JP4342263B2 - 移動通信端末 - Google Patents

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Description

本発明は、第1の偏波を用いて無線信号を送受信する第1の基地局と、第2の偏波を用いて無線信号を送受信する第2の基地局との中から、何れかの基地局を選択して通信を行う移動通信端末、より具体的には、マクロセルとマイクロセルとで異なる偏波による無線信号が用いられる移動体通信システムにおける移動通信端末に関する。
従来、移動体通信システムでは、サービスエリアを複数のセル(領域)に分割し、分割したセル(以下、マクロセル)毎に設けられた基地局と、当該セル内に位置する移動通信端末との間において通信が行われる。
さらに、従来の移動体通信システムでは、同時に接続することができる移動通信端末の数を増加させること、ならびに基地局と移動通信端末とが必要とする無線送信電力の低減を目的として、上述したマクロセル内に、より狭い領域をカバーするセル(以下、マイクロセル)を配置する、いわゆる階層セル構成が適用されている。
特に、拡散コードを用いることにより、同一周波数を共用するCDMA(Code Division Multiple Access)方式の移動体通信システムは、TDMA(Time Division Multiple Access)方式の移動体通信システムと比較して、他セルからの干渉に強い特性を備えており、一般的に、他セルからの干渉によって、即座に基地局と移動通信端末との間の通信品質が大幅に劣化しない。このため、CDMA方式の移動体通信システムでは、マクロセル内に、マクロセル基地局から一定の距離を確保しつつ、当該マクロセル基地局と同一周波数を用いるマイクロセル基地局を配置している(例えば、特許文献1)。
また、上述したような従来の移動体通信システムにおいて、移動通信端末が、複数のアンテナを備え、その姿勢、例えば、鉛直線に対する傾きを推定し、推定した姿勢に応じて、基地局との通信に用いるアンテナを選択して無線信号を送受信することが提案されている(例えば、特許文献2)。
特開平10−75231号公報(第3−7頁、第2図) 特開2001−103002号公報(第3−5頁、第1−3図)
ところで、上述したCDMA方式の移動体通信システムにおいて、セル間の干渉を低減し、当該移動体通信システムが同時に接続することができる移動通信端末の数をさらに増加させることを目的として、階層セル構成を有するマクロセルとマイクロセルとで、同一周波数の異なる偏波、例えば、マクロセル基地局が垂直偏波による無線信号を送受信し、マイクロセル基地局が水平偏波による無線信号を送受信することが考えられている。
また、階層セル構成では、移動通信端末が、マクロセル基地局からの無線信号と、マイクロセル基地局からの無線信号との双方を受信することができる場合、同時に接続することができる移動通信端末の数を増加させる観点からは、狭い領域をカバーするマイクロセル基地局が送受信する無線信号の偏波を移動通信端末に積極的に選択させることが好ましいと考えられる。
しかしながら、上述した特許文献2に記載されている移動通信端末は、基本的に、基地局が単一の偏波(一般的には垂直偏波)を用いる場合において、その姿勢(傾き)に応じて、適切なアンテナを選択して当該基地局と無線信号の送受信を行うものであるため、階層セル構成を有するマクロセルとマイクロセルとで異なる偏波による無線信号が送受信される場合、特定の偏波による無線信号を送受信する基地局、例えば、水平偏波による無線信号を送受信するマイクロセル基地局を積極的に選択することができないという問題があった。
そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、階層セル構成を有するマクロセルとマイクロセルとで異なる偏波による無線信号が送受信される場合において、その姿勢と、各基地局からの無線信号の受信品質とに基づいて、無線信号の送受信に用いるアンテナ、すなわち、特定の偏波を選択することができる移動通信端末を提供することをその目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、第1の偏波(例えば、垂直偏波)による無線信号を送受信する第1の基地局(例えば、マクロセル基地局)と、第2の偏波(例えば、水平偏波)による無線信号を送受信する第2の基地局(マイクロセル基地局)との中から、何れかの基地局を選択して通信を行う移動通信端末であって、前記無線信号を送受信する複数のアンテナから構成されるアンテナ部と、前記移動通信端末の傾きに基づいて、前記移動通信端末の姿勢を検出する姿勢検出部と、前記アンテナ部を用いて、前記第1の基地局及び前記第2の基地局からの無線信号の受信品質を測定する受信品質測定部と、前記姿勢と、前記受信品質とに基づいて、前記無線信号の偏波を判定するとともに、通信に用いる無線信号の偏波を決定する偏波決定部と、前記姿勢及び決定された前記偏波に基づいて、前記アンテナ部の中から、無線信号の送受信に用いるアンテナを選択するアンテナ選択部とを備えることを要旨とする。
かかる特徴によれば、移動通信端末が、その姿勢(例えば、鉛直線に対する傾き)と、無線信号の受信品質(例えば、無線受信電力値)とに基づいて、当該無線信号の偏波、すなわち、垂直偏波か水平偏波かを判定するとともに、通信に用いられる偏波を決定するため、階層セル構成を有するマクロセルとマイクロセルとで異なる偏波による無線信号が送受信される場合において、その姿勢と、各基地局からの無線信号の受信品質とに基づいて、無線信号の送受信に用いるアンテナ、すなわち、特定の偏波を選択することができる。
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴において、前記偏波決定部が、前記第1の基地局からの無線信号の受信品質を示す値と、前記第2の基地局からの無線信号の受信品質を示す値とが、通信を行うことができる所定の範囲内にある場合、前記第2の偏波を前記通信に用いる無線信号の偏波として決定することを要旨とする。
かかる特徴によれば、例えば、垂直偏波による無線信号を送受信するマクロセル基地局と、水平偏波による無線信号を送受信するマイクロセル基地局からの無線信号の受信品質が同等の場合、カバーする領域が狭いマイクロセル基地局を積極的に選択させることにより、移動体通信システムが同時に接続することができる移動通信端末の数の増加に寄与する移動通信端末を提供することができる。
本発明の第3の特徴において、前記受信品質測定部は、前記アンテナ部を構成する各アンテナを用いて、前記受信品質を複数回測定するとともに、前記アンテナ毎に、前記受信品質を示す値の平均値を取得し、前記偏波決定部は、前記姿勢及び前記平均値に基づいて、前記通信に用いる無線信号の偏波を決定することが好ましい。
本発明の第4の特徴において、前記受信品質測定部は、前記アンテナ部を構成する各アンテナを用いて、前記無線信号の品質を複数回測定するとともに、前記アンテナ毎に、前記受信品質を示す値の分布を取得し、前記偏波決定部は、前記姿勢及び前記分布に基づいて、前記通信に用いる無線信号の偏波を決定することが好ましい。
本発明によれば、階層セル構成を有するマクロセルとマイクロセルとで異なる偏波による無線信号が送受信される場合において、その姿勢と、各基地局からの無線信号の受信品質とに基づいて、無線信号の送受信に用いるアンテナ、すなわち、特定の偏波を選択することができる移動通信端末を提供することができる。
(移動通信端末が用いられる移動体通信システムの構成)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本実施形態に係る移動通信端末が用いられる移動体通信システムの構成について図1〜図3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る移動体通信システムにおいて適用される階層セル構成を説明するための概念図である。
同図に示すように、マクロセル20のほぼ中央には、マクロセル基地局21が配置される。本実施形態では、マクロセル基地局21は、垂直偏波による無線信号を送受信する。なお、マクロセル基地局は、一般的に屋外のサービスエリアをカバーするために配置される。
