JP4355142B2 - 組換え法 - Google Patents

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Description

本発明は、簡単な1成分系において修復組換えを使用して核酸分子の配列を改変するための新規な方法に関する。組換え反応の頻度は高く、一定範囲の可能な選択ストラテジーにより首尾よい組換え事象が同定されることを可能にする。
本明細書中に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、全体が参考として援用される。
核酸分子、特にDNA分子の操作は、生命科学の研究にとって根本的に重要である。例えば、核酸分子の構築および正確な操作が多くの研究、ならびに例えば、機能的ゲノミクス(総説については、VukmirovicおよびTilghman、Nature 405(2000),820−822を参照のこと)、構造ゲノミクス(総説については、Skolnickら、Nature Biotech 18(2000),283−287を参照のこと)およびプロテオミクス(総説については、Banksら、Lancet 356(2000),1749−1756;PandeyおよびMann,Nature 405(2000),837−846を参照のこと)の研究分野における応用において必要である。
核酸分子、特にDNA分子の操作に現在利用可能な多くの方法がある。なお最も広く使用されている従来の方法は、制限消化、続いてライゲーション(Sambrook JおよびRussell D.W.Molecular Cloning,a laboratory manual,第3版(2000)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New Yorkを参照のこと)に依存している。核酸組換えの種々の機構の本発明者らの理解が進んだことにより、従来のクローニング技術を補足し、相同組換え(原核生物においては、以下を参照のこと;真核生物においては、例えば、Bodeら、Biol Chem 381(2000)801−813;Joyner,Gene Targeting,a practical approach(2000)第2版,Oxford University Press Inc.New Yorkを参照のこと)、PCR特異的変異誘発(LingおよびRobinson,Anal.Biochem.254(1997),157−178を参照のこと)、部位特異的組換え(例えば、Hauserら、Cells Tissues Organs 167(2000),75−80)およびトランスポゾン変異誘発(例えば、Martienssen,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95(1998),2021−2026;ParinovおよびSundaresan,Curr Opin Biotechnol 11(2000),157−161を参照のこと)を利用する、より進んだストラテジーにより部分的に置換することを可能にした。
しかし、これらの技術は、しばしば、固有の複雑さを含む。例えば、PCRベースのインビトロストラテジーは、正確な部位特異的変異誘発をもたらすことを可能にするが、このような方法は、変異した核酸生成物の増幅の間に、標的化された分子において所望でない人工的な第2の変異が導入されるという欠点をもつ。さらに、この方法は、現在では、最大サイズが約10〜15キロ塩基対の分子に制限されている。他の技術は、任意の選択された位置での融通のきくDNA操作が可能ではないが、代わりに、特定の配列エレメントを要する(部位特異的組換えベースの方法)か、またはランダム標的化(トランスポゾンベースの方法)のために使用される。また、現在では、相同組換えによる真核生物におけるDNA操作については、長い相同性の長さが必要である。
DNA操作における相同組換えの適用は、S.cerevisiaeにおいて開拓されてきた(総説については、Shashikantら、Gene 223(1998),9−20を参照のこと)。しかし、いくつかの固有の複雑さが、DNA操作の宿主としての酵母の有用性を制限しているので、相同組換えベースのDNA操作は、現在では、最初のクローニング宿主であるE.coliにおいて確立されている(総説については、Muyrersら、Trends in Bioch Sci,(2001)26(5):325−331を参照のこと)。今日まで、3つの主要な組換え経路がEscherichia coliにおいて記載されている。これら経路の全ては、何らかの方法で、組換え生成(recombinogenic)DNA操作のために使用されてきた(総説については、Muyrersら、Trends in Biotech Sci,(2001)26(5):325−331を参照のこと)。
最も広く保存されている経路は、RecA依存性組換え経路であり、この経路は、細菌細胞において組換え生成プロセスの大部分を担う。多くのこのような組換え生成プロセスにおいて、RecA(進化において最も顕著な鎖侵入タンパク質(strand invasion protein))は、RecBSD(RecBサブユニット、RecCサブユニットおよびRecDサブユニットから構成される最も大きなホロ酵素)と機能的に働き合い、これらのサブユニットは、他の機能の中でも、活発なエキソヌクレアーゼ活性を示す(総説については、Kowalczykowskiら、Microbiol Rev 58(1994),401−465;Kuzminov,Microbiol Mol Biol Rev 63(1999),751−813を参照のこと)。
第2の組換え経路は、RecF経路である。この経路は、タンパク質の大きな群(RecF、および最もあり得るのは、RecAを含む)の間の相互作用に依存し、sbcBCD変異により活性化される(Ryderら、Genetics 143(1996),1101−1114;Phillipsら、J Bacteriol 170(1998),2089−2094;Cromieら、Genetics 154(2000),513−522)。
第3の経路において、組換えは、RecE/RecTタンパク質対またはλファージ由来のその機能的ホモログ(Redα/Redβ)の両方の成分の発現を必要とする。これらタンパク質対の機能的相同性は、RecEおよびRedαの両方が5’→3’エキソヌクレアーゼであり、RecTおよびRedβの両方がインビトロおよびインビボで種々の類似の活性を示すアニーリングタンパク質であるという知見から明らかである。RecE/RecTおよびRedα/Redβが機能的に等価であることが、種々の研究により結論付けられた(HallおよびKolodner,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(1994),3205−3209;Kolodnerら、Mol Microbiol 11(1994)23−30;Muyrersら、Genes Dev 14(2000),1971−1982)。
最近の数年、正確なDNA操作のためにRecE/RecTタンパク質対(またはその機能的ホモログ対であるRedα/Redβ)を使用するET組換えといわれる技術が、開発された(Zhangら、Nature Genet 20(1998),123−128;Muyrersら、Nucl Acids Res 27(1999),1555−1557;共有に係る同時係属中の国際特許出願WO99/29837;総説については、Muyrersら、Trends Bioch Sci(2001)26(5):325−331を参照のこと)。ET組換えは、一定範囲のDNA改変に広く適用可能である。さらに、この方法は、1工程にて複雑な混合物(例えば、ゲノムDNAおよび細菌人工染色体(BAC))からDNA配列をクローニングし、それによりPCR増幅の代わりに、高い忠実度を提供するために使用され得る(Zhangら、Nature Biotech 18(2000),1314−1317;また、共有に係る同時係属中の国際特許出願WO01/04288)。
ET組換えは、RecA依存性組換え機構を介して機能する。この機構は、オルソログタンパク質対の両方の成分の間の(最もあり得るのは、物理的相互作用を介して)特定の機能的協同作用を使用する(従って、機能的相互作用は、RecEとRecTとの間、またはRedαとRedβとの間に必要とされる;Muyrersら、Genes Dev 14(2000),1971−1982)。さらに、オルソログタンパク質対の各々は、2つの異なる組換え経路を通じて必要な組換え反応を媒介し得る。これらの組換え経路は、おそらく、それぞれ鎖侵入および鎖アニーリングに基づくようである(Muyrersら、Genes Dev 14(2000),1971−1982)。
この系は、非常に強力であり、所望であれば、核酸分子に置換、欠失および挿入を導入するために使用され得る。しかし、この方法は、2つのタンパク質の発現が必要であることにより複雑であり、いくつかの場合においては、調節と組み合わされる。従って、特定の適用において、成分の制御された発現を達成することは、骨が折れることである。また、ET組換えは、RecBCDホロ酵素の非存在または不活性化を必要とする。また、ET組換えに要する組換え生成能力は、特に標的核酸分子がかなりの反復を含む場合は、標的核酸分子における所望されない内部欠失または再配置の出現を生じ得る。
従って、上記の問題を欠点としてもたない、核酸分子を操作するための簡単な、効率的な方法を開発する必要が未だにある。
本発明に従って、核酸分子の配列を改変するための方法が提供される。この方法は、以下の工程を包含する:
a)第1の核酸分子を、この第1の核酸分子とこの第2の核酸分子との間に修復組換えが生じるに適切な条件下で、ファージアニーリングタンパク質、またはその機能的等価物もしくはフラグメントの存在下で第2の核酸分子と接触させる工程であって、この第1の核酸分子は、この第2の核酸分子と共有された配列相同性の少なくとも2つの領域を含む、工程;ならびに
b)配列が第2の核酸分子由来の配列を含むように改変された核酸分子を選択する工程。
本発明に従って、RecT(racプロファージ由来)、Redβ(ファージλ由来)、およびErf(ファージp22由来)のようなファージアニーリングタンパク質が、修復組換え事象の促進において活性を示すことが発見された。この活性は、任意の他のファージ由来パートナーとは無関係である。インビトロでは、上記第1の核酸分子と上記第2の核酸分子との間の結合分子の形成は、アニーリングタンパク質の存在にのみ依存する。インビボでは、他の外来性成分は、反応にまったく必要なく、特定の細胞操作も、この方法を進めるためには必要でない。例えば、recBCDは、不活化される必要がなく;この方法はなお、recBCD+バックグラウンドにおいて有効に働く。従って、この方法は、これまで記載された方法より有利である。特に、この方法は、RecEタンパク質およびRecTタンパク質の両方が存在する必要がないという点で、ET組換えより有利である(Zhangら(1998);Muyrersら(1999);WO99/29837)。この方法と、ET組換えをさらに区別するために、この方法は、RecE/Redαタンパク質が、原核生物細胞において行われるいずれの配列改変反応の間にも存在しないという条件を含み得る。この方法は、1つの種のファージアニーリングタンパク質、機能的等価物もしくはフラグメントの存在下で行われ得るが、当業者に明らかなように、他の関与しないファージアニーリングタンパク質の存在は、本明細書中に記載の方法に対して悪影響を及ぼさない。この方法は、置換核酸(第1の核酸分子)の一部の、標的核酸(第2の核酸分子)の等価な部分への置換を含む組換え事象に依存する。この標的核酸の等価な部分に対して、2つの分子型の間の配列相同性の共有された領域の存在を介してこの方法が方向付けられる。従来の相同組換え事象を用いると、置換核酸が、標的核酸に共有結合される。
このようにして、第1の核酸分子(置換核酸分子)における配列情報は、正確かつ特異的様式にて、高い忠実度を伴って、第2の核酸分子(標的核酸分子)へと組み込まれる。
この方法の効率は高く、選択可能な遺伝子を使用して任意の圧を与える必要なくして、1工程で配列の操作を可能にする。さらに、置換核酸と標的核酸との間に必要な相同性の領域が短く、このことは、例えば、必要な配列を有するオリゴヌクレオチドを調製または購入することにより、導入される核酸配列を含む分子を生成することが簡単であることを意味する。
この方法は、例えば、正確な部位特異的変異誘発(配列の欠失、挿入および置換を含む)のような多くの異なる適用に使用され得る。欠失、挿入または置換される配列の量は、1ヌクレオチド(点変異の導入の場合)と長さキロ塩基対の核酸分子との間で変化し得る。適切に操作され得る核酸分子型の例としては、プラスミド(例えば、ES細胞標的化のために使用される標的構築物)、細菌人工染色体(BAC)(例えば、遺伝子導入(transgenesis)において使用される)、内因性の原核生物染色体および真核生物細胞染色体が挙げられる。
ET組換えと修復組換えとの間のいくつかの差異が存在することが見出される。これらの差異により、以前に記載された経路から、本発明において利用される組換え経路が明らかに区別される(以下で議論される)。
「核酸分子の配列を改変する」とは、核酸分子の構成ヌクレオチド成分がある方法において変化されることを意味する。改変の例としては、標的核酸分子の1以上の構成ヌクレオチドの挿入、欠失または置換(例えば、点変異の導入または改変されたタンパク質リーディングフレームの作製)が挙げられる。挿入、欠失および置換の興味ある組み合わせもまた可能である。
本出願に適用される変更事象の型に制限はないが、最も明らかな適用は、現在利用可能なアプローチを使用するかなり困難でありかつ時間を浪費する適用である。例としては、任意の種における内因性核酸分子(例えば、酵母染色体、マウス胚性幹細胞染色体、C.elegans染色体、Arabidopsis染色体およびDrosophila染色体、ヒト細胞株、ウイルスおよび寄生虫)または外因性分子(例えば、プラスミド、酵母人工染色体(YAC)およびヒト人口染色体(HAC))の正確な改変が挙げられる。
第1の核酸分子、または置換核酸分子は、環状であっても線状であってもよいが、好ましくは、線状DNA分子または線状RNA分子である。例としては、5’または3’のいずれかの方向での一本鎖DNAまたはRNAである。平滑末端を有するかまたは5’オーバーハングもしくは3’オーバーハングのいずれかを有する、アニーリングしたオリゴヌクレオチドがまた、使用され得る。好ましくは、一本鎖オリゴヌクレオチドが使用され、最も好ましくは、一本鎖デオキシリボヌクレオチドである。合成改変を保有する第1の核酸分子がまた、使用され得る。
置換核酸分子が必ずしも単一種の核酸分子ではないことは、注意すべきである。例えば、DNAライブラリー(例えば、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー)を生成するための核酸分子の異種性集団を使用することが可能である。
