JP4331290B2 - 結像光学系 - Google Patents

結像光学系 Download PDF

Info

Publication number
JP4331290B2
JP4331290B2 JP28426298A JP28426298A JP4331290B2 JP 4331290 B2 JP4331290 B2 JP 4331290B2 JP 28426298 A JP28426298 A JP 28426298A JP 28426298 A JP28426298 A JP 28426298A JP 4331290 B2 JP4331290 B2 JP 4331290B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
prism
optical system
plane
image
imaging
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28426298A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000111800A (ja
Inventor
研野孝吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Corp filed Critical Olympus Corp
Priority to JP28426298A priority Critical patent/JP4331290B2/ja
Publication of JP2000111800A publication Critical patent/JP2000111800A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4331290B2 publication Critical patent/JP4331290B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lenses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結像光学系に関し、その中でも特に、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、フィルムスキャナー、内視鏡等、小型の撮像素子を用いた光学装置用の反射面にパワーを有する偏心光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、フィルムスキャナー、内視鏡等用の結像光学系では、撮像素子の小型化に伴い、光学系自身も小型軽量、低コスト化が求められている。
【0003】
しかし、一般の回転対称共軸光学系では、光学系の厚みは光学素子を光軸方向に配列するため、その小型化にも限界がある。また、同時に、回転対称な屈折レンズを用いることにより発生する色収差を補正するために、レンズ枚数の増加は避けられず、低コスト化も困難な状況である。そこで、最近では、特に色収差の発生しない反射面にパワーを持たせ、光軸方向の光路を折り畳むことで、小型化を図った光学系が提案されている。
【0004】
特開平7−333505号のものは、偏心した反射面にパワーを付けて光路を折り畳み、光学系の厚みを小さくすることを提案しているが、実施例では、構成する光学部材が5個と多い上、実際の光学性能が不明である。また、その反射面の形状までは言及されていない。
【0005】
また、特開平8−292371号、特開平9−5650号、特開平9−90229号のものでは、プリズム1個あるいは複数のミラーを1つの部材としてブロック化することで光路を折り畳み、その光学系内部で像をリレーしながら最終像を形成する光学系が示されている。しかし、これらの例では、像をリレーするために反射の回数が多くなり、その面精度誤差、偏心精度誤差が積算され転送されることから、個々の精度が厳しくなり、コストアップにつながり好ましくない。また、同時に、像をリレーするために光学系全体の体積も大きくなり好ましくない。
【0006】
また、特開平9−222563号では、複数のプリズムを用いた例を示しているが、像をリレーするために同様の理由からコストアップ、光学系の大型化につながり好ましくない。
また、特開平9−211331号では、プリズム1個を用いて光路を折り畳み光学系の小型化を図った例であるが、収差の補正が十分ではない。
【0007】
また、特開平8−292368号、特開平8−292372号、特開平9−222561号、特開平9−258105号、特開平9−258106号のものでは、何れもズームレンズの例である。しかし、これらの例も、プリズム内部で像をリレーしているために反射の回数が多く、反射面の面精度誤差、偏心精度誤差が積算され転送され好ましくない。同時に、光学系の大型化も避けられず好ましくない。
【0008】
また、特開平10−20196号のものは、正負の2群ズームレンズの正の前群を、絞りを挟んで物体側に負のパワーのプリズムで、像側を正のパワーのプリズムで構成した例である。また、負のプリズムと正のプリズムから構成される正の前群を2つに分割し、負正負の3群ズームレンズに構成した例も開示されている。しかし、これらの例で用いられるプリズムは、2つの透過面、2つの反射面が独立の面であるためにそのスペースを確保する必要上、また同時に、撮像面がライカサイズのフィルムフォーマットと大きいため、プリズム自体の大型化が避けられない。また、像側にテレセントリックの構成でないため、CCD等の撮像素子への対応が難しい。また、何れのズームレンズの例も、プリズムを移動させることで変倍を行っているため、全ての変倍領域で性能を維持するために反射面の偏心精度が厳しくなり、コスト高になるという問題を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
一般の屈折光学系で所望の屈折力を得ようとすると、その境界面で光学素子の色分散特性のために色収差が発生する。それを補正する目的と、他の光線収差を補正するために、屈折光学系は多くの構成要素を必要としてコスト高になるという問題を有している。また、同時に、光路が光軸に沿って直線になるために、光学系全体が光軸方向に長くなってしまい、撮像装置が大型になってしまうという問題があった。
【0010】
また、従来技術について述べたような偏心光学系では、結像された像の収差が良好に補正され、なおかつ、特に回転非対称なディストーションが良好に補正されていないと、結像された図形等が歪んで写ってしまい、正しい形状を再現することができないという問題があった。
【0011】
さらに、偏心光学系に反射面を用いる場合は、屈折面に比してその偏心誤差感度は2倍になり、反射回数を増やせば増やすだけ偏心誤差が積算され転送される結果となり、反射面の面精度や偏心精度等の製作精度、組み立て精度が厳しくなるという問題もあった。
【0012】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ない光学素子の構成枚数で高性能、低コストな結像光学系を提供することである。
【0013】
また、本発明のもう1つの目的は、少ない反射回数の反射面を用いて光路を折り畳むことにより小型化、薄型化された高性能な結像光学系を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の結像光学系は、物体像を形成する全体として正の屈折力を有する結像光学系において、前記結像光学系が屈折率(n)が1.3よりも大きい(n>1.3)媒質で形成された第1プリズムと第2プリズムを有し、前記第2プリズムは前記第1プリズムよりも像側に配置され、かつ、中間像を形成しない結像系にて形成され、前記第2プリズムが、光束を透過又は反射させる光学作用面を4面有し、それらを第2−1面、第2−2面、第2−3面、第2−4面とするとき、前記第2−1面が物体側からの光束をプリズム内に入射させ、前記第2−2面が前記第2−1面から入射した光束をプリズム内で反射し、前記第2−3面が前記第2−2面で反射された光束をプリズム内で反射し、前記第2−4面が前記第2−3面で反射された光束をプリズム外に射出するように構成され、かつ、前記第2−1面と前記第2−2面とが前記媒質を挟んで対向配置され、前記第2−3面と前記第2−4面とが前記媒質を挟んで対向配置され、前記第2−1面と前記第2−2面とを結ぶ光路が、前記第2−3面と前記第2−4面とを結ぶ光路と交差するように構成されており、前記第2−2面と前記第2−3面の少なくとも一方の面が光束にパワーを与える曲面形状を有し、前記曲面形状が偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有し、前記第1プリズムが、少なくとも1面プリズム内で光束を反射する反射面を有し、前記反射面が光束にパワーを与え、かつ、偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
以下、本発明において上記構成をとる理由と作用について順に説明する。
上記目的を達成するための本発明の第1の結像光学系は、屈折率(n)が1.3よりも大きい(n>1.3)媒質で形成された第1プリズムと第2プリズムを有し、第2プリズムは第1プリズムよりも像側に配置され、かつ、中間像を形成しない結像系にて形成されていることを特徴とする結像光学系である。
【0016】
レンズのような屈折光学素子は、その境界面に曲率を付けることにより始めてパワーを持たせることができる。そのため、レンズの境界面で光線が屈折する際に、屈折光学素子の色分散特性による色収差の発生が避けられない。その結果、色収差を補正する目的で別の屈折光学素子が付加されるのが一般的である。
【0017】
一方、ミラーやプリズム等のような反射光学素子は、その反射面にパワーを持たせても原理的に色収差の発生はなく、色収差を補正する目的だけのために別の光学素子を付加する必要はない。そのため、反射光学素子を用いた光学系は、屈折光学素子を用いた光学系に比べて、色収差補正の観点から光学素子の構成枚数の削減が可能である。
【0018】
同時に、反射光学素子を用いた反射光学系は、光路を折り畳むことになるために、屈折光学系に比べて光学系自身を小さくすることが可能である。
【0019】
また、反射面は屈折面に比して偏心誤差感度が高いため、組み立て調整に高い精度を要求される。しかし、反射光学素子の中でも、プリズムはそれぞれの面の相対的な位置関係が固定されているので、プリズム単体として偏心を制御すればよく、必要以上の組み立て精度、調整工数が不要である。
【0020】
さらに、プリズムは、屈折面である入射面と射出面、それと反射面を有しており、反射面しかもたないミラーに比べて、収差補正の自由度が大きい。特に、反射面に所望のパワーの大部分を分担させ、屈折面である入射面と射出面のパワーを小さくすることで、ミラーに比べて収差補正の自由度を大きく保ったまま、レンズ等のような屈折光学素子に比べて、色収差の発生を非常に小さくすることが可能である。また、プリズム内部は空気よりも屈折率の高い透明体で満たされているために、空気に比べ光路長を長くとることができ、空気中に配置されるレンズやミラー等よりは、光学系の薄型化、小型化が可能である。
【0021】
また、結像光学系は、中心性能はもちろんのこと周辺まで良好な結像性能を要求される。一般の共軸光学系の場合、軸外光線の光線高の符号は絞りの前後で反転するため、光学素子の絞りに対する対称性が崩れることにより軸外収差は悪化する。そのため、絞りを挟んで屈折面を配置することで絞りに対する対称性を十分満足させ、軸外収差の補正を行っているのが一般的である。
【0022】
そこで、本発明では、2つのプリズムを配置し、絞りに対する対称性を十分考慮した構成をとることにより、中心ばかりでなく軸外収差も良好に補正することを可能にしている。1つのプリズムのみの配置だと、絞りに対する非対称性が増し、軸外収差の劣化が避けられない。
【0023】
本発明は、以上の理由から、第1プリズムと第2プリズムを有し、第2プリズムは第1プリズムよりも像側に配置され、かつ、中間像を形成しない結像系にて形成されている基本構成としたもので、さらに、像側に略テレセントリックな結像光学系とすることが望ましい。
【0024】
次に、像側に略テレセントリックという構成に関して詳述する。
前述したように、反射面は屈折面に比べて偏心誤差感度が高いために、その影響をできるだけ受け難い光学系の構成が望まれる。一般の共軸光学系の場合、像側に略テレセントリックな構成は軸外主光線が光軸と略平行となるために、デフォーカスさせても像面上で軸外光線の位置は保たれるという性質を有する。そこで、本発明の結像光学系にもその性質を反映させ、特に、偏心感度の比較的高い反射面を用いた光学系のフォーカシングによる性能劣化を防ぐために、軸外光線の位置精度が良好に保たれる像側に略テレセントリックという構成をとることが望ましい。
【0025】
このような構成をとることにより、特にCCD等の撮像素子を用いた撮像光学系にも最適である。また、この構成をとることにより、COS4乗則の影響が小さくなり、シェーディングを小さくすることも可能である。
【0026】
以上説明したように、本発明の基本構成をとることで、屈折光学系に比べ光学素子の構成枚数が少なく、中心から周辺まで性能の良好な、小型の結像光学系を得ることが可能である。
【0027】
ところで、本発明の第2プリズムは、光束を透過又は反射させる光学作用面を4面有し、それらを第2−1面、第2−2面、第2−3面、第2−4面とするとき、第2−1面が物体側からの光束をプリズム内に入射させ、第2−2面が第2−1面から入射した光束をプリズム内で反射し、第2−3面が第2−2面で反射された光束をプリズム内で反射し、第2−4面が第2−3面で反射された光束をプリズム外に射出するように構成され、かつ、第2−1面と第2−2面とが媒質を挟んで対向配置され、第2−3面と第2−4面とが媒質を挟んで対向配置され、第2−1面と第2−2面とを結ぶ光路が、第2−3面と第2−4面とを結ぶ光路と交差するように構成されており、第2−2面と第2−3面の少なくとも一方の面が光束にパワーを与える曲面形状を有し、その曲面形状が偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有しているものである。
【0028】