また、マクロセル20内には、マクロセル20よりも狭い領域をカバーするマイクロセル基地局11a,11bが配置されている。マイクロセル基地局11a,11bは、マイクロセル10a,10b内に在圏する移動通信端末と通信を行う。本実施形態では、マイクロセル基地局11a,11bは、水平偏波による無線信号を送受信する。なお、マイクロセル基地局としては、屋外のサービスエリアをカバーするものと、屋内のサービスエリアをカバーするものとが存在するが、以下、本実施形態では、屋内のサービスエリアをカバーするマイクロセル基地局を例として説明する。また、本実施形態では、マクロセル基地局が、垂直偏波による無線信号を送受信し、マイクロセル基地局が水平偏波による無線信号を送受信するものとして説明するが、マクロセル基地局とマイクロセル基地局とに適用される偏波は、逆であってもよい。
図2は、マクロセル基地局及びマイクロセル基地局の具体的な配置例を示している。同図に示すように、屋外のサービスエリアには、所定の間隔で、複数のマクロセル基地局21a〜21fが配置されている。
また、同図では、高層建造物30の各フロア、つまり、屋内のサービスエリアには、マイクロセル基地局(不図示)が配置されている。
このようなマクロセル基地局と、マイクロセル基地局とによる階層セル構成では、マクロセル基地局からの無線信号と、マイクロセル基地局からの無線信号とが干渉する。
例えば、高層建造物30の地上階(図中の(a))では、高層建造物30の比較的近傍に配置されているマクロセル基地局21a〜21c(図中の(1))からの無線信号が、高層建造物30の地上階に配置されているマイクロセル基地局からの無線信号と干渉する。
また、高層建造物30の中層階(図中の(b))では、地上階と比較すると、見通しが良好となり、無線信号の伝搬損失が小さくなるため、マクロセル基地局21a〜21cに加え、マクロセル基地局21d,21e(図中の(2))からの無線信号が、高層建造物30の中層階に配置されているマイクロセル基地局からの無線信号と干渉する。さらに、高層建造物30の高層階(図中の(c))では、地上階と比較すると、さらに無線信号の伝搬損失が小さくなるため、マクロセル基地局21fからの無線信号も、高層建造物30の高層階に配置されているマイクロセル基地局からの無線信号と干渉する。
すなわち、高層建造物30の高層階になるほど、見通しが良好となり、伝搬損失が小さくなるため、マクロセル基地局からの無線信号と、マイクロセル基地局からの無線信号との干渉量が増大する。
本実施形態では、マクロセル基地局が垂直偏波による無線信号を送受信し、マイクロセル基地局が水平偏波による無線信号を送受信することにより、高層建造物30の各フロアにおいて、屋外に配置されたマクロセル基地局から無線信号による干渉量が、交差偏波識別度の分低減される。さらに、干渉量が低減されることに伴い、高層建造物30の各フロアに配置されているマイクロセル基地局との通信に必要な移動通信端末の送信電力が低減される。
図3は、図2に示した高層建造物30内における、マクロセル基地局及びマイクロセル基地局から送信された無線信号の伝搬状態を説明するための説明図である。
同図に示すように、高層建造物30は、窓や扉などの開口部を有するため、高層建造物30内に、屋外に配置されたマクロセル基地局からの無線信号が到来する。同図(a)は、高層建造物30の地上階において、マクロセル基地局からの無線信号の伝搬エリア(図中の斜線部分)を示している。同図(b)は、高層建造物30の高層階において、マクロセル基地局からの無線信号の伝搬エリア(図中の斜線部分)を示している。上述したように、高層階では、見通しが良好となり、伝搬損失が小さくなるため、同図(a)と比較すると、フロアのより内部まで、マクロセル基地局からの無線信号の伝搬エリアが広がっている。
また、同図(c)は、高層建造物30の各フロア、つまり、屋内に配置されたマイクロセル基地局からの無線信号の伝搬エリアを示している。各フロアに配置されたマイクロセル基地局からの無線信号も、高層建造物30の開口部から屋外に到達するが、一般的に、マイクロセル基地局が送信する無線信号の電力値は、マクロセル基地局が送信する無線信号の電力値と比較して微小なため、干渉の問題は生じない。
同図(d)は、高層建造物30の地上階において、移動通信端末がハンドオーバーするために利用されるエリアを示している。地上階においては、屋外に配置されているマクロセル基地局にからの無線信号の伝搬エリアと、高層建造物30内に配置されているマイクロセル基地局からの無線信号の伝搬エリアとが重複するエリアが、移動通信端末がハンドオーバーするエリアとして用いられる。
