JP4330269B2 - 細胞層を通過する傍細胞輸送を促進する組成物および方法 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、動物の細胞層を通過する傍細胞輸送を促進するための組成物および方法に関する。
【0002】
背景技術
経上皮および経内皮輸送は、細胞層を通過する溶質の移動に関係している。経細胞輸送の場合、溶質は、細胞を介しても細胞間でも移動する。細胞を介する、例えば、上皮細胞の管腔膜および側底膜を通過する溶質の移動は、経細胞輸送を必要とする。経細胞輸送は、問題になっている溶質によって能動的でありうるしまたは受動的でありうる。能動的経細胞輸送は、担体に媒介され且つエネルギー依存性であり、しかも、溶質をそれらの電気化学的勾配に逆らって移動させる。受動的経細胞輸送は、能動的経細胞輸送によって生じる電気化学的勾配におよび溶質に関する細胞膜の透過性に依存する。
【0003】
細胞間での溶質の移動は、胃腸管の上皮細胞でのように細胞を互いに結合して層にする密着結合(tight junction) によって、傍細胞輸送と称される。傍細胞輸送は受動的である。傍細胞輸送は、経細胞輸送によって生じる電気化学的勾配におよび密着結合による溶媒抵抗に依存する。密着結合は、細胞層の頂端および側底の体液画分を隔てる細胞内バリアを形成している。頂端画分から側底画分への密着結合を介する溶質の移動は、その溶質に関する密着結合の“強さ”に依存する。
【0004】
密着結合の“強さ”は、種々の上皮細胞層の間で異なる。例えば、ヒトの胃腸管の場合、結腸における密着結合は、回腸の場合より強い。ヒトの腎臓の場合、ヘンレわなの上行肢における密着結合は、近位細管の場合より強い。密着結合の“強さ”は、種々の内皮細胞層の間でも異なる。例えば、胃腸管の場合、毛細管内皮細胞は、隣接した細胞間に不規則な密着結合を有し、若干の溶質の細胞間の通過を可能にする。ヒトの脳および脊髄の場合、毛細管内皮細胞は、隣接した細胞間にほとんど連続した密着結合を有し、細胞間の溶質の通過をほぼ完全に妨げる。
【0005】
上皮細胞層および内皮細胞層は、細胞層を通過する溶質の移動に有意のバリアを与えている。これは、薬物の投与経路とは無関係に、薬物吸収に関する有意の問題すなわちバリアを生じることがありうる。したがって、上皮および内皮細胞層を越えて薬物を供給するための新規戦略が要求される。
【0006】
オクルディンは、上皮細胞層および内皮細胞層における密着結合に局在している約65kD内在性膜タンパク質である(Furuseら,J.Cell Biol.123:1777−1788,1993)。オクルディンは、細胞層中の細胞間に形成される密着結合を確実にするように働く。オクルディンは、密着結合の完全さを維持するのに必要であるので、オクルディン合成のモジュレーションは、細胞層の傍細胞透過性およびそれによる薬物を含めた溶質のこれら細胞層を通過する移動を促進するのに望ましいと考えられる。
【0007】
これまでのところ、ヒト(配列番号:1)、マウス(配列番号:2)、イヌ(配列番号:3)、ニワトリ(配列番号:4)(Furuseら,J.Cell Biol.123:1777−1788,1993)およびカンガルーネズミからのオクルディンをコードしている完全長さcDNAのヌクレオチド配列が記載されている(Ando−Akatsukaら,J.Cell Biol.133:43,1996)。ヒト、マウスおよびイヌからの哺乳動物オクルディンのアミノ酸配列は、約90%相同性を示すが、哺乳動物、ニワトリおよびカンガルーネズミのオクルディンからのアミノ酸配列は、約50%相同性を示す(Ando−Akatsukaら,J.Cell Biol.133:43,1996)。
【0008】
オクルディンタンパク質は、4個の膜貫通ドメイン、長いカルボキシル末端細胞質ドメイン、短いアミノ末端細胞質ドメイン、2個の細胞外ループおよび1個の細胞内ターンを含む。ヒト、マウス、イヌ、ニワトリおよびカンガルーネズミのオクルディン間の細胞外ドメインの無極性および配列の保存性は、それら細胞外ドメインがオクルディン機能に重要であることを示唆している。
【0009】
密着結合内のオクルディンの位置およびオクルディンの推定される構造を考えると、オクルディン合成かまたはオクルディン機能の一時的な妨げである密着結合空間に面している2個の細胞外ループは、傍細胞透過性の一時的増加をもたらすかもしれない。このような傍細胞透過性の一時的増加は、最小限の毒性作用しか伴うことなく、細胞層を通過する傍細胞輸送による薬物吸収を増加させうると考えられる。
【0010】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定の細胞内標的DNAまたはRNAに配列が“相補的”である、in vitroの化学的手段によって合成される1本鎖DNAまたはRNAの配列である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞内での特異的遺伝子の発現または特異的mRNAの翻訳を阻止する可能性を与える。アンチセンスオリゴヌクレオチドのその相補的mRNAへの水素結合は、そのコードされたタンパク質を生じるmRNAの翻訳を立体障害によって妨げるまたは阻止することができる。或いは、哺乳動物細胞内でのアンチセンスオリゴヌクレオチドとその相補的mRNAとの間の相互作用は、RNアーゼHによるまたは他の未知の若しくは特性決定されていないRNアーゼによるそのmRNAの破壊を引起こすことがありうる。
【0011】
したがって、要求されることは、オクルディン合成がおよびそれによってオクルディン機能が一時的に破壊され、そして傍細胞透過性が一時的に促進されるようにオクルディンmRNA翻訳を一時的に妨げる組成物および方法である。
【0012】
