JP4335568B2 - 消石灰系塗材組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、消石灰系左官材料の作業性、耐亀裂性、下地との付着性を改善した塗材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
消石灰系左官材料、すなわち漆喰は消石灰に糊としてつのまた、ふのり、銀杏草などの天然海藻やすさ等の繊維を加えて水で練ったものであり、古来より壁、屋根、塀等に鏝などを用いて施工する建築材料である。
【0003】
漆喰に用いるすさは、わら、麻、和紙、しゅろ、パルプ等の植物繊維を短く裁断し、もみほぐしたものを使用し、漆喰塗り付け時の材料の落下を防ぎ、塗布後の乾燥収縮による亀裂を防ぐ効果がある。特に和紙は漆喰の質感を損なうことなく、繊維が細く、強度が高いことから好ましいとされている。その他石綿、岩石綿、ガラス繊維等の無機繊維およびポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維等の合成繊維も使用されている。
たとえば、わらすさ、もみすさ、マニラ麻すさ、アクリルやポリエステル製の合成繊維、ガラス繊維等の使用が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−192255号公報
【特許文献2】
特開2002−12460号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、わら、麻、和紙などの植物繊維は引張り強度が低いので消石灰に繊維を混合して硬化体を補強するには十分ではなく、特に塗り厚を厚くした場合、硬化体の乾燥収縮が大きくなるので亀裂の発生が問題である。また、これらの繊維は嵩高いので消石灰系粉体への分散性、混合性が悪く、添加量も消石灰系100質量部に対して、4質量部前後に制限されるので、厚塗りの場合の耐亀裂性については課題を有している。また、これらの植物繊維の主成分はセルロースであるので、経年変化により、強度的に劣化が進行することから、耐亀裂性の持続に問題を有している。
【0006】
一方、植物繊維は調湿性に優れるが、吸湿・乾燥に伴う寸法変化があるため住宅等の内外装材として施工した場合、隙間や亀裂等が発生する恐れがある。また、材料の施工性については鏝塗りでは問題なく施工できるが、ローラー塗り、刷毛塗りでは繊維が絡み合い、施工が困難である。
【0007】
その他ガラス繊維等の無機繊維やビニロン等の合成繊維は消石灰系の強アルカリ性に材料自身が耐えられなかったり、漆喰基材であるマトリックスとのなじみが悪く、十分な繊維補強効果を挙げられない。
【0008】
本発明の目的は、従来の問題を解決し、耐亀裂性、作業性が優れ、経時的な劣化を引き起こすことなく、しかも施工中垂れることもなく作業性に優れ、鏝塗り性も良いので極めて平滑な仕上げ面が得られるなど消石灰系左官材料として具備すべき性能を備えた消石灰系塗材組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決するため鋭意研究した結果、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混合物に、ウォラストナイト(珪灰石)を混合した粉末で、使用に際し水で混練してなる消石灰系塗材組成物、あるいは水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混合物に、ウォラストナイトを混合したもので、あらかじめ水で混練してペースト状とした消石灰系塗材組成物が耐亀裂性、作業性が優れ、前述の問題を解決し得るものであることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、前記課題を解決するための本発明の請求項1の消石灰系塗材組成物は、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混合物100質量部に、平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmのウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した粉末で、使用に際し水で混練してなることを特徴とする。
【0011】
本発明の消石灰系塗材組成物は、使用に際し水で混練して用いるものであり、ウォラストナイトは消石灰系との混合、分散性に優れ、目的の塗り厚に応じて所定の量のウォラストナイトを添加でき、亀裂防止効果と塗材の強度増進をもたらし、また、ウォラストナイトは消石灰系のアルカリ下でも化学的に安定であるので経時的な劣化を引き起こすことなく、しかも消石灰、施工後空気中の炭酸ガスを吸収して生じる炭酸カルシウムとの親和性が高いので永続的な亀裂防止効果を示すばかりでなく、施工中垂れることもなく作業性に優れ、鏝塗り性も良いので極めて平滑な仕上げ面が得られるなど消石灰系左官材料として具備すべき性能を備えている。
前記混合物100質量部に、ウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した範囲であれば、作業性、耐亀裂性および硬化体強度に優れ、塗り厚みを厚くしても亀裂は生じない。
ウォラストナイトが平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmの範囲において、耐亀裂性、混練時の分散状態、寸法収縮低減効果に優れ、混練時にダマが発生せず、材料強度にバラツキが生じない。
【0012】
本発明の請求項2の消石灰系塗材組成物は、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混合物100質量部に、平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmのウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した粉末で、あらかじめ水で混練してペースト状としたことを特徴とする。
【0013】
