JP4333157B2 - 炉内温度予測方法及び炉内温度予測装置 - Google Patents

炉内温度予測方法及び炉内温度予測装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射伝熱現象に関連する炉(高温炉)内の温度を予測(推定)する炉内温度予測方法及び炉内温度予測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱は物質の運動エネルギであって、熱の伝わり方には、熱伝導、対流伝熱、放射伝熱の三形態が存在する。熱伝導現象は物質の運動エネルギ(熱エネルギ)が温度の高い部分から低い部分に伝わる熱エネルギの輸送現象であり、対流伝熱現象は物質自体の移動によるエネルギの輸送現象であって、物質自体の移動を伴わない熱伝導現象と異なる。一方、放射伝熱現象は、熱伝導現象及び対流伝熱現象とは異なり、物質間の媒体によることなく、物質の表面から電磁波の形で空中に放出される放射エネルギ(熱エネルギ)の伝達現象である。
【0003】
鉄鋼業に用いられる炉として、加熱炉、コークス炉、及び熱風炉等が挙げられるが、これら炉は形状及び用途においてそれぞれ異なるが、いずれも高温の燃焼ガス等の気体と、高温の煉瓦等の固体とを有しており、それら気体及び固体からの対流及び放射伝熱により、対象物(例えば、鋼材)を直接及び間接的に加熱することで、対象物を目標温度まで昇温する、又は高温気体を生成する装置である。
【0004】
次に、それぞれの炉の構成とその機能について簡単に説明する。図10は、バッチ式加熱炉(以下、加熱炉)の構成を示す断面図である。加熱炉は、周囲が耐火煉瓦壁61により形成された空間内へ、燃焼バーナ62から燃料ガスと空気とを吹き込み、それら各成分が乱流混合燃焼し、その燃焼熱によって鋼材63の温度を1000℃を超える高温まで加熱する装置である。
【0005】
図11はコークス炉の構成を示す断面図である。コークス炉は、燃焼室(フリューともいう)71、炭化室72、及び蓄熱室73から構成されており、蓄熱室73にて予熱された燃焼ガスと空気とを燃焼室71内へ吹き込み、それら各成分が混合燃焼し、その燃焼熱によって炭化室72の煉瓦を介して伝熱し、石炭を乾留してコークスを製造する装置である。なお、燃焼室71は2室で1ペアとなり、各燃焼室71の上部がつながった構成をしている。蓄熱室73にて煉瓦との熱交換により予熱された燃焼ガスと空気とは、一方の底部ポートから燃焼室71内へ吹き込まれて混合燃焼する。そして、上部を通って他方の燃焼室71に入り、他の底部ポートを通って蓄熱室73内にて煉瓦と熱交換し、大気中に排気される。これらが一定の切替時間(例えば、20〜30分)毎に2つの燃焼室71の動作が逆転する。
【0006】
図12は、熱風炉の構成を示す断面図である。熱風炉は、燃焼室81、蓄熱室82、及び、燃焼室81と蓄熱室82とを連結する連結管83から構成されており、燃焼室81にて燃料と空気とを燃焼させて、蓄熱室82を予熱する燃焼時と、予熱された蓄熱室82に200℃程度の空気(以下、低温空気)を通過させて、空気を200℃以上の高温に予熱する送風時の2つの操業状態からなる。蓄熱室82は、ギッター煉瓦と呼ばれる煉瓦内に気体が通過する穴を有する煉瓦によって構成され、燃焼時に、燃焼室81内で燃料と空気が混合燃焼し、高温となった燃焼ガスがこのギッター煉瓦と熱交換することにより、煉瓦温度が上昇し、一方燃焼ガス温度が低下する。そして、送風時に、低温空気がこのギッター煉瓦と熱交換することにより、燃焼時とは逆に、煉瓦温度が低下し、一方空気温度が上昇する。高炉は、1炉につき熱風炉が3〜4基程度設置されており、これら複数の熱風炉が一定の時間間隔(例えば、60分〜100分)毎に燃焼と送風とを切り替え、連続的に高炉へ1200℃を超える高温空気を送風する。
【0007】
一般に、放射エネルギ量(放射伝熱量ともいう)は物体の表面の絶対温度の4乗に比例するため、前述した1000℃を超える高温の気体及び固体を有する炉においては、放射伝熱現象が熱伝熱の主形態となる。従って、炉を設計する場合には放射エネルギ量を考慮する必要があり、炉内の現象を再現できるように作成された数値計算シミュレータを利用して、設計及び操業を理論的に最適化する試みがある(例えば、特許文献1参照。)。その場合には、炉内の現象として、高温の気体及び固体等の熱伝熱の主形態をなす放射伝熱現象の取り扱いについては、モンテカルロ法(例えば、非特許文献1参照。)又は放射熱線追跡法(例えば、非特許文献2参照。)等が利用されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−324919号公報 (第1−6頁)
【非特許文献1】
工藤一彦、他5名,「日本機械学会論文集B編」,60巻,578号,1994−10,p.240〜246
【非特許文献2】
香月正司、他5名,「日本機械学会論文集B編」,55巻,510号,1989−2,p.523〜528
