JP4341013B2 - 遠赤外発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、遠赤外の発光が可能な発光素子に関する。
赤外領域の半導体発光素子としては、発光波長が940nmのGaAs発光ダイオードや、発光波長が780nmのAlGaAs/GaAsダブルヘテロ接合半導体レーザーが一般的に広く利用されている。近年、光記憶媒体の記録密度の向上や、レーザー加工の微細化を目的として、より発光波長の短い発光ダイオードや半導体レーザーの開発が盛んに行われている。
一方、より長波長領域にあたる遠赤外光の発光は、既存の化合物半導体素子、例えば、GaAsやAlGaAs半導体のバンドギャップエネルギーよりも小さなバンドギャップエネルギーを必要とするため、化合物半導体を用いた遠赤外発光素子での実現は技術的に困難である。
さらに、従来の化合物半導体を用いた発光素子は通常、発光波長の変化が困難であり、固定された波長でしか利用できない。
また現在、遠赤外発光を可能にするレーザーとして炭酸ガスレーザが実用化されているが、将来の高速通信技術の分野や、生体分子分光などの基礎研究の分野で必要とされる、より小型で低消費電力の半導体レーザーに関しては、ほとんど動作原理の提案すらされていない。
Physical Review B, Vol. 40, p. 12566(1989) Physica B, Vol. 184, p.7(1993)
このように、遠赤外光の発光は、従来型の化合物半導体による発光メカニズムでは実現が困難であり、炭酸ガスレーザー等の大型装置を利用せざるを得なかった。また、従来の化合物半導体を用いた発光素子は波長を変化させることができなかった。
上記課題に鑑み、本発明は、遠赤外発光が可能で、且つ波長可変機能を有した、小型、低消費電力の遠赤外発光素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の第1の遠赤外発光素子は、固体材料中に作製した静磁場中二次元キャリア系と、二次元キャリア系に形成したチャネルと、チャネルを横断して設けた第1のゲート電極と、チャネルに電流を供給するソース及びドレイン電極とを有し、二次元キャリア系を量子ホール状態に設定すると共に第1のゲート電極に電圧を印加して、エッジチャネル間に非平衡キャリア分布を形成し、且つエッジチャネル間の化学ポテンシャル差が、ランダウ準位間のエネルギー差以上になる電位差を、ソース及びドレイン電極間に印加することにより、エッジチャネル間にキャリアの反転分布を形成し、反転分布により遠赤外発光することを特徴とする。
この構成によれば、キャリアが電子系である場合に以下のように動作する。
二次元キャリア系の量子ホール状態とは、散乱ポテンシャルによって有限の幅を持つランダウ準位間のランダウ準位の存在しない位置にフェルミレベルが存在し、フェルミレベルより下のランダウ準位が全て占有されている状態である。この状態は、印加磁場強度やキャリア濃度を調整して設定する。この状態でソースとドレイン間に電圧を印加すると電流チャネルとしてエッジチャネルが生起する。
第1のゲート電極に負の適切な電圧を印加して、第1のゲート電極下の静電ポテンシャルを増加させ、フェルミレベルが上位エッジチャネルと下位エッジチャネルの間にくるようにする。この状態では、上位エッジチャネルがフェルミレベルよりも高いために、上位エッジチャネルは第1のゲート電極下を通過できずに反射される。一方、下位エッジチャネルは第1のゲート電極下を通過する。これにより、チャネル端を互いに同一方向に進行するソースの化学ポテンシャルを有する上位エッジチャネルとドレインの化学ポテンシャルを有する下位エッジチャネルが形成される。上位エッジチャネルは上位ランダウ準位からなり、下位エッジチャネルは下位ランダウ準位からなる。このようにエッジチャネルの化学ポテンシャルが互いに異なる状態をエッジチャネル間の非平衡キャリア分布状態と呼ぶ(上記非特許文献1参照)。
非平衡キャリア分布状態において、ソースとドレイン間の電位差を増加させていくと、低ポテンシャル側のチャネル端において、エッジチャネルの化学ポテンシャルが下降し、有限の幅を持つ下位バルク・ランダウ準位のエネルギーレベル領域まで落ち込む。これにより、低ポテンシャル側のチャネル端近傍の下位ランダウ準位に電子の空席が生じる。このようにして、化学ポテンシャルの高い上位ランダウ準位と、化学ポテンシャルが低く、電子の空席を持つ下位ランダウ準位間に電子の反転分布が形成される。この反転分布によって遠赤外光が生成する。
本発明は、好ましくは、チャネルのチャネル端に沿って設けた第2のゲート電極を有し、発光効率が高められる。
この構成によれば、第2のゲート電極に適切な負の電圧を印加することにより、フェルミレベルを上位エッジチャネルと下位エッジチャネルの間に存在させることができる。この状態では、上位エッジチャネルがフェルミレベルよりも高いために、上位エッジチャネルは第2のゲート電極下を通過できず、第2のゲート電極近傍を通過するようになり、下位エッジチャネルは第2のゲート電極下を通過する。これにより、上位エッジチャネルと下位エッジチャネルが空間的に分離される。上位エッジチャネルと下位エッジチャネルが空間的に分離されるので、上位エッジチャネルと下位エッジチャネル間のフォノン放出を伴う電子遷移が抑制され、遠赤外光の発光効率が高まる。
