JP4355042B2 - 製品検査装置と製品の検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の利用分野】
この発明は、電池からの電解液のリークの有無の検査や、回収したビール瓶等の内部の汚れの検査、レトルト食品や有機溶媒等を封入した容器からの漏れだしの検査等に関する。
【0002】
【従来技術】
出願人らは、リチウム電池やリチウムイオン電池等からの電解液のリークの有無を、ガスセンサで検査することを提案した(特開平9−259898号)。発明者はその後、リチウム電池等の製品を多数連続して、迅速かつ高感度で確実に検査する技術を検討し、この発明に到った。
【0003】
【発明の課題】
この発明の課題は、多数の製品を連続して、1個ずつ迅速かつ高感度で確実に検査することにある。
この発明の副次的課題は、製品の出し入れに伴うガスセンサへのノイズを防止すること(請求項2,4)にある。
【0004】
【発明の構成】
この発明は、ガスセンサを検査対象の製品に近接させてガスを検出するようにした製品検査装置において、前記製品の少なくとも一部を収容するための空洞と、該空洞に連通したセンサ収容部とを検出ヘッドに設けて、該センサ収容部にガスセンサを収容するとともに、該センサ収容部にパージガスを供給するためのパージガス供給部と、前記空洞から製品を取り出す際に、前記センサ収容部に熱を供給するための加熱手段、を設けたことを特徴とする。ここにガスセンサには、金属酸化物半導体ガスセンサや水晶振動子ガスセンサ等の任意のガスセンサを用い得る。
【0005】
好ましくは、前記空洞の入り口側に、該空洞に連通し、かつ空洞側で小径で検出ヘッドの表面側で大径のテーパー部もしくは凸曲面を設ける。特に好ましくは、テーパー部や凸曲面の他に、空洞の奥部にパッキンを設ける。
また好ましくは、空洞への製品の出し入れに伴う気流を逃がすための流路を前記空洞に設ける。この流路は、たとえば空洞から検出ヘッドの外部へ連通した孔や、空洞の壁面等に沿って凹凸を設けて製品が入り込まないようにしたスペースで構成する。
この発明はまた、検査対象の製品の少なくとも一部を、検出ヘッドに設けた空洞へ挿入し、前記空洞に連通したセンサ収容部内のガスセンサで製品からのガスを検査し、かつ製品を前記空洞から取り出すとともにセンサ収容部をパージし、かつ前記センサ収容部に熱を供給する、ことを繰り返すようにした、製品の検査方法にある。
【0006】
好ましくは、前記空洞と前記ガスセンサとの間で、センサ収容部内の位置にヒータを設ける。また好ましくは、検出ヘッドを金属あるいは無臭の硬質樹脂で構成し、空洞やセンサ収容部等の表面に、合成樹脂やガラス等の、ガス非吸着性で電気絶縁性の被覆を施す。これは、製品等から持ち込まれたガスが残留してセンサ出力が回復するのが遅れることを防止し、かつ電池等の検査時に電極間のショートを防止するためである。
好ましくは、空洞への製品の挿入時に、前記センサ収容部に熱を供給するための手段を設ける。この手段は例えば前記のヒータを兼用して、製品の空洞への挿入時に発熱させて、気流によりガスセンサの熱バランスが崩れるのを防止する。また例えば、前記のパージガスを製品の挿入時に加温した状態で供給してもよい。
【0007】
この発明はまた、検査対象の製品の少なくとも一部を、検出ヘッドに設けた空洞へ挿入し、前記空洞に連通したセンサ収容部内のガスセンサで製品からのガスを検査し、かつ製品を前記空洞から取り出すとともにセンサ収容部をパージする、ことを繰り返すようにした、製品の検査方法にある。
【0008】
好ましくは、検出ヘッドの表面側で大径で、空洞側で小径のテーパー部もしくは凸曲面を、前記空洞に連通して検出ヘッドに設け、該テーパー部もしくは凸曲面でガイドしながら製品を空洞内に挿入して、空洞の奥部に設けたパッキンで空洞の手前/奥方向に関して製品を位置決めする。