(移動通信端末の論理ブロック構成)
次に、図4を参照して、上述した移動体通信システムにおいて用いられる、本実施形態に係る移動通信端末の論理ブロック構成について説明する。
本実施形態に係る移動通信端末100は、直交偏波アンテナ101と、直交偏波アンテナ102と、送受信部103と、アンテナ切替部104と、アンテナ選択部105と、偏波決定部106と、姿勢検出部107とを備えている。
直交偏波アンテナ101と、直交偏波アンテナ102とは、約90度の角度を有して、移動通信端末100に取り付けられている。また、直交偏波アンテナ101と、直交偏波アンテナ102とは、アンテナ切替部104と接続されている。なお、本実施形態では、直交偏波アンテナ101と、直交偏波アンテナ102とによって、アンテナ部を構成する。
なお、直交偏波アンテナ101,102としては、例えば、ロッドアンテナを用いることができる。また、直交偏波アンテナ101,102の一方又は双方は、移動通信端末100の筐体内に内蔵する形態でもよい。
送受信部103は、アンテナ切替部104を介して接続される直交偏波アンテナ101または直交偏波アンテナ102を用いて無線信号を送受信するものである。なお、送受信部103には、音声通話機能やデータ通信機能を提供するブロック(不図示)などが接続される。
アンテナ切替部104は、アンテナ選択部105からの指示に基づいて、直交偏波アンテナ101または直交偏波アンテナ102を送受信部103と接続するものである。
また、アンテナ切替部104は、アンテナ部を構成する直交偏波アンテナ101,102を用いて、無線信号の受信品質を測定するものであり、本実施形態では、受信品質測定部を構成する。
具体的には、アンテナ切替部104は、所定の周期Ts(例えば、1秒)毎に、直交偏波アンテナ101または直交偏波アンテナ102を偏波決定部106に接続する。
また、アンテナ切替部104は、直交偏波アンテナ101を用いて、マクロセル基地局及びマイクロセル基地局からの無線信号の受信品質を測定する。さらに、アンテナ切替部104は、直交偏波アンテナ102を用いて、マクロセル基地局及びマイクロセル基地局からの無線信号の受信品質を同様に測定する。なお、無線信号の受信品質としては、例えば、無線信号の受信電力値や、受信電力対干渉電力比を用いることができる。
さらに、アンテナ切替部104は、前記アンテナ部を構成する直交偏波アンテナ101,102を用いて、無線信号の受信品質を複数回測定するとともに、前記アンテナ毎に、受信品質を示す値の平均値または分布を取得することができる。
なお、アンテナ切替部104が、無線信号の受信品質を測定する回数を増加させることにより、後述する偏波決定部106は、より精度よく偏波を判定することができる。但し、アンテナ切替部104は、移動通信端末100が他の基地局にハンドオーバーする場合、それまでに取得した無線信号の受信品質を示す値を初期化する。また、受信品質を示す値の分布として、アンテナ切替部104は、例えば、受信品質を示す値の累積確率分布を取得することができる。
さらに、アンテナ切替部104は、無線信号の受信品質を示す値と、測定に用いたアンテナの種別(直交偏波アンテナ101または直交偏波アンテナ102)を偏波決定部106に通知する。なお、アンテナ切替部104の内部構成については、後述する。
姿勢検出部107は、移動通信端末100の傾きに基づいて、移動通信端末100の姿勢を検出するものである。具体的には、姿勢検出部107は、鉛直線に対する移動通信端末100の傾きを、例えば、水銀スイッチを用いて検出する。また、姿勢検出部107は、検出した移動通信端末100の姿勢に基づいて、その姿勢を示す情報をアンテナ選択部105及び偏波決定部106に通知する。
偏波決定部106は、姿勢検出部107によって検出された移動通信端末100の姿勢と、アンテナ切替部104によって測定された無線信号の受信品質に基づいて、無線信号の偏波を判定するとともに、通信に用いる無線信号の偏波を決定するものである。
