JP4352672B2 - 不斉固体触媒 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,無機系固体にビナフチル誘導体を結合させた不斉固体触媒に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,シリカゲルやゼオライト等の固相に触媒を担持させた固相担持触媒は,化学合成の分野で広く利用されている。このような固相担持触媒は,触媒を溶媒に不溶な固相に担持させているため,触媒と反応生成物との分離が容易であり,再使用が可能である。
【0003】
一方,(R)又は(S)−2,2’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)等の光学活性なビナフチル誘導体は,キラルな関係にある光学異性体同士のうち,一方を優先的に合成する不斉配位子として利用することができる。そのため,光学異性体の化学合成に広く用いられている。
【0004】
この光学活性なビナフチル誘導体を上記固相担持触媒のように固相に担持させることができれば,上記のように触媒と反応生成物の分離が容易になり,かつ触媒の再使用が可能となるため,その有用性はますます増加する。
ところが,BINAP等の光学活性なビナフチル誘導体を固相に担持させた例はこれまでほとんど報告されていない。
このような例の一つとしては,例えばBINAPをポリスチレンに担持させたものがある(非特許文献1参照)。このポリスチレンに担持されたBINAPは,β−ketoesterの不斉水素化反応において,均一系触媒と同等の触媒活性を有する。
【0005】
【非特許文献1】
X.Feng,G.E.Frywell,L.−Q.Wang,A.Y.Kim,J.Liu,K.M.Kemner,“Science”,(米国),1997年,276巻,p.923−926
【0006】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のポリスチレンに担持させたBINAPは,有機溶媒に用いることができない。有機溶媒中でポリスチレンが溶解してしまうからである。そのため,有機溶媒を用いるような反応系には用いることができず,反応系に制約が生じてしまという問題があった。
また,ポリスチレンは膨潤性が高く,熱安定性が低いという性質を有する。そのため,従来のポリスチレンに担持させたBINAPは耐久性が低くなってしまう。それ故,触媒を再使用することが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,水性溶媒及び有機溶媒に用いることができると共に,耐久性に優れた不斉固体触媒を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
本発明は,光学活性なビナフチル誘導体を不斉配位子として有し,該ビナフチル誘導体を,Siを含む有機鎖を介して,シリカ,ゼオライト,アルミナ,チタニア,又は多孔質ガラスである無機酸化物からなる無機系固体に結合してなり,
上記有機鎖と上記無機系固体とは,上記有機鎖のSiと上記無機系固体のOとがSi−O結合を形成して結合していることを特徴とする不斉固体触媒にある(請求項1)。
【0009】
本発明の不斉固体触媒は,上記のように,光学活性なビナフチル誘導体をシリカ等の無機系固体に結合してなる。そして,上記無機系固体は,水性溶媒や有機溶媒に溶解せず,これらの溶媒中でもほとんど膨潤することがなく,熱に対しても高い安定性を有する。
そのため,本発明の不斉固体触媒は,水性溶媒及び有機溶媒のどちらにおいても使用することができ,触媒として用いた後に,溶媒中から遠心分離等により回収して再利用することができる。
【0010】
また,本発明において,上記ビナフチル誘導体は,光学活性を有している。そのため,本発明の不斉固体触媒は,ビナフチル誘導体が有する光学活性を利用して,不斉を制御する反応に利用することができる。
【0011】
このように,本発明によれば,水性溶媒及び有機溶媒に用いることができると共に,耐久性に優れた不斉固体触媒を提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明(請求項1)において,上記ビナフチル誘導体は,2つのナフタレン骨格が互いに1及び1’位にて結合した基本骨格からなるものである。そして,本発明における上記ビナフチル誘導体は,上記のような基本骨格を有するビナフチル誘導体のうち,光学活性を有するものである。
このような光学活性を有するビナフチル誘導体は,触媒として金属を配位結合することにより,不斉反応の触媒となることができる。このような金属としては,Pd,Rh,Ru,Ni,Cu,Co,Fe,Pt,Au,Ir,Os,Re等がある。
【0013】
また,上記ビナフチル誘導体としては,例えば(R)−又は(S)−2,2’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)等を用いることができる。
