JP4326777B2 - ブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段 - Google Patents

ブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段に関するものであり、自動車のブレーキパッドのパッド厚み及びその厚みに基づく残走行可能距離をブレーキパッドが自動車のディスクブレーキ装置に取り付けられた状態のままで簡単に測定することができるブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキパッド20は、自動車のディスクブレーキの構成要素の一つであり、図(a)、(b)に示すように、パッド部20a及びこれを裏打ちするライニング部20bとで構成されるものである。また上記パッド部20aは、その全体の厚みは新品で通常約10mm程度であるが、図(b)に示すように、その外面側の摩擦材20a1は約7mmであり、その内側でライニング部20bと結合する断熱材20a3が約3mmあり、制動作用を果たし得るのはその摩擦材20a1のみである。また上記摩擦材20a1も安全性の観点から全部が摩耗するまで使用するのは適当ではなく、上記摩擦材20a1の断熱材20a3と接する部分には約2mmの厚みの交換ゾーン20a2が想定されており、ここまで摩耗した場合は、新品のブレーキパッドと交換することが薦められる。
【0003】
以上のような観点から、ブレーキパッドのパッド厚みは適宜計測し、摩耗が前記交換ゾーン20a2にまで達していないかを監視している必要がある。
【0004】
ところで、この種の測定手段としては、従来、汎用のノギスその他の計測器を利用していたが、専用の測定装置であるブレーキパッド厚さ及びタイヤ溝深さ測定器(特許文献1)が提案された。これは、「目盛りが記載されたダイヤル目盛板1を内蔵したダイヤルゲージ本体2と、このダイヤルゲージ本体2から両側に突出したスピンドル3と、スピンドル3の移動に連動して、上記ダイヤル目盛板1の目盛りを指示する指針4とを備え、上記ダイヤルゲージ本体2のスピンドル3が突出した一方部分にタイヤ当接基準面(5)を設け、さらに、ダイヤルゲージ本体2のスピンドル3が突出した他方部分にダイヤルゲージ本体2からスピンドル3移動方向に対して垂直に突出したブレーキパッド取付板接触基準突起6を設けるとともに、上記スピンドル3の一端にスピンドル3と一体に移動して、上記タイヤ当接基準面4から突出してタイヤTの溝7に差し込まれるタイヤ溝深さ測定子8を設ける一方、上記スピンドル3の他端に上記スピンドル3と一体に移動し、かつ上記ブレーキパッド取付板当接基準突起6と同一の方向に突出するブレーキディスク当接測定突起11を形成し、このブレーキディスク当接測定突起11の外側面と上記ブレーキパッド取付板当接基準突起6との外側面との間でブレーキディスク9とブレーキパッド取付部10との間の寸法Wを測定するブレーキパッド厚さ測定子14を形成し、ダイヤル目盛板1にタイヤ溝深さ目盛り12とブレーキパッド厚さ目盛り13とを記載したブレーキパッド厚さ及びタイヤ溝深さ測定器」である。
【0005】
この特許文献1のブレーキパッド厚さ及びタイヤ溝深さ測定器は専用機ではあるが、ノギス等の一般の測定器とあまり変わることなく、ブレーキパッドの厚さ及びタイヤの溝の深さを測定できるに過ぎない。
前記したように、ブレーキパッドのパッド厚みを測定する趣旨は、その交換時期の目安のためである。したがってその測定は、単に現在のパッドの残厚を知ることを目的とするというよりは、そのパッドの残厚に基づく残走行可能距離を知ることがその目的となるというべきである。そして当該の自動車の使用者の使用状態(走行距離/月等)から交換時期を推定することである。
そのような観点からすれば、特許文献1のブレーキパッド厚さ及びタイヤ溝深さ測定器はそれを提案した意義が少ない。
【0006】