好ましくは、チャネルはコルビノ型チャネルであり、発光効率が高められる。この構成によれば、コルビノ型チャネルは、ホール抵抗が零であるので、遠赤外光の発光に無関係なホール抵抗による発熱を無くすことができ、発光効率が向上する。また、コルビノ型チャネルは、ソースからドレインに流れる電流方向が、エッジチャネルと交錯する方向であるため、反転分布形成において、上位ランダウ準位に過剰電子を効率よく供給することができ、発光効率が向上する。
好ましくは、第2のゲート電極を有し、且つチャネルはコルビノ型チャネルである。この構成によれば第2のゲート電極による遷移抑制効果とコルビノ型チャネルによる発光効率向上効果とが同時に実現され、さらに発光効率が高まる。
また、好ましくは、チャネルは、棒状のチャネルを多数回折り返したジグザグ型チャネルであり、且つこのジグザグ型チャネルの両端が接続されており、単位面積あたりの発光強度が高められる。この構成によれば, コルビノ型チャネルと同様にホール抵抗が零であり発光効率が高いと共に、単位面積あたりのチャネル数が増加するので単位面積あたりの発光強度が増大する。
また、好ましくは、棒状のチャネルを多数回折り返したジグザグ型チャネル有し、且つ第2のゲート電極を有する。この構成によれば、上記効果に加えて第2のゲート電極による遷移抑制効果が実現される。
本発明の第2の遠赤外発光素子は、固体材料中に作製した静磁場中二次元キャリア系と、二次元キャリア系に形成したチャネルと、チャネルのチャネル端に沿って設けたゲート電極と、チャネルに電流を供給するソース及びドレイン電極とを有し、二次元キャリア系を量子ホール遷移状態に設定すると共に、エッジチャネルとバルクチャネル間の化学ポテンシャル差がランダウ準位間のエネルギー差以上になる電位差をソース及びドレイン電極間に印加してキャリアの反転分布を形成し、且つゲート電極に電圧を印加して、発光効率を高めることを特徴とする。
この構成によればキャリアが電子系の場合に以下のように動作する。
二次元キャリア系の量子ホール遷移状態とは、散乱ポテンシャルによって有限の幅を持つランダウ準位中にフェルミレベルが存在し、フェルミレベルが存在するランダウ準位より下のランダウ準位が全て占有され、フェルミレベルの存在するランダウ準位は、フェルミレベル以上の準位が空席である状態である。この状態は、印加磁場強度やキャリア濃度を調整して設定する。この状態でソースとドレイン間に電圧を印加すると電流チャネルとしてエッジチャネルとバルクチャネルが生起する。
フェルミレベルが存在するランダウ準位からなるチャネルはエネルギー散逸を伴う電流チャネルであり、フェルミレベルより下のランダウ準位はエネルギー散逸を伴わない、いわば超伝導電流チャネルである。バルクチャネルはフェルミレベルが存在する上位ランダウ準位からなり、エッジチャネルはフェルミレベルより下の下位ランダウ準位からなる。ソースとドレイン間に電圧を印加することにより、エッジチャネルとバルクチャネル間に非平衡キャリア分布が生じる。ソースとドレイン間の印加電圧を増大していくと、低ポテンシャル側のチャネル端でエッジチャネルの化学ポテンシャルが、有限の幅を持つ下位バルク・ランダウ準位のエネルギーレベル領域にまで降下する。これにより、チャネル端近傍の下位ランダウ準位に電子の空席が生じる。このようにして、化学ポテンシャルの高い上位ランダウ準位と、化学ポテンシャルが低く、電子の空席を有する下位ランダウ準位間に反転分布が形成される(上記非特許文献2参照)。この反転分布によって遠赤外光が生成される。
この際、チャネル端に沿って設けた第2のゲート電極に適切な負の電圧を印加することにより、フェルミレベルが上位ランダウ準位と下位ランダウ準位の間にくるようにする。この状態では、上位ランダウ準位のバルクチャネルは、フェルミレベルよりも高いために、ゲート電極下を通過できずゲート電極近傍を通過するようになり、下位ランダウ準位のエッジチャネルは電極下を通過する。これにより、上位ランダウ準位のバルクチャネルと下位ランダウ準位のエッジチャネルが空間的に分離されるためバルクチャネルとエッジチャネル間のフォノンを介した電子遷移が抑制され、遠赤外光の発光効率が高まる。
上記構成において、好ましくは、チャネルはコルビノ型チャネルであり、発光効率が高められる。この構成によれば、コルビノ型チャネルはホール抵抗が零であるので、遠赤外光の発光に無関係なホール抵抗による発熱を無くすことができ、発光効率が向上する。
また、コルビノ型チャネルは、ソースからドレインに流れる電流方向が、エッジチャネルと交錯する方向であり、反転分布形成において上位ランダウ準位へ過剰電子を効率よく供給することができ、発光効率が向上する。
好ましくは、チャネルは、棒状のチャネルを多数回折り返したジグザグ型チャネルであり、且つジグザグ型チャネルの両端が接続されており、単位面積あたりの発光強度が高められる。この構成によれば、単位面積あたりのチャネル数が増加するので実効的に単位面積あたりの発光強度が増大する。
