JP4341276B2 - 照明装置 - Google Patents

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JP4341276B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導光体を用いた照明装置に係り、更に詳しくは、導光路からの光損失が少なく導光効率に優れた導光体を用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
照明装置を備えるディスプレイのうち、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)の普及が顕著であり、表示光を生成するための光源(バックライトやエッジライト)からの照明光を、表示画面に導く導光体を備えるタイプのものの普及も著しい。
【0003】
このようなディスプレイを照明する照明装置には、様々なタイプのものがある。1つは、表示画面の背面(観察者と反対側)から、直接表示画面を照明するバックライト方式の照明装置である。また、表示画面の外(側面など)に配置された光源からの照明光を、表示画面の背面に配置された導光体を経由させた上で表示画面を照明するエッジライト方式の照明装置もある。
【0004】
液晶ディスプレイの照明装置としては、エッジライト方式の照明装置が多く用いられている。また、導光体としては、本明細書の出願人が提案しているように、図20に示すように、基板60上に配置されポリマー等の透光性材料からなる導光路62と、基板60の側面端部に設けられた冷陰極管等からなる光源64と、導光路62を保護するために導光路62を基板60と一体化して固定するポリマー等からなるクラッド材66とによって構成された導光体68が用いられている(特許文献1参照)。
【0005】
導光路62の表面には、複数の光射出口70が設けられており、光源64から発せられ導光路62によって導かれた光は、この光射出口70から射出されることによって、導光体68の上方に備えられる図示していない表示画面を照明するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−155431号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2001−210122号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の導光体およびそれを用いた照明装置では、以下のような問題がある。
【0009】
すなわち、上述したような導光体68は、図20にその構成を示すように、導光路62はその周囲がクラッド材66によって覆われている。このため、導光体68の製造に手間を要し、コストアップをもたらしてしまうという問題がある。また、導光体68の厚みの増加をももたらしてしまうという問題がある。
【0010】
更に、導光路62,クラッド材66ともにポリマーで製造されていることから、以下のような問題がある。
【0011】
すなわち、導光路62内における光の伝搬を示す図21のように、光源64から発せられた光を導光路62に沿って導く場合、導光路62の屈折率nがその周囲の屈折率nよりも大きいほど導光時における光の損失は小さい。しかしながら、図20に示すような従来技術における導光体68では、導光路62およびクラッド材66ともにポリマーであることから、導光路62の屈折率nとクラッド材66との屈折率nとにはさほど差がない。なお、図20に示すように、実際には導光路62の下面にはクラッド材66ではなく基板60が存在するが、導光路62の周囲3面はクラッド材66によって覆われているために、図21では、簡略化して導光路62の周囲は全てクラッド材66によって覆われている状態を示している。
【0012】
典型的な導光路62の屈折率nは1.6程度、クラッド材66の屈折率nは1.5程度である。この場合、図21に示す臨界角θは、69.6°となる。導光路62内を導光される光は、導光路62の境界に対して臨界角θ以上の角度で入射した場合にのみ全反射条件が保たれる。逆に言うと、導光路62内を導光される光は、導光路62の境界に対して臨界角θ未満の角度で入射した場合には、導光路62の外部へと漏れてしまい、光損失が生じる。
【0013】
従来技術による導光体68は、臨界角θが約70°もあるために、光損失が多く、導光効率が低いという問題がある。特に、図20に示すように、矩形状に配置された導光路62の場合、直角に折り曲げた部分での光損失が極めて大きくなってしまう。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、クラッド材を廃し、導光路の周囲を屈折率の小さい空気で覆うようにすることによって臨界角を小さくし、製造コストの低減化と、薄膜化と、光の導光効率の向上とを図ることが可能な導光体を用いた照明装置を提供することにある。
【0015】