【0014】
また,上記無機系固体としては,例えばシリカ,ゼオライト,アルミナ,チタニア,メソ多孔体,多孔質ガラス等の無機酸化物等よりなるものがある。好ましくは多孔体のものがよい。この場合には,上記無機系固体の表面積が大きくなるため,より多くの上記ビナフチル誘導体を結合することができる。また,上記多孔体としては,後述するごとく,メソ多孔体が特に好ましい。
【0015】
次に,上記有機鎖は,Siを含んでいることが好ましい。
この場合には,上記有機鎖が有するSiと上記無機系固体中の酸素原子等とが結合し,化学反応に対して安定なSi−O等の結合を形成することにより,上記無機系固体と結合することができる。そのため,上記不斉固体触媒の安定性が向上する。
【0016】
次に,上記ビナフチル誘導体は,一般式(1)で表されることが好ましい(請求項2)。
【化4】
{但し,R1及びR2は,炭素数1〜30の直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基,フェニル基,置換フェニル基(該置換フェニル基は,フェニル基が有する6個の炭素原子のうち1〜5個の炭素に水素原子以外の官能基が結合してなり,それぞれの官能基は同一又は異なっていてもよく,ハロゲン原子,低級アルキル基,低級アルコキシ基,低級アルキルアミノ基,ハロゲン化低級アルキル基,及びフェニル基からなる群から任意に選ばれる。),低級アルキルナフチル基,ピリジル基,キノリル基,イソキノリル基,フルフリル基,ベンゾフルフリル基,チエニル基,ベンゾチエニル基を示す。}
【0017】
この場合には,上記不斉固体触媒は,上記一般式(1)で表されるビナフチル誘導体が有する,優れた不斉配位子としての機能を利用することができる。
【0018】
上記一般式(1)において,上記炭素数1〜30の直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基としては,例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,i−プロピル基,シクロプロピル基,n−ブチル基,i−ブチル基,s−ブチル基,t−ブチル基,シクロブチル基,n−ペンチル基,シクロペンチル基,n−ヘキシル基及びシクロヘキシル基,n−へプチル基,シクロヘプチル基,n−オクチル基及びシクロオクチル基等がある。また,これらのアルキル基は,ハロゲン原子,フェニル基,又はハロゲン原子,アルキル基等で置換された置換フェニル基等で任意に置換されていても良い。
【0019】
また,上記低級アルキル基,低級アルコキシ基等の低級とは,アルキル基やアルコキシ基等のうち炭素数の少ないものを意味する。具体的には,低級とは炭素数が1〜10のものをいう。
【0020】
次に,上記一般式(1)において,R1及びR2の好ましい組み合わせを以下に示す。
(1)R1及びR2がいずれもフェニル基。
(2)R1及びR2がいずれもp−メチルフェニル基
(3)R1及びR2がいずれもp−メトキシフェニル基
(4)R1及びR2がいずれもp−トリフルオロメチルフェニル基
(5)R1及びR2がいずれもシクロヘキシル基
(6)R1がフェニル基,R2がp−メチルフェニル基
特に,上記(1)の組み合わせのとき,上記一般式(1)は,(R)−又は(S)−2,2’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)となる。そのためこの場合には,上記不斉固体触媒は,BINAPの優れた特性を利用して,様々な基質に対して不斉反応を行うことができるものとなる。
【0021】
また,上記一般式(1)において,2つのナフチル基上の太線で示されている部分は,1及び1’位の結合軸を中心にナフタレン骨格が若干回転し,本明細書の紙面から手前に傾いている様子を示している。これは,例えば上記一般式(1)中の2つのリン原子同士が互いに障壁となる等して,上記一般式(1)における2つのナフタレン骨格間の1及び1’位の結合の回転を阻害すること等により生じるものである。
【0022】
次に,上記ビナフチル誘導体は,一般式(2)で表されることが好ましい(請求項3)。
【化5】
{但し,R1及びR2は,炭素数1〜30の直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基,フェニル基,置換フェニル基(該置換フェニル基は,フェニル基が有する6個の炭素原子のうち1〜5個の炭素に水素原子以外の官能基が結合してなり,それぞれの官能基は同一又は異なっていてもよく,ハロゲン原子,低級アルキル基,低級アルコキシ基,低級アルキルアミノ基,ハロゲン化低級アルキル基,及びフェニル基からなる群から任意に選ばれる。),低級アルキルナフチル基,ピリジル基,キノリル基,イソキノリル基,フルフリル基,ベンゾフルフリル基,チエニル基,ベンゾチエニル基を示す。}
【0023】
この場合には,上記不斉固体触媒は,上記一般式(2)で表されるビナフチル誘導体が有する優れた不斉配位子としての機能を利用することができる。
