JP4352243B2 - 中空部品の成形用金型および製造方法 - Google Patents
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Description
一方、従来のハイドロフォーム法によっても、製品の軸方向の形状の自由度が低く、必要な機能を担持させるための最適形状を与えることができないといった欠点があった。
その他の製造方法として、鋳造法やプレス成形品を溶接して必要な製品形状を得る手法が考えられるが、鋳造法では後加工を避けることが困難であり、かつ、1mm台の薄肉化が困難で、部品の軽量化が極めて困難であるといった問題があった。また、プレス成形品を溶接する手法では、軸方向に複雑な形状を得ることが困難で、かつ、合わせ部品毎のスプリングバックや、溶接の熱歪等による部品精度の悪化を招き易く、かつ、合わせ部品毎に溶接フランジを設ける必要がある等の欠点があった。
本発明によれば、キャビティに中空素材をセットして、ハイドロフォーム加工により前記キャビティ形状を中空素材に転写することで、多角形断面形状の捩れ部を有する中空部品を得ることができる。しかも、型割り面が当該キャビティ内の中空部品に対し金型の開閉方向に負角を生じないように配置されていることから、金型に複雑なスライド構造を採用することなく、型開きおよび製品の離型が可能となる。
この構成によって、金型に複雑なスライド構造を採用することなく、ハイドロフォーム加工用金型のキャビティに、必要な捩れ多角形断面形状を与えることが可能となる。
さらに、前記金型ユニットは、前記金型ユニット毎に、捩れ多角形断面形状のキャビティの捩れに倣って、金型の開閉方向にその位置を変位させる型割り面を備えるものとすることで、金型に複雑なスライド構造を採用することなく、前記キャビティに必要な捩れ多角形断面形状を与えることが可能となる。
この構成によって、正n角形の捩れ多角形断面形状部を有する中空部品を、ハイドロフォーム加工するためのキャビティを、金型に構成することができる。
この構成によって、キャビティの多角形断面が正n角形でありその角部にフィレットが形成されている捩れ多角形断面形状部を有する中空部品を、ハイドロフォーム加工するためのキャビティを、金型に構成することができる。
この構成によって、キャビティの捩れ多角形断面が正n角形でありその角部に面取りが施されている捩れ多角形断面形状部を有する中空部品を、ハイドロフォーム加工するためのキャビティを、金型に構成することができる。
何れの場合であっても、必要な捩れ多角形断面形状を有するキャビティを備える金型を構成することができる。
本発明によれば、捩れ多角形断面形状の捩れ部を有する中空部品を、ハイドロフォーム加工により成形することが可能となる。
図1には、本発明の実施の形態に係る中空部品の成形用金型20と、成形用金型20にセットされる中空素材100とを示している。成形用金型20は、ハイドロフォーム加工用の金型であり、上型22と下型24とで構成されている。ハイドロフォーム加工の手順は、まず、図2(a)に示すように、中空素材100を金型20にセットし、中空素材100に液圧Pを付与しつつ、軸押し26によって軸押力Fを負荷する。そして、中空素材100を図2(b)に示すように、金型20のキャビティ28の形状に倣って変形させ、最終的には、図2(c)に示すように、金型20のキャビティ28の形状を中空素材100に転写するものである。なお、中空素材100は、金属管に予備成形と呼ばれる曲加工や、潰し加工などを施したものを用いることが多い。なお、本発明の実施の形態において用いられる中空素材100の材料は、押出し成形の場合と異なり、その材料に制限を受けるものではなく、金属鋼管等も使用可能である。
下型24(上型22)には、必要な捩れ多角形断面形状のキャビティ28が形成されている。また、下型24(上型22)は、軸方向に連続する複数の金型ユニット30により構成されている。しかも、キャビティ28の捩れ多角形断面形状が、複数の金型ユニット30(30A、30B)に跨って形成されると共に、長さLの各金型ユニット30A、30Bが受持つキャビティの一部分28A、28Bの捩れ角が、金型の開閉方向の負角を生じることのない角度に制限されている(後述する)。なお、図1〜図3の例では、各金型ユニット30A、30Bは一体に形成されている。また、各金型ユニット30A、30Bの前後にも、中空素材100の直径を維持する円筒キャビティを有する端部ユニット32、34が一体に形成されている。
したがって、図示の例では、捩れ角は360°/4=90°であり、図5(a)に示すようにフィレットが形成された正四角形のキャビティ断面の角部(図中、円で囲んだ部分)を、図5(b)に示すように0°〜90°まで回転させても、キャビティの一部分28A、40Aには金型の開閉方向の負角が生じないことが理解される。
そして、図1〜図4に示す金型20の場合には、図3に示すように、二つの金型ユニット30A、30Bの2つを用いることによって、捩れ多角形断面形状のキャビティ28は、全体で180°の捩れ角を得ている。
さらに、キャビティに不規則n角形断面を採用した場合にも、正n角形と同様に、各金型ユニットが各々受け持つキャビティの捩れ多角形断面形状の捩れ角は、最大で360/n°となる。