また、本発明の第1プリズムは、少なくとも1面プリズム内で光束を反射する反射面を有し、その反射面が光束にパワーを与え、かつ、偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するものである。
【0029】
ここで、物点中心を通り、絞り中心を通過して像面中心に到達する光線を軸上主光線としたとき、各プリズムの少なくとも1つの反射面が軸上主光線に対して偏心していないと、軸上主光線の入射光線と反射光線が同一の光路をとることとなり、軸上主光線が光学系中で遮断されてしまう。その結果、中心部が遮光された光束のみで像を形成することになり、中心が暗くなったり、中心では全く像を結ばなくなったりしてしまう。
【0030】
また、パワーを付けた反射面を軸上主光線に対し偏心させることも当然可能である。
また、パワーを付けた反射面を軸上主光線に対して偏心させた場合、本発明で用いられる各プリズムを構成する面の中、少なくとも1つの面は回転非対称な面であることが望ましい。その中でも、第2プリズムにおいては、特に、反射面である第2−2面と第2−3面の少なくとも一方の面を回転非対称な面にすることが収差補正上は好ましい。また、第1プリズムにおいては、反射面を回転非対称な面にすることが収差補正上は好ましい。
【0031】
その理由を以下に詳述する。
まず、用いる座標系、回転非対称な面について説明する。
軸上主光線が、光学系の第1面に交差するまでの直線によって定義される光軸をZ軸とし、そのZ軸と直交し、かつ、撮像光学系を構成する各面の偏心面内の軸をY軸と定義し、前記光軸と直交し、かつ、前記Y軸と直交する軸をX軸とする。光線の追跡方向は、物体から像面に向かう順光線追跡で説明する。
【0032】
一般に、球面レンズでのみ構成された球面レンズ系では、球面により発生する球面収差と、コマ収差、像面湾曲等の収差をいくつかの面でお互いに補正しあい、全体として収差を少なくする構成になっている。
【0033】
一方、少ない面数で収差を良好に補正するためには、回転対称非球面等が用いられる。これは、球面で発生する各種収差自体を少なくするためである。
しかし、偏心した光学系においては、偏心により発生する回転非対称な収差を回転対称光学系で補正することは不可能である。この偏心により発生する回転非対称な収差は、歪曲収差、像面湾曲、さらに、軸上でも発生する非点収差、コマ収差がある。
【0034】
まず、回転非対称な像面湾曲について説明する。例えば、無限遠の物点から偏心した凹面鏡に入射した光線は、凹面鏡に当たって反射結像されるが、光線が凹面鏡に当たって以降、像面までの後側焦点距離は、像界側が空気の場合、光線が当たった部分の曲率半径の半分になる。すると、図22に示すように、軸上主光線に対して傾いた像面を形成する。このように、回転非対称な像面湾曲を補正するには回転対称な光学系では不可能である。
【0035】
この傾いた像面湾曲をその発生源である凹面鏡M自身で補正するには、凹面鏡Mを回転非対称な面で構成し、この例ではY軸正の方向に対して曲率を強く(屈折力を強く)し、Y軸負の方向に対して曲率を弱く(屈折力を弱く)すれば、補正することができる。また、上記構成と同様な効果を持つ回転非対称な面を、凹面鏡Mとは別に光学系中に配置することにより、少ない構成枚数でフラットの像面を得ることが可能となる。
また、回転非対称な面は、その面内及び面外共に回転対称軸を有しない回転非対称面形状の面とすることが、自由度が増え収差補正上は好ましい。
【0036】
次に、回転非対称な非点収差について説明する。
上記説明と同様に、偏心して配置された凹面鏡Mでは、軸上光線に対しても図23に示すような非点収差が発生する。この非点収差を補正するためには、上記説明と同様に、回転非対称面のX軸方向の曲率とY軸方向の曲率を適切に変えることによって可能となる。
【0037】
さらに、回転非対称なコマ収差について説明する。
上記説明と同様に、偏心して配置された凹面鏡Mでは、軸上光線に対しても図24に示すようなコマ収差が発生する。このコマ収差を補正するためには、回転非対称面のX軸の原点から離れるに従って面の傾きを変えると共に、Y軸の正負によって面の傾きを適切に変えることによって可能となる。
【0038】
また、本発明の結像光学系では、前述の反射作用を有する少なくとも1つの面が軸上主光線に対し偏心し、回転非対称な面形状でパワーを有する構成も可能である。このような構成をとれば、その反射面にパワーを持たせることで発生する偏心収差をその面自体で補正することが可能となり、プリズムの屈折面のパワーを緩めることで、色収差の発生自体を小さくすることができる。
【0039】
また、本発明で用いる上記の回転非対称面は、対称面を1面のみ有する面対称自由曲面であることが好ましい。ここで、本発明で使用する自由曲面とは、以下の式(a)で定義されるものである。なお、その定義式のZ軸が自由曲面の軸となる。
【0040】
Figure 0004331290
ここで、(a)式の第1項は球面項、第2項は自由曲面項である。
【0041】
球面項中、
c:頂点の曲率
k:コーニック定数(円錐定数)
r=√(X2 +Y2
である。
【0042】
Figure 0004331290
ただし、Cj (jは2以上の整数)は係数である。
【0043】
上記自由曲面は、一般的には、X−Z面、Y−Z面共に対称面を持つことはないが、本発明ではXの奇数次項を全て0にすることによって、Y−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。例えば、上記定義式(a)においては、C2 、C5 、C7 、C9 、C12、C14、C16、C18、C20、C23、C25、C27、C29、C31、C33、C35・・・の各項の係数を0にすることによって可能である。
【0044】
また、Yの奇数次項を全て0にすることによって、X−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。例えば、上記定義式においては、C3 、C5 、C8 、C10、C12、C14、C17、C19、C21、C23、C25、C27、C30、C32、C34、C36・・・の各項の係数を0にすることによって可能である。
【0045】
また上記対称面の方向の何れか一方を対称面とし、それに対応する方向の偏心、例えば、Y−Z面と平行な対称面に対して光学系の偏心方向はY軸方向に、X−Z面と平行な対称面に対しては光学系の偏心方向はX軸方向にすることで、偏心により発生する回転非対称な収差を効果的に補正しながら同時に製作性をも向上させることが可能となる。
【0046】
また、上記定義式(a)は、前述のように1つの例として示したものであり、本発明は、対称面を1面のみ有する回転非対称面を用いることで偏心により発生する回転非対称な収差を補正し、同時に製作性も向上させるということが特徴であり、他のいかなる定義式に対しても同じ効果が得られることは言うまでもない。
【0047】
また、本発明において、第2プリズムと像面との間に屈折力を持った光学要素を挟まずに構成することが重要である。
【0048】
プリズムを用いた結像光学系の厚み方向のコンパクト化、特に、像を受光する素子がCCD等の電子撮像素子の場合、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等を挿入する必要があり、それ以外のレンズ等が第2プリズムと像面との間に介在すると、より厚みが増すことになり、本発明の趣旨である薄型化に反することになる。
【0049】
ところで、第2プリズムとして、前記のように、第2−1面と第2−2面とが媒質を挟んで対向配置され、第2−3面と第2−4面とが媒質を挟んで対向配置され、第2−1面と第2−2面とを結ぶ光路が第2−3面と第2−4面とを結ぶ光路と交差するように構成することが望ましい。
【0050】
このような形状のプリズムは、収差補正の自由度が高くなり、収差の発生が少ない。さらに、2つの反射面の配置の対称性が高いので、この2つの反射面で発生する収差が2つの反射面相互で補正し合い、収差発生が少ない。また、光路がプリズム内で交差する構成のために、単に光路を折り返す構造のプリズムに比較して光路長を長く取ることが可能で、光路長の長さの割にプリズムを小型化することができる。さらに好ましくは、2つの反射面が異なる符号のパワーを持つことにより、収差の相互の補正効果を大きくすることが可能となり、高い解像力を得ることが可能となる。
【0051】
また、第2プリズムとして、上記のように光路が交差するプリズムを用いることにより、第2プリズムを小型に構成することが可能となる。これは、同じ光路長をとる場合に、同じ2回反射タイプであってプリズム内でZ字型光路をとるプリズムよりスペースの利用効率が良いからである。Z字型光路をとるプリズムではプリズム内の光線は必ず別の領域を通過して進んで行くが、プリズム内で光路が交差するプリズムでは、同じ領域を2回通過することになり、プリズムを小型にすることが可能であるからである。
【0052】
また、第2プリズムの第2−2面と第2−3面の両方を、光束にパワーを与えかつ偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成することができる。
【0053】
また、第2プリズムの第2−2面と第2−3面の少なくとも一方の回転非対称な面形状を、唯一の対称面を1面のみ有した面対称自由曲面形状にて構成することができる。
【0054】
第2プリズムの第2−2面と第2−3面の両方を回転非対称な面形状にする場合に、それらの両方の回転非対称な面形状を、唯一の対称面を1面のみ有した面対称自由曲面形状にて構成することができる。
【0055】
そして、その場合に、第2−2面の面対称自由曲面の唯一の対称面と、第2−3面の面対称自由曲面の唯一の対称面とが、同一面内に形成されるように第2プリズムを構成することができる。
【0056】
また、第2プリズムの第2−1面と第2−4面の少なくとも一方の面を、光束にパワーを与え、かつ、偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成することもできる。偏心により発生する収差を補正するために、屈折面にこのような面形状をとることは有効である。
【0057】
その場合に、第2プリズムの第2−1面と第2−4面の両方の面を、光束にパワーを与えかつ偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成することができる。
【0058】
さらに、第2プリズムの第2−1面及び/又は第2−4面の回転非対称な面形状が、唯一の対称面を1面のみ有した面対称自由曲面形状にて構成することができる。
【0059】
また、第1プリズム内に配置された回転非対称な面形状が、唯一の対称面を1面のみ有した面対称自由曲面形状にて構成することができる。
【0060】
さらに、第1プリズムと第2プリズムとが、少なくとも1面ずつ、唯一の対称面が同一面上に配置されるように構成した面対称自由曲面を備えている構成にすることができる。
【0061】
また、第1プリズムを負の屈折力を持つプリズムにすることによって、広い撮像画角を得ることが可能となる。これは、負のパワーにより広い画角の光線を集束させ、第2プリズムで構成される第2群に光線を入射するときに光束を収斂させることが可能となるからであり、焦点距離の比較的短い光学系を構成する場合に収差補正上好ましい構成である。
【0062】
また、本発明において、第1プリズムと第2プリズムの間に瞳を配置し、その瞳と像面との間に第2プリズムを配置して構成することが、対称性を高めて軸外収差も良好に補正する上で有効である。
その場合には、その瞳上に絞りを配置することが望ましい。
【0063】
また、本発明において、第1プリズムは、光束にパワーを与える曲面形状の反射面を2面以上有するように構成することができる。
【0064】
その場合に、第1プリズムが、反射面と透過面とを兼用した入射面と、反射面と、射出面の3つの光学作用面からなるもの、言い換えれば、第2反射面と第1透過面を共有するタイプとすると、入射光線を第1反射面では少ない屈曲角で第2反射面へと反射し、第2反射面で大きく屈曲させるために、プリズムの入射光線方向の厚さを薄くすることが可能である。
【0065】
また、第1プリズムを負の屈折力を持つプリズムにすることによって、広い撮像画角を得ることが可能となる。これは、負のパワーにより広い画角の光線を集束させ、第2プリズムで構成される第2群に光線を入射するときに光束を収斂させることが可能となるからであり、焦点距離の比較的短い光学系を構成する場合に収差補正上好ましい構成である。
【0066】
このような構成のプリズムを第1プリズムに用いる場合、さらに好ましくは、第1−2面の第1反射面を負のパワー(局所的には正のパワーが存在していてもよい)にすることが好ましい。これにより第2プリズムの正パワーを持つと面との光路に沿った光学的光路長を長く取ることが可能となり、それぞれの正と負のパワーを弱く構成することが可能となり、それぞれの面での収差発生を少なくすることが可能となり、最も効果的に収差性能の維持と広画角化が実現できる。
【0067】
さらに好ましくは、第1プリズムの像側に絞りを配置することにより、第1反射面が負のパワーを持つ場合、第1反射面を球面に近似した場合に、第1反射面の曲率中心と絞り位置が略同一場所なり、コマ収差の発生を原理的になくすることが可能となる。
【0068】
また、本発明において、第1プリズムとしては、光束にパワーを与える2つの独立した反射面と、入射面と、射出面の4つの光学作用面からなるものとすることができる。
【0069】
その場合に特に、第1プリズムの2つの反射面が記媒質を挟んで対向配置されていると共に、入射面と射出面とが媒質を挟んで対向配置され、その4つの面で形成される光路がZ字型光路となるように構成することが望ましい。
【0070】
このような形状のプリズムにおいては、収差補正の自由度が高くなり、収差の発生が少ない。さらに、2つの反射面の相対的偏心が少ないので、この2つの反射面で発生する収差が2つの反射面相互で補正し合い、収差発生が少ない。さらに好ましくは、2つの反射面が異なる符号のパワーを持つことにより、収差の相互の補正効果を大きくすることが可能となり、高い解像力を得ることが可能となる。
【0071】
