JP4327380B2 - 蛍光画像表示方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、励起光の照射により生体組織から発生した蛍光を検出し、生体組織に関する情報を表す画像として表示する蛍光画像表示方法および蛍光画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、所定の波長帯域の励起光を生体被測定部に照射した場合に、正常組織と病変組織では、発する蛍光強度が異なることを利用して、生体被測定部に所定波長の励起光を照射し、生体被測定部が発する蛍光を受光することにより病変組織の局在・浸潤範囲を蛍光画像として表示する技術が提案されている。
【0003】
通常、励起光を照射すると、図21に示すように、正常組織からは強い蛍光が発せられ、病変組織からは微弱な蛍光が発せられるため、蛍光強度を測定することにより、病変状態を判定できる。
【0004】
この種の蛍光画像表示装置は基本的に、励起光を生体被測定部に対して照射する励起光照射手段と、生体組織が発する蛍光から蛍光像を取得する蛍光像取得手段と、この蛍光像取得手段の出力を受けて上記蛍光像を表示する表示手段とからなるものであり、多くの場合、体腔内部に挿入される内視鏡や、コルポスコープあるいは手術用顕微鏡等に組み込まれた形に構成される。
【0005】
ところで、上述のような蛍光画像表示装置においては、生体の部位に凹凸があるため励起光照射系から生体被測定部までの距離が均一ではなく、生体の励起光照射部分における励起光照度は一般に不均一である。蛍光強度は励起光照度にほぼ比例し、励起光照度は上記距離の2乗に反比例して低下する。そのため、光源から遠くにある正常組織よりも近くにある病変組織の方が強い蛍光を発する場合があり、観察者が蛍光強度のみに基づいた判定を行うと、病変状態の判定を誤ることもあり得る。
【0006】
このような不具合を低減するため、本出願人は、正常組織から発せられる蛍光強度と病変組織から発せられる蛍光強度の差が大きい波長帯域480nm近傍の狭帯域の蛍光画像と、可視波長帯域の広帯域の蛍光画像とを撮像し、狭帯域の蛍光画像と、広帯域の蛍光画像の光強度の除算値を求め、この除算値に基づいた疑似カラー画像を表示する蛍光画像表示装置を提案している。
【0007】
すなわち、上記除算により励起光光源および蛍光受光部と生体被測定部との距離に依存する蛍光強度の項はキャンセルされ、蛍光スペクトルの形状の違いのみが反映された表示が得られる。
【0008】
また、一方では、本出願人は、生体組織の部位が受光した励起光の光強度と、この励起光の受光により前記部位から発せられた蛍光の光強度との比、すなわち励起光を照射する距離や角度によって影響を受けない値である蛍光収率を反映した値を求めることにより被測定部の組織性状を識別する方式も提案している。
【0009】
上記蛍光収率を反映した値を求める際に、励起光は種々生体組織に対して一様な吸収を受けないため、反射された励起光の強度分布を測定しても生体組織が受光した励起光の強度分布を正しく測定したことにはならない。
【0010】
そこで、蛍光収率を求める1つの方策として、種々生体組織に対して一様な吸収を受ける近赤外光を参照光として生体組織に照射し、反射された前記参照光の反射光を反射画像として撮像し、その光強度を生体組織が受光した励起光の光強度の代わりとして用いて、蛍光画像と、反射画像の光強度の除算値を求め、この除算値に基づいた疑似カラー画像を表示する蛍光画像表示装置を提案している。
【0011】
すなわち、上記除算により励起光光源および蛍光受光部と生体被測定部との距離に依存する蛍光強度の項はキャンセルされ、蛍光収率の違いのみが反映された表示が得られる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、蛍光画像間あるいは蛍光画像と反射画像間の除算を行うことにより、距離情報をキャンセルした疑似カラー画像は、生体組織から発せられる蛍光に関する情報を含むものの、病変状態の判定を行う上で、貴重な情報である生体組織の形状に関する情報が省略された合成画像となってしまう。また観察者にとっては、凹凸感の全くない平坦な印象を与える合成画像は、違和感の強いものとなる。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、励起光を照射された被測定部から発せられた蛍光に関する情報とともに、被測定部の形状に関する情報を含む画像を表示し、観察者に違和感を与えることのない、蛍光画像表示方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
さらに、上記のように被測定部の形状に関する情報を含む画像を表示するため、
上記反射画像の光強度に基づいて輝度画像を生成し、上記擬似カラー画像と輝度画像を合成して診断画像を得るようにした場合には、参照光の照射による反射光の強度が弱いときには、その反射光の強度に基づく輝度画像はモノクロ画像であるため、画像全体が暗くなり、測定対象が視認できない場合がある。例えば、上記技術による蛍光画像表示装置が、体腔内部に挿入される内視鏡や、コルポスポープあるいは手術用顕微鏡等に組み込まれた形に構成された場合、体内挿入部を対象とされる被測定部付近まで挿入したとき、その先端が固定されていないため被測定部との距離が数mmから50mm程度の範囲に及ぶ。従って、体内挿入部先端と被測定部との距離が離れてしまった場合には、上記のように参照光の照射による反射光の強度が弱くなり、その結果輝度画像全体が暗くなり、測定対象が視認できない状況となってしまう。
【0015】
本発明は、上記事情にも鑑みてなされたものであり、参照光の照射による反射光の強度が弱い場合でも、十分な明るさを持つ診断画像を表示することができる蛍光画像表示装置を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の蛍光画像表示方法は、励起光を被測定部に照射することにより被測定部から発生する蛍光の強度に基づく蛍光画像を撮像し、蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成し、蛍光画像に組織性状画像に割り当てられた色情報および輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に前記被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成し、組織性状画像と組織形状画像とを合成して合成画像を生成し、合成画像を表示することを特徴とするものである。
【0017】
ここで、上記「蛍光画像に基づく演算画像」とは、例えば、複数の異なる波長帯域の蛍光画像の比から算出される画像とすることができ、上記比としては除算値を用いることができる。なお、除算値としては、蛍光画像の画素値に補正値を加算した上での除算による値や、除算した値に数学的処理を施した値等、除算に類する演算により算出された値も含むものである。また、演算画像を蛍光画像そのものとしてもよい。
【0018】
また、上記「色情報」とは、例えば、顕色系(HSB/HVC/Lab/Luv/La/Lu色空間)や混色系(XYZ色空間)の色相、彩度、色度(色相および彩度)、TV信号等に代表される映像信号の色差(例えば、NTSC信号のYIQのIQ、YCbCrのCbCr等)などを意味する。
【0019】
また、上記「輝度情報」とは、例えば、顕色系(HSB/HVC/Lab/Luv/La/Lu色空間)や混色系(XYZ色空間)の明度、輝度、TV信号等に代表される映像信号の輝度(例えば、NTSC信号のYIQのY、YCbCrのY等)などを意味する。
【0020】
また、上記「演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てる」とは、演算画像の画素値の大きさに応じて異なる色相、彩度、色度、色差、明度などの少なくとも1つを示す数値を各画素に割り当てることを意味する。
【0021】
また、上記「蛍光画像に組織性状画像に割り当てられた色情報および輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てる」とは、上記のように演算画像に割り当てられた色情報および輝度情報との組み合わせを考慮して、蛍光画像に適当な色相、彩度、色度、色差、明度などの少なくとも1つを割り当てることを意味する。
【0022】
本発明の第2の蛍光画像表示方法は、励起光を被測定部に照射することにより被測定部から発生する蛍光の強度に基づく蛍光画像を撮像し、参照光を被測定部に照射することにより被測定部から反射される反射光の強度に基づく反射画像を撮像し、蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成し、反射画像に組織性状画像に割り当てられた色情報および輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成し、組織性状画像と組織形状画像とを合成して合成画像を生成し、合成画像を表示することを特徴とするものである。
【0023】
ここで、上記「蛍光画像に基づく演算画像」とは、例えば、複数の異なる波長帯域の蛍光画像の比から算出される画像、所定の波長帯域の蛍光画像と上記反画像の比から算出するものとすることができ、上記比としては除算値を用いることができる。なお、除算値としては、蛍光画像または反射画像の画素値に補正値を加算した上での除算による値や、除算した値に数学的処理を施した値等、除算に類する演算により算出された値も含むものである。また、演算画像を蛍光画像そのものとしてもよい。
【0024】
また、上記「反射画像に組織性状画像に割り当てられた色情報および輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てる」とは、上記のように演算画像に割り当てられた色情報および輝度情報との組み合わせを考慮して、反射画像に適当な色相、彩度、色度、色差、明度などの少なくとも1つを割り当てることを意味する。
【0025】
また、上記第1および第2の蛍光画像表示方法においては、撮像されたいずれかの画像の画素値の統計量を算出し、その統計量に基づいて輝度情報の表示階調を割り当てるようにすることができる。
【0026】
ここで、上記「撮像されたいづれかの画像」とは、第1の蛍光画像表示方法においては上記演算画像または上記蛍光画像を意味し、第2の蛍光画像表示方法においては上記演算画像、上記蛍光画像または上記反射画像を意味する。
【0027】
また、上記「統計量」とは、例えば、平均値、標準偏差、最大値および最小値などを意味するが統計的な量を示すものであれば如何なるものでもよい。
【0028】
また、「統計量に基づいて輝度情報の表示階調を割り当てる」とは、上記統計量や上記統計量の組み合せ(例えば、平均値と標準偏差、平均値と最大値、平均値と最大値と最小値、平均値と標準偏差と最大値と最小値、最大値と標準偏差、最大値と最小値、最大値と最小値と標準偏差などの組み合せ)に基づいて、上記統計量の算出に用いられた上記撮像されたいづれか画像の各画素に、その画素値の大きさに応じて輝度情報の表示階調を示す数値を割り当てることを意味する。
【0029】
また、統計量を、撮像されたいずれかの画像の一部の所望領域から算出するようにすることができる。
【0030】
ここで、上記「一部の所望領域」とは、上記撮像されたいずれかの画像の範囲で特に注目して観察したい画像領域を意味する。
【0031】
また、統計量に基づいて所定の係数を算出し、その算出された係数を撮像されたいずれかの画像に乗じ、その係数の乗じられた前記撮像されたいずれかの画像に輝度情報の表示階調を割り当てるようにすることができる。
【0032】
ここで、上記「統計量に基づいて所定の係数を算出する」とは、例えば(1)式により係数を算出することを意味する。
上記撮像されたいずれかの画像の画素値の平均値をm、標準偏差をσ、任意の定数a、b、cとすると、
輝度情報の表示階調の上限×a≒(m+b×σ)×c …(1)
そして、上記「係数の乗じられた前記撮像されたいずれかの画像に輝度情報の表示階調を割り当てる」とは、図19に示すように、画素値分布10を係数を乗ずることにより画素値分布20とし、この画素値分布20の値に対して輝度情報の表示階調を示す階調処理関数30に従って輝度情報を示す数値を割り当てることを意味する。
【0033】
また、統計量に基づいて輝度情報の表示階調を示す階調処理関数を決定し、その決定された階調処理関数に基づいて前記撮像されたいずれかの画像に輝度情報の表示階調を割り当てるようにすることができる。
【0034】
ここで、「統計量に基づいて輝度情報の表示階調を示す階調処理関数を決定する」とは、例えば、図20に示すように、階調処理関数30に対して上記撮像されたいづれかの画像の画素値分布10が図20のように分布した場合、階調処理関数30を階調処理関数40に変更することを意味する。つまり、
輝度情報の表示階調の上限≒m+b×σ
輝度情報の表示階調の下限≒m−b×σ
となるように階調処理関数を書き直すことを意味し、具体的には、変更前の階調処理関数をf(x)、Min=m−b×σ、Max=m+b×σとしたとき、
f(x)をf(x−Min/(Max−Min))と書き直すことを意味する。
【0035】