【0009】
【発明の作用と効果】
この発明では、製品の少なくとも一部を検出ヘッドの空洞に挿入して、この空洞に連通したセンサ収容部内のガスセンサで、製品からのガスを検出する。このため製品の表面付近の微量のガスを検出でき、微量のリークや微量の汚れ等でも確実に検出できる。また検出が終わると製品を空洞から取り出し、パージガスをセンサ収容部に供給して残留ガスをパージすると共に、センサ収容部に熱を供給し、ガスセンサ及びセンサ収容部の表面に付着したガスを脱ガスする。このようにして、センサ出力の復帰を速めて短時間で次の製品を検査できるようにする。そして上記のサイクルを繰り返せば、多数の製品を連続的にかつ速やかに検査でき、しかも微量のリーク等でも確実に検出できる。なおセンサ収容部は好ましくは空洞よりも小径とし、ガスセンサには金属酸化物半導体ガスセンサの他に水晶振動子ガスセンサや固体電解質ガスセンサ等の任意のガスセンサを用いることができる。
【0010】
ここで空洞の入り口側に、空洞に連通して空洞側で小径で、検出ヘッドの表面側で大径のテーパー部もしくは凸曲面を設けて、このテーパー部あるいは凸曲面で製品をガイドすれば、製品を空洞内の所定位置へ容易にガイドできる。
【0011】
実施例に示すように、微量のリーク等を検出しようとすると、製品を空洞内に挿入する際の気流や製品を空洞から取り出す際の気流が、ガスセンサへのノイズとなって表れる。そこで空洞への製品の出し入れに伴う気流を逃がすための流路を空洞に設ければ、センサ収容部での製品の出し入れに伴う気流を抑制し、ガスセンサへのノイズを小さくして、より確実に検査できる。
さらに製品を空洞に挿入すると、ガスセンサの表面温度と製品と共に流入する空気の温度との差等のために、ガスセンサの熱バランスが崩れることがある。これはセンサ出力へのノイズとなる。そこで製品の挿入時に、センサ収容部へ熱を供給する手段を設ければ、ガスセンサの熱バランスを保つことができる。
【0012】
この発明の検査方法では、検出ヘッドの空洞へ製品を挿入し、空洞に連通したセンサ収容部内のガスセンサで製品に付着していたガスや製品から発生するガスを検査し、次いで製品を空洞から取り出すと共にセンサ収容部をパージし、かつ前記センサ収容部に熱を供給して、次の検査に備える。このため多数の製品を1個ずつ連続して正確かつ確実に検査できる。また製品の表面付近に付着していたガスや製品から発生するガスをガスセンサで検査するので、極めて微量のリークや微量の汚れ等も容易に検査できる。
【0013】
ここで空洞に連通するテーパー部あるいは凸曲面を設けると、製品をガイドして容易に空洞へと挿入でき、かつ空洞の奥部に設けたパッキンに製品を当接させて位置決めすれば、製品が所定位置まで挿入された段階で停止させることができる。またパッキンにより製品の被検査部を他の部分から気密にでき、微量のリーク等をより正確に検査できる。
【0014】
【実施例】
図1〜図7に、実施例とその変形とを示す。図1に第1の実施例を示すと、2は検出ヘッドで、ここではリチウム電池01、特にリチウムイオン電池からの電解液のリークを検査するものとする。なお検査対象にはリチウムイオン電池等のリチウム電池01や、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、乾電池等の電池の他に、回収洗浄後のビール瓶やジュース瓶、パッケージ済みのレトルト食品、液体を封入した瓶等がある。そしてジュース瓶やガラス瓶等の場合、瓶の内部に汚れ等が残っているかどうかを、瓶内部の空気に含まれる微量のガス(臭い)から検査し、瓶の洗浄が完全かどうかを検査する。またレトルト食品等の場合、パッケージが完全で漏れがないかや充填時に汚れが付着していないか等を検査する。このような製品の場合、リークが生じる箇所はほぼ決まっており、この部分を検査すればよい。