第2の核酸分子はまた、本明細書中で標的核酸分子といわれる。多くの異なる型の核酸分子は、本発明の方法を使用して標的化され得る。従って、プラスミドのようなインタクトな環状二本鎖核酸分子(DNAまたはRNA)、およびコスミドベクター技術、P1ベクター技術、BACベクター技術またはPACベクター技術に基づく他の染色体外DNA分子は、上記の本発明の従う第2の核酸分子として使用され得る。このようなベクターの例は、例えば、Sambrook and Russell(Moelcular Cloning,Third Edition(2000),Cold Spring Harbor Laboratory Press)およびIoannou,et al.(Nature Genet.6(1994),84−89)ならびにこれらに引用される参考文献によって記載される。
第2の核酸分子はまた、宿主細胞染色体(例えば、E.coli染色体)であり得る。あるいは、真核生物宿主細胞染色体(例えば、酵母、C.elegans、Drosophila、マウスまたはヒト由来)または真核生物染色体外DNA分子(例えば、プラスミドYACおよびHAC)が使用され得る。あるいは、標的核酸分子は、環状である必要はないが、直線であり得る。好ましくは、第2の核酸分子は、二本鎖核酸分子であり、より好ましくは、二本鎖DNA分子である。
第1の核酸分子または第2の核酸分子のいずれかが、選択マーカーおよび複製起点を含むべきであることは、注意すべきである。この方法において、選択マーカーおよび/または複製起点は、修復組換えによって標的核酸分子中に組み込まれ得、これによりこの核酸分子は、宿主細胞中で選択され得そして増殖され得る。
第1の核酸分子(第2の核酸分子ではない)が起点および選択マーカー遺伝子を保有する場合において、本発明の方法は、Zhang et al.,Nature Biotech 18(2000),1314−1317によって記載されるような核酸サブクローニングの方法を利用し得る(国際特許出願WO01/04288もまた参照のこと)。RecE/Redαの存在下または非存在下で、アニーリングタンパク質はまた、一本鎖の第1および/または第2の核酸分子、二本鎖の核酸分子、あるいは一本鎖および二本鎖の核酸分子の任意の組み合わせのいずれかを使用して、このような核酸サブクローニングをもたらし得る。
第1の核酸分子は、少なくとも2つの、第2の核酸分子上の配列の領域との配列相同性領域で有するべきである。「相同性」によって、第1および第2の核酸分子の配列が整列される場合、これらの配列間で等価な位置で同一である多くのヌクレオチド残基が存在することが意味される。相同性の程度は、容易に計算され得る(Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing.Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;and Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991)。このような相同性領域は、好ましくは、各々少なくとも9ヌクレオチド、より好ましくは、各々少なくとも15ヌクレオチド、より好ましくは、各々少なくとも20ヌクレオチド、さらにより好ましくは、各々少なくとも30ヌクレオチドである。特に有効な組換え事象は、より長い相同性領域(例えば、50ヌクレオチド以上)を使用してもたらされ得る。好ましくは、これらの領域にわたる相同性の程度は、NCBI(National Center for Biotechnology Information;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって特定されるデフォルトパラメータ[Blosum 62マトリクス;ギャップオープンペナルティー=11およびギャップ伸長ペナルティー=1]を用いるBLASTバージョン2.1.3を使用して決定される場合、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%以上同一である。
配列相同性の領域は、第1の核酸分子上に位置され得、その結果、1つの相同性領域は、その分子の一端であり、そして他方は、そのもう一端である。しかし、相同性領域の1つまたは両方はまた、内部に位置され得る。よって、この2つの配列相同性領域は、各特定の実験の要求性にあわされるべきである。環状二本鎖DNA分子に対する位置を除いて、第2のDNA分子上に位置する2つの配列相同性領域に対する位置に関して特に制限はなく、修復組換え事象は、複製能力を破壊すべきではない。当業者に明らかなように、配列相同性領域は、非同一配列領域によって妨害され得るが、但し、修復組換え反応を生じさせ得る十分な配列相同性が、残存する。第2の核酸分子と比較して非同一である配列の領域にわたる配列相同性アームが第1の核酸分子に含まれることによって、置換(例えば、点変異)、挿入および/または欠失のような変異は、第2の核酸分子中に導入され得る。
本発明における使用のための、(出願時に公知であるような)適切なファージアニーリングタンパク質としては、RecT(racプロファージ由来)、Redβ(ファージλ由来)およびErf(ファージP22由来)が挙げられる。recT遺伝子の同定は、元々Hall et al.によって報告された(J.Bacteriol.175(1993)277−287)。RecTタンパク質は、λバクテリオファージβタンパク質またはRedβに類似することが公知である(Hall et al.(1993)前出;Muniyappa and Radding,J.Biol.Chem.261(1986)7472−7478;Kmiec and Holloman,J.Biol.Chem.256(1981)12636−12639)。Erfタンパク質は、Poteete and Fenton(J Mol Biol 163(1983)257−275)およびその中の参考文献によって記載される。Erfは、RedβおよびRecTと機能的に類似し(Murphy et al.,J Mol Biol 194(1987)105−117)、そしていくつかの場合において、λファージ組換え系に置換され得る(Poteete and Fenton,Genetics 134(1993)1013−1021)。ErfについてのGenbank IDは、X05268(V01152)である。RecTおよびRedβの配列は、配列番号1(RecT)および配列番号2(Redβ)として本明細書中に含まれる。
本発明はまた、RecT、RedβおよびErfとして上記で明確に同定される分子の機能的等価物の使用を含む。但し、その機能的等価物は、本明細書中に記載されるような組換えを介する能力が残存する。このような機能的等価物としては、バクテリオファージ中に存在する組換え系のエレメントのホモログ(ラージDNAファージ、T4ファージ、T7ファージ、スモールDNAファージ、異性体ファージ、フィラメントDNAファージ、RNAファージ、Muファージ、P1ファージ、誘導体ファージおよびファージ様物が挙げられるが、これらに限定されない)、ならびにウイルス中に存在する組換え系のエレメントの機能的ホモログ(以下の群のいずれかに属する任意のウイルスが挙げられるが、これらに限定されない:植物ウイルス、昆虫ウイルス、酵母ウイルス、真菌ウイルス、寄生虫性微生物ウイルス、ピコルナウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、全ての肝炎ウイルス、カルシウイルス科、ノーウォーク群のウイルス、アストロウイルス科、アストロウイルス、トガウイルス、アルファウイルス、風疹ウイルス、フラビウイルス科、フラビウイルス、ペスチウイルス、コロナウイルス科、コロナウイルス、乳酸デヒドロゲナーゼ増大(elevating)ウイルスおよび関連ウイルス、ラブドウイルス科、ラブドウイルス、フィロウイルス科、マールブルグウイルス、エボラウイルス、パラミクソウイルス科、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス、オルソミクソウイルス科、オルソミクソウイルス、ブンヤウイルス科、アレナウイルス科、アレナウイルス、レオウイルス科、レオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、コルチウイルス(coltivirus)、レトロウイルス、ヒトT細胞白血球ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、レンチウイルス、パポバウイルス科(papoviridae)、ポリオーマウイルス科、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス科、パピローマウイルス、アデノウイルス科、アデノウイルス、パルボウイルス科、パルボウイルス、ヘルペスウイルス科、単純ヘルペスウイルス、エプスタイン−バーウイルス、サイトメガロウイルス、水痘‐帯状疱疹ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、オナガザルヘルペスウイルス、Bウイルス、ポックスウイルス科、ポックスウイルス、ヘパドナウイルス科、ならびに未分類の因子(例えば、δ型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルス(Fields Virology,Third Edition,edited by B.N.Fields,D.M.Knipe,P.M.Howley,et al. Lippincott−Raven Publishers,Philadelphia PA USA(1996))が挙げられる。
もちろん、さらなる、機能的に等価なアニーリングタンパク質が発見される場合(例えば、他の大腸菌ファージおよびλファージのゲノム配列決定プロジェクトの結果として)、これらのアニーリングタンパク質は、明らかに上記されたものに等しく適切であることが認識される。
本発明に従って有用であるファージアニーリングタンパク質の機能的等価物の特定の例示としては、種々の生物において見出される形態であるRAD52(Passy et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96(1999)4279−4284)、およびSep1(Kolodner et al.,Mol Microbiol 11(1994)23−30)が挙げられる。機能的等価分子のさらなる例示としては、野生型配列からのアミノ酸の置換、挿入および/または欠失を含む、RecTタンパク質、Redβタンパク質またはErfタンパク質が挙げられる。但し、これらの変化は、上記のような修復組換えを介する際にアニーリングタンパク質の機能に不利に作用しない。このような機能的等価物は、[NCBIによって特定されるデフォルトパラメータを用いるBLASTバージョン2.1.3を使用して決定される場合]、好ましくは、上記で参照したGenbankの位置に示される野生型配列と少なくとも20%、好ましくは、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%以上のアミノ酸配列同一性を有する。
また、RecTタンパク質、Redβタンパク質およびErfタンパク質のフラグメント(例えば、短縮型改変体)、ならびに、RecTタンパク質、Redβタンパク質またはErfタンパク質の配列がその一部を形成する融合タンパク質(これは、相同組換えまたは修復組換えを介する能力を残存する)(例えば、Muyrers et al.,Genes Dev 14(2000)1971−1982を参照のこと)は、機能的等価物として含まれる。このような機能的等価物の同定は当業者の能力の範囲内であるとみなされる。例えば、機能的Erf短縮型変異体が同定されている(Poteete and Fenton,J Mol Biol 163(1983)257−275;Poteete et al.,J Mol Biol 171(1983)401−418;Fenton and Poteete,Virology 134(1984)148−160)。
また、例えば、DNAシャッフリング(Stemmer,W.P.Nature 370,389−91(1994)または基質連結指向性進化(Substrate−linked directed evolution)(SliDE、共有であり同時係属の英国特許出願GB0029375.3を参照のこと)を介して、最適化および/または進化されているアニーリングタンパク質改変体は、機能的改変体として含まれる。
核酸分子間の組換えが本発明に従ってもたらされ得るために、第1の置換核酸分子は、ファージアニーリングタンパク質またはその機能的等価物もしくはフラグメントの存在下で第2の標的核酸分子と接触させられねばならない。
本発明の方法は、宿主中で全体または一部もたらされ得る。適切な宿主としては、ウイルスおよび寄生虫、原核生物および真核生物を含む、多くの種の細胞が挙げられるが、細菌(例えば、グラム陰性細菌)が好ましい宿主である。より好ましくは、宿主細胞は、腸内細菌細胞(例えば、Salmonella細胞、Klebsiella細胞、Bacillus細胞、Neisseria細胞またはEscherichia coli細胞(本発明の方法は、試験されているE.coliの株全てにおいて効果的に働く))である。しかし、本発明の方法はまた、真核細胞または生物(例えば、真菌細胞、植物細胞または動物細胞)、ならびにウイルス性および寄生虫性の細胞および生物における使用のために適切であることは、注意すべきである。この系は、マウスES細胞において十分機能することが実証されており、他の真核生物細胞においても機能的ではないことを支持する理由はない。
よって、本発明の1つの局面は、核酸分子の配列を変更するための方法を提供し、この方法は、以下の工程:
a)ファージアニーリングタンパク質またはその機能的等価物もしくはフラグメントを含有する宿主を提供する工程;
b)この宿主中で、第1の核酸分子を、少なくとも2つの、この第1の核酸分子上の領域との配列相同性領域を含む第2の核酸分子と、この第1の核酸分子と第2の核酸分子との間で修復組換えが生じるに適切な条件下で、接触させる工程;
c)この第1の核酸分子と第2の核酸分子との間で修復組換えが生じた宿主を選択する工程、
を包含する。
原核生物宿主において、本方法は、配列変更反応の経過中にRecE/Redαタンパク質が存在しないという条件を含み得る。好ましくは、修復組換えに使用される宿主細胞は、RecTタンパク質、Redβタンパク質もしくはErfタンパク質またはその機能的等価物もしくはフラグメントが発現される任意の細胞であり得る。例えば、宿主細胞は、宿主細胞染色体上または非染色体核酸分子(例えば、ベクター)上に位置される(必要に応じて、プロモーター(例えば、調節可能なアラビノース誘導性BADまたはlacプロモーターまたは強力な構成的プロモーターEM−7)から発現される)recT遺伝子、redβ遺伝子またはerf遺伝子を含み得る。あるいは、RecT、RedβまたはErfは、第1の核酸分子、潜在的には第2の核酸分子で誘導されるmRNAから発現され得る。修復組換え反応は、置換核酸配列を忠実に組み込む。例えば、E.coliにおいて、組み換えられた分子全ては、内因性複製系および修復系によって校正される。結果として、配列再生成の忠実度は、かなり高い。
