JP4350586B2 - 車両用照明装置 - Google Patents

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本発明は自動車等の車両の走行状況に対応して前照灯等のランプの照射方向や照射範囲を偏向動作させる配光制御手段、例えば適応型照明システム(以下、AFS(Adaptive Front-lighting System))を備える車両用照明装置に関し、特に偏向動作を行う駆動源としてのモータ駆動装置に関するものである。
自動車の走行安全性を高めるために提案されているAFSとして、本出願人により提案されている特許文献1に記載の技術がある。このAFSは、図1に概念図を示すように、自動車CARにステアリング装置での操舵角を検出するステアリングセンサ1Aや車速を検出する車速センサ1Bを設けておき、これらセンサ1A,1Bの検出出力を電子制御ユニット(以下、ECU(Electronic Control Unit ))2に入力し、ECU2は入力された検出出力に基づいて自動車の前部の左右にそれぞれ装備された前照灯3(スイブルランプ3R,3L)の照射範囲、例えば照射方向を左右方向に偏向制御してその配光特性を変化させている。このAFSによれば、自動車がカーブした道路を走行する際には、当該自動車の操舵角に対応してスイブルランプの照射方向を偏向制御してカーブ前方の道路を照明することが可能になり、走行安全性を高める上で有効になる。
このようなAFSにおいては、左右のスイブルランプの駆動源としてモータを設け、このモータの回転出力を減速歯車列により減速してスイブルランプの偏向中心となる回転軸を回転し、各スイブルランプの偏向動作を行うように構成しており、偏向制御はこのモータの回転位置を制御することで各スイブルランプの照射方向を所定の方向に設定している。モータの回転位置を制御するためには、モータ回転位置センサによりモータの回転位置を検出し、検出した回転位置に基づいてモータ駆動回路においてモータを目標となる回転位置(以下、目標位置と称する)にフィードバック制御する構成がとられている。このフィードバックでは、モータを所定の時間内で迅速に目標位置に回転位置させるために、目標位置と検出した現在の回転位置との差である位置偏差を計算し、得られた位置偏差が小さいときにはモータを緩やかに回転させ、位置偏差が大きいときにはモータの回転駆動力を高めて高速回転させる手法がとられている。
例えば、図9(a)において、縦軸はモータの回転速度、横軸は時間であり、位置偏差が大きい場合にはモータを駆動する際の初期の駆動力を大きくして高速回転動作させ、位置偏差が小さい場合には低速回転動作させている。これにより、位置偏差が異なる場合でもほぼ同じ時間内にモータを目標位置に回転位置させ、迅速なAFS制御を実現している。
特開2002−160581号公報
図9(a)に示したように従来のモータ駆動回路では、目標回転位置と現在の回転位置との位置偏差が大きいときには、モータを駆動する速度を高めているので、必然的にモータ制御を開始する初期の速度、すなわち駆動力を大きくする必要がある。図9(b)は位置偏差の違いによるモータ制御の駆動力特性を示しており、位置偏差が大きい場合にはモータの制御初期に大きな駆動電流(起動電流)を供給することになり、モータの消費電力が大きくなるとともに発熱が顕著になるという問題が生じる。また、位置偏差が大きな場合にモータを急激に高速回転させる際のトルク変動によってスイブルランプの滑らかな偏向動作が得られないという問題もある。なお、位置偏差の違いにかかわらずモータの速度を一定にすると、位置偏差が大きい場合にはモータを目標位置に設定するまでの時間が長くなり、迅速なAFS制御の実現が困難になる。
本発明の目的は、モータの始動時における消費電力及び発熱を抑制し、かつ回転動作を滑らかなに制御して、迅速かつ安定に目標位置に設定制御することを可能にしたモータ駆動手段を備える車両用照明装置を提供するものである。