なお、類似した発明に上記特許文献2がある。上記特許文献2では、プリズムに空気層を設ける構成が開示されている。ただし、臨界角θを小さくすることを目的にしたものではない。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0017】
すなわち、請求項1の発明は、第1の導光体と第1の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる赤色光を発する赤色光源とからなる赤色導光装置と、第2の導光体と第2の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる青色光を発する青色光源とからなる青色導光装置と、第3の導光体と第3の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる緑色光を発する緑色光源とからなる緑色導光装置とを備え、各導光装置の各光射出口から射出される光が、照明対象であるディスプレイを構成している各ピクセルを照明するように、各導光装置を配置するようにした照明装置である。そして、第1乃至3の導光体はそれぞれ、基板と、それぞれの光源からの光を取り込む上流側端部導光口、上流側端部導光口から取り込まれた光をそれぞれ下流側へと導く複数の導光路、各導光路の表面にそれぞれ配置され、各導光路によって導かれた光を各導光路の内部から外部へと射出させる複数の光射出口を備えた導光部と、基板の一方の表面上に底部が固定され、頂部に導光部が基板に接触しないように配置されることによって、導光部の周囲が実質的に空気で覆われるようにした支持体とを備えてなる。
【0018】
従って、請求項1の発明の照明装置においては、以上のような手段を講じることにより、クラッド材を廃することによって、導光体の製造コストの低減化と薄膜化とを実現することができる。また、導光路の周囲を屈折率の低い空気によって覆うことができるので、導光路によって導光される光の損失割合を低減し、導光効率を高めることが可能となる。更に、効率良くカラー表示することが可能となる。
【0019】
請求項2の発明は、第1乃至3それぞれの導光体において、複数の導光路を互いにほぼ平行に配置するようにした請求項1に記載の照明装置である
【0020】
従って、請求項2の発明の照明装置においては、以上のような手段を講じることにより、照明装置の全域に亘って導光路を配置することができる。これによって、サイズの大きな照明装置であっても明るく表示することが可能となる。
【0021】
請求項3の発明は、第1乃至3それぞれの導光体において、支持体の頂部を底部よりも少なくとも小さくするようにした請求項1または請求項2に記載の照明装置である
【0022】
従って、請求項3の発明の照明装置においては、以上のような手段を講じることにより、導光路の周囲を空気によってより覆うことができるようになり、光の導光効率をより高めることが可能となる。
【0023】
請求項4の発明は、第1乃至3それぞれの導光体において、頂部の表面積を最も小さくなるようにした請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の照明装置である
【0024】
従って、請求項4の発明の照明装置においては、以上のような手段を講じることにより、導光路の周囲を可能な限り空気によって覆うことができるようになり、光の導光効率を更により高めることが可能となる。
【0025】
請求項5の発明は、第1乃至3それぞれの導光体において、支持体として、複数の導光路の長さ方向とほぼ直交するように所定間隔でそれぞれほぼ平行に配置された複数のワイヤーを用いた請求項1または請求項2に記載の照明装置である
【0026】
従って、請求項5の発明の照明装置においては、以上のような手段を講じることにより、導光体を簡易に製造することができ、導光体の製造コストを削減することが可能となる。
【0027】
請求項6の発明は、第1乃至3それぞれの導光体において、支持体の頂部と導光部とを接着するようにした請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の照明装置である
【0028】
従って、請求項6の発明の導光体においては、以上のような手段を講じることにより、導光体において、導光部を基板側に固定することができる。
【0029】
請求項7の発明は、第1の導光体と第1の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる赤色光を発する赤色光源とからなる赤色導光装置と、第2の導光体と第2の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる青色光を発する青色光源とからなる青色導光装置と、第3の導光体と第3の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる緑色光を発する緑色光源とからなる緑色導光装置とを備え、各導光装置の各光射出口から射出される光が、照明対象であるディスプレイを構成している各ピクセルを照明するように、各導光装置を配置するようにした照明装置である。そして、第1乃至3の導光体はそれぞれ、基板と、それぞれの光源からの光を取り込む上流側端部導光口、上流側端部導光口から取り込まれた光をそれぞれ下流側へと導く複数の導光路を備えた導光部と、基板の一方の表面上に底部が固定され、頭部に設けられたクリップによって導光路の側面を挟み込んで固定することにより、導光部を基板に接触しないように配置することによって、導光部の周囲が実質的に空気で覆われるようにした複数の支持部材とを備えてなる
