JP4328234B2 - 創外固定器 - Google Patents

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Description

本発明は、骨折及び関節疾患の治療に用いられる創外固定器に関し、特に、細菌感染等による合併症を防止することができる創外固定器に関する。
骨折した場合の治療方法として、ギブスを用いて骨を外部から固定する非手術的治療法や、釘やプレートなどを用いて骨を直接固定する内固定法、創外固定器を骨に連結して固定する創外固定法などがある。
内固定法としては、骨髄内に釘を挿入して固定する髄内釘固定法や骨の側部に強固なプレートを装着し、骨とプレートとを螺子で固定するプレート固定法、骨折部をワイヤーで固定する締結ワイヤー法などがある。この内固定法は骨折部両側の骨部を強固に固定できる方法であるが、骨折部を固定材料が跨ぐことにより骨折部の血流供給が阻害され骨癒合が遅れる、手術時間が長く術中の出血量が多い、感染症の可能性が高い部位には使用できないなどの欠点もあり、創外固定器を用いて骨折部を固定する創外固定法が用いられる。
この創外固定法は、一般に骨折部に沿って配設される棒状部材と、その両側に配設する一対のクランプと、このクランプに対して直角に一端が固定される複数のピンとを有し、ピンの他端を骨折部の骨に挿入することにより骨を固定するものであり、創外固定器の構造に応じて、ホフマン法、イリザロフ法、オルソフィックス法などがある。ホフマン法は、骨折を始め、感染性偽関節、骨切り術、関節固定術など種々の症例に適用できるが、全体の寸法が大きいことから、片側固定にて強固に固定することができるオルソフィックス法や三次元の変形矯正が可能なイリザロフ法が広く用いられている。(例えば、特開2002−360598号公報など)。
特開2002−360598号公報(第2−4頁、第1図)
上記創外固定法は、骨折部を跨いで固定しないために骨折部の血流供給を損なうことがない、骨折部に適度な荷重がかかりやすい、感染が疑われる部位をよけて固定できるなどの利点があるが、一方、創外固定器と骨とを連結するために皮膚の外側からピンを挿入する必要があるため、ピンの挿入部から細菌などが侵入しやすく、また、挿入部でピンが動くために摩擦によって炎症が生じやすく、合併症を併発しやすいという問題がある。そのため、創外固定法を用いる場合は、皮膚とピンとの間の動きを小さくするためにピン刺入の皮切部を縫合し、ガーゼでピン周囲を乾燥させて肉芽形成を促すようにしたり、細菌の侵入を防ぐためにピン周囲を消毒し、場合によっては創外固定器全体を滅菌した包帯で覆うなどの処置を施さなければならない。また、このような処置を施したとしても従来の創外固定器では皮膚を貫くピンが必要であるため、合併症の発病を完全に防止することはできないという問題があった。
また、上記創外固定法は、骨折の治療のみならず関節疾患の治療にも用いられるが、その場合においても、細菌の侵入や合併症の併発などの問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、外部からの細菌の侵入等による合併症の発病を防止して骨折を治療又は関節疾患を治療することができる創外固定器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の創外固定器は、骨折部又は関節両側の第1の骨部及び第2の骨部の各々の外周に、他方の骨部側にはみ出さないように固定される、磁性材料からなる一対の磁性体部と、前記骨折部又は関節近傍の人体組織の外側に配置され、前記磁性体部を磁化させる磁場を発生させる磁場発生部と、で構成され、前記磁場発生部で発生される磁場により、前記一対の磁性体部が対向する面が互いに引き合うように磁化され、前記第1の骨部及び前記第2の骨部が固定されるものである。
本発明においては、前記磁場発生部は、前記骨折部周囲の前記人体組織の外側に配置される筒状の筐体と、磁気的軸が前記第1の骨部又は前記第2の骨部の延在方向に略一致するように、前記筐体の周囲に螺旋状に巻回される1又は複数のコイルと、前記コイルに電流を供給する電流源とを少なくとも備え、前記電流源では、前記コイルに、電流値の符号が同じでその大きさが周期的に変動する電流を供給し、前記電流値の変動に対応して前記一対の磁性体部の引力が周期的に変化して骨癒合が促進される構成とすることもできる。
