以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を適用した冷菓製造装置SMの斜視図、図2は冷菓製造装置SMの一部縦断斜視図、図3は冷菓製造装置SMのフリーザドア14部分の拡大斜視図、図4は同じくフリーザドア14の正面図、図5はフリーザドア14を取り外した状態の平面図、図6は同側面図、図7は同縦断側面図、図8は図7の分解図、図9はカバー95を開いた状態のフリーザドア14部分の冷菓製造装置SMの平面図、図10はカバー95を閉じた状態のフリーザドア14部分の冷菓製造装置SMの平面図、図11は冷菓製造装置SMのミックス供給に関する構成図、図12は図11のミックス原料袋5周辺の部品の分解構成図、図13は冷菓製造装置SMの電気回路のブロック図を示している(尚、図1、図2ではカバー95は示していない)。
実施例の冷菓製造装置SMは、ソフトクリームやシャーベット(シェーク)等の冷菓(実施例ではソフトクリームを製造するものとする)を製造販売するための装置であり、図1、図2において本体1の上部には、ソフトクリームの原料ミックス(ソフトクリームやシャーベットなどの冷菓原料となるミックス)を収納したミックス原料袋5を貯蔵保冷するための断熱性の保冷庫2が設けられている。この保冷庫2の庫内2Aは前面が開口しており、この前面開口は回動自在の断熱扉3にて開閉自在に閉塞され、ミックス原料袋5の交換時等にはこの断熱扉3が開放される。尚、33はこの断熱扉3の開閉を検知するための保冷庫開閉スイッチである。
一方、保冷庫2の庫内2A天井部には保冷庫冷却器4と図示しない送風機が配設されており、保冷庫2の背部には保冷庫コンプレッサ18Aや図示しない保冷庫用凝縮器が設置されて前記保冷庫冷却器4と周知の冷媒回路を構成している。この保冷庫コンプレッサ18Aが運転されると保冷庫冷却器4が冷却作用を発揮する。そして、この保冷庫冷却器4により冷却された冷気が送風機により庫内2Aに循環されて保冷庫2内のミックス原料袋5や後述する周辺部品は所定の温度に保冷される。
尚、ミックス原料袋5はラック31内に納出自在に収納し、上からシート材32により抑えて保持した状態で保冷庫2の庫内2Aに収納されて装填される。このとき、ラック31は庫内2A両側壁の保持レール6、6に係支され、その状態でミックス原料袋5は前部が低く傾斜したかたちで保持される。
保冷庫2の内壁からは袋加圧通路を構成する袋加圧パイプ7の接続部7Aと、空気供給通路としてのエアー回路51の接続部51Aが設けられている。更に、保冷庫2の庫内2A底壁には後述する冷却シリンダ8のミックス入口9が開口して設けられている。
ここで、ミックス原料袋5は例えばアルミ蒸着された可撓性を有する樹脂製の袋本体21と、この袋本体21の一面に取り付けられ、袋本体21内と外部とを連通する硬質樹脂製の出口部材22と、袋本体21の他面に周囲を溶着され、当該袋本体21と同素材から成る可撓性の外層体23と、この外層体23と袋本体21の間の後述する非接着部分に連通するように袋本体21の一面に取り付けられた硬質樹脂製の連通口部材24とから構成されている(図11)。
前記外層体23と袋本体21とは当該外層体23の周囲以外は非接着状態とされており、これにより、外層体23と袋本体21間には密閉空間が構成可能とされている。そして、前記連通口部材24はこの外層体23と袋本体21との間(密閉空間)と外部とを連通する。また、ミックス(図11にMで示す)はこの袋本体21内に収納されると共に、外層体23と袋本体21との間の密閉空間には圧縮空気(図11にAIで示す)が供給可能とされている。
上述した如くミックスを収納したミックス原料袋5を、前述の如くラック31内に収納保持し、シート材32で抑えた状態で保冷庫2の庫内2Aに収納する。この状態で、出口部材22に予め取り付けられているミックス供給通路を構成するためのミックス原料チューブ34を後述する如くY型混合器57に接続し、連通口部材24と接続部7Aとの間を袋加圧パイプ7にて連通接続する。また、接続部51AとY型混合器57との間をエアー回路51により連通接続する。