しかもその測定機構はブレーキディスク当接測定突起11と一体のスピンドル3の移動量を機械的に捉えて目盛りを指示する指針を動かそうとするものであり、スピンドル3の移動量に正確に比例する指針の動きを期待するのは難しい。その実施例によれば、これはラック23及びピニオン24によって実現するものであり、バックラッシ等による誤差も大きく、正確な指針の動きを期待できないことが明らかになっている。スピンドル3の動きを十分に拡大することもできないので、指針で示された目盛りを正確に読み取るのも容易ではない。
【0007】
本願の発明者は、以上のような問題を解決し得るブレーキパッドの厚み測定装置(特許文献2)を提案した。
これは「測定装置本体と、これに構成したパッド厚みの測定手段、演算手段及び表示手段とからなるブレーキパッドの厚み測定装置であって、
前記測定手段を、測定基準部と、これに対して変位自在に配した測定部材と、該測定部材の変位を検出する変位検出手段とにより、
前記演算手段を、前記変位検出手段の検出した検出信号からブレーキパッドのパッド厚み値を算出する厚み演算部と、得られたパッド厚み値から残走行可能距離を取得する残走行距離取得部とにより、
前記表示手段を、前記厚み演算部で算出されたパッド厚みの値及びその厚みの値から残走行距離取得部で取得された残走行可能距離の値の双方を同時に又は選択的に表示する表示器に、
それぞれ構成してなるブレーキパッドの厚み測定装置」である。
【0008】
このブレーキパッドの厚み測定装置によれば、正確にブレーキパッドの厚みを測定することが可能であり、かつその測定値から残走行可能距離を算出し得るものであり、かつ表示器でこれを表示することができるため、読み取りを誤る虞もないものである。従ってこのブレーキパッドの厚み測定装置は、本来の目的であるブレーキパッドの摩耗具合から残走行可能距離を算出することができるようにしたものであり、前記特許文献1の問題点を解決したものであるということができる。
【0009】
特許文献2には、大きな問題点はないが、測定部材が自動車にセットした状態のブレーキパッドの厚みを測定するには不適なものであるため、それが可能な付属品であるリモート検出手段が望まれる。なお特許文献1のそれは自動車にセットした状態のままで測定が可能ではあるが、前述のような問題があり、そのまま採用はできない。
【0010】
【特許文献1】
登録実用新案第3029481号公報
【特許文献2】
登録実用新案第3088480号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の特許文献2のブレーキパッドの厚み測定装置に於ける問題点、即ち、測定部材が自動車にセットした状態のブレーキパッドの厚みを測定するには不適なものであるため、これを解決するために、この装置に接続して使用するのに適するブレーキパッドの厚み測定用のリモート検出手段を提供することを解決の課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の1は、ブレーキパッドの厚み測定装置に後記間隔取得部の出力する信号を伝達する信号伝達ケーブルを介して接続するリモート検出手段であって、
前記ブレーキパッドの厚み測定装置が、少なくとも、パッド厚みと一定の関係を持った検出信号からその関係に基づいてブレーキパッドのパッド厚み値を算出する厚み演算部と、得られたパッド厚み値から残走行可能距離を取得する残走行距離取得部とを備えたものであり、前記リモート検出手段を、検出部である両先端間の間隔を開閉自在に構成した一対の検出片と、該一対の検出片の先端間の間隔をその間隔と所要の関係を持った一定の動作により開閉操作する開閉操作部と、該開閉操作部の開閉操作動作を検出して該一対の検出片の先端間の間隔と前記所要の関係を持った検出信号を出力する間隔取得部とで構成したブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段に於いて、