そして、「決定された階調処理関数に基づいて前記撮像されたいづれかの画像に輝度情報の表示階調を割り当てる」とは、画素値分布10の値に対して階調処理関数40に従って輝度情報の表示階調を示す数値を割り当てることを意味する。
【0036】
本発明の第1の蛍光画像表示装置は、励起光を被測定部に照射することにより被測定部から発生する蛍光の強度に基づく蛍光画像を撮像する蛍光像撮像手段と、蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成する組織性状画像生成手段と、蛍光画像に組織性状画像に割り当てられた色情報および輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成する組織形状画像生成手段と、組織性状画像と組織形状画像とを合成して合成画像を生成する合成画像生成手段と、合成画像生成手段により生成された合成画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0037】
本発明の第2の蛍光画像表示装置は、励起光を被測定部に照射することにより被測定部から発生する蛍光の強度に基づく蛍光画像を撮像する蛍光像撮像手段と、参照光を被測定部に照射することにより被測定部から反射される反射光の強度に基づく反射画像を撮像する反射像撮像手段と、蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成する組織性状画像生成手段と、反射画像に組織性状画像に割り当てられた色情報および輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成する組織形状画像生成手段と、組織性状画像と組織形状画像とを合成して合成画像を生成する合成画像生成手段と、合成画像生成手段により生成された合成画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0038】
また、上記第1および第2の蛍光画像表示装置においては、演算画像を複数の異なる波長帯域の蛍光画像の比に基づくものとすることができる。
【0039】
また、上記第2の蛍光画像表示装置においては、演算画像を蛍光画像と反射画像の比に基づくものとすることができる。
【0040】
また、上記第1および第2の蛍光画像表示装置においては、撮像されたいずれかの画像の画素値の統計量を算出する統計量算出手段と、その統計量に基づいて輝度情報の表示階調を割り当てる階調処理手段とを備えたものとすることができる。
【0041】
また、統計量算出手段を、前記撮像されたいずれかの画像の一部の所望領域から統計量を算出するものとすることができる。
【0042】
また、階調処理手段を、統計量に基づいて所定の係数を算出し、前記撮像されたいずれかの画像に係数を乗じ、その係数の乗じられた前記撮像されたいずれかの画像に輝度情報の表示階調を割り当てるものとすることができる。
【0043】
また、階調処理手段を、統計量に基づいて輝度情報の表示階調を示す階調処理関数を決定し、その決定された階調処理関数に基づいて前記撮像されたいずれかの画像に輝度情報の表示階調を割り当てるものとすることができる。
【0044】
また、前記撮像されたいずれかの画像の画素値が、9bit以上で示される場合、そのデータが上位8bit以下で示されるようビットシフトするビットシフト手段を備え、統計量算出手段が、そのビットシフトされたデータに基づいて統計量を算出するものとすることができる。
【0045】
ここで、「上位8bit以下で示されるようビットシフトする」とは、上記画像の画素値を示すデータが9bit以上で示される場合、上位8bit以下のbitについては丸めこみをして8bit以下で示されるデータとし、8bitの汎用統計演算機により演算できるようにすることを意味する。
【0046】
また、階調処理手段をON/OFF可能であるものとすることができる。
【0047】
ここで、上記階調処理手段をONにするとは階調処理を施すことを意味し、階調処理手段をOFFにするとは階調処理を施さないことを意味し、上記「ON/OFF可能」とは階調処理を施す場合と施さない場合とを切り換えることが可能であること意味する。階調処理を施さない場合とは、例えば、上記組織性状画像に輝度情報が割り当てられた場合であり、このとき上記階調処理を施すと組織性状(病変または正常)に関わらず明度等が変化し、組織性状の判断ができなくなるためである。また、このとき、階調処理を施さずに上記組織性状画像に基づく合成画像を表示し、組織性状を一旦判断した後に、上記階調処理手段をONに切り換えて階調処理を上記組織性状画像に施すようにすれば、観察画面内での組織性状の詳細な変化を見ることができる。
【0048】
また、上記のように組織性状画像に輝度情報が割り当てられた場合以外の場合においても、例えば、被測定部との距離が突然近くなったり、遠くなったりした場合に、表示される画像の輝度情報の表示階調が大きく変動することをさけるため階調処理手段はOFFできるようにしておくことが望ましい。
【0049】
また、合成画像生成手段を、組織性状画像と組織形状画像とを合成して合成画像を生成する際に、両画像の画素数が異なる場合には、いづれか一方の画素数に変換した後、合成画像を生成するものとすることができる。
【0050】
ここで、「両画像の画素数が異なる場合には、いずれか一方の画素数に変化する」とは、例えば一方の画像の画素数が100×100画素であり、他方の画像の画素数が500×500画素であった場合に、100×100画素の画像の1つの画素を5×5個の画素に変換することにより、その画像の画素数を100×100画素から500×500画素に拡大処理することを意味する。また、逆に画素数が少ない画像の画素数に変換する場合には縮小処理すればよく、上記各台処理および縮小処理には、一般的な画像処理における手法を利用することができる。
【0051】
また、生体内部に挿入される内視鏡挿入部を有する内視鏡の形態とすることができる。
【0052】
また、励起光の光源をGaN系の半導体レーザとし、その励起光の波長帯域を400nmから420nmまでの範囲内とすることができる。
【0053】
また、上記第1および第2の蛍光画像表示装置は、被測定部への白色光の照射により反射される反射光に基づく通常画像を撮像して表示するものと組み合わせてもよい。
【0054】
【発明の効果】
一般に「色」という概念は、「色知覚による色」と「色感覚による色」とに区別されている。「色知覚による色」とは、知覚色とも呼ばれ、心理量として人間の知覚した色を記号、色表等を用いて定性的に規定するものである。一方、「色感覚による色」は、心理物理量とも呼ばれ、心理量としての色とそれを感じさせる物理量としての光の分光特性の対応関係を測定する心理物理実験によって、心理物理量として定量的に規定されるものである。また、色を表示する体系である表色系には、知覚色を表示する顕色系と、心理物理色を表示する混色系とがある。
【0055】
顕色系の代表的なもののひとつに、マンセル表色系がある。マンセル表色系では、色を色相(H:hue)、彩度(S:saturation)、明度(V:value)の3属性で定義している。色相(H)は、赤、青、黄といった色の違いを区別するものであり、まず、R(赤)、Y(黄)、G(緑)、B(青)、P(紫)の5つの色を基本色相とし、これら図1に示すような1つの円(色相環)の円周上に円を5等分するように配列する。次にその基本色相の中間にYR、GY、BG、PB、RPなる中間色を配置している。一般に、基本色相および中間色相には数字5を付与し、相隣合った色相の間を10等分した100色相を用いることが多いが、基本色相である5Rからの回転角度を用いれば、色相を連続値として表すこともできる。この場合には、例えば5Rは、H=0rad と表示され、5YはH=1/3rad 、5GはH=2/3rad と表示できる。
【0056】
明度(V)は、色の明るさを示す尺度として定義され、反射率0%の理想の黒の明度を0、反射率100%の理想の白の明度を10として表される。一般に人間の明るさの感覚は、反射率に比例せず、例えば反射率が約20%程度のものを中間の明るさとして認識するため、マンセルの明度尺度は、ほぼ反射率の平方根に比例している。
【0057】
彩度(S)は、色の鮮やかさの程度を示す尺度として定義され、各明度、色相ごとに、無彩色(灰色)を彩度0と定義して、もっとも鮮やかな色(単色)までを等間隔に区切り数字で表現している。
【0058】
彩度を中心からの距離で表した色相環を明度ごとに作成し、これを明度の低いものから順に同心円状に積み重ねると、マンセルの3属性は、図2に示すような円筒形の色立体として表現できる。全ての色はこの色立体のどこかに位置づけられる。一般に、知覚色は、明度に対応する1次元座標(明度指数と呼ばれる)と、色相および彩度の属性を統合して考えた知覚色度と呼ばれる2次元座標からなる3次元座標空間で表示される。
【0059】
一方、混色系を代表する表色系の代表的なものには、色を3つの源刺激(すなわち3原色の光)で定量的にあつかうCIE(国際照明委員会)表色系があり、主なものに、RGB表色系とXYZ表色系がある。経験的に、あらゆる色は、独立な3つの異なる色である3つの源刺激を適当な割合で混色することによって作り出すことができることが知られている。最も一般的な3つの源刺激は、R(赤)、G(緑)、B(青)であり、これらの源刺激と、これらの源刺激の混合割合を示す3刺激値から、RGB表色系が構成されている。しかしながら、RGB表色系では、連続スペクトル光を加法混色により作成する際の刺激値をプロットした等色関数が波長によって負になるなどの、数学処理上の不便があるため、便宜上等色関数が全て正の値になるような座標変換を行い、RGBに対する新しい仮想的な源刺激であるX、Y、Zを定めた、XYZ表色系が知られている。XYZ表色系では、数学的取り扱いを容易にするために、Z(輝度と呼ばれる)の等色関数が、波長に対する人間の目の感度を示す比視感度に等しくなるように定義されているため、色の明るさは、全てZのみで定められる。また色の違い(色度)は、次式により求められる色度座標xおよびyにより定められる。
【0060】
x=X/(X+Y+Z)
y=Y/(X+Y+Z)
図3は、上記XYZ系のxy色度図を示すものである。色度上の2点を混色した色は、その2点を結ぶ直線上にあり、全ての色はつりがね状の曲線(スペクトル軌跡)とその両端を結ぶ直線(純紫軌跡)に囲まれた領域内の点で表される。なお、領域中央の白色点にむかうほど彩度は低くなる。また図中矢印は、色相の変化を表す。
【0061】
さらに、TV信号等で代表される映像信号系で色を表す場合には、R、G、Bを独立に伝送するのではなく、例えば、NTSC方式では、所定の演算により2つの色差信号I、Qと輝度信号Yに変換され使用される。また、この他にもPAL方式等に代表される映像信号により色を表し使用することが可能である。
【0062】
本発明による第1の蛍光画像表示方法および装置によれば、励起光を被測定部に照射することにより被測定部から発生する蛍光の強度に基づく蛍光画像を撮像し、蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成し、蛍光画像に組織性状画像に割り当てられた色情報および輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成し、組織性状画像と組織形状画像とを合成して合成画像を生成し、合成画像を表示するようにしたので、1枚の合成画像上に、被測定部から発せられた蛍光に関する情報(組織性状に関する情報)と被測定部の組織形状に関する情報とを表示することができ、かつ観察者に違和感を与えることがない。
【0063】
また、本発明による第2の蛍光画像表示方法および装置によれば、励起光を被測定部に照射することにより被測定部から発生する蛍光の強度に基づく蛍光画像を撮像し、参照光を被測定部に照射することにより被測定部から反射される反射光の強度に基づく反射画像を撮像し、蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成し、反射画像に組織性状画像に割り当てられた色情報および輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成し、組織性状画像と組織形状画像とを合成して合成画像を生成し、合成画像を表示するようにしたので、上記第1の蛍光画像表示方法および装置と同様の効果が得られるとともに、組織性状画像を参照光の照射に基づく反射画像から生成するようすることにより、より組織形状を正確に反映した合成画像を表示させることができる。
【0064】
また、上記第1および第2の蛍光画像表示方法および装置において、演算画像を複数の異なる波長帯域の蛍光画像の比に基づくものとした場合には、被測定部から発せられた蛍光の蛍光スペクトルの形状の違いを反映させた演算画像を得ることができるので、被測定部の組織性状をより的確に反映した合成画像を表示することができる。
【0065】
また、上記第2の蛍光画像表示方法および装置において、演算画像を蛍光画像と反射画像の比に基づくものとした場合には、被測定部から発せられた蛍光の蛍光収率を反映させた演算画像を得ることができるので、被測定部の組織性状をより的確に反映した合成画像を表示することができる。
【0066】