このように、本発明によれば、骨折部又は関節両側の骨部に固定された一対の磁性体部が、皮膚外部に配置された螺旋状コイルを含む磁場発生部により磁化されて互いに引き合うために、人体組織内外を貫通するピンなどを用いることなく、非接触で骨折部又は関節両側の骨部を確実に固定することができる。また、磁場発生部で発生する磁場の強度、すなわちコイルに流す電流を予め定めた周期で変化させることにより、一対の磁性体部の引力を変化させることができるため、骨の修復を促進させることができ、骨を強固に固定する従来の創外固定器に比べて、骨折の治癒時間を短縮させることができる。
以上説明したように、本発明の創外固定器によれば、下記記載の効果を奏する。
本発明の第1の効果は、細菌の侵入などによる合併症を併発することなく、骨折部又は関節両側の骨部を確実に固定することができるということである。
その理由は、人体組織内外を貫通するピンで骨折部を固定するのではなく、骨折部又は関節両側の骨部に磁性材料で形成された磁性体部を固定し、この一対の磁性体部を人体組織外部に設けたコイルで発生させる磁場で磁化して互いに引き合わせることにより非接触で骨折部又は関節両側の骨部を固定することができるからである。
また、本発明の第2の効果は、骨折の修復又は関節疾患の治療に要する時間を短縮させることができるということである。
その理由は、コイルに流す電流を予め定めた周期で変化させることにより、一対の磁性体部の引力を変化させることができ、これにより骨癒合を促進させることができるからである。
本発明に係る創外固定器は、その好ましい一実施の形態において、骨折部又は関節両側の骨部に固定される一対の磁性体部と、骨折部又は関節近傍を覆う人体組織の外側に配設される円筒状の筐体と磁気的軸が骨の延在方向と略一致するように筐体上に巻回された螺旋状のコイルと該コイルに電流を供給する電流源とを含む磁場発生部とを備えるものであり、コイルで発生する磁場によって一対の筒状の磁性体部が互いに引き合うように磁化されるため、人体組織内外を貫通するピンなどを用いることなく骨折部又は関節両側の骨部を非接触で固定することができ、これにより細菌の侵入などによる合併症の併発を防止して骨折又は関節疾患を治療することができる。以下、上記実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
まず、本発明の第1の実施例に係る創外固定器について、図1乃至図8を参照して説明する。図1は、第1の実施例に係る創外固定器の構成を模式的に示す斜視図であり、図2は、その上断面図及び側断面図である。また、図3及び図5乃至図7は、本実施例の磁性体部の構造のバリエーションを示す図であり、図4は、磁性体部と骨との固定方法の一例を示す図である。また、図8は、磁場発生部の構造のバリエーションを示す図である。ここで、本発明の創外固定器は四肢の骨などの所定の長さを有する部位に適用することができ、下腿の脛骨の骨折に適用した場合は図1(a)に示すようになるが、以下の図では、説明を容易にするために人体の構造を簡略化して骨や人体組織を単純な円柱状とし、それに合わせて磁性体部や磁場発生部の筐体も単純な形状として説明する。なお、骨や人体組織の各部位の形状に合わせて磁性体部や筐体の形状も適宜変更することができるのは言うまでもない。
図1及び図2に示すように、本実施例の創外固定器1は、骨折部6両側の第1の骨部5a及び第2の骨部5bに固定される磁性材料からなる一対の磁性体部2と、骨5の周囲を覆う筋肉、血管、皮下細胞、皮膚などからなる人体組織7の外側に設置され、磁性体部2を磁化させるための磁場を発生する磁場発生部3とを備えている。また、上記一対の磁性体部2は、骨5の延在方向に沿って互いに引き合うように、対向する端面が略平行に加工されている。また、磁場発生装置3は、磁場を発生する螺旋状のコイル4bと、人体組織7とコイル4bとの間を絶縁し、コイル4bを巻くための基礎となる筐体4aと、コイル4bに所定の電流を供給するための電流源4cとを備えている。