【0024】
上記一般式(2)の上記R1及びR2としては,上記一般式(1)における上記R1及びR2と同様のものを用いることができる。
【0025】
また,上記一般式(2)において,2つのナフチル基上の太線で示されている部分は,上記一般式(1)と同様に,1及び1’位の結合軸を中心にナフタレン骨格が若干回転し,本明細書の紙面から手前に傾いている様子を示している。これは,例えば上記一般式(2)中の2つのリン原子同士が互いに障壁となる等して,上記一般式(2)における2つのナフタレン骨格間の1及び1’位の結合の回転を阻害すること等により生じるものである。
【0026】
次に,上記ビナフチル誘導体は,一般式(3)で表されることが好ましい(請求項4)。
【化6】
{但し,R1は,炭素数1〜30の直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基,フェニル基,置換フェニル基(該置換フェニル基は,フェニル基が有する6個の炭素原子のうち1〜5個の炭素に水素原子以外の官能基が結合してなり,それぞれの官能基は同一又は異なっていてもよく,ハロゲン原子,低級アルキル基,アルコキシ基,低級アルキルアミノ基,ハロゲン化低級アルキル基,及びフェニル基からなる群から任意に選ばれる。),低級アルキルナフチル基,ピリジル基,キノリル基,イソキノリル基,フルフリル基,ベンゾフルフリル基,チエニル基,ベンゾチエニル基を示す。Xは,水素原子,ヒドロキシル基,炭素数1〜20の直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基,炭素数1〜10の直鎖,分岐若しくは環状のアルコキシ基,メルカプト基を示す。}
【0027】
この場合には,上記不斉固体触媒は,上記一般式(3)で表されるビナフチル誘導体が有する優れた不斉配位子としての機能を利用することができる。
【0028】
上記一般式(3)における上記R1としては,上記一般式(1)における上記R1及びR2と同様のものを用いることができる。
【0029】
また,上記一般式(3)において,炭素数1〜10の直鎖,分岐若しくは環状のアルコキシ基としては,例えば,メトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,i−プロポキシ基,シクロプロポキシ基,n−ブトキシ基,i−ブトキシ基,s−ブトキシ基,t−ブトキシ基,及びシクロブトキシ基等がある。これらのアルコキシ基は,ハロゲン原子,フェニル基,又はハロゲン原子,アルキル基等で置換された置換フェニル基等で任意に置換されていても良い。
【0030】
また,上記一般式(3)において,2つのナフチル基上の太線で示されている部分は,上記一般式(1)と同様に,1及び1’位の結合軸を中心にナフタレン骨格が若干回転し,本明細書の紙面から手前に傾いている様子を示している。これは,例えばリン原子とXとが互いに障壁となる等して,上記一般式(3)における2つのナフタレン骨格間の1及び1’位の結合の回転を阻害すること等により生じるものである。
【0031】
次に,上記有機鎖は,上記ビナフチル誘導体の5位,5’位,6位,6’位,7位,又は7’位の少なくとも一つに結合していることが好ましい(請求項5)。
この場合には,上記不斉固体触媒は,上記ビナフチル誘導体がその5位,5’位,6位,6’位,7位,又は7’位にて,上記有機鎖を介して上記無機系固体に結合する構造をとることができる。
このような構造をとることにより,上記ビナフチル誘導体は,その金属触媒等を保持することが可能な活性部位を上記無機系固体と反対側,即ち触媒反応に用いる基質側に露出し易くなる。そのため,上記不斉固体触媒は,反応性に優れたものとなる。
【0032】
次に,上記有機鎖はアミド結合を有することが好ましい(請求項6)。
この場合には,上記アミド結合を有する有機鎖にて,上記無機系固体とビナフチル誘導体とを結合させることができる。そして,上記アミド結合は,化学反応性が低い。そのため,上記無機系固体とビナフチル誘導体との結合の安定性が向上すると共に,不斉反応に悪影響を及ぼすこともほとんどない。これに対し,例えば強い求核性を有するアミン等を有する場合には,上記不斉固体触媒の触媒反応に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0033】
次に,上記無機系固体は,シリカよりなることが好ましい(請求項7)。
この場合には,上記有機鎖がシリカと安定な結合を形成するため,ビナフチル誘導体の安定性が向上する。特に上記有機鎖がSiを含む場合には,Si−O−Siの安定な結合を形成することができるため,特に安定性が向上する。また,シリカは,触媒反応に悪影響を及ぼさないため,安定な触媒反応を行うことができる。
【0034】
また,上記シリカとしては,純粋なシリカでもよいが,シリカにアルミニウム(Al),チタニウム(Ti),マグネシウム(Mg),ジルコニウム(Zr),ガリウム(Ga),ベリリウム(Ba),イットリウム(Y),ランタン(La),スズ(Sn),鉛(Pb),バナジウム(V),ホウ素(B)等が混合されたものでもよい。