また、上記第1および第2の蛍光画像表示方法および装置において、撮像されたいづれかの画像の画素値の統計量を算出し、その統計量に基づいて輝度情報の表示階調を割り当てるようにしたので、輝度情報が割り当てられる画像の画素値が小さい場合においても、常に所定の明るさ以上の合成画像を生成することができ、また、輝度情報の表示階調のダイナミックレンジを擬似的に拡大することができるので、常に視認可能な合成画像を提供することができる。さらに、生体内部に挿入する内視鏡等を利用した場合には、内視鏡先端部が被測定部から離れた場合においても所定の明るさ以上の合成画像を生成することができるので、広い測定距離範囲に渡って視認可能な合成画像を提供することができる。
【0067】
また、上記統計量を、上記画像の一部の所望領域から統計量を算出するようにした場合には、所望領域の輝度情報の表示階調が最適化でき、また、統計量の演算量を減らすことができる。
【0068】
また、上記統計量に基づいて所定の係数を算出し、その算出された係数を上記画像に乗じ、その係数を乗じた上記画像に輝度情報の表示階調を割り当てるものとした場合には、より簡易な演算方法により、適当な輝度情報の表示階調を割り当てることができる。
【0069】
また、統計量に基づいて輝度情報の表示階調を示す階調処理関数を決定し、決定された階調処理関数に基づいて上記画像に輝度情報の表示階調を割り当てるものとした場合には、より簡易な演算方法により、合成画像における輝度情報の表示階調のダイナミックレンジを擬似的により拡大(イコライズ効果)することができる。
【0070】
また、上記色情報として、表色系の顕色系の色度、表色系の混色系の色度または映像信号系の色差を用いた場合には、組織性状画像または組織形状画像への色情報の割り当てを容易に行なうことができる。
【0071】
また、上記輝度情報として、表色系の顕色系の明度、表色系の混色系の明度または映像信号系の輝度を用いた場合には、組織性状画像または組織形状画像への輝度情報の割り当てを容易に行なうことができる。
【0072】
また、例えば、顕色系の1つである、マンセル表色系を使用すれば、色情報を図1に示したマンセルの色相環における色相Hに対応させて定めることができ、容易に色相のみに対応させることができる。
【0073】
また、例えば、混色系の1つである、XYZ表色系を使用すれば、色情報を図3に示したxy色度図上の座標(x,y)に対応させて定めることができ、容易に色度に対応させることができる。
【0074】
また、例えば、映像信号系の色差および輝度を用いた場合には、上記演算画像等から色差信号および輝度信号を決定し、その色差信号および輝度信号を直接ビデオ信号回路等に入力し、合成画像の色(色差および輝度)を決定することができる。
【0075】
また、合成画像を生成する際の数学的処理が簡素化することができる。
【0076】
また、上記統計量を演算する画像の画素値が、9bit以上で示される場合、画素値が上位8bit以下で示されるようビットシフトするビットシフト手段を備え、その統計量算出手段が、ビットシフトされた画素値に基づいて統計量を算出するようにした場合には、8bitの汎用統計演算機を使用することができ、演算処理の高速化を図ることができる。
【0077】
また、上記統計量に基づいて輝度情報の表示階調を割り当てる階調処理をON/OFF可能にした場合には、例えば、上記組織性状画像に輝度情報が割り当てられた場合においても、上記階調処理をOFFにすることにより組織性状の判断を的確に行なうことができ、また、組織性状を一旦判断した後には、上記階調処理手段をONに切り換えて階調処理を上記組織性状画像に施すようにすれば、観察画面内での組織性状の詳細な変化を見ることができる。
【0078】
また、上記のように組織性状画像に輝度情報が割り当てられた場合以外の場合においても、例えば、被測定部との距離が突然近くなったり、遠くなったりした場合などに階調処理をOFFにできるので表示される画像の輝度情報の表示階調の大きな変動を回避することができる。
【0079】
また、統計量を、画素値の平均値または最大値を含む組み合せとした場合には、統計量の演算を比較的容易に行なうことができ、また、適当な明るさの表示階調を割り当てることができる。
【0080】
また、上記組織性状画像と組織形状画像とを合成して合成画像を生成する際に、両画像の画素数が異なる場合には、いづれか一方の画素数に変換した後、合成画像を生成するようにしたので、例えば、画素数の少ない方の画像の画素数を画素数の大きい方の画素数に一致させた後、両画像に基づいて合成画像を生成した場合、例えば、蛍光等の光量が小さいため、蛍光画像を撮像する際、ビニング処理などを施す必要があり、蛍光画像の画素数が反射画像の画素数より少なくなる場合においても、合成画像の画素数を反射画像の画素数に合わせて表示することができ、被測定部の組織性状を的確に表示することができる。
【0081】
また、例えば、画素数の多い方の画像の画素数を画素数の少ない方の画素数に一致させた後、両画像に基づいて合成画像を生成した場合には、余計な演算処理を行なうことなく画像処理の高速化を図ることができる。
【0082】
また、励起光の光源に、GaN系の半導体レーザを用いれば、安価で小型な光源とすることができ、また、その波長帯域が400nmから420nmまでの範囲内とすれば、効率よく蛍光を発せられることができる。
【0083】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず、図4および図5を参照して、本発明による蛍光画像表示方法を実施する蛍光画像表示装置を適用した第1の具体的な実施の形態である蛍光内視鏡装置について説明する。図4は本発明による蛍光画像表示装置を適用した蛍光内視鏡装置の概略構成図である。本蛍光内視鏡装置では、励起光が照射された被測定部から発せられた蛍光をイメージファイバにより2次元的に検出し、波長帯域光430nm〜530nmの狭帯域蛍光画像と波長帯域光430nm〜730nmの広帯域蛍光画像とを撮像し、両画像の画素値の除算値に基づいて演算画像を生成し、その演算画像にマンセル表色系における色相Hを割り当てて主に組織性状を示す組織性状画像を生成し、また白色光を照射された被測定部の反射光からIR反射画像を撮像し、IR反射画像の画素値にマンセル表色系における明度Vを割り当てて主に組織形状を示す組織性状画像を生成し、上記組織形状画像と上記組織性状画像を合成した合成画像をモニタ上に表示するものである。
【0084】
本発明の第1の実施の形態にかかる蛍光内視鏡装置は、患者の病巣と疑われる部位に挿入される内視鏡挿入部100、通常画像およびIR反射画像撮像用の白色光および蛍光画像撮像用の励起光を発する光源を備える照明ユニット110、波長帯域の異なる2種類の蛍光画像およびIR反射画像を撮像する撮像ユニット120、蛍光画像間の除算値を算出してその除算値に基づいた演算画像に色相を割り当てて組織性状画像を生成し、IR反射画像の画素値に明度Vを割り当てて組織形状画像を生成し、上記組織性状画像と上記組織形状画像を合成し合成画像を生成する合成画像生成ユニット130、通常画像および合成画像を可視画像として表示するための画像処理を行う画像処理ユニット140、各ユニットに接続され、動作タイミングの制御を行う制御用コンピュータ150、画像処理ユニット140で処理された通常画像を可視画像として表示するモニタ160、および画像処理ユニット140で処理された合成画像を可視画像として表示するモニタ170から構成されている。
【0085】
内視鏡挿入部100は、内部に先端まで延びるライトガイド101、CCDケーブル102およびイメージファイバ103を備えている。ライトガイド101およびCCDケーブル102の先端部、即ち内視鏡挿入部100の先端部には、照明レンズ104および対物レンズ105を備えている。また、イメージファイバ103は石英ガラスファイバであり、その先端部には集光レンズ106を備えている。CCDケーブル102の先端部にはCCD撮像素子107接続され、該CCD撮像素子107には、プリズム108が取り付けられている。ライトガイド101は、多成分ガラスファイバである白色光ライトガイド101aおよび石英ガラスファイバである励起光ライトガイド101bバンドルされ、ケーブル状に一体化されており、白色光ライトガイド101aおよび励起光ライトガイド101bは照明ユニット110へ接続されている。CCDケーブル102の一端は、画像処理ユニット140に接続され、イメージファイバ103の一端は、撮像ユニット120へ接続されている。
【0086】
照明ユニット110は、通常画像およびIR反射画像撮像用の白色光L1を発する白色光源111、該白色光源111に電気的に接続された白色光源用電源112、蛍光画像撮像用の励起光L2を発するGaN系半導体レーザ114および該GaN系半導体レーザ114に電気的に接続されている半導体レーザ用電源115を備えている。
【0087】
撮像ユニット120は、イメージファイバ103を経た蛍光L3から励起光近傍の波長である420nm以下の波長帯域をカットする励起光カットフィルタ121、3種類の光学フィルタが組み合わされた切換フィルタ122、該切換フィルタ122を回転させるフィルタ回転装置124、切換フィルタ122を透過した蛍光像またはIR反射像を撮像するCCD撮像素子125、該CCD撮像素子125で撮像された蛍光画像およびIR反射画像をデジタル化するA/D変換回路126およびA/D変換回路126でデジタル化された画像信号を記憶する画像メモリ127とを備えている。
【0088】
上記切換フィルタ122は図5に示すような、430nm〜730nmの光を透過させるバンドパスフィルタである光学フィルタ123aと、480nm±50nmの光を透過させるバンドパスフィルタである光学フィルタ123bと、750nm〜900nmの光を透過させるバンドパスフィルタである光学フィルタ123cとから構成されている。光学フィルタ123aは、広帯域蛍光画像撮像用の光学フィルタであり、光学フィルタ123bは、狭帯域蛍光画像撮像用の光学フィルタであり、光学フィルタ123cは、IR反射画像撮像用の光学フィルタである。この切換フィルタ122は、白色光L1が照射されている場合には、光路上に光学フィルタ123cが配置され、励起光L2が照射されている場合には、光学フィルタ123aまたは光学フィルタ123bが交互に配置されるように、フィルタ回転装置124を介して制御用コンピュータ150に制御されている。
【0089】
CCD撮像素子125は、500×500画素の撮像素子であり、制御用コンピュータ150の制御によりIR反射画像を撮像する際には、通常の読み出しを行うが、蛍光画像を撮像する際には、蛍光画像の信号強度を上げるために、5×5個分の画素の出力を加算した上で読み出すビニング読み出しを行う。このため、蛍光画像を撮像する際には、見かけ上は100×100画素の撮像素子として動作する。
【0090】
画像メモリ127は、図示省略した狭帯域蛍光画像記憶領域、広帯域蛍光画像記憶領域およびIR反射画像記憶領域から構成され、励起光L2が照射され、狭帯域蛍光画像撮像用の光学フィルタ123aが光路上に配置された状態で撮像された蛍光画像は狭帯域蛍光画像記憶領域に保存され、励起光L2が照射され、広帯域蛍光画像撮像用の光学フィルタ123bが光路上に配置された状態で撮像された蛍光画像は広帯域蛍光画像記憶領域に保存される。また白色光L1が照射され、IR反射画像撮像用の光学フィルタ123cが光路上に配置された状態で撮像されたIR反射画像はIR反射画像記憶領域に保存される。
【0091】
前述したように、読み出し方法が異なるため、IR反射画像の画素数は500×500画素であり、狭帯域蛍光画像および広帯域蛍光画像の画素数は100×100画素となる。
【0092】
合成画像生成ユニット130は、予め、蛍光画像間の除算値の範囲とマンセルの色相環における色相H(0rad 〜2/3rad ,Red〜Yellow〜Green領域)とが対応したルックアップテーブルが記憶され、上記演算画像に色相Hを割り当てて組織性状画像を生成する組織性状画像生成手段131、予めIR反射画像の画素値の範囲と、マンセル表色系における明度V(Value)とが対応したルックアップテーブルが記憶され、上記反射画像に明度Vを割り当てて組織形状画像を生成する組織形状画像生成手段132、上記両画像に基づいて合成画像を生成する合成画像生成手段133から構成されている。
【0093】
画像処理ユニット140は、CCD撮像素子107で撮像された通常画像をデジタル化するA/D変換回路141、デジタル化された通常画像を保存する通常画像用メモリ143、該通常画像用メモリ143から出力された通常画像および合成画像生成手段133で合成された合成画像をビデオ信号に変換するビデオ信号処理回路144を備えている。
【0094】
以下、本発明による蛍光表示装置を適用した上記構成の蛍光内視鏡装置の作用について説明する。本実施形態の蛍光内視鏡装置では、通常画像およびIR反射画像の撮像と、蛍光画像の撮像が時分割で交互に行われるが、まず、蛍光画像の撮像時の作用について説明する。
【0095】
本蛍光内視鏡装置は、制御用コンピュータ150からの信号に基づき、半導体レーザ用電源115が駆動され、GaN系半導体レーザ114から波長410nmの励起光L2が射出される。励起光L2は、励起光用集光レンズ116を透過し、励起光ライトガイド101bに入射され、内視鏡挿入部先端まで導光された後、照明レンズ104から生体組織50へ照射される。