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したモンテカルロ法又は放射熱線追跡法等により放射伝熱現象を取り扱う場合には、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つを複数の要素に仮想的に分割し、各要素からエネルギ粒子を仮想的に射出させ、射出させたエネルギ粒子が各要素に仮想的に吸収されるエネルギ粒子の割合を示す交換係数を計算し、この交換係数を用いることによって放射エネルギ量を計算する。従って、要素数を多くすれば温度予測の精度を向上させることが可能となるが、放射エネルギ量を計算するのに要する時間が増大するという問題があった。また、計算された各要素間の交換係数を記憶部(メモリ)に記憶するのに必要な記憶容量が増大するという問題があった。従って、多くの計算時間と多量の記憶容量とを要し、要素数によっては計算自体を実行することができないか、又は温度予測の精度を犠牲にして計算するしかなかった。
【0010】
例えば、図10に示す加熱炉において、要素としてガス要素及び壁要素を考慮し、ガス要素数を31000、壁要素数を6800とすると、すべての要素(ガス要素及び壁要素)間の交換係数は、(ガス要素数+壁要素数)の2乗に相当する約14億個存在する。従って、例えば、各要素間の交換係数を記憶するために4バイトの記憶容量が必要であるとすると、すべての要素間の交換係数を記憶部に記憶するには、約5.8GBの記憶容量が必要になる(詳細は後述する)。しかしながら、主として技術計算に利用されているワークステーション及びパソコンに搭載される記憶部は数GB程度であるので、記憶容量が不足するため現実的な計算が不可能となる。
【0011】
従って、炉の寸法及び形状、並びにバーナの数量及び配置等の炉の最適化設計を計算により決定することは困難であり、現在でも過去の経験に基づいて数多くの試行錯誤を繰り返すことにより、炉が設計されているのが現実であり、そのため多くの時間と莫大な費用とを要するという問題があった。
【0012】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素から射出され、前記複数の領域に含まれる各要素に吸収される放射エネルギ量を、前記各領域毎に各別の計算手段にて計算することにより、放射エネルギ量を計算するのに要する時間を短縮することができる炉内温度予測方法及び炉内温度予測装置の提供を目的とする。
【0013】
また本発明は、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素からエネルギ粒子を仮想的に射出させ、射出させたエネルギ粒子が複数の領域に含まれる各要素に仮想的に吸収されるエネルギ粒子の割合を示す交換係数を計算し、計算された交換係数を前記各領域毎に各別の記憶手段に記憶することにより、各記憶手段に必要な記憶容量を減少させることができる炉内温度予測方法及び炉内温度予測装置の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る炉内温度予測方法は、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つから射出され、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つに吸収される放射エネルギ量を計算することにより、炉内温度を予測する炉内温度予測方法において、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素から射出され、前記複数の領域に含まれる各要素に吸収される放射エネルギ量を、前記各領域毎に各別の計算手段にて計算することを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る炉内温度予測方法は、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つから射出され、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つに吸収される放射エネルギ量を計算することにより、炉内温度を予測する炉内温度予測方法において、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素からエネルギ粒子を仮想的に射出させ、射出させたエネルギ粒子が前記複数の領域に含まれる各要素に仮想的に吸収されるエネルギ粒子の割合を示す交換係数を前記各領域毎に各別の計算手段にて計算し、計算された交換係数に基づいて前記放射エネルギ量を計算することを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る炉内温度予測装置は、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つから射出され、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つに吸収される放射エネルギ量を計算することにより、炉内温度を予測する構成とした炉内温度予測装置において、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割する手段と、分割された各領域に含まれる各要素からエネルギ粒子を仮想的に射出され、射出させたエネルギ粒子が前記複数の領域に含まれる各要素に仮想的に吸収されるエネルギ粒子の割合を示す交換係数を前記各領域毎にそれぞれ計算する複数の計算手段と、各計算手段により計算された交換係数に基づいて前記放射エネルギ量を計算する手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る炉内温度予測装置は、さらに、前記各計算手段により計算された交換係数を各領域毎にそれぞれ記憶する複数の記憶手段を備え、前記放射エネルギ量を計算する手段は、前記複数の記憶手段に記憶されている交換係数に基づいて放射エネルギ量を計算する手段であることを特徴とする。