前記ミックス原料チューブ34は可撓性の樹脂チューブから構成されており、予めミックス原料袋5の出口部材22に接続されている。ミックス原料チューブ34の他端(先端)のミックス流出口34Aは当初封止され、外部と接触しないようにミックス原料チューブ34内は衛生的に保持されており、Y型混合器57に接続する際に切断されて開口される。また、この他端のミックス流出口34Aより少許ミックス原料袋5側の部分の外面には、鍔部34Bが外方に張り出して一体に成形されている(図11)。そして、この鍔部34Bのミックス流出口34A側とは反対側の後面は硬質樹脂にて構成されている。
一方、図1において8は、前記ミックス入口9から流入するミックスをビータ10により回転撹拌して冷菓を製造する前述した冷却シリンダであり、その周囲にはシリンダ冷却器11が取り付けられている。ビータ10はビータモータ12、駆動伝達ベルト、減速機13及び回転軸を介して回転される。製造された冷菓は、冷却シリンダ8の前面開口を開閉可能に閉塞するフリーザドア14に配設された取出レバー15を操作することにより、プランジャー16が上下動し、フリーザドア14内に形成された抽出路30が開放されると共に、ビータ10が回転駆動されることにより、取り出される。
これらフリーザドア14やプランジャー16により本発明における冷菓抽出部が構成される。また、フリーザドア14の後面にはビータ10の回転によって冷却シリンダ8内の冷菓全体が一緒に回転してしまうことを防ぐための熱良導性(熱伝導率の高い)金属製(実施例ではステンレス製)のアジテータ25が取り付けられ、冷却シリンダ8内の中心(軸中心)部に挿入されている。従って、ビータ10はこのアジテータ25の周囲で回転することになる。
尚、35は冷却シリンダ8の前方に対応するように本体1から前方に突出して設けられ、上記フリーザドア14が着脱可能に取り付けられるシリンダ前部材であり、フリーザドア14はこのシリンダ前部材35に取り付けられて冷却シリンダ8の前面開口を閉塞する。
この場合、シリンダ前部材35から左右の2本のボルト(図示せず)が突出しており、フリーザドア14の左右の透孔に各ボルトを挿通し、突出した先端にナット(取付具)82を螺合させることでフリーザドア14はシリンダ前部材35に着脱可能に取り付けられている(図3)。
この場合、フリーザドア14は例えば透明ガラス、若しくは、透明硬質樹脂(アクリル)などの透明な断熱材料にて構成されており、このフリーザドア14を通して冷却シリンダ8内は前方から透視可能とされている。このフリーザドア14内には、熱良導性(熱伝導率の高い。以下、同じ。)金属であるアルミニウム製の通路部材80が設けられてフリーザドア14の一部とされ、当該通路部材80は前記透明な断熱材料にて覆われている。この通路部材80内には取出通路40が上下に貫通して形成され、前記抽出路30の前端は取出通路40内の側壁(後壁)に開口し、後端は冷却シリンダ8内に連通している。また、実施例では通路部材80の取出通路40上方に連続してフリーザドア14内には貫通孔14Aが形成されている
これら抽出路30及び取出通路40にて冷菓の取出経路が構成される。尚、実施例の通路部材80はアルミニウムブロックの削りだしで構成されているが、それに限らず、同様のアルミニウム若しくは他の熱良導性金属から成る板材などにて取出通路40を構成してもよい。即ち、少なくとも取出通路40の内面が熱良導性の金属(実施例ではアルミニウム)にて構成されればよい。また、実施例では取出通路40の内面を熱良導性のアルミニウム金属製としているが、抽出路30も通路部材80内に形成して取出経路全体の内面を熱良導性のアルミニウム金属製としてもよい。更に、実施例ではフリーザドア14は二部品にて構成され、各部品にて通路部材80を挟み込み、接着することで通路部材80はフリーザドア14内に設けられているが、それに限らず、フリーザドア14の成形時に埋め込んでもよい。また、前記アジテータ25は通路部材80と交熱的に設けられている。
