JP4337135B2 - 平置き倉庫のロケーション整理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の利用分野】
この発明は平置き倉庫に関し、特にパレットを再配置して空きロケーションを作り出すロケーションの整理に関する。
【0002】
【従来技術】
【0003】
【特許文献1】
特開平6−239420号公報
特許文献1は、平置き倉庫のロケーションの整理について開示している。そして変品種変量生産が重要になるに連れ、平置き倉庫でもロケーションを整理して、次の出庫をスムーズに行えるように準備する必要性が増している。
【0004】
平置き倉庫のロケーションの整理計画は、(i)パレットの再配置計画と、(ii)複数のフォークリフトによるパレットの搬送計画、の2つに分けられる。(i)の再配置計画では、現状のパレット配置に対し、次の入出庫に備えてパレット配置を最適化する。(ii)の搬送計画では、(i)の再配置計画で決定された配置を実現させるため、作業とその順序を複数のフォークリフトに割り当てる。ところで図1に平置き倉庫2の例を示すと、4はフォークリフトの通路で、6は個別のロケーションで、8はロケーション内の空きスペースである。平置き倉庫2では、同じ品種の物品を同じロケーション6に配置することが好ましく、異なる品種の物品を同じロケーションに配置することは好ましくない。また各品種に対して製造日などの違いがあることを考慮すると、同じ品種で製造日が同一もしくは近接したものを同じロケーションにまとめることになる。
【0005】
これらの制約のため、パレットの配置には極めて多数のパターンが考えられ、パレットの配置パターンは品種の数に応じて指数的に増加し、莫大なものとなる。また(ii)の搬送計画は、巡回セールスマン問題の一種であり、基本的にNP困難な問題である。このような大規模な最適化問題に対し、実用的な時間(目安として10分以内)で準最適な解を求めることは極めて難しい。
【0006】
平置き倉庫では、複数のフォークリフトが作業スペースを共有するため、フォークリフト間の干渉がある。このため、仮に平置き倉庫に対するパレットの再配置計画や搬送計画の準最適解が求まったとしても、これらの最適解にフォークリフト同士の干渉を考慮することは実質上不可能である。また有人のフォークリフトの場合、作業能率は運転手により異なり、これを搬送計画に盛り込むことも困難である。
【0007】
図2に現状で用いられている平置き倉庫の整理計画のアルゴリズムを示すと、パレット数の少ないロケーションから空きにするロケーションの候補として、リストを作成する。次にリストの上位(パレット数の少ないロケーション)からフォークリフトに搬送作業を割り当て、搬送先は品種が一致し製造日が近接あるいは一致する範囲で、パレット数の多いロケーションから、あるいは品種や製造日が所定の条件を充たせば、近接したロケーションからとする。そして1つのロケーションには1台のフォークリフトを割り当てる。この手法では、どのロケーションを空きにするかを、パレット数が少ないとの経験的な基準で定め、搬送計画を最適化すること、言い換えると巡回セールスマン問題に取り組むことは放棄している。
【0008】
【発明の課題】
この発明の課題は、効率的に平置き倉庫のロケーションを整理できるようにすることにある(請求項1,2)。
請求項2の発明での追加の課題は、ロケーションの整理をさらに効率的にすることにある。
【0009】
【発明の構成】
この発明の平置き倉庫のロケーションの整理方法は、平置き倉庫内の物品を台車により再配置することにより、倉庫内を整理して空きロケーションを作る方法において、ロケーションの現状、投入する台車の台数、整理の作業時間を入力情報として、空きにするロケーションの組み合わせを探索する第1ステップを実行した後に、空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかを探索する第2ステップと、どの台車にどの搬送作業を割り付けるかを計画するスケジューリングを行う第3ステップとを、この順に繰り返し行うことにより、空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかと、どの台車にどの搬送作業を割り付けるかとを、作業時間と共に求め、次いで、求めた作業時間が、入力情報中の作業時間よりも短い場合は空きにするロケーションを追加し、入力情報中の作業時間よりも長い場合は空きにするロケーションを削除もしくは空きにするロケーションと空きにするロケーションからの搬送先のロケーションとを入れ替えた後に、第2ステップと第3ステップとを繰り返し実行する第4ステップを複数回実行することにより、空きにするロケーションと、空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかと、どの台車にどの搬送作業を割付けるかとを決定することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