【0096】
励起光L2を照射されることにより生じる生体組織50からの蛍光L3は、集光レンズ106により集光され、イメージファイバ103の先端に入射され、イメージファイバ103を経て、レンズ128により集光され、励起光カットフィルタ121および切換フィルタ122の光学フィルタ123aまたは123bを透過する。
【0097】
光学フィルタ123aは、波長帯域430nm〜730nmの光を透過させるバンドパスフィルタであり、光学フィルタ123aを透過した蛍光は、広帯域蛍光画像となる。光学フィルタ123bは、波長帯域480±50nmの光を透過させるバンドパスフィルタであり、光学フィルタ123bを透過した蛍光は、狭帯域蛍光画像となる。
【0098】
広帯域蛍光画像および狭帯域蛍光画像は、CCD撮像素子125で受光され、光電変換された後、ビニング読み出しにより5×5画素分の信号が加算されて読み出され、A/D変換回路126でデジタル信号に変換され、画像メモリ127の広帯域蛍光画像記憶領域および狭帯域蛍光画像記憶領域に保存される。上記のようにビニング読み出しを行なうことにより光強度の弱い蛍光像を精度良く撮像することができるが、蛍光画像の画素数は、通常読み出しを行った場合の1/25である100×100画素となる。
【0099】
次に、IR反射画像の撮像時の作用について説明する。まず、制御用コンピュータ150からの信号に基づき白色光源電源112が駆動され、白色光源111から白色光L1が射出される。白色光L1は、白色光用集光レンズ113を経て白色光ライトガイド101aに入射され、内視鏡挿入部先端まで導光された後、照明レンズ104から生体組織50へ照射される。白色光L1の反射光L4は、集光レンズ106により集光され、イメージファイバ103の先端に入射され、イメージファイバ103を経て、レンズ128により集光され、励起光カットフィルタ121および切換フィルタ122の光学フィルタ123cを透過する。
【0100】
光学フィルタ123cは、波長帯域750nm〜900nmの光のみを透過させるバンドパスフィルタであるため、光学フィルタ123cを透過したIR反射像は、反射光L4の中の近赤外波長帯域のみが透過したIR反射像となる。
【0101】
このIR反射像は、CCD撮像素子125で受光される。CCD撮像素子125で光電変換されたIR反射画像は、A/D変換回路126でデジタル信号に変換された後、画像メモリ127のIR反射画像記憶領域に保存される。
【0102】
次に、合成画像の生成の作用について説明する。まず、合成画像生成ユニット130の組織性状画像生成手段131では、画像メモリ127の広帯域蛍光画像記憶領域および狭帯域蛍光画像記憶領域に保存された狭帯域蛍光画像および広帯域蛍光画像の各画素毎に、狭帯域蛍光画像における画素値を広帯域蛍光画像における画素値で除算し、その除算値と予め記憶されているルックアップテーブルを用いて、マンセル表色系における色相H(Hue)を割り当てて組織性状画像を生成し、合成画像生成手段133に出力する。
【0103】
また、組織形状画像生成手段132では、画像メモリ127のIR反射画像記憶領域に保存されたIR反射画像の各画素毎に、その画素値とルックアップテーブルを用いて、マンセル表色系における明度Vを割り当てて組織形状画像を生成し、合成画像生成手段133に出力する。
【0104】
合成画像生成手段133は、組織性状画像の1画素のデータを、5×5個の画素のデータに変換し、組織性状画像の画素数を100×100画素から500×500画素に拡大し、その後に、その組織性状画像と明度Vに基づいた組織形状画像を合成して合成画像を生成する。なお、画像をカラー表示する場合に、色の3属性である、色相、明度と彩度が必要であるため、画像合成の際には、マンセル表色系における彩度S(Saturation)として、各色相、明度毎の最大値を設定する。
【0105】
その後、RGB変換を行い、合成画像を生成しビデオ信号処理回路144へ出力する。
【0106】
ビデオ信号処理回路144によってビデオ信号に変換された合成画像は、モニタ170に入力され、該モニタ170に可視画像として表示される。上記一連の動作は、制御用コンピュータ150によって制御される。
【0107】
次に、通常画像の撮像時の作用について説明する。通常画像撮像時は、制御用コンピュータ150からの信号に基づき白色光源電源112が駆動され、白色光源111から白色光L1が射出される。白色光L1は、白色光用集光レンズ113を経て白色光ライトガイド101aに入射され、内視鏡挿入部先端まで導光された後、照明レンズ104から生体組織50へ照射される。
【0108】
白色光L1の反射光L4は対物レンズ105によって集光され、プリズム108に反射して、CCD撮像素子107に結像される。
【0109】
CCD撮像素子107からの映像信号はA/D変換回路142へ入力され、デジタル化された後、通常画像用メモリ143に保存される。その通常画像用メモリ143により保存された通常画像信号は、ビデオ信号処理回路144によってビデオ信号に変換された後にモニタ160に入力され、該モニタ160に可視画像として表示される。上記一連の動作は、制御用コンピュータ150によって制御される。
【0110】
上記のような作用により、表示された合成画像の色相は、2種類の蛍光画像間の画素値の除算値、すなわち生体組織50から発せられた蛍光の蛍光スペクトルの形状の違いを反映させたものとなり、明度は、IR反射画像の画素値、すなわち生体組織50の形状を反映させたものとなるので、1枚の画像に、生体組織50から発せられた蛍光に関する情報とともに、被測定部の形状に関する情報を表示することができ、観察者に違和感を与えることがない。このため、観察者は、容易に被測定部の組織性状を判定することができる。
【0111】
また、蛍光画像間の画素値の除算値に基づいて、マンセルの色相環における色相Hを定めたことにより、画素値の除算値を、容易に色相のみに対応させることができ、正確に蛍光の蛍光スペクトルの形状の違いを、合成画像に反映させることができる。
【0112】
さらに、蛍光画像は、撮像する際にビニング読み出しにより読み出されるため、蛍光画像の画素数は100×100画素であるが、合成画像を生成する際に、組織性状画像の1画素のデータを、5×5個の画素のデータに変換し、組織性状画像の画素数を100×100画素から500×500画素に拡大し、その後に、その組織性状画像と明度Vに基づいた組織形状画像を合成して合成画像を生成したので、表示画像の画素数は、500×500画素に対応したものとなり、被測定部の形状を明瞭に表示することができる。
【0113】
また、励起光L2の光源として、GaN系半導体レーザ114を用いたため、安価で小型な光源により励起光を照射することができる。また、励起光の波長を、410nmとしたため、生体組織50から効率良く蛍光が発せられる。
【0114】
なお、上記第1の実施の形態の変型例として、合成画像を生成する際に、蛍光画像間の除算値と、予め蛍光画像間の除算値と対応して色相が記憶されているルックアップテーブルを用いて色相を定める代わりに、表1に示すような符号なし16bitに変換された2種類の蛍光画像の画素値と色相Hが記憶されているルックアップテーブルを用いて色相Hを割り当てるものが考えられる。この場合には、蛍光画像間の除算が不用になるため、蛍光画像の画素値が小さい場合等でも、安定した数学的処理が可能となる。
【0115】
【表1】
Figure 0004327380
次に図5および図6を参照して、本発明による蛍光画像表示方法を実施する蛍光画像撮像装置を適用した第2の具体的な実施の形態である蛍光内視鏡装置について説明する。図6は本発明による蛍光画像撮像装置を適用した蛍光内視鏡装置の概略構成図である。なお、本実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様の要素については同じ番号を付するものとし、特に必要のない限りその説明を省略する。
【0116】
本発明による第2の実施の形態にかかる蛍光内視鏡装置は、患者の病巣と疑われる部位に挿入される内視鏡挿入部100、通常画像およびIR反射画像撮像用の白色光および蛍光画像用の励起光を発する光源を備えた照明ユニット110、波長帯域の異なる2種類の蛍光画像およびIR反射画像を撮像する撮像ユニット300、蛍光画像間の除算地を算出してその除算値に基づいた演算画像に色相Hを割り当てて組織性状画像を生成し、IR反射画像の画素値に明度Vを割り当てて組織形状画像を生成し、上記組織性状画像と上記組織形状画像を合成し合成画像を生成する合成画像生成ユニット400、通常画像および合成画像を可視画像として表示するための画像処理を行う画像処理ユニット500、各ユニットに接続され、動作タイミングの制御を行う制御用コンピュータ200、画像処理ユニット500で処理された通常画像を可視画像として表示するモニタ601、および画像処理ユニット500で処理された合成画像を可視画像として表示するモニタ602から構成される。
【0117】
撮像ユニット300には、イメージファイバ103を経た蛍光L3から励起光近傍の波長である420nm以下の波長帯域をカットする励起光カットフィルタ302、3種類の光学フィルタが組み合わされた切換フィルタ303、該切換フィルタ303を回転させるフィルタ回転装置304、切換フィルタ303を透過した蛍光像またはIR反射像を撮像するCCD撮像素子306、該CCD撮像素子306で撮像された信号をデジタル化するA/D変換回路307を備えている。
【0118】
上記切換フィルタ303は、上記第1の実施の形態と同様に、3種類の光学フィルタ303a、303bおよび303cから構成され、光学フィルタ303aは430nmから730nmまでの波長の広帯域の蛍光像を透過させるバンドパスフィルタであり、光学フィルタ303bは430nmから530nmの狭帯域の蛍光像を透過させるバンドパスフィルタであり、光学フィルタ303cは750nmから900nmのIR反射像を透過させるバンドパスフィルタである。
【0119】
合成画像生成ユニット400は、デジタル化された異なる2つの波長帯域の蛍光画像信号データを記憶する蛍光画像用メモリ401、IR反射画像信号データを記憶するIR反射画像用メモリ403、蛍光画像用メモリ401に記憶された2つの波長帯域の蛍光画像の各画素値の比に応じた演算を行って、各画素の演算値に色相Hを割り当てて組織性状画像を生成する組織性状画像生成手段402、IR反射画像用メモリ403に記憶されたIR反射画像の各画素値のうち、9bit以上の画素値については、8bitにビットシフトするビットシフト手段409、ビットシフト手段409から出力された各画素値の所定の統計量を算出する8bitの統計量演算機を備えた統計量算出手段404、統計量算出手段404から出力された統計量に基づいて所定の係数を算出する係数算出手段405、係数算出手段405から出力された所定の係数をIR反射画像の各画素値に乗ずる係数乗算手段406、係数乗算手段406から出力された各画素値に明度Vの表示階調を割り当てて組織形状画像を生成する組織形状画像生成手段407、組織性状画像生成手段402から出力された組織性状画像と組織形状画像生成手段407から出力された組織形状画像を合成して合成画像として出力する合成画像生成手段408を備えている。なお、本実施の形態では、異なる2つの波長帯域の蛍光画像を蛍光画像用メモリ401に記憶し、IR反射画像をIR反射画像用メモリ403に記憶するようにしたが、蛍光画像用メモリ401とIR反射画像用メモリ403を共通化してもよい。その場合、その共通化したメモリは狭帯域蛍光画像記憶領域、広帯域蛍光画像記憶領域およびIR反射画像記憶領域から構成され、光学フィルタ303aを透過した蛍光画像は、広帯域蛍光画像記憶領域に保存され、光学フィルタ303bを透過した蛍光画像は、狭帯域蛍光画像記憶領域に保存され、光学フィルタ303cを透過したIR反射画像は、IR反射画像記憶領域に保存されるようにすればよい。
【0120】
画像処理ユニット500は、CCD撮像素子107で得られた映像信号をデジタル化するA/D変換回路501、デジタル化された通常画像を保存する通常画像用メモリ502、該通常画像用メモリ502から出力された画像信号および合成画像生成手段408から出力された合成画像信号をビデオ信号に変換するビデオ信号処理回路503を備えている。
【0121】
次に、以上のように構成された本実施の形態による蛍光画像表示装置を適用した蛍光内視鏡装置の作用について説明する。本実施形態の蛍光内視鏡装置も、上記第1の実施の形態と同様に、通常画像およびIR反射画像の撮像と、蛍光画像の撮像が時分割で交互に行われるが、蛍光画像の撮像時の作用、IR反射画像および通常画像の撮像時の作用も上記実施の形態と同様であるため、その説明を省略し、上記第1の実施の形態とは異なる合成画像の生成の作用について説明する。
【0122】
撮像ユニット300でCCD撮像素子306により撮像され、デジタル化された広帯域蛍光画像および狭帯域蛍光画像は、蛍光画像用メモリ401に保存される。なお、CCD撮像素子306により撮像さた広帯域蛍光画像は、蛍光画像用メモリ401の図示省略した広帯域蛍光画像領域に保存され、狭帯域蛍光画像は、図示省略した狭帯域蛍光画像領域に保存される。そして、同じく撮像ユニット300でCCD撮像素子306により撮像され、デジタル化されたIR反射画像は、反射画像用メモリ403に保存される。