本明細書中に記載される系において、ファージアニーリングタンパク質またはその機能的等価物もしくはフラグメントの発現は、調節可能なプロモーターによって制御され得る。この様式において、この系の遺伝子組換え(recombinogenic)の潜在性は、必要とされる場合にのみ誘発され、そして他の時には、起こり得る所望されない組換え反応が制限される。多くの所望されない組換え反応が二本鎖崩壊(break)修復による相同組換えを介して生じ(Muyers et al.,Genes Dev 14(2000)1971−1982;Zhang et al.,Nature Biotech 18(2000)1314−1317)、よって、ファージタンパク質対の両方の成分の発現を必要とするので(Muyers et al.,Genes Dev 14(2000)1971−1982)、このような所望されない組換えの危険性は、アニーリングタンパク質の存在下でのみ大いに低減される。さらに、RecAの存在下での本明細書中に記載される系に依存しない場合、この危険性は、RecAが発現されない宿主細胞においてこの方法を実施することによってさらに低減される。
上記のように、第2の核酸分子(標的核酸分子)(例えば、染色体由来または染色体外エレメント由来)は、環状化されたかまたは線状の分子であり得、よって本発明のこの局面において宿主細胞中で一過性または持続的に発現され得る。第1の核酸分子(置換核酸分子)はまた、任意の供給源由来であり得るが、本発明のこの実施形態において、組換え反応が効果的に生じるために、宿主細胞中に導入される必要がある。例えば、置換核酸分子は、PCR反応のような核酸増幅反応によって合成され得、ここで、例えば、増幅をプライムするために使用されるDNAオリゴヌクレオチドの両方が、増幅についてのプライマーとして働く3’末端での配列に加えて、2つの相同性領域の一方または他方を含む。この設計のオリゴヌクレオチドを使用して、核酸増幅産物は、増幅に適切な任意の核酸配列であり得、さらに各末端で配列相同性領域を有する。
本発明の方法は、インビボで第1の核酸分子と第2の核酸分子とを接触させる工程を包含し得る。1つの実施形態において、第1の核酸分子は、第2の核酸分子を既に含有する宿主細胞中に形質転換され得る。異なる実施形態において、第1および第2の核酸分子は、宿主細胞への同時形質転換の前にインビトロで一緒に混合され得る。もちろん、これらの核酸分子種の一方または両方は、任意の手段(例えば、トランスフェクション、形質導入、形質転換、エレクトロポレーションなど)によって宿主細胞中に導入され得る。細菌細胞について、形質転換または同時形質転換の好ましい方法は、エレクトロポレーションである。
本発明は、宿主細胞または細胞性組換え機構の関与なしに、全体的にインビトロで開始され得る。ファージアニーリングタンパク質(例えば、RecT)は、タンパク質自体とオリゴヌクレオチド分子と二本鎖核酸分子との間でインビトロで複合体を形成し得る(Noirot and Kolodner,J Biol Chem 273(1998)12274−12280)。このような複合体の1つの例は、RecTとssDNAオリゴヌクレオチドとインタクトな環状プラスミドとの間で形成されるものである。このような複合体は、本明細書中で「連結(joint)分子」と呼ばれる複合体(この例において、プラスミドおよびssDNAオリゴヌクレオチドからなる)の形成を導く。このような連結分子は、ファージアニーリングタンパク質の除去後に安定であることが見出されている。安定な連結分子の形成は、ssDNAオリゴヌクレオチドとプラスミドとの間で共有される相同性領域の存在に依存することが見出されている。
インビトロで連結分子を作製するRecAの潜在性は、例えば、RecA関連クローニング(Ferrin and Camerini−Otero,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95(1998)2152−2157、総説については、Ferrin,Methods Mol Biol 152(2000)135−147を参照のこと)、およびRecA媒介アフィニティ捕捉(Zhumabayeva et al.,Biotechniques 27(1999)834−840)において、プール由来の所望のDNAストラテジーの単離を可能にするようにすでに開発されている。このRecAの捕捉はまた、他の課題(例えば、RecA関連制限エンドヌクレアーゼ(RARE)切断(Ferrin and Camerini−Otero,Science 254(1991)1494−1497)について使用されている。しかし、組換えがファージアニーリングタンパク質によってインビトロで開始されることは現在まで何ら記載も適用もなく、そして、任意の外因性に添加されるタンパク質の非存在下で、インビボで特定の改変された核酸分子を生じることが意図される。
上記されるようないわゆる「連結分子」が宿主細胞における組換えを媒介するために直接使用され得ることが、本明細書において提唱される。ここで、宿主細胞は、任意のファージアニーリングタンパク質を発現する必要が少しもない。本発明のこの局面は、核酸分子の配列を変更する方法を提供し、この方法は、以下の工程:
a)第2の核酸分子の存在下で、第1の核酸分子を、ファージアニーリングタンパク質またはその機能的等価物もしくはフラグメントに曝露して、連結分子を生成する工程であって、ここで、この第1および第2の核酸分子は、少なくとも2つの配列相同性領域を共有する、工程;
b)この第1の核酸分子と第2の核酸分子との間で修復組換えが生じるに適切な条件下で、この連結分子をインキュベートする工程;および
c)その配列が、この第2の核酸分子由来の配列を含むように変更されている核酸分子を選択する工程、
を包含する。
本方法は、原核生物細胞においてインビボで実施される配列変更反応の経過中にRecE/Redαタンパク質が存在しないという条件を含み得る。
本発明のこの局面に従って、連結分子を使用して、組換え事象の効率を増大し得る。
「コート分子」と本明細書中でいわれる、ファージアニーリングタンパク質またはその機能的等価物もしくはフラグメントによってコートされる核酸分子(例えば、ssDNAオリゴヌクレオチドまたはdsDNA分子)が、「裸の」コートされていない核酸分子と比較して高効率で組換え得ることが、本明細書において提唱される。これは、多くの種(原核生物および真核生物(酵母、マウス、植物、古細菌、ヒト細胞、C.elegans、Drosophila、X.laevisなどを含む)の両方を含む)ならびにウイルスおよび寄生生物における外因性核酸分子および内因性核酸分子の操作のような技術において重要な適用である。この方法で組み換えられ得る外因性核酸分子(本明細書中で使用される場合、第1の置換核酸分子)の例としては、トランスポゾン、HAC、YAC、プラスミドが挙げられるが、内因性核酸分子(本明細書中で使用される場合、第2の標的核酸分子)の1つの好ましい例は、染色体である。
従って、本発明のこの局面はまた、相同組換え事象または修復組換え事象(例えば、DNA操作またはサブクローニング(Zhang et al.,Nature Biotech 18(2000)1314−1317)を参照のこと)の効率を増大させるための、ファージアニーリングタンパク質または機能的等価物もしくはフラグメントの使用を提供する。例えば、第1の置換核酸分子(これは、一本鎖または二本鎖であり得る)の宿主細胞への導入前に、置換核酸分子は、ファージアニーリングタンパク質または機能的等価物もしくはフラグメントの存在下でインビトロでインキュベートされ得る。次いで、核酸調製物は、アニーリングタンパク質から部分的にかまたは全体的に精製され得、組換え事象がもたらされ得る場合、宿主細胞中に形質転換され得る。裸の分子よりもこのようなコート分子を使用することによって、記載された活性の適用の効率のいずれもが、顕著に増強され得る。
本発明のこの局面の1つの実施形態は、ファージアニーリングタンパク質またはその機能的等価物もしくはフラグメントと第1の核酸分子との単離された複合体の、修復組換えプロセスについてのテンプレートとしての使用を提供し、任意のファージアニーリングタンパク質の発現を少しも必要としない宿主細胞における組換え分子の形成を導く。
本発明のこの局面のさらなる実施形態は、ファージアニーリングタンパク質またはその機能的等価物もしくはフラグメントと第1の核酸分子と第2の二本鎖DNA分子(連結分子;Noirot and Koldner,J Biol Chem 273(1998)12274−12280)との単離された複合体の、修復組換えプロセスについてのテンプレートとしての使用を提供し、任意のファージアニーリングタンパク質の発現を少しも必要としない宿主細胞における組換え分子の形成を導く。
宿主細胞(多くの場合、標的分子を含む)へのコート分子または連結分子の送達は、いくつかの型であり得る:形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーションなど(また真核生物送達技術)、または細胞壁を超え得るタグ(例えば、TAT(Nagahara et al.,Nature Med 4(1998)1449−1452;Schwarze et al.,Science 285(1999)1569−1572)またはkFGFタグ(Delli Bovi et al.,Cell 50(1987)729−737;Yoshida et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(1987)7305−7309;Peters et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86(1989)5678−5682))を保有するファージアニーリングタンパク質を使用することによる送達。
インビトロでの組換えの開始について上記される本発明の局面の全てにおいて、ファージアニーリングタンパク質および1つまたは2つの核酸分子の型のみが、現在必要とされる。さらなる工程について、宿主は、相同組換え反応または修復組換え反応を進めるために必要なタンパク質を提供するために必要とされる(これは、もはや相同組換えおよび/または修復組換えの機能が解明されている場合であり得る)。原核生物において、相同組換えを生じるに必要なタンパク質は、RecA経路における相同組換えの下流プロセスで機能的であるタンパク質に類似するようである。このようなタンパク質としては、例えば、ブランチの移動および分離ならびにDNA複製を実施し得るタンパク質が挙げられる。他の適切なタンパク質は、DNA修復に関与するタンパク質を含む(Trends in Bioch Sci 20(1995)を参照のこと)。いくつかの候補タンパク質は、既に知られている(総説について、Kowalczykowski et al.,Microbiol Rev 58(1994)401−465;Trends in Bioch Sci 20(1995)を参照のこと)。
本明細書中に記載されている活性が生じることが実証されている、原核生物宿主細胞の特定の例としては、以下の株が挙げられる;JC5519(WilletsおよびClark、J Bacteriol 100(1969)、231−239);JC8679およびJC9604(Clark,Genetics 78(1974),259−271);DK1(New England Biolabs);ならびにDH10B(Gibco BRL)。
真核生物において、この特定の機能は以前に記載されていないが、原核生物タンパク質の機能的相同性が存在することは公知である。さらなる真核生物に特徴的な因子はまた、重要であるかもしれない。本発明の方法のために適切な真核生物細胞には、相同組換えによるDNA操作が実行可能なことが公知である細胞が含まれ、例えば、大部分のS.cerevisae系、マウスES細胞(例えば、E14およびR1;Joyner,Gene Targeting,a practical approach(2000)第2版、Oxford University Press Inc.New York)およびBT−40のような特定の体細胞株が挙げられる。さらに、DNA修復についての機能的経路を含む任意の細胞または種(これらには、大部分の細胞が含まれる;例えば、Stuckiら、Prog Nucleic Acid Res Mol Biol 65(2000),261−298;HansenおよびKelley、J Pharmacol exp Ther 295(2000),1−9)を参照のこと)がおそらく適切である。
組換え分子を選択するために複雑な選択工程を必要としないことは、本発明の方法の長所である。
本明細書中に記載される組換え方法の効率は、いくつかの選択方法が、単一の工程において遺伝子操作を可能にし、そしてさらに核酸配列の操作を可能にすることである。
しかし、2つの分子種間の修復組換えが望ましい条件下において、第1核酸分子と第2の核酸分子とを接触させた後、1つ以上の核酸分子が、置換核酸分子と標的核酸分子との間の修復組換えが生じる種を再現するように選択されなければならない。この手順は、いくつかの異なる方法によって実行され得、同様に当業者に明らかである。好ましくは、PCRを用いる選択(ハイブリダイゼーション反応ではあるが)、ブロッティングの技術を用いるか、またはアッセイを用いる選択もまた、使用され得る(SambrookおよびRussellを参照のこと;loc.sit.)。本発明の方法の高い効率にもかかわらず、本方法の効率を増大するために、選択可能な遺伝子工程がこの方法論(抗生物質選択方法および部位特異的組換え酵素を用いる選択を含む)に含まれ得る場合が生じ得る。適切な選択方法の例は、例えば、国際特許出願WO99/29837に記載されている。
単離された複合体(これらは、ファージアニーリングタンパク質、オリゴヌクレオチドおよび連結分子については2本鎖核酸分子を含む(NoirotおよびKolodner、J Biol Chem 273(1998),12274−12280))の構成(連結分子およびコートされた分子)の発見は、このような特性が非常に有用である他の技術のために重要な影響を有する。1つの例、すなわち、ファージアニーリングタンパク質と接触している核酸分子間の修復組換えおよび/または相同組換えの効率の増大は、上で議論される。
本発明のなおさらなる局面は、核酸分子混合物からの所望される核酸分子の選択を提供する。目的の核酸分子の配列に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド分子を設計する工程、および上記のように連結分子の形成のために適切な条件下で、このオリゴヌクレオチドをファージアニーリングタンパク質フラグメントまたは機能的な等価物と共にインキュベートする工程により、形成される連結分子複合体は、混合物から所望の核酸分子を分離するために使用され得る。この複合体は、例えば、親和性分離およびファージアニーリングタンパク質または機能的な等価物またはフラグメントについての選択を用いて分離され得る。
本発明のこの局面は、核酸分子の混合物から目的の核酸分子を選択する方法を提供する。この方法は以下の工程を包含する:
a)目的の核酸分子の配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド分子を、コートされた分子または連結分子複合体の形成に適切な条件下で、ファージアニーリングタンパク質、またはそれらの機能的な等価物もしくはフラグメントに曝露する工程
b)このコートした分子または連結分子複合体を、核酸分子の混合物と共にインキュベートする工程;および
c)ファージアニーリングタンパク質またはそれらの機能的な等価物またはフラグメントに結合する核酸分子を選択する工程。
連結分子またはコートされた分子を分離するための1つの方法は、合成タグを含むオリゴヌクレオチドの使用に関連し得る。目的の核酸配列を含む組換え分子を生成するために、単離された連結分子またはコートされた分子は、宿主細胞中に導入され得る。ファージアニーリングタンパク質またはそれらの機能的な等価物もしくはフラグメントを使用して生成される連結分子およびコートされた分子の特性に起因して、宿主細胞は、修復組換えが生じるためにファージアニーリングタンパク質を発現する必要はない。