本発明の消石灰系塗材組成物は、あらかじめ水で混練してペースト状としたものであるので使用に際し水で混練しなくてもよく、ウォラストナイトは消石灰系との混合、分散性に優れ、目的の塗り厚に応じて所定の量のウォラストナイトを添加でき、亀裂防止効果と塗材の強度増進をもたらし、また、ウォラストナイトは消石灰系のアルカリ下でも化学的に安定であるので経時的な劣化を引き起こすことなく、しかも消石灰、施工後空気中の炭酸ガスを吸収して生じる炭酸カルシウムとの親和性が高いので永続的な亀裂防止効果を示すばかりでなく、施工中垂れることもなく作業性に優れ、鏝塗り性も良いので極めて平滑な仕上げ面が得られるなど消石灰系左官材料として具備すべき性能を備えている。
前記混合物100質量部に、ウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した範囲であれば、作業性、耐亀裂性および硬化体強度に優れ、塗り厚みを厚くしても亀裂は生じない。
ウォラストナイトが平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmの範囲において、耐亀裂性、混練時の分散状態、寸法収縮低減効果に優れ、混練時にダマが発生せず、材料強度にバラツキが生じない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるウォラストナイトとは、CaSiO3 で表されるカルシウム珪酸塩鉱物であり、天然には石灰岩と花崗岩との接触により変性したもので、繊維状や細い柱状結晶の集合体として産出される。これを粉砕・解砕して針状とするが、解砕の程度により径10〜100μm、長さ100〜500μm程度の針状として得られる。
【0019】
ウォラストナイトはモース硬度4.5〜5.0、比重2.93、粉砕・解砕物の嵩比重0.8〜1.0程度であり、消石灰系との混合、分散性に優れ、目的の塗り厚に応じて所定の量のウォラストナイトを添加でき、亀裂防止効果と塗材の強度増進をもたらす。
また、ウォラストナイトは消石灰系のアルカリ下でも化学的に安定であるので経時的な劣化を引き起こすことなく、しかも消石灰、施工後空気中の炭酸ガスを吸収して生じる炭酸カルシウムとの親和性が高いので永続的な亀裂防止効果を示すばかりでなく、施工中垂れることもなく作業性に優れ、鏝塗り性も良いので極めて平滑な仕上げ面が得られる。
【0020】
ウォラストナイトは消石灰系100質量部に対し、5〜250質量部添加すると耐亀裂性に優れ、この範囲において添加量を多めにすれば、塗り厚みを厚くしても亀裂は生じない。ウォラストナイトの添加量は目的の塗り厚に応じて所定の量を添加すればよいが、塗り厚が2mm以下の場合、添加量は消石灰系100質量部に対し、5〜30質量部、塗り厚が2〜5mmの場合、添加量は30〜150質量部、塗り厚が5mm以上と比較的厚塗りする場合、添加量は150〜250質量部と塗り厚とともに添加量を増加させることで、硬化後の永続的な亀裂防止効果を示すばかりでなく、消石灰系塗材組成物が施工中垂れることもなく作業性に優れ、鏝塗り性も良いので極めて平滑な仕上げ面が得られる。
一方、ウォラストナイトの添加量が5質量部未満の場合、亀裂が生じやすく、添加効果が十分でない。また、250質量部を超えて使用した場合、消石灰系ペーストはボソボソ感があり、作業性が低下し、また硬化体強度も低下する。
【0021】
ウォラストナイトは平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmに粒度調整したものを使用するのがよい。平均繊維径10μm未満であると耐亀裂性が弱くなり、平均繊維径が70μmを超えると混練時の分散状態が悪くなるので好ましくない。さらに、平均繊維長140μm未満であると塗材の寸法収縮低減効果が低い。また平均繊維長500μmを超えると消石灰粉体への均一分散がしにくく、混練時にダマが発生し、材料強度にバラツキが生じるので好ましくない。
消石灰系へ添加するウォラストナイトの形状は、上述の範囲であれば問題ないが、薄塗りの場合は繊維長が短いもの、厚塗りの場合は繊維長が長いものを選定することで、硬化後の亀裂防止効果、施工中の垂れ防止効果、作業性、鏝塗り性をより向上させることができるので、塗り厚に応じた形状を選定するのが好ましい。
【0022】
本発明で使用される消石灰系としては水酸化カルシウムを主成分とする消石灰と水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムからなるドロマイトプラスターが挙げられる。
【0023】
ドロマイトプラスターは、日本工業規格(JIS)A 6903に規定されるものである。即ち、ドロマイトを焼成して酸化カルシウムと酸化マグネシウムにした後、水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとなるまで十分に消化したものをボールミルその他で粉砕して、エアセパレータなどで分級したものである。
【0024】
消石灰系化合物は(JIS)A 6902 左官用消石灰、(JIS)A 6903 ドロマイトプラスターが望ましいが、工業用消石灰、軽焼ドロマイト水和物(主成分;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム)でも使用できる。
【0025】
本発明の消石灰系塗材組成物には必要に応じて公知の水硬性組成物を添加してもよい。該水硬性組成物としては石膏、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、着色セメントなどが挙げられる。
【0026】
また、混和剤としてメチルセロースやエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、つのまた、ふのり、銀杏藻等の天然海藻類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの水溶性高分子化合物やアクリル系高分子エマルジョン、酢酸ビニル高分子エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル系高分子エマルジョン、SBR系高分子エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョンなどを添加してもよい。また、骨材として、川砂、山砂、珪砂、寒水砂、軽量骨材等を配合しても差し支えない。