前記一対の検出片を、検出手段本体から垂直に延長した固定片と、該固定片に、その内角側を対面させて配した「く」の字状の可動片であって、その屈曲部で回動自在に配した可動片とで構成し、前記開閉操作部を、前記「く」の字状の可動片の屈曲部より上部外側面に当接する操作片であって、前記固定片と平行な向きで該可動片に対して相対的に進退動作する操作片で構成し、かつ前記間隔取得部を、該操作片の動作に連動して抵抗部をスライド進退動作する可動接片を備えた可変抵抗器と、該可変抵抗器の抵抗の値をこれに比例する信号の値として取り出す信号取り出し部とで構成したブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)は実施例のリモート検出器の正面縦断面図、図1(b)は実施例のリモート検出器の側面縦断面図、図1(c)は実施例のリモート検出器の正面図、図2(a)は図1(a)のA−A線切断部断面図、図2(b)は図1(a)のB−B線切断部断面図、図2(c)は図1(a)のC−C線切断部断面図、図2(d)は図1(a)のD−D線切断部断面図、図3は検出片を開いた状態の実施例のリモート検出器の正面縦断面図、図4は実施例のリモート検出器に於ける検出の原理を説明する説明図、図5(a)は実施例のリモート検出器を取り付けて使用するブレーキパッドの厚み測定装置の外観を示す概略正面図、図5(b)はそのブレーキパッドの厚み測定装置の外観を示す概略右側面図、図6は実施例のリモート検出器を取り付けて使用するブレーキパッドの厚み測定装置の機能を説明するブロック図、図7は実施例のリモート検出器によって自動車にセットされた状態のブレーキパッドの厚みを測定する測定操作を示しており、図7(a)は測定操作開始時点を示す概略側面説明図、図7(b)は測定操作終了時点を示す概略側面説明図、図8は実施例のリモート検出器を取り付けて使用するブレーキパッドの厚み測定装置の用法を示しており、図8(a)は測定操作開始時点を示す一部切欠側面説明図、図8(b)は測定操作終了時点を示す一部切欠側面説明図、図(a)はブレーキパッドの外観を示す概略斜視図、図(b)はブレーキパッドの概略側面図である。
【0020】
<実施例>
この実施例のリモート検出器(リモート検出手段)は、基本的に、図1(a)〜(c)、図2(a)〜(d)及び図3に示すように、固定片1a及び可動片1bからなる一対の検出片1と、該一対の検出片1の内、可動片1bを開閉動作させる開閉操作部2と、該開閉操作部2の動作から前記一対の検出片1の先端間の間隔と所要の関係を持った検出信号を取得する間隔取得部3と、これらを支持する検出器本体(検出手段本体)4とで構成したものである。
【0021】
前記検出器本体4は、図1(a)〜(c)、図2(a)〜(d)及び図3に示すように、中間の隔壁4a1で隔てた前部室4a2及び後部室4a3を備えた角筒状のグリップ部4aと、該グリップ部4aの前部室4a2に後部を進退自在に装入した内筒部4bとで構成したものである。該内筒部4bは先端側に角柱状の支持空間4b1を備えたものである。
【0022】
図1(a)〜(b)、図2(d)及び図3に示すように、前記一対の検出片1の内、固定片1aは、検出器本体4の一部を構成する内筒部4bの先端から垂直に延長し、可動片1bは、該内筒部4bの先端内部の支持空間4b1に、該固定片1aに対して対面状態に配したものである。前記固定片1aは細長い板状部材で構成したものであり、その後端側を内筒部4bの先端後部側に埋め込んで固定したものである。前記可動片1bは、ほぼ「く」の字状に屈曲した部材であり、その内角側を前記固定片1aに対面させた状態で、かつその屈曲部1b1の位置で前記内筒部4bの該当する部位に回動自在に軸着したものである。これらの固定片1a及び可動片1bの先端側が間隔の検出部を構成する。
【0023】
前記開閉操作部2は、図1(a)、(b)、図2(b)〜(d)及び図3に示すように、先端に駆動片2aを備えた操作棒(操作片)2bが主たる構成要素であるが、これに加え、該操作棒2bに外装した圧縮コイルバネ2cと、検出器本体4の一部でもある内筒部4bと、前記可動片1bの先端側を前記固定片1aの先端側に当接させる方向に動かすべく作用するバネ部材2dとで構成したものである。