さらに好ましくは、第1反射面を負のパワーにすることが好ましい。これにより、第2プリズムの正のパワーを持つ面との光路に沿った光学的光路長を長く取ることが可能となり、それぞれの正と負のパワーを弱く構成することが可能となり、それぞれの面での収差発生を少なくすることが可能となる。さらに好ましくは、第1プリズムの像側に絞りを配置することにより、第1反射面が負のパワーを持つ場合に、第1反射面を球面に近似した場合に、第1反射面の曲率中心と絞り位置が略同一場所となり、コマ収差の発生を原理的になくすことが可能となる。
【0072】
また、本発明において、第1プリズムとしては、光束にパワーを与える2つの独立した反射面と、入射面と射出面と反射面とを1面で兼用した面の3つの光学作用面からなるものとすることができる。
【0073】
第1透過面と第2反射面と第2透過面を共有するこのプリズムタイプは、入射光線を第1反射面では少ない屈曲角で第2反射面へと反射し、第2反射面で大きく屈曲させ、第3反射面で少ない屈曲角で屈曲させるために、プリズムの入射光線方向の厚さを薄くすることが可能であり、また、第1プリズムと第2プリズムの間に絞りを配置する場合に、絞り位置から通常強い負の屈折力を持つ第1−2面(第1反射面)までの光路長をプリズム内で長くとることが可能となり、光学系を薄型に構成することが可能となる。また、第1プリズムと第2プリズムの間の距離を短くできる。
【0074】
また、第1プリズムを負の屈折力を持つプリズムにすることによって、広い撮像画角を得ることが可能となる。これは、負のパワーにより広い画角の光線を集束させ、第2プリズムで構成される第2群に光線を入射するときに光束を収斂させることが可能となるからであり、焦点距離の比較的短い光学系を構成する場合に収差補正上好ましい構成である。
【0075】
このような構成のプリズムを第1プリズムに用いる場合、さらに好ましくは、その第1−1面がプリズム内での反射を全反射作用により達成することによって透過作用と反射作用とを兼用するように構成されていることが望ましい。
【0076】
また、第1プリズムの第1−2面が、プリズム内で反射される光束に対して全体として負のパワー(局所的には正のパワーが存在していてもよい)を与えるような反射面形状を備えていることが好ましい。
【0077】
この構成により、第2プリズムの正パワーを持つと面との光路に沿った光学的光路長を長く取ることが可能となり、それぞれの正と負のパワーを弱く構成することが可能となり、それぞれの面での収差発生を少なくすることが可能となり、最も効果的に収差性能の維持と広画角化が実現できる。
【0078】
また、本発明において、第1プリズムとしては、反射面と透過面とを兼用する入射面と、光束にパワーを与える2つの独立した反射面と、射出面の4つの光学作用面から構成したものとすることが可能である。
【0079】
この構成は、上記の第1透過面と第2反射面と第2透過面を共有するタイプにおいて、第2透過面を独立の面で構成したものに相当し、上記の2つの独立した反射面と、入射面と射出面と反射面とを1面で兼用した面の3つの光学作用面からなるプリズムの作用に加えて、第2透過面に独立した別の光学作用面を用いるため、第3反射面の配置の自由度が高くなり、プリズム後方への出っ張りを小さくできると共に第1プリズムからの射出方向を自由に設定できる。さらに、光学作用面が4面になったため、収差補正の自由度が高くなり、良好に収差補正が可能になる。
【0080】
なお、本発明の第1プリズム中の透過作用と反射作用を併せ持つ光学作用面において、反射作用は全反射によるものとすることが望ましい。全反射条件を満たさなければ、反射作用と透過作用を併せ持つことができず、プリズム自体の小型化が困難になってしまう。
【0081】
また、本発明の第1プリズム、第2プリズムの全反射面以外の反射面は、アルミニウム又は銀等の金属薄膜を表面に形成した反射面、又は、誘電体多層膜の形成された反射面で構成することが好ましい。金属薄膜で反射作用を有する場合は、手軽に高反射率を得ることが可能となる。また、誘電体反射膜の場合は、波長選択性や吸収の少ない反射膜を形成する場合に有利となる。
これにより、プリズムの製作精度が緩和された低コストな小型の結像光学系を得ることが可能である。
【0082】
また、本発明において、絞りより物体側に発散作用の第1プリズムを有し、像側に収斂作用の第2プリズムを有し、像側に略テレセントリックとなっていることが望ましい。
【0083】
屈折光学素子を用いた結像光学系では、その用途によってパワー配置が異なってくる。例えば画角の狭い望遠系では、一般に、全系を正、負の望遠タイプとして焦点距離に対して光学系の全長を小さくする構成がとられている。また、画角の広い広角系では、全系を負、正のレトロフォーカスタイプとすることで、焦点距離に対しバックフォーカスを大きくとるような構成が一般的である。
【0084】
特に、CCD等の撮像素子を用いた結像光学系の場合、結像光学系と撮像素子との間に、モアレ除去や赤外線の影響を排除するための光学的ローパスフィルターや赤外カットフィルターを配置する必要がある。そのため、これら光学部材を配置するスペースを確保するために、結像光学系の構成としてはレトロフォーカスタイプをとることが望ましい。
【0085】
また、レトロフォーカスタイプの結像光学系は、特に軸外収差の補正が重要であり、これは絞り位置に大きく依存する。前述したように、一般の共軸光学系の場合、光学素子の絞りに対する対称性が崩れることにより軸外収差は悪化する。そのため、絞りを挟んで同符号の光学素子を配置することで、絞りに対する対称性を十分満足させ、軸外収差の補正を行っているのが一般的である。負、正のレトロフォーカスタイプの場合、そのパワー配置がそもそも非対称な構成のため、絞り位置によって軸外収差の性能が大きく変化する。
【0086】
そこで、物体側の発散作用の第1プリズムと像側の収斂作用の第2プリズムの間に絞りを配置することで、パワー配置の非対称性に起因する軸外収差の劣化を最小限に抑えることを可能にするものである。絞りを発散作用のプリズムよりも物体側、あるいは、像側の収斂作用のプリズムよりも像側に配置すると、さらに絞りに対する非対称性が増し、その補正が困難となる。
【0087】
また、この場合に、絞りより物体側に発散作用の第1プリズムを有し、像側に収斂作用の第2プリズムを有し、プリズムのみからなるものとすることができる。
【0088】
そして、本発明の結像光学系においては、全系を通して結像面は1つである結像光学系である。前述したように反射面の偏心誤差感度は屈折面に比べて大きく、プリズムのように1ブロックで構成された反射光学部材は各面の面精度誤差、偏心誤差が積算されて転送されるため、反射面数は少ない程製作精度は緩和される。したがって、必要以上に反射の回数を増やすことは望ましくなく、例えば中間像を形成しその像をリレーして行く結像光学系では、必要以上に反射の回数が増え、各面の製造誤差が厳しくなり、コストアップにつながってしまう。
【0089】
さて、ここで偏心光学系及び光学面のパワーを定義する。図25に示すように、偏心光学系Sの偏心方向をY軸方向に取った場合に、偏心光学系Sの軸上主光線と平行なY−Z面内の微小な高さdの光線を物体側から入射し、偏心光学系Sから射出したその光線と軸上主光線のY−Z面に投影したときのなす角をδyとし、δy/dをY方向の偏心光学系SのパワーPy、偏心光学系の軸上主光線と平行でY−Z面と直交するX方向の微小な高さdの光線を物体側から入射し、偏心光学系Sから射出したその光線と軸上主光線のY−Z面に直交する面であって軸上主光線を含む面に投影したときのなす角をδxとし、δx/dをX方向の偏心光学系SのパワーPxとする。同様に偏心光学系Sを構成する偏心光学面nのY方向のパワーPyn、X方向のパワーPxnが定義される。
【0090】
さらに、これらのパワーの逆数がそれぞれ偏心光学系のY方向の焦点距離Fy、偏心光学系のX方向の焦点距離Fx、偏心光学面nのY方向の焦点距離Fyn、X方向の焦点距離Fxnと定義される。
【0091】
第2プリズムの第1反射面(第2−2面)のパワーを全系のパワーで割った値を、X方向に付いては、Px2-1 /Px、Y方向については、Py2-1 /Py、第2プリズムの第2反射面(第2−3面)のパワーを全系のパワーで割った値を、X方向に付いては、Px2-2 /Px、Y方向については、Py2-2 /Pyとするとき、
−1<Px2-1 /Px<1 ・・・(1)
−1<Py2-1 /Py<1 ・・・(2)
なる条件を少なくとも一方を満足することが重要である。
【0092】
この条件の下限の−1を越えると、第2プリズムのパワーが負側に大きくなりすぎ、結像作用を光学系に与えることができない。さらに、上限の1を越えると、パワーが正側に大きくなりすぎ、像面湾曲等の収差が大きく発生しすぎる。
【0093】
さらに好ましくは、
−0.5<Px2-1 /Px<0.8 ・・・(1−1)
−0.5<Py2-1 /Py<0.8 ・・・(2−1)
なる条件を少なくとも一方を満足することが重要である。
この条件の上限下限については、収差性能の良い光学系を構成する場合に重要となる。
【0094】
さらに好ましくは、
0.1<Px2-1 /Px<0.6 ・・・(1−2)
0.2<Py2-1 /Py<0.6 ・・・(2−2)
なる条件を少なくとも一方を満足することが重要である。
この条件の上限下限については、収差性能の良い光学系を構成する場合に重要となる。
さらに好ましくは、上記条件式の両方を満足することが好ましい。
【0095】
さらに好ましくは、第2プリズムの第2反射面(第2−3面)の軸上主光線が当たる位置でのX方向、Y方向のパワーをPx2-2 、Py2-2 とし、光学系全体のX方向、Y方向のパワーをPx、Pyすると、
−0.5<Px2-2 /Px<1.2 ・・・(3)
−0.5<Py2-2 /Py<1 ・・・(4)
なる条件を少なくとも一方を満足することが重要である。
【0096】
この条件も前記条件と共に第2プリズムのパワーを規定するものである。下限の−0.5を越えると、第2プリズムのパワーが負側に大きくなりすぎ、結像作用を光学系に与えることができない。さらに、上限の1.2あるいは1を越えると、パワーが正側に大きくなりすぎ、像面湾曲等の収差が大きく発生しすぎる。
【0097】
さらに好ましくは、
−0.2<Px2-2 /Px<1 ・・・(3−1)
−0.2<Py2-2 /Py<0.8 ・・・(4−1)
なる条件を少なくとも一方を満足することが重要である。
この条件の上限下限については、収差性能の良い光学系を構成する場合に重要となる。
【0098】
さらに好ましくは、
0.2<Px2-2 /Px<0.6 ・・・(3−2)
0<Py2-2 /Py<0.4 ・・・(4−2)
なる条件を少なくとも一方を満足することが重要である。
この条件の上限下限については、収差性能の良い光学系を構成する場合に重要となる。
【0099】
次に、第2プリズムの第1反射面(第2−2面)と第2反射面(第2−3面)の(Px2-1 +Px2-2 )/(Py2-1 +Py2-2 )に付いて、
0<(Px2-1 +Px2-2 )/(Py2-1 +Py2-2 )<4・・・(5)
なる条件を満足することが好ましい。
【0100】
この条件は第2プリズムの2つの反射面のX方向のパワーの和とY方向のパワーの和の比をとったもので、下限の0を越えると、X方向のパワーがY方向に比べて小さくなりすぎ、画面周辺の非回転対称な非点格差が大きく発生したり、X方向に像が大きく結像する非回転対称な像歪みが発生する。また、上限の4を越えると、今度は画面周辺の非回転対称な非点格差が逆方向に大きく発生したり、Y方向に像が大きく結像する非回転対称な像歪みが発生してしまう。
【0101】
さらに好ましくは、
0.5<(Px2-1 +Px2-2 )/(Py2-1 +Py2-2 )<2・・・(5−1)
なる条件を満足することが好ましい。この条件の下限と上限の意味は上記と同様である。
【0102】
さらに好ましくは、
1<(Px2-1 +Px2-2 )/(Py2-1 +Py2-2 )<1.7・・・(5−2)
なる条件を満足することが好ましい。この条件の下限と上限の意味は上記と同様である。
【0103】
次に、第1プリズムと第2プリズムのX方向のパワーの比Px1/Px2と、Y方向のパワーの比Py1/Py2について、
−2<Px1/Px2<2 ・・・(6)
−2<Py1/Py2<2 ・・・(7)
なる条件を満足することが重要である。
【0104】
これらの条件の下限の−2を越えると、第1プリズムと第2プリズムのパワーが異符号となる。この場合は、正と負又は負と正のプリズムの組み合わせとなり、下限の−2を越えると、第1プリズムのパワーが強くなりすぎ、撮影画角は広く取れるが、コマ収差等の軸外収差の発生が大きくなり、第2プリズムでこれを補正することが不可能になる。次に、この値が正の場合、2つのプリズム光学系のパワーは同符号となり、上限の2を越えると、第2プリズムのパワーが小さくなりすぎ、光学系が大型になってしまう。
【0105】
さらに好ましくは、
−1<Px1/Px2<1 ・・・(6−1)
−1<Py1/Py2<1 ・・・(7−1)
なる条件を満足することが重要である。上限と下限の意味については上記条件式と同様である。
【0106】
さらに好ましくは、
−0.5<Px1/Px2 <0.5 ・・・(6−2)
−0.5<Py1/Py2 <0.5 ・・・(7−2)
なる条件を満足することが重要である。上限と下限の意味については上記条件式と同様である。
【0107】
なお、本発明の結像光学系において、結像光学系のフォーカシングは、全体繰り出しやプリズムを1つだけ移動することにより可能なのは言うまでもないが、最も像側の面から射出した軸上主光線の方向に結像面を移動させることによりフォーカシングすることが可能である。これにより、結像光学系が偏心することで物体からの軸上主光線の入射方向と最も像側の面から射出する軸上主光線の方向とが一致していなくても、フォーカシングによる軸上主光線の入射側のずれを防ぐことができる。また、平行平面板を複数の楔状のプリズムに分割し、それをZ軸と垂直方向に移動させることでフォーカシングすることも可能である。この場合も、結像光学系の偏心にはよらずフォーカシングが可能である。
【0108】
また、本発明の結像光学系において、少なくともプリズムの1つをプラスチック等のような有機材料を用いて構成すれば、コストダウンが図れる。また、アモルファスポリオレフィン等のような低吸湿材料を用いれば、湿度変化に対しても結像性能の変化が少なくて望ましい。
【0109】