【0035】
また,上記シリカとしては,上記メソ多孔体のメソポーラスシリカが好ましい。
メソポーラスシリカは微細で均一な細孔直径を有するため,ビナフチル誘導体を充分に結合させることができる。
また,上記シリカとしては,ゲル状のシリカゲル等を用いることができる。
【0036】
次に,上記無機系固体は,1〜30nmの中心細孔直径を有するメソ多孔体よりなり,該メソ多孔体のX線回折パターンは,1nm以上かつ30nm以下のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを示すことが好ましい(請求項8)。
この場合には,上記無機系固体は,比較的分子径の大きなビナフチル誘導体であっても容易にその細孔内に入れることができる。また,上記範囲の中心細孔直径を有するメソ多孔体は,表面積が充分に大きいため,多くのビナフチル誘導体を結合することができる。また,上記メソ多孔体は,触媒反応の基質に対しても高い吸着性を示すことができるため,上記のビナフチル誘導体を有する細孔内に基質が充分に高濃度で導入されて反応速度が向上する。また,このように微細な細孔内においては細孔壁からのファンデルワールス力が重なって3次元的に作用することによって強いポテンシャル場が形成される。そして,このポテンシャル場によって触媒反応がさらに向上する。
【0037】
さらに,この場合には,上記無機系固体は,細孔が1nm以上の間隔で配列した規則的な構造を有する。そのため,上記無機系固体は,上記ビナフチル誘導体を充分かつ規則的に結合させることができる。
【0038】
このようなメソ多孔体としては,トンネル状の細孔構造(2次元ヘキサゴナル構造)を有するFSM(或いはFSM−16),MCM−41,SBA−15,3次元チャネル構造(キュービックIa−3d構造)を有するMCM−48,3次元構造でかつキュービックPm−3n構造のSBA−1,SBA−16,KIT−1,及びラメラ構造のMCM−50等がある。このうち,FSMは,層状シリケート物質を原料に界面活性剤を作用させて合成され,細孔直径は1.5〜10nmの範囲で制御することができる。また,SBA−15はテトラエトキシシランを原料にトリブロックコポリマ界面活性剤を作用させて合成され,細孔直径は4〜30nmの範囲で制御できる。
【0039】
上記メソ多孔体の中心細孔直径が1nm未満の場合には,結合可能なビナフチル誘導体がその分子径の大きさにより選別されてしまうおそれがある。また,充分なビナフチル誘導体を結合することができず,反応性が低下するおそれがある。
一方,30nmを超える場合には,上記多孔体の細孔分布の均一さが低下し,また細孔の構造が不規則となるおそれがある。そのため,上記のような触媒反応の向上という効果を得ることができないおそれがある。
【0040】
上記中心細孔直径とは,細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径をいう。なお,細孔径分布曲線は,下記の方法により求めることができる。
【0041】
即ち,多孔体を液体窒素温度(−196℃)にて冷却し,窒素ガスを導入して,定容量法または重量法によりその吸着量を求め,次いで導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ,各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし,吸着等温線を作製する。この吸着等温線を用いて,Cranston−Inklay法,Pollimore−Heal法,BJH法等の計算方法により細孔径分布曲線を求めることができる。例えば,細孔径分布曲線における最大ピークが3.00nmにある場合,中心細孔直径は3.00nmとなる。
【0042】
次に,上記無機系固体は1〜30nmの中心細孔直径を有するメソ多孔体よりなり,該メソ多孔体は,上記中心細孔直径の±40%以内の細孔直径を有する細孔を,全細孔容積に対して60%以上有することが好ましい(請求項9)。
具体的には,例えば上記中心細孔直径が3.00nmのとき,1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の総計が,全細孔容積(ガス吸着法で測定できる上限の50nm以下の孔径を備える細孔全体の容積)の60%以上を占めているということである。さらに換言すれば,上記細孔分布曲線における細孔直径1.80nm〜4.20nmにある細孔の細孔容積の積分値が,曲線の全積分値の60%以上を占めているということである。
【0043】
この場合には,実質的に細孔直径が充分に均一となるため,上記無機系固体は,その細孔に基づいて所謂モレキュラーシーブとしての機能を発揮することができる。そのため,触媒反応の基質や生成物に対する高い選択性を発揮することができる。そして,このようなメソ多孔体としては,上述のFSMやSBA等がある。
【0044】