【0123】
蛍光画像用メモリ401に保存された広帯域蛍光画像および狭帯域蛍光画像は、組織性状画像生成手段402で、上記第1の実施の形態と同様に各画像の各画素値の除算を行い演算画像を生成し、その演算画像の画素値に色相Hを割り当てて組織性状画像を生成して出力する。また、IR反射画像用メモリ403に保存されたIR反射画像は、ビットシフト手段409にて全ての画素値について9bit以上のデータは8bitのデータにビットシフトされた後、統計量演算手段404に出力され、統計量演算手段404で各画素値の平均値mおよび標準偏差σが算出される。そして、平均値mおよび標準偏差σは係数算出手段405に出力される。係数算出手段405では、下式(2)に従って係数cが決定され、係数cは係数乗算手段406にてIR反射画像の各画素値の乗ぜられ、各画素の演算値は組織形状画像生成手段407に出力される。組織形状画像生成手段407では、各画素の演算値に明度Vの表示階調が割り当てられ組織形状画像を生成し出力する。
【0124】
輝度の表示階調の上限×a≒(m+b+σ)×c…(2)
組織性状画像生成手段402から出力された組織性状画像と組織形状画像生成手段407から出力された組織形状画像は、上記第1の実施の形態と同様に、合成画像生成手段408にて合成され、ビデオ信号処理回路503に出力される。
【0125】
ビデオ信号処理回路503によってビデオ信号に変換された合成画像は、モニタ602に入力され、該モニタ602に可視画像として表示される。上記一連の動作は、制御用コンピュータ150によって制御される。なお、その他の作用については上記第1の実施の形態と同様である。
【0126】
また、上記組織性状画像の生成と組織形状画像の生成の作用については、組織性状画像を生成した後、組織形状画像を生成して両画像を合成するといった直列的な処理により行なわれてもよいし、組織性状画像の生成と組織形状画像の生成を同時に行なった後、合成するといった並列的な処理により行なわれてもよい。並列的な処理を行なった場合、処理速度の高速化を図ることができる。
【0127】
また、上記第2の実施の形態における階調処理はON/OFF可能にしておくことが望ましい。
【0128】
また、上記第2の実施の形態においては、IR反射画像の画素値より統計量として平均値と標準偏差を算出して、所定の係数cを算出するようにしたが、統計量として最大値と最小値の組み合わせを利用する場合は、例えば、(3)式により係数cを求めるようにすればよい。
【0129】
最大値をmax、最小値をmin、IR反射画像に乗ずる係数をc、任意の定数をa、bとすると、
輝度の表示階調の上限×a
≒((max+min)/2+b×(max−min)/2)×c …(3)
また、上記第2の実施の形態において、統計量演算手段404で演算される統計量は、同一フレームにおいてリアルタイムに撮像されているIR反射画像に基づくものでなくてもよく、前のフレームにおいて撮像されたIR反射画像に基づくものとしてもよい。
【0130】
上記第2の実施の形態の蛍光内視鏡装置によれば、IR反射画像の画素値の統計量を算出し、その統計量に基づいて輝度情報の表示階調を割り当てるようにしたので、輝度情報が割り当てられる画像の画素値が小さい場合においても、常に所定の明るさ以上の合成画像を生成することができ、また、輝度情報の表示階調のダイナミックレンジを擬似的に拡大することができるので、常に視認可能な合成画像を提供することができる。さらに、内視鏡先端部が被測定部から離れた場合においても所定の明るさ以上の合成画像を生成することができるので、広い測定距離範囲に渡って視認可能な合成画像を提供することができる。
【0131】
次に、本発明による蛍光画像表示方法を実施する蛍光画像撮像装置を適用した第3の具体的な実施の形態である蛍光内視鏡装置について説明する。本実施の形態は、上記第1の実施形態または第2の実施形態において、狭帯域蛍光画像と広帯域蛍光画像の除算値に基づく演算画像に色相Hを割り当てて組織性状画像を生成していたのを、上記演算画像に彩度Sを割り当てて組織性状画像を生成し、上記組織形状画像と合成して合成画像を生成し表示するようにしたものである。組織形状画像については、上記第1および第2の実施の形態と同様に反射画像に明度Vを割り当てて生成する。本実施の形態により生成された合成画像は、色の三属性で表した場合、図7の斜線で示される範囲の色で表示されることになる。つまり、例えば、色相を緑とした場合(色相は適当なものを用いればよい。)、内視鏡挿入部100の先端から被測定部までの距離が近い正常組織については、鮮やかな明るい緑、上記距離が遠い正常組織については、鮮やかな暗い緑、上記距離が近い病変組織については色味のない明るい白、上記距離が遠い病変組織については色味のない暗い黒で表示されることになる。その他の構成および作用については、上記第1または第2の実施の形態と同様である。
【0132】
また、上記第1から第3の実施の形態においては、白色光源111を通常画像用の白色光および参照光の光源として共通なものとしているが、それぞれの光源を別個に設ける構成としてもよい。
【0133】
また、上記第1から第3の実施の形態では、狭帯域蛍光画像と広帯域蛍光画像の比に基づいて演算画像を算出するようにしているが、狭帯域蛍光画像とIR反射画像の比に基づいて演算画像を算出するようにしてもよい。また、上記のように演算画像を算出することなく蛍光画像そのものに色相または彩度を割り当てるようにしてもよい。
【0134】
また、蛍光画像およびIR反射画像を撮像するCCD撮像素子を共通なものとしているが、それぞれ別個に設けてもよい。さらに、狭帯域蛍光画像および広帯域蛍光画像のそれぞれに別個にCCD撮像素子を設けるようにしてもよい。このように別個にCCD撮像素子を設けることにより、時系列にそれぞれ撮像するのではなく、並列的に撮像することが可能となる。
【0135】
次に、本発明による蛍光画像表示方法を実施する蛍光画像表示装置を適用した第4の蛍光内視鏡装置について説明する。図8は本発明による蛍光画像表示装置を適用した蛍光内視鏡装置の概略構成図である。
【0136】
本実施の形態のによる蛍光内視鏡装置は、面順次光(Lr、Lg、Lb)の照射により被測定部から反射された反射光をCCD撮像素子156により通常画像として撮像してモニタ161に表示し、一方、励起光の照射により被測定部から発せられた蛍光に基づいて狭帯域蛍光画像と広帯域蛍光画像をCCD撮像素子156により撮像し、両者の除算値に基づいてXYZ表色系における色度座標x,yを割り当てて組織性状画像を生成し、また参照光の照射により被測定部から反射された反射光をIR反射画像として撮像し、その画素値に基づいて輝度Zを割り当てて組織形状画像を生成し、上記組織性状画像および上記組織形状画像に基づいた合成画像をモニタ162に表示するものである。
【0137】
本発明の第4の実施の形態にかかる蛍光内視鏡装置は、先端部にCCD撮像素子156が設けられ、患者の病巣と疑われる部位に挿入される内視鏡挿入部350、通常画像撮像用の照明光である面順次光(R光Lr、G光LgおよびB光Lb)と蛍光画像撮像用の励起光L2とIR反射画像用の参照光L5を射出する照明ユニット310、上記蛍光画像間の除算値を算出してその除算値に基づいた演算画像に色度(色相および彩度)を割り当てて組織性状画像を生成し、IR反射画像の画素値に輝度Zを割り当てて組織形状画像を生成し、上記組織性状画像と上記組織形状画像を合成し合成画像を生成する合成画像生成ユニット330、通常画像および合成画像を可視画像として表示するための画像処理を行う画像処理ユニット340、各ユニットに接続され、動作のタイミングの制御を行う制御用コンピュータ360、画像処理ユニット340で処理された通常画像を可視画像として表示するモニタ161、および画像処理ユニット340で処理された合成画像を可視画像として表示するモニタ162から構成されている。
【0138】
内視鏡挿入部350は、内部に先端まで延びるライトガイド351およびCCDケーブル352を備え、ライトガイド351の先端部には照明レンズ154が設けられ、CCDケーブル352の先端部には対物レンズ155が設けられている。CCDケーブル352の先端部には、微小な帯域フィルタがモザイク状に組み合わされたモザイクフィルタ354がオンチップされたCCD撮像素子156が接続され、そのCCD撮像素子156には、プリズム157が取り付けられている。
【0139】
ライトガイド351は、面順次光用ライトガイド351a、励起光用ライトガイド351bおよび参照光用ライトガイド351cがバンドルされ、ケーブル状に一体化されており、各ライトガイドは、照明ユニット310に接続されている。
【0140】
CCDケーブル352は、CCD撮像素子156の駆動信号が送信される駆動ライン353aとCCD撮像素子156からの信号を読み出す出力ライン353bとが組み合わされ、駆動ライン353aの一端は、制御用コンピュータ360に接続され、出力ライン353bの一端は、合成画像生成ユニット330および画像処理ユニット340へ接続されている。
【0141】
モザイクフィルタ354は図9に示すように、430nm〜530nmの波長帯域の光を透過させる狭帯域フィルタ354aと、全波長帯域の光を透過させる全帯域フィルタ354bが交互に組み合わされ、各帯域フィルタはCCD撮像素子156の画素に一対一で対応している。
【0142】
照明ユニット310は、白色光を射出する白色光源111、その白色光源111に電気的に接続される白色光源用電源112、白色光をR光Lr、G光LgおよびB光Lbに、順次色分解するための切換フィルタ314、切換フィルタ314を回転させるフィルタ回転部315、蛍光画像撮像用の励起光L2を発するGaN系半導体レーザ211、そのGaN系半導体レーザ211に電気的に接続される半導体レーザ用電源212、IR反射画像撮像用の参照光L5を発する半導体レーザである参照光源311、その参照光源311に電気的に接続される参照光源用電源312を備えている。
【0143】
上記切換フイルタ314は、図10に示すように、R光を透過するRフィルタ314a、G光を透過するGフィルタ314b、B光を透過するBフィルタ314cおよび遮光機能を有するマスク部314dとから構成されている。
【0144】
合成画像生成ユニット330は、励起光L2または参照光L5が照射された時に、CCD撮像素子156で撮像された画像信号をデジタル化するA/D変換回路331、励起光L1が照射された時にモザイクフィルタ354の狭帯域フィルタ354aと対応する画素で受光した狭帯域蛍光画像と、励起光L2が照射された時に全帯域フィルタ354bと対応する画素で受光した広帯域蛍光画像と、参照光L5が照射された時にモザイクフィルタ354の全帯域フィルタ354bと対応する画素で受光した反射画像とを、異なる記憶領域に保存する画像メモリ332と、画像メモリ332に記憶された隣接する画素で撮像された狭帯域蛍光画像と広帯域蛍光画像の除算値を算出し、各画素の演算値に色度座標x,yを割り当てて組織性状画像を生成する組織性状画像生成手段333、画像メモリ332に記憶されたIR反射画像の各画素値のうち、9bit以上の画素値については、8bitにビットシフトするビットシフト手段335、ビットシフト手段335から出力された各画素値の所定の統計量を算出する8bitの統計量演算機を備えた統計量算出手段336、統計量算出手段336から出力された統計量に基づいて階調処理関数を決定する階調処理関数決定手段337、階調処理関数決定手段337から出力された階調処理関数に基づいてIR反射画像の各画素値に輝度Zの表示階調を割り当てて組織形状画像を生成する組織形状画像生成手段338、組織性状画像生成手段333から出力された組織性状画像と組織形状画像生成手段338から出力された組織形状画像を合成して合成画像として出力する合成画像生成手段334を備えている。
【0145】
組織性状画像生成手段333には、予め、蛍光画像の除算値とXYZ表色系における色度座標x,yとが対応したルックアップテーブルが記憶されている。このルックアップテーブルでは、上記除算値が符号なし16bi変換された値と、図3に示すxy色度図において、Red(650nm)〜Yellow〜Green(520nm)領域へかけてのスペクトル軌跡上の座標が、表2に示すように対応されている。
【0146】
【表2】
Figure 0004327380
画像処理ユニット340は、R光Lr、G光LgまたはB光Lbが照射された時に、モザイクフィルタ354の広帯域フィルタ354bと対応する画素の画像信号をデジタル化するA/D変換回路342、デジタル化された通常画像を各色毎に保存する通常画像用メモリ343、通常画像を表示する際には、該通常画像用メモリ343から同期をとって出力された3色の画像信号をビデオ信号に変換して出力し、また蛍光画像を表示する際には、上記の合成画像生成ユニット330から出力された合成画像をビデオ信号に変換して出力するビデオ信号処理回路344を備えている。
【0147】
次に、上記実施の形態における蛍光内視鏡装置の作用について説明する。本蛍光内視鏡装置においては、通常画像の撮像と、IR反射画像の撮像と、蛍光画像の撮像とが時分割で行われ、通常像に基づいた通常画像はモニタ161に表示され、蛍光L3および反射光L4に基づいた合成画像はモニタ162に表示される。各像を時分割で撮像するために、照明ユニット310からは、R光Lr、G光Lg、B光Lb、励起光L2および参照光L5が順次射出される。