具体的には、偏波決定部106は、アンテナ切替部104から通知された受信品質を示す値と、測定に用いたアンテナの種別とに基づいて、受信品質が良好であったアンテナ(直交偏波アンテナ101または直交偏波アンテナ102)を特定する。さらに、偏波決定部106は、姿勢検出部107から通知された、移動通信端末100の姿勢を示す情報に基づいて、特定したアンテナが、鉛直線に対して、どのような傾きで当該無線信号を受信したかを推定することにより、特定したアンテナによって受信された無線信号の偏波、つまり、垂直偏波か水平偏波かを判定するとともに、判定した偏波を通信に用いる無線信号の偏波として決定する。
また、偏波決定部106は、姿勢検出部107によって検出された移動通信端末100の姿勢と、アンテナ切替部104によって取得された、アンテナ毎の受信品質を示す値の平均値または分布とに基づいて、通信に用いる偏波を決定することができる。なお、偏波決定部106が、受信品質を示す値の分布に基づいて、通信に用いる無線信号の偏波を決定する場合、例えば、一定の累積確率を有する受信品質の値の取得に用いられたアンテナと、姿勢検出部107によって検出された移動通信端末100の姿勢とに基づいて、通信に用いる無線信号の偏波を決定することができる。
さらに、偏波決定部106は、マクロセル基地局(第1の基地局)からの無線信号の受信品質を示す値と、マイクロセル基地局(第2の基地局)からの無線信号の受信品質を示す値とが、通信を行うことができる所定の範囲内にある場合、マイクロセル基地局が送受信する無線信号の偏波(第2の偏波)を通信に用いる偏波として決定することができる。
例えば、偏波決定部106は、マクロセル基地局及びマイクロセル基地局からの無線信号の受信電力対干渉電力比の値が同等の場合、マイクロセル基地局が用いる水平偏波を選択する。
また、偏波決定部106は、決定した偏波の種別を示す情報をアンテナ選択部105に通知する。
アンテナ選択部105は、姿勢検出部107によって検出された移動通信端末100の姿勢と、偏波決定部106によって決定された無線信号の偏波とに基づいて、アンテナ部の中から、すなわち、直交偏波アンテナ101または直交偏波アンテナ102の何れかを無線信号の送受信に用いるアンテナとして選択するものである。
具体的には、アンテナ選択部105は、姿勢検出部107によって検出された移動通信端末100の姿勢と、偏波決定部106によって決定された無線信号の偏波とに基づいて、直交偏波アンテナ101または直交偏波アンテナ102の何れを用いれば基地局が送受信する無線信号の偏波と一致するかを演算して、直交偏波アンテナ101または直交偏波アンテナ102の何れかを選択する。さらに、アンテナ選択部105は、選択したアンテナを送受信部103と接続する。
次に、図5を参照して、アンテナ切替部104の内部構成について説明する。同図に示すように、アンテナ切替部104は、アンテナ選択部105からの指示に基づいて、内部に具備する切替部S1により、送受信部103をP1またはP2の位置、つまり、直交偏波アンテナ101または直交偏波アンテナ102と接続する。
また、アンテナ切替部104は、切替・測定部S2を所定の周期(例えば、1秒)でP1’またはP2’の位置に切替え、直交偏波アンテナ101及び直交偏波アンテナ102を用いて、無線信号の受信品質をそれぞれ測定する。さらに、アンテナ切替部104は、測定した受信品質を示す値を偏波決定部106に通知する。
(移動通信端末の動作)
次に、上述した移動通信端末100の動作について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、移動通信端末100の姿勢、つまり、鉛直線に対する移動通信端末100の傾きに応じて、無線信号の偏波に対応するアンテナが選択されることを示している。
図6(a)では、移動通信端末100の長手方向が、鉛直線(図中の矢印)とほぼ平行な状態であるため、直交偏波アンテナ101が垂直偏波(V)用として用いられ、直交偏波アンテナ102が水平偏波(H)用として用いられる。
図6(b)では、移動通信端末100の長手方向が、鉛直線(図中の矢印)に対してほぼ垂直な状態、つまり、図6(a)と比較すると、移動通信端末100が約90度傾けられた状態であるため、直交偏波アンテナ101が水平偏波(H)用として用いられ、直交偏波アンテナ102が垂直偏波(V)用として用いられる。