したがって、本発明の目的は、ヒトを含めた動物において細胞層を通過する傍細胞輸送を一時的に促進するための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、ヒトを含めた動物において上皮細胞層の密着結合の完全さを一時的に破壊するための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、細胞層の密着結合中のオクルディンの量を減少させるための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、細胞層の密着結合中のオクルディンの機能を破壊するための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、ヒトを含めた動物において内皮細胞層の密着結合の完全さを一時的に破壊するための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、ヒトを含めた動物の体循環中への胃腸管上皮を通過する薬物移動を促進するための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、ヒトを含めた動物の体循環から間隙空間中への薬物移動を促進するための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、ヒトを含めた動物の肺循環中への肺上皮を通過する薬物移動を促進するための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、ヒトを含めた動物の血液脳関門を通過する薬物取込みを促進するための組成物およびその使用を提供することである。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、オクルディンmRNAの翻訳を一時的に妨げるための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、オクルディン遺伝子の転写を一時的に妨げるための組成物およびその使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、安定であるアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、標的細胞に入ることができるアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、標的細胞によって保持されるアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、細胞性標的と相互作用できるアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、細胞性標的と特異的に相互作用するアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、低毒性を示すアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、容易に合成されうるアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物を提供することである。
本発明のこれらおよび他の目的は、本明細書の概説から明らかになるであろう。
【0014】
発明の開示
本発明は、オクルディンの翻訳を破壊するようにオクルディンmRNAの領域とハイブリッド形成しうる配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0015】
より詳しくは、本発明は、タンパク質オクルディンをコードするメッセンジャーRNA(オクルディンmRNA)の領域とハイブリッド形成しうるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、そのオクルディンmRNAにハイブリッド形成した場合に、オクルディン機能が破壊され、そして動物の上皮細胞層または内皮細胞層を通過する傍細胞透過性が増加するように翻訳を妨げるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。
【0016】
本発明は、オクルディンmRNAまたはオクルディンDNAの領域とハイブリッド形成しうるオリゴヌクレオチドであって、そのmRNAまたはそのDNAにハイブリッド形成した場合に、オクルディンの合成をダウンレギュレートするようにそのmRNAの翻訳またはそのDNAの転写を妨げるオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供することによって上の要求を満たす。より詳しくは、本発明の組成物は、オクルディンmRNAの領域にハイブリッド形成し、そしてオクルディンmRNAの領域にハイブリッド形成した場合に、オクルディン合成を破壊するようにその機能を妨げるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトを含めた動物に有効濃度で投与された場合、オクルディン翻訳を一時的に妨げるので、密着結合中のオクルディン機能は一時的に破壊され、そして薬物を含めた溶質に関する細胞層の透過性は一時的に増加する。
【0017】
本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、オクルディンmRNAまたはDNAの領域にハイブリッド形成しうる。このようなアンチセンス配列は、正常なオクルディン転写または翻訳を妨げ、それによってヒトを含めた動物の細胞層を通過する傍細胞輸送を促進するのに極めて有用である。