【0024】
前記操作棒2bは、図1(a)、(b)、図2(b)、(c)及び図3に示すように、その後端を前記グリップ部4aの隔壁4a1に埋め込み固定し、かつその途中を内筒部4bの後端からこれに連続して開口したバネ用大径孔4b2及び棒用小径孔4b3を貫通させるとともに、その先端を該内筒部4bの支持空間4b1に突出させたものである。該操作棒2bは、図1(a)、図2(b)、(c)及び図3に示すように、その先端部が、前記支持空間4b1に於いて、前記可動片1bの屈曲部1b1より後端外面側を進退できるように位置決めする。図1(a)及び図3に示すように、該先端部に配した駆動片2aの先端側縁が該可動片1bの屈曲部1b1より後端側外面に当接して摺動できるようにする趣旨である。
【0025】
前記駆動片2aは、図1(a)、(b)及び図3に示し、かつ前記したように、前記操作棒2bの先端に配したものであり、前記可動片1bの屈曲部1b1より後端側外面に当接する先端側縁の辺が直線になっている平面から見て四角形の板状部材に構成したものである。この駆動片2aが前記内筒部4bの支持空間4b1中に深く進出すると、前記可動片1bの後端側外面を摺動しつつこれを押し下げ、その先端側を固定片1aの先端側から離間するように回動動作させるようになっている。
【0026】
前記圧縮コイルバネ2cは、図1(a)、(b)、図2(b)及び図3に示すように、前記操作棒2bに外装状態に配してあり、その上端側をグリップ部4aの隔壁4a1に当接させ、かつ下端側を前記バネ用大径孔4b2の底部に当接させてある。前記内筒部4bの後部を、その後部面が前記隔壁4a1に当接するまで、グリップ部4aの前部室4a2内に押し込むと、該圧縮コイルバネ2cは、隔壁4a1と前記バネ用大径孔4b2の底部との間で圧縮されつつ、その全体が該バネ用大径孔4b2中に収まった状態になるようになっている。通常は、この圧縮コイルバネ2cの作用により、内筒部4bをグリップ部4aの前部室4a2から最大限度進出した状態にさせるようになっている。なお、該内筒部4bは、前記操作棒2bの先端に配した駆動片2aにその支持空間4b1の底部が当接してその進出がそれを限度に規制される。即ち、この時の状態が該内筒部4bが最大限度進出した状態である。
【0027】
前記内筒部4bは、前記グリップ部4aと共に検出器本体4を構成するものであるが、同時に、これが、その後部を該グリップ部4aの前部室4a2に進退自在に出入りさせることにより、相対的に前記操作棒2bの先端に配した駆動片2aを該内筒部4bの支持空間4b1内に進退動作させる面で、開閉操作部2の一部の機能を担っている。なお該駆動片2aの進出によって前記可動片1bを、その先端側が固定片1aの先端側から離間するように、即ち、両者の先端側の間隔を広げるように、回動動作させるようになっているのは先に述べた通りである。
【0028】
前記バネ部材2dは、図1(a)、図2(d)及び図3に示すように、前記可動片1bの屈曲部1b1より先端側の部位と、内筒部4bの固定片1aを配した側の側壁との間に配した引っ張りバネである。該可動片1bの該当する部位にはブラケットを設け、かつ内筒部4bの該当する側壁には結合軸を設けて、該バネ部材2dの各々対応する端部を該ブラケット又は結合軸に固設したものである。前記可動片1bの先端側は、該バネ部材2dにより、前記固定片1aの先端側に引っ張られ、その間を狭めるべく作用力を受けている。即ち、前記駆動片2aによって、屈曲部1b1よりその上部側にこれを押し下げる作用力が加わらない限り、図1(a)に示すように、可動片1bの先端側は固定片1aの先端側との間の間隔を最小限、即ち、当接状態を維持しようとするようになっているものである。
【0029】