次に,上記メソ多孔体の中心細孔直径は,4〜10nmであることが好ましい(請求項10)。
この場合には,上記メソ多孔体が触媒反応の基質に対してさらに高い吸着性を示し,上記のビナフチル誘導体を有する細孔内に基質が充分に高濃度で導入されて反応速度が一層向上する。また,細孔内のポテンシャル場もより大きくなり,反応速度がさらに向上する。
【0045】
【実施例】
(実施例1)
次に,本発明の実施例につき,図1〜図3を用いて説明する。
図1に示すごとく,本例の不斉固体触媒1は,光学活性なビナフチル誘導体2を不斉配位子として有している。そして,上記ビナフチル誘導体2を,有機鎖3を介して無機系固体4に結合してなる。
【0046】
本例において,上記ビナフチル誘導体2としては,BINAPを適用した。また,上記無機系固体4は,シリカよりなり,中心細孔直径が2.8nmの多孔体である。また,この多孔体は,X線回折パターンにおいて,1〜4nmのd値に相当する回折角度に4本のピークを有し,1.68〜3.92nm内の細孔直径を有する細孔を全細孔容積に対して90%有している。本例においては,このような多孔体として,FSM−2.8を適用した。
また,上記有機鎖3はSiを有しており,無機系固体4の表面においてこのSiと無機系固体4に含まれる酸素原子とが互いに結合している。さらに,上記有機鎖3にはアミド結合が含まれている。
【0047】
以下,本例の不斉固体触媒1の製造方法につき図2及び図3を用いて説明する。本例においては,図2及び図3に示すごとく,A工程〜F工程の6つの工程により不斉固体触媒1を作製する。
まず,図2に示すA〜D工程としては,文献(Daniel J.Bayston,Joannne L.Fraser,Mark R.Ashton,Anthony D.Baxter,Mario E.C.Polywka,andEdwin Moses,“J.Org.Chem”,(米国),1998年,63巻,p.3137−3140)に示される公知の方法と同様の方法により行った。その結果,図2に示すごとく,中間化合物Dを得た。
【0048】
【0049】
次に,図3に示すごとく,E工程においては,1.54g(2.18mmol)の上記中間化合物Dと,630mg(3.27mmol)のEDCIの塩酸塩と,590mg(4.36mmol)のHOBTとを300mLの二口フラスコに入れ,窒素置換した後,100mLの蒸留ジメチルホルムアミド(DMF)を加えて溶解した。この混合溶液に374mg(2.38mmol)の(3−アミノプロピル)アリルジメチルシランを加えて室温で26時間攪拌した。
【0050】
その後,5%HClにてPHを3に調整した後,ジエチルエーテルで抽出し,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し,濃縮乾固して,2.17gの粗生成物を得た。得られた粗生成物をヘキサン/酢酸エチル/=1/1組成の展開液を用いて,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し,アリルシリル基を有するBINAP(化合物E)を,1.45g(1.71mmol)得た。なお,化合物EのBINAPは(R)−BINAPであり,シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製の収率は78%であった。
【0051】
次に,図3に示すごとく,F工程においては,まず,3.5×10-5mmHg,120℃にて乾燥させたFSM−2.8を準備した。このFSM−2.8の906mgを100mLの二口フラスコに入れて窒素置換した後,上記E工程にて得られた上記化合物Eの3.96g(4.40mmol)を14mLの蒸留トルエンに溶かした溶液を加えて,冷却管を取り付けた後,35時間還流した。
【0052】
その後,ろ過し,ソックスレー抽出器を用いてメタノールで10時間,続いてベンゼンで10時間連続的に未反応有機物を抽出除去し,3.5mm×10-5Hg,120℃で16時間乾燥させ,上記不斉固体触媒としてのBINAP担持FSMを得た。これを試料E1とする。なお,試料E1のBINAP担持量は,窒素の元素分析により0.66mmol/gであった。
【0053】
また,本例においては,上記無機系固体としてのFSMの代わりに,SBA−15又はアモルファスシリカゲルに(R)−BINAPを結合させた不斉固体触媒を作製した。
まず,SBA−15としては,シリカよりなり,中心細孔直径が9.5nmのものを適用した。また,このSBA−15は,X線回折パターンにおいて,5〜100nmのd値に相当する回折角度に3本のピークを有し,5.7〜13.3nm内の細孔直径を有する細孔を全細孔容積に対して80%有するものである。
【0054】
以下,SBA−15に(R)−BINAPを結合させた不斉固体触媒の作製方法について説明する。
まず,3.5×10-5mmHg,120℃にて乾燥させたSBA−15を準備した。このSBA−15の702mgを100mLの二口フラスコに入れて窒素置換した後,上記E工程にて得られた上記化合物Eの3.15g(3.50mmol)を14mLの蒸留トルエンに溶かした溶液を加えて,冷却管を取り付けた後,35時間還流した。