本発明は、車両に設けられた照明装置の照射光軸を偏向する光軸偏向手段を備える車両用照明装置において、光軸偏向手段の回転駆動源としての駆動モータと、当該駆動モータの回転位置を検出し、検出した回転位置に基づいて駆動モータを目標位置に位置制御するための情報信号を出力するモータ回転制御部と、モータ回転制御部からの情報信号に基づいて駆動モータの回転位置を制御する出力回路とを備え、モータ回転制御部は、駆動モータの回転位置を検出する回転位置検出部と、検出した回転位置と目標回転位置との位置偏差を演算する位置偏差演算部と、この位置偏差演算部の出力に基づいて駆動モータに供給する駆動力を設定する駆動力設定部とを備え、駆動力設定部は、位置偏差に基づく第1の速度特性を格納する第1のメモリと、駆動モータの回転開始時からの時間経過に基づく第2の速度特性を格納する第2のメモリ第1及び第2の速度特性を比較していずれかのメモリの速度特性を選択する選択部とを備え、第1の速度特性は位置偏差が大きくなるに従ってモータ駆動初期の速度を大きくし、目標とする回転位置で速度をほぼ0にするように設定され、第2の速度特性は時間の経過に伴って速度が直線的に増加するように設定され、選択部は駆動モータの位置制御時には第1及び第2の速度特性から低速度側の速度特性を選択し、これを駆動力の特性情報として出力回路に出力することを特徴とする。
本発明によれば、駆動モータの回転位置制御を開始する際には、低速度側の目標速度特性を選択して駆動モータを駆動することにより、モータの回転位置制御の始動時に供給する駆動電流が急激に増大することが抑制され、駆動モータにおける消費電力を低減し、かつ発熱を抑制することができる。また、トルク変動が抑制でき、照明装置の滑らかな光軸偏向動作が実現できる。
本発明における好ましい形態としては、選択手段は、駆動モータの位置制御の開始時には第2の速度特性を選択し、駆動モータの位置制御の終了時には第1の速度特性を選択する構成とする。
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図2は図1で説明したAFSの構成要素のうち、照射方向を左右に偏向可能なスイブルランプの内部構造の縦断面図、図3はその主要部の部分分解斜視図である。灯具ボディ11の前部開口にはレンズ12が、後部開口には後カバー13がそれぞれ取着されて灯室14が形成されており、当該灯室14内にはプロジェクタランプ30が配設されている。前記プロジェクタランプ30はスリーブ301、リフレクタ302、レンズ303及び光源304が一体化されており、既に広く使用されているものであるので詳細な説明は省略するが、ここでは光源304には放電バルブを用いたものを使用している。前記プロジェクタランプ30は概ねコ字状をしたブラケット31に支持されている。また、前記灯具ボディ11内のプロジェクタランプ30の周囲にはレンズ12を通して内部が露呈しないようにエクステンション15が配設されている。さらに、この実施形態では、前記灯具ボディ11の底面開口に取着される下カバー16を利用してプロジェクタランプ30の放電バルブを点灯させるための点灯回路7が内装されている。
前記プロジェクタランプ30は、前記ブラケット31の垂直板311からほぼ直角に曲げ形成された下板312と上板313との間に挟さまれた状態で支持されている。前記下板312の下側には後述するアクチュエータ4がネジ314により固定されており、当該アクチュエータ4の回転出力軸411は下板312に開口された軸穴315を通して上側に突出されている。ネジ314は下板312の下面に突出されたボス318にネジ止めされる。そして、前記プロジェクタランプ30の上面に設けられた軸部305が上板313に設けられた軸受316に嵌合され、プロジェクタランプ30の下面に設けられた連結部306が前記アクチュエータ4の回転出力軸411に嵌合して連結されており、これによりプロジェクタランプ30はブラケット31に対して左右方向に回動可能とされ、かつ後述するようにアクチュエータ4の動作によって回転出力軸411と一体に水平方向に回動動作されるようになっている。