上記磁性体部2は、外部から印加される磁場によって磁化する磁性材料で形成されていればよいが、磁場によって一対の磁性体部2に強い引力が働くように、所定の値以上の磁化率を有する磁性材料で形成されていることが好ましく、このような磁性材料としては、例えば、Fe、Ni、Co、FeCo合金、FeNi合金などの強磁性体材料を用いることができる。但し、本発明では、磁性体部2が直接、人体内部に埋め込まれるため、磁性材料の選択にあたっては人体組織との適合性(いわゆる生体適合性)を考慮する必要がある。また、人体組織への影響を緩和するために、磁性体部2の表面を生体適合性のある材料で覆う構造としてもよい。このような生体適合性のある材料としてはポリエチレンやナイロン、ポリエステルなどの高分子、アルミナセラミックスなどのセラミックス等が挙げられる。
また、一対の磁性体部2の間隔が大きくなると引き合う力が弱くなることから、強固に固定することを望む場合は磁性体部2を骨折部6近傍に固定すればよいが、骨折部6ではコラーゲン線維が形成され、この線維の周りにハイドロキシアパタイト結晶が析出して仮骨が形成されて骨折が修復されるため、骨折部6に近接して磁性体部2が固定されるとこの骨癒合が阻害される恐れがある。また、骨折の形態も図に示すような単純骨折に限らず、螺旋骨折や斜め骨折、粉砕など様々な形態があり、骨折部6近傍に磁性体部2を固定できない場合もある。従って、磁性体部2の固定位置は、固定強度、骨折の修復や骨折の形態などを考慮して適宜調整することが好ましい。
また、図1及び図2では、磁性体部2を単純な円筒状としているが、円筒状の場合は骨折部6、すなわち、第1の骨部5aと第2の骨部5bとの隙間から磁性体部2を嵌入しなければならず、骨折の形態や人体組織7の状態によっては血管や神経、筋肉などを損傷する恐れがある。そのような場合には、図3(a)に示すように、磁性体部2を複数の構造体(図の場合は2つの半円筒状の構造体)を組み合わせる構造とし、図示しない螺子などによって複数の構造体を連結することもできる。
また、骨が屈曲している場合や骨の太さが延在方向で大きく変化する場合には、円筒状の磁性体部2を嵌入することが困難である。そのような場合には、磁性材料を粉砕して粉状にし、ポリエチレンやナイロン、ポリエステルなどの生体適合性のある高分子材料に混ぜ合わせて生体複合材料を形成し、この生体複合材料をシート状に加工し、図3(b)に示すように、シート状の磁性体部2を骨5の形状に合わせて巻き付ける構造とすることもできる。
また、単純な円筒状では磁性体部2が骨部から離脱する恐れがある場合には、図3(c)に示すように円筒の内径が徐々に変化する形状とし、径の大きい側から骨部に嵌入する構成としたり、図3(d)に示すように部分的に径が狭められた形状とすることもできる。このような形状の磁性体部2を用いることにより、一対の磁性体部2が強い力で引き合った場合でも確実に上下の骨部を固定することができる。
また、図1及び図2では骨部と磁性体部2との固定構造については記載していないが、磁性体部2と骨部とを強固に固定するために、例えば、図4に示すように磁性体部2の外側から骨5を貫通する釘や螺子などの固定手段8を挿入してもよい。この場合、固定手段8は各々の磁性体部2に1つ設けてもよいし、対称位置に複数設けてもよく、また、骨5を貫通させてもよい。なお、この固定手段8の形状や材料は特に限定されないが、磁場の乱れを抑制するために非金属材料で形成されることが好ましい。
また、図1乃至図4では磁性体部2を骨5の外周全面を覆うように円筒状に形成しているが、図4のような固定手段8を用いるのであれば、磁性体部2は必ずしも骨5の外周全面を覆う必要はない。また、磁性体部2で骨5の周囲全体を覆うとその部分の血流障害が発生する可能性がある。そこで、固定手段8を用いる場合には、磁性体部2を1又は複数の磁性体片で構成することもできる。例えば、図5(a)に示すように、磁性体部2を骨5の外周面に応じて湾曲した複数(ここでは4つ)の磁性体片2aで構成し、図5(b)に示すように、対向する磁性体片2a同士を釘や螺子などの固定手段8を用いて骨5に固定する構成とすることができる。また、図6(a)に示すように磁性体部2を複数(ここでは2つ)の板状の磁性体片2aで構成し、図6(b)に示すように、複数の磁性体片2aを固定手段8を用いて骨5に固定することもできるし、図7(a)に示すように磁性体部2を大きい幅(例えば骨5の直径よりも大きい幅)の複数(ここでは2つ)の板状の磁性体片2aで構成し、図7(b)に示すように、複数の磁性体片2aを固定手段8を用いて骨5の外側で固定することができる。