次に、図7を参照して、移動通信端末100が、垂直偏波(V)による無線信号を送受信するマクロセル基地局から、水平偏波(H)による無線信号を送受信するマイクロセル基地局にハンドオーバーする場合の動作について説明する。
同図(a1)では、移動通信端末100は、直交偏波アンテナ101を用いて、垂直偏波(V)による無線信号をマクロセル基地局21aと送受信している。なお、この状態において、移動通信端末100が90度傾けられた場合には、直交偏波アンテナ102を用いて垂直偏波(V)による無線信号をマクロセル基地局21aと送受信することとなる。また、同図(a2)は、高層建造物30の近傍における、マクロセル基地局21aからの無線信号の伝搬エリアを示している。
次いで、同図(b1)に示すように、移動通信端末100(の利用者)が、高層建造物30内に移動する。ここで、移動通信端末100は、直交偏波アンテナ101及び直交偏波アンテナ102を用いて、マクロセル基地局21aからの無線信号の受信品質と、高層建造物30内に配置されているマイクロセル基地局11aからの無線信号の受信品質とを測定するとともに、移動通信端末100の姿勢に基づいて、受信した無線信号の偏波を判定する。さらに、移動通信端末100は、無線信号の品質に基づいて、通信に用いる偏波を決定する。
ここでは、移動通信端末100は、マイクロセル基地局11aが送受信する無線信号の偏波が通信に用いる偏波として決定されたものとし、移動通信端末100は、マイクロセル基地局11aにハンドオーバーする。
同図(b1)に示すように、移動通信端末100は、直交偏波アンテナ102を用いて、水平偏波(H)による無線信号をマイクロセル基地局11aと送受信する。なお、ハンドオーバー後に、移動通信端末100が90度傾けられた場合には、直交偏波アンテナ101を用いて水平偏波(H)による無線信号をマイクロセル基地局11aと送受信することとなる。
また、同図(b2)は、マイクロセル基地局11aからの無線信号の伝搬エリアを示している。同図(a2)と(b2)とを比較すると、図3(d)に示したように、マクロセル基地局21aからの無線信号の伝搬エリアと、マイクロセル基地局11aからの無線信号の伝搬エリアとが重複するエリアが存在し、当該エリアにおいて、移動通信端末100は、マクロセル基地局21aからの垂直偏波(V)による無線信号と、マイクロセル基地局11aからの水平偏波(H)による無線信号とを受信することができる。
なお、移動通信端末100が、マイクロセル基地局11aからマクロセル基地局21aにハンドオーバーする動作もついても、上述したマクロセル基地局21aから、マイクロセル基地局11aにハンドオーバーする動作と同様と考えればよい。
(作用・効果)
以上説明した本実施形態によれば、移動通信端末が、その姿勢と、無線信号の受信品質とに基づいて、当該無線信号において用いられている偏波、すなわち、垂直偏波か水平偏波かを判定するとともに、通信に用いられる偏波を決定するため、階層セル構成を有するマクロセルとマイクロセルとで異なる偏波による無線信号が送受信される場合において、その姿勢と、各基地局からの無線信号の受信品質とに基づいて、無線信号の送受信に用いるアンテナ、すなわち、特定の偏波を選択することができる。
また、本実施形態によれば、例えば、垂直偏波による無線信号を送受信するマクロセル基地局21aと、水平偏波による無線信号を送受信するマイクロセル基地局11aからの無線信号の受信電力対干渉電力比が同等の場合、カバーする領域が狭いマイクロセル基地局11aを積極的に選択させることにより、移動体通信システムが同時に接続することができる移動通信端末の数の増加に寄与する移動通信端末を提供することができる。
(変更例)
以上、本発明について、上述した実施形態に沿って記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更することができる。図8は、本発明の変更例に係る移動通信端末100’の概観図を示している。