【0018】
請求項1に係る炉内温度予測方法にあっては、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素から射出され、前記複数の領域に含まれる各要素に吸収される放射エネルギ量を、前記各領域毎に各別の計算手段にて計算することにより、放射エネルギ量を計算するのに要する時間を短縮することができる。
【0019】
請求項2に係る炉内温度予測方法及び請求項3に係る炉内温度予測装置にあっては、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素からエネルギ粒子を仮想的に射出させ、射出させたエネルギ粒子が前記複数の領域に含まれる各要素に仮想的に吸収されるエネルギ粒子の割合を示す交換係数を前記各領域毎に各別の計算手段にて計算し、計算された交換係数に基づいて前記放射エネルギ量を計算することにより、放射エネルギ量を計算するのに要する時間を更に短縮することができる。
【0020】
請求項4に係る炉内温度予測装置にあっては、各計算手段により計算された交換係数を各領域毎に各別の記憶手段に記憶することにより、各記憶手段に必要な記憶容量を減少させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面及び数式に基づいて詳述する。図1は本発明に係る炉内温度予測装置の構成を示すブロック図である。本発明に係る炉内温度予測装置は、CPUで構成された制御部10を備えており、制御部10はバス11を介して、ROM12、RAM13、入力部14、出力部15、及び計算手段である計算装置20−1,20−2,…,20−Nと接続されており、これら各部を制御してROM12に予め格納されているコンピュータプログラムに従って種々の機能を実行する。
【0022】
入力部14は、例えばキーボード等により構成され、炉の寸法及び形状、バーナの数量及び配置、並びに領域分割数等の初期条件と、燃料量、空気比、ガスカロリ、初期温度、及び切替時間等の操業条件、炉壁の放熱条件等の境界条件とを受け付ける機能を有しており、受け付けた条件を、バス11を介してRAM13に記憶させる。また、RAM13は、例えばDRAM等により構成され、制御部10によるコンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0023】
制御部10は、入力部14にて受け付けた条件に基づいて、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、及び前記空間に含まれる固体をNグループの領域(計算格子)に分割する機能を有する。また、計算装置20−1,20−2,…,20−Nは、各領域に含まれる一の要素から射出され、第1〜第Nの領域に含まれる複数の要素に吸収される放射エネルギ量をそれぞれ計算する機能を有する。つまり、各計算装置20−i(i=1,2,…,N)は、第iの領域に含まれる要素から射出される放射エネルギが、第1〜第Nの領域に含まれる要素にどの程度吸収されるのかを、すべての放射経路に対して計算する。なお、放射エネルギには、一の要素から射出された放射エネルギのうち、その要素自身にて吸収される放射エネルギと、他の要素にて吸収される放射エネルギとが存在する。本実施形態では、モンテカルロ法を用いて、各要素からエネルギ粒子を仮想的に射出させ、射出させたエネルギ粒子が該要素及び他の要素に仮想的に吸収されるエネルギ粒子の割合を示す交換係数(以下、リード値)を計算し、計算されたリード値に基づいて、放射エネルギ量を計算することとする。
【0024】
従って、リード値は、例えば、射出側の要素数を行成分、吸収側の要素数を列成分とするマトリックス状の要素から構成されるため、計算装置20−1,20−2,…,20−Nは、それらマトリックス状の要素を記憶するための記憶手段である記憶部が必要となる。そこで、計算装置20−1,20−2,…,20−Nは、記憶部21−1,21−2,…,21−Nをそれぞれ有しており、各計算装置により計算されたリード値を記憶部21−1,21−2,…,21−Nにそれぞれ記憶する。
【0025】
更に、制御部10は、詳細は後述するが、記憶部21−1,21−2,…,21−Nにそれぞれ記憶されたリード値を用いて放射エネルギ量を計算する機能を有する。出力部15は、制御部10により計算された放射エネルギ量を出力する機能を有しており、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置により構成される。
【0026】
図2は本発明に係る炉内温度予測装置の処理手順の概要を示すフローチャートである。なお、処理手順は一例でありこれに限るものではない。また、このような処理手順はROM12へ予めコンピュータプログラムを組み込んでおくことにより行うことができる。
【0027】