また、磁場発生部3を構成する筐体4aは、コイル4bで発生する磁力線を吸収することなく透過し、人体組織7とコイル4bとの間の絶縁性を確保し、かつ、コイル4bを巻きやすくすることができるものであればよく、例えば、人体組織7の外径に合わせて加工されたプラスチックや布、石膏などを用いることができる。なお、図では人体組織7と筐体4aとの間に隙間を設けているがこれらを密着させて筐体4aによって骨5や人体組織7を簡便に固定する構成としてもよく、筐体4aの厚みや長手方向の幅などは任意に設定することができる。
また、コイル4bは、一対の磁性体部2の対向する面が極性の異なる磁極となるように磁場を印加できる構造であれば良く、通常は、図に示すように磁気的軸と骨の延在方向とがほぼ一致するように導線を螺旋状に巻回して形成されるが、導線の材料や巻き数、間隔、巻き方などは任意である。また、図1及び図2では、一対の磁性体部2を覆うようにコイル4bを連続して巻回しているが、図8に示すように一対の磁性体部2の対応する位置に一対のコイル4bを配設してもよい。この場合において、図8では一対のコイル4bの巻き数、間隔等を同じにしているが、各々のコイル4bで巻き数や間隔等を変えてもよい。また、コイル4bを金属が露出した導線で形成すると感電する恐れがあるため、金属の周りにゴムなどの絶縁材料が被覆された被覆導線を用いたり、コイル4bの外側をゴムシートなどの絶縁材料で覆うことが好ましい。
また、電流源4cは、コイル4bに所定の電流(磁性体部2の磁化率や磁性体部2の間隔、コイル4bの巻き数、コイル4bの径などを考慮して第1の骨部5aと第2の骨部5bとを確実に固定できる電流)を供給するものであればよく、電流の発生方法、回路構成などは任意であるが、図5の構成の場合は、各々のコイル4bにより発生する磁場によって磁性体部2が互いに引き合うようにその極性を設定する必要がある。なお、コイル4bと電流源4cとは所定の配線によって接続されるが、取り扱いを容易にするために、筐体4aにコネクタなどの第1の接続手段を固定してこの第1の接続手段にコイル4bの端部を接続しておき、該第1の接続手段に対応する形状の第2の接続手段が接続された配線を用いてコイル4bと電流源4cとを接続できるようにすることもできる。
このように、磁性体部2を骨折部6近傍の第1の骨部5a及び第2の骨部5bに固定し、人体組織7の外部から磁場発生部3を用いて磁場を印加することにより、一対の磁性体部2を互いに引き合わせることができるため、従来のように、人体組織7の外部から骨5に釘などを打ち込まなくても、第1の骨部5aと第2の骨部5bとを適度な圧力で押しつけて固定することができる。その結果、釘などの挿入部から細菌が侵入して合併症を引き起こすという問題を解決することができる。
次に、本発明の第2の実施例に係る創外固定器について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、第2の実施例に係る創外固定器の構成を模式的に示す斜視図であり、図10は、コイルに流れる電流の時間変化を示す図である。
前記した第1の実施例では、磁性体部2に流す電流について規定していないが、骨癒合を促進して骨折部6の治癒を早めるためには骨折部6に周期的な刺激を与えた方が好ましい。そこで、本実施例ではコイル4bに流す電流を変化させることができる構造としている。
図9に示すように、本実施例の創外固定器1は、骨折部6両側の第1の骨部5a、第2の骨部5bに固定される磁性材料からなる一対の磁性体部2と、骨5の周囲を覆う人体組織7の外側に設置され、磁性体部2を磁化させるための磁場を発生する磁場発生部3とを備え、磁場発生装置3は、磁場を発生する螺旋状の一対のコイル4bと、人体組織7とコイル4bとの間を絶縁し、コイル4bを巻くための基礎となる筐体4aと、コイル4bに所定の電流を供給するための電流源4cとに加えて、電流源4cに接続され、コイル4bに流す電流を制御する制御部4dとを備えている。
ここで、骨折部6が修復するメカニズムについて説明すると、骨折治癒の過程は、炎症期と修復期と再構築期に分類される。生物学的には、修復期ではglycosaminoglycanの濃度が上昇してコラーゲン繊維が形成され、骨芽細胞はtropocollagenを合成し、これが細胞外に移動してコラーゲン繊維の規則正しいネットワークが形成され、再構築期ではこれらの繊維の周りにハイドロキシアパタイト結晶が析出して骨折部6の周りに仮骨が形成され、臨床的に骨癒合の状態となる。このような骨折部の修復に際して、骨に力学的負荷を与えることにより圧電流が発生して骨形成が促進されたり、超音波を印加することによって骨形成が促進されることが知られている。