【0018】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、オクルディンmRNAの領域の特定の核酸配列に相補的である。より好ましくは、それらアンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、オクルディンmRNAの翻訳開始核酸配列に相補的である。結果として得られるオクルディンタンパク質の減少は、細胞層中の細胞間の密着結合を破壊するので、薬物を含めた溶質に関する細胞層の透過性は促進される。
【0019】
概して、用いられるオリゴヌクレオチドは、オクルディンmRNAの領域の核酸配列と正確に相補的な配列を有するであろう。しかしながら、絶対的相補性は必要ない。オクルディンmRNAの領域と一緒に安定な二重らせんを形成するのに充分な相補性を有するヌクレオチドはいずれも、ハイブリッド形成が可能であるし、しかもそのRNAの翻訳は、例えば、二重らせん形成またはRNアーゼH活性化によって阻害されるので、適当であると考えられる。安定な二重らせん形成は、オリゴヌクレオチドの配列および長さ、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドと標的配列との間の相補性の程度に依る。したがって、より長いオリゴヌクレオチドを用いる場合、より少ない相補性が必要でありうる。もう一方で、RNアーゼH活性化は、5個連続した対合塩基対のみを必要としうる(Moniaら,J.Cell Biol.268:14514,1993)。
【0020】
オクルディンmRNAの領域に安定してハイブリッド形成し且つそのmRNAの翻訳を阻害するオリゴヌクレオチドはいずれも、有効であると考えられる。しかしながら、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドがハイブリッド形成するオクルディンmRNAの領域は、本発明の実施に影響を与えることがありうる。すなわち、翻訳開始核酸配列、翻訳延長核酸配列および3′非翻訳領域が含まれるがこれらに制限されるわけではないオクルディンmRNAの特異的領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、特に有効である。スプライシングを阻害するまたは5′キャッピングを阻害するオリゴヌクレオチドも、オクルディンmRNAの翻訳を妨げるのに有効でありうる。
【0021】
一つの実施態様において、そのオリゴヌクレオチドは配列番号:5を有する。
更に、そのオリゴヌクレオチドは、安定化されたオリゴヌクレオチドでありうる。
【0022】
その安定化されたオリゴヌクレオチドは、o−メチル結合の包含によって安定化されたオリゴヌクレオチド、ヌクレオチド類似体の包含によって安定化されたオリゴヌクレオチド、糖類似体の包含によって安定化されたオリゴヌクレオチドおよびホスホジエステル主鎖の修飾によって安定化されたオリゴヌクレオチドより選択されうる。
【0023】
本発明で用いるためのオリゴヌクレオチドは、修飾されていなくてよいしまたは修飾されていてよい。修飾は、in vivoのヌクレアーゼ攻撃に対する抵抗性を増加させるように、特異性を増加させるようにまたは細胞取込みを増加させるように設計される。このような修飾には、ホスホルアミダイト修飾(Gryaznonら,J.Am.Chem.Soc.116:3143,1994)、ホスホロチオエート修飾(La Plancheら,Nucleic Acids Res.14:9081,1986)、メチルホスファネート修飾および短鎖アルキルまたはシクロアルキル修飾が含まれるが、これらに制限されるわけではない。修飾には、天然に見出されないプリン類およびピリミジン類を含めた1種類またはそれ以上の修飾塩基の形を有する類似体、2′−メチルリボヌクレオチド類が含まれるがこれらに制限されるわけではないオリゴリボヌクレオチド類似体(Inoueら,Nucleic Acids Res.15:6131,1987)、キメラオリゴヌクレオチド(Inoueら,FEBS Letters 215:327,1987)、O−メチル結合および当業者に知られている他の類似体も含まれうる。
【0024】
したがって、オクルディンmRNAが認められる細胞および細胞の部位中へのオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドのトランスフェクションを促進するためには、そのオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドを、当業者に知られている様々な方法で修飾することができる。しかしながら、このような修飾オリゴヌクレオチドはいずれも、天然に存在するオリゴヌクレオチドと機能的に交換可能でなければならない。すなわち、それは、オクルディンmRNAと有効にハイブリッド形成し、その翻訳を妨げなければならない。或いは、このような修飾オリゴヌクレオチドは、対応するオクルディンDNAとハイブリッド形成し、その転写を妨げることができる。
【0025】
オリゴヌクレオチドの細胞取込み効率は、それらオリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドを陽イオン脂質または陽イオンリポソームと一緒に複合体形成することによって増加させることができる。陽イオン脂質には、リポフェクタミン、リポフェクチン、DOTAP、Transfectam TransfectAceおよびGS−2888(Lewisら,PNAS 93:3177,1996)が含まれるが、これらに制限されるわけではない。それらオリゴヌクレオチドは、陽イオン脂質または陽イオンリポソームとイオン相互作用によって複合体形成し、それら陽イオン脂質の融合誘導性(fusogenic)は、オリゴヌクレオチドの細胞取込みを促進する。或いは、それらオリゴヌクレオチドは、カルジオリピン:ホスファチジルコリン:コレステロール(2:10:7)リポソームなどがあるがそれらに制限されるわけではないリポソーム(MEV)の水性空間中に閉込められた後、そのリポソームのエンドサイトーシス取込みによって細胞に入ることができる。