【0030】
従って、請求項7の発明の照明装置においては、以上のような手段を講じることにより、導光路と支持部材との接触面を小さくすることができる。その結果、導光路の周囲を空気でより覆うことができるようになり、光の導光効率を更により高めることが可能となる。更に、効率良くカラー表示することが可能となる。
【0031】
請求項8の発明は、第1の導光体と第1の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる赤色光を発する赤色光源とからなる赤色導光装置と、第2の導光体と第2の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる青色光を発する青色光源とからなる青色導光装置と、第3の導光体と第3の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる緑色光を発する緑色光源とからなる緑色導光装置とを備え、各導光装置の各光射出口から射出される光が、照明対象であるディスプレイを構成している各ピクセルを照明するように、各導光装置を配置するようにした照明装置である。そして、第1乃至3の導光体はそれぞれ、基板と、それぞれの光源からの光を取り込む上流側端部導光口、上流側端部導光口から取り込まれた光をそれぞれ下流側へと導き、導かれた光を外部へと射出させる複数の光射出口を備えた導光板と、基板の一方の表面上に底部が固定され、頂部に導光板が基板に接触しないように配置されることによって、導光板の周囲が実質的に空気で覆われるようにした支持体とを備えてなる
【0032】
従って、請求項8の発明の照明装置においては、以上のような手段を講じることにより、クラッド材を廃することによって、導光体の製造コストの低減化および薄膜化を実現することができる。また、導光板の周囲を屈折率の低い空気によって覆うことができるので、導光体によって導光される光の損失割合を低減し、導光効率を高めることが可能となる。更に、効率良くカラー表示することが可能となる。
【0037】
請求項の発明は、ディスプレイを液晶ディスプレイとし、ピクセルを液晶表示素子とした請求項1乃至8のうち何れか1項に記載の照明装置である
【0038】
従って、請求項の発明の照明装置においては、以上のような手段を講じることにより、効率良くカラー液晶表示することが可能な照明装置を実現することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0040】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図1から図8を用いて説明する。
【0041】
図1は、第1の実施の形態に係る導光体の構成例を示す斜視図および立面図である。
【0042】
すなわち、本実施の形態に係る導光体10は、基板12と、基板12の表面にそれぞれ平行になるようにかつ一定ピッチに配置された複数の支持体14(#1〜#n)と、支持体14の上部に配置された導光部16とから構成してなる。
【0043】
基板12は、例えばガラスまたはプラスチックなどの物質によって製造されてなるものであって、導光体10全体の強度を維持している。
【0044】
導光部16は、例えばフォトポリマー、放射線硬化型樹脂液、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機樹脂によって堅牢に形成されており、図1(a)に示すような櫛状形状をしている。そして、外部からの光を取り込む導光口18と、導光口18から取り込まれた光をそれぞれ下流側へと導く複数の導光路20(#1〜#m)(n≠m)とを備えている。
【0045】
支持体14は例えばポリマー、プラスチック、あるいは金属によって製造されてなる。支持体14の上部に配置された導光部16は、支持体14の上部に接着剤を用いて接着することによって固定するが、導光部16は上述したように堅牢に形成されているために、全ての支持体14と導光部16とを接着剤によって接着する必要は必ずしもなく、例えば、両端の支持体14(#1)および支持体14(#m)のみにおいて導光部16を接着固定するようにしてもよい。これによって、製造の容易化を図るようにしている。
【0046】
導光路20の径、および隣接する導光路20同士の間隔は、例えば200μmとする。この場合、支持体14の高さは10μm程度とする。
【0047】
このような構成とすることによって、導光部16は基板12と接触しないようにして固定され、かつ導光部16の周囲を実質的に空気で覆うようにしている。従来技術で説明したようにクラッド材の屈折率は1.5程度である一方、空気の屈折率は1.0とそれに比べてかなり低いために、導光部16の周囲を実質的に空気層で覆うようにすることによって臨界角θを小さくし、導光時における光の損失割合を低減するようにしている。導光路20の屈折率が従来技術と同程度の1.6であって、その周囲を屈折率1.0の空気によって実質的に覆った場合の導光路20の臨界角θは38.7°となる。