本発明の第3の遠赤外発光素子は、固体材料中に作製した静磁場中二次元キャリア系と、二次元キャリア系に形成したチャネルと、チャネルを横断して設けた第1のゲート電極と、チャネルに電流を供給するソース及びドレイン電極とを有し、二次元キャリア系を量子ホール遷移状態に設定すると共に第1のゲート電極に電圧を印加し、且つ電流チャネル間の化学ポテンシャル差が、ランダウ準位間のエネルギー差以上になる電位差を、ソース及びドレイン電極間に印加することにより、電流チャネル間にキャリアの反転分布を形成し、反転分布により遠赤外発光することを特徴とする。
この構成によればキャリアが電子系の場合に以下のように動作する。
印加磁場強度やキャリア濃度を調整して本発明の第2の遠赤外発光素子と同様に、二次元電子系を量子ホール遷移状態に設定する。第1のゲート電極に負の適切な電圧を印加して、第1のゲート電極下の静電ポテンシャルを増加させ、フェルミレベルが上位ランダウ準位と下位ランダウ準位の間にくるようにする。この状態では、バルクチャネルは上位ランダウ準位からなり、エッジチャネルは下位ランダウ準位からなる。上位ランダウ準位がフェルミレベルよりも高いために、バルクチャネルは第1のゲート電極下を通過できずに反射され、ドレイン電極まで到達できない。いわば、第1のゲートによるポテンシャル障壁は、バルクチャネルの電流がドレイン電極に流れるのをせき止めるダムの役割をする。これにより、バルクチャネルの化学ポテンシャルを第1のゲートが無い場合よりも高く維持することができ、効率的に反転分布を形成することができ、発光効率が向上する。
ソースとドレイン間の印加電圧を増大していくと、低ポテンシャル側のチャネル端でエッジチャネルの化学ポテンシャルがバルクの下位ランダウ準位のエネルギーレベル領域まで下降し、下位ランダウ準位に電子の空席が生じる。これにより、化学ポテンシャルが高いバルク上位ランダウ準位と化学ポテンシャルが低く、電子の空席を有する下位ランダウ準位の間に電子の反転分布が形成される。この反転分布によって遠赤外光が生成される。
上記構成において、好ましくは、チャネル端に沿って設けた第2のゲート電極を有し、発光効率が高められる。この構成によれば、チャネル端に沿って設けた第2のゲート電極に適切な負の電圧を印加することにより、フェルミレベルが上位ランダウ準と下位ランダウ準位の間にくるようにすることができる。この状態では、バルクチャネルは上位ランダウ準位からなり、エッジチャネルは下位ランダウ準位からなる。上位ランダウ準位はフェルミレベルよりも高いために、バルクチャネルはゲート電極下を通過できず、ゲート電極近傍を通過するようになり、一方、下位ランダウ準位は、フェルミレベルよりも低いために、ゲート電極下を通過し、エッジチャネルとバルクチャネルが空間的に分離される。第2のゲート電極による空間分離と第1のゲート電極による高化学ポテンシャルの維持が同時に実現され、さらに遠赤外光の発光効率が高まる。
上記構成において、好ましくは、チャネルはコルビノ型チャネルであり、発光効率が高められる。この構成によれば、コルビノ型チャネルは、ホール抵抗が零であるので、遠赤外光の発光に無関係なホール抵抗による発熱を無くすことができ、発光効率が向上する。また、コルビノ型チャネルは、ソースからドレインに流れる電流方向が、電流チャネルと交錯する方向であり、反転分布形成において上位ランダウ準位へ過剰電子を効率よく供給することができ、発光効率が向上する。
さらに好ましくは、第2のゲート電極を有し、且つチャネルはコルビノ型チャネルである。この構成によれば第2のゲート電極による遷移抑制効果とコルビノ型チャネルによる発光効率向上効果が同時に実現し、さらに発光効率が高まる。
また好ましくは、チャネルは、棒状のチャネルを多数回折り返したジグザグ型チャネルであり、且つチャネルの両端が接続されており、ホール抵抗による発熱がないと共に単位面積あたりの発光強度が高められる。この構成によれば単位面積あたりのチャネル数が増加するので実効的に単位面積あたりの発光強度が増大する。
上記構成にあって、第2のゲート電極を有し、且つチャネルが棒状のチャネルを多数回折り返したジグザグ型チャネルであることが好ましい。この構成によれば、第2のゲート電極による遷移抑制効果による発光効率の向上と、ホール抵抗による発熱がないと共に単位面積の発光強度増大が同時に実現される。
また、好ましくは、上記第1,第2及び第3の遠赤外発光素子は、固体材料中に作製した静磁場中二次元キャリア系に印加する磁場の強度を調整することにより、発光波長を調整する。
この構成によれば、印加磁場強度によりランダウ準位間隔を変えることができるので、発光波長を変化させることができる。また、キャリア濃度を調整すれば占有されるランダウ準位数を変化させることができるので、フェルミレベルの存在位置を変化させることができ、任意のランダウ準位占有率の量子ホール状態、及び量子ホール遷移状態を実現できる。
本発明によれば、固体材料の静磁場中二次元電子系と、ランダウ準位間の反転分布を形成する手段とによって、これまで、低コスト、利便性に優れた良い光源が無かった遠赤外領域において、波長可変で小型、すなわち、低コスト、利便性に優れた遠赤外発光素子が可能になる。さらに、コルビノ型に構成し、チャネル端近傍にゲート電極を付加することにより、効率のよい遠赤外発光素子が可能になる。さらに、光フィードバック機構を付加することにより、レーザー発振も可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、実質的に同一の構成要素には説明を簡潔にするため同一の符号を付して説明する。また、2次元キャリア系が電子系の場合について説明し、ホール系は実質的に同一なので説明を省略する。
