JP4362052B2 - カンキツ加工品の識別方法 - Google Patents
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Description
請求項2記載の本発明は、カンキツ原料が、カンキツ属後生カンキツ亜属のミカン区およびトウキンカン区のカンキツである請求項1に記載の識別方法である。
請求項3記載の本発明は、カンキツ加工品中のノビレチン(N)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔N/C〕、タンゲレチン(T)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔T/C〕、および、ノビレチン(N)およびタンゲレチン(T)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔(N+T)/C〕を比較し、それらの値から当該カンキツ加工品のカンキツ原料が、シークワシャーのみであるのか、それとも、シークワシャー以外のカンキツ原料を含むのか、を判定することを特徴とするカンキツ加工品の識別方法である。
請求項4記載の本発明は、請求項1記載のカンキツ加工品の識別方法において、カンキツ加工品中のノビレチン(N)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔N/C〕、タンゲレチン(T)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔T/C〕、および、ノビレチン(N)およびタンゲレチン(T)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔(N+T)/C〕が、N/C=8/1〜12/1、T/C=1.5/1〜3.0/1、(N+T)/C=9/1〜15/1を満足するときは、カンキツ原料としてシークワシャーのみを用いて製造したカンキツ加工品であり、満足しないときは、カンキツ原料としてシークワシャー以外のカンキツ原料を含むカンキツ加工品であると判定することを特徴とするカンキツ加工品の識別方法である。
したがって、本発明が適用されるカンキツ加工品は、分類学的にシークワシャーに比較的近いカンキツ類を原料とするものである。具体的には、カンキツ属後生カンキツ亜属のミカン区およびトウキンカン区のカンキツ類を原料とするものである。加工品としては、例えば果汁、ドレッシング、しょうゆ、酒、アイスクリーム、飴、黒糖、ジャム、ケーキ類などが挙げられる。
例えば、Journal of Agricultural and Food Chemistry ,vol.47, No.9, p.3565-3571によると、乾燥試料100mg当たりのノビレチンの含有量は、シカイカンが3.5μg、シークワシャーが21.0μg、シキキツが2.0μgである。また、タンゲレチンの含有量は、シカイカンが1.4μg、シークワシャーが8.8μg、シキキツが1.0μgである。なお、これらの試料は、11月中旬〜1月中旬に収穫される完熟果実である。
当該カンキツ加工品中に含まれるノビレチン含量を指標とする場合は、果汁100ml中のノビレチン含量が20mg以上、好ましくは20〜45mgであれば、シークワシャーのみを原料とするカンキツ加工品と判定できる。一方、果汁100ml中のノビレチン含量が20mg未満のものは、シークワシャーに他のカンキツ原料を混ぜているか、あるいはシークワシャー以外のカンキツ原料を使用したカンキツ加工品と判定され、対象品がシークワシャーのみを原料とする製品であるか否かを識別することができる。
果汁、ペースト、ドレッシング、しょうゆ、酒およびアイスクリーム(果汁等)については、果汁等とエタノール(3:7)の溶液とし、濾過した後、HPLC分析に供する。
ジャムは、エタノールと(3:7)の割合で混ぜたものを、ホモジナイズし、濾過した後、HPLC分析に供する。
装置: ポンプ 島津社製 LC-10
UV-VIS検出器 島津SPD-M10A
カラム: LiChrospher 100:RP-18
(粒径:5μm、250×4 mmI.D.)