【0026】
他の戦略には、それらオリゴヌクレオチドを、ポリ(L−リシン)(Leonettieら,Bioconjug.Chem.1:149,1990;Clarencら,Anticancer Drug Design,8:81)、ポリエチレニム(polyethylenime)(Boussifら,PNAS,92;7279,1995)、他の“高分子電解質間複合体”(Kabanovら,Bioconjug.Chem.6:7,1995)、ショウジョウバエ(Drosophila)アンテナペディアタンパク質のホメオドメインの融合誘導ペプチド(Plunketら,J.Biol.Chem.269:12918,1995;Bongartzら,Nucl.Acids Res.22:4681,1994)またはペプチドフラグメント(Derossiら,J.Biol.Chem.269:10444,1994)、トランスフェリン−ポリリシンコンジュゲート、コレステロール(Ingら,Nucl.Acids Res.21:2789,1993)、スペルミジン−コレステロールまたはスペルミン−コレステロールが含まれるがこれらに制限されるわけではないポリアミン脂質、アクリジン、ペプチドおよび脂肪酸と結合することが含まれうるが、これらに制限されるわけではない。戦略には、オリゴヌクレオチドを、葉酸塩などの細胞表面受容体(Wangら,PNAS 92:3318,1995)、アシアログリコプロテイン受容体(Wuら,J.Biol.Chem.267:12436,1992)およびトランスフェリン(Citroら,PNAS 89:7031,1992)に、またはビタミンB12受容体若しくはビタミンB12受容体と結合する内因性因子などの他の受容体にターゲットさせることも含まれる。細胞表面上に見出される特異的糖結合受容体または膜レクチンによって特定の細胞にオリゴヌクレオチドをターゲットさせることも考えられる。例えば、ヘムコーティング陽イオンリポソーム(Innovir Laboratories,ニューヨーク)は、肝臓クップファー細胞によって取込まれ、疎水性部分を含有する小器官構造(INNOPHORTM,InnovirLaboratories,ニューヨーク)は、全ての肝細胞によって取込まれ、そしてポリリシン−アジアロオロソムコイドタンパク質結合体は、肝特異的AsOR受容体に結合する。更に、プロテインA含有中性リポソームは、それらを特異的モノクローン性抗体(Mab)と一緒にインキュベートすることによって細胞に選択的にターゲットさせるのに用いることができる。
【0027】
オクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドは、単独でかまたは修飾若しくは結合後に、ナノパーティクルの表面に結合させてよいしまたはナノパーティクル若しくはミクロパーティクル内に閉込めてそれらの取込みを促進させることができる。ナノパーティクル担体の例には、シアノアクリレートナノパーティクル系、ポリアクチド系、ポリグリコリド系またはポリアクチドコグリコリド系等が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
【0028】
細胞内では、オリゴヌクレオチドの有効性は、融合誘導ペプチド、第5世代Starburst樹状体(dendrimer)(Haenslerら,Bioconjug.Chem.4:372,1994)、pH応答性ポリマーポリ(−エチルアクリル酸)(Tirrellら,Annal.New York Acad.Sci.446:237,1985)、陽イオンリポソームおよび新規合成されたpH感受性界面活性剤N−ドデシル2−イミダゾールプロピオネートまたはDIP(Hughesら,Pharmac.Res.13:404,1996)が含まれるがこれらに制限されるわけではないエンドソーム−サイトゾル輸送を増加させるアジュバントによって増大させることができる。
【0029】
本発明のオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトを含めた動物に、単独でかまたは薬学的に許容しうる担体と組合せて、治療的に有効な量で投与することができる。“治療的に有効な”という用語は、オクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドの量が、傍細胞輸送をある有益な程度まで増加させるのに充分な量を有することを意味する。“組合せて”という用語は、オクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび薬学的に許容しうる担体を、同時に、別個に、異なった頻度でまたは異なった経路で投与することができることを意味する。“製剤組合せ”という用語は、オクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび薬学的に許容しうる担体の混合関連(mixed association)、並びにキットまたは製剤パック中で見出されるような非混合関連も包含する。