初めに本発明の第1の実施の形態の遠赤外発光素子を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の遠赤外発光素子の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)はZ−Z断面図である。なお、図1は第1の実施の形態に属する複数の構成のうち、第2のゲート電極を有し、且つチャネル形状がコルビノ型の構成の場合を示している。
本発明の遠赤外発光素子1aは、GaAs2とGaAlAs3の界面に形成した2次元電子系4上に、円盤形状のソース電極5、ソース電極5の外側に円環状を成し且つ円環の一部に切欠部分6aを有する第2のゲート電極6、この第2のゲート電極6の切欠部分6aから金属ゲート6の外側に一定距離離れた位置に第1のゲート電極7、第1のゲート電極7のさらに外側にドレイン電極8を有している。また、GaAs基板2の裏面側に裏面ゲート電極9を有していてもよい。
2次元電子系4はこの構成に限らず、他の化合物半導体を使用してもよく、またSi表面の反転層を利用してもよい。また、円盤状のソース電極5と、ソース電極5を囲んで円環状の第2のゲート電極6を配置した形状はコルビノ型量子ホール素子と呼ばれ、従来から知られている。
図の点線10a,10bは、上位及び下位エッジチャネルを表しており、上位エッジチャネル10aは上位ランダウ準位10aであり、下位エッジチャネル10bは下位ランダウ準位10bである。
次に、本発明の遠赤外発光素子の動作を説明する。
図1の遠赤外発光素子1aに、図面垂直方向に静磁場を印加し、二次元電子系をランダウ準位充填率4の量子ホール状態にする。第1のゲート電極7に負の電圧を印加して第1のゲート電極7の下のランダウ準位充填率を2に設定すると、第1のゲート電極7の下には印加電圧による静電ポテンシャルの増加により、下位エッジチャネル10bのみが通過し、上位エッジチャネル10aは、第1のゲート電極7の下を通過できず、第1のゲート電極7の周辺に沿って走る。
これにより、ソースの化学ポテンシャルμS に近く、ドレインの化学ポテンシャルμD よりも大きな化学ポテンシャルを有する上位エッジチャネル10aと、ドレインの化学ポテンシャルμD を有する下位エッジチャネル10bが形成され、チャネル端を互いに同一方向に進行し、非平衡キャリア分布状態が形成される。
さらに、ソース電極5とドレイン電極8との間の電位差を調整して、上位エッジチャネル10aと下位エッジチャネル10bの化学ポテンシャル差Δμabが、ランダウ準位エネルギー差、即ちサイクロトロンエネルギー(=hωc /2π,h:プランク定数,ωc :サイクロトロン周波数)以上の化学ポテンシャル差になるようにすると、上位エッジチャネル10aと下位エッジチャネル10b間に反転分布が形成される。この反転分布によって遠赤外発光が可能になる。
なお、二次元電子系をランダウ準位充填率4の量子ホール状態にするには、図1(b)に示すように、GaAs発光ダイオード11の光照射を併用してもよい。この場合には光照射によるキャリアー濃度の増加よって、ランダウ準位の充填率を調整できる。また、裏面ゲート電極9に電圧を印加して調整してもよい。
図2は、エッジチャネル間の反転分布の形成を説明する図である。(a)はソース電極5の中心を原点とした半径r方向のランダウ準位のエネルギー構造を示しており、横軸は半径r、縦軸はエネルギーEを示している。(b)は電子に関して低ポテンシャル側のチャネル端、すなわち図1における第2のゲート電極6近傍の上位及び下位ランダウ準位10a,10bの反転分布を示しており、横軸はランダウ準位の状態密度D(E)、縦軸はランダウ準位のエネルギーEを示す。
通常、ランダウ準位は乱雑ポテンシャルの影響で有限の幅dを有している。ソース電極5とドレイン電極8の電位差を増大していき、上位エッジチャネル10aと下位エッジチャネル10b間の化学ポテンシャルの差Δμabがサイクロトロンエネルギーを越えると、(a)に示すように低ポテンシャル側のチャネル端において、下位エッジチャネル10bの化学ポテンシャルμb がバルクのランダウ準位の化学ポテンシャルμB にまで落ち込み、下位ランダウ準位10bに電子の非占有部分Aが生じる。電子の非占有部分Aが生じると、電荷中性を保つために上位ランダウ準位10aに電子e- が集積し、過剰電子集積部分Bが生じる。このようにして、低ポテンシャル側のエッジチャネル間に反転分布を形成することができる。(b)に示すように、過剰電子集積部分Bから電子非占有部分Aに電子がフォトンを放出して遷移することによって、遠赤外光21が生成できる。
次に、第2のゲート電極6に負の電圧を印加した効果について説明する。