核酸分子の操作およびサブクローニングにおける上記の適用に加えて、ファージアニーリングタンパク質またはそれらの機能的な等価物もしくはフラグメントでコートされた核酸分子は、アンチセンス戦略(例えば、RNA結合および阻害、mRNAの遮断、rRNAを遮断することよる翻訳の阻害ならびにRNA輸送の遮断に基づく)において使用され得る。第1(置換)の核酸分子のライブラリーはまた、無作為化または標的化されたアンチセンスのために利用され得る。このような方法は、潜在的な任意の生物において実行可能である。
本発明のなおさらなる局面に従って、核酸をクローニングする方法が提供され、この方法は、上記の本発明の任意の局面において記載されるように、核酸分子の配列を変更する方法を利用する。
本発明のなおさらなる局面に従って、核酸分子の配列を操作する方法が提供され、この方法は、上記の本発明の任意の局面において記載されるように、核酸分子の配列を変更する方法を包含する。
本発明は、ここで、RecTおよびRedβにより調節される修復組換えに関して、特に強調して詳述されている。詳細な改変は、本発明の範囲から逸脱することなしになされ得ることは理解される。
注:全てのオリゴヌクレオチドを、EMBLオリゴヌクレオチドサービスから入手した。
(実施例1:ファージアニーリングタンパク質を用いる修復組換え)
2つのDNA分子の間の修復組換えを媒介するファージアニーリングタンパク質の組換え活性を、図1の実験を用いて、初めに見出した。
図1に示す例において、置換オリゴヌクレオチド中の相同性領域を、インタクトな環状プラスミド(pGKneoまたはpGKneoΔ)に存在するneo遺伝子中の欠損領域に隣接するように選択した。これらの相同性領域をまた、neo遺伝子に本来存在していた配列に隣接するようにオリゴヌクレオチドに入れた。この例において、pGKneo(pGKneoから作製した(Zhang Y.Muyrers J.P.P.,Stewart A.F.,非公開データ;pGKneoの配列を配列番号3に与える))を用いて、欠損neo遺伝子を入れた。従って、pGKneoを含む宿主細胞は、カナマイシン選択の存在下で増殖することができない。pGKneoはまた、アンピシリンによる選択のためのbla遺伝子を保有する。インタクトな環状プラスミドとオリゴヌクレオチドとの間の修復組換え(ファージアニーリングタンパク質により媒介される)を通じて、欠損neo遺伝子を修復して、pGKneoにおいて機能的neo遺伝子を作製し得る。この組換え事象を、カナマイシンを含むLB−プレートでの増殖により選択し得る。
用いたオリゴヌクレオチド(置換核酸分子)は、左の相同性領域、pGKneoのneo遺伝子に本来存在していたヌクレオチド、および右の相同性領域からなる。pGKneoおよびオリゴヌクレオチドを、宿主株(通常、JC5519(WillettsおよびClark,J Bacteriol 100(1969),231−239)これは、ファージアニーリングタンパク質を発現する)に同時エレクトロポレーションした。本明細書中で用いられるオリゴヌクレオチドの配列を、配列番号4および5に与える。
図1Bは、インタクトな環状プラスミドへの配列の追加を生じる修復組換えを示す。図1A)の場合、pGKneoΔ(これを、欠損neo遺伝子を含むようにpGKneoから作製した)と、オリゴヌクレオチドとの間の組換えは、pGKneoを作製するための機能的neo遺伝子の修復を生じる。再度、このファージアニーリングにより促進された組換え事象を、カナマイシンを含むLB−プレートでの増殖により選択し得る。
修復組換えを可能にするために、2つのDNA分子は、2つの相同性領域(共有されたDNA配列のストレッチ)を共有する必要がある。この共有されたDNA配列のストレッチは、組換えプロセスを正しい領域に導き、そしてこれらを通じて修復組換えを生じる。これらの相同性領域の配列は、自由に選択され得、任意の位置でのDNA操作を可能にする。
(実験プロトコル)
pGKneoおよびpGKneoΔを、以下の手順によりpGKneoから作製した:pGKneoを、NcoI制限酵素(これは、neo遺伝子中に固有の認識部位を有する)を用いて線状化した。pGKneoを作製するために、NcoIで消化したpGKneoの5’オーバーハングを、製造業者(New England Biolabs)の指示書に従ってKlenowおよびヌクレオチドを用いて補充し、次いで、連結により、インタクトな環状プラスミドを作製した。pGKneoΔを作製するために、NcoIで消化したpGKneoの5’オーバーハングを、製造業者(New England Biolabs)の指示書に従ってMung Beanヌクレアーゼを用いて取り除き、次いで、連結により、インタクトな環状プラスミドを作製した。
インタクトな環状プラスミドおよびオリゴヌクレオチドを、エレクトロコンピテント(electrocompetent)宿主細胞へと同時エレクトロポレーションした。ファージアニーリングタンパク質が発現される、これらのエレクトロコンピテント宿主細胞のみが、機能的neo遺伝子を作製するための修復組換えを可能にした。エレクトロコンピテントE.coli細胞を、以前に記載されるように調製した(Zhangら、Nature Genet 20(1998),123−128;Muyrersら、Nucl Acids Res 27(1999),1555−1557;Muyrersら、Genes Dev 14(2000),1971−1982;Muyrersら、EMBO R 1(2000),239−243;Muyrersら、Genetic Engineering,Principles and Methods,J.K.Setlow編、22(2000),77−98,Kluwer Academic/Plenum Publishers,NY;Zhangら、Nature Biotech 18(2000),1314−1317;さらなる情報は、http://www.embl−heidelberg.de/ExternalInfo/stewart/index.htmlから利用可能である)。簡単に言えば、ファージアニーリングタンパク質を発現し得る細胞の250ml培養物を、新鮮なLB培地への100倍希釈の飽和一晩培養(saturated overnight culture)により開始した。これらの細胞を、37℃にて0.4のOD600まで増殖させ、0.4のOD600で、これらを収集した。ファージアニーリングタンパク質の発現が必要である場合(すなわち、ファージアニーリングタンパク質遺伝子が、宿主細胞内のpBAD24ベースのプラスミドに存在していた場合)、細胞を誘導した1時間後に、0.1%の最終濃度までL−アラビノース(Sigma)を添加することによって収集した。細胞をSorvall SLA1500ローター中7000rpmで、−3℃にて8分間遠心分離することにより収集した。ペレットを250mlの氷冷10%グリセロールに再懸濁し、そして再度遠心分離(7000rpm、8分間、−3℃)した。これを2回より多く繰返し、その後、細胞ペレットを、等量の氷冷10%グリセロールに再懸濁した。アリコート(50μl)を、2つのDNA分子(図1の場合、インタクトなプラスミドおよびオリゴヌクレオチド)と共に、同時エレクトロポレーションした。BioRad Gene Pulser(2mmキュベット、2.5kV、25μF、200 Ohm)でのエレクトロポレーション後、細胞を、振盪しながら37℃にて1.5時間インキュベートし、そして抗生物質プレートに薄く塗った。カナマイシン選択のために用いた濃度は、50μg/mlであり;アンピシリン選択については、50μg/mlであった。
修復組換え反応を支持した宿主細胞は、内因性染色体由来のファージアニーリングタンパク質か、または(少なくとも)ファージアニーリングタンパク質の構成的発現もしくは誘導性発現を可能にするプラスミド由来のファージアニーリングタンパク質のいずれかを発現した。ファージアニーリングタンパク質遺伝子を、pBAD24に存在するプロモーターから誘導性発現させた。pBAD24は、L−アラビノースの添加により、誘導性発現を可能にする(Guzmanら、J.Bacteriol 177(1995),4121−4130)。
図1Aに記載した実験を用いて、いくつかの組換え経路およびタンパク質を、この型の修復組換えを支持する能力について試験した。これらの実験の結果を表1に要約する。表1は、図1に記載したような、一本鎖オリゴヌクレオチドとインタクトな環状プラスミドとの間の修復組換えを媒介する能力についての、いくつかの組換え経路およびタンパク質の評価の結果を示す。試験株の名称、この株の遺伝子型、この株に存在する組換え媒介経路またはタンパク質、およびカナマイシン耐性、pGKneo含有組換え体の基準化した量を示す。この表のデータを作成するために行った全ての実験において、22nt(ヌクレオチド)の左の相同性領域および右の相同性領域を含む、ssDNAオリゴヌクレオチドを用いた。この表の全ての実験において、データは、少なくとも2つの独立した実験の平均を表す。
実験の詳細を表1に記載する。株を、pGKneo(0.1μg)、ならびに22ntの左の相同性領域、pGKneoのneo遺伝子に本来存在していたヌクレオチド、および22ntの右の相同性領域からなるオリゴヌクレオチド(2.2μg)と共に、同時エレクトロポレーションした。全てのpBADベースの構築物は、L−アラビノース誘導性プロモーターからの示した遺伝子の誘導性発現を可能にする。このような構築物を含む宿主細胞を、上記のように、L−ara誘導した後に収集した。カナマイシンを含むLBプレートで得られた組換え体の量を基準化することを可能にするために、標準的な量(0.5ng)のpBR322プラスミドを形質転換することにより得たコロニーの量を、試験した株ごとのコンピテント細胞調製物ごとに決定した。従って、株対株変化の得られたコロニーの量を、基準化因子として用いた。LB−カナマイシン選択について、50μg/mlの濃度を用いた。
ファージアニーリングタンパク質(RecT、RedβおよびErf)を発現する宿主株のみが、必要な組換え反応を媒介することを見出したことが明らかである。さらに、ファージアニーリングタンパク質は、記載された活性を媒介するのに必要十分である。ET組換え(国際特許出願公開WO99/29837を参照のこと)とは対照的に、アニーリングタンパク質の発現のみでも、所望の活性を示すのに十分である。他の組換え経路(RecA、RecA/RecBCD、RecF)は、必要な組換え反応を媒介し得ないことを見出した。また、ET組換えと対照的に、RecBCDの発現は、記載した活性を妨害しない。
(実施例2:相同性領域の必要な長さ)
ファージアニーリングタンパク質の活性を調査するために、さらに、相同性領域の長さと組換えの効率との間の関連性を試験した。
図1の実験設定に従って、相同性領域を、5ヌクレオチドから50ヌクレオチドまで変化するように選択したオリゴヌクレオチドのセットを、pGKneoの欠損neo遺伝子を修復する能力について試験した。ファージタンパク質を、対応する遺伝子を含むpBAD24ベースのプラスミドから誘導性発現させた。示したタンパク質を誘導性発現するエレクトロコンピテント細胞を、上記のように調製した。エレクトロポレーション、選択および得られた組換え効率の基準化を、図1および表1のプロトコルおよび条件を用いて行った。
この実験の結果を、図2に要約する。図2は、相同性領域の長さと組換え効率との間の関係に関連する結果を示す。
組換えは、約9ヌクレオチドの非常に短い相同性領域で検出可能であることを見出した。しかし、RecTおよびRedβの両方について、相同性領域の長さの増加は、組換え能力の増大と関連する。
2つの相同性領域が、組換えを生じるために厳密に要求されるか否かを決定するために、オリゴヌクレオチドを、pGKneoの欠損neo遺伝子を修復し得るヌクレオチド、および1つのみの相同性領域(左または右のいずれか)からなる組換え体のために提供した。このようなオリゴヌクレオチド(1つのみの可変長の相同性領域を含む)を、図1に記載したアッセイを用いて試験した。結果を表2に要約する。
これらの結果は、RecTおよびRedβの両方について、2つの相同性領域が一本鎖オリゴヌクレオチドに存在した場合にのみ、組換えが検出され得ることを示す。従って、2つの相同性領域は、ファージアニーリングタンパク質により媒介される修復組換えのために、厳密に要求される。
記載した組換え機構のいくつかの局面を、図1Aに記載した組換えアッセイを用いて、より詳細に研究した。
表3は、図1のアッセイを用いる、組換え反応を媒介するための、ssDNAオリゴヌクレオチドに存在する相同性領域の長さ、このオリゴヌクレオチド(pGKneoの欠損neo遺伝子の下の鎖または上の鎖のいずれかに相補的である)の配向、およびRecTまたはRecβのいずれかを使用して達成される標準化した組換え効率を示す。この実験について、示したファージタンパク質を、JC5519において、対応する遺伝子を含むpBAD24ベースのプラスミドから誘導性発現させた。示したタンパク質を誘導性発現するエレクトロコンピテント細胞を、上記のように(エレクトロポレーション、選択、および得られた組換え効率の標準化で既に述べたように)調製した。
これらの実験から、組換えのために用いられるオリゴヌクレオチドを、pGKneoの欠損neo遺伝子のいずれかの鎖に相補的であるように設計し得ることを実証した(表3を参照のこと)。しかし、一貫した差異を、組換え効率において見出した。この効率は、上の鎖に相補的であったオリゴヌクレオチドと比べて、下の鎖に相補的であるオリゴヌクレオチドについてより高かった。
(実施例3:組換えに必要であるヌクレオチドの数に関する組換え効率)
この実験の詳細は、以下のとおりであった。4つの型のpGKneo由来プラスミドを、各々可変長のneo遺伝子中に配列欠損を含み、これらの各々のプラスミドの中にneo遺伝子欠損を与えるように構築した。pGKneoΔにおいて、4個のヌクレオチドを、neo遺伝子内から欠失させ(図1Bを参照のこと)、pGKneoΔ15において、15個のヌクレオチドを欠失させ、pGKneoΔ33において、33個のヌクレオチドを欠失させ;そしてpGKneoΔ60において、60個のヌクレオチドを欠失させた。これらのプラスミドの各々を、25個のヌクレオチドの相同性領域に隣接する損失配列を含むオリゴヌクレオチドと組換えた。従って、全てのpGKneoΔプラスミド改変体を、それ自体に特異的なオリゴヌクレオチドと共に、同時エレクトロポレーションした。この特異的なオリゴヌクレオチドは、25ntの相同性領域(用いられる全てのプラスミドについて同じ)に隣接する、これらのプラスミド型の欠損配列(用いられるプラスミドに依存して4、15、33または60個のヌクレオチド)を含んでいた。全ての組換え反応について、相同性領域の長さは、同じ(すなわち、25nt)であった。pGKneoΔ15、pGKneoΔ33およびpGKneoΔ60を作製するために、pGKneoを、neo遺伝子を独自に切断するNcoIを用いて消化した。引き続いて、製造業者(New England Biolabs)の指示書に従ってBal31と共にインキュベーションすることにより、配列欠損を作製した。Bal31消化の後、得られた分子を連結して、インタクトな環状プラスミドを作製した。作製した配列の長さを、DNA配列決定により決定した。作製した配列の長さを、DNA配列決定により決定した。示したファージタンパク質を、JC5519細胞において、それぞれの遺伝子を含むpBAD24ベースのプラスミドから誘導性発現させた。示したタンパク質を誘導性発現したエレクトロコンピテント細胞を、上記のように(エレクトロポレーション、選択、および得られた組換え効率の標準化で既に述べたように)調製した。