好ましくは、ロケーション整理の実行中に、ロケーション整理での残余の搬送作業に対して、前記第3ステップを再度行い、台車への搬送作業の割り付けを再計画する(請求項2)。
【0012】
この発明では、空きにするロケーションの探索では、空きにするロケーションの候補毎に、空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかの、搬送先の探索を複数回繰り返して、空きにするロケーションの候補の効率を評価する。また空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかの搬送先の探索では、搬送先の候補毎にどの台車にどの搬送作業を割り付けるかの計画を立案して、搬送先の候補の効率を評価する。
【0013】
この発明では、空きにするロケーションの候補の探索では複数の候補を評価し、搬送先の探索では空きにするロケーションの候補毎に搬送先の候補を複数評価する。この評価では、好ましくは局所的な最適解に落ち込まないように、シミュレーテッドアニーリングや遺伝的アルゴリズムなどを用い、それ以前の候補よりも低効率の候補でも、所定の条件、例えば所定の確率で、新たな候補を採用するようにする。好ましくはシミュレーテッドアニーリングを用い、それ以前の候補よりも効率の高い候補は採用し、それ以前の候補よりも効率の低い候補は所定の確率で採用し、この確率を実行済みの探索回数が大きく、かつ効率の低下の程度が大きいほど、小さくなるようにして、探索の終期には準最適解に達するようにする。
【0014】
台車への搬送作業の割り付け計画(搬送計画)は、複数のセールスマンに対する巡回セールスマン問題となり、NP困難な問題である。この問題は、搬送元のロケーションを一方の集合とし、搬送先のロケーションを他方の集合とする2部グラフの問題と見なして、2部グラフ間での長い経路を求める問題(ラージアークアルゴリズム)として解いても良い。しかし実施例では、これよりも計算量が少ない計算法(後述のグリーディ法)を用いた。
【0015】
【発明の作用と効果】
この発明では、ロケーションの整理計画を、
#1 空きにするロケーションの探索(第1ステップとして実行すると共に、第2ステップと第3ステップの実行後に再度実行)
#2 空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかの探索(第2ステップ)
#3 どの台車にどの搬送作業を割り付けるかのスケジューリング(第3ステップ)
の3つの問題に分割し、各問題毎に準最適解を求める。このため平置き倉庫のロケーションの整理計画を計算可能な問題に変換し、準最適解を求めることができる(請求項1,2)。
【0016】
従来の整理計画では、パレット数の少ないロケーションから空きにし、空きにするロケーション毎に台車を割り付ける(図2)などの、ロケーションの現状のみを入力情報とするアルゴリズムが用いられている。図2のアルゴリズムに、パレット数の多いロケーションから搬送先とするなどのアルゴリズムを追加することもあるが、これもロケーションの現状のみを考慮し、投入するフォークリフト等の台車の台数や作業時間を考慮していない点では同様である。これらのアルゴリズムでは、短時間で空きにできるパレット数の少ないロケーションから作業を開始して、作業時間が無くなると、中途でも作業を中止することになる。
【0017】
また搬送先は、能力一杯にパレットを保管できるように、パレット数の多いロケーションから優先するなどのことが行われるが、台車の走行経路長を短縮するなどの配慮は行われていない。これ対して、作業時間や作業台数を考慮し、問題を、#1 空きにするロケーションの探索、#2 空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかの探索、#3 どの台車にどの搬送作業を割り付けるかのスケジューリング、に3分割すると、#3のスケジューリングにより同じ量の搬送作業に対して台車の走行経路長の合計を最短にし、#2で最適な搬送先を選択し、#1で、与えられた作業時間と作業台数とに対して、どのロケーションを空きにするかを最適化できる(請求項1,2)。