【0030】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、単独でまたは担体と組合せて、一定期間にわたって1回量でまたは多数回量で投与することができる。投与は、経口、非経口、粘膜、局所、経皮、植込み錠による、ミニポンプによる、生分解性ポリマーマトリックスによる、または当業者に知られている任意の他の許容しうる経路によることができる。投与は、水性ビヒクルおよび非水性ビヒクルが含まれるがこれらに制限されるわけではない任意の生体適合性アジュバント、添加剤または担体との組合せでありうる。経口投与には、錠剤、懸濁剤、液剤、乳剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤および水剤組成物が含まれるが、これらに制限されるわけではない。経口投与に関して、アンチセンスオリゴヌクレオチドデリバリー剤形は、それらが胃腸管で吸収される前の消化または分解を防止するために腸溶コーティングの形を必要とすることがありうる。更に、胃腸管でのターゲットした放出および持続供給を可能にする適当なデリバリー製剤および腸溶コーティングが考えられる。非経口投与には、注射および注入が含まれるが、これらに制限されるわけではない。粘膜投与には、液剤および噴霧剤が含まれるが、これらに制限されるわけではない。抗微生物保存剤、酸化防止剤、キレート薬、ゼラチンおよび緩衝剤が含まれるがこれらに制限されるわけではない、組成物の安定性、滅菌性および等張性を増加させる種々の添加剤は、それらがオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドと相溶性であるならば加えることができる。
【0031】
オクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与のための用量範囲は、傍細胞輸送を促進する所望の作用を生じるのに充分な量である。その用量は、アナフィラキシー若しくは望ましくない交差反応または免疫応答などの不利な副作用を引起こす程多くあるべきではない。概して、その用量は、動物の年齢、状態および性別、傍細胞輸送によって吸収される治療薬の物理的および化学的性状、その治療薬が通過しなければならない細胞層、例えば、腸管、肺上皮または血液−脳関門、並びに投与経路によって異なるであろう。好ましくは、オクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドの用量は、約100μMを越え、より好ましくは、約250μMを越え、そして最も好ましくは、約500μMを越える。しかしながら、当業者は、過度に実験することなく、それぞれの状況に依って用いられるオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドの具体的な治療的有効量を決定することができる。
【0032】
本発明で用いるためのオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドの作用は一時的である。すなわち、それらはオクルディンmRNAの翻訳を妨げ、傍細胞透過性を一定時間増加させる。概して、その時間長さは、傍細胞輸送によって吸収される治療薬の物理的および化学的性状によって異なるであろう。それは、治療される疾患の重症度によっても異なるであろう。好ましくは、オクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドは、傍細胞透過性を約30分間〜約14日間に、より好ましくは、約1時間〜約7日間に増加させるようにオクルディンmRNAの翻訳を妨げるであろう。しかしながら、当業者は、過度に実験することなく、有効量の治療薬の傍細胞吸収に必要な時間を決定することができる。
【0033】
本発明で用いるためのオリゴヌクレオチドは、約5〜100個のサブユニットの配列を含む。より好ましくは、本発明で用いるためのオリゴヌクレオチドは、約8〜75個のサブユニットの配列を含む。最も好ましくは、本発明で用いるためのオリゴヌクレオチドは、約10〜50個のサブユニットの配列を含む。“サブユニット”とは、ホスホジエステル結合または他の結合によって隣接したサブユニットに適当に結合したヌクレオチド塩基および糖組合せ(またはヌクレオチド類似体および/または糖類似体組合せ)を意味する。
【0034】
本発明のオリゴヌクレオチドは、オクルディンmRNA内の領域とハイブリッド形成可能であり、そのmRNAの翻訳を妨げる。妨げられうるmRNAの機能には、タンパク質翻訳部位へのRNAの転位、mRNAからの実際のタンパク質の翻訳、RNアーゼHなどのRNアーゼの活性化によるmRNAの減少した安定性、およびmRNAの可能な触媒活性が含まれるが、これらに制限されるわけではない。mRNA翻訳の妨害は、オクルディン合成を破壊し、動物の細胞層を通過する傍細胞輸送を促進する。
【0035】
概して、オクルディンmRNAとまたは親オクルディン遺伝子とハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドは、オクルディン合成を破壊し、それによって傍細胞輸送を促進するのに用いることができる。そのオクルディン遺伝子内の配列またはそのオクルディン遺伝子の発現を調節する若しくは制御するプロモーターとハイブリッド形成するまたは相互作用する三重らせん形成性オリゴヌクレオチドも、オクルディンmRNAの量を減少させ且つオクルディン合成を破壊する所望の作用を有するであろう。好ましいのは、オクルディンmRNAとハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドである。より好ましいのは、オクルディンmRNAの翻訳開始領域とまたは、例えば、mRNAのコーディング配列、3′非翻訳領域若しくは5′非翻訳領域内のオクルディン合成を最大限に減少させるであろうオクルディンmRNAのそれら領域とハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドである。
【0036】
このようなオリゴヌクレオチドは、診断、治療においておよび研究用試薬として有用でありうる。治療的使用に関して、そのオリゴヌクレオチドは、ヒトを含めた動物に、傍細胞経路による治療薬の吸収を促進するようにその治療薬の前にかまたはと同時に投与される。