ここで、前記ブラケット31は正面から見て左右の各上部にエイミングナット321,322が一体的に取着され、右側の下部にレベリング軸受323が一体的に取着されており、それぞれ灯具ボディ11に軸転可能に支持された水平エイミングスクリュ331、垂直エイミングスクリュ332が螺合され、レベリング機構5のレベリングボール51が嵌合される。そして、これら水平エイミングスクリュ331、垂直エイミングスクリュ332を軸転操作することでブラケット31を左右方向及び上下方向に回動することが可能となる。また、レベリング機構5によりレベリングポール51を軸方向に前後移動することで、ブラケット31を上下方向に回動することが可能となる。これにより、プロジェクタランプ30の光軸を左右方向及び上下方向に調整するためのエイミング調整、及び自動車の車高変化に伴うレベリング状態に対応してプロジェクタランプの光軸を上下方向に調整するレベリング調整が可能になる。なお、プロジェクタランプ30のリフレクタ302の下面には突起307が突出されており、またこれに対向するブラケット31の下板312には左右位置にそれぞれ一対のストッパ317が切り起こし形成されており、プロジェクタランプ30の回動に伴って突起307がいずれか一方のストッパ317に衝接することで、当該プロジェクタランプ30の回動範囲が規制されるようになっている。
前記アクチュエータ4は、上下に分割される上ハーフと下ハーフとで構成される五角形に近いケース41を備えており、このケース41の両側面には支持片412,413が両側に向けて突出形成され、ケース41をブラケット31のボス318にネジ314により固定するために利用される。前記ケース41の上面にはスプライン構成をした回転出力軸411が突出されて前記プロジェクタランプ30の底面の連結部306に結合される。この回転出力軸411はアクチュエータ4内に内蔵されている後述するブラシレスモータ42によって所要の回転角範囲内で往復回転駆動されるものである。また、前記ケース41の背面には図には表れないコネクタが配設され、前記ECU2に接続された外部コネクタ21が嵌合されるようになっている。
図4は前記ECU2及びアクチュエータ4を含む照明装置の電気回路構成を示すブロック回路図である。なお、アクチュエータ4は自動車の左右のスイブルランプ3R,3Lに装備されたものであり、ECU2との間で双方向通信が可能とされている。前記ECU2内には前記ステアリングセンサ1A及び車速センサ1Bで検出された操舵角と車速とにより所定のアルゴリズムでの処理を行なって所要の制御信号C0を出力するメイン制御回路としてのメインCPU201と、当該メインCPU201と前記アクチュエータ4との間で前記制御信号C0を入出力するためのインターフェース(以下、I/Fと称する)回路202とを備えている。ここでは前記制御信号C0は、アクチュエータ4に対してスイブルランプ3R,3Lの光軸偏向角度を制御するための左右偏向角度信号である。
また、自動車の左右の各スイブルランプ3R,3Lにそれぞれ設けられた前記アクチュエータ4内に内装されているプリント基板45上に構成される制御回路43は、前記ECU2との間の信号を入出力するためのI/F回路432と、前記I/F回路432から入力される信号及び後述するようにブラシレスモータ42に設けられたホール素子H1,H2,H3から出力されるパルス信号Pに基づいて所定のアルゴリズムでの処理を行うサブCPU431と、回転駆動手段として前記ブラシレスモータ42を回転駆動するためのモータドライブ回路433とを備えている。ここで、前記ECU2からは前記制御信号C0の一部としてスイブルランプ3R,3Lの左右偏向角度信号が出力され前記アクチュエータ4に入力される。また、前記スイブルランプ3R,3Lを点灯するための点灯回路7は前記メインCPU201により点灯制御される。
以上の構成のAFSによれば、自動車CARに配設されたステアリングセンサ1AからはステアリングホイールSWの回転角度、すなわち自動車の操舵角の信号と、車速センサ1Bからの自動車の車速の信号がそれぞれ検出されてECU2に入力される。ECU2は入力された検出出力に基づいてメインCPU201で演算を行い、自動車のスイブルランプ3R,3Lにおけるプロジェクタランプ30の左右偏向角度信号C0を算出し両スイブルランプ3R,3Lの各アクチュエータ4に入力する。アクチュエータ4では入力された左右偏向角度信号C0によりサブCPU431が演算を行い、当該左右偏向角度信号C0に対応した信号を算出してモータドライブ回路433に出力しモータ42を回転駆動する。モータ42の回転駆動力は減速されて回転出力軸411に伝達され、回転出力軸411に連結されているプロジェクタランプ30が水平方向に回動し、スイブルランプ3R,3Lの照射方向(光軸方向)が左右に偏向される。
