JP4373542B2 - 生体磁気計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体内から発生する磁気を計測し、その発生源を探査する生体磁気計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体磁気計測装置とは、生体から生じる電磁気現象、すなわち生体の電位変化に伴って生じる微弱な磁束(磁場)の変化を計測する装置であり、その磁束変化のパターンを調べることで、発生源の機能や活動を解明することを目的としている。この生体磁気計測装置は、生体磁気を計測することから、骨による影響をほとんど受けず、また、神経活動の異常を検出できるなど独自の特性を有しており、現在注目されている。
【0003】
この生体磁気計測装置によって得られる生体磁場の代表的な信号図として、脳から発生する磁場に基づく脳磁図(MEG:MagnetoEncephaloGram)がある。このMEGの種類は、大きく分けて、外的に視覚、聴覚、感覚等を通じて加えられた刺激に対する反応を、磁場として捉える誘発MEGと、てんかん波やアルファ波等の脳の自発的な反応を磁場として捉える自発MEGの二つに分けることができる。生体磁気計測装置によって誘発MCG及び自発MCGを得るための磁場計測について述べると、以下の様である。
【0004】
誘発MEGを得るための計測は、まず、刺激を加える数秒前の状態の磁場を計測する。次に、被検者に対して刺激を加えて誘発される磁場を、刺激の直後から約1秒程度、場合によってはさらに数秒間の計測を行う。この一連の計測作業を100回以上行うことで多量のデータを収集し、加算平均して磁場源の解析等所定の処理を行うことでモニタ等に誘発MCGが表示される。
【0005】
この誘発MEGの計測におけるデータ全収集時間は、上述の通り100回以上のデータ収集を行うことから、約数分〜数十分程度となる。また、一回のデータ収集時間はmsecのオーダーであり、サンプリング周波数は数kHz程度のものが必要である。
【0006】
一方、自発MEGの計測は、上述した様に被検者から発生する自発的な磁場を計測するので、データの全収集時間は三十分以上となる場合がある。しかし、サンプリング周波数は、数100Hz程度のものとなっている。
【0007】
すなわち、例えば、チャンネル数(センサの数)を100ch有し、16bit(2byte)のA/D変換が可能なA/D変換器を有する生体磁気計測装置の場合、1回のデータ収集で200byteのメモリ領域を使用することになる。この生体磁気計測装置によって、誘発MEGを得るための計測をサンプリング周波数を3kHzとして行った場合、1秒間で600kbyte、1分間で36Mbyteのメモリ領域を使用する計測となる。一方、自発MEGを得るための計測をサンプリング周波数を300Hzとして行った場合、1秒間で60kbyte、1分間で3.6Mbyteのメモリ領域を使用する計測となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、誘発MEGを得るための生体磁気計測では、サンプリングレートは早いが、サンプリング時間は短いという特徴を有する。一方、自発MEGを得るための生体磁気計測では、サンプリングレートは遅いが、サンプリング時間は長いという特徴を有する。従って、特徴の異なる双方のデータを同一のデータメモリ内に格納しようとすると、書き込み速度が早く、且つ、大容量のデータが格納可能なメモリが必要となる。その結果、装置が大型になったり、価格が高い装置となってしまうことになる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、例えば、誘発MEGと自発MEGの様に、計測の際の特徴に応じてデータの格納先、格納方法、収集方法を変更可能とし、メモリ等のシステムのデータ保管媒体の資産を無駄なく使用可能な生体磁気計測装置の実現を目的とする。
【0010】
請求項1に記載の発明は、超伝導量子干渉素子により計測対象物からの磁気を検出する検出手段と、書き込み早さ又は容量のうち少なくとも一方が異なる複数の記憶媒体を有し、計測モードに基づいて前記検出手段の出力を格納する記憶媒体を決定し記憶する格納先制御手段と、前記検出手段の出力に基づいて計測対象物の磁気に関する画像データを生成し画像として表示する表示手段と、前記画像に対して領域を指定する領域指定手段と、を具備し、前記格納先制御手段は、当該領域指定手段によって領域が指定された場合には、当該指定された領域及びその近傍領域を含む第1の領域に関する前記検出手段の出力と第1の領域以外の領域に関する前記検出手段の出力とで異なる記憶媒体に記憶すること、を特徴とする生体磁気計測装置である。