【0027】
消石灰系と本発明で使用されるウォラストナイトを混合させる装置は、両者を均一に混合攪拌できる装置であれば良く、装置の種類を問わず利用できる。
【0028】
本発明の塗材組成物は使用に際して水を加えてよく混練し、作業に適したペースト状にして施工する。
また、本発明の塗材組成物は水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム由来のアルカリ下で安定なペースト状を長期間保持できるので、予め水を加えて練った消石灰系ペーストの水分が蒸発しないように缶、ポリ容器等に密封しておけば、開封後、そのまま施工できる。
いずれもの場合も、施工法は問わず、例えば鏝塗り、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレーガン等による吹きつけ工法などが採用される。
【0029】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明の製造方法の具体例及びその効果を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0030】
なお、実施例で使用した消石灰は(JIS)A 6902に合格する左官用消石灰、ドロマイトプラスターは(JIS)A 6903に合格するドロマイトプラスターである。また、消石灰系ペーストは(JIS)R 5201に規定するビカー針装置を用いて一定の標準軟度に調整したものを使用し、標準軟度の加水量を標準混水量(%)とした。
【0031】
(実施例1)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース(信越化学株式会社製、商品名;メトローズ90SH−4000)0.5質量部、平均繊維径12μm、平均繊維長140μmのウォラストナイト(川鉄鉱業株式会社製、商品名;KH−30)を10質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は78.6%であった。
下地に対する付着強度についてはコンクリート板に接着増強材としてエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂エマルジョン(村樫石灰工業株式会社製、商品名;フジプライマー、固形分;45%)の3倍清水希釈液を刷毛で塗布後、十分に乾燥させてからこのペーストを2mm厚に塗った。
室内で静置、養生を行い28日目に建研式接着力試験機を用いて接着力試験(付着力試験)を行った。測定に際し、表面に速硬性エポキシ樹脂で金具(接着面積;40mm×40mm)を接着し、電動カッターで金具四辺に切りこみを入れ、試験に供した。耐亀裂性については18cm×18cmの石膏ボードに上記接着増強材を塗布後、十分に乾燥させてからこのペーストを2、4、6、8、10mm塗布し、室内で静置、養生を行い7日目に塗布表面を目視観察した(耐亀裂性評価基準;◎:亀裂なし ○:亀裂小さい ×:亀裂大きい)。
作業性については鏝塗りによる官能試験で評価した(作業性評価基準;◎:優れている ○:良い △:普通 ×:劣る)。結果を表1に示す。
【0032】
(実施例2)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例1のウォラストナイト20質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は82.3%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0033】
(実施例3)
実施例2で調製したペーストの一部を缶に密封し、室温で1カ月経過後開缶し、付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0034】
(実施例4)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例1のウォラストナイトを50質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は76.4%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0035】
(実施例5)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例1のウォラストナイトを100質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は74.2%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0036】
(実施例6)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例1のウォラストナイトを150質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は73.4%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例7)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例1のウォラストナイトを200質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は70.4%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0038】
(実施例8)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例1のウォラストナイトを250質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は68.8%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例9)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、ウォラストナイト(川鉄鉱業株式会社製、商品名;KH−120)を20質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は78.2%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0040】
(実施例10)
実施例9で調製したペーストの一部を缶に密封し、室温で1カ月経過後開缶し、付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0041】
(実施例11)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例9のウォラストナイトを50質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は60.6%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0042】
(実施例12)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例9のウォラストナイトを100質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は57.4%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0043】
(実施例13)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例9のウォラストナイトを150質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は53.3%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0044】
(実施例14)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例9のウォラストナイトを200質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は50.7%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0045】
(実施例15)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例9のウォラストナイトを250質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は48.4%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例16)
ドロマイトプラスター100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例1のウォラストナイトを50質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は78.3%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、実施例1のウォラストナイトを3質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は86.0%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース(信越化学社製、商品名;90SH−4000)0.5質量部、実施例1のウォラストナイトを300質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は65.6%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0049】
(比較例3)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、平均繊維径5μm、平均繊維長50μmのウォラストナイトを20質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は96.6%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0050】
(比較例4)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、平均繊維径100μm、平均繊維長600μmのウォラストナイトを20質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は60.3%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0051】
(比較例5)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部、植物繊維の麻すさ(松崎建材株式会社製)を4質量部添加し、均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は87.3%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。このペーストは繊維とローラー面が絡み合いローラーでの塗布は困難であった。結果を表1に示す。
【0052】
(比較例6)
左官用消石灰100質量部、メチルセルロース0.5質量部を均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は84.6%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0053】
(比較例7)