【0018】
さらに整理作業の実行中に、#3のスケジューリングを再度行うと、スケジューリングを再度行わない場合に比べ、例えば5%程度多くの空きロケーションを作ることができた。スケジューリングの最適化はNP困難な問題で、かつ台車相互の干渉などの予想困難な問題が介在するが、整理作業の実行中に再スケジューリングを行えば、上記のような困難を回避できる(請求項2)。
【0019】
この発明の効率(ここでは同じ作業時間と作業台数で空きにできるロケーションの数)は、品目数、搬送するパレット数などにも依存するが、例えば図2の従来例に対し、10〜20%程度多くの空きロケーションを作ることができた。またロケーション整理の計画作成に必要な計算時間は、CPUタイムで1時間未満のオーダー(例えば10分程度)であり、作業時間に余裕ができそうな時や、昼休み、朝の作業開始前の準備時間、夕刻の終業後の余裕時間などに、整理計画を立てることが可能な範囲である。従ってこの発明では、予めスケジュールした時だけでなく、臨機応変に平置き倉庫のロケーションを整理できる。
【0020】
【実施例】
実施例では、計画段階で使用するモデル=計画モデルと、シミュレーション環境を定義する実行モデル、の2つのモデルを用意する。また実施例では、図3〜図9に整理計画の作成法を示し、図10〜図12にその評価結果を示し、図13に整理計画を立案実行するための制御部を示す。2つのモデルの仕様を以下に示す。
【0021】
<前提条件>
作業時間はロケーション間の移動コストの和で表現される。移動コストは、事前に荷物の配置をランダムに変えた1000回の(実行モデルでの)シミュレーションで得た、各ロケーション間の最短経路長の平均をフォークリフトの平均移動速度で割ったものを用いた。これはパレットの移載に必要な時間を無視するモデルである。
<モデル化される要素>
(1) 各ロケーションの情報: パレット数・品目・製造日,最大容量
(2) ロケーション間の移動コスト
なお品目は単なる品種の意味で用いる場合と、品種と製造日の組み合わせの意味で用いることとがあるが、そのいずれであるかは前後の表現で明らかにする。
【0022】
【実行モデル】
<前提条件>
(1) フォークリフトは一定速度で移動するものとする。
(2) パレットをすくったり、下ろしたりする動作にかかる時間は、0として無視する。
(3) フォークリフトは交通ルールを遵守し・衝突を回避し、最短経路でロケーション間を移動する。
【0023】
<モデル化される要素>
(1) 各ロケーションの情報: 位置・形状,パレット数・品目・製造日,最大容量
(2) フォークリフト同士やフォークリフトとパレットとの干渉
(3) 衝突回避等のための交通ルール(通行区分,待機)
計画モデルに対し実行モデルでは、2次元平面上をフォークリフトが移動し、幾何的な距離とフォークリフト同士やフォークリフトとパレットの干渉がある。衝突を回避しフォークリフト同士のデッドロックを防ぐため、適宜の交通ルールを定め、速度制限、優先走行順序と待機順序などを定め、また目的のロケーションで他のフォークリフトが作業しているときは、その手前の位置で待機するなどの制約を課す。
【0024】
入力情報、出力情報、使用する変数の定義を以下に示す。
maximize: E(x)
Subject to: maxTk(x)≦Trequest (1)
kはフォークリフトを示す添字で、(1)は作業時間が最大のフォークリフトでも指定された時間内に作業を完了することを意味する。
x∈S
S: 搬送スケジュールの集合
x: 搬送スケジュール
E(x): 空のロケーションの数
Tk(x): フォークリフトkの作業時間
Trequest: 要求作業時間
【0025】
<入力情報>
(1) 各ロケーションの情報: 位置,形状,在庫パレット数・品目・製造日,最大容量
(2) 要求作業時間
(3) フォークリフトの台数
<出力情報>
各フォークリフトの搬送スケジュール: 「ロケーションiからjへの1パレットの搬送」を単位タスクとして、各フォークリフト毎にタスクを実行する順序を示したもの。フォークリフト毎の搬送スケジュールの全フォークリフトに対する総和を考えると、搬送スケジュールxとなる。
【0026】
<変数の定義等>
L: ロケーションの集合
i: 原則としてロケーションを表す添字
Qi: ロケーションiのパレット数
Ki: ロケーションiに置かれている品目
Ci: ロケーションiの容量