一方、前記プランジャー16の上部はフリーザドア14同様に透明硬質樹脂、或いは、ポリアセタールなどの樹脂から成る樹脂部16Aで構成されており、その上端には拡開した鍔部16Bが形成され、上部前面には係合凹所16Cが形成されている。また、冷菓の抽出時に当該冷菓に接触するプランジャー16の中央から下部に至る部分は熱良導性の金属(実施例ではアルミニウム)から成る金属部16Dにて構成されている。尚、実施例では金属部16Dと上部の樹脂部16Aをネジ固定するかたちでプランジャー16を構成しているが、全体を樹脂製とし、中央から下部に渡る範囲の外面に熱良導性の金属(アルミニウム又は他の金属)を貼り付けてもよい。即ち、冷菓に接触するプランジャー16の外面が係る熱良導性の材料(実施例ではアルミニウム金属製)で構成されればよい。
そして、このプランジャー16は貫通孔14Aを経て通路部材80の取出通路40内に上方から上下移動自在に挿入配設される。このプランジャー16の金属部16D外面にはH型のOリング(図示せず)が取り付けられる溝87が形成されており、係るOリングにてプランジャー16と取出通路40間をシールする。
取出通路40に挿入されたプランジャー16の前側におけるフリーザドア14上面には前記取出レバー15を取り付けるための取付溝41が形成されている。一方、取出レバー15の下端部には左右に貫通した回動軸孔42が形成されている。そして、取出レバー15はフリーザドア14に取り付けられるものであるが、取り付ける際には先ずその下端部を取付溝41内に挿入し、回動軸孔42を取付溝41の両側壁に形成した透孔41Aに合致させる。また、取出レバー15下部から後方に突出する係合部43はプランジャー16の係合凹所16C内に挿入して係合させる。その状態で回動軸50を前記透孔41Aと回動軸孔42に横から差し込み、取出レバー15をフリーザドア14に着脱可能に取り付ける。
この状態で取出レバー15はフリーザドア14に回動軸50を中心として前後方向に回動自在に枢支される。そして、取出レバー15が起立した状態ではプランジャー16は降下しており、その状態では抽出路30及び取出通路40の取出口40Aはプランジャー16により閉じられている。
そして、冷却シリンダ8内で製造された冷菓を抽出する際には、起立した状態の取出レバー15の上部に指を掛けて手前に倒す(抽出操作)。係る抽出操作で取出レバー15は回動軸50を中心として回動し、上部が前側に傾倒する。他方、下端部後方に延在する係合部43は逆に引き起こされるので、プランジャー16は持ち上げられて上昇する。プランジャー16が上昇すると、取出通路40の取出口40Aが開くと共に、抽出路30も開放されるので、前述の如くビータ10が回転駆動されることにより、冷却シリンダ8内の冷菓が取出通路40下端の取出口40Aから取り出される。
ここで、係るフリーザドア14の本体1側の面には永久磁石36が埋め込まれており、この永久磁石36に対応する位置のシリンダ前部材35にはリードスイッチ37が取り付けられている。そして、フリーザドア14がシリンダ前部材35に取り付けられ、冷却シリンダ8の前面開口を閉塞したときに、このリードスイッチ37は永久磁石36によって接点が閉じられ、フリーザドア14が取り外されて冷却シリンダ8の前面開口が開放されたときは、リードスイッチ37の接点が開放されるよう構成されている(図2)。