ドロマイトプラスター100質量部、メチルセルロース0.5質量部を均一混合して水で練ったペーストを得た。標準混水量は87.6%であった。付着強度、耐亀裂性、作業性についての試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示したように本発明の消石灰系塗材組成物は硬化後の強度発現、下地との接着性も良好であり、作業性が優れることが分かる。
耐亀裂性については添加量が少なく厚塗りした場合は亀裂が生じやすくなる傾向が認められるが、消石灰系100質量部に対し、ウォラストナイト50質量部添加(実施例4)では塗り厚を6mmとしても亀裂は生じず、耐亀裂性が優れることが分かる。また、本発明の消石灰系塗材は使用に際し、水を加えて練って施工してもよく、予め水を加えて練り置きしたものを施工してもよい。
【0056】
一方、ウォラストナイトの添加量が消石灰系100質量部に対し、5質量部以下の場合(比較例1)では付着強度、耐亀裂性、作業性の改善が認められなかった。
ウォラストナイトの添加量が消石灰系100質量部に対し、250質量部以上の場合(比較例2)では付着強度、耐亀裂性は優れるものの、ペーストはボソボソ感があり、塗り付けが困難で、作業性は著しく劣った。
平均繊維径が10μm未満、平均繊維長が140μm未満のウォラストナイトを使用した場合(比較例3)では耐亀裂性、作業性の改善が認められなかった。
平均繊維径が70μm以上、平均繊維長が500μm以上のウォラストナイトを使用した場合(比較例4)では混練時の分散状態が悪く、付着強度、耐亀裂性、作業性は著しく劣った。麻すさを使用した場合(比較例5)では耐亀裂性、作業性は優れるものの、厚塗りした際の耐亀裂性は低かった。
ウォラストナイトを添加しない消石灰系(比較例6、7)では付着強度、耐亀裂性、作業性は著しく劣った。
【0057】
【発明の効果】
本発明の請求項1の消石灰系塗材組成物は、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混合物100質量部に、平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmのウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した粉末で、使用に際し水で混練してなることを特徴とするものであり、ウォラストナイトは消石灰系との混合、分散性に優れ、目的の塗り厚に応じて所定の量のウォラストナイトを添加でき、亀裂防止効果と塗材の強度増進をもたらし、また、ウォラストナイトは消石灰系のアルカリ下でも化学的に安定であるので経時的な劣化を引き起こすことなく、しかも消石灰、施工後空気中の炭酸ガスを吸収して生じる炭酸カルシウムとの親和性が高いので永続的な亀裂防止効果を示すばかりでなく、施工中垂れることもなく作業性に優れ、鏝塗り性も良いので極めて平滑な仕上げ面が得られるなど消石灰系左官材料として具備すべき性能を備えているという顕著な効果を奏する。
前記混合物100質量部に、ウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した範囲であれば、作業性、耐亀裂性および硬化体強度に優れ、塗り厚みを厚くしても亀裂は生じない。
ウォラストナイトが平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmの範囲において、耐亀裂性、混練時の分散状態、寸法収縮低減効果に優れ、混練時にダマが発生せず、材料強度にバラツキが生じない。
【0058】
本発明の請求項2の消石灰系塗材組成物は、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混合物100質量部に、平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmのウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した粉末で、あらかじめ水で混練してペースト状としたことを特徴とするものであり、あらかじめ水で混練して安定なペースト状としたものであるので使用に際し水で混練しなくてもよく、ウォラストナイトは消石灰系との混合、分散性に優れ、目的の塗り厚に応じて所定の量のウォラストナイトを添加でき、亀裂防止効果と塗材の強度増進をもたらし、また、ウォラストナイトは消石灰系のアルカリ下でも化学的に安定であるので経時的な劣化を引き起こすことなく、しかも消石灰、施工後空気中の炭酸ガスを吸収して生じる炭酸カルシウムとの親和性が高いので永続的な亀裂防止効果を示すばかりでなく、施工中垂れることもなく作業性に優れ、鏝塗り性も良いので極めて平滑な仕上げ面が得られるなど消石灰系左官材料として具備すべき性能を備えているという顕著な効果を奏する。
前記混合物100質量部に、ウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した範囲であれば、作業性、耐亀裂性および硬化体強度に優れ、塗り厚みを厚くしても亀裂は生じない。
ウォラストナイトが平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmの範囲において、耐亀裂性、混練時の分散状態、寸法収縮低減効果に優れ、混練時にダマが発生せず、材料強度にバラツキが生じない。
Claims (2)
- 水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混合物100質量部に、平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmのウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した粉末で、使用に際し水で混練してなる消石灰系塗材組成物。
- 水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混合物100質量部に、平均繊維径10〜70μm且つ平均繊維長140〜500μmのウォラストナイトを5質量部〜250質量部を混合した粉末で、あらかじめ水で混練してペースト状とした消石灰系塗材組成物。
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