前記間隔取得部3は、図1(a)、(b)、図2(a)及び図3に示すように、前記グリップ部4aの後部室4a3に配した可変抵抗器3aであって、抵抗部3a1及びその摺動面3a2をスライドする摺動接片3a3とからなる可変抵抗器3aと、該可変抵抗器3aの摺動接片3a3を前記駆動片2aの動作に連動してスライド動作させる伝達棒3bと、該可変抵抗器3aの抵抗の値をこれに比例する信号の値として取り出す信号取り出し部とで構成したものである。
【0030】
前記可変抵抗器3aの抵抗部3a1は、図1(a)、(b)、図2(a)及び図3に示すように、前記後部室4a3内に於いて、前記隔壁4a1に固設し、その一面を摺動面3a2とし、この摺動面3a2に前記摺動接片3a3をスライド自在に当接させてあるものである。
【0031】
前記伝達棒3bは、図1(a)、図2(a)及び図3に示すように、その上端付近で前記摺動接片3a3を貫通固定し、途中を前記隔壁4a1を貫通させ、かつ下端を前記内筒部4bの後部端に固設したものである。なお該伝達棒3bの該隔壁4a1に於ける貫通は対応する部位に開口した貫通孔を通じて行われ、当然、その貫通は昇降自在なものとなっている。
【0032】
こうして、前記内筒部4bが前記グリップ部4aの前部室4a2を進退動作すると、これに連動して前記伝達棒3bが昇降動作し、これに伴って前記摺動片3a3が可変抵抗器3aの抵抗部3a1の摺動面3a2をスライド移動することとなる。先に述べたように、内筒部4bの上記進退動作は、その支持空間4b1への前駆駆動片2aの相対的な進退動作を生じさせるものであるため、前記伝達棒3bの動作を内筒部4bの動作に連動させることは、駆動片2aの動作に連動させることにもなるものである。
【0033】
こうして、前記可変抵抗器3aは、前記駆動片2aの前記内筒部4bの支持空間4b1への進退動作に比例する直線的な抵抗変化を得ることができることになる。
【0034】
前記信号取り出し部は、図6に示すように、前記可変抵抗器3aの一方の端子を定電圧電源の+側に、他方の端子をアースに、それぞれ接続し、かつ中間の摺動接片3a3に繋がる可変端子を信号出力部とし、該可変端子から該可変抵抗器3aの摺動接片3a3のスライド移動によって変化する抵抗値に比例する信号として対応する電位の電圧を出力するように構成した簡単な構成である。
【0035】
なお上記電圧の値は、測定装置本体側に配されている後記演算制御部15とこれを動作させるプログラムモジュールである第二厚み演算モジュール16dとからなる厚み演算部でブレーキパッドの厚みの値に換算されるようになっている。前記駆動片2aの動作は、前記検出片1の固定片1aと可動片1bとの先端間の間隔と比例する関係ではなく、後述する特定の関係であり、信号取り出し部で得られる電圧の値は、当然、前記駆動片2aの動作に比例するものであるに過ぎない。従って第二厚み演算モジュール16dは、該電圧の値を、該駆動片2aの動作と検出片1の固定片1a及び可動片1bの先端間の間隔との関係に基づいて、後者の間隔の変化に比例するものに変換した上で、ブレーキパッドの厚みの値に換算するようになっているものである。
【0036】
その動作内容を簡単に述べると、まず前記電圧の値は、A/D変換され、所定の係数が乗じられて、駆動片2aの原点からの変位量(移動距離)Δcを取得し、これを後述する数9に代入して検出片1の固定片1a及び可動片1bの先端間の間隔の値を得、その値から後述するブレーキパッドとブレーキディスクの隙間の値が減算され、ブレーキパッドの厚みの値が得られることとなる。
【0037】
この実施例のリモート検出器は、当然、ブレーキパッドの厚み測定装置に取り付けて使用するものであり、それを前提とする。従って引き続いてこのリモート検出器を取り付けて使用するパッドの厚み測定装置について略述する。
【0038】