また、冷菓抽出部を構成する取出レバー15の上端部後方に対応する位置の本体1前面には近接スイッチ(近接センサ)38が取り付けられている。この近接スイッチ38は赤外線や音波を用いて取出レバー15が起立しているか傾倒されているかを検出できる。即ち、取出レバー15が起立しているときは取出レバー15の上部が近接スイッチ38に近付いており、それにより近接スイッチ38は取出レバー15の存在を検出する。そして、取出レバー15の上部が前側に傾倒され(抽出操作)、近接スイッチ38から離間すると、近接スイッチ38は取出レバー15の存在を検出しなくなるものである。
また、本体1の前面側に位置するシリンダ前部材35には例えば樹脂製のカバー95が取り付けられている。このカバー95は軸94にてフリーザドア14の向かって左側面に回動自在に枢支されており、図9の如く向かって左に回動された状態でフリーザドア14前面及びプランジャー16や取出レバー15は露出し、図10の如く閉じた状態ではフリーザドア14やプランジャー16、取出レバー15は覆われる。これにより、フリーザドア14やプランジャー16には外気が風となって当たらなくなる。
他方、図2に示す如く保冷庫2の内壁には洗浄用ホース接続口39が設けられている。この洗浄用ホース接続口39には冷却シリンダ8内の洗浄の際に洗浄用水を冷却シリンダ8内に吐出するための洗浄用ホース(図示せず)が接続されるものであり、本体1から引き出された図示しない洗浄用水配管に連通している。この洗浄用水配管は図示しない水道管に接続され、更に、洗浄用水配管の途中には図示しない開閉栓が介設されて、本体1の前面に配設されている。この開閉栓は常には洗浄用水配管を閉じており、冷却シリンダ8を洗浄する際にはこれを回して洗浄用水配管を開くものである。
上記本体1の下部には冷却装置Rの冷媒回路を構成するコンプレッサ18や凝縮器20、四方弁19等が収納設置されている。この四方弁19は前記シリンダ冷却器11にコンプレッサ18から吐出された高温冷媒を流し、冷却シリンダ8の加熱殺菌を行わせるためのものである。
次に、図11、図12において27は空気圧縮装置を構成するエアーポンプであり、このエアーポンプ27の吐出パイプ28は分配器46に接続されている。そして、この分配器46には前記袋加圧パイプ7の他端が接続される。尚、袋加圧パイプ7は前述した接続部7Aを介した複数部品で構成される。更に、この分配器46には圧力検出手段を構成するエアー回路内センサー(圧力センサー)47と排気パイプ49が接続され、この排気パイプ49には排気手段を構成するエアー回路内排気電磁弁48(エアーポンプの保護とエアー回路の排気用)が接続される。
更にまた、分配器46には空気供給通路としての前記エアー回路51の一端が接続され、これにより、分配器46を介して袋加圧パイプ7、エアー回路51、エアーポンプ27、エアー回路内センサー47及び排気パイプ49は分岐接続されたかたちで相互に連通されている。このエアー回路51も接続部51Aを介した複数部品で構成され、そこには流路開閉手段としてのエアー回路開閉電磁弁52とエアーフィルタ53と逆止弁56が介設されている。このエアーフィルタ53はエアー回路51内に流入する圧縮空気中の異物や雑菌を捕獲して除去するものである。
そして、前記エアー回路51の他端は経路構成部品である合流部材としての前記Y型混合器57の他方の入口に前述した如く着脱可能に接続される。更に、このY型混合器57の出口は逆止弁54を介して冷却シリンダ8のミックス入口9に着脱可能に接続される。上記逆止弁54は冷却シリンダ8の方向、逆止弁56はY型混合器57の方向が順方向とされている。また、これらミックス原料袋5、ミックス原料チューブ34、エアー回路51の逆止弁56より下流側の他端部、袋加圧パイプ7の一端部及びY型混合器57は保冷庫2の庫内2Aに位置し、保冷されることになる。
ここで、袋加圧パイプ7も可撓性を有するチューブにて構成され、ワンタッチ継手などによりミックス原料袋5の連通口部材24に着脱可能に接続される。また、ミックス原料チューブ34の一端はチューブ取付部品により前述した如くミックス原料袋5の出口部材22に予め接続されている。