【0148】
まず、蛍光画像およびIR反射画像を撮像し、両画像に基づいて合成画像を生成し表示する作用について説明をする。蛍光画像撮像時は、制御用コンピュータ350からの信号に基づき、半導体レーザ用電源212が駆動され、GaN系半導体レーザ211から波長410nmの励起光L2が射出される。励起光L2は、レンズ213を透過し、励起光用ライトガイド351bに入射され、内視鏡挿入部先端まで導光された後、照明レンズ154から被測定部50へ照射される。
【0149】
励起光L2を照射されることにより生じる被測定部50からの蛍光は、集光レンズ155により集光され、プリズム157に反射して、モザイクフィルタ354を透過して、CCD撮像素子156上に蛍光像として結像される。この際励起光L2の反射光は、励起光カットフィルタ355によりカットされるため、CCD撮像素子156に入射することはない。
【0150】
CCD撮像素子156により光電変換された画像信号は、合成画像生成ユニット330のA/D変換回路331でデジタル信号に変換されて、狭帯域フィルタ354aを透過した狭帯域蛍光画像と全帯域フィルタ354bを透過した広帯域蛍光画像に分けて、画像メモリ332のそれぞれの記憶領域へ記憶される。
【0151】
次に、参照光L5の照射によるIR反射画像を撮像する際の動作を説明する。コントローラ350からの信号に基づき、参照光源用電源312が駆動され、参照光源311から参照光L5が射出される。参照光L5は、参照光用レンズ313を透過し、参照光用ライトガイド351cに入射され、内視鏡挿入部先端まで導光された後、照明レンズ154から被測定部50へ照射される。
【0152】
被測定部50で反射された参照光L5の反射光L6は、集光レンズ155により集光され、プリズム157に反射して、モザイクフィルタ354を透過して、CCD撮像素子156上にIR反射光像として結像される。CCD撮像素子156により光電変換された画像信号は、全帯域フィルタ354bに対応する画素で受光された信号のみが合成画像生成ユニット330のA/D変換回路331でデジタル信号に変換されて、画像メモリ332の上記蛍光画像が記憶された領域とは異なる領域へIR反射画像として記憶される。
【0153】
画像メモリ332に保存された狭帯域蛍光画像および広帯域蛍光画像については、各画素毎に狭帯域蛍光画像の画素値が広帯域蛍光画像の画素値で除算され、その除算値を符号なし16bitに変換した後、予め記憶されているルックアップテーブルを用いて、XYZ表色系における色度座標x,yを割り当てて組織性状画像を生成し、合成画像生成手段233に出力する。
【0154】
また、画像メモリ332に保存されたIR反射画像は、ビットシフト手段335にてビットシフトされた後、統計量演算手段336で各画素値の平均値mおよび標準偏差σが算出される。そして、平均値mおよび標準偏差σは階調処理関数決定手段337に出力される。階調処理関数決定手段337では、変更前の階調処理関数をf(x)とすると、f(x)をf(x−Min/(Max−Min))(ここで、Min=m−b×σ、Max=m+b×σ)と書き直すことにより階調処理関数を変更して決定する。
【0155】
組織形状画像生成手段338では、その変更された階調処理関数に基づいてIR反射画像の各画素値にXYZ表色系における輝度Zの表示階調を割り当てて組織形状画像を生成し出力する。
【0156】
そして、合成画像生成手段334は組織性状画像と輝度Zに基づいた組織形状画像を合成して合成画像を生成する。
【0157】
合成画像生成の際には、まず、色度座標x,yおよび輝度Zと、次式からX、Y、Zを求める。
【0158】
x=X/(X+Y+Z)
y=Y/(X+Y+Z)
z=Z/(X+Y+Z)
その後、次式を用いて、RGB変換を行い、合成画像を生成しビデオ信号処理回路344へ出力する。
【0159】
R= 0.41844X−0.15866Y−0.08283Z
G=−0.09117X+0.25242Y+0.01570Z
B= 0.00092X−0.00255Y−0.17858Z
ビデオ信号処理回路344によってビデオ信号に変換された合成画像は、モニタ162に入力され、該モニタ162に可視画像として表示される。上記一連の動作は、制御用コンピュータ360によって制御される。
【0160】
なお、本実施の形態では、演算画像にXYZ表色系における色度座標x,yを割り当てて組織性状画像を生成するようにしたが、色情報として色差信号を使用してもよい。この場合、演算画像に色差信号IQを割り当てて組織性状画像を生成し、IR反射画像に輝度信号Yを割り当てて組織形状画像を生成するようにすれば、演算画像から決定した色差信号IQとIR反射画像から決定した輝度信号Yをビデオ信号処理回路344に直接入力することができるので、RGB信号を生成する必要がなくなり、装置を簡略化することができる。
【0161】
次に、通常画像を表示する際の動作を説明する。この動作は、時分割で撮像されること以外は、第1の実施の形態とほぼ同様の動作であるため、動作の異なる部分を主に説明する。
【0162】
まず、R光Lrが被測定部へ照射され、被測定部50で反射されたR光Lrの反射光は、CCD撮像素子156上にR光反射像として結像される。CCD撮像素子156より出力された信号の中で、モザイクフィルタ354の全帯域フィルタ354bと対応する画素で受光したR画像信号は、A/D変換回路342でデジタル信号に変換され、通常画像用メモリ343のR画像信号の記憶領域へ記憶される。以後、同様な動作によりG画像信号およびB画像信号が取得され、それぞれ、通常画像用メモリ343のG画像信号の記憶領域およB画像信号の記憶領域へ記憶される。
【0163】
3色の画像信号が通常画像用メモリ343に記憶されると、表示タイミングに合わせて同期をとって出力され、ビデオ信号処理回路344で、ビデオ信号に変換されて、モニタ161に出力され、カラー画像として表示される。
【0164】
なお、上記第4の実施の形態の変型例として、合成画像を生成する際に、予め蛍光画像間の除算値と対応して、色度座標x,yが記憶されているルックアップテーブルを用いて色度座標x,yを定める代わりに、表3に示すような符号なし16bitに変換された各蛍光画像の画素値と対応してRed(650nm)〜Yellow〜Green(520nm)領域の色相が記憶されているルックアップテーブルを用いて色度座標x,yを定めるものが考えられる。
【0165】
【表3】
Figure 0004327380
また、上記第4の実施の形態では、色空間としてXYZ色空間を利用するようにしたが、HSV色空間を利用するようにしてもよく、例えば、演算画像に色相と彩度を割り当てて組織性状画像を生成した場合、合成画像は図11の斜線部で示される範囲の色で表示される。つまり、内視鏡挿入部100の先端から被測定部までの距離が近い正常組織については、鮮やかな明るい緑、上記距離が遠い正常組織については、鮮やかな暗い緑、上記距離が近い病変組織については色味のない明るい赤、上記距離が遠い病変組織については色味のない暗い赤で表示されることになる。また、彩度の割り当てについては、上記のような割り当て方とは逆に、つまり、正常組織には低い彩度を割り当て、病変組織には高い彩度を割り当てるようにしてもよく、この場合、診断時に病変組織をより正確に画像として検出することができる。
【0166】
また、上記第4の実施の形態における階調処理はON/OFF可能にしておくことが望ましい。
【0167】
また、上記第4の実施の形態では、IR反射画像の画素値より統計量として平均値と標準偏差を算出して、階調処理関数を変更するようにしたが、統計量として最大値と最小値の組み合わせを利用する場合は、例えば、IR反射画像の画素値の最大値をmax、最小値をmin、任意の定数をα、βとすると、
輝度の表示階調の上限
≒(max+min)/2+α×(max−min)/2
輝度の表示階調の下限
≒(max+min)/2−β×(max−min)/2
となるように階調処理関数を書き直すようにすればよい。
【0168】
また、上記第4の実施の形態において、統計量演算手段336で演算される統計量は、同一フレームにおいてリアルタイムに撮像されているIR反射画像に基づくものでなくてもよく、前のフレームにおいて撮像されたIR反射画像に基づくものとしてもよい。
【0169】
次に、本発明による蛍光画像撮像装置を適用した第5の具体的な実施の形態である蛍光内視鏡装置について説明する。本実施の形態は、上記第1から第4の実施形態において、狭帯域蛍光画像と広帯域蛍光画像の除算値に基づく演算画像に色相Hまたは色度(色相および彩度)を割り当てて組織性状画像を生成していたのを、上記演算画像に明度V(輝度Z)を割り当てて組織性状画像を生成し、上記組織形状画像と合成して合成画像を生成し表示するようにしたものである。組織形状画像については、上記第1から第4の実施の形態と同様に反射画像に明度V(輝度Z)を割り当てて生成するようにすればよい。本実施の形態により生成された合成画像は、色の三属性で表した場合、図12の太線矢印で示される範囲の色で表示されることになる。つまり、例えば、色相を緑とした場合(色相は適当なものを用いればよい)、内視鏡挿入部の先端から被測定部までの距離が近い正常組織については、明るい緑、上記距離が遠い正常組織については、暗い緑、上記距離が近い病変組織については暗い緑、上記距離が遠い病変組織についてはより暗い緑で表示されることになる。その他の構成および作用については、上記第1から第4の実施の形態と同様である。
【0170】
次に、本発明による蛍光画像表示方法を実施する蛍光画像表示装置を適用した第6の実施の形態である蛍光内視鏡装置について説明する。図13は本発明による蛍光画像表示装置を適用した蛍光内視鏡装置の概略構成図である。なお、本実施の形態において、上記第4の実施の形態と同様の要素については同じ番号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
【0171】
本実施の形態のによる蛍光内視鏡装置は、面順次光(Lr、Lg、Lb)の照射により被測定部から反射された反射光をCCD撮像素子156により通常画像として撮像してモニタ161に表示し、一方、励起光の照射により被測定部から発せられた蛍光に基づいて広帯域蛍光画像をCCD撮像素子156により撮像し、また、参照光として上記R光Lrを利用し、そのR光Lrの照射により被測定部50から反射された反射光L7をIR反射画像として撮像し、広帯域蛍光画像とIR反射反射画像の除算値に基づいて演算画像を算出し、その演算画像の画素値に基づいて色相Hを割り当てて組織性状画像を生成し、また、IR反射画像の画素値に基づいて彩度Sおよび明度Vを割り当てて組織形状画像を生成し、上記組織性状画像および上記組織形状画像に基づいた合成画像をモニタ162に表示するものである。
【0172】
本発明の第6の実施の形態にかかる蛍光内視鏡装置は、先端部にCCD撮像素子156が設けられ、患者の病巣と疑われる部位に挿入される内視鏡挿入部350、通常画像撮像用の照明光および参照光である面順次光(R光Lr、G光LgおよびB光Lb)と蛍光画像撮像用の励起光L2を射出する照明ユニット370、上記広帯域蛍光画像とIR反射画像の除算値を算出してその除算値に基づいた演算画像に色相Hを割り当てて組織性状画像を生成し、IR反射画像の画素値に彩度および明度を割り当てて組織形状画像を生成し、上記組織性状画像と上記組織形状画像を合成し合成画像を生成する合成画像生成ユニット380、通常画像および合成画像を可視画像として表示するための画像処理を行う画像処理ユニット340、各ユニットに接続され、動作のタイミングの制御を行う制御用コンピュータ360、画像処理ユニット340で処理された通常画像を可視画像として表示するモニタ161、および画像処理ユニット340で処理された合成画像を可視画像として表示するモニタ162から構成されている。
【0173】
ライトガイド351は、面順次光用のライトガイド351a、励起光用のライトガイド351bがバンドルされ、ケーブル状に一体化されており、各ライトガイドは、照明ユニット310に接続されている。
【0174】
照明ユニット370は、白色光を射出する白色光源111、その白色光源111に電気的に接続される白色光源用電源112、白色光をR光、G光およびB光に、順次色分解するための切換フィルタ314、切換フィルタ314を回転させるフィルタ回転部315、蛍光画像撮像用の励起光L2を発するGaN系半導体レーザ211、そのGaN系半導体レーザ211に電気的に接続される半導体レーザ用電源212を備えている。
【0175】
合成画像生成ユニット380は、励起光L2またはR光Lrが照射された時に、CCD撮像素子156で撮像された画像信号をデジタル化するA/D変換回路381、広帯域蛍光画像とIR反射画像とを異なる記憶領域に保存する画像メモリ382と、画像メモリ382に記憶された広帯域蛍光画像とIR反射画像の除算値を算出し、各画素の演算値に色相Hを割り当てて組織性状画像を生成する組織性状画像生成手段383、画像メモリ382に記憶されたIR反射画像の各画素値に彩度および明度を割り当てて組織形状画像を生成する組織形状画像生成手段385、組織性状画像生成手段383から出力された組織性状画像と組織形状画像生成手段385から出力された組織形状画像を合成して合成画像として出力する合成画像生成手段384を備えている。