請求項2に記載の発明は、超伝導量子干渉素子により計測対象物からの磁気を検出する検出手段と、書き込み早さ又は容量のうち少なくとも一方が異なる複数の記憶媒体を有し、計測モードに基づいて前記検出手段の出力を格納する記憶媒体を決定し記憶する格納先制御手段と、前記検出手段の出力に基づいて計測対象物の磁気に関する画像データを生成し画像として表示する表示手段と、前記画像において、磁気のピーク点、所定の値以上の磁気を有する点、所定の変化率以上を有する点のうち、少なくとも一つを検出する点検出手段と、を具備し、前記格納先制御手段は、当該点検出手段によって前記いずれかの点が検出された場合には、検出された点及びその近傍領域を含む第2の領域に関する前記検出手段の出力と第2の領域以外の領域に関する前記検出手段の出力とで異なる記憶媒体に記憶すること、を特徴とする生体磁気計測装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る生体磁気計測装置の第1実施形態〜第3実施形態を、脳から発生する磁場(磁気)を計測する場合を例として図面に従って説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る生体磁気計測装置の概略構成を示している。
【0021】
図1において、磁場センサ10は、超伝導量子干渉素子(以下、SQUID:Super QUantum Interference Device)104を使用して生体内から発生する磁場を検出する磁場検出装置である。同図は、FLL回路(Flux Locked Loop 回路)と呼ばれる駆動回路101によってSQUID104を駆動する装置例を示している。この磁場センサ10は、液体ヘリウムにより−4.2K(およそ、−270°)に冷却されたデュワー(超低温容器)を有しており、このデュワー内には、磁束検出コイル102、SQUID104、負帰還コイル106、増幅器108、積分器109、SQUID104にバイアス電流を供給する電源110、積分器の出力電圧Vを負帰還電流に変換する抵抗111が設けられている。
【0022】
磁束検出コイル102は、検体としての脳9から発生する磁束Φ1を検出する検出器であり、超伝導材料で作られている。図1には一巻コイルを示してあるが、一次勾配型コイルや角形コイル等、種々のものが適用できる。SUQID104は、磁束の量子干渉効果を利用して弱い磁界変化に応答する超伝導リングである。このSUQID104には、電源110によりバイアス電流が供給されている。増幅器108及び積分器109は、SUQID104からの電圧信号を増幅する増幅手段である。これらの構成要素による磁場センサ10の検出動作は以下のようである。
【0023】
脳9に発生した磁束Φ1が磁束検出コイル10を貫くと、電磁誘導により磁束検出コイル10に起電力が発生する。この起電力により当該コイル10に流れる電流は、さらに測定磁束Φ2を誘導する。測定磁束Φ2がSUQID104を貫くと、当該SUQID104は、超伝導状態から常伝導状態へと移行し、当該磁束Φ2に基づいた電圧を増幅器108に出力する。この電圧は増幅器108や積分器109によって増幅され、電圧Vとして出力される。
【0024】
この電圧Vは、測定磁束Φ2に対しては略正弦曲線で振動する非線形出力となっている。従って、測定磁束Φ2と電圧Vとの関係から生体磁場を検出するのは有効ではない。そこで、FLL回路によってSQUID104を駆動する当該磁場センサ10では、電圧Vを抵抗111によって負帰還電流に変換し、この負帰還電流を負帰還コイル106流入させて誘導した磁束Φ3と電圧Vとの関係から、生体磁場を検出する。この磁束Φ3は、測定磁束Φ2を打ち消すものであり、電圧Vとは磁束Φ3比例関係を有している。
【0025】
そして、磁場センサ10から出力された電圧信号Vは、増幅回路部12に送り出される。
【0026】
なお、磁場センサ10の動作点は、例えば、特開平11−2671に開示されている手法により、磁束−電圧変換効率の高い箇所を選択する。
【0027】
また、図2に第1の実施形態に係る生体磁気計測装置の変形例を示す。この変形例は、駆動回路120によってSQUID104を駆動する装置例を示している。この磁場センサ10は、図示していないデュワーを有しており、このデュワー内には、磁束検出コイル102、SQUID104、増幅器108、A/D変換器122、DSP124、D/A変換器126、SQUID104にバイアス電流を供給する電源110、積分器の出力電圧Vを負帰還電流に変換する抵抗111が設けられている。なお、図1に示した生体磁気計測装置と同一の構成要素には同符号を付してある。