【0055】
その後,ろ過し,ソックスレー抽出器を用いてメタノールで10時間,続いてベンゼンで10時間連続的に未反応有機物を抽出除去し,3.5×10-5mmHg,120℃で16時間乾燥させ,上記不斉固体触媒としてのBINAP担持SBAを得た。これを試料E2とする。なお,試料E2のBINAP担持量は,窒素の元素分析により0.26mmol/gであった。
【0056】
次に,アモルファスシリカゲルに(R)−BINAPを結合させた不斉固体触媒の作製方法について説明する。
まず,アモルファスシリカゲル{Merk Kieselgel 60(70−230メッシュ)}を濃塩酸と共に還流させてアモルファスシリカゲルを活性化し,その後充分に水洗を繰り返し,3.5×10-5mmHg,120℃で乾燥させた。この活性化させたアモルファスシリカゲル663mgを100mLの二口フラスコに入れて窒素置換した後,上記E工程にて得られた上記化合物E2.97g(3.30mmol)を12mLの蒸留トルエンに溶かした溶液を加えて,冷却管を取り付けた後,35時間還流した。
【0057】
その後,ろ過し,ソックスレー抽出器を用いてメタノールで10時間,続いてベンゼンで10時間連続的に未反応有機物を抽出除去し,3.5×10-5mmHg,120℃で16時間乾燥させ,上記不斉固体触媒としてのBINAP担持アモルファスシリカゲルを得た。これを試料E3とする。なお,試料E3のBINAP担持量は,窒素の元素分析により0.45mmol/gであった。
【0058】
(実験例)
次に,上記試料E1〜E3を用いて,パラジウムを触媒とする不斉アリル位アルキル化反応を行った。
(1)試料E1
まず,試料E1を用いた不斉アリル位アルキル化反応につき,図4を用いて説明する。
まず,51mgの試料E1と4mg(0.011mmol)の[PdCl(π−C3H5)]2とを20mLのシュレンクに入れて窒素置換した。そして,1.0mLの蒸留アセトニトリルを加え,20℃で3時間攪拌した。
【0059】
その後,蒸留アセトニトリルで洗浄し上澄みを除き,1,3−ジフェニル−2−プロペン−1−オール63.2mg(0.25mmol)と蒸留アセトニトリル2.0mLとを加えた。この懸濁液に予め調整しておいた,水素化ナトリウム30mg(0.75mmol)とマロン酸ジメチル85μL(0.74mmol)のアセトニトリル溶液1.5mLを加え,20℃にて11時間攪拌した。シュリンク容器を遠心分離器にかけ上澄み液をデカンテーションで取り出した後,蒸留アセトニトリルで3回洗浄した上澄み液と混合し,濃縮乾固して得た粗生成物を分取TLC(薄層クロマトグラフィー)にて精製してアルキル化生成物を得た。
【0060】
上記の不斉アリル基アルキル化反応の後,試料E1をアセトニトリルで洗浄し,上記と同様の操作を繰り返して合計3回の不斉アリル位アルキル化反応を行った。各回におけるアルキル化生成物の収率(%)及び光学純度(%e.e.)を測定し,その結果を表1に示す。なお,触媒の濃度,反応時間は,後述する表1に示すごとく,各回数ごとに変化させておこなった。
【0061】
(2)試料E2
次に,試料E2を用いた不斉アリル位アルキル化反応につき,図4を用いて説明する。
まず,100mgの試料E2と3.3mg(0.0089mmol)の[PdCl(π−C3H5)]2とを20mLのシュレンクに入れて窒素置換した。そして,1.0mLの蒸留アセトニトリルを加え,20℃で3時間攪拌した。
【0062】
その後,蒸留アセトニトリルで洗浄し上澄みを除き,1,3−ジフェニル−2−プロペン−1−1オール52.4mg(0.21mmol)と蒸留アセトニトリル2.0mLとを加えた。この懸濁液に予め調整しておいた,水素化ナトリウム25.2mg(0.63mmol)とマロン酸ジメチル70μL(0.63mmol)のアセトニトリル溶液1.5mLを加え,20℃にて10時間攪拌した。シュリンク容器を遠心分離器にかけ上澄み液をデカンテーションで取り出した後,蒸留アセトニトリルで3回洗浄した上澄み液と混合し,濃縮乾固して得た粗生成物を分取TLC(薄層クロマトグラフィー)にて精製してアルキル化生成物を得た。
【0063】
上記の不斉アリル基アルキル化反応の後の試料E2を,上記試料E1の場合と同様に,アセトニトリルで洗浄し,同様の操作を繰り返し,合計3回の不斉アリル位アルキル化反応を行った。各回におけるアルキル化生成物の収率(%)及び光学純度(%e.e.)を測定し,その結果を表1に示す。
【0064】
(3)試料E3
次に,試料E2を用いた不斉アリル位アルキル化反応につき,図4を用いて説明する。
まず,70mgの試料E1と3.2mg(0.0087mmol)の[PdCl(π−C3H5)]2とを20mLのシュレンクに入れて窒素置換した。そして,1.0mLの蒸留アセトニトリルを加え,20℃で3時間攪拌した。
【0065】