【0176】
画像処理ユニット340は、R光Lr、G光LgまたはB光Lbが照射された時に、CCD撮像素子156により撮像された画像信号をデジタル化するA/D変換回路342、デジタル化された通常画像を各色毎に保存する通常画像用メモリ343、通常画像を表示する際には、該通常画像用メモリ343から同期をとって出力された3色の画像信号をビデオ信号に変換して出力し、また蛍光画像を表示する際には、上記の合成画像生成ユニット380から出力された合成画像をビデオ信号に変換して出力するビデオ信号処理回路344を備えている。
【0177】
次に、上記実施の形態における蛍光内視鏡装置の作用について説明する。本蛍光内視鏡装置においては、通常画像の撮像と蛍光画像の撮像とが時分割で行われ、IR反射画像は通常画像の撮像時におけるR光Lr照射時に同時に撮像される。通常像に基づいた通常画像はモニタ161に表示され、蛍光像およびIR反射光像に基づいた合成画像はモニタ162に表示される。各像を時分割で撮像するために、照明ユニット310からは、R光Lr、G光Lg、B光Lbおよび励起光Lが順次射出される。
【0178】
まず、通常画像を表示する際の動作を説明する。R光Lrが被測定部へ照射され、被測定部50で反射されたR光Lrの反射光L7は、CCD撮像素子156上にR光反射像として結像される。CCD撮像素子156より光電変換されたR画像信号は、A/D変換回路342でデジタル信号に変換され、通常画像用メモリ343のR画像信号の記憶領域へ記憶される。以後、同様な動作によりG画像信号およびB画像信号が取得され、それぞれ、通常画像用メモリ343のG画像信号の記憶領域およB画像信号の記憶領域へ記憶される。また、上記R画像信号はIR反射画像としても利用され、A/D変換回路381でデジタル信号に変換された後、画像メモリ382のIR反射画像の記憶領域へ記憶される。
【0179】
3色の画像信号が通常画像用メモリ343に記憶されると、表示タイミングに合わせて同期をとって出力され、ビデオ信号処理回路344で、ビデオ信号に変換されて、モニタ161に出力され、カラー画像として表示される。
【0180】
次に、蛍光画像およびIR反射画像に基づいて合成画像を生成し表示する作用について説明をする。蛍光画像撮像時は、制御用コンピュータ360からの信号に基づき、半導体レーザ用電源212が駆動され、GaN系半導体レーザ211から波長410nmの励起光L2が射出される。励起光L2は、レンズ213を透過し、励起光用ライトガイド351bに入射され、内視鏡挿入部先端まで導光された後、照明レンズ154から被測定部50へ照射される。
【0181】
励起光L2を照射されることにより生じる被測定部50からの蛍光は、集光レンズ155により集光され、プリズム157に反射して、CCD撮像素子156上に蛍光像として結像される。この際励起光L2の反射光は、励起光カットフィルタ355によりカットされるため、CCD撮像素子156に入射することはない。
【0182】
CCD撮像素子156により光電変換された画像信号は、合成画像生成ユニット380のA/D変換回路381でデジタル信号に変換されて、画像メモリ382の広帯域蛍光画像の記憶領域へ記憶される。
【0183】
一方、画像メモリ382には上記通常画像撮像時に撮像されたIR反射画像がすでに記憶されている。
【0184】
画像メモリ382に保存された広帯域蛍光画像およびIR反射画像については、組織性状画像生成手段382において、各画素毎に広帯域蛍光画像の画素値がIR反射画像の画素値で除算され、その除算値と予め記憶されているルックアップテーブルを用いて、マンセル表色系における色相Hを割り当てて組織性状画像を生成し、合成画像生成手段334に出力する。
【0185】
また、組織形状画像生成手段385では、画像メモリ382のIR反射画像記憶領域に保存されたIR反射画像の各画素毎に、その画素値とルックアップテーブルを用いて、マンセル表色系における明度Vおよび彩度Sを割り当てて組織形状画像を生成し、合成画像生成手段133に出力する。
【0186】
合成画像生成手段133は、その組織性状画像と明度Vおよび彩度Sに基づいた組織形状画像を合成して合成画像を生成する。なお、画像をカラー表示する場合には、RGB変換を行い、合成画像を生成しビデオ信号処理回路344へ出力する。
【0187】
ビデオ信号処理回路144によってビデオ信号に変換された合成画像は、モニタ170に入力され、該モニタ170に可視画像として表示される。上記一連の動作は、制御用コンピュータ150によって制御される。
【0188】
本実施の形態により生成された合成画像は、色の三属性で表した場合、図14の斜線部で示される範囲の色で表示されることになる。つまり、例えば、内視鏡挿入部の先端から被測定部までの距離が近い正常組織については、鮮やかな明るい緑、上記距離が遠い正常組織については、色味のない暗い緑、上記距離が近い病変組織については鮮やかな明るい赤、上記距離が遠い病変組織については色味のない暗い赤で表示されることになる。
【0189】
次に、本発明による蛍光画像表示方法を実施する蛍光画像撮像装置を適用した第7の実施の形態である蛍光内視鏡装置について説明する。本実施の形態は、上記第6の実施形態において広帯域蛍光画像とIR反射画像の除算値に基づく演算画像に色相Hを割り当てて組織性状画像を生成していたのを、上記演算画像に色相および彩度を割り当てて組織性状画像を生成し、上記組織形状画像と合成して合成画像を生成し表示するようにしたものである。本実施の形態により生成された合成画像は、HSV空間で表した場合、図15の斜線部で示される範囲の色で表示されることになる。つまり、例えば、内視鏡挿入部の先端から被測定部までの距離が近い正常組織については、鮮やかな明るい緑、上記距離が遠い正常組織については、色味のない暗い緑、上記距離が近い病変組織については色味のない明るい赤、上記距離が遠い病変組織については色味のないより暗い赤で表示されることになる。その他の構成および作用については、上記第6の実施の形態と同様である。
【0190】
次に、本発明による蛍光画像表示方法を実施する蛍光画像撮像装置を適用した第8の実施の形態である蛍光内視鏡装置について説明する。本実施の形態は、上記第6の実施形態において、IR反射画像に彩度Sおよび明度Vを割り当てて組織形状画像を生成していたものをIR反射画像に彩度Sのみを割り当てて組織形状画像を生成するようにし、上記組織性状画像と合成して合成画像を生成し表示するようにしたものである。本実施の形態により生成された合成画像は、色の三属性で表した場合、図16の斜線部で示される範囲の色で表示されることになる。つまり、例えば、明度を100%とした場合(明度は適当なものを用いればよい)、例えば、内視鏡挿入部の先端から被測定部までの距離が近い正常組織については、鮮やかな緑、上記距離が遠い正常組織については、色味のない緑、上記距離が近い病変組織については鮮やかな赤、上記距離が遠い病変組織については色味のない赤で表示されることになる。その他の構成および作用については、上記第6の実施の形態と同様である。
【0191】
また、上記各実施の形態における組織性状画像への色情報等の割り当て、および組織形状画像への色情報等の割り当ての形態の他にも、例えば、組織性状画像に彩度を割り当てて、組織形状画像には彩度および明度を割り当てるようにしてもよい。この場合、組織性状画像および組織形状画像に基づく合成画像は、図17の斜線部で示される範囲の色で表示されることになる。つまり、例えば、色相を緑とした場合(色相は適当なものを用いればよい)、内視鏡挿入部の先端から被測定部までの距離が近い正常組織については、鮮やかな明るい緑、上記距離が遠い正常組織については、色味のない暗い緑、上記距離が近い病変組織については色味のない明るい白、上記距離が遠い病変組織については色味のない暗い黒で表示されることになる。この場合、第3の実施の形態で用いられた図7に示す範囲の色よりも色味と暗さが強調された色で表示されることになる。また、上記のように組織性状画像および組織蛍光画像の両方に彩度が割り当てられる場合には、例えば、所定の関数fを定め、彩度=f(組織性状画像,組織形状画像)となるように彩度を割り当ててもよい。所定の関数fは、例えば、f(組織性状画像,組織形状画像)=組織性状画像×組織形状画像とすればよい。
【0192】
また、例えば、組織性状画像に明度を割り当てて、組織形状画像には彩度および明度を割り当てるようにしてもよい。この場合、組織性状画像および組織形状画像に基づく合成画像は、図18の斜線部で示される範囲の色で表示されることになる。つまり、例えば、色相を緑とした場合(色相は適当なものを用いればよい)、内視鏡挿入部の先端から被測定部までの距離が近い正常組織については、明るい緑、上記距離が遠い正常組織については、色味のない暗い緑、上記距離が近い病変組織については暗い緑、上記距離が遠い病変組織については色味のない暗い緑(上記距離が遠い正常組織よりも暗い緑)で表示されることになる。
【0193】
また、上記各実施の形態では、組織形状画像を生成する場合に、IR反射画像を利用したが、蛍光画像を利用するようにしてもよい。この場合、IR反射画像は忠実に組織形状、つまり、内視鏡挿入部先端と被測定部との距離情報を反映するが、蛍光画像は上記距離情報および組織性状の情報まで反映する。従って、組織性状画像には色相を割り当て、組織形状画像には蛍光画像に基づいて輝度(明度)を割り当て、この両画像に基づいて合成画像を生成した場合には、この合成画像は正常組織は緑でかつ明るく表示され、病変組織は赤でかつ暗く表示されるので、正常組織と病変組織との区別をより明確にすることができる。
【0194】
また、上記各実施の形態において、組織性状画像または組織形状画像に割り当てられない色情報および輝度情報がある場合には、適宜手動により調整できる形態としておくことが望ましい。特に、色情報の色相が割り当てられない場合には上記のような形態をとることがさらに望ましい。
【0195】
また、上記各実施の形態においては、色情報として顕色系の色相と彩度を利用したが、混色系の色度(XY)、映像信号の色差(例えば、NTSC信号のYIQのIQ等)などを利用してもよい。
【0196】
また、上記実施の形態におけるCCD撮像素子には、電荷倍増型のCCD撮像素子を利用してもよい。電荷倍増型のCCD撮像素子はCMD(Charge Multiplying Detector)−CCDと呼ばれ、強度の電界領域中で電導電子と原子を衝突させ、このイオン化によって生じる電荷倍増効果により信号電荷を倍増し、撮像素子の撮像感度を向上させるものである。
【0197】
また、上記各実施の形態において、通常画像と合成画像を表示する方法については、2つのモニタにより別々に表示する形態となっているが、1つのモニタで兼用して表示するようにしてもよい。その際、通常画像と合成画像の表示の切換えは、制御用コンピュータにより時系列で自動的に行ってもよいし、観察者が適当な切替手段で、任意に切り換える形態であってもよい。
【0198】
また、上記各実施の形態において、イメージファイバは、石英ファイバではなく、多成分ガラスファイバにすることができる。このとき、多成分ガラスファイバに励起光が入射すると蛍光を発するので、励起光カットフィルタを、集光レンズとイメージファイバの蛍光像入射端との間に設置する必要がある。石英ファイバから多成分ガラスファイバにすることにより、コストを低減することができる。
【0199】
また、上記第1から第3の実施の形態においては、通常画像用のCCD撮像素子を内視鏡先端に設置する形態としたが、イメージファイバを用いることにより、撮像ユニット内に設置してもよい。さらに、通常画像用および蛍光画像および反射画像撮像用のイメージファイバと撮像素子を共通化してもよい。この場合には、4分割された切換フィルタ、あるいは4分割されたモザイクフィルタ等を利用して、通常画像を得るためのフィルタ手段を撮像素子の前面に設置しておけばよい。
【0200】
また、上記各実施の形態における合成画像表示の関する画像処理は、各画素単位で行うことに限定されず、測定者の所望する任意の縦横n×m画素単位で行っても良い。
【0201】
また、合成画像表示に関する画像処理を行なっていない領域がある場合には、その領域の表示色を所定の色で表示することにより、合成画像表示に関する処理を行なった領域を明確に表示できる。画像処理を行なう画素を間引いた場合などには、近傍の画像処理結果により補間表示を行うようにしてもよい。
【0202】
また、励起光源は、波長として400nmから420nm程度のいずれのものを選んでもよい。
【0203】
また、励起光源と白色光源を別個のものとしたが、適当な切換フィルタを利用することにより光源を共通化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】マンセル表色系における色相環の説明図
【図2】マンセル色立体の説明図
【図3】XYZ表色系のxy色度図
【図4】本発明の第1の実施の形態による蛍光内視鏡装置の概略構成図
【図5】第1および第2の実施の形態に使用される切換フィルタの概略構成図
【図6】本発明の第2の実施の形態による蛍光内視鏡装置の概略構成図
【図7】本発明の第3の実施の形態の蛍光内視鏡装置により表示される合成画像の色の範囲を示す図