【0028】
上記構成要素による変形例の磁場センサ10の検出動作は以下の様である。
【0029】
A/D変換器122は、増幅器108が増幅したSQUID104の電圧信号を受け取り、アナログ量からデジタル量に変換(A/D変換)してDSP124に送り出す。DSP124は、所定の処理を施した後のデジタル信号を負帰還し、D/A変換器126へ送り出す。D/A変換器126はデジタル信号を再びアナログ信号に変換して抵抗111に送り出される。このアナログ信号は、抵抗111によって負帰還電流に変換され、負帰還コイル106に流入して磁束Φ3を誘導する。この磁束Φ3は、SP124から出力される電圧と比例関係を有している。
【0030】
そして、磁場センサ10から出力された電圧信号は、データ収集制御部16に送り出される。
【0031】
この変形例による生体磁気計測装置は、後述するデータ収集部161が行うデータ収集において、データ収集レートの変更を行う場合に有効な装置である。すなわち、レートを変更する場合、A/D変換のレートを直接変更する方法があるが、この方法では負帰還ループの追随可能な磁場の周波数も変化するので、好ましいものではない。そこで、変形例による生体磁気計測装置によれば、上記変形例のDSP124から出るデジタル信号をコマ落としすることでレートを有効に変換することが可能である。
【0032】
以下、再び図1に基づいて説明を行う。
【0033】
入力部14は、キーボードやマウスから成る入力装置である。オペレータは、MEG計測の場合には、誘発MEG計測か自発MEG計測か、誘発MEGにおける刺激方法や計測方法等の選択を入力部14から入力する。また、データ収集レートやデータ収集先も入力部14からの指示で変更可能である。
【0034】
増幅回路12は、磁場センサ10からの電圧信号を受信して所望の電圧まで増幅させ、データ収集制御部16へ送り出す増幅器である。
【0035】
データ収集制御部16は、データ収集部161、データ処理部162、データ収集レート切替え部165、データ格納先切替え部166、SRAM168とHD169を備えたデータ格納部167から構成されている。
【0036】
データ収集部161は、A/D変換器、DSP等を有したデータ収集手段である。データ収集部161は、フィルタ13から出力された電圧信号Vを受け取り、アナログ量からデジタル量に変換(A/D変換)し、所定の処理を施した後、データ処理部162とデータ格納部167とへ送り出す。このデータ収集部161が行うデータ収集のレートは、オペレータの入力指示に基づき、後述するデータ収集レート切替え部165からの制御によって切り替えられたレートで実行される。レートの切替えは、当該データ収集部161がデータ取り込みレートを切り替える切替装置をさらに具備する構成によって実現することができる。
【0037】
データ処理部162は、データ収集部161から受け取ったデータに対し、画像生成のための補間処理や雑音除去のためのフィルタ処理を行う。
【0038】
データ収集レート切替え部165は、オペレータにより入力部14から入力された計測の種類に基づき、データ収集部161が実行するデータ収集レートの切替え・設定を行う。このデータ収集レートは、例えば、誘発MEG計測の場合には300kHz/sec、自発MEG計測の場合には300Hz/secといった具合に予め設定されており、計測の選択により自動的に切り替わり設定される。なお、マニュアル操作により所望の収集レートに変更することも可能であり、また、前記予め設定するデータ収集レートも再設定可能である。
【0039】
データ格納先切替え部166は、入力部14から入力された計測の種類に基づき、収集データの格納先をSRAM168かHD169かに切り替える切替え制御を行う。すなわち、データ格納先切替え部166は、自発MEGの様に比較的長時間を要し収集レートが遅い磁場計測の場合には、大容量でありデータ書き込み速度の遅い媒体であるHD169に格納先を切り替える。一方、誘発MEGの様に比較的短時間で済み収集レートが早い磁場計測の場合には、小容量であるがデータ書き込みの早い媒体であるSRAM168に格納先を切り替える。なお、マニュアル操作により所望の格納先に切り替えることも可能である。
【0040】