また、本発明において、発散作用のプリズムと収斂作用のプリズムを使うことによって、温度補償をすることができる。特に、プリズムの材質にプラスチックを用いた場合に問題になる、温度変化による焦点ずれを防ぐためには、プリズムに異符号のパワーを持たせることでそれが可能となる。
【0110】
また、本発明において、複数のプリズムは光学作用を有さない面にそれぞれの相対的位置決め部を設けていることが望ましい。特に、本発明のような反射面にパワーを持たせたプリズムを複数配置する場合、その相対的な位置精度のずれが性能劣化の原因となる。そこで、本発明では、プリズムの光学作用を有さない面に相対的位置決め部を設けることで、位置精度の確保を行い、所望の性能を確保することが可能となる。特に、その位置決め部を用い、連結部材により複数のプリズムを一体化すれば、組み立て調整が不要となり、さらに、コストダウンが図られる。
【0111】
また、本発明の結像光学系の入射面より物体側にミラー等の反射光学部材を用いて、本発明の結像光学系の偏心方向とは異なった向きに光路を折り畳むことも可能である。これにより、さらに結像光学系のレイアウトの自由度が増え、結像光学装置全体の小型化が図られる。
【0112】
また、本発明において、結像光学系をプリズムのみから構成することも可能である。これにより部品点数が減り、コストダウンが図られる。さらに、絞りの前後で複数のプリズムを一体化し、1つのプリズムとすることも当然可能である。これにより、さらなるコストダウンが可能である。
【0113】
また、本発明において、第1プリズムと第2プリズム以外に、その物体側、2つのプリズムの間、あるいは、2つのプリズムの像側の何れかあるいは複数の位置に他のレンズ(正レンズ、負レンズ)を構成要素として含んでいてもよい。
【0114】
また、本発明の結像光学系は、明るい単焦点レンズであることが可能である。また、2つのプリズムの間隔、2つのプリズムの物体側、あるいは、像側に単数あるいは複数の屈折光学系を組み合わせてズームレンズ(変倍結像光学系)とすることもできる。
【0115】
また、本発明において、結像光学系の屈折面、反射面を球面あるいは回転対称非球面で構成することも当然可能である。
【0116】
なお、本発明の以上の結像光学系を撮像装置の撮像部に配置する場合、あるいは、その撮影装置がカメラ機構を備えいる場合に、前群中に配置されたプリズム部材を光学作用を持つ光学素子の中で最も物体側に配置し、そのプリズム部材の入射面を光軸に対して偏心して配置し、そのプリズム部材よりも物体側に光軸に対して垂直に配置したカバー部材を配置する構成にすることができ、また、前群中に配置されたプリズム部材が物体側に光軸に対して偏心配置された入射面を備えるように構成し、その入射面と空気間隔を挟んで光軸と同軸上に配置されたパワーを有するカバーレンズをその入射面よりも物体側に配置する構成にすることができる。
【0117】
このように、プリズム部材が最も物体側に配置され、偏心入射面が撮影装置前面に備えられると、被写体からは斜めに傾いた入射面が見えるため、被写体からずれた位置を中心に撮影しているかのような違和感を与えてしまうことになる。そこで、光軸に垂直なカバー部材又はカバーレンズを配置して、一般の撮影装置と同様、撮影する被写体に違和感を感じない撮影ができる。
【0118】
以上のような本発明の何れかの結像光学系をファインダー対物光学系として配置し、さらに、そのファインダー対物光学系によって形成された物体像を正立正像させる像正立光学系と、接眼光学系とからファインダー光学系を構成することができる。
【0119】
また、そのファインダー光学系と、それと併設された撮影用対物光学系とを備えてカメラ装置を構成することができる。
【0120】
また、以上のような本発明の何れかの結像光学系と、その結像光学系によって形成される像面上に配置された撮像素子とを備えて撮像光学系を構成することができる。
【0121】
また、以上のような本発明の何れかの結像光学系を撮影用対物光学系として配置し、その撮影用光学系とは別の光路、又は、その撮影用対物光学系の光路から分割された光路の何れかの中に配置されたファインダー光学系を備えてカメラ装置を構成することができる。
【0122】
また、以上のような本発明の何れかの結像光学系と、その結像光学系によって形成される像面上に配置された撮像素子と、その撮像素子で受光された像情報を記録する記録媒体と、その記録媒体又は撮像素子からの像情報を受けて観察像を形成する画像表示素子とを備えて電子カメラ装置を構成することができる。
【0123】
また、以上のような本発明の何れかの結像光学系と、その結像光学系によって形成される像を長軸方向に沿って伝達する像伝達部材とを有する観察系と、照明光源及びその照明光源からの照明光を前記長軸方向に沿って伝達する照明光伝達部材を有する照明系とを備えて内視鏡装置を構成することができる。
【0124】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の結像光学系の実施例1〜8について説明する。なお、各実施例の構成パラメータは後に示す。
各実施例において、図1に示すように、軸上主光線1を物体中心を出て、絞り2の中心を通り、像面3中心に到る光線で定義する。そして、軸上主光線1と第1プリズム10の入射面(第1面)11、射出面(第4面)14、第2プリズム20の入射面(第1面)21、射出面(第4面)24との交点を通り、入射面についてはその面に入射する軸上主光線1に垂直に、射出面についてはその面から射出する軸上主光線1に垂直に、それぞれ仮想面をとる。各仮想面の交点を、その交点を通る光学面から次の仮想面(最後の仮想面について像面)までの間の偏心光学面の原点として、入射面の交点について定められた仮想面の場合は、入射する軸上主光線1、射出面の交点について定められた仮想面の場合は、射出する軸上主光線1に沿う方向をZ軸方向とし、軸上主光線1と第1プリズム10の入射面(第1面)11との交点を通る第1仮想面に関しては、軸上主光線1の進行方向に沿った方向をZ軸正方向とし、その他の仮想面については、第1仮想面からその仮想面に到る光路中の反射回数が偶数回の場合には軸上主光線1の進行方向に沿った方向をZ軸正方向とし、反射回数が奇数回の場合には軸上主光線1の進行方向と反対方向をZ軸正方向とし、このZ軸と像面中心を含む平面をY−Z平面とし、原点を通りY−Z平面に直交し、紙面の手前から裏面側に向かう方向をX軸正方向とし、X軸、Z軸と右手直交座標系を構成する軸をY軸とする。図1には、各仮想面と第1プリズム10の入射面11の交点について定められた第1仮想面に関する座標系とを図示してある。図2以下については、これら仮想面と座標系の図示は省く。
【0125】
実施例1〜8では、このY−Z平面内で各面の偏心を行っており、また、各回転非対称自由曲面の唯一の対称面をY−Z面としている。
【0126】
偏心面については、対応する座標系の原点から、その面の面頂位置の偏心量(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向をそれぞれX,Y,Z)と、その面の中心軸(自由曲面については、前記(a)式のZ軸)のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とする傾き角(それぞれα,β,γ(°))とが与えられている。なお、その場合、αとβの正はそれぞれの軸の正方向に対して反時計回りを、γの正はZ軸の正方向に対して時計回りを意味する。
【0127】
また、各実施例の光学系を構成する光学作用面の中、特定の面(仮想面を含む。)とそれに続く面が共軸光学系を構成する場合には、面間隔が与えられており、その他、媒質の屈折率、アッベ数が慣用法に従って与えられている。なお、面間隔の符号については、第1仮想面からその基準の光学面(仮想面を含む。)に到る光路中の反射回数が偶数回の場合には正の値、奇数回の場合には負の値として示されているが、軸上主光線1の進行方向に沿っての距離は、何れも正の値である。
【0128】
また、本発明で用いられる自由曲面の面の形状は前記(a)式により定義し、その定義式のZ軸が自由曲面の軸となる。
【0129】
なお、データの記載されていない自由曲面に関する項は0である。屈折率については、d線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。長さの単位はmmである。
【0130】
また、自由曲面の他の定義式として、以下の(b)式で与えられるZernike多項式がある。この面の形状は以下の式により定義する。その定義式のZ軸がZernike多項式の軸となる。回転非対称面の定義は、X−Y面に対するZの軸の高さの極座標で定義され、AはX−Y面内のZ軸からの距離、RはZ軸回りの方位角で、Z軸から測った回転角で表せられる。
【0131】
Figure 0004331290
なお、X軸方向に対称な光学系として設計するには、D4 ,D5 ,D6 、D100,D11,D12,D13,D14,D20,D21,D22…を利用する。
【0132】
その他の面の例として、次の定義式(c)があげられる。
Z=ΣΣCnmXY
例として、k=7(7次項)を考えると、展開したとき、以下の式で表せる。
Figure 0004331290
なお、本発明の実施例では、前記(a)式を用いた自由曲面で面形状が表現されているが、上記(b)式、(c)式を用いても同様の作用効果を得られるのは言うまでもない。
【0133】
実施例1〜8は何れも、撮影画角が、水平半画角26.3°、垂直半画角20.3°、撮像素子の大きさは3.2×2.4mmであり、Fナンバー2.8、焦点距離は約3.27mmに相当する。もちろん、その他のサイズの場合でも適用できるのは言うまでのない。また、本発明は、本発明の結像光学系を用いた撮像光学系のみならず、その光学系を組み込んだ撮像装置等も含むものである。
【0134】
実施例1、2
実施例1、2の軸上主光線を含むY−Z断面図をそれぞれ図1、図2に示す。これらの実施例の構成パラメータは後記するが、自由曲面はFFSで、仮想面はHRP(仮想基準面)で示してあり、これ以外の実施例についても同様である。実施例1、2は、物体側から光の通る順に、第1プリズム10、絞り2、第2プリズム20、像面(結像面)3からなり、第1プリズム10は第1面11から第4面14で構成され、その第1面11は第1透過面、第2面12は第1反射面、第3面13は第2反射面、第4面14は第2透過面であり、物体からの光線は、第1透過面11、第1反射面12、第2反射面13、第2透過面14の順に透過し、また、第2プリズム20は第1面21から第4面24で構成され、その第1面21は第1透過面、第2面22は第1反射面、第3面23は第2反射面、第4面24は第2透過面であり、物体からの光線は、第1透過面21、第1反射面22、第2反射面23、第2透過面24の順に透過する。そして、第1プリズム10の第1透過面11、第2反射面13を透過作用と反射作用を併せ持つ同一の光学作用面としている。なお、実施例1と2の違いは、第2プリズム20中の第1反射面22で反射する方向が相互に逆になっている点である。
【0135】
また、後記する構成パラメータの第2面から第6面までは第1面の仮想面1を基準とした偏心量で表されており、第7面、第8面の面頂位置は第6面の仮想面2からの軸上主光線に沿った面間隔のみによって表されており、第9面から第13面までは第8面の仮想面3を基準とした偏心量で表されており、像面は第13面の仮想面4からの軸上主光線に沿った面間隔のみによって表されている。
【0136】
実施例3、4
実施例3、4の軸上主光線を含むY−Z断面図をそれぞれ図3、図4に示す。これらの実施例の構成パラメータは後記する。
実施例3、4は、物体側から光の通る順に、第1プリズム10、絞り2、第2プリズム20、像面(結像面)3からなり、第1プリズム10は第1面11から第4面14で構成され、その第1面11は第1透過面、第2面12は第1反射面、第3面13は第2反射面、第4面14は第2透過面であり、物体からの光線は、第1透過面11、第1反射面12、第2反射面13、第2透過面14の順に透過し、また、第2プリズム20は第1面21から第4面24で構成され、その第1面21は第1透過面、第2面22は第1反射面、第3面23は第2反射面、第4面24は第2透過面であり、物体からの光線は、第1透過面21、第1反射面22、第2反射面23、第2透過面24の順に透過する。なお、実施例3と4の違いは、第2プリズム20中の第1反射面22で反射する方向が相互に逆になっている点である。
【0137】
また、後記する構成パラメータの第2面から第6面までは第1面の仮想面1を基準とした偏心量で表されており、第7面、第8面の面頂位置は第6面の仮想面2からの軸上主光線に沿った面間隔のみによって表されており、第9面から第13面までは第8面の仮想面3を基準とした偏心量で表されており、像面は第13面の仮想面4からの軸上主光線に沿った面間隔のみによって表されている。
【0138】
実施例5、6
実施例5、6の軸上主光線を含むY−Z断面図をそれぞれ図5、図6に示す。これらの実施例の構成パラメータは後記する。
実施例5、6は、物体側から光の通る順に、第1プリズム10、絞り2、第2プリズム20、像面(結像面)3からなり、第1プリズム10は第1面11から第5面15で構成され、その第1面11は第1透過面、第2面12は第1反射面、第3面13は第2反射面、第4面14は第3反射面、第5面15は第2透過面であり、物体からの光線は、第1透過面11、第1反射面12、第2反射面13、第3反射面14、第2透過面15の順に透過し、また、第2プリズム20は第1面21から第4面24で構成され、その第1面21は第1透過面、第2面22は第1反射面、第3面23は第2反射面、第4面24は第2透過面であり、物体からの光線は、第1透過面21、第1反射面22、第2反射面23、第2透過面24の順に透過する。そして、第1プリズム10の第1透過面11、第2反射面13、第2透過面15を透過作用と反射作用を併せ持つ同一の光学作用面としている。なお、実施例5と6の違いは、第2プリズム20中の第1反射面22で反射する方向が相互に逆になっている点である。
【0139】
また、後記する構成パラメータの第2面から第7面までは第1面の仮想面1を基準とした偏心量で表されており、第8面、第9面の面頂位置は第7面の仮想面2からの軸上主光線に沿った面間隔のみによって表されており、第10面から第14面までは第9面の仮想面3を基準とした偏心量で表されており、像面は第14面の仮想面4からの軸上主光線に沿った面間隔のみによって表されている。