【0048】
すなわち、同じ屈折率1.6の導光部16であっても、周囲を屈折率1.5のクラッド材で覆った従来技術による導光体に比べて、周囲を屈折率1.0の空気で実質的に覆った本実施の形態に係る導光体にすることによって、臨界角θを69.6°から38.7°へと大幅に改善することができる。
【0049】
つまり、図2(a)に示すように、従来技術による導光体では、導光路の境界面に対して、69.6°以上の角度(図中斜線で示す領域)で入射した光のみしか全反射されないのに対して、図2(b)に示すように、本実施の形態に係る導光体では、導光路の境界面に対して、38.7°以上の角度(図中斜線で示す領域)で入射した光であれば、69.6°未満の角度で入射した光であっても全反射されるようになり光の導光効率が高められる。
【0050】
導光部16は、支持体14の上部に配置されるために、導光部16の周囲を完全に空気層で覆うことは不可能である。しかしながら、図3の拡大立面図に示すように、支持体14の立断面形状を台形状とし、頂部を底部よりも狭くすることによって空気層によって覆われる割合を少しでも高めるようにする。更に、図4の拡大立面図に示すように、支持体14の立断面形状を三角状とし、頂部の上に導光部16を配置することによって、導光部16と支持体14との接触面積を可能な限り小さくするようにしてもよい。
【0051】
各導光路20(#1〜#m)は直線状であってそれぞれ平行になるように配置している。なお、図5に示すように、各導光路20は曲線状であってもよい。
【0052】
また、各導光路20(#1〜#m)の表面には、導光口18から導入された光を各導光路20(#1〜#m)の内部から外部へと射出させる複数の光射出口22を備えている。
【0053】
導光口18から導光部16の内部へ光を導入するためには、図6に示すように、導光口18の近傍に光源24を配置し、この光源24が発する光を導光口18から導光部16の内部へと導入するようにするのが望ましい。
【0054】
次に、以上のように構成した本実施の形態に係る導光体の作用について説明する。
【0055】
すなわち、本実施の形態に係る導光体では、光源24から発せされた光、あるいは自然光が導光口18より導光部16の内部へと導入される。この導入された光は、導光口18から各導光路20(#1〜#m)へと導かれ、更に各導光路20(#1〜#m)の内部を、長さ方向に沿って終端側へと導かれる。
【0056】
導光部16は、導光路20が部分的に支持体14と接触しているだけであり、むき出しになっており、実質的に空気によって覆われる。すなわち、従来技術において導光部16を覆っていたクラッド材66を無くした構成としている。これによって、導光体10の製造時における省力化と、薄膜化とが図られる。
【0057】
なお、上述したように本実施の形態に係る導光体は、その表面がクラッド材66によって保護されていないが、本実施の形態に係る導光体は、例えば携帯電話のディスプレイを照明する照明装置等特定用途の部品として主に用いられる。このように装置の部品として用いられる場合には、保護された状態で装置内に装着されるので、クラッド材66が無いことによる強度の低下を懸念する必要はない。
【0058】
そして、導光部16は、例えばフォトポリマー、放射線硬化型樹脂液、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機樹脂によって堅牢に形成されているので、一部の支持体14にのみ接着剤等によって固定されるだけでよい。これによって、製造の容易化が図られる。
【0059】
導光部16、とりわけ導光路20(#1〜#m)が実質的に空気層によって覆われることによって、臨界角θが大幅に改善される。すなわち、同じ屈折率1.6の導光部16であっても、周囲を屈折率1.5のクラッド材で覆った従来技術による導光体に比べて、周囲を屈折率1.0の空気で実質的に覆った本実施の形態に係る導光体にすることによって、臨界角θは69.6°から38.7°へと大幅に改善される。これによって、図2(a)に示すように、従来技術による導光体では、導光路の境界面に対して、69.6°以上の角度で入射した光のみしか全反射されないのに対して、図2(b)に示すように、本実施の形態に係る導光体では、導光路の境界面に対して、38.7°以上の角度で入射しさえすれば、69.6°未満の角度で入射した光であっても全反射されるようになり光の導光効率が大幅に高められる。
【0060】
なお、導光部16は、支持体14の上部に配置されるために、導光部16の周囲を完全に空気層で覆うことは不可能であるが、例えば図3に示すように、支持体14の立断面形状を台形状とすることによって、あるいは図4に示すように、支持体14の立断面形状を三角状とし、頂部の上に導光部16を配置することによって、導光部16と支持体14との接触面積が可能な限り小さくなるように対処されている。