先ず、炉の寸法及び形状、バーナの数量及び配置、並びに領域分割数等の初期条件を入力部14にて受け付け(S1)、受け付けた初期条件に基づいて、制御部10は、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、及び前記空間に含まれる固体を複数の領域(例えば、直方体形状)に分割して計算格子を生成する(S2)。また、燃料量、空気比、ガスカロリ、初期温度、及び切替時間等の操業条件、炉壁の放熱条件等の境界条件を入力部14にて受け付ける(S3)。ここで、切替時間は、例えば、コークス炉における燃焼室71の動作を切り替える時間、又は熱風炉における燃焼と送風との操業状態を切り替える時間等のことであり、その場合には、それぞれの運転モードにおける境界条件を入力部14にて受け付ける。また、加熱炉のように、運転モードの切り替えが不必要な場合には切替時間を入力する必要はない。
【0028】
そして、各計算格子(領域)に属する要素から射出されるエネルギ粒子の数(以下、射出粒子数)を設定し(S4)、時間ステップΔtを進めて次の温度予測時の時間(t(=t+Δt))とする(S5)。
【0029】
そして、時間tが、運転モードの切り替える切替時間か否かを判定(S6)し、切替時間ではないと判定(S6:NO)された場合は、非定常及び圧縮性を考慮した気体の物質量の収支に関する物質収支式(1)、運動量の収支に関する運動量収支式(2)、乱流エネルギ及びその消散率の収支に関する輸送方程式(3),(4)、並びに状態方程式(5)に基づいて、制御部10にて式(1)〜(5)を離散化することにより、流体の計算(乱流含む)を行い、ガス密度ρg、流速ux,uy,uz(ベクトル表記する場合もある)、圧力p、乱流エネルギk、及び消散率εを計算する(S8)。ここで、7変数7方程式により計算されるため、炉内における気体の流れ場が一意に決定される。また、状態方程式(5)により、圧力pの変動をガス密度ρgに反映させることが可能となる。なお、輸送方程式(3),(4)に示すように、乱流モデルとしてk−εモデルを採用したが、他のモデルを用いて乱流を考慮してもよい。
【0030】
【数1】
Figure 0004333157
【数2】
Figure 0004333157
【0031】
ここで、
ρg :ガス密度(kg/m3
x :流速のx方向成分(m/s)
y :流速のy方向成分(m/s)
z :流速のz方向成分(m/s)
p :圧力(Pa)
μe :粘性係数(kg/(m・s))
F :抵抗係数(m2/kg)
f :係数(−)
D :煉瓦口径(m)
εb :空隙率(−)
ρ0 :基準密度(kg/m3
g :重力加速度(m/s2
k :乱流エネルギ(m2/s2
ε :乱流エネルギの消散率(m2/m3
ν :動粘性係数(m2/s)
R :気体定数
g :ガス温度(℃)
【0032】
一方、S6にて時間tが切替時間であると判定(S6:YES)された場合は、境界条件を変更(S7)してS8へ移行する。つまり、コークス炉及び熱風炉等のように、操業時において運転モードを所定時間(切替時間)毎に切り替える必要がある場合には、その都度、境界条件を変更して非定常状態における温度予測をも可能にする。
【0033】
S8にて計算されたガス密度ρg、及び流速ux,uy,uz等を用いて、化学種の収支に関する物質収支式(6)に基づいて、制御部10にて式(6)を離散化することにより、化学種の計算(燃焼反応含む)を行い、ωiを計算する(S9)。これにより、炉内の全域における反応量及びガス組成が決定される。ここで、物質収支式(6)に示すように、燃料と空気とが反応する燃焼反応を扱えるようにする。
【0034】
【数3】
Figure 0004333157
【0035】
ここで、
ωi :成分iの重量分率(−)
e :有効拡散係数(m2/s)
i :成分iの生成速度(kg/(m3・s))
【0036】
そして、それ自体公知のモンテカルロ法により、各計算装置20−1,20−2,…,20−Nは、S2にて生成された計算格子とS4にて設定されたエネルギ粒子の射出粒子数とに基づいて、各領域に含まれる要素からエネルギ粒子を射出し、放射経路での各要素におけるエネルギ粒子の吸収及び反射過程を追跡して最終的に吸収される要素を計算する。そして、すべての要素(例えば、ガス要素,壁要素等)に対する計算が終了した後で、式(7)に基づいて、一の要素(要素j)から射出されたエネルギ粒子の射出粒子数と、要素jから射出され、要素jを含む要素(要素i)に吸収されたエネルギ粒子の数(以下、吸収粒子数)との割合を示す交換係数であるリード値Rdji(以下、Rd)を計算し、各記憶部21−1,21−2,…,21−Nに記憶する(S10)。
【0037】
【数4】
Figure 0004333157
【0038】
ここで、
Rdji:要素jの要素iに対するリード値(−)
【0039】
そして、S10にて計算されたリード値Rdを用いて、式(8)に示す放射エネルギ量Qrを計算する(S11)。
【0040】
【数5】
Figure 0004333157
【0041】
ここで、
Qr :放射エネルギ量(kcal/(m3・s))
c :係数(kcal/(m3・s・℃4))
j :要素jの温度(℃)
【0042】