その後,蒸留アセトニトリルで洗浄し上澄みを除き,1,3−ジフェニル−2−プロペン−1−1オール57.2mg(0.21mmol)と蒸留アセトニトリル2.0mLとを加えた。この懸濁液に予め調整しておいた,水素化ナトリウム27.6mg(0.69mmol)とマロン酸ジメチル80μL(0.69mmol)のアセトニトリル溶液1.5mLを加え,20℃にて11時間攪拌した。シュリンク容器を遠心分離器にかけ上澄み液をデカンテーションで取り出した後,蒸留アセトニトリルで3回洗浄した上澄み液と混合し,濃縮乾固して得た粗生成物を分取TLC(薄層クロマトグラフィー)にて精製してアルキル化生成物を得た。
【0066】
上記の不斉アリル基アルキル化反応の後の試料E3を,上記試料E1及びE2の場合と同様に,アセトニトリルで洗浄し,同様の操作を繰り返し,合計3回の不斉アリル位アルキル化反応を行った。各回におけるアルキル化生成物の収率(%)及び光学純度(%e.e.)を測定し,その結果を表1に示す。なお,触媒の濃度,反応時間は,後述する表1に示すごとく,各回数ごとに変化させておこなった。
【0067】
また,比較用として,無機系固体に結合させていないBINAP(試料C)を準備して,試料E1〜E3と同様の不斉アリル位アルキル化反応を行った。
具体的には,まず4.74mg(12μmol)の(R)−BINAPと,1.10mg(3μmol)の[PdCl(π−C3H5)]2とを20mLのシュレンクに入れて窒素置換し,2.0mLの蒸留アセトニトリルを加えた。
【0068】
この混合液に,予め調整しておいた,水素化ナトリウム27.6mg(0.69mmol)とマロン酸ジメチル80μL(0.69mmol)のアセトニトリル溶液1.5mLを加え,20℃にて12時間攪拌した。その後,飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後,ジエチルエーテルで抽出して,硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下に濃縮して得られた粗生成物を分取TLC(薄層クロマトグラフィー)で精製して,上記試料E1〜試料E3を用いたときと同様のアルキル化生成物を得た。このときのアルキル化生成物の収率(%)及び光学純度(%e.e.)を測定し,その結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表1より知られるごとく,本発明の不斉固体触媒(試料E1〜E3)は,いずれも試料Cに匹敵する高い反応性を示した。3回の再使用の結果においては,試料E1において若干の反応性の低下が起こった。
光学純度については,試料E1〜E3のいずれの場合でも,試料Cに匹敵する純度でR体を得ることができた。また,3回の再使用の結果においても,大きな低下はなく,安定的な不斉反応をおこなっていることがわかった。
【0071】
(実施例2)
本例においては,上記無機系固体と結合する側の末端にアルコキシドを有する有機鎖を用いて,BINAPと無機系固体を結合させ不斉固体触媒を作製する例を示す。
図5に示すごとく本例の不斉固体触媒1は,実施例1と同様に,上記ビナフチル誘導体2としてBINAPを,上記無機系固体4としてメソポーラスシリカを有している。そして,上記ビナフチル誘導体2と上記無機系固体4とはSiを含む有機鎖3を介して結合されている。また,本例の有機鎖3は,その構造内にアミンを有している。
【0072】
以下,本例の不斉固体触媒の製造方法につき,図6及び図7を用いて説明する。
まず,図6に示すごとく,実施例1における上記C工程後に得られる中間化合物Cを準備した。
次に,図6のG工程に示すごとく,2.29g(3.11mmol)の中間化合物Cを200mLのステンレス製オートクレーブにいれ,窒素置換した後,蒸留ベンゼン10mLと蒸留メタノール100mLとを加えて,加熱溶解させる。
【0073】
オートクレーブを−78℃に冷却した後,液体アンモニアを充分量加え,80℃で60時間加熱攪拌した。その後,溶媒を減圧下に除去して得られる粗生成物を,酢酸エチルを展開溶媒として用いたカラムクロマトグラフィーにより,精製し,1.98gの中間化合物G(BINAPアミド)を得た。尚,収率は90%であった。
【0074】
次に,図6に示すH工程においては,まず窒素置換した200mLの二口フラスコに,34mL(36.4mmol)のボランTHF錯体(BH3・THF)を加えて,0℃に冷却した。その中に,蒸留THF25mLに溶解した中間化合物Gの3.22g(4.55mmol)をゆっくりと滴下した後,12時間還流した。その後,再び0℃に冷却し,6MHClを加えて,徐々に室温に戻し,30分間攪拌した。1Mの水酸化ナトリウム水溶液にてpHを11に調整した後,ジクロロメタンで抽出し,硫酸マグネシウムで乾燥,濃縮乾固した。
【0075】
得られる粗生成物3.06gを60mLのTHFに溶解し,この溶液に2.3mLのジエチルアミンを加えて40℃にて2時間攪拌し濃縮乾固後,ヘキサン/酢酸エチル=1/1の展開溶媒を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し,アミノブチル基を有する化合物Hを1.79g得た。なお,収率は57%であった。
【0076】
次に,図7に示すごとく,以下のようにして上記化合物Hを無機系固体としてのFSMに結合させる。
まず,図7のI工程に示すごとく,3.5×10-5mmHg,120℃で乾燥させたFSM10gを300mLの二口フラスコに入れて窒素置換した。続いて,蒸留トルエン100mLに溶かした3−クロロプロピルトリメトキシシラン11.6mL(63.6mmol)を入れ,冷却管を取り付けた後,10時間還流した。その後,ろ過し,ソックスレー抽出器を用いて,メタノールで20時間,連続的に未反応有機物を抽出除去し,3.5×10-5mmHg,120℃にて12時間乾燥させ,3−クロロプロピルトリメトキシシラン担持FSM(化合物I)を得た。
【0077】
続いて,図7のJ工程に示すごとく,上記の化合物Iの2.0g(10.6mmol)と化合物Hの0.514g(0.74mmol)とを100mL二口フラスコに入れ,窒素置換した。20mL蒸留トルエンを加え,冷却管を取り付けた後,7時間還流した。その後,ろ過し,ソックスレー抽出器を用いて,メタノールで20時間連続的に未反応有機物を抽出除去し,3.5×10-5mmHg,120℃にて12時間乾燥させ,上記不斉固体触媒としてのBINAP担持FSMを得た。
【0078】
なお,図1〜図7の構造式においては,図面作成の便宜のため,いくつかの略号を用いている。各略号はそれぞれ下記の官能基等を示す。
(1)Me:メチル基
(2)Ph:フェニル基
(3)Et:エチル基
(4)Tf:トリフルオロメタンスルホニル基(なお,Tf2Oは無水トリフルオロメタンスルホン酸を表す)
(5)dppe:1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン
(6)EDCI:1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
(7)HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にかかる,上記不斉固体触媒の構造を示す説明図。
【図2】実施例1にかかる,上記不斉固体触媒の製造方法における上記A工程〜D工程の反応を示す説明図。
【図3】実施例1にかかる,上記不斉固体触媒の製造方法における上記E工程〜F工程の反応を示す説明図。
【図4】実験例にかかる,不斉アリル位アルキル化反応を示す説明図。
【図5】実施例2にかかる,上記不斉固体触媒の構造を示す説明図。
【図6】実施例2にかかる,上記不斉固体触媒の製造方法における上記G及びH工程を示す説明図。
【図7】実施例2にかかる,上記不斉固体触媒の製造方法における上記I及びJ工程を示す説明図。
【符号の説明】
1...不斉固体触媒,
2...ビナフチル誘導体,
3...有機鎖,
4...無機系固体,
Claims (10)
- 光学活性なビナフチル誘導体を不斉配位子として有し,該ビナフチル誘導体を,Siを含む有機鎖を介して,シリカ,ゼオライト,アルミナ,チタニア,又は多孔質ガラスである無機酸化物からなる無機系固体に結合してなり,
上記有機鎖と上記無機系固体とは,上記有機鎖のSiと上記無機系固体のOとがSi−O結合を形成して結合していることを特徴とする不斉固体触媒。 - 請求項1において,上記ビナフチル誘導体は,一般式(1)で表されることを特徴とする不斉固体触媒。
- 請求項1において,上記ビナフチル誘導体は,一般式(2)で表されることを特徴とする不斉固体触媒。
- 請求項1において,上記ビナフチル誘導体は,一般式(3)で表されることを特徴とする不斉固体触媒。
- 請求項1〜4のいずれか1項において,上記有機鎖は,上記ビナフチル誘導体の5位,5’位,6位,6’位,7位,又は7’位の少なくとも一つに結合していることを特徴とする不斉固体触媒。
- 請求項1〜5のいずれか1項において,上記有機鎖はアミド結合を有することを特徴とする不斉固体触媒。
- 請求項1〜6のいずれか1項において,上記無機系固体は,シリカよりなることを特徴とする不斉固体触媒。
- 請求項1〜7のいずれか1項において,上記無機系固体は,1〜30nmの中心細孔直径を有するメソ多孔体よりなり,該メソ多孔体のX線回折パターンは,1nm以上かつ30nm以下のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを示すことを特徴とする不斉固体触媒。
- 請求項1〜7のいずれか1項において,上記無機系固体は1〜30nmの中心細孔直径を有するメソ多孔体よりなり,該メソ多孔体は,上記中心細孔直径の±40%以内の細孔直径を有する細孔を,全細孔容積に対して60%以上有することを特徴とする不斉固体触媒。
- 請求項8又は9において,上記メソ多孔体の中心細孔直径は,4〜10nmであることを特徴とする不斉固体触媒。
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