図1において、第2のゲート電極6に負の電圧を印加することにより、第2のゲート電極6の下のランダウ準位充填率を2に調整する。このとき、第2のゲート電極6の下には下位ランダウ準位のエッジチャネル10bのみが通過し、上位ランダウ準位のエッジチャネル10aは、印加電圧によるポテンシャル障壁により、第2のゲート電極6の下を通過できず、第2のゲート電極6の周辺に沿って走る。これにより、エッジチャネル10a,10bが第2のゲート電極6の全周にわたって空間的に分離され、エッジチャネル10a,10b間の、すなわち、ランダウ準位10a,10b間のフォノン放出による電子遷移が抑制され、第2のゲート電極6の全周にわたって発光効率を高めることができる。
次に、チャネル形状がコルビノ型形状である場合の効果を説明する。
一般に、コルビノ型形状のチャネルにおいては、ソースとドレイン間に印加する電場の方向がソース電極の半径方向であり、この電場とチャネルに垂直に印加する磁場によるローレンツ力はソース電極を中心とした円周方向となり、この円周方向には端点がないためにホール抵抗が零となる。図1に示した本発明の遠赤外発光素子においては、第1のゲート電極7によって上位エッジチャネル10aを反射して周回させるので、上記一般のコルビノ型チャネルの場合と同様に端点が無く、ホール抵抗が生じない。また、下位エッジチャネル10bもソース電極8から出てソース電極8に戻るのでホール抵抗が生じない。さらに、コルビノ型チャネルは、ソース5からドレイン8に流れる電流方向が、エッジチャネル10a,10bと交錯する方向であるため、反転分布形成において、上位ランダウ準位10aに過剰電子e- を効率よく供給することができ、発光効率が向上する。
本発明の遠赤外発光メカニズムにおいては、ホール抵抗は何ら発光に関与しないので、ホール抵抗が零であれば、発光効率が向上する。また、過剰電子の供給効率が高いので発光効率が高い。
次に、本発明の第1の実施の形態の遠赤外発光素子に属する他の構成の遠赤外発光素子を説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態の遠赤外発光素子に属する他の構成の遠赤外発光素子を説明する図であり、(a)は平面図、(b)及び(c)は断面図である。この遠赤外発光素子1bは、図1に示した構成と比べて、第1のゲート電極として2つの第1のゲート電極7a,7bを有する点が異なり、2次元電子系は(b)及び(c)に示されているように、第2のゲート電極6の下に形成されたリング状の2次元電子系4aと、ソース電極5の下から伸びて2次元電子系4aと接続され、ドレイン電極8の下に至る2次元電子系4bとからなる点が異なり、また、第2のゲート電極6は第1のゲート電極7bを配設するための第2の切欠き部分6bを有することが異なる。
この構成によれば、ソース5の化学ポテンシャルμS を有してソース電極5を出た上位エッジチャネル10aは、2次元電子系4bのチャネル端(2次元電子系4bの端)に沿って走り、次に2次元電子系4aの内側のチャネル端(2次元電子系4aの内側の端)に沿って走り、次に第1のゲート電極7bで反射されて第1のゲート電極7bの縁に沿って走り、次に2次元電子系4aの外側のチャネル端に沿って走り、次に第1のゲート電極7aで反射されて第1のゲート電極7aの縁に沿って走り、次に2次元電子系4aの外側のチャネル端に沿って走り、次に第1のゲート電極7bで反射されて第1のゲート電極7bの縁に沿って走り、次に2次元電子系4aの内側のチャネル端に沿って走り、そして2次元電子系4bのチャネル端に沿って走り、ソース電極5に戻る。
一方、ドレイン8の化学ポテンシャルμD を有してドレイン電極8を出た下位エッジチャネル10bは、2次元電子系4bのチャネル端に沿って走り第1のゲート電極7aの下を通過し、次に2次元電子系4aの外側のチャネル端に沿って走り、次に第1のゲート電極7bの下を通過して2次元電子系4aの外側のチャネル端に沿って走り、そして2次元電子系4bのチャネル端に沿って走り第1のゲート電極7aの下を通過しドレイン電極8に戻る。
従って、2次元電子系4aの外側のチャネル端では、ソース5の化学ポテンシャルμS を有した上位エッジチャネル10aとドレイン8の化学ポテンシャルμD を有した下位エッジチャネル10bとが同一方向に走る。ソースとドレインの印加電圧を増加させることによって上位エッジチャネル10aと下位エッジチャネル10bとの間に反転分布を形成することは、図1及び図2の説明と同様であるが、遠赤外発光素子1bの場合には、上位エッジチャネル10aの化学ポテンシャルを強制的にソース5の化学ポテンシャルμS に等しくできるので、発光効率が高い。なお、第2のゲート電極及びコルビノ型チャネルの効果は図1の説明と同様であるので省略する。
次に、本発明の第1の実施の形態の遠赤外発光素子に属する他の構成の遠赤外発光素子を説明する。
図4は、本発明の第1の実施の形態の遠赤外発光素子に属する他の構成の遠赤外発光素子を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。この遠赤外発光素子1cは、図3に示した構成と比べて、第1のゲート電極と第2のゲート電極とを一体化した、ゲート電極6を設けた点が異なる。ゲート電極6は、図3の第1のゲート電極7bに相当してチャネルの内側に向かう突出部6cを有している。
この構成によれば、図3における第1のゲート電極7aの作用はゲート電極6のドレイン近傍の部分によって代替され、また、第1のゲート電極7bの作用は突起部6cによって代替される。