【図8】本発明の第4の実施の形態による蛍光内視鏡装置の概略構成図
【図9】モザイクフィルタの模式図
【図10】第4の実施の形態に使用される切換フィルタの概略構成図
【図11】本発明の第4の実施の形態の蛍光内視鏡装置により表示される合成画像の色の範囲を示す図
【図12】本発明の第5の実施の形態の蛍光内視鏡装置により表示される合成画像の色の範囲を示す図
【図13】本発明の第6の実施の形態による蛍光内視鏡装置の概略構成図
【図14】本発明の第6の実施の形態の蛍光内視鏡装置により表示される合成画像の色の範囲を示す図
【図15】本発明の第7の実施の形態の蛍光内視鏡装置により表示される合成画像の色の範囲を示す図
【図16】本発明の第8の実施の形態の蛍光内視鏡装置により表示される合成画像の色の範囲を示す図
【図17】他の実施の形態の蛍光内視鏡装置により表示される合成画像の色の範囲を示す図
【図18】他の実施の形態の蛍光内視鏡装置により表示される合成画像の色の範囲を示す図
【図19】 IR反射画像に所定の係数を乗じて輝度情報の表示階調を割り当てを行なうことを示す説明図
【図20】階調処理関数を変更して輝度情報の表示階調の割り当てを行なうことを示す説明図
【図21】正常組織と病変組織の蛍光スペクトルの強度分布を示す説明図
【符号の説明】
10、20 画素値分布
30、40 階調処理関数
50 生体組織
100,350 内視鏡挿入部
101 ライトガイド
101a 白色光用ライトガイド
101b,351b 励起光用ライトガイド
102 CCDケーブル
103 イメージファイバ
104,154 照明レンズ
105、155 対物レンズ
106 集光レンズ
107,125,156,306 CCD撮像素子
108,157 プリズム
110,310,370 照明ユニット
111 白色光源
112 白色光源用電源
113 白色光用集光レンズ
114,211 GaN系半導体レーザ
115,212 励起光電源
116,213 励起光用集光レンズ
150,200,360 制御用コンピュータ
120 撮像ユニット
121,302,355 励起光カットフィルタ
122,303 切換フィルタ
123a,123b,123c 光学フィルタ
124,304 フィルタ回転装置
126,141,307,342,501 A/D変換回路
127,332,382 画像メモリ
128,301 レンズ
129,305 蛍光用集光レンズ
130 合成画像生成ユニット
131,383 組織性状画像生成手段
132,385 組織形状画像生成手段
133,384 合成画像生成手段
140,340,500 画像処理ユニット
143,343,502 通常画像用メモリ
144,344,503 ビデオ信号処理回路
160,161,162,170,601,602 モニタ
303a,303b,303c 光学フィルタ
307,331,381,501 A/D変換回路
311 参照光源
312 参照光源用電源
313 参照光用レンズ
314a Rフィルタ
314b Gフィルタ
315c Bフィルタ
330,380 合成画像生成ユニット
333 組織性状画像生成手段
334 合成画像生成手段
335,409 ビットシフト手段
336,404 統計量演算手段
337 階調処理関数決定手段
338 組織形状画像生成手段
351 ライトガイド
351a 面順次光用ライトガイド
351c 参照光用ライトガイド
352 CCDケーブル
353a 駆動ライン
353b 出力ライン
354 モザイクフィルタ
354a 狭帯域フィルタ
354b 全帯域フィルタ
400、800 画像演算ユニット
401 蛍光画像用メモリ
402 組織性状画像生成手段
403 IR反射画像用メモリ
405 係数算出手段
406 係数乗算手段
407 組織形状画像生成手段
408 合成画像生成手段
415 階調処理関数決定手段
502 通常画像用メモリ
503 ビデオ信号処理回路
L1 白色光
L2 励起光
L3 蛍光
L4,L6,L7 反射光
L5 参照光
Lr R光
Lg G光
Lb B光

Claims (27)

  1. 励起光被測定部への照射によって前記被測定部から発せられた蛍光の強度に応じた蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に前記被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成し、
    前記蛍光画像に前記組織性状画像に割り当てられた前記色情報および前記輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に前記被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成し、
    前記組織性状画像と前記組織形状画像とを合成して合成画像を生成し、該合成画像を表示することを特徴とする蛍光画像表示方法。
  2. 励起光被測定部への照射によって前記被測定部から発せられた蛍光の強度に応じた蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に前記被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成し、
    参照光の前記被測定部への照射によって前記被測定部から反射される反射光の強度に応じた反射画像に前記組織性状画像に割り当てられた前記色情報および前記輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に前記被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成し、
    前記組織性状画像と前記組織形状画像とを合成して合成画像を生成し、該合成画像を表示することを特徴とする蛍光画像表示方法。
  3. 前記演算画像が、複数の異なる波長帯域の前記蛍光画像の比に基づくものであることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光画像表示方法。
  4. 前記演算画像が、前記蛍光画像と前記反射画像の比に基づくものであることを特徴をする請求項2記載の蛍光画像表示方法。
  5. 前記演算画像または前記蛍光画像の画素値の統計量を算出し、該統計量に基づいて前記輝度情報の表示階調を割り当てることを特徴とする請求項1項記載の蛍光画像撮像方法。
  6. 前記演算画像、前記蛍光画像または前記反射画像の画素値の統計量を算出し、該統計量に基づいて前記輝度情報の表示階調を割り当てることを特徴とする請求項2記載の蛍光画像撮像方法。
  7. 前記統計量を、該統計量の算出対象の画像の一部の所望領域から算出することを特徴とする請求項5または6記載の蛍光画像表示方法。
  8. 前記統計量に基づいて所定の係数を算出し、該算出された係数を前記統計量の算出対象の画像に乗じ、該係数の乗じられた前記画像に前記輝度情報の表示階調を割り当てることを特徴とする請求項5から7いずれか1項記載の蛍光画像表示方法。
  9. 前記統計量に基づいて前記輝度情報の表示階調を示す階調処理関数を決定し、該決定された階調処理関数に基づいて前記統計量の算出対象の画像に前記輝度情報の表示階調を割り当てることを特徴とする請求項5から7いずれか1項記載の蛍光画像表示方法。
  10. 前記色情報が、表色系の顕色系の色度、表色系の混色系の色度または映像信号系の色差であることを特徴とする請求項1からいずれか1項記載の蛍光画像表示方法。
  11. 前記輝度情報が、表色系の顕色系の明度、表色系の混色系の明度または映像信号系の輝度であることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の蛍光画像表示方法。
  12. 励起光を被測定部に照射することにより前記被測定部から発生する蛍光の強度に基づく蛍光画像を撮像する蛍光像撮像手段と、
    前記蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に前記被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成する組織性状画像生成手段と、
    前記蛍光画像に前記組織性状画像に割り当てられた前記色情報および前記輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に前記被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成する組織形状画像生成手段と、
    前記組織性状画像と前記組織形状画像とを合成して合成画像を生成する合成画像生成手段と、
    該合成画像生成手段により生成された前記合成画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする蛍光画像表示装置。
  13. 励起光を被測定部に照射することにより前記被測定部から発生する蛍光の強度に基づく蛍光画像を撮像する蛍光像撮像手段と、
    参照光を前記被測定部に照射することにより前記被測定部から反射される反射光の強度に基づく反射画像を撮像する反射像撮像手段と、
    前記蛍光画像に基づく演算画像に色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に前記被測定部の組織性状を示す組織性状画像を生成する組織性状画像生成手段と、
    前記反射画像に前記組織性状画像に割り当てられた前記色情報および前記輝度情報に応じた色情報および輝度情報の少なくとも1つを割り当てて主に前記被測定部の組織形状を示す組織形状画像を生成する組織形状画像生成手段と、
    前記組織性状画像と前記組織形状画像とを合成して合成画像を生成する合成画像生成手段と、該合成画像生成手段により生成された前記合成画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする蛍光画像表示装置。
  14. 前記演算画像が、複数の異なる波長帯域の前記蛍光画像の比に基づくものであることを特徴とする請求項1または1記載の蛍光画像表示装置。
  15. 前記演算画像が、前記蛍光画像と前記反射画像の比に基づくものであることを特徴をする請求項1記載の蛍光画像表示装置。
  16. 前記撮像されたいずれかの画像の画素値の統計量を算出する統計量算出手段と、該統計量に基づいて前記輝度情報の表示階調を割り当てる階調処理手段とを備えたことを特徴とする請求項1から1記載の蛍光画像表示装置。
  17. 前記統計量算出手段が、前記撮像されたいずれかの画像の一部の所望領域から前記統計量を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の蛍光画像表示装置。
  18. 前記階調処理手段が、前記統計量に基づいて所定の係数を算出し、前記撮像されたいずれかの画像に前記係数を乗じ、該係数の乗じられた前記撮像されたいずれかの画像に前記輝度情報の表示階調を割り当てるものであることを特徴とする請求項1または1記載の蛍光画像表示装置。
  19. 前記階調処理手段が、前記統計量に基づいて前記輝度情報の表示階調を示す階調処理関数を決定し、該決定された階調処理関数に基づいて前記撮像されたいずれかの画像に前記輝度情報の表示階調を割り当てるものであることを特徴とする請求項1または1記載の蛍光画像表示装置。
  20. 前記撮像されたいずれかの画像の画素値が、9bit以上で示される場合、該画素値が上位8bit以下で示されるようビットシフトするビットシフト手段を備え、前記統計量算出手段が、該ビットシフトされた画素値に基づいて前記統計量を算出するものであることを特徴とする請求項1から1いずれか1項記載の蛍光画像表示装置。
  21. 前記階調処理手段がON/OFF可能であることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の蛍光画像表示装置。
  22. 前記統計量が、前記画素値の平均値または最大値を含む組み合わせであること特徴とすることを特徴とする請求項1から2いずれか1項記載の蛍光画像表示装置。
  23. 前記色情報が、表色系の顕色系の色度、表色系の混色系の色度または映像信号系の色差であることを特徴とする請求項1から2いずれか1項記載の蛍光画像表示装置。
  24. 前記輝度情報が、表色系の顕色系の明度、表色系の混色系の明度または映像信号系の輝度であることを特徴とする請求項1から2いずれか1項記載の蛍光画像表示装置。
  25. 前記合成画像生成手段が、前記組織性状画像と前記組織形状画像とを合成して前記合成画像を生成する際に、前記両画像の画素数が異なる場合には、前記いづれか一方の画素数に変換した後、前記合成画像を生成するものであることを特徴とする請求項1から2いずれか1項記載の蛍光画像表示装置。
  26. 生体内部に挿入される内視鏡挿入部を有する内視鏡の形態であることを特徴とする請求項1から2いずれか1項記載の蛍光画像表示装置。
  27. 前記励起光の光源が、GaN系の半導体レーザであり、励起光の波長帯域が400nmから420nmまでの範囲内であることを特徴とする請求項1から2いずれか1項記載の蛍光画像表示装置。
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