また、ミックス原料チューブ34の他端は取付ナット67によりY型混合器57の一方の入口に着脱可能に接続される。この場合、ミックス原料チューブ34のミックス流出口34AをY型混合器57の一方の入口からY型混合器57内に挿入すると、鍔部34Bが入口の開口縁に当接する。この状態で、取付ナット67を鍔部34Bの後面側から入口外面に形成したネジ溝に螺合させ、鍔部34Bを入口の開口縁に押し付けて封止する。これによって、ミックス原料チューブ34の他端はY型混合器57に着脱可能に接続される。このように接続した状態で、ミックス流出口34AはY型混合器57内に臨んでおり、その周囲のY型混合器57の壁面と接触しない。
尚、ミックス原料チューブ34は前述の如く可撓性のチューブであるので、ピンチ68にて挟むことで容易に封止可能である。但し、通常使用時はこのピンチ68は開いておくものとする。
他方、前記エアー回路51の他端も取付ナット69により前述の如くY型混合器57の他方の入口に着脱可能に接続される。そして、このY型混合器57の出口はOリング71を介して前述の如く冷却シリンダ8のミックス入口9に着脱可能に接続されている。このように着脱可能に接続することで、ミックス原料チューブ34やY型混合器57などの洗浄が容易となる。
次に、図13において73は制御手段を構成する汎用のマイクロコンピュータであり、このマイクロコンピュータ73の入力には前記保冷庫開閉スイッチ33、エアー回路内センサー47、近接スイッチ38、リードスイッチ37が接続されている。また、マイクロコンピュータ73の入力には、更に断熱扉3の前面下部に設けられたコントロールパネル74に配設されたプリチャージスイッチ(操作スイッチ)76と冷却スイッチ77、加熱殺菌スイッチ75が接続されている。
更に、マイクロコンピュータ73の出力には前述した冷却装置Rのコンプレッサ18、18Aやビータモータ12などの他、前記エアー回路内排気電磁弁48とエアーポンプ27、エアー回路開閉電磁弁52が接続されている。更にまた、マイクロコンピュータ73の出力には前記操作パネル74に設けられた売り切れ表示ランプ78も接続されている。
以上の構成で、次に動作を説明する。冷菓製造装置SMの図示しない電源プラグが電源に接続されて電源がONされると、マイクロコンピュータ73は先ずリードスイッチ37の接点が閉じているか否か判断する。そして、フリーザドア14が取り付けられて冷却シリンダ8の前面開口を閉じており、永久磁石36がリードスイッチ37の接点が閉じていれば以後の運転の開始を許容するが、フリーザドア14が正常に取り付けられておらず、リードスイッチ37の接点が開いている場合には以後の運転の開始を禁止し、例えば売り切れ表示ランプ78を点滅させて警報を表示する。これにより、フリーザドア14の取り付けを忘れ、或いは、正常に取り付けない状態で運転が開始されることを防止すると共に、フリーザドア14の取り付けを作業者に促す。
(1)初期状態
電源ONからの初期状態で、マイクロコンピュータ73は先ず所定期間(例えば5秒間)エアー回路内排気電磁弁48を開く。その後、前述の如くミックス原料袋5を保冷庫2の庫内2Aにセットするなどした後、断熱扉3が閉じられたことを保冷庫開閉スイッチ33の検出動作に基づいて検出すると、マイクロコンピュータ73はエアーポンプ27を運転する。その後、保冷庫2の断熱扉3が開放された場合、マイクロコンピュータ73は保冷庫開閉スイッチ33の検出動作に基づき、エアーポンプ27を停止すると共に、所定期間(5秒間)エアー回路内排気電磁弁48を開いてエアー回路51や袋加圧パイプ7から排気する。
即ち、マイクロコンピュータ73は保冷庫2の断熱扉3が開放された場合にはエアーポンプ27を停止し、断熱扉3が閉じられている場合のみエアーポンプ27の運転を許容する。これにより、ミックス原料袋5の交換などの際のパイプなどの着脱に際しての安全性が向上する。特に、断熱扉3が開放された際にはエアー回路内排気電磁弁48を開いてエアー回路51や袋加圧パイプ7から圧縮空気を排出するので、パイプの着脱の際に圧縮空気が吹き出す不都合を確実に回避できるようになる。