次に、本発明の第1の実施の形態の遠赤外発光素子に属する、チャネルがジグザグ形状である場合の遠赤外発光素子を説明する。
図5は、本発明のチャネルがジグザグ形状である場合の遠赤外発光素子の構成を示す図である。遠赤外発光素子1dは、図1の構成と比べて、チャネル32を両端が接続されたジグザグ形状とし、第2のゲート電極33をチャネル32の端を覆ってジグザグ形状に設けた点が異なる。
図1の遠赤外発光素子の場合と同様に、図面垂直方向に静磁場を印加し、二次元電子系をランダウ準位充填率4の量子ホール状態に設定し、第1のゲート電極37に負の電圧を印加して第1のゲート電極37の下のランダウ準位充填率を2に設定し、ソース電極35とドレイン電極38間にサイクロトロンエネルギー以上の電位差を印加し、ゲート電極33に負の電圧を印加してランダウ準位充填率を2に設定する。
これにより、図2の説明と同様に、エッジチャネル間に反転分布が形成され、遠赤外光が発生する。また、チャネル32の両端が接続され、第1のゲート電極37を有することから、コルビノ型チャネルと同様にホール抵抗が無く、またエッジチャネルが第2のゲート電極33によって空間的に分離されているので発光効率が高いことは図1に示した構成の遠赤外発光素子1と同様であるが、遠赤外発光素子1dはさらに、チャネルがジグザグに折り返されているために、実効的に単位面積あたりの発光領域が増大し、発光強度を高めることができる。なお、図においては、第1のゲート電極37がある場合を示しているが、第2のゲート電極33のドレイン電極と対向する部分33aが同様な効果を生ずるので、この第1のゲート電極37は無くともよい。ただし、第1のゲート電極37と第2のゲート電極33に印加する電圧を変化させて発光強度を変調する場合には第1のゲート電極37は必要である。
なお、上記した第1の実施の形態の遠赤外発光素子以外の第1の実施の形態に属する他の構成の遠赤外発光素子は、上記説明から容易に理解できるので説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施の形態の遠赤外発光素子を説明する。
図6は本発明の第2の実施の形態の遠赤外発光素子の構成を示す上面図である。図6は、第2の実施の形態に属する複数の構成のうち、第2のゲート電極を有し且つチャネル形状がコルビノ型の構成の場合を示している。
遠赤外発光素子2aは、図1の遠赤外発光素子1の構成と比べて、図1の第1のゲート電極7が無いことのみが異なる。また、動作させるための設定は図1の遠赤外発光素子1aの場合と比べて、二次元電子系を量子ホール遷移状態に設定することのみが異なる。
二次元キャリア系の量子ホール遷移状態とは、散乱ポテンシャルによって有限の幅を持つランダウ準位中にフェルミレベルが存在し、フェルミレベルの存在するランダウ準位より下のランダウ準位は全て占有され、フェルミレベルの存在するランダウ準位は、フェルミレベル以上の準位が空席の状態である。この状態は、印加磁場強度やキャリア濃度を調整して設定する。この状態でソースとドレインに電圧を印加すると電流チャネルとしてバルクチャネルとエッジチャネルが生起される。
フェルミレベルが存在するランダウ準位からなるチャネルはエネルギー散逸を伴う電流チャネルであり、フェルミレベルより下のランダウ準位はエネルギー散逸を伴わない、いわば超伝導電流チャネルである。バルクチャネル42aはフェルミレベルが存在する上位ランダウ準位からなり、エッジチャネル42bはフェルミレベルより下の下位ランダウ準位からなる。ソース5とドレイン8間に電圧を印加することにより、エッジチャネル42bとバルクチャネル42a間に非平衡キャリア分布が生じる。ソース5とドレイン8間の印加電圧を増大し、エッジチャネル42bとバルクチャネル42a間の化学ポテンシャル差をサイクロトロンエネルギー以上にすると、下位エッジチャネル42bの化学ポテンシャルが有限の幅を持つ下位バルク・ランダウ準位のエネルギーレベルにまで降下する。これにより、チャネル端近傍の下位ランダウ準位42bに電子の空席が生じる。このようにして、化学ポテンシャルの高い上位ランダウ準位42aと、化学ポテンシャルが低く電子の空席を有する下位ランダウ準位42b間に反転分布が形成される。この反転分布によって遠赤外光が生成される。
この際、チャネル端に沿って設けた第2のゲート電極6に適切な負の電圧を印加することにより、フェルミレベルが上位ランダウ準位42aと下位ランダウ準位42bの間にくるようにする。この状態では、バルクチャネル42aは、フェルミレベルよりも高いために、ゲート電極6下を通過できず、ゲート電極6近傍を通過するようになり、エッジチャネル42bはゲート電極6近傍を通過する。これにより、エッジチャネル42bとバルクチャネル42aが空間的に分離されるため、バルクチャネル42aとエッジチャネル42b間のフォノン放出を伴う電子遷移が抑制され、遠赤外光の発光効率が高まる。
なお、コルビノ型チャネルの効果は、図1の構成で説明した効果と同様にホール抵抗が無いこと及び過剰電子供給効率が高いことであるので説明を省略する。