ij: ロケーションi-j間の移動コスト
ij: ロケーションi-j間の搬送回数
F: フォークリフトの集合
Nk: フォークリフトkの現在いるロケーション
Sk: フォークリフトkのスケジュール
【0027】
整理計画を3つの段階に分解する。
#1 空きにするロケーションの決定
#2 パレットの搬送先の決定
#3 スケジュールリング
図3〜図5に示すとおり、#2は#3を、#1は#2と#3を内包しているが、各々の階層では独立したアルゴリズムで解を求めることができる。#1,2ではシミュレーテッドアニーリング(以下SA)を、#3では巡回路生成に関する近似アルゴリズム(グリーディ法やラージアークアルゴリズム)を用いる。これらを共通の枠組みとした上で、作業開始前のオフラインでの計画と、実際の整理作業と平行したオンラインの再計画とを行う。オフラインでは#1−#3を、オンラインでは#3を実行する。
【0028】
ロケーション整理での最適化問題は(1)式で与えられ、(1)式をそのまま評価関数として使うこともできるが、制約条件により探索過程で解が推移する空間が制限され、探索効率が悪化することが考えられる。そこで実施例では、次式を評価関数として用いる。
maximize: PI=E(x)+Ψ(x) (2)
Ψ(x)=1−expα(maxTk(x)−Trequest) (3)
Tk(x)=Σi LΣj Lijkij(x) (4)
ここで、αは定数、(3)式での最大値はkに関して求め、(4)式のPkij(x)は、スケジュールxにおいてフォークリフトkがロケーションi-j間を移動する回数で、(4)式のi,jはロケーションの集合Lの範囲で検討する。ペナルティ関数Ψ(x)は得られた作業時間が要求を満たす際は1より小さい正の値、充たさない場合は負の値となる。
【0029】
初期解は以下のようにして生成する。このアルゴリズム1によって、ロケーションiからjへの搬送回数Rijが得られる。
アルゴリズム1 (初期解の生成法)
ステップ1 全ての品目mに対し、再配置により空きにすることができるロケーションの数ΔEを求める。
ステップ2 ロケーションiが同じ品目がおかれているロケーションの中で、パレット数が少ない順にΔE番目までであれば、Miをtrueとし、そうでなければfalseとする。ステップ2は全ロケーションに対して行う。
ステップ3 Miがtrueのロケーションを、パレット数の少ない順にリストして、順列Πとする。
ステップ4 Rij←0(i∈L,j∈L) t←1とする。
ステップ5 順列Πのt番目の要素をaに代入
ステップ6 (Ka=Kj∩Cj−Qj−Σi LRij)>0を満たすj(∈L)をランダムに選び、Raj←Raj+1とする。これをQa回繰り返す。
ステップ7 後述のアルゴリズム3を実行。得られた解が要求作業時間を満たせばt←t+1としステップ5へ、満たさない場合はRaj←0(j∈L)として終了。
【0030】
#1,#2での探索アルゴリズムとして、図8に示すシミュレーテッドアニーリングを用いる。シミュレーテッドアニーリングは選んだ近傍解が現在より改善されれば採択し、改悪されても改悪量をdとしてexp(−d/ti)の確率で採択する。tiは温度関数で、tiが探索回数iに対し正値で単調減少するため、探索の初期段階では大域的な探索をし、探索が進むにつれ解が改善される方向に探索範囲を絞り、準最適解に収束することができる。
【0031】
先ず初めの段階として、空きにするロケーションを探索する。これは図3の#1(図4、図5のLayer1)に対応する。この階層でのフローチャートを図5に示す。ここでは、図7に示す3つの近傍探索法を用いる。
【0032】
Add: 任意のパレット受け入れロケーションから、ランダムにa(∈L)を選び、空きにするロケーションのリストに追加し、Ka=Kj∩Cj−Qj−Σi LRij>0を満たすj(∈L)をランダムに選び、Raj←Raj+1とする。
Delete: 空きにするロケーションのリストから、ランダムにb(∈L)を選び、リストから削除。Rbj←0(j∈L)とする。
Exchange: Deleteを実行後、Addを実行する。
【0033】
ここで注意すべき点は、入れ替え(Exchange)という操作である。この操作は追加と削除の組み合わせであるが、連続に行った後で解の評価を行うところに意味がある。入れ替えでは(2)式におけるE(x)の値を固定したまま解を推移させることが可能で、作業時間の短縮のみに焦点を絞ることができる。また図5に示すように、得られたスケジュールが要求作業時間を満たすときは追加し、越える場合は削除または入れ替えを適当な確率、例えば等確率で選ぶ。このように取り得る近傍探索法を限定することにより、空きにするロケーションの探索効率の改善を図る。