尚、この初期状態においてエアーポンプ27が運転された後、3分経過してもエアー回路内センサー47が分配器46で連通された袋加圧パイプ7(袋加圧パイプ7に連通しているミックス原料袋5の袋本体21と外層体23との間の密閉空間を含む)やエアー回路51内の圧力上昇を検出しない場合にはエアーポンプ27を停止し、売り切れ表示ランプ78を点滅させて警報する。
(2)プリチャージモード
次に、作業者がカバー95を開き、また、プリチャージスイッチ76をONする(2秒未満押す)と、マイクロコンピュータ73はプリチャージモードに入りプリチャージを開始する。このプリチャージモードではマイクロコンピュータ73はエアーポンプ27を運転し、分配器46で連通された袋加圧パイプ7(袋加圧パイプ7に連通しているミックス原料袋5の袋本体21と外層体23との間の密閉空間を含む)やエアー回路51(プリチャージモードではエアー回路開閉電磁弁52は閉じている)内に圧縮空気を供給する。
袋加圧パイプ7から圧縮空気がミックス原料袋5の外層体23と袋本体21との間の密閉空間に送り込まれることにより、袋本体21には外側から一定の圧力が印加される。これにより、外層体23と袋本体21との間の密閉空間の容積が拡大することで、袋本体21内のミックスは出口部材22からミックス原料チューブ34へと押し出されていく。ミックス原料チューブ34に押し出されたミックスはミックス流出口34Aから出た後、Y型混合器57、逆止弁54を経てミックス入口9から冷却シリンダ8内に流入する。このとき、エアー回路51を外しておくことにより、冷却シリンダ8内の空気はY型混合器57の他方の出口から出ていく。これにより、ミックスも冷却シリンダ8内へ円滑に流入してき、所定時間後、または、目視によるプリチャージスイッチ78の操作によって所定液位までミックスを冷却シリンダ8内に貯留する。
ミックス原料袋5からミックスが流出することで、外層体23と袋本体21間の密閉空間の容積が拡大するので、袋加圧パイプ7から分配器46に至るパイプ内の空気圧力も低下する。そして、エアー回路内センサー47が所定の下限値まで圧力が低下したことを検出した場合、マイクロコンピュータ73はエアーポンプ27を運転して圧縮空気の供給を再開する。これを繰り返してマイクロコンピュータ74はエアー回路内センサー47が検出する空気圧力(ミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間の空気圧力)を設定値と下限値の間(設定値と下限値の範囲における所定圧力)に維持する。
このように冷却シリンダ8内に所定液位までミックスを貯溜した後、断熱扉3を開き、エアー回路51をY型混合器57の他方の入口に接続して断熱扉3を閉じる。断熱扉3が開放された時点で前述の如くマイクロコンピュータ73はエアーポンプ27を停止し、エアー回路内排気電磁弁48を開いて圧縮空気を排出するが、エアー回路51の接続後、断熱扉3が閉じられれば再びエアーポンプ27を運転してエアー回路内センサー47が検出する空気圧力(ミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間を含む袋加圧パイプ7や分配器46及びエアー回路51内のエアー回路開閉電磁弁52までの空気圧力)を設定値まで上昇させる。
エアー回路内センサー47が検出する空気圧力が設定値まで上昇したら、マイクロコンピュータ73はエアー回路開閉電磁弁52を所定期間(例えば5秒)開き、Y型混合器57に至るエアー回路51内に圧縮空気を送り込む。このエアー回路51からY型混合器57を経て冷却シリンダ8内に流入する圧縮空気の圧力により、ミックス原料チューブ34から冷却シリンダ8へのミックスの流入は阻止されることになる。