同図に示すように、移動通信端末100’は、直交偏波アンテナ101と直交偏波アンテナ102とに加え、直交偏波アンテナ110を備えている。上述した移動通信端末100は、直交偏波アンテナ101と直交偏波アンテナ102とを備え、(α)または(α’)方向に移動通信端末100が傾けられた場合において、基地局が送受信する無線信号の偏波に対応することができるように構成されていたが、直交偏波アンテナ110をさらに備える移動通信端末100’は、(β)または(β’)方向に移動通信端末100’が傾けられた場合においても基地局が送受信する無線信号の偏波に対応することができる。
また、例えば、直交偏波アンテナ101と直交偏波アンテナ110とを備える移動通信端末を用いてもよい。移動通信端末が具備すべきアンテナの数と、各アンテナの配設状況は、移動通信端末の形状などに基づいて、決定すればよい。
本発明の実施形態に係る移動体通信システムにおける階層セル構成を説明する概念図である。 本発明の実施形態に係るマクロセル基地局及びマイクロセル基地局の配置例を示す図である。 本発明の実施形態に係るマクロセル基地局及びマイクロセル基地局から送信された無線信号の伝搬状態を説明する図である。 本発明の実施形態に係る移動通信端末の論理ブロック構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る移動通信端末が具備するアンテナ選択部の内部構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る移動通信端末の動作を示す図である。 本発明の実施形態に係る移動通信端末の動作を示す図である。 本発明の変更例に係る移動通信端末の概観を示す図である。
符号の説明
10a,10b…マイクロセル、11a,11b…マイクロセル基地局、20…マクロセル、21a〜21f…マクロセル基地局、30…高層建造物、100,100’…移動通信端末、101,102…直交偏波アンテナ、103…送受信部、104…アンテナ切替部、105…アンテナ選択部、106…偏波決定部、107…姿勢検出部、110…直交偏波アンテナ、S1…切替部、S2…切替・測定部

Claims (3)

  1. 第1の偏波による無線信号を送受信する第1の基地局と、カバーする領域であるセルが前記第1の基地局よりも狭く、第2の偏波による無線信号を送受信する第2の基地局とを有する階層セル構成が適用された移動体通信システムにおいて、前記第1の基地局および前記第2の基地局の何れかの基地局を選択して通信を行う移動通信端末であって、
    前記無線信号を送受信する複数のアンテナから構成されるアンテナ部と、
    前記移動通信端末の傾きに基づいて、前記移動通信端末の姿勢を検出する姿勢検出部と、
    前記アンテナ部を用いて、前記第1の基地局及び前記第2の基地局からの無線信号の受信品質を測定する受信品質測定部と、
    前記姿勢及び前記受信品質に基づいて、前記無線信号の偏波を判定するとともに、通信に用いる無線信号の偏波を決定する偏波決定部と、
    前記姿勢と、決定された前記偏波とに基づいて、前記アンテナ部の中から、無線信号の送受信に用いるアンテナを選択するアンテナ選択部と
    を備え、
    前記偏波決定部は、前記第1の基地局からの無線信号の受信品質を示す値と、前記第2の基地局からの無線信号の受信品質を示す値とが、通信を行うことができる所定の範囲内にある場合、前記第2の偏波を前記通信に用いる無線信号の偏波として決定することを特徴とする移動通信端末。
  2. 前記受信品質測定部は、前記アンテナ部を構成する各アンテナを用いて、前記受信品質を複数回測定するとともに、前記アンテナ毎に、前記受信品質を示す値の平均値を取得し、
    前記偏波決定部は、前記姿勢及び前記平均値に基づいて、前記通信に用いる無線信号の偏波を決定することを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末。
  3. 前記受信品質測定部は、前記アンテナ部を構成する各アンテナを用いて、前記無線信号の品質を複数回測定するとともに、前記アンテナ毎に、前記受信品質を示す値の分布を取得し、
    前記偏波決定部は、前記姿勢及び前記分布に基づいて、前記通信に用いる無線信号の偏波を決定することを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末。
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