そこで、本実施例では、コイル4bに電流を供給する電流源4cを制御部4dで制御し、電流が周期的に変動するようにして骨折部6に加わる押圧力を変化させて骨の修復が促進されるようにしている。コイル4bに流す電流としては、図10(a)に示すように一定の周期で変化させてもよいし、図10(b)に示すように定電流を流す期間と周期的に変化させる期間とを繰り返すようにしてもよいし、図10(c)に示すように電流の変化量が一定に周期で徐々に変化するようにしてもよい。この場合において、電流の振幅は図10のように所定の電流値を中心にして変動させてもよいし、プラスとマイナスとの間で変動させてもよい。また、電流波形は図10のように矩形波としてもよいし、正弦波のように電流値がなだらかに変化するようにしてもよい。
また、本実施例においてもコイル4bを複数設けてもよく、その場合は各々のコイル4bに流す電流を同じように変化させてもよいし、一方のコイルには定電流を流し、他方のコイル4bにのみ電流を周期的に変化させたり、一対のコイル4bの各々で電流の変化量や周期を変えてもよい。
なお、図9では説明を容易にするために制御部4dを電流源4cとは別に設けているが、制御部4dが電流源4cの回路の中に組み込まれていてもよい。この電流源4c及び制御部4dは予め定められた周期で変化する電流を供給できるものであればよく回路構成は特に限定されないが、例えば、コイル4bに交流電流を供給する場合は発振回路と増幅回路などで電源部4c及び制御部4dを構成すればよいし、図10(b)に示すような電流を供給するには制御部4dにタイマーやリレーなどを組み込めばよい。
また、電流の変動周期(周波数)も特に限定されないが、1.5MHz程度の超音波周波数で骨形成が促進されることから上記周波数程度に設定することが好ましいと考えられる。なお、人体組織7の外部から刺激を与えて骨癒合を促進する方法は知られているが、本実施例の方法は骨折部6両側の骨部の引力を直接変化させることにより骨癒合を促進させるものであり、骨折部6を直接的に刺激することにより骨癒合の促進効果を著しく向上させることができる。
このように、コイル4bに流す電流を予め定めた周期で変動させることにより、一対の骨部に加わる力を変化させることができるため、骨癒合を促進させて骨折の治癒時間を短縮させることができる。
次に、本発明の第3の実施例に係る創外固定器について、図11を参照して説明する。図11は、第3の実施例に係る創外固定器の構成を模式的に示す斜視図である。前記した第1及び第2の実施例では、本発明の創外固定器を骨折部の治療に用いる場合について説明したが、本発明は第1の骨部及び第2の骨部を非接触で固定することを特徴とするものであり、本発明の創外固定器を関節疾患の治療に用いることもできる。
その場合、創外固定器1を構成する一対の磁性体部2は、図11に示すように関節9両側の第1の骨部5a及び第2の骨部5bに固定され、骨5の周囲を覆う人体組織7の外側には、磁性体部2を磁化させるための磁場を発生する螺旋状のコイル4bと、人体組織7とコイル4bとの間を絶縁し、コイル4bを巻くための基礎となる筐体4aと、コイル4bに所定の電流(一定の電流であってもよいし、第2の実施例のように周期的に変動する電流であってもよい。)を供給するための電流源4cと、必要に応じてコイル4bに流す電流を制御する制御部(図示せず)とからなる磁場発生部3が設けられる。
なお、本実施例は関節疾患の治療を目的とし骨折の場合のように第1の骨部5a及び第2の骨部5bが離間している訳ではないため、円筒状の磁性体部2を嵌入することはできない。従って本実施例の場合は、図3(a)に示すように、磁性体部2を複数の構造体を組み合わせる構造、図3(b)に示すように、シート状に加工した生体複合材料からなる磁性体部2を骨5の形状に合わせて巻き付ける構造、図5(a)に示すように、磁性体部2を骨5の外周面に応じて湾曲した複数の磁性体片2aで構成し、図5(b)に示すように、対向する磁性体片2a同士を釘や螺子などの固定手段8を用いて骨5に固定する構造、図6(a)に示すように磁性体部2を複数の板状の磁性体片2aで構成し、図6(b)に示すように、複数の磁性体片2aを固定手段8を用いて骨5に固定する構造などとする。