【0037】
本発明は、更に、傍細胞輸送によって細胞層を通過する治療薬の供給を促進する方法で用いるための薬剤の製造におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、該薬剤を、細胞層を通過する治療薬の傍細胞透過性が一時的に増加するようにオクルディンの翻訳を妨げるのに有効な量で動物に投与する上記使用を提供する。
【0038】
上皮または内皮細胞バリアを経て投与されうる治療薬はいずれも、本発明によって包含される。好ましくは、このような治療薬には、自律神経薬、心臓血管薬、肺薬、胃腸薬、腎臓薬、中枢神経系薬、化学療法薬および皮膚薬が含まれるが、これらに制限されるわけではない。より好ましくは、このような治療薬には、傍細胞経路によって吸収されるように設計された治療薬が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
それら薬物は、内皮または上皮細胞層を通過する低透過性を有するペプチド、タンパク質、遺伝子デリバリーベクターおよび薬物より選択されうる。
【0039】
それら治療薬は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与前、中または後に投与することができる。好ましくは、治療薬は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与と同時にまたは投与後12時間、24時間若しくは48時間以内に投与される。
【0040】
オクルディン合成を減少させる別のアプローチは、オクルディンmRNAをコードしている遺伝子をダウンレギュレートすることである。これを行なうためには、オクルディンをコードしている天然に存在する内因性mRNAに相補的なRNA配列(cRNA)をコードする遺伝子を、空腸上皮細胞、回腸上皮細胞または毛細管内皮細胞などがあるがこれらに制限されるわけではない細胞中に導入する。その導入された遺伝子は、オクルディンをコードしているmRNAに相補的であるcRNA配列をコードするであろう。その細胞内のmRNAとそのcRNAの塩基対合は、このcRNA:mRNA相互作用によってオクルディンタンパク質の発現をダウンレギュレートするであろう。
【0041】
そのcRNAをコードしている遺伝子は、例えば、非限定的にアデノウイルス、アデノ関連ウイルスベクターシステム、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルスまたは当業者に知られている任意の他の遺伝子デリバリーシステムのようなウイルスベクターデリバリーシステムで哺乳動物細胞中に導入することができる。
そのcRNAをコードしている遺伝子は、例えば、非限定的にリポソーム、脂質基づく膜貫通担体、サイトフェクチンのような非ウイルス手段を用いてcRNAをコードしている遺伝子を含有する裸のDNAとしてまたは裸のプラスミド分子として、および例えば、非限定的に樹状体ポリマーシステム、PLGAポリマーシステム、ポリシアノアクリレートポリマーシステムおよび他のポリマーシステムのようなポリマーシステム中への封入によって細胞中に導入することもできる。
【0042】
更に、そのcRNAをコードしている遺伝子は、キメラ融合タンパク質と結合することができ、それによって、その融合タンパク質の一つの領域は、ポリ−L−リシンなどがあるがこれらに制限されるわけではないDNA結合ペプチドまたはタンパク質であり、これは、目的の遺伝子を含有する裸のDNAまたはプラスミド分子に結合し、そしてそのキメラ融合タンパク質の第二領域は、ビタミンB12輸送体、グルコース輸送体、HPT−1受容体、PEPT1輸送体、D2Hタンパク質、ヒトスクラーゼイソマルターゼ複合体、葉酸塩受容体または上皮細胞の頂端膜上で発現される任意の他の受容体などがあるがこれらに制限されるわけではない胃腸管の上皮細胞中の選択された受容体部位に結合し且つターゲットする。同様に、そのキメラ融合タンパク質の第二領域は、内皮細胞の頂端膜上で発現される選択された受容体部位に結合し且つターゲットすることができる。
【0043】
更に、そのキメラ融合タンパク質は、Nuclear Localization SignalまたはNuclear Localization Sequence(NLS)と称される第三領域を含有することができ、これは、目的の遺伝子/DNA/プラスミド分子と結合したキメラ融合タンパク質の複合体が、いったん形質膜を通過し、その細胞の細胞質に入ったら、その細胞の核にこの複合体を送るであろう。
【0044】
オクルディンの細胞外ループドメインに該当する直鎖状および環状両方のコンホメーションを有する合成ペプチドも、細胞層の密着結合中のオクルディン機能を妨げ、それによって細胞層を通過する治療薬の傍細胞輸送を増加させるのに用いることができる。
次の実施例は、本発明に同時に制限を全く与えることなく、本発明を更に詳しく説明するのに役立つであろう。逆に、本明細書中の説明を読んだ後に、本発明の精神および/または請求の範囲の範囲から逸脱することなく当業者が考えることができる様々な他の実施態様、それらの変更および均等物を用いることができるということは明らかに理解されるべきである。
【0045】
発明の実施態様
実施例1
Caco−2細胞の培養:
ヒト腸Caco−2細胞を、当業者に周知の標準的な技法を用いて増殖させた。それら細胞をポリカーボネートフィルター(Costar Snapwells:直径=12mm;面積=1.13cm2;細孔度=0.4m)上に0.5×106cm2の密度で播種した。アンチセンスオリゴヌクレオチド実験のために、200〜400cm2の範囲内の経上皮電気抵抗(TER)測定値を有する18〜25日齢細胞単層を用いた。
【0046】