そして、S9にて計算された各成分の反応量及びガス組成を用いて、温度の収支を示すガス側のエネルギ収支式(9)、固体側のエネルギ収支式(10)、及びS11にて計算された放射エネルギ量Qrに基づいて、制御部10にて式(9),(10)を離散化することにより、温度の計算を行い、ガス温度Tg,固体温度Tsを計算する(S12)。
【0043】
【数6】
Figure 0004333157
【0044】
ここで、
pg :ガス比熱(kcal/(kg・℃))
λge :有効ガス熱伝導率(kcal/(m・s・℃))
ΔHi :成分iの反応熱(kcal/kg)
p :有効比表面積(m2/m3
t :総括熱伝達係数(kcal/(m2・s・℃))
s :固体温度(℃)
ρs :固体密度(kg/m3
ps :固体比熱(kcal/(kg・℃))
λse :有効固体熱伝導率(kcal/(m・s・℃))
【0045】
そして、時間tが、終了時間か否かを判定(S13)し、終了時間ではないと判定(S13:NO)された場合は、S5へ移行し、時間ステップΔtを進めて再度S5〜S13の処理を繰り返す。一方、時間tが、終了時間であると判定(S13:YES)された場合は、S12にて計算されたガス温度Tg,固体温度Tsが収束されているか否かを判定(S14)する。
【0046】
S14にてガス温度Tg,固体温度Tsが収束されていると判定(S14:YES)された場合は処理を終了し、一方、ガス温度Tg,固体温度Tsが収束されていないと判定(S14:NO)された場合は、S4へ移行し、射出粒子数を変更(増数)して再度S4〜S14の処理を繰り返す。
【0047】
ここで、温度収束について説明する。モンテカルロ法により放射エネルギ量を計算する場合、各要素間のリード値Rdの誤差は射出粒子数の平方根に逆比例(反比例)して減少するため、高精度で温度予測を行うためには、S4にて射出粒子数の数値を高く設定することが望ましい。しかし、リード値Rdの計算に要する時間は、ほぼ射出粒子数に比例するため、温度予測精度と計算時間とを考慮して射出粒子数を設定する必要がある。従って、本実施形態では、温度収束という概念を用いて、温度予測値(ガス温度Tg,固体温度Ts)が収束された場合に処理手順を終了することとする。
【0048】
次に、放射エネルギ量Qrを計算する場合に必要な記憶容量について説明する。放射エネルギ量Qrを計算するには、式(8)に示したように、各要素間におけるリード値Rdが必要となる。すなわち、図3(2次元で記載)に示すように、要素としてガス要素及び壁要素を考慮する場合には、ガス要素→ガス要素間51、ガス要素→壁要素間52、壁要素→ガス要素間53、及び壁要素→壁要素間54におけるリード値Rdが必要となる。従って、ガス要素数、壁要素数をそれぞれNGMAX、NWMAXとした場合には、ガス要素→ガス要素間51のリード値Rdの記憶に必要な記憶容量はNGMAX2となる。同様に、ガス要素→壁要素間52、壁要素→ガス要素間53、及び壁要素→壁要素間54のリード値Rdの記憶に必要な記憶容量は、それぞれNGMAX×NWMAX、NWMAX×NGMAX、NWMAX2となる。つまり、放射エネルギ量Qrの計算には(NGMAX+NWMAX)2の記憶容量が必要となる。
【0049】
本発明では、この(NGMAX+NWMAX)2の記憶容量を記憶部21−1,21−2,…,21−Nに分担して記憶させることで、一つあたりの記憶部に必要な記憶容量を1/Nに縮小することができる。
【0050】
以下、説明を簡略化するため、ガス要素→ガス要素間のリード値Rdを例にあげ、炉壁に囲まれた空間に含まれる気体をNグループの領域(計算格子)に分割する方法(以下、分割方法)、及びリード値Rdの記憶方法について説明する。図4は分割方法と記憶部との対応を模式的に示した模式図であり、分かりやすくするため領域を2次元で示す。例えば、ガス要素数がNGMAXである場合には、要素数が各NGMAX/NとするNグループの領域30−1,30−2,…,30−Nに分割する。ここで、NGMAXはNの整数倍である、換言すれば、NGMAX/Nは整数であるとして説明する。計算装置20−i(i=1,2,…,N)は、領域30−i内のガス要素(射出側ガス要素:要素数NGMAX/N)31−i−j(j=1,2,…,NGMAX/N)から、全領域(領域30−1,30−2,…,30−N)内のガス要素(吸収側ガス要素:要素数NGMAX)31−k−j(k=1,2,…,N、j=1,2,…,NGMAX/N)にいたるリード値Rdを計算し、計算されたリード値Rdを記憶部21−iに記憶する。
【0051】
図5は記憶部に記憶されるリード値Rdを示すテーブル図である。記憶部21−i(i=1,2,…,N)は、射出側ガス要素として領域30−i内のガス要素31−i−1,31−i−2,…,31−i−NGMAX/Nのそれぞれから、吸収側ガス要素として全領域(領域30−1,30−2,…,30−N)内のガス要素31−1−1〜ガス要素31−N−NGMAX/Nにいたる放射経路のリード値Rd31-i-131-1-1〜Rd31-i-131-N-NGMAX/N,Rd31-i-231-1-1〜Rd31-i-231-N-NGMAX/N,…,Rd31-i-NGMAX/N31-1-1〜Rd31-i-NGMAX/N31-N-NGMAX/N(リード値の数:NGMAX/N×NGMAX)を記憶する。つまり、放射エネルギ量の計算に必要なリード値Rdを記憶するための記憶容量は計算装置(記憶部)の総数Nで除算した記憶容量に縮小化できる。また、すべてのガス要素間のリード値Rdが、記憶部21−1,21−2,…,21−Nに分担されて記憶されているが、制御部10は、バス11を介して、記憶部21−1,21−2,…,21−Nにアクセスし、すべてのガス要素間のリード値Rdを取得して、放射エネルギ量を精度よく計算することができる。