【0061】
上述したように、本実施の形態に係る導光体においては、上記のような作用により、クラッド材66を不要とし、かつ一部の支持体14にのみ導光部16を接着しているために製造プロセスの簡素化を図り、もってコストダウンを図ることが可能となる。
【0062】
また、クラッド材66を不要とすることにより、薄膜化を図ることも可能となる。
【0063】
更に、臨界角θを大幅に改善することができるので、光の損失を少なくし、効率良く導光し、各導光路20(#1〜#m)に設けられた複数の光射出口22から各導光路20(#1〜#m)の外部へと射出することができる。
【0064】
これによって、導光路20は必ずしも直線状ではなく、図5に示すように曲線状であっても効率良く光を導光することが可能となる。そのため、導光路20の設計上の制約を取り除き、柔軟性を高めることが可能となる。
【0065】
また、図1(a)に示すように櫛形形状に配置された複数の導光路20(#1〜#m)の場合、端側に配置された導光路20(#1,#m)ほど、導光口18から導入された光は小さな角度で入射することになる。たとえば、図7(a)に示すように、導光口18に近い導光路20(#3)に入射する光は、比較的大きな角度(例えば70°)で導光路20(#3)に入射する一方、図7(b)に示すように、導光口18から遠い導光路20(#1)に入射する光は、それよりも小さな角度(例えば50°)で導光路20(#1)に入射することになる。
【0066】
このため、クラッド材を用いた導光体では、導光路20(#1)に入射する光の入射角度を臨界角θ(69.6°)以上にするために、例えば図8(a)に示すような曲線部が緩やかとなるような形状としなければならない。これでは導光体の全長Lが長くなってしまう。
【0067】
しかしながら、本実施の形態に係る導光体10では、臨界角θが大幅に改善されたので、図8(a)ほど曲線部を緩やかにする必要は無い。このため、図8(b)に示すように、光の損失の増加をもたらすことなくクラッド材を用いた導光体よりも急な、すなわち曲率半径がより小さい曲線部を設けることができるようになる。これによって、導光体10の全長Lを、全長Lよりも短くすることができ、コンパクト化を図ることができる。
【0068】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を図9から図10を用いて説明する。
【0069】
本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であるので、図9では、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0070】
すなわち、本実施の形態に係る導光体26は、支持体としてワイヤー28を用いている。そして、このワイヤー28を、図9(a)の斜視図および図9(b)の立面図に示すように、複数の導光路20(#1〜#m)とほぼ直交するように所定間隔で互いにほぼ平行に配置している。
【0071】
また、図10は、ワイヤー28と導光路20との詳細な位置関係を示す拡大立面図である。図10を見て分かるように、ワイヤー28は、断面がほぼ円形状であるので、ワイヤー28と導光路20とが接触する箇所は接点Sのみに限定される。
【0072】
したがって、支持体であるワイヤー28と、導光路20との接触面積を可能な限り小さくすることができ、導光路20と空気との接触面積を可能な限り大きくすることができ、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0073】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を図11から図12を用いて説明する。
【0074】
本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であるので、図11および図12では、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0075】
すなわち、図11(a)に示す導光体では、各導光路20(#1〜#m)を複数の支持部材30によって、図12(a)に示す導光体では、各導光路20(#1〜#m)を複数の支持部材32によってそれぞれ固定している。
【0076】
支持部材30は、図11(a)中に示す矢印A方向から見た図11(b)に示すように、基板12上に底部が固定されている一方、導光路20を挟み込むための凹部を備えており、その凹部の中に導光路20を挟み込んだ状態で配置するようにしている。このような構成とすることによって、導光路20は、支持部材30によって支持される箇所においても、側面、上面の一部、および下面の一部のみが支持部材30と接触するものの、上面の大部分および下面の大部分は空気と接触する。
【0077】