【0034】
空きにするロケーションを決定した後、次にどこにパレットを搬送させるかを決定する(図3の#2、図4,図5のLayer2に対応)。この階層でのアルゴリズムのフローチャートを図6に示す。ここでは、次に示す近傍探索法を用いる。
Shift: (Ki=Kj=Kk∩Rij>0) ∩ (Ck−Qk−Σl LRlk>0)を満たす、i,j,k(∈L,i≠j,j≠k,k≠i)をランダムに選び、Rij←Rij−1,
Rik←Rik+1とする。
【0035】
図6のアルゴリズムでは、搬送先のロケーションをシフト動作により変化させて搬送先の組み合わせの新たな候補を発生させ、この候補毎に#3のスケジューリング問題の近似解を求めて、搬送先の組み合わせの候補を評価し、シミュレーテッドアニーリングにより所定の回数搬送先の候補の探索を繰り返して、搬送先の組み合わせの準最適解を求める。
【0036】
決定されたパレットの配置を実現させるべく、実際にフォークリフトに搬送作業をその作業順と共に割り当てる(図3の#3、図4のLayer3,図5の搬送スケジューリングに対応)。ここでのスケジューリング問題は一般に巡回セールスマン問題(以下TSP)と呼ばれるものの一種で、TSPの解法には、ラージアークアルゴリズムなどがある。しかし、これらのアルゴリズムの計算時間は、いずれも搬送するパレット数の3乗のオーダーで増加するため、本問題のように大規模で、しかも全体のアルゴリズム(#1〜#3)の最下層で繰り返し計算を行う(図3〜図5、図6参照)には不向きである。従って実施例では、以下のようなアルゴリズム(グリーディ法)を用いる。
【0037】
アルゴリズム2 (グリーディ法: TSPの近似解法)
変数の定義 フォークリフトkの作業見積もり時間をTk,ロケーションiにおける優先フォークリフトを示すインデックスをIiとする。
ステップ1 k∈Fに関して、Tk←0,Nkにフォークリフトkの最寄りロケーションをセットする。またi∈Lに関して、Ii←φとする。
ステップ2 argminkTkとなるkを選ぶ。これは引数kに対してTkが最小となるkを選ぶことで、argminYxは引数Yxが最小となるxを選ぶことである。そのkに対し、
(j∈L,Rij>0) ∩ (Ii=k ∪ Ii=φ) の条件下でa←argminiwNkiとする。そのようなロケーションがない場合はステップ4へ移行する。
ステップ3 Raj>0の条件下でb←argminjajとする。ロケーションNkからaまでの「移動」と、ロケーションaからbまでの「搬送」をスケジュールSkに加える。Tk←Tk+wNka+wab,Nk←b,Ia←k,Rab←Rab−1とする。
Rij=0(i∈L,j∈L)ならば終了、そうでなければステップ2へ。
ステップ4 j∈L,Rij>0の条件下でa←argminiNkiとし、ステップ3へ戻る。
【0038】
このアルゴリズムでは、ロケーションiにおける優先フォークリフトを示すインデックスIiを設け、1つの搬送元ロケーションに複数のフォークリフトが集中することを防いでいる。
【0039】
以上が、オフラインでの整理計画法であるが、実施例では実作業の開始後にも、作業の進行状況を情報として取り入れ、逐次再計画を行う。用いる情報は、
(i) その時点でのパレット配置、
(ii) フォークリフトの位置、
(iii) 残りの搬送スケジュール、
の3つである。再計画対象はスケジューリングの部分のみとし、これは再計画に要する時間を極力短縮するためである。なお再計画に数分必要であると、その間作業を止めるか、数分前のパレットやフォークリフトの配置を元にスケジューリングをやり直すことになる。再計画のアルゴリズム(アルゴリズム3)はアルゴリズム2とほぼ同様であるが、ステップ1のみ以下のように異なる。図9に、3台のフォークリフトに対する6パレットの搬送タスクに関し、スケジューリングを再度行う例を示す。
【0040】
アルゴリズム3 (オンラインでの再計画法)
ステップ1 k∈Fに関して、フォークリフトkがロケーションiからjまで搬送中ならばTk←wij,Nk←jとする。搬送中でなければTk←0,Nkには最寄りのロケーションをセットする。未実行の搬送スケジュール(移動のみのものを含まない)をロケーションi-j間毎に数え上げRijに代入。また、Sk←φ,(k∈F),Ii←φ,(i∈L)とする。
ステップ2−4 アルゴリズム2に同じ。
【0041】
実施例の有効性を検証すべくシミュレーション実験を行った。図1にシミュレーションで使用する倉庫のレイアウトを示す。ロケーション数は116,品目数は50,フォークリフト台数は8とした。パレットは2段積みでロケーション奥から詰めて置いていく。1つのロケーションには奥行き20,横2列,垂直2段で最大80パレット置くことができる。各ロケーションの在庫パレット数、及びその品目はランダムで50パターン生成する。また、フォークリフトの速度は一定で3.0m/sとする。
【0042】
シミュレーテッドアニーリングにおける温度関数tiは以下の式を用いる。
ti=ζi-1t1 (5)
#1の空きにするロケーションの探索ではζ=0.90,t1=1.0とし,#2の搬送先の探索ではζ=0.95,t1=100とした。終了条件は#1では240回,#2では1000回の探索を終えた時点とした。また式(3)においてα=0.54min-1とした。オンラインでの再計画は作業時間にして1.0minごとに行った。計画にはPentium4(Pentiumはインテル社の登録商標) 1.5GHzのCPUを搭載した計算機を用いた。オフラインでの計画には約180CPUsec,オンラインでの再計画には0.01CPUsec以下の計算時間を要した。
【0043】
まずオンラインでの逐次再計画の有効性について検証する。表1に逐次再計画を行ったものと、行わなかったものの3つの異なる要求作業時間に対する、各50試行平均のデータを示す。ここで、空きロケーション数とは要求作業時間内に空けられたロケーションの数,超過時間とは要求作業時間に対し、計画した作業を全て遂行するのに要した時間の超過分、作業終了時間差とはフォークリフト間のの作業終了時刻の最大差を指している。
【0044】
【表1】
Figure 0004337135
【0045】
表1より、逐次再計画を行ったものは全時間平均で4.7%多くのロケーションを空けている。特筆すべきところは、作業終了時間差が、逐次再計画を行うと逐次再計画を行わない場合の、40〜20%に抑えられている点である。このことより、逐次再計画によって作業が進行状況に合わせて割り当てられ、各フォークリフト間の作業時間格差を減少させていることが分かる。このことで、結果的に作業時間を短縮させ、要求作業時間内により多くのロケーションを空けることができた。
【0046】
【実施例の効率評価】
図10〜図12に、図2の従来例との比較で実施例の効率を示す。図2の従来例では、パレット数の少ないものから空きにするロケーションとし、空きにする各ロケーションについて1台ずつフォークリフトを配置し、作業時間内に手空きになったフォークリフトがあると、次にパレット数の少ないロケーションを空きにする作業を開始する。
【0047】
図10は、10分、20分、30分の要求作業時間内に空きにできたロケーションの数の比較で、各要求作業時間に対して、パレット配置のテストパターンを20種用意して行った。実施例ではどの作業時間でも効率が高く、平均で14%多くのロケーションを空きにしている。
【0048】
図11は、パレット数や品目数に対する空きにできたロケーション数の依存性を示し、要求作業時間は20分とした。パレット数が同じで品目数が少なくなると、どのロケーションからどのロケーションにパレットを搬送するかの作業のバリエーションが増し、実施例と従来例との効率の差が増している。一方パレット数や品目数が増すと、遠距離搬送が通常になり、スケジューリングの差が出ないなどにより、効率の差は小さくなる。
【0049】
図12は、要求作業時間を20分にした際の、フォークリフトの台数と、空きにできたロケーションの数とを示す。どの台数でも、実施例は従来例よりも高い作業効率を示す。
【0050】
図13に、実施例の平置き倉庫の制御部10の構成を示す。12は操作パネルで、整理計画の立案や実行などの指示を受け、在庫ファイル13は各ロケーションの在庫パレット数と品目とを記憶しており、フォークリフト管理部14は複数のフォークリフト16に搬送指令を割り付け、搬送結果を管理する。通信部15からフォークリフト16へ搬送指令を送信する。またフォークリフト16は搬送作業を完了すると、その場で完了した旨を通信により報告するので、フォークリフト16の現在位置と作業の進捗状況とが判明する。フォークリフト16は有人でも無人でも良い。
【0051】
整理計画の立案時には、その旨をマニュアルなどで操作パネル12から入力し、フォークリフト管理部14で記憶している稼働中のフォークリフトの台数、あるいは操作パネル12からマニュアルで入力した台数を作業台数とする。また作業時間は操作パネル12からマニュアルで入力する。
【0052】
空きロケーション探索部18は、図4〜図5の手法で、#1の空きにするロケーションを探索する。パレット搬送先探索部20は、図4〜図7の手法で、#2のパレットの搬送先のロケーションを探索する。ここで#1や#2の探索は、複数回行って最適化し、途中での候補の評価にはシミュレーテッドアニーリング部28を用い、採用確率は図8に示すものなどを用い評価部30で実行する。
【0053】
スケジューリング処理部22は、グリーディ処理部23あるいはラージアークアルゴリズム処理部24などを用いて、#3のフォークリフトへの搬送スケジュールを作成する。スケジューリングの手法は、制御部10の計算能力に応じて追加や変更をして行けばよい。オンライン再計画部26は、フォークリフト16が整理作業を開始した後に、適宜の間隔で#3のフォークリフトの搬送スケジュールを再作成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ロケーションの整理対象の平置き倉庫の斜視図
【図2】 従来例での作業計画の作成アルゴリズムを示すフローチャート
【図3】 実施例での、ロケーション整理に関する問題の分割を示す図
【図4】 実施例での、ロケーション整理計画の全体的作成アルゴリズムを示す図
【図5】 実施例での空きロケーションの探索アルゴリズムを示す図
【図6】 実施例での、搬送先の探索アルゴリズムを示すフローチャート
【図7】 実施例での、空きにするロケーションの探索手法を示す図
【図8】 実施例での、シミュレーテッドアニーリングでの新たな計画の採用確率を、探索回数並びに改悪量の関数として示す図
【図9】 実施例での、ロケーション整理の実行中の、オンライン逐次再計画を模式的に説明する図
【図10】 要求作業時間に対する空きローケーション数を、従来例と実施例とで示す図
【図11】 パレット数と品目数に対する空きローケーション数を、従来例と実施例とで示す図
【図12】 フォークリフト数に対する空きローケーション数を、従来例と実施例とで示す図
【図13】 実施例の平置き倉庫でのロケーション整理制御部のブロック図
【符号の説明】
2 平置き倉庫
4 通路
6 ロケーション
8 空きスペース
10 制御部
12 操作パネル
13 在庫ファイル
14 フォークリフト管理部
15 通信部
16 フォークリフト
18 空きロケーション探索部
20 パレット搬送先探索部
22 スケジューリング処理部
23 グリーディ処理部
24 ラージアークアルゴリズム処理部
26 オンライン再計画部
28 シミュレーテッドアニーリング部
30 評価部

Claims (2)

  1. 平置き倉庫内の物品を台車により再配置することにより、倉庫内を整理して空きロケーションを作る方法において、
    ロケーションの現状、投入する台車の台数、整理の作業時間を入力情報として、空きにするロケーションの組み合わせを探索する第1ステップを実行した後に、
    空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかを探索する第2ステップと、どの台車にどの搬送作業を割り付けるかを計画するスケジューリングを行う第3ステップとを、この順に繰り返し行うことにより、空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかと、どの台車にどの搬送作業を割り付けるかとを、作業時間と共に求め、
    次いで、求めた作業時間が、入力情報中の作業時間よりも短い場合は空きにするロケーションを追加し、入力情報中の作業時間よりも長い場合は空きにするロケーションを削除もしくは空きにするロケーションと空きにするロケーションからの搬送先のロケーションとを入れ替えた後に、第2ステップと第3ステップとを繰り返し実行する第4ステップを複数回実行することにより、空きにするロケーションと、空きにするロケーションの物品をどのロケーションに搬送するかと、どの台車にどの搬送作業を割付けるかとを決定することを特徴とする、平置き倉庫のロケーション整理方法。
  2. ロケーション整理の実行中に、ロケーション整理での残余の搬送作業に対して、前記第3ステップを再度行い、台車への搬送作業の割り付けを再計画することを特徴とする、請求項1の平置き倉庫のロケーション整理方法。
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