【0052】
以上のように構成された炉内温度予測装置は、計算装置の総数Nを増数することにより、記憶容量を縮小化することが可能となるため、放射伝熱現象を含む炉内の温度予測及び解析の精度が向上でき、また複数の計算装置にて並列処理を行うことが可能となるため、計算時間を短縮することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、炉壁(壁要素)及び該炉壁に囲まれた空間内の気体(ガス要素)が放射伝熱現象に起因するとして、炉壁及び気体を複数の領域に分割し、分割された一の領域に含まれる要素から射出され、複数の領域に含まれる要素に吸収される放射エネルギ量を計算する形態について説明したが、さらに、例えば鋼材のような前記空間内の固体が放射伝熱現象に起因する場合にも、同様の方法で放射エネルギ量を計算すればよいことはいうまでもない。また、炉壁、前記空間内の気体、又は前記空間内の固体における放射エネルギ量を計算する場合には、関係する炉壁、前記気体、又は前記固体を複数の領域に分割し、分割された一の領域に含まれる要素から射出され、複数の領域に含まれる要素に吸収される放射エネルギ量を計算するようにすればよい。
【0054】
【実施例1】
本発明の実施例として、加熱炉を対象に炉内温度シミュレーションを実施した。加熱炉の炉体寸法は4.86m(長さ)×3.56m(幅)×2.0m(高さ)である。初期条件として、壁温度及び加熱炉内温度を30℃とし、炉内には何もない状態で約2時間炉体を加熱し、その後、炉内に3.5×1.0×0.2mの鋳片(鋳片温度30℃)を2つ挿入することとした。燃料条件として、コークス炉から石炭乾留時に発生する燃焼性ガス(Cガス)を利用し、その発熱量を4594kcal/m3(標準状態)、投入熱量を800Mcal/h、空気比を1.05とした。境界条件として、式(11)に示すように、加熱炉外面より対流伝熱で抜熱することとした。
【0055】
【数7】
Figure 0004333157
【0056】
ここで、
h :総括伝熱係数(=10kcal/(m2・h・℃))
ss:外表面温度(℃)
a :基準温度(=30℃)
【0057】
まず、本実施例及び従来例において必要とされる記憶容量について述べる。ガス要素数を31000個、壁要素数を6800個とし、図6(2次元で記載)に示すように、すべての要素間のリード値Rdを計算する場合について比較した結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004333157
【0059】
本実施例では、放射エネルギ量を計算する際に、8台の計算装置を利用してすべての要素間のリード値Rdを計算すればよく、計算装置1台に記憶するリード値Rdの数は、射出側のガス要素数,壁要素数が、各要素数を計算装置の総数8で除算した数に相当する3875,850であり、吸収側のガス要素数,壁要素数が、すべての各要素数にあたる31000,6800であるため、この射出側の要素数(4725)と吸収側の要素数(37800)とを乗算した178605000となる。従って、計算装置1台あたりに必要とされる記憶容量は、このリード値Rdの数178605000に、1リード値あたり4B(バイト)の記憶容量が必要であるとすると0.8GBである。
【0060】
一方、従来例では、放射エネルギ量を計算する際に、1台の計算装置を利用してすべての要素間のリード値Rdを計算しなければならず、計算装置1台に記憶するリード値Rdの数は、射出側及び吸収側のガス要素及び壁要素が、すべての各要素数にあたるガス要素数31000及び壁要素数6800であるため、この射出側の要素数(37800)と吸収側の要素数(37800)とを乗算した1428840000となる。従って、計算装置1台に必要とされる記憶容量は、このリード値Rdの数1428840000に、1リード値あたり4Bの記憶容量が必要であるとすると5.8GBであるため、記憶容量が不足してしまい、全ての要素間のリード値Rdを計算することが不可能となる。
【0061】
次に、本実施例及び従来例の温度予測の精度について、それぞれの予測値と実測値とを比較した。なお、前述したように、従来例においては記憶容量が不足したため、図7(2次元で記載)に示すように、バーナ流に垂直な断面内のガス要素→壁要素間のみのリード値Rdを計算することにより、必要とされる記憶容量を縮小して1台の計算装置で計算を行った。
【0062】
図8は加熱炉を対象に炉内温度シミュレーションを実施した温度予測値及び実測値の結果を示すグラフである。同図実線a1,a2は本実施例による1.9時間後,3.8時間後の鋼材の幅方向中心位置における上面の温度予測分布をそれぞれ示す。同図実線a3,a4は本実施例による1.9時間後,3.8時間後の鋼材の幅方向中心位置における下面の温度予測分布をそれぞれ示す。一方同図破線b1,b2は従来例による1.9時間後,3.8時間後の鋼材の幅方向中心位置における上面の温度予測分布をそれぞれ示す。同図破線b3,b4は従来例による1.9時間後,3.8時間後の鋼材の幅方向中心位置における下面の温度予測分布をそれぞれ示す。なお、グラフの横軸を鋼材長手方向位置とした。