【0015】
4はテーパー部で、表面が凸の曲面でもよく、検出ヘッド2の下側の表面で大径で、上部で小径であり、テーパー部4に連通して空洞6があり、ここに電池01の先端部を収容する。また7はOーリング等のパッキンで、電池01の先端部を位置決めすると共に、先端の蓋の付近を空洞6の他の部分から気密に保つ。
【0016】
8はセンサ収容部で、空洞6に対して小径にして、リチウム電池01が入り込まないようにし、その奥部にガスセンサ10とヒータ12とを取り付けたベース14が配置してある。なおガスセンサ10は、ここではSnO2系の金属酸化物半導体ガスセンサを用いたが、その種類は任意である。またヒータ12はここではニクロム線コイルを用いたが、PTCヒータやカンタル線ヒータ等の任意のヒータを用いることができる。さらにベース14には図示しない多数の孔が設けてあり、ここから空気が流れるようにする。
【0017】
検出ヘッド2は、リチウム電池01が機械的に挿入されても破損しにくいように、金属製とする。そして金属の表面はガスを吸着しやすく、一般に導電性がある。そこで実施例ではテーパー部4や空洞6及びセンサ収容部8の表面で、検出ヘッド2の金属素地16上にテフロン被覆18(「テフロン」は登録商標)を施し、表面絶縁性を与えると共に、ガスが吸着しないようにする。テフロン被覆18に代えて、ポリエチレン被覆やポリプロピレン被覆、あるいはガラス被覆等としても良いが、好ましくはテフロン被覆等のフッ素樹脂被覆を用いる。
【0018】
20は吸引路、22はパージ路で、これらはいずれもセンサ収容部8に連通し、24,26は一対の電磁弁で、28は吸引路20,電磁弁24を介して空洞6やセンサ収容部8内の空気を吸引するための吸引ポンプである。また電磁弁26の上流側には、図示しない清浄空気ボンベ等を接続し、パージ路22からパージ用の清浄空気等を供給できるようにする。吸引路20はガスセンサ10から見て、空洞6の反対側に設けることが必要で、パージ路22の配置には任意性があり、例えば吸引路20を枝分かれさせてパージ路22を設けても良い。あるいはパージ路22を空洞6やテーパー部4等に連通させて、ここからパージエアーを供給し、吸引ポンプ28でパージエアーを吸引するようにしても良い。すなわちパージエアーがセンサ収容部8と空洞6とを流れるようにパージ路22を配置すればよい。ここでは配管の便宜を考慮し、吸引路20とパージ路22とを検出ヘッド2の上部に設けて、これらの配管が他の部分と干渉しないようにした。
【0019】
30は電池搬送部で、多数のリチウム電池01を例えば図1の左から右へと1個ずつ搬送するものとし、図示しない突き上げピン等により、電池01を上方へ突き上げて、パッキン7で停止するまで空洞6へ先端を挿入できるように構成してある。また検査が終了した電池01は、検出部34からの信号で、電池搬送部30が良品と不良品等に仕分けして搬送するように構成してある。
【0020】
32はタイミング制御部で、34は検出部であり、ガスセンサ10からの信号を所定の検出条件と比較してリークの有無を検査する。36は検出条件を設定するための設定部、38はヒータ12を空洞6やセンサ収容部8等の脱ガス用に制御するためのヒータ制御部、40は検査結果等を表示するための表示部である。
【0021】
図2に、実施例でのリチウム電池01の検査のタイミングを示す。検査は例えば10〜20秒周期等で、電池01を1個ずつ連続して行い、図2に2サイクル分の動作を示す。電池搬送部30で図1の左側から搬送された電池01は、タイミング信号T1で図示しないピン等で突き上げられて、テーパー部4にガイドされながら空洞6に挿入され、先端がパッキン7に接触した時点で停止する。空洞6への挿入では、テーパー部4があるので、電池01の位置や姿勢に多少の狂いがあっても確実に空洞6へと挿入される。