カラム温度:40℃
移動相: メタノール:10mM リン酸水溶液(7:3)
流速: 0.6ml/分
検出波長: 340nm
分析時間: 30分
材料の調製
シークワシャーストレート果汁
沖縄県経済連農産加工工場で大宜味地区および屋部地区のシークワシャーを原料として搾汁されたものを9.0°Bxに調整し、実験に供した。
シークワシャー加工品
市販シークワシャー果汁加工品(果汁100%)として沖縄県で入手した10種類(No.1〜10)を用いた。その他のシークワシャー加工品として、ドレッシング、しょうゆ、酒、アイスクリーム、ジャムを沖縄県で入手した。
市販カンキツ果汁(果汁100%)
温州みかんジュース、はっさく・夏みかん混合ジュース、オレンジジュースを用いた。
ノビレチンおよびタンゲレチンの標準品は、静岡県果樹試験場においてキング(Citrus nobilis)より単離、精製後、NMR、質量分析で構造を確認したものを用いた。シネンセチンの標準品は、EXTRASYNTHESE社製のものを使用した。
移動相として用いたメタノールは、和光純薬社製のHPLC用特級試薬を、抽出に使用したエタノールは、和光純薬社製のHPLC用特級試薬を用いた。HPLC分析に供した水は、蒸留水をミリポア社製Mill-Q.Jr.で処理して利用した。
HPLC用フィルターは、Advanntec Toyo社製の酢酸セルロース膜製フィルター(径0.45μm)を用いた。
シークワシャーストレート果汁、シークワシャー果汁加工品および市販カンキツ果汁からのポリメトキシフラボノイド成分の抽出は、果汁を果汁−エタノール(3:7)の溶液とし、0.45μmフィルターで濾過した後、HPLC分析に供した。
ドレッシング、しょうゆ、酒およびアイスクリームは、上記と同様の方法で行った。
飴および黒糖は、それぞれ50gずつはかり取り、水に溶解し、これを200mlに定容したものを試料とし、試料−エタノール(3:7)の溶液を作り、0.45μmフィルターで濾過した後、HPLC分析に供した。
ジャムは、ジャム−エタノール(3:7)の溶液をホモジナイザーで懸濁し、0.45μmフィルターで濾過した後、HPLC分析に供した。
ケーキは、凍結乾燥後、ミキサーで粉砕したものを、500mgはかり取り、50ml容遠沈管に移し、水−エタノール(4:6)を10ml加え、ホモジナイザーで懸濁し、超音波槽中で抽出(30分)を行い、遠心分離(4000rpm,5分間)後、上清液を1mlずつ2本のエッペンドルフチューブに移し、遠心分離(10000rpm,5分間)に付したのち、両者の上清液を合わせ0.45μmフィルターで濾過した後、HPLC分析に供した。
前記した条件でHPLC分析を行った。
その結果、シークワシャーストレート果汁100ml当たりのノビレチン、タンゲレチンおよびシネンセチンの含量は、それぞれ22.82mg、5.88mg、2.09mgであった。
第2表において、カンキツ加工品として、酒、しょうゆ、ドレッシング、ジャム、アイスクリーム中のノビレチン、タンゲレチンおよびシネンセチン含量を示している。ノビレチン(N)、タンゲレチン(T)およびシネンセチン(C)の含量が低いけれども、それらの割合である請求項5記載の条件であるN/C、T/C、(N+T)/Cの値を満たしている。このことから、これらがシークワシャー果汁を利用したカンキツ加工品であることが分かる。
温州みかんジュース(U1)と(U2)、はっさく・夏みかん混合ジュース(MIX)およびオレンジジュース(O)について、実施例1と同様にしてノビレチン(N)、タンゲレチン(T)およびシネンセチン(C)の含量および各含有量の割合を測定した。得られた結果を第3表に示す。
Claims (4)
- カンキツ加工品中のノビレチンおよび/またはタンゲレチンの含有量とシネンセチンの含有量の割合を比較し、その値から当該カンキツ加工品のカンキツ原料が、シークワシャーのみであるのか、それとも、シークワシャー以外のカンキツ原料を含むのか、を判定することを特徴とするカンキツ加工品の識別方法。
- カンキツ原料が、カンキツ属後生カンキツ亜属のミカン区およびトウキンカン区のカンキツである請求項1に記載の識別方法。
- カンキツ加工品中のノビレチン(N)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔N/C〕、タンゲレチン(T)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔T/C〕、および、ノビレチン(N)およびタンゲレチン(T)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔(N+T)/C〕を比較し、それらの値から当該カンキツ加工品のカンキツ原料が、シークワシャーのみであるのか、それとも、シークワシャー以外のカンキツ原料を含むのか、を判定することを特徴とするカンキツ加工品の識別方法。
- 請求項1記載のカンキツ加工品の識別方法において、カンキツ加工品中のノビレチン(N)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔N/C〕、タンゲレチン(T)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔T/C〕、および、ノビレチン(N)およびタンゲレチン(T)の含有量とシネンセチン(C)の含有量の割合〔(N+T)/C〕が、N/C=8/1〜12/1、T/C=1.5/1〜3.0/1、(N+T)/C=9/1〜15/1を満足するときは、カンキツ原料としてシークワシャーのみを用いて製造したカンキツ加工品であり、満足しないときは、カンキツ原料としてシークワシャー以外のカンキツ原料を含むカンキツ加工品であると判定することを特徴とするカンキツ加工品の識別方法。
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