前記ブラシレスモータ42は、図5に一部を破断した斜視図に示すように、アクチュエータ4のケース41内に立設された中空ボス414に図外のスラスト軸受及びスリーブ軸受によって回転シャフト423が軸転可能に支持されている。また、前記中空ボス414には円周方向に等配された3対のコイルを含むステータコイル424が固定的に支持されており、当該ステータコイル424は前記ケース41内に配設されたプリント基板45に電気接続されて給電されるようになっている。ここではステータコイル424はコアベース425と一体的に組み立てられており、このコアベース425に設けられたターミナル425aを利用して前記プリント基板45に対して電気接続する構成がとられている。そして、前記回転シャフト423の上端部には前記ステータコイル424を覆うように円筒容器状のロータ426が固定的に取着され、さらに上端には前記アクチュエータ4に設けられている減速歯車機構を構成する第1歯車441が一体的に取着されている。前記ロータ426は樹脂成形された円筒容器型のヨーク427と、このヨーク427の内周面に取着されて円周方向にS極、N極が交互に着磁された円環状のロータマグネット428とで構成されている。
さらに、前記プリント基板45には前記ロータ426の円周方向に沿って所要の間隔で並んだ複数個、ここでは3個のホール素子H1,H2,H3が配列支持されており、前記ロータ426と共にロータマグネット428が回転されたときに各ホール素子H1,H2,H3における磁界が変化され、各ホール素子H1,H2,H3のオン、オフ状態が変化されてロータ426の回転周期に対応した矩形波のパルス信号Pを出力するように構成されている。
図6に前記ブラシレスモータ42、サブCPU431及びモータドライブ回路433のブロック回路図を示す。前記モータドライブ回路433には前記サブCPU431からモータを目標位置に回転位置させるためのモータ回転制御信号R1が入力される。前記モータドライブ回路433は、モータ回転制御部434と、マトリクス回路435と、出力回路436とを備えており、マトリクス回路435は前記ホール素子H1,H2,H3からのパルス信号P1,P2,P3と前記モータ回転制御信号R1とでモータ回転位置を目標位置に回転制御する制御信号C1を出力回路436に出力する。出力回路436は制御信号C1に基づいて前記ブラシレスモータ42のステータコイル424に対して位相の異なるU,V,Wの交流を供給することによってブラシレスモータを目標位置に回転位置させる。
前記モータ回転制御部434は、図7にブロック回路図を示すように、前記ホール素子H1,H2,H3からのパルス信号P1,P2,P3に基づいてブラシレスモータ42の回転位置を検出する回転位置検出部4341と、検出した回転位置を前記モータ回転制御信号R1で指示される目標位置との回転角度差をとって位置偏差を求める位置偏差演算部4342と、演算された位置偏差と予め設定された設定時間とからモータの駆動力、ここではモータの回転速度を設定する駆動力設定部4343とを備えている。
前記回転位置検出部4341は、ブラシレスモータ42の回転動作に伴ってホール素子H1,H2,H3からそれぞれ出力されるパルス信号P1,P2,P3を検出し、これらパルス信号の立ち上がりや立ち下り時に発生させるパルスをカウントすることで、そのカウント値からブラシレスモータ42の回転位置を検出することが可能である。この技術については既に広く知られているので、ここでは詳細な説明は省略する。
前記位置偏差演算部4342は前記回転位置検出部4341で検出された回転位置と、サブCPU431からのモータ回転制御信号R1で指示される目標位置との角度差をとることにより容易に位置偏差を演算することが可能である。