したがって、捩れ多角形断面形状という軸方向の複雑形状を、製品の板厚にばらつきを生じることなく、また、材料に制約を受けることもなく製造することが可能となり、高精度かつ高機能の機能性中空部品を提供することが可能となる。
また、金型ユニット30は、図3、図4に示すように、キャビティ40の多角形断面形状の捩れに倣って、金型の開閉方向にその位置を変位させる型割り面38、42を備えることで、金型20に複雑なスライド構造を採用することなく、キャビティ28、40に必要な捩れ多角形断面形状を与えることが可能となる。
一方、前記キャビティの多角形断面が正n角形でありその角部に面取りが施されているとき、各金型ユニットが各々受け持つキャビティの捩れ多角形断面形状の捩れ角は、最大で360/2n°とすることで、各金型ユニット30のキャビティの一部分に、金型20の開閉方向の負角が生じることを防ぐことが可能となる。
また、図11に示す捩れ中空部品は106は、捩れ多角形断面形状の捩れ方向を途中で逆転させたものであり、捩れ方向が異なる金型ユニットを組み合わせた金型を用い、符号106aで示す範囲と、符号106bで示す範囲とを一体成形したものである。
また、図13に示す捩れ中空部品110は、符号110aで示す範囲と、符号110bで示す範囲とで、捩れピッチが異なるものである。この捩れ中空部品110を成形するための金型は、捩れピッチが異なる金型ユニットを組み合わせたものである。
さらに、図14に示す捩れ中空部品112は、捩れ多角形断面形状部112aと、非ねじれ部である多角形部112bとを一体成形したものである。なお、両者をつなぐ徐変部112cを成形するためのキャビティ形状については、捩れ多角形断面形状部112aを成形するための金型ユニットに設けてもよく、多角形部112bを成形するための端部ユニットに設けてもよい。
さらに、図17には、多角形断面形状の捩れ部116aを一体成形した自動車のサイドメンバ116を示している。このサイドメンバ116は、捩れ部116aにおいて、衝撃吸収性能を自在に制御することが可能となる。また、図18には、鋼材により成形された捩れ形状クラッシュボックス118を示している。このクラッシュボックス118は、軸方向の力Fを受けて捩れピッチを縮めるように圧縮変形することで、力Fを自在に吸収することが可能となる。このようなクラッシュボックス118は、従来の押出し成形では得ることができない形状の部品である。
Claims (9)
- 多角形断面形状の捩れ部を有する中空部品を、ハイドロフォーム加工するための金型であって、
捩れ多角形断面形状のキャビティが形成され、かつ、型割り面が当該キャビティ内の中空部品に対し金型の開閉方向に負角を生じないように配置されていることを特徴とする中空部品の成形用金型。 - 軸方向に連続する複数の金型ユニットにより構成され、当該複数の金型ユニットに跨って、前記キャビティの捩れ多角形断面形状が形成されると共に、各金型ユニットが受持つ捩れ多角形断面形状のキャビティの捩れ角が、各々、金型の開閉方向の負角を生じない範囲に制限されていることを特徴とする請求項1記載の中空部品の成形用金型。
- 前記金型ユニット毎に、捩れ多角形断面形状のキャビティの捩れに倣って、金型の開閉方向にその位置を変位させる型割り面を備えることを特徴とする請求項2記載の中空部品の成形用金型。
- 前記金型ユニットが各々受け持つキャビティの捩れ多角形断面形状の捩れ角は、前記キャビティの多角形断面が正n角形であるとき、最大で360/n°とされることを特徴とする請求項2または3記載の中空部品の成形用金型。
- 前記金型ユニットが各々受け持つキャビティの捩れ多角形断面形状の捩れ角は、前記キャビティの多角形断面が正n角形でありその角部にフィレットが形成されているとき、最大で360/n°とされることを特徴とする請求項2または3記載の中空部品の成形用金型。
- 前記金型ユニットが各々受け持つキャビティの捩れ多角形断面形状の捩れ角は、前記キャビティの多角形断面が正n角形でありその角部に面取りが施されているとき、最大で360/2n°とされることを特徴とする請求項2または3記載の中空部品の成形用金型。
- 前記複数の金型ユニットは、全て一体に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の中空部品の成形用金型。
- 前記複数の金型ユニットは、各々が別体に形成され、かつ、締結部材によって一体化されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の中空部品の成形用金型。
- 多角形断面形状の捩れ部を有する中空部品の製造方法であって、
捩れ多角形断面形状のキャビティが形成され、かつ、型割り面が当該キャビティ内の製品に対し金型の開閉方向に負角を生じないように配置された、一対の金型に中空素材をセットし、ハイドロフォーム加工により前記キャビティ形状を中空素材に転写することを特徴とする中空部品の製造方法。
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