【0140】
実施例7、8
実施例7、8の軸上主光線を含むY−Z断面図をそれぞれ図7、図8に示す。これらの実施例の構成パラメータは後記する。
実施例7、8は、物体側から光の通る順に、第1プリズム10、絞り2、第2プリズム20、像面(結像面)3からなり、第1プリズム10は第1面11から第5面15で構成され、その第1面11は第1透過面、第2面12は第1反射面、第3面13は第2反射面、第4面14は第3反射面、第5面15は第2透過面であり、物体からの光線は、第1透過面11、第1反射面12、第2反射面13、第3反射面14、第2透過面15の順に透過し、また、第2プリズム20は第1面21から第4面24で構成され、その第1面21は第1透過面、第2面22は第1反射面、第3面23は第2反射面、第4面24は第2透過面であり、物体からの光線は、第1透過面21、第1反射面22、第2反射面23、第2透過面24の順に透過する。そして、第1プリズム10の第1透過面11、第2反射面13を透過作用と反射作用を併せ持つ同一の光学作用面としている。なお、実施例7と8の違いは、第2プリズム20中の第1反射面22で反射する方向が相互に逆になっている点である。
【0141】
また、後記する構成パラメータの第2面から第7面までは第1面の仮想面1を基準とした偏心量で表されており、第8面、第9面の面頂位置は第7面の仮想面2からの軸上主光線に沿った面間隔のみによって表されており、第10面から第14面までは第9面の仮想面3を基準とした偏心量で表されており、像面は第14面の仮想面4からの軸上主光線に沿った面間隔のみによって表されている。
【0142】
以下に上記実施例1〜8の構成パラメータを示す。これら表中の“FFS”は自由曲面、“HRP”は仮想面を示す。
【0143】
Figure 0004331290
Figure 0004331290
【0144】
Figure 0004331290
Figure 0004331290
【0145】
Figure 0004331290
Figure 0004331290
Figure 0004331290
【0146】
Figure 0004331290
Figure 0004331290
Figure 0004331290
【0147】
Figure 0004331290
Figure 0004331290
Figure 0004331290
【0148】
Figure 0004331290
Figure 0004331290
Figure 0004331290
【0149】
Figure 0004331290
Figure 0004331290
Figure 0004331290
【0150】
Figure 0004331290
Figure 0004331290
Figure 0004331290
【0151】
次に、上記実施例1の横収差図を図9に示す。この横収差図において、括弧内に示された数字は(水平(X方向)画角、垂直(Y方向)画角)を表し、その画角における横収差を示す。
【0152】
なお、上記実施例1〜8の条件式(1)〜(7)の値は次の通りである。
Figure 0004331290
【0153】
以上の実施例の本発明の結像光学系を構成する第1プリズム10としては、上記の実施例1〜8の内部反射回数2回又は3回のタイプのプリズムを用いたが、本発明の結像光学系において第1プリズム10として用いるプリズムはこれに限られるものではない。図10〜図15にその例を示す。なお、何れも像面36に結像するプリズムPとして説明するが、第1プリズム10として用いる場合には、光路を逆にして像面36を物体側として物体からの光線が像面36側から入射し、瞳31側に射出するプリズムPとして使用する。
【0154】
図10の場合は、プリズムPは第1面32、第2面33、第3面34からなり、入射瞳31を通って入射した光は、第1面32で屈折してプリズムPに入射し、第2面33で内部反射し、第3面34に入射して屈折されて、像面36に結像する。
【0155】
図11の場合は、プリズムPは第1面32、第2面33、第3面34からなり、入射瞳31を通って入射した光は、第1面32で屈折してプリズムPに入射し、第2面33で内部反射し、第3面34で内部反射し、再び第1面32に入射して今度は全反射し、再び第2面33に入射して今度は屈折されて、像面36に結像する。
【0156】
図12の場合は、プリズムPは第1面32、第2面33、第3面34、第4面35からなり、入射瞳31を通って入射した光は、第1面32で屈折してプリズムPに入射し、第2面33で内部反射し、第3面34に入射して内部反射し、第2面33に再度入射して内部反射し、第4面35に入射して屈折されて、像面36に結像する。
【0157】
図13の場合は、プリズムPは第1面32、第2面33、第3面34、第4面35からなり、入射瞳31を通って入射した光は、第1面32で屈折してプリズムPに入射し、第2面33で内部反射し、第3面34に入射して内部反射し、第2面33に再度入射して内部反射し、第4面35に入射して内部反射し、第2面33に再度入射して今度は屈折されて、像面36に結像する。
【0158】
図14の場合は、プリズムPは第1面32、第2面33、第3面34からなり、入射瞳31を通って入射した光は、第1面32で屈折してプリズムPに入射し、第2面33で内部反射し、再び第1面32に入射して今度は全反射し、第3面34で内部反射し、三たび第1面32に入射して全反射し、第3面34に再度入射して今度は屈折されて、像面36に結像する。
【0159】
図15の場合は、プリズムPは第1面32、第2面33、第3面34からなり、入射瞳31を通って入射した光は、第1面32で屈折してプリズムPに入射し、第2面33で内部反射し、再び第1面32に入射して今度は全反射し、第3面34で内部反射し、三たび第1面32に入射して全反射し、再び第3面34に入射して内部反射し、四たび第1面32に入射して今度は屈折されて、像面36に結像する。
【0160】
さて、以上のような本発明の結像光学系は、物体像を形成しその像をCCDや銀塩フィルムといった撮像素子に受光させて撮影を行う撮影装置、とりわけカメラに用いることができる。また、物体像を接眼レンズを通して観察する観察装置、とりわけカメラのファインダー部の対物光学系としても用いることが可能である。また、内視鏡等の小型の撮像素子を用いた光学装置用の撮像光学系としても用いることができる。以下に、その実施形態を例示する。
【0161】
図16〜図18は、本発明の結像光学系を電子カメラのファインダー部の対物光学系に組み込んだ構成の概念図を示す。図16は電子カメラ40の外観を示す前方斜視図、図17は同後方斜視図、図18は電子カメラ40の構成を示す断面図である。電子カメラ40は、この例の場合、撮影用光路42を有する撮影光学系41、ファインダー用光路44を有するファインダー光学系43、シャッター45、フラッシュ46、液晶表示モニター47等を含み、カメラ40の上部に配置されたシャッター45を押圧すると、それに連動して撮影用対物光学系48を通して撮影が行われる。撮影用対物光学系48によって形成された物体像が、ローパスフィルター、赤外カットフィルター等のフィルター51を介してCCD49の撮像面50上に形成される。このCCD49で受光された物体像は、処理手段52を介し、電子画像としてカメラ背面に設けられた液晶表示モニター47に表示される。また、この処理手段52にはメモリ等が配置され、撮影された電子画像を記録することもできる。なお、このメモリは処理手段52と別体に設けらてもよいし、フロッピーディスク等により電子的に記録書込を行うように構成してもよい。また、CCD49に代わって銀塩フィルムを配置した銀塩カメラとして構成してもよい。
【0162】
さらに、ファインダー用光路44上には、例えば実施例3と同様の結像光学系をファインダー用対物光学系53として配置してある。この場合、カバー部材として負のパワーを有するカバーレンズ54を配置してファインダー用対物光学系53の一部とし、画角を拡大している。なお、このカバーレンズ54と結像光学系の絞り2より物体側のプリズム10とでファインダー用対物光学系53の前群を、結像光学系の絞り2より像側のプリズム20でファインダー用対物光学系53の後群を構成している。このファインダー用対物光学系53によって形成された物体像は、像正立部材であるポロプリズム55の視野枠57上に形成される。なお、視野枠57は、ポロプリズム55の第1反射面56と第2反射面58との間を分離し、その間に配置されている。このポリプリズム55の後方には、正立正像にされた像を観察者眼球Eに導く接眼光学系59が配置されている。
【0163】
このように構成されたカメラ40は、ファインダー用対物光学系53を少ない光学部材で構成でき、高性能・低コスト化が実現できると共に、対物光学系53の光路自体を折り曲げて構成できるため、カメラ内部での配置の自由度が増し、設計上有利となる。
【0164】
なお、図18の構成において、撮影用対物光学系48の構成については言及しなかったが、撮影用対物光学系48としては屈折型同軸光学系の他に、本発明の2つのプリズム10、20からなる何れかのタイプの結像光学系を用いることも当然可能である。
【0165】
次に、図19は、本発明の結像光学系を電子カメラ40の撮影部の対物光学系48に組み込んだ構成の概念図を示す。この例の場合は、撮影用光路42上に配置された撮影用対物光学系48は、実施例1と同様の結像光学系を用いている。この撮影用対物光学系により形成された物体像は、ローパスフィルター、赤外カットフィルター等のフィルター51を介してCCD49の撮像面50上に形成される。このCCD49で受光された物体像は、処理手段52を介し、液晶表示素子(LCD)60上に電子像として表示される。また、この処理手段52は、CCD49で撮影された物体像を電子情報として記録する記録手段61の制御も行う。LCD60に表示された画像は、接眼光学系59を介して観察者眼球Eに導かれる。この接眼光学系59は、本発明の結像光学系に用いられているものと同様の形態を持つ偏心プリズムからなり、この例では、入射面62と、反射面63と、反射と屈折の兼用面64の3面から構成されている。また、2つの反射作用を持った面63、64の中、少なくとも一方の面、望ましくは両方の面が、光束にパワーを与え、かつ、偏心収差を補正する唯一の対称面を持つ面対称自由曲面にて構成されている。そして、この唯一の対称面は、撮影用対物光学系48のプリズム10、20が有する面対称自由曲面の唯一の対称面と略同一平面上に形成されている。また、この撮影用対物光学系48は他のレンズ(正レンズ、負レンズ)を2つのプリズム10、20の物体側、それらの間あるいは像側にその構成要素として含んでいてもよい。
【0166】
このように構成されたカメラ40は、撮影用対物光学系48を少ない光学部材で構成でき、高性能・低コスト化が実現できると共に、光学系全体を同一平面上に並べて配置できるため、この配置平面と垂直方向の厚みの簿型化が実現できる。
【0167】
なお、本例では、撮影用対物光学系48のカバー部材65はとして、平行平面板を配置しているが、前例と同様に、パワーを持ったレンズを用いてもよい。
【0168】
ここで、カバー部材を設けずに、本発明の結像光学系中の最も物体側に配置された面をカバー部材と兼用することもできる。本例ではその最も物体側の面はプリズム10の入射面となる。しかし、この入射面が光軸に対して偏心配置されているため、この面がカメラ前面に配置されてしまうと、被写体側から見た場合、カメラ40の撮影中心が自分からずれているように錯覚してしまい(一般的なカメラ同様、入射面の垂直方向を撮影していると感じるのが通常である。)、違和感を与えてしまう。そこで、本例のように、結像光学系の最も物体側の面が偏心面である場合には、カバー部材65(又は、カバーレンズ54)を設けることが、被写体側から見た場合に違和感を感じずに、既存のカメラと同じ感覚で撮影を受けることができ望ましい。
【0169】
次に、図20は、本発明による結像光学系を電子内視鏡の観察系の対物光学系81に組み込んだ構成の概念図を示す。この例の場合、観察系の対物光学系81は実施例4と略同様の形態の結像光学系を用いている。この電子内視鏡は、図20(a)に示すように、電子内視鏡71と、照明光を供給する光源装置72と、その電子内視鏡71に対応する信号処理を行うビデオプロセッサ73と、このビデオプロセッサ73から出力される映像信号を表示するモニター74と、このビデオブロセッサ73と接続され映像信号等に記録するVTRデッキ75、及び、ビデオディスク76と、映像信号を映像としてプリントアウトするビデオプリンタ77と、頭部装着型画像表示装置(HMD)78と共に構成されており、電子内視鏡71の挿入部79の先端部80は、図20(b)に示すように構成されている。光源装置72から照明さた光束は、ライトガイドファイバー束87を通って照明用対物光学系86により、観察部位を照明する。そして、この観察部位からの光が、カバー部材85を介して、観察用対物光学系81によって物体像として形成される。この物体像は、ローパスフィルター、赤外カットフィルター等のフィルター82を介してCCD83の撮像面84上に形成される。さらに、この物体像は、CCD83によって映像信号に変換され、その映像信号は、図20(a)に示すビデオプロセッサ73により、モニター74上に直接表示されると共に、VTRデッキ75、ビデオディスク76中に記録され、また、ビデオプリンタ77から映像としてプリントアウトされる。また、HMD78の画像表示素子に表示されHMD78の装着者に表示される。
【0170】
このように構成された内視鏡は、少ない光学部材で構成でき、高性能・低コスト化が実現できると共に、観察系の対物光学系81の2つのプリズム10、20が内視鏡の長軸方向に並ぶため、細径化を阻害することなく上記効果を得ることができる。
【0171】
次に、本発明による結像光学系をCCDやフィルター等の撮像素子前方に配置するときの望ましい構成を図21に示す。図中、偏心プリズムPは、本発明の結像光学系中に含まれるプリズムである。いま、撮像素子の撮像面Cが、図のように四角形を形成するとき、偏心プリズムPに配置された面対称自由曲面の対称面Dが、この撮像面Cの四角形を形成する辺の少なくとも1つと平行になるように配置することが、美しい像形成の上で望ましい。
【0172】