前記駆動力設定部4343はブラシレスモータ42の回転速度を時間軸に沿って制御する際の計時を行うためのタイマTMと、ブラシレスモータ42を目標位置に設定する際に当該モータに供給する駆動力の特性情報として、位置偏差に基づく速度特性v1(以下、第1の速度特性と称する)を格納したメモリM1と、ブラシレスモータ42の起動時からの時間経過に基づく第2の速度特性v2(以下、第2の速度特性)を格納したメモリM2とを備えている。さらに、前記駆動力設定部4343は、前記第1の速度特性v1と第2の速度特性v2とを比較し、両者のうち低速度側の速度特性を選択し、その選択した速度特性に基づいてブラシレスモータ42を回転駆動するのに必要とされる駆動力を設定し、設定した駆動力の情報信号D1を前記マトリクス回路435に出力する選択部SELを備えている。
前記第1の速度特性v1は、図8(a)に示すように、縦軸にブラシレスモータ42を回転駆動する際の速度、横軸に時間をとったグラフ上において、異なる位置偏差をパラメータとしたときの速度特性である。ここで、この速度特性そのものは図9(b)に示した従来特性と同じであり、位置偏差が大きくなるのに従ってモータ駆動初期の速度を大きくし、タイマTMにおいて計時される時間に従ってブラシレスモータ42を回転制御して目標位置に設定する一方で、目標位置に設定する時点では速度をほぼ0にするように設定されている。一方、前記第2の速度特性v2は、図8(b)に示すように、ブラシレスモータ42の起動と共に時間の経過に伴って速度が直線的に増加する特性となるように設定されている。この実施例では第2の速度特性v2を特定の傾きの特性に設定しているが、同図に破線で示すように複数の異なる傾きの速度特性を用意しておき、位置偏差の大きさに応じていずれか1つの傾きの特性を選択して設定するようにしてもよい。。
以上の前記モータ回転制御部434の動作を説明する。パルス信号P1,P2,P3に基づいて回転位置検出部4341において現在のブラシレスモータ42の回転位置が検出されると、位置偏差演算部4342ではモータ回転制御信号R1との差をとって位置偏差を演算する。演算された位置偏差が駆動力設定部4343に入力されると、駆動力設定部4343はメモリM1内の図8(a)に示した第1の速度特性v1を参照して、位置偏差の値に対応した速度特性v1xを設定する。また、同時に駆動力設定部4343はメモリM2内の図8(b)に示した第2の速度特性V2を設定する。
次いで、駆動力設定部4343では、選択部SELにおいて、設定した第1の速度特性v1と、第2の速度特性v2とを比較し、ブラシレスモータ42が目標位置に達するまでのモータの駆動時間内において両者のうち速度の低い方を選択する。この例では、図8(c)に示すように、モータの制御を開始してから時刻taまでは第2の速度特性v2の方が第1の速度特性v1よりも低速であるので第2の速度特性v2を選択し、時刻ta以降は第1の速度特性v1の方が第2の速度特性v2よりも低速であるので第1の速度特性v1を選択する。これにより、第1及び第2の両速度特性v1,v2が組み合わされた速度特性vxが得られる。
そして、駆動力設定部4343では設定した速度特性vxからなる駆動力情報信号D1を出力する。この駆動力情報信号D1はマトリクス回路435に入力され、マトリクス回路435は設定された駆動力特性、すなわち速度特性を前記モータ駆動制御信号C1に重畳する。出力回路436はこのモータ駆動制御信号C1に重畳された速度特性、すなわち駆動力特性に基づいて前記ブラシレスモータ42の前記ステータコイル424のコイル424に供給する電力を制御し、モータの駆動力、すなわち回転速度を制御する。
このように駆動力を制御することで、図8(c)に示した速度特性vxでは、ブラシレスモータ42は制御開始から時刻taまでは先に選択された第2の速度特性v2に基づく駆動力制御が行われるため、回転速度が直線的に増加しながら回転動作される。そのため、モータの制御開始時における駆動力が急激に増大することが抑制され、ブラシレスモータ42における消費電力の増大や顕著な発熱を防止することができる。また、時刻ta以降では第1の速度特性v1が選択されるので当該第1の速度特性v1に基づく駆動力制御が行われる。これにより、ブラシレスモータ42は目標位置に到達するのに従って速度が低下されるので、オーバランすることなく安定に目標となる回転位置に設定することができる。
ここで、本発明においては、第1及び第2の速度特性のうち低速度側の速度特性を選択しているので、モータの制御期間中における平均の回転速度が低下することになり、モータを目標となる回転位置に設定するための時間が若干長くなるが、このモータによる回転制御は短い時間内でのことなので、実質にモータ制御時間が長くなることによって車両用照明装置のスイブル制御に与える影響は無視できる。
なお、モータの周囲条件、例えば、バッテリ電圧、温度等に応じて第1及び第2の各速度特性を適宜変化させ、所望の設定時間でモータを目標位置に設定するように調整するとともに、必要以上に駆動力を低下させないようにすることが好ましい。
また、前記実施例ではAFSの駆動源としてのモータにブラシレスモータを用いているために回転制御を行うためのホール素子から出力されるパルス信号を利用してモータの回転位置検出及び回転制御を行っているが、通常の直流モータやステップモータ等を利用する場合には、これらのモータに付設した回転センサの検出信号やステッピング制御用信号を利用して回転位置検出や回転制御を行うようにしてもよい。
前記実施例では、AFSをスイブルランプを構成しているプロジェクタランプを左右方向に偏向して照射光軸を変化させる前照灯に適用した例を示したが、本発明は、リフレクタのみを偏向動作させる構成、あるいは主リフレクタと独立して設けた補助リフレクタを偏向動作させることで実質的な照射範囲を変化させるようにした前照灯に適用してもよい。
AFSの概念構成を示す図である。 スイブルランプの縦断面図である。 スイブルランプの内部構造の主要部の分解斜視図である。 AFSの回路構成を示すブロック回路図である。 ブラシレスモータの一部を破断した分解斜視図である。 ブラシレスモータとモータドライブ回路のブロック回路図である。 モータ回転制御部のブロック回路図である。 本発明における目標速度の特性図である。 従来技術での目標速度の特性図である。
符号の説明
1A ステアリングセンサ
1B 車速センサ
2 ECU
3 前照灯
3R 右スイブルランプ
3L 左スイブルランプ
4 アクチュエータ
30 プロジェクタランプ
42 スイブルモータ
43 制御回路
201 メインCPU
431 サブCPU
433 モータドライブ回路
434 モータ回転制御部
435 マトリクス回路
436 出力回路
4341 回転位置検出部
4342 位置偏差演算部
4343 駆動力設定部
M1 メモリ(第1の速度特性v1)
M2 メモリ(第2の速度特性v2)
H1,H2,H3 ホール素子

Claims (2)

  1. 車両に設けられた照明装置の照射光軸を偏向する光軸偏向手段を備える車両用照明装置において、前記光軸偏向手段の回転駆動源としての駆動モータと、前記駆動モータの回転位置を検出し、検出した回転位置に基づいて前記駆動モータを目標位置に位置制御するための情報信号を出力するモータ回転制御部と、前記モータ回転制御部からの情報信号に基づいて前記駆動モータの回転位置を制御する出力回路とを備え、前記モータ回転制御部は、駆動モータの回転位置を検出する回転位置検出部と、検出した回転位置と目標回転位置との位置偏差を演算する位置偏差演算部と、この位置偏差演算部の出力に基づいて駆動モータに供給する駆動力を設定する駆動力設定部とを備え、前記駆動力設定部は、位置偏差に基づく第1の速度特性を格納する第1のメモリと、前記駆動モータの回転開始時からの時間経過に基づく第2の速度特性を格納する第2のメモリ、前記第1及び第2の速度特性を比較していずれかのメモリの速度特性を選択する選択部とを備え、前記第1の速度特性は位置偏差が大きくなるに従ってモータ駆動初期の速度を大きくし、目標とする回転位置で速度をほぼ0にするように設定され、前記第2の速度特性は時間の経過に伴って速度が直線的に増加するように設定され、前記選択部は前記駆動モータの位置制御時には前記第1及び第2の速度特性から低速度側の速度特性を選択し、これを前記駆動力の特性情報として前記出力回路に出力することを特徴とする車両用照明装置。
  2. 前記選択手段は、駆動モータの位置制御の開始時には前記第2の速度特性を選択し、前記駆動モータの位置制御の終了時には前記第1の速度特性を選択することを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
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