また、棒状のチャネルを多数回折り返したジグザグ型チャネルを用いた構成は、図3に説明した構成において第1のゲート電極37が無いことのみ異なり、単位面積あたりの発光強度が増大する効果は同様であるので説明を省略する。また、上記した本発明の第2の実施形態の遠赤外発光素子以外の本発明の第2の実施形態の遠赤外発光素子に属する他の構成は、上記説明から容易に理解できるので説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施の形態の遠赤外発光素子を説明する。
本発明の第3の実施の形態の遠赤外発光素子は、上記した本発明の第1の実施の形態の遠赤外発光素子と構成が同じであり、二次元電子系を量子ホール遷移状態に設定して動作させることのみ異なる。効果は、上記第1及び第2の実施の形態の遠赤外発光素子の説明から理解できるので説明を省略する。
次に、本発明の第4の実施形態である遠赤外レーザーを説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態である遠赤外レーザーの構成を示す図である。この遠赤外レーザー51は、本発明の遠赤外発光素子52を挟んで、反射率が高い凹面鏡53と半透過性の平面鏡54が配置された構成であり、凹面鏡53と半透過性平面鏡54とで構成されたレーザー共振器と、遠赤外発光素子51の反転分布とでレーザー発振する。
次に、本発明の第5の実施形態である遠赤外レーザーを説明する。
図8は、本発明の第5の実施形態である遠赤外レーザーの構成を示す図である。本発明の遠赤外レーザー61は、GaAs基板62上にGaAlAsをヘテロ接合して形成した2次元電子系63を有する本発明の遠赤外発光素子61と、遠赤外発光素子61の表面側に密着させた、遠赤外発光素子61の発光する遠赤外光波長の1/4以上の厚さを有するGaAs基板64と、GaAs基板62の裏面側に設けた金属等の反射率の高い反射膜65とからなる。
この構成によれば、GaAsの屈折率が3.4程度であるから、GaAs基板64は、遠赤外発光素子61の発光波長に対して反射率30%程度の半透過膜となる。GaAs基板64と反射膜65とでレーザー共振器が構成できる。また、上記のように遠赤外光波長の1/4以上の厚さを有するGaAs基板64を用いる代わりに、表面66から2次元電子系63に到る深さtが発光波長の1/4以上となるように構成してもよい。
次に、実施例を説明する。この実施例は、本発明の第2の実施形態に属するジグザグチャネルによる遠赤外発光素子の発光を測定したものである。
2次元電子系はGaAsとGaAlAsのヘテロ接合によるものである。ジグザグチャネルの一辺の長さ及び幅はそれぞれ3mm、0.5mmである。印加磁場は6T(テスラ)、ランダウ準位間隔は10meVである。測定温度は4.2Kであり、測定装置は量子ホール検出器を用いたTHz顕微鏡である。
図9は、本発明の遠赤外発光素子が発光している様子を示す図である。(a)の左図は紙面垂直下方向に磁場を印加した場合の発光を示し、右図は、紙面垂直上方向に磁場を印加した場合の発光を示している。(b)はソースとドレイン間に印加する電圧の極性を(a)とは逆にした場合の発光を示し、左図は紙面垂直下方向に、右図は紙面垂直上方向に磁場を印加した場合の発光を示している。
図からわかるように、低ポテンシャル側のチャネル端で発光することがわかる。また、磁場方向、又はソース・ドレイン間の電圧極性を変化させることによって、発光するチャネル端が変化することから、チャネル間の反転分布に基づく発光であることがわかる。
図10は、上記発光チャネル端の遠赤外発光素子の発光特性を示す図である。横軸は波長λを示し、縦軸は任意メモリで示した発光強度である。図から、中心波長λ=120μmの赤外光が、半値幅Δλ=6μmで放出されていることがわかる。この半値幅はバンド幅に換算すると約5%に相当し極めて鋭い。
上記説明では、量子ホール素子としてコルビノ型チャネル素子、ジグザグ型チャネル素子を用いて説明したが、これに限らず、エッジチャネル間、又はエッジチャネルとバルクチャネル間に反転分布を形成できる構成の量子ホール素子であれば使用可能である。また、上に説明した共振器は一例であって、上記共振器に限られるものではない。
第1の実施の形態に係る遠赤外発光素子の構成を示し、(a)は平面図、(b)はZ−Z断面図である。 エッジチャネルの反転分布の形成を説明する図である。 第1の実施の形態に係る遠赤外発光素子に属する他の構成の遠赤外発光素子を説明する図であり、(a)は平面図、(b)はY−Y断面図、(c)はZ−Z断面図である。 第1の実施の形態に係る遠赤外発光素子に属する他の構成の遠赤外発光素子を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。 チャネルがジグザグ形状である場合の遠赤外発光素子の構成を示す図である。 第2の実施の形態に係る遠赤外発光素子の構成を示す平面図である。 本発明の第4の実施形態である遠赤外レーザーの構成を示す図である。 本発明の第5の実施形態である遠赤外レーザーの構成を示す図である。 本発明の遠赤外発光素子が発光している様子を示す図である。 本発明の遠赤外発光素子の発光特性を示す図である。
符号の説明
1a 第1の実施の形態による遠赤外発光素子
1b 第1の実施の形態による他の遠赤外発光素子
1c 第1の実施の形態による他の遠赤外発光素子