一方、支持部材32は、図12(a)中に示す矢印A方向から見た図12(b)に示すように、基板12上に底部が固定された一対のクリップ33(#a,#b)からなっている。そして、この一対のクリップ33(#a,#b)によって導光路20の側面を挟んで固定することにより、導光部16を基板12に接触しないように配置している。このような構成とすることによって、導光路20は、支持部材32によって支持される箇所においても、クリップ33によって押さえられている箇所以外は、空気と接触する。
【0078】
以上のような構成とすることによっても、支持部材と、導光路20との接触面積を可能な限り小さくすることができる。
【0079】
このような構成とすることによっても、導光路20と空気との接触面積を可能な限り大きくすることができ、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0080】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を図13から図16を用いて説明する。
【0081】
本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であるので、ここでは、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0082】
図13に示す導光体は、図1に示す導光体における櫛型形状の導光部16に代えて、板状の導光部34とした点のみが異なる。すなわち、この板状の導光部34もまた支持体14によって基板12に接触しないように支持され、導光部34の周囲を実質的に空気で覆われるようにしている。
【0083】
このような導光部34にもその表面には複数の光射出口22を備えており、例えば図14の平面図に示すように、一端側に単数あるいは複数の光源24を配置し、そこから発せられる光を導入し、図15の立面図に示すようにして導光部34内を導光させ、光射出口22から光を射出するようにしている。
【0084】
以上のような構成とすることによっても、導光部34と空気との接触面積を可能な限り大きくすることができ、導光部34からの光の損失を少なくし、光射出口22から外部へと効率良く光を射出することができる。
【0085】
なお、板状の導光部34は、櫛形形状の導光部16よりもきめ細かく光の射出を制御することはできないものの、より容易に製造することができる。したがって、きめ細かな光の射出を要求されない場合には、櫛型形状の導光部16に代えて板状の導光部34を用いた導光体を製造することによって製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0086】
また、本実施の形態に係る導光体の変形例として、図16に示すように、粗面状あるいは曲面状に加工された基板13状に板状の導光部34を配置するようにしてもよい。
【0087】
このような構成とすることによっても、導光部34と基板13との間に空気層を設けることができ、導光部34からの光の損失を少なくし、光射出口22から外部へと効率良く光を射出することができる。
【0088】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態を図17から図19を用いて説明する。
【0089】
図17は、本実施の形態に係る照明装置の一例を示す斜視図である。
【0090】
すなわち、本実施の形態に係る照明装置は、図1に示すような導光部16を複数備え、各導光部16に対する光源24を備えた構成としている。つまり、図17に示す照明装置は、櫛形形状の複数の導光路20を備えた導光部16(#R)と、同じく櫛形形状の複数の導光路20を備えた導光部16(#G)と、曲線形状の単数の導光路20を備えた導光部16(#B)とを備えている。そして、導光部16(#R)の櫛形形状の導光路20と、導光部16(#G)の櫛形形状の導光路20とを噛み合うように配置させ、噛み合うように配置された部分の隙間をぬうように導光部16(#B)の導光路20を配置している。
【0091】
このようにして配置した3つの導光部16(#R,#G,#B)は、いずれも基板12の表面にそれぞれ平行になるようにかつ一定ピッチに配置された複数の支持体14(#1〜#n)に配置されてなる。そして、第1の実施の形態と同様に、任意の支持体14の上部に接着剤を用いて接着することによって固定する。これによって、各導光部16(#R,#G,#B)の周囲を実質的に空気で覆うようにしている。なお、支持体14に代えて、図9に示すようなワイヤー28や、図11に示すような支持部材30や、図12に示すような支持部材32を用いても良い。
【0092】
更に、各導光部16(#R,#G,#B)には、それぞれ異なる色の光を発する光源24(#R,#G,#B)をそれぞれ備える。すなわち、導光部16(#R)に対しては導光口18(#R)に赤色の光を導光させる赤色光源24(#R)を、導光部16(#G)に対しては導光口18(#G)に緑色の光を導光させる緑色光源24(#G)を、導光部16(#B)に対しては導光口18(#B)に青色の光を導光させる青色光源24(#B)をそれぞれ備えている。
【0093】