さらに、この撮像面Cが正方形や長方形といった4つの内角がそれぞれ略90°にて形成されている場合には、面対称自由曲面の対称面Dは、撮像面Cの互いに平行関係にある2辺に対して平行に配置され、より望ましくは、この2辺の中間に配置され、この対称面Dが撮像面Cを左右又は上下対称にする位置に一致している構成であることが好ましい。このように構成すれば、装置に組み込むときの組み込み精度が出しやすく、量産性に効果的である。
【0173】
さらに、偏心プリズムPを構成する光学面である第1面、第2面、第3面、第4面の中、複数の面又は全ての面が面対称自由曲面の場合には、複数の面又は全ての面の対称面が同一面D上に配置されるように構成することが、設計上も、収差性能上も望ましい。そして、この対称面Dと撮像面Cとの関係は、上述と同様の関係にあることが望ましい。
【0174】
以上の本発明の結像光学系は、例えば次のように構成することができる。
〔1〕 物体像を形成する全体として正の屈折力を有する結像光学系において、
前記結像光学系が屈折率(n)が1.3よりも大きい(n>1.3)媒質で形成された第1プリズムと第2プリズムを有し、前記第2プリズムは前記第1プリズムよりも像側に配置され、かつ、中間像を形成しない結像系にて形成され、
前記第2プリズムが、光束を透過又は反射させる光学作用面を4面有し、それらを第2−1面、第2−2面、第2−3面、第2−4面とするとき、前記第2−1面が物体側からの光束をプリズム内に入射させ、前記第2−2面が前記第2−1面から入射した光束をプリズム内で反射し、前記第2−3面が前記第2−2面で反射された光束をプリズム内で反射し、前記第2−4面が前記第2−3面で反射された光束をプリズム外に射出するように構成され、かつ、前記第2−1面と前記第2−2面とが前記媒質を挟んで対向配置され、前記第2−3面と前記第2−4面とが前記媒質を挟んで対向配置され、前記第2−1面と前記第2−2面とを結ぶ光路が、前記第2−3面と前記第2−4面とを結ぶ光路と交差するように構成されており、
前記第2−2面と前記第2−3面の少なくとも一方の面が光束にパワーを与える曲面形状を有し、前記曲面形状が偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有し、
前記第1プリズムが、少なくとも1面プリズム内で光束を反射する反射面を有し、前記反射面が光束にパワーを与え、かつ、偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成されていることを特徴とする結像光学系。
【0175】
〔2〕 前記第2プリズムの第2−2面と第2−3面の両方が、光束にパワーを与えかつ偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成されていることを特徴とする上記1記載の結像光学系。
【0176】
〔3〕 前記第2プリズムの第2−2面と第2−3面の少なくとも一方の回転非対称な面形状が、唯一の対称面を1面のみ有した面対称自由曲面形状にて構成されていることを特徴とする上記1記載の結像光学系。
【0177】
〔4〕 前記第2プリズムの第2−2面と第2−3面の両方の回転非対称な面形状が、唯一の対称面を1面のみ有した面対称自由曲面形状にて構成されていることを特徴とする上記2記載の結像光学系。
【0178】
〔5〕 前記第2プリズムの第2−2面の面対称自由曲面の唯一の対称面と、前記第2プリズムの第2−3面の面対称自由曲面の唯一の対称面とが、同一面内に形成されるように前記第2プリズムが構成されていることを特徴とする上記4記載の結像光学系。
【0179】
〔6〕 前記第2プリズムの第2−1面と第2−4面の少なくとも一方の面が、光束にパワーを与え、かつ、偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成されていることを特徴とする上記1から5の何れか1項記載の結像光学系。
【0180】
〔7〕 前記第2プリズムの第2−1面と第2−4面の両方の面が、光束にパワーを与え、かつ、偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成されていることを特徴とする上記1から5の何れか1項記載の結像光学系。
【0181】
〔8〕 前記第2プリズムの第2−1面及び/又は第2−4面の回転非対称な面形状が、唯一の対称面を1面のみ有した面対称自由曲面形状にて構成されていることを特徴とする上記6又は7記載の結像光学系。
【0182】
〔9〕 前記第1プリズム内に配置された回転非対称な面形状が、唯一の対称面を1面のみ有した面対称自由曲面形状にて構成されていることを特徴とする上記1から8の何れか1項記載の結像光学系。
【0183】
〔10〕 前記第1プリズムと前記第2プリズムとが、少なくとも1面ずつ、唯一の対称面が同一面上に配置されるように構成した面対称自由曲面を備えていることを特徴とする上記9記載の結像光学系。
【0184】
〔11〕 前記第1プリズムと前記第2プリズムの間に瞳を配置し、前記瞳と像面との間に前記第2プリズムを配置して構成されていることを特徴とする上記1から10の何れか1項記載の結像光学系。
【0185】
〔12〕 前記瞳上に絞りを配置されたていることを特徴とする上記11記載の結像光学系。
【0186】
〔13〕 前記第1プリズムが、光束にパワーを与える曲面形状の反射面を2面以上有するように構成されていることを特徴とする上記1から12の何れか1項記載の結像光学系。
【0187】
〔14〕 前記第1プリズムの光学作用面が、反射面と透過面とを兼用した入射面と、反射面と、射出面の3つの光学作用面から構成されていることを特徴とする上記1から13の何れか1項記載の結像光学系。
【0188】
〔15〕 前記第1プリズムが、光束にパワーを与える2つの独立した反射面と、入射面と、射出面の4つの光学作用面から構成されていることを特徴とする上記1から13の何れか1項記載の結像光学系。
【0189】
〔16〕 前記第1プリズムが、前記2つの反射面が前記媒質を挟んで対向配置されていると共に、前記入射面と前記射出面とが前記媒質を挟んで対向配置され、前記4つの面で形成される光路がZ字型光路となるように構成されていることを特徴とする上記15記載の結像光学系。
【0190】
〔17〕 前記第1プリズムが、光束にパワーを与える2つの独立した反射面と、入射面と射出面と反射面とを1面で兼用した面の3つの光学作用面から構成されていることを特徴とする上記1から13の何れか1項記載の結像光学系。
【0191】
〔18〕 前記第1プリズムが、反射面と透過面とを兼用する入射面と、光束にパワーを与える2つの独立した反射面と、射出面の4つの光学作用面から構成されていることを特徴とする上記1から13の何れか1項記載の結像光学系。
【0192】
〔19〕 全光学系の偏心方向がY軸方向で、軸上主光線と平行な面をY−Z面とし、そのY−Z面と直交する方向をX方向とするとき、第2プリズムの第1反射面である第2−2面のパワーを全系のパワーで割った値を、X方向に付いては、Px2-1 /Px、Y方向については、Py2-1 /Pyとすると、
−1<Px2-1 /Px<1 ・・・(1)
−1<Py2-1 /Py<1 ・・・(2)
の条件式の少なくとも一方を満足することを特徴とする上記1から18の何れか1項記載の結像光学系。
【0193】
〔20〕 全光学系の偏心方向がY軸方向で、軸上主光線と平行な面をY−Z面とし、そのY−Z面と直交する方向をX方向とするとき、第2プリズムの第2反射面である第2−3面のパワーを全系のパワーで割った値を、X方向に付いては、Px2-2 /Px、Y方向については、Py2-2 /Pyとすると、
−0.5<Px2-2 /Px<1.2 ・・・(3)
−0.5<Py2-2 /Py<1 ・・・(4)
の条件式の少なくとも一方を満足することを特徴とする上記1から19の何れか1項記載の結像光学系。
【0194】
〔21〕 全光学系の偏心方向がY軸方向で、軸上主光線と平行な面をY−Z面とし、そのY−Z面と直交する方向をX方向とするとき、第2プリズムの第1反射面である第2−2面のパワーを全系のパワーで割った値を、X方向に付いては、Px2-1 /Px、Y方向については、Py2-1 /Py、第2プリズムの第2反射面である第2−3面のパワーを全系のパワーで割った値を、X方向に付いては、Px2-2 /Px、Y方向については、Py2-2 /Pyとすると、
0<(Px2-1 +Px2-2 )/(Py2-1 +Py2-2 )<4・・・(5)
の条件式を満足することを特徴とする上記1から20の何れか1項記載の結像光学系。
【0195】
〔22〕 全光学系の偏心方向がY軸方向で、軸上主光線と平行な面をY−Z面とし、そのY−Z面と直交する方向をX方向とするとき、第1プリズムと第2プリズムのX方向のパワーの比をPx1/Px2、Y方向のパワーの比をPy1/Py2とすると、
−2<Px1/Px2<2 ・・・(6)
−2<Py1/Py2<2 ・・・(7)
の条件式の少なくとも一方を満足することを特徴とする上記1から21の何れか1項記載の結像光学系。
【0196】
〔23〕 上記1から22の何れか1項記載の結像光学系をファインダー対物光学系として配置し、さらに、前記ファインダー対物光学系によって形成された物体像を正立正像させる像正立光学系と、接眼光学系とから構成されていることを特徴とするファインダー光学系。
【0197】
〔24〕 上記23記載のファインダー光学系と、前記ファインダー光学系と併設された撮影用対物光学系とを備えて構成されていることを特徴とするカメラ装置。
【0198】
〔25〕 上記1から22の何れか1項記載の結像光学系と、前記結像光学系によって形成される像面上に配置された撮像素子とを備えて構成されていることを特徴とする撮像光学系。
【0199】
〔26〕 上記1から22の何れか1項記載の結像光学系を撮影用対物光学系として配置し、前記撮影用光学系とは別の光路、又は、前記撮影用対物光学系の光路から分割された光路の何れかの中に配置されたファインダー光学系を備えて構成されていることを特徴とするカメラ装置。
【0200】
〔27〕 上記1から22の何れか1項記載の結像光学系と、前記結像光学系によって形成される像面上に配置された撮像素子と、前記撮像素子で受光された像情報を記録する記録媒体と、前記記録媒体又は前記撮像素子からの像情報を受けて観察像を形成する画像表示素子とを備えて構成されていることを特徴とする電子カメラ装置。
【0201】
〔28〕 上記1から22の何れか1項記載の結像光学系と、前記結像光学系によって形成される像を長軸方向に沿って伝達する像伝達部材とを有する観察系と、照明光源及び前記照明光源からの照明光を前記長軸方向に沿って伝達する照明光伝達部材を有する照明系とを備えて構成されていることを特徴とする内視鏡装置。
【0202】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、少ない光学素子の構成枚数で高性能、低コストな結像光学系を提供することができる。また、少ない反射回数の反射面を用いて光路を折り畳むことにより小型化、薄型化された高性能な結像光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の結像光学系の断面図である。
【図2】本発明の実施例2の結像光学系の断面図である。
【図3】本発明の実施例3の結像光学系の断面図である。
【図4】本発明の実施例4の結像光学系の断面図である。
【図5】本発明の実施例5の結像光学系の断面図である。
【図6】本発明の実施例6の結像光学系の断面図である。
【図7】本発明の実施例7の結像光学系の断面図である。
【図8】本発明の実施例8の結像光学系の断面図である。
【図9】実施例1の結像光学系の横収差図である。
【図10】本発明に適用可能な偏心プリズムの1例を示す図である。
【図11】本発明に適用可能な偏心プリズムの別の例を示す図である。
【図12】本発明に適用可能な偏心プリズムの別の例を示す図である。
【図13】本発明に適用可能な偏心プリズムの別の例を示す図である。
【図14】本発明に適用可能な偏心プリズムの別の例を示す図である。
【図15】本発明に適用可能な偏心プリズムの別の例を示す図である。
【図16】本発明の結像光学系を適用した電子カメラの外観を示す前方斜視図である。
【図17】図16の電子カメラの後方斜視図である。
【図18】図16の電子カメラの構成を示す断面図である。
【図19】本発明の結像光学系を適用した別の電子カメラの概念図である。
【図20】本発明の結像光学系を適用した電子内視鏡の概念図である。
【図21】本発明による結像光学系を撮像素子前方に配置するときの望ましい構成を示す図である。
【図22】偏心した反射面により発生する像面湾曲を説明するための概念図である。
【図23】偏心した反射面により発生する非点収差を説明するための概念図である。
【図24】偏心した反射面により発生するコマ収差を説明するための概念図である。
【図25】偏心光学系及び光学面のパワーの定義を説明するための図である。
【符号の説明】
1…軸上主光線
2…絞り
3…像面
10…第1プリズム
11…第1面
12…第2面
13…第3面
14…第4面
15…第5面
20…第2プリズム
21…第1面
22…第2面
23…第3面
24…第4面
31…瞳
32…第1面
33…第2面
34…第3面
35…第4面
36…像面(物体)
40…電子カメラ
41…撮影光学系
42…撮影用光路
43…ファインダー光学系
44…ファインダー用光路
45…シャッター
46…フラッシュ
47…液晶表示モニター
48…撮影用対物光学系
49…CCD
50…撮像面
51…フィルター
52…処理手段
53…ファインダー用対物光学系
54…カバーレンズ
55…ポロプリズム
56…第1反射面
57…視野枠
58…第2反射面
59…接眼光学系
60…液晶表示素子(LCD)
61…記録手段
62…入射面
63…反射面
64…反射と屈折の兼用面
65…カバー部材
71…電子内視鏡
72…光源装置
73…ビデオプロセッサ
74…モニター
75…VTRデッキ
76…ビデオディスク
77…ビデオプリンタ
78…頭部装着型画像表示装置(HMD)
79…挿入部
80…先端部
81…観察用対物光学系
82…フィルター
83…CCD
84…撮像面
85…カバー部材
86…照明用対物光学系
87…ライトガイドファイバー束
M …凹面鏡
S …偏心光学系
E …観察者眼球
P …プリズム
C …撮像面
D …対称面