組換え効率と、環状プラスミドへと組換えられる必要があり、そして一本鎖オリゴヌクレオチドの相同性領域の間に存在するヌクレオチドの量との間に負の相関が存在することを見出した(図3および凡例を参照のこと)。
(実施例4:相同性領域に存在する点変異)
図4Aは、組換えアッセイにおいて用いられるオリゴヌクレオチドおよびプラスミドの図を示す。オリゴヌクレオチドの両方の配向を試験した(上の鎖または下の鎖に相補的、表3を参照のこと)。用いられるオリゴヌクレオチドに依存して、点変異は、(下の鎖に相補的であるオリゴヌクレオチドの場合)欠損neo遺伝子を修復し得る配列に対して5’側にあるか、または(上の鎖に相補的であるオリゴヌクレオチドの場合)欠損neo遺伝子を修復し得る配列に対して3’側にある。導入した点変異は、neo遺伝子に組換えられる場合、neo遺伝子中にサイレントな変異を導入し、それにより、タンパク質配列および遺伝子の機能を変化しない。これらのオリゴヌクレオチドを、pGKneoプラスミドを用いて、ファージアニーリングタンパク質を発現するJC5519遺伝子へと同時エレクトロポレーションした。
図4Bは、達成された組換え効率を表す。各配向についてのssDNAオリゴヌクレオチドを用る組換えの後に試験した約50個の組換えクローンの中で、相同性領域に存在する点変異を組換え産物へと組み込んだクローンはなかった(データ示さず)。
この実験は、いずれかの相同性領域に存在する単一の点変異が、環状プラスミドへと組換えられず、そして組換え反応を無効にしないことを実証した。この実験についての実験手順は、以下のとおりである。示したファージタンパク質を、JC5519において、対応する遺伝子を含むpBAD24ベースのプラスミドから誘導性発現させた。示したタンパク質を誘導性発現するエレクトロコンピテント細胞を、上記のように(エレクトロポレーション、選択、および得られた組換え効率の標準化で既に述べたように)調製した。
(実施例5:末端ジデオキシ残基を含む一本鎖DNAオリゴヌクレオチドは、組換えに熟達している)
図5Aは、組換えアッセイに用いられるオリゴヌクレオチドおよびプラスミドをの図を示す。オリゴヌクレオチドの両方の配向を試験した(上の鎖または下の鎖に相補的、表3を参照のこと)。両方の配向において、ssDNAオリゴヌクレオチドの3’末端は、ジデオキシ残基を含む。これらのオリゴヌクレオチドを、pGKneoプラスミドを用いて、ファージアニーリングタンパク質を発現するJC5519遺伝子へと同時エレクトロポレーションした。
これらの実験は、一本鎖オリゴヌクレオチドのまさに3’末端でのジデオキシ残基の存在が、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの配向にかかわらず、組換えをブロックしないことを示した(図5を参照のこと)。この実験についての実験手順は上記のとおりであった。示したファージタンパク質を、JC5519において、対応する遺伝子を含むpBAD24ベースのプラスミドから誘導性発現させた。
(実施例6:E.coli染色体の標的化)
E.coli染色体が、一本鎖オリゴヌクレオチドを用いるファージアニーリングタンパク質を媒介した修復組換えを介して、標的化され得るか否かを決定すために、このアッセイを、図6に記載したように行った。
このアッセイは、図1のアッセイに原則的に類似する。ファージタンパク質を、JC5519において、対応する遺伝子を含むpBAD24ベースのプラスミドから誘導性発現させた(図6を参照のこと)。JC5519neoおよびJC5519neoΔを、以下の手順を用いてET組換えにより生成した。初めに、クロラムフェニコール耐性遺伝子(cmr)およびそのプロモーターを、ET組換えにより、pGKneoおよびpGKneoΔの欠損neo遺伝子の3’側にクローン化した。次いで、PCRフラグメントを、neo遺伝子およびcmr遺伝子およびこれらのプロモーター(cmrを含むpGKneoから増幅される)を含むか、またはneoΔ遺伝子およびcmr遺伝子およびこれらのプロモーター(cmrを含むpGKneoΔから増幅される)を含むように作製した。これらのPCRフラグメントはまた、JC5519のlacZ遺伝子座に対するフラグメントの標的化を可能にする相同性領域を含んでいた。neo−cmrカセットまたはneoΔ−cmrカセットを有するJC5519の標的化、およびクロラムフェニコールを含むLBプレートでの選択の後、それぞれ、JC5519neo、JC5519neoΔを得た。正確な組込みをサザン分析により確認した。
示したタンパク質を誘導性発現するエレクトロコンピテント細胞を、図1に対する凡例に記載したように、厳密に調製した。エレクトロポレーション、選択、およびの得られた組換え効率の標準化を、図1および表1のプロトコルおよび条件を用いて行った。JC5519の染色体に対する欠損neo遺伝子のETクローニングの間のクロラムフェニコール選択について、20μg/mlの濃度を用いた。機能的neo遺伝子を有する正確な組換え体の選択のために、20μg/mlの濃度を用いた。
従って、図6において、標的化配列は、欠損neo遺伝子(pGKneo*およびpGKneoΔから得た)であり、この遺伝子を、ET組換えにより、JC5519 E.coli宿主株の染色体上に置いた。ファージアニーリングタンパク質を発現し、そして欠損neo遺伝子を含むコンピテント細胞を調製し、そしてssDNAオリゴヌクレオチドと共にエレクトロポレーションした。このssDNAオリゴヌクレオチドは、修復組換えにより、neo遺伝子を修復した。一本鎖オリゴヌクレオチドの両方の配向(neo遺伝子の上の鎖または下の鎖に相補的)は、このアッセイにおいて機能的であることを見出した。このことは、一本鎖オリゴヌクレオチドが、複製を開始するためにOkazakiフラグメントとして直接機能するという組換え理論に対して反対の議論をする。
(実施例7:絶対的操作効率)
上に示されるデータを得るために、neo遺伝子の修復を、組換え事象についてのスコア付けするための便利な系として利用した。しかし、殆どの実験的適用において、修復組換えにより改変される配列は、抗生物質を用いて選択することができない。従って、記載した活性の絶対的な効率を決定することが望ましい。
これを行うために、同じモデル系を、図1Aに示すように用い、そして得られたクローンの数を2つの異なる選択プレートにおいて比較した。(図1Aに示すような)pGKneoおよびオリゴヌクレオチドのファージアニーリングタンパク質発現宿主細胞への同時エレクトロポレーションの後、(連続希釈として)等量の細胞を、アンピシリンのみを含むLBプレート上にプレートし、そして、並行して、アンピシリンおよびカナマイシンを含むLBプレート上にプレーとした。アンピシリンのみを含むLBプレートにおいて、pGKneoプラスミドと共にエレクトロポレーションされた任意の細胞は、コロニーを形成し得る。しかし、カナマイシンおよびアンピシリンを含むLBプレートにおいて、組換えが機能的neo遺伝子の修復を生じた細胞のみが生存し得る。
この実験の結果を表4に要約する。表4は、一本鎖オリゴヌクレオチドとインタクトな環状プラスミドとの間の組換えが、非常に効果的であることを示す。各々50ntの2つの相同性領域を含むssDNA分子を、図1のアッセイに記載したように、ファージアニーリングタンパク質を発現するJC5519においてpGKneoと共に同時エレクトロポレーションした。エレクトロポレーションおよび37℃でのインキュベーションの後、等量の細胞をアンピシリンを含むLBプレート、ならびにアンピシリンおよびカナマイシンを含むLBプレート上にプレートした。示したファージアニーリングタンパク質を用いて、示したLBプレートにおいて得られたコロニーの数を示す。全ての場合において、示したファージタンパク質を、JC5519において、対応する遺伝子を含むpBAD24ベースのプラスミドから、誘導性発現させた。示したタンパク質を誘導性発現するエレクトロコンピテント細胞を、上記のように(エレクトロポレーション、選択、および得られた組換え効率の標準化で既に述べたように)厳密に調製した。カナマイシン選択およびアンピシリン選択の両方について、50μg/mlの濃度を用いた。示したデータは、3つの独立した実験の平均値を表す。
アンピシリンのみを含むプレート上で得られたコロニーの量とアンピシリンおよびカナマイシンを含むプレートにおいて得られたコロニーの量の間の比から、どのファージアニーリングタンパク質が用いられるかに依存して、エレクトロポレーションした細胞の200個に約1個が、修復組換えを受けたことが結論付けられ得る。これは、エレクトロポレーションした細胞の総プールから、抗生物質選択に基づかないで、所望の組換え体を同定する選択方法を可能にするのに、実行可能な数である。このような代替的選択方法としては、選択的PCRベースのストラテジー、制限酵素分析、およびコロニーハイブリダイゼーションが挙げられる。
(実施例8:線状化プラスミドの再環化)
ファージアニーリングタンパク質の所望の組換え活性をまた、線状化プラスミドの再環化するために(図7に示すように、この実施例では、ssDNAオリゴヌクレオチドの相同性領域間に既に存在する配列を含むために)適用し得る。ここで、線状化プラスミドを、ssDNAオリゴヌクレオチドと共に、ファージアニーリングタンパク質を発現した宿主株へと同時エレクトロポレーションした。淘汰圧を、線状化プラスミドに存在する選択可能なマーカー遺伝子blaの発現についてのみ用いた。従って、組換え領域については淘汰圧を適用しなかった。組換えの後、ssDNAオリゴヌクレオチドの相同性領域の間に本来存在する配列を含んでいた、インタクトな環状プラスミドを得た。
この実験についての詳細な実験手順は以下のとおりである。NcoI線状化pGKneo(NcoIは、pGKneoのneo遺伝子中に固有の認識部位を有する、図1の実験プロトコルを参照のこと)を、製造業者(New England Biolabs)の指示書に従って、緑豆(mung bean)ヌクレアーゼ処理した。緑豆ヌクレアーゼ処理は、NcoIにより作製した5’オーバーハングを取り除き、そしてpGKneoのneo遺伝子から4個のヌクレオチドを欠失させる。これらの4つのヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに存在し、従って、修復組換えを通じて、機能的neo遺伝子を修復し得る。示したファージタンパク質を、JC5519において、それぞれの遺伝子を含むpBAD24ベースのプラスミドから誘導性発現させた。示したタンパク質を誘導性発現するエレクトロコンピテントな細胞を、上記のように(エレクトロポレーション、選択、および得られた組換え効率の標準化で既に述べたように)厳密に調製した。アンピシリン選択について、50μg/mlの濃度を用いた。
記載した活性が機能する正確な機構は、正確に知られていないが、ファージアニーリングタンパク質は、ssDNA分子および/またはdsDNA分子に有効に結合し得ることが知られている(RecT、NoirotおよびKolodner,J Biol Chem 273(1998),12274−12280およびその中の参考文献を参照のこと;Redβ、MuniyappaおよびRadding、J Biol Chem 261(1986),7472−7478;Karakousisら、J Mol Biol 276(1998),721−731;Liら、J Mol Biol 276(1998),733−744およびその中の参考文献を参照のこと)。さらに、ファージアニーリングタンパク質である、RecTは、それ自身と、ssDNAオリゴヌクレオチドと、インタクトな環状プラスミドとの間でインビトロで複合体を形成し得る。このような複合体は、接合分子(プラスミドおよびssDNAオリゴヌクレオチドからなる接合分子)の形成を導く。この分子はRecTの除去後に安定であることを見出した。しかし、安定な接合分子の形成は、ssDNAオリゴヌクレオチドとプラスミドとの間の共有した相同性領域に依存することを見出した(図8)。
この実験について、以下の手順を用いた。示したssDNAオリゴヌクレオチドを、製造業者(New England Biolabs)の指示書に従って末端標識した。RecTを、以前に記載されるように(Hallら、J Bacteriol 175(1993),277−287)、RecTを過剰発現する細菌株から均質になるまで精製した。RecTを、25mM NaCl、20mM TrisHCl(pH7.5)、100μg/ml BSA、0.5mM DTTからなる緩衝液(27μlの総量)中の3μgの標識ssDNAオリゴヌクレオチドと共に、示した濃度範囲で、25℃にて20分間インキュベートした。次いで、3μl(2μgに対応)のプラスミドを添加し、そしてインキュベーションを37℃にてさらに45分間続けた。サンプルを、0.5mg/mlの最終濃度までの濃度のプロテイナーゼK、0.1%の最終濃度までの濃度のSDS、および50mMの最終濃度までの濃度のEDTA(pH=8)の添加、ならびに37℃にて10分間のインキュベーションによって、除タンパクした。20μlのサンプルを、0.8%のアガロースゲルにロードし、次いで、75Vにて2時間電気泳動した。ニトロセルロースへのブロッティングおよび写真用フィルムへの露出の後に、シグナルを検出した。
このようなインビトロで作製した接合分子は、宿主細胞における直接組換えを媒介するのに有用であり得る。これは、ファージアニーリングタンパク質を発現する必要がない。また、インビトロで形成した接合分子の使用は任意の適用において記載した活性の有効性を増大する。また、ファージアニーリングタンパク質によりコートされるDNA分子(例えば、ssDNAオリゴヌクレオチド)は、「裸の」DNA分子と比較してより高い効率で組換わるべきである。
ファージアニーリングタンパク質の記載した活性を、種々の型および高次構造のいくつかの分子の操作に適用し得る。概要を表5に与える。
表5.列挙したファージアニーリングタンパク質による操作のために用い得る第1および第2のDNA分子の型の概要。組換え反応は、ファージアニーリングタンパク質により媒介される、第1の分子と第2の分子との間の組換えを構成する。いくつかの例が、先の図および表に与えたデータにおいて見出され得る。アニールしたDNAオリゴヌクレオチドおよびRNA分子の使用を含む他の例を、ここでのみ列挙する。
(実施例9:ES細胞における、相同組換えによる修復)
(プラスミド)
PKGプロモーターおよびneoからなるDNAフラグメントを、pcDNA3/hyg(−)(Invitrogen)のBst1107I部位に挿入して、pcDNA/PGK−neoを作製した。redβ遺伝子およびrecE/IRES/recTフラグメントを、pcDNA/PGK−neo中にCMVプロモーターの制御下で挿入して、pcDNA−redβ/PGK−neoおよびpcDNA−recET/PGK−neoを作製した(図9を参照のこと)。
(修復オリゴヌクレオチド)
50ヌクレオチド(nt)のオリゴヌクレオチドを、NcoI部位の領域中のneo遺伝子の配列に従って合成した。このオリゴヌクレオチドは、2つの22ntの相同領域からなり、各々が、正確なNcoI配列に隣接する(図9の下を参照のこと)。このオリゴヌクレオチドの配列は、以下の通りである:
Figure 0004355142
(マウスES細胞)
マウスES細胞を、4%のグルコース(Gibco&BRL)、15%のFCS(PAA)、100μm/mlのペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco&BRL)、100μMの非必須アミノ酸(Seromed)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco&BRL)、1μMのβ−メルカプトエタノール(Sigma)、2mMのL−グルタミン(Gibco&BRL)および500U/mlのLIF「ESGROTM」(Gibco&BRL)を含むDMEM(Gibco&BRL)中で培養した。
(プラスミドDNA)
発現プラスミド(図1)を、Qiagen Maxi−prepキットを使用して単離し、そしてAhd I(New England Biolabs)で消化して、線状DNAを作製した。沈殿後、DNAを0.5mg/mlでPBS(Gibco&BRL)中に再懸濁した。
(エレクトロポレーション)
10cmディッシュ上のES細胞を、コンフルエントになった後に、10mlのPBSで1回リンスした。1mlのトリプシン/EDTA(Gibco&BRL)溶液を、このディッシュに添加した。このディッシュをインキュベータ中で3〜5分間インキュベートした。10mlのES培養培地を、このディッシュに添加し、そしてES細胞を、上下にピペッティングすることによって単一の細胞に分離した。ES細胞を、1,000rpmで5分間スピンダウンした。上清を除去し、そして細胞ペレットを0.8mlのPBSに再懸濁した。20μgのプラスミドDNAまたは5μgのオリゴヌクレオチドを、ES細胞と混合し、そして4mmのエレクトロポレーションキュベット中に配置した。DNAとES細胞との混合物を、240Vでエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションした細胞を、ゼラチンコーティングしたディッシュに移し、そして10mlの培養培地を添加した(図10を参照のこと)。
(選択)
トランスフェクトした細胞の培地を、毎日交換し、そして選択抗生物質をトランスフェクションの48時間後に添加した。コロニーを、選択のほぼ10日後に観察した。使用した抗生物質の濃度は、以下であった:
G418−200μg/ml(Gibco&BRL)
ハイグロマイシンB−400μg/ml(Boehringer Mannheim)。
(実験手順)
1.ES細胞を培養し、そして発現プラスミド(pcDNA/PGK−neo、pcDNA−redβ/PGK−neoおよびpcDNA−recET/PGK−neo)でトランスフェクトした(従って、3つの別個のトランスフェクションを実行した)。
2.ハイグロマイシンBでの選択の10日後、12個のコロニーを各ディッシュから取り、そして24ウェルのプレート中に移した。
3.細胞を、24ウェルプレート中でコンフルエントになった後、6ウェルのプレートに移した。
4.細胞を、6ウェルプレート中でコンフルエントになった後、10cmディッシュに移した。
5.オリゴヌクレオチドでのトランスフェクションを、細胞が70〜80%のコンフルエントになった後に、実行した。
6.トランスフェクトした細胞を、G418およびハイグロマイシンによって選択した。
7.コロニーを計数した(図11)。
図11に示される結果から、このオリゴヌクレオチドが、pcDNA/PGK−neoでトランスフェクトされたコントロール細胞と比較して、培養され、そして発現プラスミドpcDNA−redβ/PGK−neoおよびpcDNA−recET/PGK−neoでトランスフェクトしたES細胞において、変異したneo遺伝子を首尾よく修復したことが見出され得る。
(実施例10:BAC中の選択した部位への、短いフラグメントの導入)
本発明の組換え方法はまた、細菌人工染色体(BAC)(これは、挿入物の長さに対する大きな収容能力に起因して、第一のクローニングベクターとなっている)に対しても実行され得る。
この実施例に使用されるBACは、マウスM22遺伝子を含み、そして150kbを超えるサイズである。ssオリゴヌクレオチド組換え工程の評価を容易にした基質を作製するために、M11 BACを、Tn5カナマイシン耐性遺伝子(neo)およびストレプトマイシン対抗選択遺伝子(rpsL)を所定の部位に含むカセットを配置するために、1回のET組換え(WO99/29837)に最初に供した。これを、pSC101/BAD/γβα発現ベクターを用いて、M11 BAC含有E.coliを形質転換することによって達成した。アラビノースを、細胞培養の間に添加して、ファージ組換えタンパク質γβαの発現を誘導し、その後、エレクトロコンピテント細胞の調製を行った。これらのエレクトロコンピテント細胞を2つの60ヌクレオチドのオリゴヌクレオチド(これは、その5’末端に、BAC中の選択された領域と同一な40ヌクレオチドの配列を含み、そして3’末端に、PCR反応のためのrpsL/neoテンプレートに対するプライマーとして働く20ヌクレオチドの配列を含む)を使用して作製された線状PCRフラグメントでエレクトロポレーションした。ETクローニングによるBACへのPCRフラグメントの組込みを、カナマイシン耐性についての選択によって同定した。
カナマイシン(15μg/ml)耐性であった5,000より多くのコロニーのうち、22個のコロニーを制限消化で分析し、全てが正確であった。rpsL遺伝子が機能的であることをチェックするために、これら22個をまた、ストレプトマイシンプレート(50μg/ml)上にストリークした。これらのクローンのうち20個は、ストレプトマイシンに感受性であり、そして4個を、次の工程のために取り上げた。
ssオリゴヌクレオチド組換えを使用して、短い配列(ここでは、XhoI制限部位または34bpのFRT(FLP組換え標的)のいずれか)をBACに挿入した。2つの一本鎖オリゴを使用して、rpsL−neoカセットを欠失した。両方のオリゴは、rpsL/neoカセットの挿入部位に直ぐ隣接するM11 BAC配列に対して25ヌクレオチド(nt)の相同性を有した。オリゴの中ほどにおいて、XhoI部位(オリゴヌクレオチド1)またはFRT(オリゴヌクレオチド2)を含めた。ETエレクトロコンピテント細胞の(前記のような)調製後、オリゴをエレクトロポレーションし、そしてssオリゴヌクレオチド組換えを、ストレプトマイシン(50μg/ml)上にプレートすることによって選択して、rpsL遺伝子の喪失について選択した。
このプレート上で増殖したコロニーを計数した(図12の下に示される)。22個のコロニーを取り上げ、そしてBAC DNAを制限消化によって分析した。両方の場合において、22個のうち20個が正確であった。
これらの実験は、ssオリゴヌクレオチド組換えが以下であることを示す:
a.BAC由来の領域(ここでは、rpsL/neoカセット)を欠失し得る;
b.特定の部位に新規の配列を導入するために使用され得る。ここで、この配列は、短かった。なぜなら、100nt長までの短い配列領域は、オリゴヌクレオチド合成の間に容易に含まれ得るからである。しかし、ssDNAがより長いDNA供給源から他の方法によって調製される場合、より長い配列が含まれ得る。
c.単純で強力かつ効率的である。
(pSC101/BAD/γβα発現系を使用するssオリゴヌクレオチド組換えによる、BACの改変のための実験手順)
従来の形質転換方法に記載されるように、pSC101/γβαA発現プラスミドを、マウスMLL BAC宿主細胞(HS996)中に形質転換する。温度を2℃に設定した冷却Eppendorf遠心分離を使用して、細胞を冷却する。実験前に、dHOを少なくとも3時間氷上で冷却するか、または冷蔵庫から冷却dHOを取り出して、それを氷上に置く。エレクトロポレーションキュベットもまた、氷上に置くべきである。
1.rpsL−neoカセットおよびpSC101/BAD/γβαと共にMll BACを含むシングルコロニーを、蓋に穴を有するEppendorfチューブ中に、テトラサイクリン(5μg/ml)、カナマイシン(15μg/ml)およびクロラムフェニコール(15μg/ml)を含むLB培地1.4ml中に接種する。加熱ブロックにおいて30℃で攪拌しながら、OD600が約0.15〜0.2になるまで、4〜5時間このチューブをインキュベートする。
または
蓋に穴を有するEppendorfチューブ中に、テトラサイクリン(5μg/ml)、カナマイシン(15μg/ml)およびクロラムフェニコール(15μg/ml)を含むLB培地1.4ml中に30μlの一晩培養物を添加する。加熱ブロックにおいて30℃で攪拌しながら、OD600が約0.2になるまで、約2時間このチューブをインキュベートする。
次いで
2.L−アラビノースを0.1%〜0.2%(最終)まで添加して、リコンビナーゼの発現を誘導する。
3.37℃の加熱ブロック中に移し、そしてOD600が約0.35〜0.4になるまで、45〜60分間37℃でインキュベートする。
4.室温にて、Eppendorf遠心分離において、最高速度を30秒間使用して、細胞をスピンダウンする。
5.上清を廃棄し、そしてチューブを氷上に置く。
6.細胞を、1.0mlの氷冷dHOまたは10%の氷冷グリセロール中に、氷上で再懸濁する。
7.最高速度を30秒間使用して、細胞をスピンダウンし、上清を廃棄する。
8.細胞を、1.0mlの氷冷dHOまたは10%の氷冷グリセロール中に、氷上で再び再懸濁する。
9.最高速度を30秒間使用して、細胞をスピンダウンする。
10.1mlのピペットを使用して上清を廃棄し、約20〜30μlの溶液を残す。
11.dHO中のオリゴヌクレオチド(50μM)1μlを添加し、そして氷冷エレクトロポレータキュベット(1mm)中に取り出す。
12.細胞を、Eppendorfエレクトロポレータを使用して1,350Vでエレクトロポレーションする。
13.1mlのLB培地を添加し、37℃で75分間インキュベートする。
14.細胞を、クロラムフェニコール(15μg/ml)およびストレプトマイシン(15μg/ml)または他の抗生物質を含むプレート上に移す。
15.このプレートを、37℃で一晩インキュベートする。ETプラスミド(pSC101/BAD/γβα)は、37℃で失われる。
(実施例10の結論)
BACは、しばしば、改変のためには、最も厳しいテンプレートであることが示されてきた。本発明の組換え技術が、BACに対して機能し得ることを実証することによって、E.coli中のすべての他のテンプレート(E.coli染色体、PAC、および他の低コピーテンプレートを含む)ならびに培地および高コピープラスミドがまた、ssオリゴヌクレオチド組換えによって改変され得る。
(実施例11:ET組換えを介した一本鎖オリゴヌクレオチドによる、マウスMll BAC中の短いフラグメントの高スループットの配列欠失および導入)
この実施例は、さらに、本発明の組換え技術がBACと共に機能する能力を実証する。
BACを、実施例10のように、第1回のET組換えによって改変した。しかし、この場合、BACはすでにTn5カナマイシン耐性遺伝子(neo)(これは、以前の回のET組換え(示さず)において導入された)を含んだ。neo遺伝子自体は、ET組換え後のゼオシン(zeocin)耐性獲得についての選択によるlacZ/Zeoカセットの導入によって破壊した。この実験においては、実施例10で使用したpSC101プラスミドではなく、ColE1起源のプラスミドpBAD αβγを使用した。
lacZ/zeoカセットは、約3.45kb長であり、そして3’末端でゼオシン耐性遺伝子(zeo)に融合したlacZ遺伝子からなる。ET組換えによる改変M11 BACへのneo遺伝子の組込み後、ゼオシン耐性(10μg/ml)についてアッセイするための1アリコートのプレーティングは、10より多いコロニーが、正確な組換え体であることを示した。次いで、50個のコロニーを、カナマイシンプレート上にストリークして、カナマイシン耐性の喪失を評価したところ、これらのうち全てがカナマイシンに感受性であり、これは、正確な組換えを示す。22個のコロニーを、制限消化によってさらに分析したところ、全てが正確であった。4個の正確なクローンを、次の工程に使用した。
neo遺伝子の破壊点の各側に同一な配列の長さが異なる、5個のssオリゴヌクレオチドのセットを合成した。これらのオリゴヌクレオチドは、6ヌクレオチドのNcoI制限部位のいずれかの側の相同性アーム(ha)において同一な、20、35、50、65または80ヌクレオチドのいずれかの配列を有した。各オリゴヌクレオチドは、ssオリゴヌクレオチド組換えによってBAC中に正確に組み換えられる場合、NcoI部位でneo遺伝子を再構成し、lacZ/zeoカセットを欠失する。従って、正確な組換えは、カナマイシン耐性の獲得によってスコアリングされ得る。ETエレクトロコンピテント細胞の調製(以下の実験手順を参照のこと)およびオリゴヌクレオチドのエレクトロポレーション後、細胞を希釈し、そしてカナマイシン(15μg/ml)およびクロラムフェニコール(15μg/ml)のプレート上、またはクロラムフェニコール(15μg/ml)のみのプレート上にプレートし、そしてコロニーの数をスコアリングした。結果を、図13の下に示す。22個のカナマイシン耐性コロニーを、NcoI制限消化によって分析したところ、全てが正確であった。
(pBAD/γβα発現系を使用してオリゴヌクレオチドを用いるBACの改変のための実験手順)
従来の形質転換方法に記載されるように、pBAD/βγα発現プラスミドを、マウスM11 BAC宿主細胞(HS996)中に形質転換する。−5℃の温度に設定した冷却遠心分離を使用して、E.coli細胞を冷却する。実験前に、dHOを少なくとも3時間氷上で冷却するか、または冷蔵庫から冷却dHOを取り出して、それを氷上に置く。エレクトロポレーションキュベットもまた、氷上に置くべきである。
1.neo−lacZ−neoカセットおよびpBAD−γβαと共にMll BACを含むシングルコロニーを、蓋に穴を有するEppendorfチューブ中の、アンピシリン(100μg/ml)、ゼオシン(10μg/ml)およびクロラムフェニコール(15μg/ml)を含むLB培地1.4ml中に接種する。
2.このチューブを、加熱ブロックにおいて、37℃で攪拌しながら一晩インキュベートする。
3.200mlのフラスコ中の、アンピシリン(100μg/ml)、ゼオシン(10μg/ml)およびクロラムフェニコール(15μg/ml)を含むLB培地30ml中に0.3ml一晩培養物を添加する。
4.このフラスコを、37℃で攪拌しながら、OD600が約0.2になるまで、約2時間インキュベートする。
5.L−アラビノースを0.1%〜0.2%(最終)まで添加して、リコンビナーゼの発現を誘導する。
6.OD600が約0.35〜0.4になるまで、45〜60分間37℃でインキュベートする。
7.培養物を遠心分離チューブに移し、細胞を−5℃にて7,000rpmで6分間スピンダウンする。
8.上清を廃棄し、そしてチューブを氷上に置く。
9.細胞を、30mlの氷冷dHOまたは10%の氷冷グリセロール中に、氷上で再懸濁する。
10.細胞を、−5℃にて7,000rpmで6分間スピンダウンし、上清を廃棄する。
11.細胞を、30mlの氷冷dHOまたは10%の氷冷グリセロール中に、氷上で再び再懸濁する。
12.細胞を、−5℃にて7,000rpmで6分間スピンダウンする。
13.上清を廃棄し、そしてティッシュを使用してチューブをすぐにきれいにし、約20〜30μlの溶液を残す。
14.コンピテント細胞をEppendorfチューブに移し、そしてdHO中のオリゴヌクレオチド(50μM)1μlを添加する。
15.この混合物を氷冷エレクトロポレータキュベット(1mm)に取り出し、そしてEppendorfエレクトロポレータを使用して、1,350Vで細胞をエレクトロポレーションする。
16.1mlのLB培地を添加し、そして37℃で75分間インキュベートする。
17.クロラムフェニコール(15μg/ml)およびカナマイシン(15μg/ml)を含むプレート上に、細胞を移す。
18.このプレートを37℃で一晩インキュベートする。
(実施例11に対する結論)
実施例10と同じ結論を確立することに加えて、異なるストラテジーおよび異なる発現プラスミドを使用することによって、この実験は、ssオリゴヌクレオチド組換えの絶対的な効率を測定する。相同性アーム中の50ヌクレオチド長の見かけ上最適の長さで、総コロニー数の3%が、正確に組換えられた。この顕著な有効性を考慮すると、抗生物質耐性についての選択が必要なく、そして単純な物理的方法論(例えば、制限分析、PCR、コロニーPCRまたはコロニーハイブリダイゼーション)を使用して、正確な組換え体を同定し得ることが明らかである。
(考察)
本発明者らは、共有された相同配列を介した修復組換えによって、単一のファージアニーリングタンパク質が2つの分子の組換えを媒介する、新規の組換え活性を本明細書中に記載する。この活性を使用して、いくつかの操作ストラテジー(例えば、欠失(図1A)、挿入(ヌクレオチドおよび短い操作配列(例えば、タンパク質タグ(図1B))から、数キロ塩基対までの)、または配列の置換)は、一定範囲の分子に適切である。この活性のいくつかの重要な特徴を、以下に要約する。これらの特徴の多くは、本明細書に記載される活性を、ET組換え(上記を参照のこと)(これはまた、ファージアニーリングタンパク質の発現を必要とする)から識別する。適切な場合、これらの差異は、強調される。
・記載された活性は、一定範囲の分子中の1個または多数のヌクレオチドの、欠失、挿入および置換を可能にする。
・相同性領域の配列の設計により、記載された活性は、所望の任意の改変可能な部分での分子のDNA操作に適用され得る。
・記載された活性は、外因性(例えば、プラスミド)DNAおよび内因性(染色体)DNAの改変に適切である。
・記載された活性は、ファージアニーリングタンパク質の発現を必要とする。しかし、オルソロガスなエキソヌクレアーゼパートナーの発現は、必要ではない。このことは、アニーリングタンパク質の発現およびそのオルソロガスなエキソヌクレアーゼパートナーの発現が厳密に必要なET組換えとは対照的である(Muyrersら、Genes Dev 14(2000)、1971−1982)。さらに、E.coliにおける他の組換え経路が、記載される活性を媒介できないことが見出された。
・必要な共有された必要とされる相同性の長さは、非常に短い(ET組換え(Zhangら、Nature Genet 20(1998)、123−128;Muyrersら、Genes Dev 14(2000)、1971−1982)よりも短い)。
・これまでに試験した長さまでは、組換え効率は、共有された相同性領域の長さの増加と伴に増加し続ける。
・インビトロで、ファージアニーリングタンパク質は、分子をコーティングし得、そして相同性領域共有分子間で分子の連結を形成し得る。
・記載される活性において、相同性領域における点変異は、組換え体に導入されない(図4)。
・記載される活性が機能する機構において、第二の分子(表5)単独では、複製のためのプライマーとしても岡崎フラグメントとしてもおそらく機能しない。なぜなら、ジデオキシ残基を含む第二の分子は、記載される活性について使用され得(図5)、そしてプラスミドおよび染色体の操作は、リーディング鎖およびラギング鎖の両方由来の一本鎖分子を使用して行われ得るからである(表3、図6)。
・RecBCDの発現は、記載される活性を阻害しないが、一方で、ET組換えを阻害する(Zhangら、Nature Genet 20(1998)、123−128)。
・Erfのみ、またはArf、Erf、Abc1およびAbc2の任意の組み合わせを構成するP22組換え系は、記載される活性について熟練しているが、ET組換えについては熟練していない(おそらく、Erfに対するオルソロガスなエキソヌクレアーゼパートナーの非存在に起因する)。
・記載される活性において、オリゴヌクレオチドから環状プラスミド中に組換える必要のあるヌクレオチドの量の増加は、組換え効率における減少と相関する。このような影響は、ET組換えについては、観察されない。
・RNA分子が、記載される活性において使用され得る。
記載される活性は、DNA操作のための広く適用可能なストラテジーを可能にする。記載される活性の高い効率を考慮して、抗生物質選択のいくつかの形態に基づかない、エレクトロポレーションした細胞の全プールから正確な組換え体を同定するための選択方法が、適切である。このような選択方法としては、例えば、選択的PCR法、制限酵素分析およびコロニーハイブリダイゼーションが挙げられる。さらに、標的分子の安定性は、ファージアニーリングタンパク質に加えて、オルソロガスなエキソヌクレアーゼパートナータンパク質の存在を必要とする機能的相同組換え経路の存在によっては、危険にさらされない。記載される活性を使用するDNA操作の効率は、組換えストラテジーにおいて、コーティングされた分子または連結された分子を使用することによって、さらに増大され得る(図8を参照のこと)。
記載される活性はまた、内因性または外因性の供給源由来のファージアニーリングタンパク質を発現し得る他の種または細胞における遺伝子操作についても、有用であり得る。あるいは、インビトロで予め作製された連結またはコーティングされた分子(この方法は、図8に記載され、そして任意の第一および/または第二のDNA分子ならびに表5に列挙される任意のアニーリングタンパク質を使用して、任意の型の連結またはコーティングされた分子に適用され得る)は、いずれのファージアニーリングタンパク質を発現することも必要としないが、なお記載される活性を可能にする、任意の種または細胞における、修復および相同組換えのために使用され得る。
実施例9に詳述される、RecTおよびRedβが、この染色体遺伝子座に対する非常に短い相同性領域のみを共有するDNA分子(ここでは、オリゴヌクレオチド)を使用して、ES細胞の染色体上に存在する遺伝子座の標的化された改変を可能にする、という知見は、非常に重要なものである。
第一に、RedβおよびRecT(ならびに、おそらくRecTおよびRecE)が、真核生物細胞(例えば、ES細胞)において機能的であることが実証される。従って、おそらく、これらのタンパク質およびそれらの機能的ホモログは、他の真核生物の細胞および生物体においても同様に機能する。
第二に、このことは、真核生物の細胞および生物体のDNA操作における新たな可能性への扉を開ける。これまで、例えば、植物細胞株、ハエ細胞株など、および哺乳動物の体細胞株のほとんどは、(存在するとしても)非常に低い相同組換え効率を有する。従って、今日、このような細胞における特定の遺伝子座を標的化することは、非常に困難である;ほとんどの真核生物の生物体の標的化された改変についても同じことがいえる。このことは、ファージアニーリングタンパク質(またはこれらの機能的ホモログ)を使用することによって単純化されて、非常に短い相同性領域を有する標的化分子(例えば、オリゴヌクレオチド、しかし、他の核酸分子が使用され得る)を使用して、選択された遺伝子座を大きく改変し得る。改変された遺伝子座は、内因的(染色体上)または外因的に存在し得る。
第三に、これまで、ほとんどの相同組換えに熟練した真核生物細胞(しかし、酵母においてではない)において、専用の標的化構築物中に構築される必要のある長い相同性領域長を有する標的化分子を必要とした。この方法を使用して、本発明者らは、ここに、標的化構築物が構築される必要がないが;その代わり、合成オリゴヌクレオチドが購入され、そして直接使用されることを記載する。また、全体的な標的化改変効率は、この知見の適用により、有意に増大され得る。
第四に、この知見は、選択マーカーを適用しない、高等真核生物におけるDNA改変へのアクセスを開く。実施例9に示される実験から、分析したコロニーの一部において、標的化改変が生じていたことが明らかである(この改変は、選択マーカーの修復により検出されたが、これは、改変がすでに生じた後にのみ行われることに注意すること)。
第五に、RecTおよびRedβが、ES細胞において機能的であるという知見は、連結およびコーティングされた分子が、同様に機能的であることを確認する。従って、RecTまたはRedβのインビトロでの予備インキュベーションによって、真核生物細胞および動物における標的化改変の効率は、おそらく増大される。連結およびコーティングされた分子を使用することによって、おそらく標的化改変もまた、相同組換えについての低い(かまたはない)固有の能力を有する生物または生物体において適切である。
第六に、ET組換え(共有に係る特許出願のWO9929837およびWO0104288に記載される)は、潜在的に、高等真核生物においても同様に直接適用され得る。ET組換えは、両方の成分(RecEおよびRecT、またはRedαおよびRedβ;Muyrersら、Genes Dev 14、1971−1982(2000)を参照のこと)に厳密に依存するが、少なくともRecTおよびRedβが機能的であるという知見は、有望であり、そしてET組換えが、高等真核生物において直接開発され得ることを暗示する。
従って、この知見および暗示(例えば、コーティングされた分子、連結された分子、または真核生物のET組換えの使用)は、相同組換えにおいてすでに適切である真核生物の細胞および生物体の標的化改変効率を単純化および増大させるために使用され得、そして相同組換えにおいて適切でない真核生物の細胞および生物体における標的化改変が可能であり得る。従って、RecTまたはRedβ(あるいは任意のそれらの機能的ホモログ;必要な場合、他の成分(例えば、RecE、またはRedα、RecA、それらの機能的ホモログなど)がまた含まれ得る)は、インビボおよび/またはインビトロで提供され得る(連結およびコーティングされた分子)。
全てにおいて、この知見の重要性は、高等真核生物細胞におけるCre(細菌タンパク質)の使用に対する影響において、潜在的に類似し、そして真核生物におけるDNA操作についての新規の理論へのアクセスを開く。
(表)
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図1Aは、インタクトな環状プラスミドと単鎖DNAオリゴヌクレオチドとの間の組換えを調節するファージアニーリングタンパク質を示す。(A)オリゴヌクレオチドとプラスミドpGKneoとの間の修復組換えは、pGKneoを作製するための機能的neo遺伝子の回復を生じ、これは、カナマイシンを含むLBプレート上で増殖させることによって選択され得る。blaは、アンピシリン耐性遺伝子を示す。 図1Bは、インタクトな環状プラスミドと単鎖DNAオリゴヌクレオチドとの間の組換えを調節するファージアニーリングタンパク質を示す。(B)修復組換えは、インタクトな環状プラスミドへの配列の付加を生じる。(A)と同じように、pGKneoΔ(これは、欠損neo遺伝子を含むpGKneoから生じた)とオリゴヌクレオチドとの間の組換えは、機能的なneo遺伝子の修復を生じて、pGKneoを作製する。また一方、このファージアニーリング促進組換え事象は、カナマイシンを含有するLBプレート上で増殖させることによって選択され得る。 図2Aは、組換えプロセスの図解である。異なる長さの相同領域を有するssDNAオリゴヌクレオチドは、宿主系中にpGkneoと共に同時エレクロトポレートされ、ファージアニーリングタンパク質を発現する。 図2Bは、JC5519において試験した、RecT(T)、Redβ(β)または外因性タンパク質なし(C)によって調節される組換えを示す。X軸上において、ssDNAオリゴヌクレオチド上に存在する相同領域のnt長さが提供される(右および左の相同領域は同じ長さである)。Y軸は、正規化した組換え効率を示す。 図3Aは、オリゴヌクレオチドから環状プラスミド中に組換える必要のあるヌクレオチドの増加量は、組換え効率の減少に関係することを示す。(A)組換えアッセイにおいて使用されるオリゴヌクレオチドおよびプラスミドの図解である。 図3Bは、オリゴヌクレオチドから環状プラスミド中に組換える必要のあるヌクレオチドの増加量は、組換え効率の減少に関係することを示す。(B)(A)に記載されるオリゴヌクレオチドおよびプラスミドならびに組換え反応を調節するために、RecTまたはRedβのいずれかを用いて達成した、正規化した組換え効率。 図4は、ssDNAオリゴヌクレオチド上の相同領域のいずれかに存在する点変異は、環状プラスミド中に組換えられず、そして組換え効率を遮断しないことを示す。(A)組換えアッセイにおいて使用されるオリゴヌクレオチドおよびプラスミドの図解である。(B)(A)に記載されるオリゴヌクレオチド、pGKneoおよびRecTまたはRedβのいずれかを用いて達成した、正規化した組換え効率。RecTまたはRedβは、示されるように組換え反応を調節する。 図5は、末端ジデオキシ残基を含むssDNAオリゴヌクレオチドは、首尾よい組換えであることを示す。(A)組換えアッセイにおいて使用されるオリゴヌクレオチドおよびプラスミドの図解である。(B)(A)に記載されるオリゴヌクレオチド、pGKneoおよびRecTまたはRedβのいずれかを用いて達成した、正規化した組換え効率。RecTまたはRedβは、示されるように組換え反応を調節する。 図6Aは、ファージアニーリングタンパク質調節組換えは、染色体操作のために使用され得ることを示す。(A)使用したオリゴヌクレオチドおよび細菌系の概要。ssDNAオリゴヌクレオチドの両方の配向性は、JC5519neo(その染色体上に欠損neo遺伝子を含むJC5519)またはJC5519neoΔ(その染色体上に欠損neoΔ遺伝子を含むJC5519)の染色体上に存在する欠陥のあるneo遺伝子を修復するために使用される。オリゴヌクレオチドは、JC5519neoまたはJC5519neoΔのいずれかにエレクトロポレートされることが示された。これらの系はまた、ファージアニーリングタンパク質を発現した。 図6Bは、ファージアニーリングタンパク質調節組換えは、染色体の操作のために使用され得ることを示す。(B)(A)に示されるオリゴヌクレオチドおよびJC5519neoまたはJC5519neoΔ(RecTまたはRedβのいずれかを発現する)を用いて達成される正規化した組換え効率。RecTまたはRedβは、示されるように組換え反応を調節する。cmrは、クロラムフェニコール耐性遺伝子を示す。 図7Aは、線状dsDNAプラスミドとssDNAオリゴヌクレオチドとの間の組換えを調節するファージタンパク質を示す。(A)組換えアッセイにおいて使用されるオリゴヌクレオチドおよびプラスミドの図解である。示されるオリゴヌクレオチドは、NcoIで線状化した緑豆ヌクレアーゼ処理したpGKneoプラスミド(neo遺伝子から4つのヌクレオチドを除去するために;実験プロトコルを参照のこと)と共に、ファージアニーリングタンパク質を発現するJC5519遺伝子中に同時エレクトロポレートした。選択プレッシャは、線状化したプラスミド上に存在するbla遺伝子の発現にのみ影響を与えた。組換え後、ssDNAオリゴヌクレオチドの相同領域間にもともと存在する配列を含むインタクトな環状プラスミドが得られた。従って、これらの組換えられたプラスミドは、機能的なneo遺伝子を含んだ(このプラスミドを保有する細胞は、カナマイシンを含有するLBプレート上で増殖可能であった;データは示さず)。 図7Bは、線状dsDNAプラスミドとssDNAオリゴヌクレオチドとの間の組換えを調節するファージタンパク質を示す。(B)NcoIでの線状化した緑豆ヌクレアーゼ処理したpGKneo(組換えなしでの再環状化のためのコントロール)単独、またはNcoIで線状化した緑豆ヌクレアーゼ処理したpGkneoおよび(A)に示されるオリゴヌクレオチドを用いて、JC5519(RecTまたはRedβのいずれかを発現する)において達成された、正規化した組換え効率。RecTまたはRedβは、示されるように組換え反応を調節する。 図8は、RecTが、ssDNAオリゴヌクレオチドとプラスミドとの間の安定な、相同領域に依存する連結分子(配列相同性を共有する)を形成し得ることを示す。精製されたRecTは、第1に、示されたssDNAオリゴヌクレオチド(これは、検出目的のために32P末端標識された)と共にインビトロでインキュベートされた。この工程において、このssDNAオリゴヌクレオチドは、RecTによってコートされる。次いで、pGKneo(これは、オリゴヌクレオチドで2つの相同領域を共有する)またはpBluescript(これは、オリゴヌクレオチドで相同領域を共有しない)のいずれかが添加され、さらなるインキュベーションに供された。この混合物は、続いて徐タンパク質(deproteinise)され、アガロースゲル電気泳動および放射活性シグナルの検出に供された。2つのDNA分子が相同領域を(pGKneoおよびそのパートナーのssDNAオリゴヌクレオチド)を共有する場合のみ、安定な連結DNA分子(pGKneoおよびそのパートナーのssDNAオリゴヌクレオチドからなる)が、形成された(矢印により示される)。連結分子は、必要に応じて、約0.2μg/μlの濃度のRecTで形成された。徐タンパク質化(deproteinisation)が実行されない場合、RecTおよび2つの関連する分子は、共に分子量の大きな複合体となることが見い出された(データは示さず)。 図9は、pcDNA/PGK−neo、pcDNA−redβ/PGK−neoおよびpcDNA−recET/PGK−neoの図解である。 図10は、マウスES細胞において実行した実験(実施例9)の図解であるを示す。 図11は、実施例9に詳述される実験の結果である。 図12は、実施例10に詳述される実験の図解および結果である。 図13は、実施例11に詳述される実験の図解および結果である。
配列表
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Claims (50)

  1. 核酸分子の配列を改変するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)第1の核酸分子を、ファージアニーリングタンパク質の存在下で第2の核酸分子に、該第1の核酸分子と該第2の核酸分子との間で修復組換えが生じるに適切な条件下で接触させる工程であって、該第1の核酸分子は、該第2の核酸分子と共有された配列相同性の少なくとも2つの領域を含む、工程;ならびに
    b)該第2の核酸分子由来の配列を含むように配列が改変された核酸分子を選択する工程、
    を包含し、
    RecEタンパク質もRedαタンパク質も、原核生物細胞において行われるいずれの配列改変反応の間にも存在しないことを条件とする、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記ファージアニーリングタンパク質が、宿主種内に含まれるか、または宿主種によりコードされる、方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、前記宿主種が、ウイルス、寄生生物、原核生物または真核生物細胞である、方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、前記宿主種が、グラム陰性細菌細胞である、方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記細菌細胞が、Escherichia coli細胞である、方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、前記Escherichia coli細胞が、JC5519株、JC8679株、またはJC9604株のようなEscherichia coli K12株の細胞である、方法。
  7. 請求項3に記載の方法であって、前記宿主種が、Klebsiella、Bacillus、Neisseria、真菌、およびS.cerevisiaeからなる群より選択される、方法。
  8. 請求項3に記載の方法であって、前記宿主種がES細胞である、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記宿主がマウスES細胞である、方法。
  10. 請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法であって、前記宿主種が、ファージアニーリングタンパク質をコードする遺伝子を発現し得る少なくとも1つのベクターで形質転換される、方法。
  11. 請求項10に記載の方法であって、前記ファージアニーリングタンパク質をコードする遺伝子の発現が、調節可能なプロモーターの制御下にある、方法。
  12. 請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法であって、前記ファージアニーリングタンパク質が、前記宿主種に導入されたメッセンジャーRNA分子から発現される、方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、前記ファージアニーリングタンパク質が、RecT(racプロファージ)、Redβ(ファージλ)、およびErf(p22)からなる群より選択される、方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、前記ファージアニーリングタンパク質が、RecTであり、該ファージアニーリングタンパク質は、配列番号1に示される配列を有する、方法。
  15. 請求項13に記載の方法であって、前記ファージアニーリングタンパク質が、Redβであり、該ファージアニーリングタンパク質は、配列番号2に示される配列を有する、方法。
  16. 請求項13に記載の方法であって、前記ファージアニーリングタンパク質が、Erfであり、該ファージアニーリングタンパク質は、Genbank ID X05268(V01152)に示される配列を有する、方法。
  17. 請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記相同性の領域のうちの一方または両方が、前記第1の核酸分子の内部に位置する、方法。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の核酸分子が直鎖状である、方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、前記第1の核酸分子は、一本鎖DNA分子、一本鎖RNA分子、RNA分子、二本鎖DNA分子、5’オーバーハングを有する二本鎖DNA分子、および3’オーバーハングを有する二本鎖DNA分子からなる群より選択される、方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、前記第1の核酸分子が、一本鎖核酸分子である、方法。
  21. 請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1のDNA分子が、増幅反応により得られる、方法。
  22. 請求項1〜21のうちのいずれか1項に記載の方法であって、核酸分子の異種性集団が、前記第1の核酸分子として使用される、方法。
  23. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法であって、前記第2の核酸分子が、環状である、方法。
  24. 請求項23に記載の方法であって、前記第2の核酸分子が、宿主細胞において作動する複製起点を含む染色体外核酸分子である、方法。
  25. 請求項23または請求項24に記載の方法であって、前記第2の核酸分子が、プラスミド、コスミド、P1ベクター、BACベクターおよびPACベクターからなる群より選択される、方法。
  26. 請求項23〜25のいずれか1項に記載の方法であって、前記第2の核酸分子が宿主細胞染色体である、方法。
  27. 請求項26に記載の方法であって、前記宿主細胞染色体が、C.elegans染色体、Arabidopsis染色体、またはDrosophila染色体である、方法。
  28. 請求項23に記載の方法であって、前記第2の核酸分子が、二本鎖RNAである、方法。
  29. 請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の核酸分子と前記第2の核酸分子との間で共有される配列相同性の領域が、各々少なくとも9ヌクレオチドである、方法。
  30. 請求項2〜29のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1および/または前記第2の核酸分子が、形質転換により前記宿主種に導入される、方法。
  31. 請求項30に記載の方法であって、前記形質転換法がエレクトロポレーションである、方法。
  32. 請求項2〜31のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1および前記第2の核酸分子が、同時形質転換により前記宿主種に導入される、方法。
  33. 請求項2〜32のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の核酸分子が、前記第2の核酸分子が既に存在する宿主細胞に導入される、方法。
  34. 請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法であって、前記組換え事象がインビトロで生じる、方法。
  35. 請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法であって、前記組換え事象がインビボで生じる、方法。
  36. 請求項1〜35のうちのいずれか1項に記載の方法であって、recBCDが不活化されておらず、従って、前記組換え事象が、recBCD+バックグラウンドにおいて生じる、方法。
  37. 請求項1〜36のうちのいずれか1項に記載の方法であって、RecAが発現しない宿主細胞において実施される、方法。
  38. 多キロ塩基対の長さの核酸分子の欠失、挿入、または置換のための、請求項1〜37のうちのいずれか1項に記載の方法。
  39. ファージアニーリングタンパク質をコードする遺伝子を発現し得る細胞の、修復組換えを含むクローニング法のための宿主としての使用であって、
    該細胞が原核生物である場合に該細胞がRecEもRedαも含まないことを条件とする、使用。
  40. ファージアニーリングタンパク質をコードする遺伝子を発現し得るベクターの、修復組換えを含むクローニング法のための宿主種における使用であって、
    該宿主種が原核生物である場合に該宿主種がRecEもRedαも含まないことを条件とする、使用。
  41. 核酸分子の配列を改変するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)第1の核酸分子を、第2の核酸分子の存在下で、ファージアニーリングタンパク質に曝して、結合分子を生成する工程であって、該第1および該第2の核酸分子は、配列相同性の少なくとも2つの領域を共有する、工程;
    b)該結合分子を、該第1の核酸分子と該第2の核酸分子との間に組換え修復が生じるに適切な条件下でインキュベートする工程;ならびに
    c)該第2の核酸分子由来の配列を含むように配列が改変された核酸分子を選択する工程、
    を包含し、
    RecEタンパク質もRedαタンパク質も、原核生物細胞において行われる配列改変反応の過程の間に存在しないことを条件とする、方法。
  42. 核酸分子の配列を改変するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)第1の核酸分子を、ファージアニーリングタンパク質に曝して、コートされた核酸分子を生成する工程;
    b)該コートされた分子を、第2の核酸分子に、該第1の核酸分子と該第2の核酸分子との間に修復組換えが生じるに適切な条件下で接触させる工程であって、該第1および該第2の核酸分子は、配列相同性の少なくとも2つの領域を共有する、工程;ならびに
    c)該第2の核酸分子由来の配列を含むように配列が改変された核酸分子を選択する工程、
    を包含し、
    RecEタンパク質もRedαタンパク質も、原核生物細胞において行われる配列改変反応の過程の間に存在しないことを条件とする、方法。
  43. 酵母、古細菌、C.elegans、Drosophila、X.laevis、ウイルス、および寄生生物から選択される宿主において外因性核酸分子および内因性核酸分子を操作するための、請求項42に記載の方法。
  44. 核酸をクローニングするための方法であって、
    請求項1〜38または請求項41〜43のいずれか1項に記載の核酸分子の配列を改変する方法を利用する、
    方法。
  45. 核酸分子の配列を操作するための方法であって、
    請求項1〜38または請求項41〜43のいずれか1項に記載の方法の工程
    を包含する、方法。
  46. 改変されたタンパク質リーディングフレームの作製のための、請求項1〜45のうちのいずれか1項に記載の方法または使用。
  47. 核酸分子の混合物から所望の核酸分子を選択する方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)該所望の核酸分子の配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド分子を、コートされた分子または結合分子複合体の形成に適切な条件下で、ファージアニーリングタンパク質に曝す工程;
    b)該コートされた分子または結合分子の複合体を、該核酸分子の混合物とともにインキュベートする工程;ならびに
    c)ファージアニーリングタンパク質に結合された核酸分子を選択する工程、
    を包含し、
    RecEタンパク質もRedαタンパク質も、原核生物細胞において行われるいずれの配列改変反応の間にも存在しないことを条件とする、方法。
  48. 請求項47に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドがタグを含む、方法。
  49. 請求項47または請求項48に記載の方法であって、前記工程c)において選択された核酸分子は、タグ化されたオリゴヌクレオチドを単離するためにアフィニティー分離方法を使用して選択される、方法。
  50. アンチセンス戦略のための、請求項42に記載のコートされた核酸分子の使用。
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