このように、磁性体部2を関節9両側の第1の骨部5a及び第2の骨部5bに固定し、人体組織7の外部から磁場発生部3を用いて磁場を印加することにより、一対の磁性体部2を互いに引き合わせることができるため、従来のように、人体組織7の外部から骨5に釘などを打ち込まなくても、第1の骨部5aと第2の骨部5bとを適度な圧力で押しつけて関節を固定することができる。その結果、釘などの挿入部から細菌が侵入して合併症を引き起こすことなく関節疾患を治療することができる。また、コイル4bに流す電流を予め定めた周期で変動させることにより、一対の骨部に加わる力を変化させることができるため、関節疾患の治癒時間を短縮させることもできる。
なお、上記各実施例では、骨折部又は関節の両側の骨部に一対の磁性体部2を取り付け、磁場発生部3に設けた一対のコイル4bで磁化する構成について示したが、磁性体部2の一方を永久磁石とし、他方の磁性体部2のみをコイル4bで磁化する構成としたり、骨折部又は関節の両側の骨部4a、4bに一対の永久磁石及び磁性体部2を取り付け、永久磁石と磁化された磁性体部2の双方で骨部を固定する構成とすることもできる。
また、上記説明では、骨折部又は関節を本発明の創外固定器のみを用いて固定する場合について示したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、他の種類の固定方法、例えば、ギブスと併用して骨折部又は関節両側の骨部を固定することもでき、その場合はギブスを筐体4aの代わりとして、ギブスの外側にコイル4bを巻回することもできる。
本発明の創外固定器を下腿の脛骨の骨折に適用した場合を示す斜視図である。 本発明の第1の実施例に係る創外固定器の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の第1の実施例に係る創外固定器の構成を模式的に示す上面図及び側断面図である。 本発明の第1の実施例に係る磁性体部の構成のバリエーションを模式的に示す斜視図である。 本発明の第1の実施例に係る磁性体部の固定方法の一例を模式的に示す図である。 本発明の第1の実施例に係る磁性体部の構成のバリエーションを模式的に示す斜視図及び上面図である。 本発明の第1の実施例に係る磁性体部の構成のバリエーションを模式的に示す斜視図及び上面図である。 本発明の第1の実施例に係る磁性体部の構成のバリエーションを模式的に示す斜視図及び上面図である。 本発明の第1の実施例に係る創外固定器の他の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の第2の実施例に係る創外固定器の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の第2の実施例に係る磁場発生部のコイルに流れる電流の時間変化を示す図である。 本発明の第3の実施例に係る創外固定器の構成を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1 創外固定器
2 磁性体部
2a 磁性体片
3 磁場発生器
4a 筐体
4b コイル
4c 電流源
4d 制御部
5 骨
5a 第1の骨部
5b 第2の骨部
6 骨折部
7 人体組織
8 固定手段
9 関節

Claims (2)

  1. 骨折部又は関節両側の第1の骨部及び第2の骨部の各々の外周に、他方の骨部側にはみ出さないように固定される、磁性材料からなる一対の磁性体部と、
    前記骨折部又は関節近傍の人体組織の外側に配置され、前記磁性体部を磁化させる磁場を発生させる磁場発生部と、で構成され
    前記磁場発生部で発生される磁場により、前記一対の磁性体部が対向する面が互いに引き合うように磁化され、前記第1の骨部及び前記第2の骨部が固定されることを特徴とする創外固定器。
  2. 前記磁場発生部は、前記骨折部周囲の前記人体組織の外側に配置される筒状の筐体と、磁気的軸が前記第1の骨部又は前記第2の骨部の延在方向に略一致するように、前記筐体の周囲に螺旋状に巻回される1又は複数のコイルと、前記コイルに電流を供給する電流源とを少なくとも備え、前記電流源では、前記コイルに、電流値の符号が同じでその大きさが周期的に変動する電流を供給し、前記電流値の変動に対応して前記一対の磁性体部の引力が周期的に変化して骨癒合が促進されることを特徴とする請求項1記載の創外固定器。
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