【0022】
電池01がパッキン7に接して停止すると、信号T2で吸引ポンプ28が作用し、電磁弁24が開いてリチウム電池01の先端の蓋付近の空気がガスセンサ10へと導かれる。リチウム電池01、特にリチウムイオン電池の場合、その蓋の構造が複雑なため、封口が不完全であると蓋付近での有機溶媒を含む電解液のリークが問題になる。そしてこの部分の空気を吸引ポンプ28で吸引するので、微量のリークでも検出できる。何故なら、リークがある場合、電池01の蓋の付近には他の部分に比べて極めて高濃度の溶媒蒸気が溜まっており、これをポンプ28で吸引するからである。
【0023】
吸引ポンプ28を停止させると、検出信号T3でセンサ10の出力をサンプリングし、所定の検出条件と比較してリークの有無を検査する。これらの検査が終わると、タイミング信号T1で電池搬送部30により電池01を下降させ、同時にタイミング信号T4でヒータ12をオンさせて、その輻射熱等でガスセンサ10やそのベース14あるいはセンサ収容部8等の表面に付着したガスを脱ガスする。これとほぼ同時にパージ信号T5で電磁弁26を開いてパージ空気を供給し、センサ収容部8や空洞6内の残留ガスをパージする。図1の黒抜き矢印で吸引時の空気の流れを示し、白抜き矢印でパージ時の空気の流れを示す。
【0024】
電池01を空洞6内に出し入れすると気流が発生し、図7に示すように、この気流でガスセンサ10にスパイク状のノイズが発生する。ガスセンサ10で検出するのは電池01の蓋の付近に残留しているガスであり、これはポンプ28で吸引してガスセンサ10へ導かれる。このため電池01を空洞6に挿入する際に生じる元々空洞6内に有った空気の気流は、ガスセンサ10に接触させる必要がない。また電池01を空洞6から取り出す際に生じる気流は、単なるノイズである。これらの点を改良した実施例を図3〜図6に示す。
【0025】
図3の実施例では、空洞6の先端付近に例えば4つの孔42を設け、電池01を挿入する際の空気がこの孔から逃げ、電池01を取り出す際にこの孔から空洞6内に空気が供給されるようにする。
【0026】
図4の実施例では、空洞46に多数の半円状の突起47を設け、突起47と突起47の間に、電池01が入り込まない逃がし路48を設ける。このため電池01を空洞46に挿入する際には、逃がし路48から空気が逃げ、取り出す際には逃がし路48から空気が入り込む。そして突起47があるので、逃がし路48を設けても電池01の位置決め等には影響せず、電池01の周囲からほぼ均一に空気が出入りする。
【0027】
図5の実施例では、空洞56に表面が弧状の突起57を複数設けて、その間の溝を逃がし路58とする。他の点は図4の実施例と同様である。
【0028】
図6の実施例では、空洞66を楕円状にし、図6の上下2箇所に逃がし路68,68を設ける。ただし図6の実施例では逃がし路68が2箇所なので、周囲から均一に空気が出入りし得る図3〜図5の実施例に劣っている。
【0029】
これ以外の逃がし路として、図1の検出ヘッド2で空洞6を電池01を挿入するのに必要な径よりもやや大径にし、例えば電池01の径に対して空洞6の径を10〜30%大きくすれば良い。しかしながらこのようにすれば、電池01の位置決め精度がそれだけ低下するので、図3〜図6の実施例の方が優っている。また図3〜図6の各実施例は、特に指摘した点以外は図1の実施例と同様である。
【0030】
図7に、図1〜図5の各実施例の特性を示す。縦軸はセンサ出力を示し、いずれもリークのあるリチウム電池01を検査した際の結果で、a)〜d)は図1の実施例での結果であり、T3が検出のタイミング信号である。a)〜d)において、最初の下向きのノイズは電池01を挿入する際の気流によるノイズで、その後吸引ポンプ28による吸引で、電解液のリークによる有機溶媒蒸気にガスセンサ10が接触するため、数秒程度でセンサ信号は増加する。この後、電池01を取り出す際の気流でもスパイク状のノイズが生じている。このノイズが終了した後もセンサ信号の復帰は遅く、パージ等を行わない場合、検出サイクルは40〜60秒程度となってしまう。