実施例2
アンチセンスオリゴヌクレオチド処理:
インキュベーションは全て、5%CO2雰囲気中において37℃であった。溶液は全て、使用前に37℃まで加温した。次の手順を1日に1回、3日間にわたって行なった。TERを読取り後、それら細胞を1回洗浄し、低血清培地(RSM;GlutaMax 1含有Opti−MEM 1;Gibco−BRL)中で30分間インキュベートした。その間に、リポフェクタミン−オリゴヌクレオチド複合体を室温で形成させた。リポフェクタミン(20μl/スナップウェル;Gibco BRL CN.18324−012)を、RSM中においてオクルディンアンチセンスDNAオリゴヌクレオチド、オクルディンスクランブルドオリゴヌクレオチドまたは水対照と混合した。Genosys(ケンブリッジ,英国)によって合成されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド)は、ヒトオクルディンmRNAの翻訳開始領域とハイブリッド形成するように、次のように設計された。
【0047】
用いられるオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドは、
5′AAG AGG CCT GGA TGA CA 3′(配列番号:5)である。
用いられるオクルディンスクランブルドオリゴヌクレオチドは、
5′GCA AGT CAG GAC GTA GA 3′(配列番号:6)である。
そのリポフェクチン:オリゴヌクレオチド複合体を、スナップウェルの頂端表面に加え、それら細胞を2時間インキュベートした。次に、頂端および側底の培地を正常培地と交換した(4日目を除く)。3日目に2時間インキュベーション後、3H−マンニトールの経上皮フラックスを測定した。
【0048】
実施例3
3H−マンニトールフラックス:
Caco−2細胞を、緩衝化されたハンクスの平衡塩類溶液(bHBSS;Gibco CN.14065−031:0.011Mグルコース、15mM HEPES酸[3.575g/l;Sigma CN.H3375]、10mM HEPES塩基[2.603g/l;Sigma CN.H1016]を補足された)中で1回洗浄し、30分間インキュベートした。頂端レザバーbHBSSを、1μCi/mlの親水性マーカー3H−マンニトール(New England Biolabs)を含有する1mlの緩衝化HBSSと交換した。その原液から10μl試料を後の測定用に残し、実験の最後に10μlずつの頂端試料を採取した。側底レザバーからの1ml試料を適当な時点で採取した(3H−マンニトールの添加後90分または120分)。それぞれの側底試料採取後、それらスナップウェルを新しい6ウェルプレート中に入れ、2mlの予熱されたbHBSSをその側底レザバーに加えた。それら試料を4mlのシンチレーション液に加え、各バイアルの放射能をシンチレーションカウンターで計数した。
【0049】
実施例4
培養されたヒト上皮細胞のオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた処理。
完全に分化したCaco−2単層を、実施例1のように増殖させ、実施例2のようにアンチセンス処理を施した。
表1は、実施例5の実験1および実施例6の実験2に詳述された実験で用いられた細胞の継代数および齢を示す。
【表1】
【0050】
実施例5
Caco−2細胞を通過するマンニトールフラックスに対するオクルディンアンチセンス処理の作用
完全に分化したCaco−2単層を、実施例1のように増殖させた。それら細胞を、実施例2のように、リポフェクタミン単独、リポフェクタミンおよびオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号:5)またはリポフェクタミンおよびオクルディンスクランブルドオリゴヌクレオチド(配列番号:6)を用いて1日目に5μM、2日目に50μMおよび3日目に500μMで3日間にわたって処理した。4日目に、[3H]−マンニトールを頂端ドメインに加え、そして側底レザバーに輸送された放射能(cpm)を実施例3のように90分間にわたって測定することによってフラックスを決定した。
表2および図1は、実施例3のように90分後に測定される分極したCaco−2細胞中の[3H]−マンニトールフラックスに対するリポフェクタミン単独、リポフェクタミン+オクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号:5)およびリポフェクタミン+オクルディンスクランブルドオリゴヌクレオチド(配列番号:6)の作用を示す。
【0051】
【表2】
【0052】
図1は、実施例3のように90分後に測定される分極したCaco−2細胞中の[3H]−マンニトールフラックスに対するリポフェクタミン単独、リポフェクタミン+オクルディンアンチセンス(配列番号:5)およびリポフェクタミン+オクルディンスクランブルド(配列番号:6)の作用を示す。
表2および図1のデータは、オクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたCaco−2細胞の処理が、オリゴヌクレオチド不含に相対してフラックスを1.6倍増加させ、オクルディンスクランブルドオリゴヌクレオチドに相対してフラックスを1.6倍増加させることを示している。
【0053】
実施例6
Caco−2細胞を通過するマンニトールフラックスに対するオクルディンアンチセンス処理の作用
リポフェクタミン(20μl/スナップウェル;Gibco BRL CN.18324−012)を、RSM中において500μMのオクルディンアンチセンス(配列番号:5)または水対照と混合し、実施例2のように細胞に加えた。
合成ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、ヒトオクルディンmRNAの翻訳開始領域(配列番号:5)に相補的であり、オクルディンタンパク質の翻訳を阻害するように設計された。負対照オリゴヌクレオチドであるオクルディンスクランブルド(配列番号:6)も用いた。
表3は、実施例3のように90分後に測定される分極したCaco−2細胞中の[3H]−マンニトールフラックスに対するリポフェクタミン(Lip)、リポフェクタミン+オクルディンスクランブルド(Occ Neg)、リポフェクタミン+オクルディンアンチセンス(Occ Pos)および水(非処理)の作用を示す。
【0054】
【表3】
【0055】
図2は、実施例2のようにスナップウェル上で増殖したCaco−2単層中の[3H]−マンニトールのフラックスに対するリポフェクタミン、リポフェクタミン+オクルディンスクランブルド(配列番号:6)、リポフェクタミン+オクルディンアンチセンス(配列番号:5)および水の作用を示す。この実験において、アンチセンス処理は、対照スクランブルド配列アンチセンスDNAに相対して[3H]−マンニトールフラックスを平均2.2倍増加させた。それら細胞は、リポフェクタミン単独、リポフェクタミン+オクルディンスクランブルド、リポフェクタミン+オクルディンアンチセンスおよび水を用いて3日間にわたって処理された。4日目に、[3H]−マンニトールを頂端ドメインに加え、そして側底レザバーに輸送された放射能(dpm)を実施例3のように120分間にわたって測定することによってフラックスを決定した。
【0056】
図3は、[3H]−マンニトールに関する分極したCaco−2細胞の見掛けの透過性値(Papp)を示す。それら細胞は、リポフェクタミン、リポフェクタミン+500μMオクルディンスクランブルド(配列番号:6)、リポフェクタミン+500μMオクルディンアンチセンス(配列番号:5)または水を用いて処理された。見掛けの透過性値(Papp)は、次の式にしたがって計算された。
Papp=(dQ/dt)(1/C.A)
式中、
dQ/dt=フラックス率(ミリモル/s)
C=ドナー側のt=0での濃度(ミリモル/cm3)
A=単層の面積(cm2)
それら単層の見掛け透過性は、スクランブルド対照オリゴヌクレオチドを用いて処理された細胞での188.35cm s-1と比較して、特異的オクルディンアンチセンスDNAを用いて処理された細胞について415.78cm s-1であった。この差は、統計的に有意である(p=0.0045;両側不対t検定)。これらデータは、ヒトオクルディンmRNAにターゲットしたアンチセンスオリゴヌクレオチドが、培養されたヒト腸上皮細胞における頂端画分から側底画分までの増加した傍細胞透過性を媒介することを示している。
本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行なうことができるということは当業者に明らかであろう。本明細書中に記述された参考文献は全て、本明細書中にそのまま援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、90分後の分極したCaco−2単層を通過する親水性マーカー[3H]−マンニトールのフラックスに対するオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチド処理の作用を示す。
【図2】 図2は、180分後の分極したCaco−2を通過する親水性マーカー[3H]−マンニトールのフラックスに対するオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチド処理の作用を示す。
【図3】 図3は、親水性マーカーマンニトールに関するCaco−2単層の見掛けの透過性に対するオクルディンアンチセンスオリゴヌクレオチド処理の作用を示す。
【配列表】
Claims (12)
- オクルディンの翻訳を破壊するようにオクルディンmRNAの領域とハイブリッド形成しうる配列を有する、配列番号:5のヌクレオチド配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
- オリゴヌクレオチドが、o−メチル結合、ホスホルアミダイト結合、ホスホロチオエート結合又はメチルホスファネート結合を含む、請求項1記載のオリゴヌクレオチド。
- 薬学的に許容しうる担体および請求項1又は2記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物。
- 傍細胞輸送によって細胞層を通過する治療薬の供給を促進する方法で用いるための薬剤の製造における請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、該薬剤が、細胞層を通過する治療薬の傍細胞透過性が一時的に増加するようにオクルディンの翻訳を妨げるのに有効な量で動物に投与される薬剤である、上記使用。
- 細胞層が上皮細胞層である請求項4記載の使用。
- 細胞層が内皮細胞層である請求項4記載の使用。
- 治療薬が薬物である請求項4〜6のいずれか1項記載の使用。
- 薬物が、上皮細胞層を通過して投与される薬物より選択される請求項7記載の使用。
- 薬物が、内皮細胞層を通過して投与される薬物より選択される請求項7記載の使用。
- 薬物が、内皮または上皮細胞層を通過する低透過性を有するペプチド、タンパク質、遺伝子デリバリーベクターおよび薬物より選択される請求項7〜9のいずれか1項記載の使用。
- 薬物が、アンチセンスオリゴヌクレオチドと同時に投与される、請求項7〜10のいずれか1項記載の使用。
- 薬物が、アンチセンスオリゴヌクレオチドの後に投与される、請求項7〜10のいずれか1項記載の使用。
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