【0063】
従来例による1.9時間後及び3.8時間後の鋼材の温度予測値は、上面及び下面ともに鋼材端部での温度が実測値より高温側に外れている。それに対して、本実施例による温度予測値は実測値とよく一致していることが分かる。この相違は、リード値Rdを計算する際に、従来例では、記憶容量不足のため、すべての放射経路のリード値Rdを考慮しなかったことに起因するものである。
【0064】
【実施例2】
次に、本発明の他の実施例として、コークス炉を対象に炉内温度シミュレーションを実施した。コークス炉の炉体寸法は、炉高8.425m、装炭レベル6.22mであり、燃焼室サイズは、0.38m(長さ)×0.77m(幅)×6.2m(高さ)である。初期条件として、壁温度及び石炭温度を20℃とした。燃料条件として、Cガスと高炉ガス(Bガスともいう)とを混合した燃焼性ガス(Mixガス)を利用し、その発熱量を1180kcal/m3(標準状態)、空気比を1.12とした。境界条件として、加熱炉上部は、式(11)に示すように対流伝熱で抜熱し、炉側面及び底部は、熱交換のない断熱条件とすることとした。装炭条件として、VM29.5wt%、水分9wt%、装炭温度20℃、並びに燃焼及び排気の切替時間を20分とした。
【0065】
まず、本実施例及び従来例において必要とされる記憶容量について述べる。ガス要素数を27000個、壁要素数を8600個とし、実施例1と同様に、すべての要素間のリード値Rdを計算する場合について比較した結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
Figure 0004333157
【0067】
本実施例では、放射エネルギ量を計算する際に、8台の計算装置を利用してすべての要素間のリード値Rdを計算すればよく、計算装置1台に記憶するリード値Rdの数は、射出側のガス要素数,壁要素数が、各要素数を計算装置の総数8で除算した数に相当する3375,1075であり、吸収側のガス要素数,壁要素数が、すべての各要素数にあたる27000,8600であるため、この射出側の要素数(4450)と吸収側の要素数(35600)とを乗算した158420000となる。従って、計算装置1台あたりに必要とされる記憶容量は、このリード値Rdの数158420000に、1リード値あたり4B(バイト)の記憶容量が必要であるとすると0.7GBである。
【0068】
一方、従来例では、放射エネルギ量を計算する際に、1台の計算装置を利用してすべての要素間のリード値Rdを計算しなければならず、計算装置1台に記憶するリード値Rdの数は、射出側及び吸収側のガス要素及び壁要素が、すべての各要素数にあたるガス要素数27000及び壁要素数8600であるため、この射出側の要素数(35600)と吸収側の要素数(35600)とを乗算した1267360000となる。従って、計算装置1台に必要とされる記憶容量は、このリード値Rdの数1267360000に、1リード値あたり4Bの記憶容量が必要であるとすると5.1GBであるため、記憶容量が不足してしまい、全ての要素間のリード値Rdを計算することが不可能となる。
【0069】
次に、本実施例及び従来例の温度予測の精度について、それぞれの予測値と実測値とを比較した。なお、従来例においては記憶容量が不足したため、放射エネルギ計算におけるリード値Rdの扱いを実施例1と同様にし、必要とされる記憶容量を縮小して1台の計算装置で計算を行った。
【0070】
図9はコークス炉を対象に炉内温度シミュレーションを実施した温度予測値及び実測値の結果を示すグラフである。同図実線c1は本実施例による燃焼室の壁温(装炭後17.16時間)の高さ方向温度予測分布を、同図実線c2,c3,c4は本実施例による炭化室内の炭中温度(装炭後13.16時間,17.16時間,21.5時間)の高さ方向温度予測分布をそれぞれ示す。一方、同図破線d1は従来例による燃焼室の壁温(装炭後17.16時間)の高さ方向温度予測分布を、同図破線d2,d3,d4は従来例による炭化室内の炭中温度(装炭後13.16時間,17.16時間,21.5時間)の高さ方向温度予測分布をそれぞれ示す。なお、グラフの横軸を燃焼室の炉底からの距離とした。
【0071】
壁温及び炭中温度ともに、従来例による温度予測値は、炉下部(炉底側)において実測値より高温側に外れている。それに対して、本実施例による温度予測値は実測値とよく一致していることが分かる。この相違は、リード値Rdを計算する際に、従来例では、記憶容量不足のため、すべての放射経路のリード値Rdを考慮しなかったことに起因するものである。
【0072】
実施例1及び2に示したように、本発明の主旨は、各要素間のリード値Rdを複数の記憶部に記憶することにより、記憶容量不足を解消することができるため、すべての放射経路のリード値Rdを考慮することができ、精度のよい温度予測を可能にすることにある。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素から射出され、前記複数の領域に含まれる各要素に吸収される放射エネルギ量を、前記各領域毎に各別の計算手段にて計算することにより、放射エネルギ量を計算するのに要する時間を短縮することができる。