Claims (3)

  1. 物体像を形成する全体として正の屈折力を有し、像側に略テレセントリックである結像光学系において、
    前記結像光学系が屈折率(n)が1.3よりも大きい(n>1.3)媒質で形成された第1プリズムと第2プリズムからなり、前記第2プリズムは前記第1プリズムよりも像側に配置され、かつ、中間像を形成しない結像系にて形成され、
    前記第2プリズムが、光束を透過又は反射させる光学作用面を4面有し、それらを第2−1面、第2−2面、第2−3面、第2−4面とするとき、前記第2−1面が物体側からの光束をプリズム内に入射させ、前記第2−2面が前記第2−1面から入射した光束をプリズム内で反射し、前記第2−3面が前記第2−2面で反射された光束をプリズム内で反射し、前記第2−4面が前記第2−3面で反射された光束をプリズム外に射出するように構成され、かつ、前記第2−1面と前記第2−2面とが前記媒質を挟んで対向配置され、前記第2−3面と前記第2−4面とが前記媒質を挟んで対向配置され、前記第2−1面と前記第2−2面とを結ぶ光路が、前記第2−3面と前記第2−4面とを結ぶ光路と交差するように構成されており、
    前記第2−2面と前記第2−3面の何れもが光束に正のパワーを与える曲面形状を有し、前記曲面形状が偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有し、
    前記第1プリズムが、少なくとも1面プリズム内で光束を反射する反射面を有し、前記反射面が光束にパワーを与え、かつ、偏心によって発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成されていることを特徴とする結像光学系。
  2. 前記第1プリズムと前記第2プリズムの間に瞳を配置し、前記瞳と像面との間に前記第2プリズムを配置して構成されていることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
  3. 前記第1プリズムが、光束にパワーを与える曲面形状の反射面を2面以上有するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の結像光学系。
JP28426298A 1998-10-06 1998-10-06 結像光学系 Expired - Fee Related JP4331290B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28426298A JP4331290B2 (ja) 1998-10-06 1998-10-06 結像光学系