【0031】
ここで電池01を取り出した後にヒータ12をオンさせると、センサ信号は深い谷を示した後、急激に復帰し、検出の間隔を例えば20秒程度に短縮できる。これはヒータ12からの熱で、センサ収容部8やセンサ10等に付着したガスを脱離させ、センサ10の信号を回復させるからである。またパージガスのみを供給した場合でも、センサ信号の復帰はパージガス未供給の場合に比べて速く、d)のように、ヒータによる脱ガスとパージガスによるパージの双方を行うと、例えば15秒程度の周期で電池01を検査できる。
【0032】
図7のe)〜g)は、各々図3〜図5の実施例での検査結果を示し、破線はヒータ12を動作させず、パージガスも供給しない際の結果で、実線はヒータ12による脱ガスとパージガスによるパージの双方を行った際の結果である。検査後のセンサ信号の回復は図1の実施例でヒータとパージガスの双方を用いた場合とほぼ同等であり、電池01を挿入する際のノイズや電池01を取り出す際のノイズが消滅している。これは孔42や逃がし路48,58等で電池01の出入りに伴う気流を逃がしたことによるものである。
【0033】
これらのため実施例では例えば15秒程度の間隔でリチウム電池01を1個ずつ検査でき、その蓋の付近の空気を吸引ポンプ28で吸引してガスセンサ10に導くので、微量のリークでも確実に検査できる。ここで図3〜図6の実施例のように逃がし路を設ければ、電池01の出入りに伴うノイズを除き、より正確に検査できる。
【0034】
図8,図9に、リチウム電池01の検出ヘッド2’への挿入時に、ガスセンサ10の熱バランスを保つようにした変形例を示す。各実施例では、ガスセンサ10はヒータを備えず、ヒートクリーニング時にヒータ12により傍熱されるようにしてある。このためガスセンサ10やセンサ収容部8の表面温度は周囲の気温よりもわずかに高く、ここでリチウム電池01を空洞6へ挿入すると、周囲温度の空気にガスセンサ10が接触することなどにより、ガスセンサ10がわずかに冷却されることがある。
【0035】
そこで図8の変形例では、タイミング制御部32からのタイミング信号T1でリチウム電池01の上昇を検出して、ヒータ制御部38によりヒータ12を発熱させ、周囲空気によるガスセンサ10の冷却を防止して、電池01の上昇時に熱バランスを保つようにする。熱バランスを保つためのヒータ12の発熱量は、ヒートクリーニング時の発熱量に比べて小さなものでよい。また変形例では図9に示すように、リチウム電池01の上昇と熱バランスのためのヒータ12の発熱とを同期させたが、必ずしも同期させる必要はなく、少なくともリチウム電池01の検出ヘッド2’への挿入時に発熱させるものであればよい。
【0036】
ヒータ12でリチウム電池01の挿入時に加熱することに代えて、例えばパージ路22から加温したパージガスを導入しても、リチウム電池01の挿入時にガスセンサ10の付近に熱を供給して、熱バランスを保つことができる。図8に鎖線で示すように、パージ路22の上流側に恒温槽70を設けて、周囲の気温よりもやや高い温度にパージガスを保ち、図9の5)の波形に鎖線で示すように、リチウム電池01の挿入時に加温したパージガスを供給する。この時例えば電磁弁24を閉じておけば、パージガスによってセンサ収容部8内へ電池側から周囲の空気が流入するのを防止できる。そして電池01の蓋によってセンサ収容部8側へ圧される空気は、空洞6の隙間等から逃げ、センサ収容部8へはその平均表面温度とほぼ等しい温度に加温されたパージガスが供給されて、熱バランスを一定にすることができる。
【0037】
上記の変形例では、リチウム電池01の表面温度は周囲の気温と等しく、また検出ヘッド2’を設置した室内に気温のむらは無いものとした。ただしリチウム電池01の表面温度が、前工程等のために、センサ収容部8の表面温度よりも高い場合等には、センサ収容部8にヒータ12とは別にペルティエ素子等を配置して、リチウム電池01の挿入時にセンサ収容部8を加熱冷却自在にしてもよい。変形例では周囲の気温等を測定しなかったが、サーミスタや赤外線輻射温度計等で、周囲の気温やセンサ収容部の温度、リチウム電池01の表面温度等を測定して、ヒータ12の発熱量を制御して、より正確に熱バランスを保つようにしてよい。
【0038】
なお実施例ではリチウム電池01の検査を示したが、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池、乾電池等の他の種類の電池、ビール瓶やジュース瓶の内部の汚れの検査、有機溶媒を収容した瓶等からの微量のリークの検査、あるいは袋からのレトルト食品のリークや汚れ等の検査等に、広く用いることができる。すなわち製品に付着している微量のガスあるいは製品から漏れ出す微量のガスを、オンラインで製品を1個ずつ連続して検査する用途であれば、この発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例での製品検査装置での検出ヘッドの断面図
【図2】 実施例での電池の昇降/電池の蓋部の雰囲気の吸引/リークの検出/ヒートクリーニング/パージのタイミングを示す図
【図3】 第2の実施例の検出ヘッドの要部断面図
【図4】 第3の実施例の検出ヘッドの底面図
【図5】 第4の実施例の検出ヘッドの底面図
【図6】 第5の実施例の検出ヘッドの底面図
【図7】 各実施例での、リークのある電池に対するガスセンサ信号の波形図
【図8】 変形例の製品検査装置での検出ヘッドの断面図
【図9】 変形例の動作タイミングを示す図
【符号の説明】
01 リチウム電池
2 検出ヘッド
4 テーパー部
6 空洞
7 パッキン
8 センサ収容部
10 ガスセンサ
12 ヒータ
14 ベース
16 金属素地
18 テフロン被覆
20 吸引路
22 パージ路
24,26 電磁弁
28 吸引ポンプ
30 電池搬送部
32 タイミング制御部
34 検出部
36 設定部
38 ヒータ制御部
40 表示部
42 孔
46,56,66 空洞
47,57 突部
48,58,68 逃がし路
70 恒温槽

Claims (4)

  1. ガスセンサを検査対象の製品に近接させてガスを検出するようにした製品検査装置において、
    前記製品の少なくとも一部を収容するための空洞と、該空洞に連通したセンサ収容部とを検出ヘッドに設けて、該センサ収容部にガスセンサを収容するとともに、該センサ収容部にパージガスを供給するためのパージガス供給部と、前記空洞から製品を取り出す際に、前記センサ収容部に熱を供給するための加熱手段、を設けたことを特徴とする、製品検査装置。
  2. 空洞への製品の挿入時に、前記加熱手段により、前記センサ収容部に熱を供給することを特徴とする、請求項1の製品検査装置。
  3. 検査対象の製品の少なくとも一部を、検出ヘッドに設けた空洞へ挿入し、
    前記空洞に連通したセンサ収容部内のガスセンサで製品からのガスを検査し、かつ
    製品を前記空洞から取り出すとともにセンサ収容部をパージし、かつ前記センサ収容部に熱を供給する
    ことを繰り返すようにした、製品の検査方法。
  4. 空洞への製品の挿入時に、前記センサ収容部に熱を供給することを特徴とする、請求項3の製品検査方法。
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