このときに冷却シリンダ8内に流入する圧縮空気の量によって冷菓のオーバーラン(冷菓中に空気が混入して嵩が増える状態)が得られることになるが、前述の如く冷却シリンダ8内に貯溜するミックスの液位はプリチャージスイッチ76の操作によって所定の液位に規定できるので、冷却シリンダ8内の空気量も規定できることになり、これにより、冷菓のオーバーラン量を正確に設定することができるようになる。そして、このプリチャージ後、カバー25を一旦閉じる。
(3)販売モード
次に、作業者により冷却スイッチ77がON(押す)されると、マイクロコンピュータ73は前述の如くフリーザドア14が正常に取り付けられて閉じていることを条件として、冷却装置Rのコンプレッサ18を運転して冷却運転を開始する。コンプレッサ18が運転されると、凝縮器20で凝縮された冷媒が図示しない減圧装置を経てシリンダ冷却器11に供給され、そこで蒸発することで冷却作用を発揮する。また、コンプレッサ18Aも運転され、前述の如く保冷庫冷却器4により保冷庫2の庫内2Aのミックス原料袋5のミックスは保冷される。更に、庫内2Aにあるミックス原料チューブ68やエアー回路51の他端部、及び、Y型混合器57などの部品(図11に二点鎖線で囲まれた部分)も保冷されるので、後述する如く冷却シリンダ8内に流入するミックスや圧縮空気がこれらを通過する過程で温度上昇することもなくなる。
一方、冷却シリンダ8内ではシリンダ冷却器11によってミックスは冷凍温度に冷却されると共に、マイクロコンピュータ73はビータモータ12によりビータ10を回転させるので、これにより、冷却シリンダ8内では半硬化状態の冷菓(ソフトクリーム)が製造される。以後、販売待機状態となる。また、冷却シリンダ8内が冷却されることで、アジテータ25も低温となり、その冷却作用は通路部材80に伝達され、更に、プランジャー16にも伝達されてそれらは冷却される。これにより、通路部材80の取出通路40内面及びプランジャー16の金属部16D外面は低温となる。
尚、通路部材80の周囲は前述の如く透明な断熱材料にて覆われているので、この通路部材80が冷却されることによって生じるフリーザドア14表面への結露の発生も防止若しくは抑制される。また、係る待機状態でカバー25を閉じておけば、フリーザドア14やプランジャー16には外気が風となって当たらなくなるので、外気との熱交換による温度影響も小さくなり、取出通路40内面及びプランジャー16の金属部16D外面は良好に低温に維持される。
次に、カバー25を開けて作業者が例えばコーン(容器)を取出レバー15の下方に宛い、取出レバー15に指を掛けて前側に傾倒させると、取出レバー15が近接スイッチ38から離間するので、近接スイッチ38は取出レバー15の存在を検出できなくなる。これにより、近接スイッチ38はOFFするので(冷菓の抽出操作による販売検知)、マイクロコンピュータ73は近接スイッチ38のOFFに応じて、自らがその機能として有する販売検知3秒(3秒に限らない所定期間)タイマのカウントを開始する。そして、当該状態が3秒間継続してタイマのカウントが終了した場合、即ち、近接スイッチ38が取出レバー15の存在を3秒間継続して検出できない場合、マイクロコンピュータ73はビータ10を回転させる。このビータ10の回転により抽出路30より冷菓(ソフトクリーム)が通路部材80の取出通路40に押し出され、下端の取出口40Aから冷菓がコーンに抽出されることになる。
このとき、通路部材80は前述したように冷却されており、取出通路40内面及びプランジャー16の金属部16D外面は低温となっている。従って、抽出される冷菓が取出通路40を通過する際に温められて融解してしまう不都合も解消される。