1d 第1の実施の形態によるジグザグチャネルによる遠赤外発光素子
2a 第2の実施の形態による遠赤外発光素子
2 GaAs基板
3 GaAlAs
4 2次元電子系
5 ソース電極
6 第2のゲート電極
6a 第2のゲート電極の切欠部分
6b 第2のゲート電極の切欠部分
7 第1のゲート電極
7a 第1のゲート電極
7b 第1のゲート電極
8 ドレイン電極
9 裏面ゲート電極
10a エッジチャネル、バルクチャネル、上位ランダウ準位
10b エッジチャネル、下位ランダウ準位
11 光源
21 遠赤外発光
32 チャネル
33 第2のゲート電極
34 発光領域
35 ソース電極
37 第1のゲート電極
38 ドレイン電極
41 本発明の第2の実施の形態の遠赤外発光素子
42a バルクチャネル
42b エッジチャネル
51 第4の実施形態である遠赤外レーザー
52 遠赤外発光素子
53 凹面鏡
54 金属メッシュ平面鏡
61 第5の実施形態による遠赤外レーザー
62 GaAs基板
63 2次元電子系
64 遠赤外光の波長以上の厚さを有するGaAs基板
65 反射膜
66 表面

Claims (12)

  1. 固体材料中に作製した静磁場中二次元キャリア系と、この二次元キャリア系に形成したチャネルと、このチャネルを横断して設けた第1のゲート電極と、上記チャネルに電流を供給するソース及びドレイン電極とを有し、
    上記二次元キャリア系を量子ホール状態に設定すると共に上記第1のゲート電極に電圧を印加して、エッジチャネル間に非平衡キャリア分布を形成し、且つこのエッジチャネル間の化学ポテンシャル差が、ランダウ準位間のエネルギー差以上になる電位差を、上記ソース及びドレイン電極間に印加することにより、上記エッジチャネル間にキャリアの反転分布を形成し、この反転分布により遠赤外発光することを特徴とする遠赤外発光素子。
  2. 前記チャネルのチャネル端に沿って設けた第2のゲート電極を有し、発光効率を高めることを特徴とする、請求項1に記載の遠赤外発光素子。
  3. 前記チャネルはコルビノ型チャネルであり、発光効率を高めることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遠赤外発光素子。
  4. 前記チャネルは、棒状のチャネルを多数回折り返したジグザグ型チャネルであり、且つこのジグザグ型チャネルの両端が接続されており、単位面積あたりの発光強度を高めることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遠赤外発光素子。
  5. 固体材料中に作製した静磁場中二次元キャリア系と、この二次元キャリア系に形成したチャネルと、このチャネルのチャネル端に沿って設けたゲート電極と、上記チャネルに電流を供給するソース及びドレイン電極とを有し、
    上記二次元キャリア系を量子ホール遷移状態に設定すると共に、エッジチャネルとバルクチャネル間の化学ポテンシャル差がランダウ準位間のエネルギー差以上になる電位差を上記ソース及びドレイン電極間に印加してキャリアの反転分布を形成し、且つ上記ゲート電極に電圧を印加して、発光効率を高めることを特徴とする、遠赤外発光素子。
  6. 前記チャネルはコルビノ型チャネルであり、発光効率を高めることを特徴とする、請求項5に記載の遠赤外発光素子。
  7. 前記チャネルは、棒状のチャネルを多数回折り返したジグザグ型チャネルであり、且つこのジグザグ型チャネルの両端が接続されており、単位面積あたりの発光強度を高めることを特徴とする、請求項5又は6に記載の遠赤外発光素子。
  8. 固体材料中に作製した静磁場中二次元キャリア系と、この二次元キャリア系に形成したチャネルと、このチャネルを横断して設けた第1のゲート電極と、上記チャネルに電流を供給するソース及びドレイン電極とを有し、
    上記二次元キャリア系を量子ホール遷移状態に設定すると共に上記第1のゲート電極に電圧を印加し、且つこのエッジチャネル間の化学ポテンシャル差が、ランダウ準位間のエネルギー差以上になる電位差を、上記ソース及びドレイン電極間に印加することにより、上記エッジチャネル間にキャリアの反転分布を形成し、この反転分布により遠赤外発光することを特徴とする、遠赤外発光素子。
  9. 前記チャネルのチャネル端に沿って設けた第2のゲート電極を有し、発光効率を高めることを特徴とする、請求項8に記載の遠赤外発光素子。
  10. 前記チャネルはコルビノ型チャネルであり、発光効率を高めることを特徴とする、請求項8又は9に記載の遠赤外発光素子。
  11. 前記チャネルは、棒状のチャネルを多数回折り返したジグザグ型チャネルであり、且つこのジグザグ型チャネルの両端が接続されており、単位面積あたりの発光強度を高めることを特徴とする、請求項8又は9に記載の遠赤外発光素子。
  12. 前記固体材料中に作製した静磁場中二次元キャリア系に印加する磁場の強度を調整することにより、発光波長を調整することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の遠赤外発光素子。
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