また、図示していないが各導光路20の表面には、複数の光射出口22を設けている。各色の光を導光する導光路20に設けられた光射出口22は、1セットとなって、図18に示すようにマトリクス状に構成された多数のピクセルpを液晶表示素子とする液晶表示パネル40の各ピクセルpを照明するように設けている。すなわち、液晶表示パネル40のそれぞれのピクセルpを照明することができるように、赤色の光を導光する導光路20に設けられた光射出口22と、青色の光を導光する導光路20に設けられた光射出口22と、緑色の光を導光する導光路20に設けられた光射出口22とが配置されるようにしている。
【0094】
したがって、図19に示すように、照明装置38に液晶表示パネル40を重ねて配置することによって構成される液晶表示装置42では、各ピクセルpが赤色の光、青色の光、緑色の光それぞれによって照明される。これらの光は、図1に示すような導光部16によって効率良く導光されるので、明るいカラー表示が実現される。
【0095】
カラー表示を実現するには、カラーフィルタを用いてなされるのが一般的である。しかしながら、カラーフィルタは、単一波長の光しか透過しないので、光源24から発せられた光の70%近くが吸収されてしまう。このため、カラーフィルタを用いてカラー表示を行う場合、照明装置から供給される光の利用効率が低いというデメリットがある。また、カラーフィルタは製造が容易ではなく高価であるというデメリットもある。
【0096】
しかしながら、本実施の形態に係る照明装置を適用した液晶表示装置42では、高価なカラーフィルタを用いることなく、光源24から発せられた各色の光を照明装置38によって効率良く導光することによって明るいカラー表示を実現することができる。そのため、コスト的にも優れている。
【0097】
また、複数の色の光を導光するための導光部16をすべて一面上に配置することができることから、導光する光の色数が増えても、厚みの増大をもたらすことなく製作することが可能である。また、複数層に配置した場合には、下層側からの光は弱くなるが、一面上に配置することによって、そのようなことを阻止し、効率的に光を導光することが可能となる。
【0098】
以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、クラッド材を廃し、導光路の周囲を屈折率の小さい空気で覆うようにすることによって臨界角を小さくし、製造コストの低減化と、薄膜化と、光の導光効率の向上とを図ることが可能な導光体を用いた照明装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係る導光体の構成例を示す斜視図および立面図。
【図2】 従来技術における導光路の臨界角(a)と、第1の実施の形態に係る導光体の導光路における臨界角(b)とを比較して示す模式図。
【図3】 支持体の立断面形状の一例を示す立面図。
【図4】 支持体の立断面形状の別の一例を示す立面図。
【図5】 第1の実施の形態に係る導光体の別の構成例を示す平面図。
【図6】 光源を備えた第1の実施の形態に係る導光体の構成例を示す斜視図。
【図7】 導光路の曲線部における導光状態を説明するための概念図。
【図8】 第1の実施の形態に係る導光体における導光路の配置状態を説明するための概念図。
【図9】 第2の実施の形態に係る導光体の構成例を示す斜視図および立面図。
【図10】 ワイヤーによって支持された導光路を示す拡大立面図。
【図11】 第3の実施の形態に係る導光体の構成例を示す斜視図および部分立面図。
【図12】 第3の実施の形態に係る導光体の変形例を示す斜視図および部分立面図。
【図13】 第4の実施の形態に係る導光体の構成例を示す斜視図。
【図14】 第4の実施の形態に係る導光体に光源を配置した例を示す平面図。
【図15】 第4の実施の形態に係る導光体の断面における光の導光状態を示す概念図。
【図16】 第4の実施の形態に係る導光体の変形例を示す立面図。
【図17】 第5の実施の形態に係る照明装置の一例を示す斜視図。
【図18】 第5の実施の形態に係る照明装置を適用した液晶表示装置の概念図。
【図19】 第5の実施の形態に係る照明装置を適用した液晶表示装置の構成例を示す立面図。
【図20】 従来技術による導光体の構成例を示す斜視図。
【図21】 導光路内を伝搬する光の状態と臨界角との関係を説明するための概念図。
【符号の説明】
,n…屈折率、θ…臨界角、L,L…全長、S…接点、p…ピクセル、10,26,68…導光体、12,13,60…基板、14…支持体、16,34…導光部、18…導光口、20,62…導光路、22,70…光射出口、24,64…光源、28…ワイヤー、30,32…支持部材、33…クリップ、38…照明装置、40…液晶表示パネル、42…液晶表示装置、66…クラッド材

Claims (9)

  1. 第1の導光体と、前記第1の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる赤色光を発する赤色光源とからなる赤色導光装置と、
    第2の導光体と、前記第2の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる青色光を発する青色光源とからなる青色導光装置と、