そして、抽出が終了し、前述の如く取出レバー15を起立状態に戻し、プランジャー16により抽出路30と取出通路40の取出口40Aを閉じると、近接スイッチ38が再び取出レバー15の存在を検出するようになるので(ON)、マイクロコンピュータ73は係る近接スイッチ38のONに応じてビータ10の回転を停止する。
このとき、プランジャー16と取出通路40の隙間には冷菓が残留するが、この場合にも取出通路40内面及びプランジャー16の金属部16D外面は低温となっているので、これらの残留冷菓が腐敗し、或いは、雑菌が発生する危険性も少なくなる。また、抽出後にカバー25を閉じておけば、同様に取出通路40内面及びプランジャー16の金属部16D外面は良好に低温に維持される。
一方、マイクロコンピュータ73は販売検知から所定遅延時間後に所定期間エアー回路開閉電磁弁52を開放する。このエアー回路開閉電磁弁52によるエアー回路51の開放により、エアー回路51からY型混合器57を経て冷却シリンダ8内に流入する圧縮空気の圧力により、ミックス原料チューブ34から冷却シリンダ8へのミックスの流入は阻止され、前述同様に停止することになる。即ち、冷却シリンダ8からの冷菓の抽出開始から遅延してエアー回路開閉電磁弁52を開くことで、ミックス原料チューブ34から冷却シリンダ8内にミックスを補充できる。
ここで、マイクロコンピュータ73はエアー回路内センサー47が検出する圧力を前述した設定値に維持するようにエアーポンプ27をON−OFF制御している。上述のような冷菓の抽出に伴ってミックス原料袋5からミックスが流出し、また、エアー回路51からも空気が冷却シリンダ8内に流入することでエアー回路内センサー47が検出する圧力は徐々に低下していくが、略5回の抽出で圧力は下限値に低下し、エアーポンプ27は運転される。
このようにエアーポンプ27とエアー回路内センサー47を用いてミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間内の空気圧力を封入することで、それらの間の密閉空間の容積を拡大させて袋本体21内に収納されたミックスをミックス原料チューブ34に押し出すので、袋本体21から冷却シリンダ8へのミックスの自動供給を実現することが可能となる。これにより、従来の如くミックス供給パイプを使用する重力に依存したミックスの供給方式を廃して、安定的なミックスの自動供給を実現できるようになると共に、ミックスをミックス原料袋5から直接冷却シリンダ8に供給することで、衛生上の問題も解決することができるようになる。
(4)加熱殺菌モード
次に、閉店時に冷却シリンダ8内を加熱殺菌する場合には、先ず、回動軸50を緩めて引き抜き、取出レバー15をフリーザドア14から取り外す。そして、カバー25を閉じてフリーザドア14やプランジャー16を覆う。その状態で、作業者が加熱殺菌スイッチ75をON(押す)すると、マイクロコンピュータ73は冷却装置Rのコンプレッサ18を運転し、且つ、四方弁19を切り換えて加熱殺菌運転を開始する。この加熱殺菌運転では、コンプレッサ18から吐出された高温のガス冷媒が前記凝縮器20や減圧装置を介さずに直接シリンダ冷却器11に供給される。これにより、冷却シリンダ8は加熱されて内部の冷菓(ミックス)は殺菌されることになる。この加熱殺菌運転は冷却シリンダ8を所定の加熱殺菌温度で所定時間保持することで終了する。
ここで、前述の如くプランジャー16と取出通路40の隙間には冷菓が残留しているが、この場合にも冷却シリンダ8内の熱がアジテータ25を伝って熱良導性の取出通路40内面及びプランジャー16の金属部16D外面を効果的に加熱し、高温とするので、これら取出通路40内も円滑に加熱殺菌されることになる。また、カバー25を閉じておくことにより、この加熱殺菌中の熱が外気に逃げることも少なくなり、加熱殺菌はより効率的に行われるようになる。
尚、上記実施例ではミックス原料袋を圧縮空気で加圧することでミックスを押し出す方式で説明したが、それに限らず、通常のホッパー式の冷菓製造装置にも本発明は有効である。