このブレーキパッドの厚み測定装置は、図5及び図6に示すように、測定装置本体11と、これに構成したパッド厚みの測定手段を構成する測定基準面12、測定脚13及び変位検出部14と、前記測定装置本体11内に配した演算手段を構成する演算制御部15、メインプログラム16a、厚み演算モジュール16b及び前記第二厚み演算モジュール16d並びに残走行可能距離換算モジュール16cを保持する記憶手段16と、測定結果を保持するデータ記憶手段17と、該データ記憶手段17の保持しているデータを外部に取り出すためのデータ出力手段22と、前記測定装置本体11の正面に配した表示手段を構成する液晶表示器18と、同様に測定装置本体11の正面に配したメニュー選択その他の操作用のスイッチ類19とを基本的な構成要素として構成したものである。
【0039】
前記測定装置本体11は、図5(a)及び(b)に示すように、直方体状の箱状部材であり、その底面を前記測定基準面12に構成し、更にその底面中央から前記測定脚13を進退自在に垂下突出させたものである。該測定脚13は、外力が加わらない限り、バネ力によって最大限に垂下突出状態にあり、その下端をブレーキパッド20のライニング部20bの上面に当接させた上で、測定基準面12をパッド部20aの上面に当接させるまで測定装置本体11を下降させ、この後退変位を変位検出部14で検出し、その変位量を該測定脚13の最大垂下長さから減算することで、パッド残厚を測定するように構成したものである。
【0040】
前記変位検出部14は、前記測定脚13の後退変位を検出すべく配したものである。この変位検出部14は、前記測定脚13が最大垂下突出状態から後退した際の後退量を測定できるものであればどのような構成でも採用可能である。この実施例に用いたそれは、前記測定脚13に微少定間隔でその長さ方向に沿って配した磁極列と、前記測定装置本体11に配した、該磁極列の各磁極を検出してパルス信号を発する磁気センサとで構成したものである。
【0041】
前記演算手段は、先に述べ、かつ図6に示すように、演算制御部15と、メインプログラム16a、厚み演算モジュール16b、第二厚み演算モジュール16d及び残走行可能距離換算モジュール16cを保持する記憶手段16とで構成するものであるが、その内、前記変位検出部14の磁気センサの出力したパルス信号(検出信号)からブレーキパッドのパッド厚みの値を算出する厚み演算部は、前記演算制御部15とこれを動作させるプログラムモジュールである厚み演算モジュール16bとで構成したものである。
【0042】
該厚み演算部は、その演算制御部15がメインプログラム16aの指示に従い、該厚み演算モジュール16bを読み込み、これに従って前記変位検出部14の磁気センサの出力したパルス信号を計数し、かつ係数を乗じて得た値を前記測定脚13の最大垂下長さの値から減算し、得た値をパッド厚み値信号として出力するようになっているものである。
【0043】
なおリモート検出器を使用する場合は、前記スイッチ類19中の後述するメニュー切り替えスイッチ19aを操作して、その使用を選択する。
この選択によって、厚み演算部は、該リモート検出器の検出した前記電圧の値から最終的にはブレーキパッドのパッド厚みの値を算出するため、前記演算制御部15とこれを動作させるプログラムモジュールである第二厚み演算モジュール16dとで構成されることになる。
【0044】
そこで該厚み演算部は、その演算制御部15がメインプログラム16aの指示に従い、該第二厚み演算モジュール16dを読み込み、これに従って、前記リモート検出器の出力した前記電圧の値をA/D変換し、これに所定の係数を乗じて前記駆動片2aの原点からの変位量(移動距離)Δcの値を得、該値を、該駆動片2aの変位量Δcと検出片1の固定片1a及び可動片1bの先端間の水平間隔XLとの関係に基づいて、後者の水平間隔XLの値に変換した上で、該値から後述するブレーキパッド20のパッド部20aとブレーキディスク21との間の隙間の値(0.2mm)を減算し、得られた値をパッド厚み値信号として出力するようにするものである。なおブレーキパッド20のパッド部20aの前面とブレーキディスク21の面との隙間は、自動車に於いて、上記一定値(0.2mm)になるように調整されている。
【0045】
ここで、図4を参照しながら、駆動片2aの原点からの変位量Δcに基づいて検出片1の固定片1a及び可動片1bの先端間の水平間隔XLの値を計算する計算方法を略述する。