    第3の導光体と、前記第3の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる緑色光を発する緑色光源とからなる緑色導光装置とを備え、
    前記各導光装置の各光射出口から射出される光が、照明対象であるディスプレイを構成している各ピクセルを照明するように、前記各導光装置を配置するようにした照明装置であって、
    前記第1乃至3の導光体はそれぞれ、
    基板と、
    それぞれの光源からの光を取り込む前記上流側端部導光口と、前記上流側端部導光口から取り込まれた光をそれぞれ下流側へと導く複数の導光路と、前記各導光路の表面にそれぞれ配置され、前記各導光路によって導かれた光を前記各導光路の内部から外部へと射出させる複数の光射出口とを備えた導光部と、
    前記基板の一方の表面上に底部が固定され、頂部に前記導光部が前記基板に接触しないように配置されることによって、前記導光部の周囲が実質的に空気で覆われるようにした支持体と
    を備えた照明装置
  2. 前記第1乃至3それぞれの導光体において、前記複数の導光路を互いにほぼ平行に配置するようにした請求項1に記載の照明装置
  3. 前記第1乃至3それぞれの導光体において、前記支持体の頂部を底部よりも少なくとも小さくするようにした請求項1または請求項2に記載の照明装置
  4. 前記第1乃至3それぞれの導光体において、前記頂部の表面積を最も小さくなるようにした請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の照明装置
  5. 前記第1乃至3それぞれの導光体において、前記支持体として、前記複数の導光路の長さ方向とほぼ直交するように所定間隔でそれぞれほぼ平行に配置された複数のワイヤーを用いた請求項1または請求項2に記載の照明装置
  6. 前記第1乃至3それぞれの導光体において、前記支持体の頂部と前記導光部とを接着するようにした請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の照明装置
  7. 第1の導光体と、前記第1の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる赤色光を発する赤色光源とからなる赤色導光装置と、
    第2の導光体と、前記第2の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる青色光を発する青色光源とからなる青色導光装置と、
    第3の導光体と、前記第3の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる緑色光を発する緑色光源とからなる緑色導光装置とを備え、
    前記各導光装置の各光射出口から射出される光が、照明対象であるディスプレイを構成している各ピクセルを照明するように、前記各導光装置を配置するようにした照明装置であって、
    前記第1乃至3の導光体はそれぞれ、
    基板と、
    それぞれの光源からの光を取り込む上流側端部導光口と、前記上流側端部導光口から取り込まれた光をそれぞれ下流側へと導く複数の導光路とを備えた導光部と、
    前記基板の一方の表面上に底部が固定され、頭部に設けられたクリップによって前記導光路の側面を挟み込んで固定することにより、前記導光部を前記基板に接触しないように配置することによって、前記導光部の周囲が実質的に空気で覆われるようにした複数の支持部材と
    を備えた照明装置
  8. 第1の導光体と、前記第1の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる赤色光を発する赤色光源とからなる赤色導光装置と、
    第2の導光体と、前記第2の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる青色光を発する青色光源とからなる青色導光装置と、
    第3の導光体と、前記第3の導光体の上流側端部導光口から取り込まれる緑色光を発する緑色光源とからなる緑色導光装置とを備え、
    前記各導光装置の各光射出口から射出される光が、照明対象であるディスプレイを構成している各ピクセルを照明するように、前記各導光装置を配置するようにした照明装置であって、
    前記第1乃至3の導光体はそれぞれ、
    基板と、
    それぞれの光源からの光を取り込む上流側端部導光口と、前記上流側端部導光口から取り込まれた光をそれぞれ下流側へと導き、前記導かれた光を外部へと射出させる複数の光射出口とを備えた導光板と、
    前記基板の一方の表面上に底部が固定され、頂部に前記導光板が前記基板に接触しないように配置されることによって、前記導光板の周囲が実質的に空気で覆われるようにした支持体と
    を備えた照明装置
  9. 前記ディスプレイを液晶ディスプレイとし、前記ピクセルを液晶表示素子とした請求項1乃至8のうち何れか1項に記載の照明装置。
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