【0074】
また本発明によれば、炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素からエネルギ粒子を仮想的に射出させ、射出させたエネルギ粒子が複数の領域に含まれる各要素に仮想的に吸収されるエネルギ粒子の割合を示す交換係数を計算し、計算された交換係数を各領域毎に各別の記憶手段に記憶することにより、各記憶手段に必要な記憶容量を減少させることができる。
【0075】
従って、記憶容量不足及び計算時間が起因となって予測不可能であった放射伝熱現象の関与する炉内の温度予測が可能となり、これまで試行錯誤的に行われてきた操業及び設計方法の検討等が、シミュレーションにより理論的に精度よく、かつコストを抑えつつ効率的に行うことが可能となる。特に、大型の計算装置を用いずとも、ワークステーション及びパソコン等の机上の計算装置でも炉内の温度予測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炉内温度予測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る炉内温度予測装置の処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図3】モンテカルロ法の概念を示す模式図である。
【図4】分割方法と記憶部との対応を模式的に示した模式図である。
【図5】記憶部に記憶されるリード値Rdを示すテーブル図である。
【図6】すべての要素間のリード値Rdを計算する場合における各要素を模式的に示した模式図である。
【図7】限定した要素間のリード値Rdを計算する場合における各要素を模式的に示した模式図である。
【図8】加熱炉を対象に炉内温度シミュレーションを実施した温度予測値及び実測値の結果を示すグラフである。
【図9】コークス炉を対象に炉内温度シミュレーションを実施した温度予測値及び実測値の結果を示すグラフである。
【図10】バッチ式加熱炉(加熱炉)の構成を示す断面図である。
【図11】コークス炉の構成を示す断面図である。
【図12】熱風炉の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 制御部
11 バス
12 ROM
13 RAM
14 入力部
15 出力部
20−1,20−2,…,20−N 計算装置
21−1,21−2,…,21−N 記憶部

Claims (4)

  1. 炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つから射出され、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つに吸収される放射エネルギ量を計算することにより、炉内温度を予測する炉内温度予測方法において、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素から射出され、前記複数の領域に含まれる各要素に吸収される放射エネルギ量を、前記各領域毎に各別の計算手段にて計算することを特徴とする炉内温度予測方法。
  2. 炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つから射出され、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つに吸収される放射エネルギ量を計算することにより、炉内温度を予測する炉内温度予測方法において、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる各要素からエネルギ粒子を仮想的に射出させ、射出させたエネルギ粒子が前記複数の領域に含まれる各要素に仮想的に吸収されるエネルギ粒子の割合を示す交換係数を前記各領域毎に各別の計算手段にて計算し、計算された交換係数に基づいて前記放射エネルギ量を計算することを特徴とする炉内温度予測方法。
  3. 炉壁、該炉壁に囲まれた空間に含まれる気体、又は前記空間に含まれる固体の少なくとも一つから射出され、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つに吸収される放射エネルギ量を計算することにより、炉内温度を予測する構成とした炉内温度予測装置において、前記炉壁、前記気体、又は前記固体の少なくとも一つを仮想的にそれぞれ複数の要素からなる複数の領域に分割する手段と、分割された各領域に含まれる各要素からエネルギ粒子を仮想的に射出され、射出させたエネルギ粒子が前記複数の領域に含まれる各要素に仮想的に吸収されるエネルギ粒子の割合を示す交換係数を前記各領域毎にそれぞれ計算する複数の計算手段と、各計算手段により計算された交換係数に基づいて前記放射エネルギ量を計算する手段とを備えることを特徴とする炉内温度予測装置。
  4. さらに、前記各計算手段により計算された交換係数を各領域毎にそれぞれ記憶する複数の記憶手段を備え、前記放射エネルギ量を計算する手段は、前記複数の記憶手段に記憶されている交換係数に基づいて放射エネルギ量を計算する手段であることを特徴とする請求項3に記載の炉内温度予測装置。
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