また、後述する第2の実施形態で示すように、HD169へのデータ書き込み速度が、収集レートと比較して遅い場合には、データ格納先切替え部166は、書き込み速度が速いSRAM168に切り替えて収集データを一時的に書き込む。そして、この一旦書き込まれたデータのうち古いものから逐次読み出して収集先を切り替え、HD169に書き込む。
【0041】
また、後述する第3の実施形態で示すように、オペレータによって指定される収集データのみデータ格納部167に記憶するマニュアルモードの場合には、データ格納先切替え部166は、収集データ格納先をSRAM168に切り替える。
【0042】
データ格納部167は、SRAM168とHD169を有しており、データ格納先切替え部166からの切替え制御に従って、データ収集部161から受け取った収集データをSRAM168またはHD169に格納する。
【0043】
データ解析部18は、データ収集部14から各種処理が施されたデータを受け取り、当該データに基づいて磁場源解析、画像データ生成、磁場情報と画像データとのマッピング処理等を行う。
【0044】
表示部20は、CRT等のモニタを有した表示装置であり、データ解析部18から受け取った画像データに基づいて生体磁場データ(例えば、脳磁図、心磁図、或いはこれらに基づいて解析した結果等)を表示する。
【0045】
次に、上記のように構成した生体磁気計測装置により、誘発MEG或いは自発MEGを得るための手順を説明する。以下に説明する計測は、データ収集部161によって、収集・処理されたデータは、全てデータ格納部167に記憶されるノーマルモードによるものである。
【0046】
まず、入力部14から誘発MEG或いは自発MEGの選択を行う。
【0047】
誘発MEGとは、外的に視覚、聴覚、感覚等を通じて加えられた刺激に対してある遅延時間後の反応若しくは当該刺激前の反応を、磁場として捉える脳磁図である。この誘発MEGを得るための計測は、サンプリングレートが早く、サンプリング時間は短いという特徴を有する。一方、自発MEGとは、てんかん波やアルファ波等の脳の自発的な反応を磁場として捉えた脳磁図である。自発MEGを得るための生体磁気計測は、サンプリングレートは遅いが、サンプリング時間は長いという特徴を有する。
【0048】
次に、所定の操作により磁場計測を実行する。この時、自発MEG計測を選択した場合には、データは自動的にデータ格納部167中のSRAM168に格納される。また、誘発MEG計測を選択した場合には、データは自動的にHD169に格納される。なお、計測の種類に関わらず、SRAM168にデータが存在する場合には、次回の計測までに自動的にHD169に格納される。
【0049】
そして、オペレータは、上記データ格納部167へ書き込まれているデータを、同時に表示部20に表示される波形として観察することができる。また、既に計測されデータ格納部167に格納されている収集データを、図示していない再生部により読み出して観察することも可能である。
【0050】
このような構成によれば、データ格納先切替え部166によって、計測の種類、すなわちデータ収集レートやデータ収集時間に基づいて収集データ格納先が決定される。従って、計測の特徴に応じて適切に収集データを記憶でき、また、データ記憶媒体を有効に運用することができる。その結果、装置の小型化や低コストを実現することができる。
【0051】
(第2実施形態)
第1実施形態では、ノーマルモードにおいて、計測の種類によって収集データの格納先を自動的に切り替える構成であった。しかし、オペレータの任意の設定変更等により、HD169への収集データ書き込み速度が収集レートに比べて遅くなることがある。この場合、仮に大容量のメモリが必要な計測であっても、最初の格納先がHD169となるのは適切でない。
【0052】
そこで、本発明に係る生体磁気計測装置によって、HD169への収集データ書き込み速度が収集レートに比べて遅い計測を行う場合の動作について、第2の実施形態として説明する。
【0053】
データ格納先切替え部166は、予めオペレータにより設定された収集レートが、HD169へのデータ書き込み速度より早い場合には、例え自発MEGが選択されている場合であっても、データ格納先をSRAM168に切り替える。そして、一時的にSRAM168にデータを保存しながら、当該SRAM168に保存されているデータの古いものから逐次読み出して、格納先をHD169へ切り替えてデータ書き込みを行う。
【0054】