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28426298A JP4331290B2 (ja) 1998-10-06 1998-10-06 結像光学系

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000111800A JP2000111800A (ja) 2000-04-21
JP4331290B2 true JP4331290B2 (ja) 2009-09-16

Family

ID=17676259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28426298A Expired - Fee Related JP4331290B2 (ja) 1998-10-06 1998-10-06 結像光学系

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4331290B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9690101B2 (en) 2013-12-03 2017-06-27 Seiko Epson Corporation Virtual image display apparatus

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4943580B2 (ja) 2000-12-25 2012-05-30 オリンパス株式会社 結像光学系
JP4371634B2 (ja) * 2002-07-11 2009-11-25 キヤノン株式会社 結像光学系及びそれを用いた画像読取装置
US6798583B1 (en) 2003-04-11 2004-09-28 Olympus Corporation Projection optical apparatus
JP2005062803A (ja) 2003-07-31 2005-03-10 Olympus Corp 撮像光学系及びそれを用いた光学装置
JP4804563B2 (ja) * 2009-07-13 2011-11-02 キヤノン株式会社 結像光学系及びそれを有する画像読取装置
JP2011123504A (ja) * 2011-01-07 2011-06-23 Olympus Corp 結像光学系

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9690101B2 (en) 2013-12-03 2017-06-27 Seiko Epson Corporation Virtual image display apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000111800A (ja) 2000-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4112066B2 (ja) 結像光学系及びそれを用いた撮影装置、カメラ装置、観察装置、内視鏡装置
US6788343B1 (en) Image-forming optical system
US6510006B1 (en) Image-forming optical system
JP4943580B2 (ja) 結像光学系
US6185046B1 (en) Multiple prism image forming optical system
US6147808A (en) Decentered image-forming optical system
US6124989A (en) Image-forming optical system
US6829113B2 (en) Image-forming optical system
JP2000066106A (ja) 結像光学系及び観察光学系
JP2000010000A (ja) 結像光学系
JP2000199853A (ja) 結像光学系及び観察光学系
US6178048B1 (en) Image-forming optical system
JP2000131614A (ja) 結像光学系及び観察光学系
JP4081178B2 (ja) 結像光学系
JP2000019407A (ja) 結像光学系
JP4331290B2 (ja) 結像光学系
JP4225606B2 (ja) 結像光学系
JP2000019408A (ja) 結像光学系
JP2000227555A (ja) 結像光学系
JP2000047110A (ja) 結像光学系
JP2000019402A (ja) 結像光学系
JP2000019403A (ja) 結像光学系
JP2000019404A (ja) 結像光学系
JP2000010004A (ja) 結像光学系
JP2000111799A (ja) 結像光学系

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050913

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090318

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090527

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090618

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120626

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120626

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130626

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees