の先端を除去されることにより、タテ方向に千鳥状の切れ目を有するスリットフィルムとなった。タテスリットフィルムは、87℃に加熱されたロールで予熱されて、近接延伸により4.5倍タテ延伸され、さらに125で1.35倍延伸することにより、トウタル6倍のタテ延伸となり、さらに185℃のロール上で熱処理された網状タテ延伸ウェブとなった。このポリエチレンテレフィタレートの網状タテ延伸ウェブのタテ方向の強伸度は、43g/texで、伸度14%であった。
【0016】
【発明の効果】
本発明は、上記のように製膜装置と一体となったフィルムスリット装置とすることにより、工程を短縮でき、また、従来の高精度を必要とするフィルムスリート装置を必要としないので、プロセスが簡便かつコスト安になった。
また、本発明は、冷却シリンダに密着した状態でスリットするか、またはシリンダから離れた状態であっても、加熱することなくスリットされるので、フィルムの急冷状態が維持でき、高延伸倍率で高強度の高性能の網状延伸ウェブができので、高延伸倍率にでき、それにより強度もアップでき、また工程での延伸切れが少なくできた。
また、本発明は簡便な板状体に取り付けられた刃や溝を、冷却シリンダに巻き付けることにより簡便な冷却装置を兼ねたスリット装置とすることができ、全体の装置費を安くでき、また、同一製膜装置で種々の製品パターンの製造を可能にすることができた。
特に、ポリエステルフィルムやポリアミドフィルム等のタテ延伸フィルムで、スプリットが困難なものは、本発明により製膜時にタテに切れ目を入れ、タテに延伸する手段が特に有効である。
本発明は、このように簡便な手段でタテ延伸された網状ウェブおよびヨコ延伸された網状ウェブとすることができ、紙、フィルム、不織布、発泡シート等のタテ補強、ヨコ補強として使用できる。またこのタテ延伸網状ウェブを一定幅に拡幅し、ヨコ延伸網状ウェブと積層することにより、網状の直交積層不織布とすることができ、種々の用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロセスを、装置の断面方向からみた概念図。
【図2】本発明のプロセスの別の例で、装置の断面方向からみた概念図。
【図3】本発明の冷却シリンダで断面図。
【図4】本発明の冷却シリンダの別の例でやはり断面図。
【図5】本発明のフィルムに形成された突起部をスリットする装置の概念図。
【図6】は、本発明のフィルムのスリットパターンとそのスリットフィルムを延伸した場合の網目パターンの例。
【図7】は、別の網目パターンの例。
【図8】は、別の網目パターンの例。
【図9】は、別の網目パターンの例。
【図10】は、別の網目パターンの例。
【図11】 網状延伸ウェブによる直交不織布の例。
【符号の説明】
1:Tダイス、2:ダイリップ、3:溶融フィルム、4:冷却シリンダ、
5:突起、6:エアーナイフ、7:冷却フィルム、8:突起上にあるフィルム、9:チルロール、10:ゴムロール、11:熱ロール、12:スリットされたフィルム、13:ニップロール。
21:溝、22:フィルムに形成される突起、23:ナイフ、24:スリットフィルム。
31:板状体、32:板状体の突起の先端、33:突起の先端のフィルム、
34:冷却パイプ、
41:溝、42:板状体、43:シリンダの内部、44:溝の中にあるフィルムの突起、
110:直交積層網状不織布、111:網状タテ延伸ウェブ、112:網状ヨコ延伸ウェブ。
Claims (6)
- 熱可塑性フィルムに切れ目を生じさせ、該切れ目を有するフィルムを延伸することによる網状延伸ウェブの製法であって、
Tダイスよりの溶融フィルムを成形する工程と、
多数の刃状の突起が設けられている冷却シリンダ上に該溶融フィルムを密着させ、冷却フィルムを該冷却シリンダ上に形成させる工程と、
該冷却フィルムに形成されている刃状の突起部分に、切れ目を生じさせる工程と、
該切れ目を多数有する前記フィルムを、切れ目の長さ方向に1軸延伸する工程と、
からなる網状延伸ウェブの製法。 - 請求項1の前記冷却シリンダ上の該突起部分にある前記冷却フィルムに、軟化点以上に加熱された熱ロールを密着させることにより切れ目を生じさせることによる網状延伸ウェブの製法。
- 熱可塑性フィルムに切れ目を生じさせ、該切れ目を有するフィルムを延伸することによる網状延伸ウェブの製法であって、
Tダイスよりの溶融フィルムを成形する工程と、
表面に多数の溝が設けられ、該溝の内部より負圧吸引されている冷却シリンダに該溶融フィルムを密着させ、冷却フィルムを該冷却シリンダ上に形成させる工程と、
該溝の内部からの負圧吸引により該冷却フィルムに突起部分を形成させる工程と、
該冷却フィルムに形成された該突起部分に切れ目を生じさせる工程と、
該切れ目を多数有するフィルムを切れ目の長さ方向に1軸延伸する工程と、
からなる網状延伸ウェブの製法。 - 請求項1、2の前記冷却フィルムの突起部分を、循環するスライス刃により除去することにより切れ目を生じさせる網状延伸ウェブの製法。
- 溶融樹脂フィルムを成形させるTダイスと、
該溶融フィルムを密着させ冷却フィルムを形成させる表面に刃状の突起または溝が設けられている冷却シリンダと、
該冷却フィルム上に形成されている突起部分に切れ目を形成させる装置と、
該切れ目を多数有するフィルムの切れ目の長さ方向に1軸延伸する装置と、
からなる網状延伸ウェブの製造装置。 - 請求項5の冷却シリンダが、多数の刃状の突起または溝が設けられている金属板を、冷却シリンダ上に巻き付けるてなる網状延伸ウェブの製造装置。
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