このような構成によれば、一旦データ格納先をSRAM168とし、そして逐次古いデータから読み出してHD169に格納し直すので、記憶媒体への収集データ書き込み時間が収集レートに比べて遅い計測であっても、適切な収集データの格納を実現することができる。その結果、装置の小型化や低コストを実現することができる。
【0055】
(第3実施形態)
第1、第2実施形態においては、計測した生体磁場を全て記憶するノーマルモードにおいて、格納先を計測の種類によって切り替える場合について説明した。
【0056】
これに対し、第3の実施形態は、表示部20のモニタに表示された生体磁気について、マニュアル操作により指定した関心領域を含む所定の領域とそれ以外の領域とでデータ格納先を切り替えるマニュアルモードの場合について説明する。
【0057】
なお、第3実施形態に係る生体磁気計測装置の概略構成は、図1と同一である。
【0058】
マニュアルモードでMEGデータを計測する場合、計測の種類に関わらず、データ収集部161の収集レートは数kHzに設定される。そして、収集データは、原則としてHD169に格納される。
【0059】
図3は、てんかんの突発的な信号を計測した自発MEGデータの波形例を示した脳磁図である。不整脈を計測したMEGデータの波形もこの例のようになる。この脳磁図の波形は、横軸を時間(S)、縦軸を磁場(pT)としており、計測中にリアルタイムで表示部20のモニタに表示される。
【0060】
また、同図にある区間A、区間Bは、オペレータが選択した関心領域を示している。この関心領域は、入力部14のマウス等のクリック操作等を割り当てることで任意に指定できるものである。
【0061】
例えば、マニュアルモードのてんかんや不整脈等の突発的な信号の計測において、表示部20に表示された図3の波形中に興味のある波形(区間Aの波形)が現れたとする。この時、オペレータは、上述のマニュアル操作により当該区間を指定する。
【0062】
すると、データ格納先切替え部166は、HD169から書き込み速度の早いSRAM168に収集データの格納先を切り替える。
【0063】
データ収集部161は、オペレータの関心領域である図3の区間Aとその前後にある所定領域の波形とを含む収集データを、データ格納部167中のSRAM168に送り出す。関心領域の前後にある所定領域の長さは、予め設定されるものであり、また、任意に変更可能である。
【0064】
SRAM168には、データ収集部161から受け取った収集データが記憶される。このとき、一般にSRAMのメモリ領域は大きくないことから、SRAM168に記憶できるデータをバイト数や残り時間によって表示することが好ましい。また計測と同時進行で、SRAM168に記憶された収集データを古い順から逐次読み出して、大容量であるHD169に書き込む構成であってもよい。
【0065】
区間Aとその前後にある所定領域の波形とを含む収集データがSRAM168に記憶されると、データ格納先切替え部166によりデータ格納先がHD169に切り替えられる。そして、区間Bが表示された場合、同様の操作によれば収集データは部分的にSRAM168に記憶される。
【0066】
この様な構成によれば、関心領域とその前後にある所定領域に関する収集データについては、数kHz程度の早い収集レートのデータ収集や早い書き込み速度による記憶が可能であり、また、それ以外の領域に関する収集データについてもHDに記憶される。従って、リアルタイムで適切なデータを記憶することができ、メモリ資産を無駄なく運用することができる。その結果、装置の小型化や低コストを実現することができる。
【0067】
以上、本発明を第1〜第3の実施形態に基いて説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に示す(1)〜(3)のように、その要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0068】
(1)第1〜第3の実施形態においては、脳磁図を得るための計測を例として説明を行った。しかし、言うまでもなく生体磁気計測装置は、心臓、肺、筋肉等様々な人体部位を対象とした磁界計測が可能である。従って、本発明に係る生体磁気計測装置は、これらの部位に対する磁場計測においても同様の効果を得ることができる。
【0069】
(2)第3の実施形態においては、オペレータのマニュアル操作によって指定された関心領域に基づいた所定領域をSRAM168に記憶する構成であった。これに対し、てんかんや不整脈等が発生する場合には波形が突発的に変化するという一般的事実から、図4に示した波形のピーク箇所Cや変化率の急激な箇所Dを自動的に検出する検出手段を更に具備し、これらの箇所の前後部分を含む所定領域をSRAM168に記憶する構成であってもよい。
【0070】
このような構成によれば、計測が更に自動化された生体磁気計測装置を提供することができ、作業性の向上を実現できる。
【0071】
(3)第3の実施形態においては、マニュアル操作によって表示部20に表示された波形に対して関心領域を指定し、当該関心領域に基づいた所定領域をSRAM168に記憶する構成であった。しかし、この関心領域の指定は、脳磁図等の波形に限定されるものではなく、例えば心臓の等磁界図について関心領域の指定を行い、この関心領域の近傍領域を含んだ所定領域等SRAM168に記憶する構成であってもよい。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、計測の種類によって収集データ格納先を区別することができる。また、指定した関心領域のみ適切な記憶媒体に記憶することができる。その結果、適切な収集データの記憶が実現でき、また、装置の小型化や低コストを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る生体磁気計測装置の概略構成を示す図。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る生体磁気計測装置の変形例を示す図。
【図3】図3は、自発MEGデータの波形を示した脳磁図。
【図4】図4は、自発MEGデータの波形を示した脳磁図
【符号の説明】
1…脳
10…磁場センサ
12…増幅回路部
14…入力部
16…データ収集部
18…データ解析部
20…表示部
101…駆動回路
102…磁束検出コイル
104…SQUID104
106…負帰還コイル
108…増幅器
109…積分器
110…電源
111…抵抗
120…駆動回路
122…A/D変換器
124…DSP
126…D/A変換器
161…データ収集部
162…データ処理部
165…データ収集レート切替え部
166…データ収集先切替え部
167…データ格納部
168…SRAM
169…HD(ハードディスク)
Claims (4)
- 超伝導量子干渉素子により計測対象物からの磁気を検出する検出手段と、
書き込み早さ又は容量のうち少なくとも一方が異なる複数の記憶媒体を有し、計測モードに基づいて前記検出手段の出力を格納する記憶媒体を決定し記憶する格納先制御手段と、
前記検出手段の出力に基づいて計測対象物の磁気に関する画像データを生成し画像として表示する表示手段と、
前記画像に対して領域を指定する領域指定手段と、を具備し、
前記格納先制御手段は、当該領域指定手段によって領域が指定された場合には、当該指定された領域及びその近傍領域を含む第1の領域に関する前記検出手段の出力と第1の領域以外の領域に関する前記検出手段の出力とで異なる記憶媒体に記憶すること、
を特徴とする生体磁気計測装置。 - 超伝導量子干渉素子により計測対象物からの磁気を検出する検出手段と、
書き込み早さ又は容量のうち少なくとも一方が異なる複数の記憶媒体を有し、計測モードに基づいて前記検出手段の出力を格納する記憶媒体を決定し記憶する格納先制御手段と、
前記検出手段の出力に基づいて計測対象物の磁気に関する画像データを生成し画像として表示する表示手段と、
前記画像において、磁気のピーク点、所定の値以上の磁気を有する点、所定の変化率以上を有する点のうち、少なくとも一つを検出する点検出手段と、を具備し、
前記格納先制御手段は、当該点検出手段によって前記いずれかの点が検出された場合には、検出された点及びその近傍領域を含む第2の領域に関する前記検出手段の出力と第2の領域以外の領域に関する前記検出手段の出力とで異なる記憶媒体に記憶すること、
を特徴とする生体磁気計測装置。 - 前記計測モードは、前記検出手段の出力のレート又は検出時間の少なくとも一方を設定するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の生体磁気計測装置。
- 前記表示手段は、前記検出手段の出力に基づいて計測対象物の磁気に関する画像データを生成し画像として表示すると共に、前記格納先制御手段によって決定された記憶媒体の空き容量を、前記検出手段の検出時間又は検出回数によって表示する機能を有すること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生体磁気計測装置。
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