【0046】
図4中、
左端の垂線は前記検出片1の固定片1aを表し、その右側の逆「く」の字形の実線及び波線はそれぞれ可動片1bを表す。
可動片1bの回動中心を通る垂線(右側の垂線)と、回動中心より上方の部位との間に位置する実線及び波線の横向きの線はそれぞれ駆動片2aを表す。実線で示された可動片1b及び駆動片2aは原点に位置するそれらであり、波線で示されたそれらは変位した位置のそれらである。
【0047】
図4中、
cは原点にある駆動片2aと可動片1bの回動中心との間の距離、
Δcは駆動片2aの原点からの変位量、
bは可動片1bの駆動片2aが接している部位から該可動片1bの回動中心を通る右側の垂線までの水平距離、
Xaは可動片1bに於ける変位した駆動片2aが接する部位から回動中心までの長さ、
Aは可動片1bの回動中心から先端までの長さ、
XBは変位後の可動片1bの先端と右側の垂線との水平距離、
Lは固定片1aと右側の垂線との水平間隔、
XLは変位後の可動片1bの先端と固定片1aの先端との間の水平間隔、
θ1は可動片1bの回動中心より上方の部位と回動中心から右に延びる水平線との間の角度、
θ2は可動片1bの回動中心より上方の部位と下方の部位との間の内角の角度、
αは可動片1bの変位前と変位後の間の角度である。
【0048】
ここでは、駆動片2aが変位量Δcだけ変位した場合の固定片1aの先端と可動片1bの先端との間の水平間隔XLを求める。図4より直接に下記の数1から数5までの式が得られる。
【0049】
【数1】
Figure 0004326777
【0050】
【数2】
Figure 0004326777
【0051】
【数3】
Figure 0004326777
【0052】
【数4】
Figure 0004326777
【0053】
【数5】
Figure 0004326777
【0054】
上記数5は、これを加法定理によって書き換えると、下記数6が得られる。
【0055】
【数6】
Figure 0004326777
【0056】
上記数6に前記数2と数3とを代入すると、下記数7が得られる。
【0057】
【数7】
Figure 0004326777
【0058】
上記数7前記数4を代入すると、下記数8が得られる。
【0059】
【数8】
Figure 0004326777
【0060】
上記数8を前記数1に代入すると、下記数9が得られる。
【0061】
【数9】
Figure 0004326777
【0062】
数9に於いて変数は駆動片2aの変位量Δcだけであり、これを前記間隔取得部3で可変抵抗器3aの抵抗の値で得、前記信号取り出し部で、該抵抗の値に比例する信号として取り出すことができるものであるから、該数9によって変位後の固定片1aの先端と可動片1bの先端との間の水平間隔XLを容易にかつ正確に求めることができる。なお上記XLは、上記のように、固定片1aの先端と可動片1bの先端との間の水平間隔XLであって、先端間の間隔ではないので、僅かな誤差を持っているが、これは微差であって、この種の目的には不都合がないものと考える。もっともこの誤差は追加の演算処理によって簡単に解消できる。
【0063】
上記水平間隔XLを求めた後の前記第二厚み演算モジュール16dによる演算の過程は先に述べた通りである。その過程で、前述のように、パッド厚みの値が得られる。
【0064】
また前記演算手段の内、それぞれ以上のようにして得られたブレーキパッド20のパッド厚みの値から残走行可能距離を得る残走行距離取得部は、前記演算制御部15とこれを動作させるプログラムモジュールである残走行可能距離換算モジュール16cとで構成したものである。
【0065】
該残走行距離取得部は、その演算制御部15がメインプログラムの指示に従い、該残走行可能距離換算モジュール16cを読み込み、これに従い、まず、前記スイッチ類19のメニュー選択スイッチ19aを操作して行う、標準又は過酷の使用態様の選択及び使用限界の基準値(4mm又は5mm)の選択を待ち、これらの選択信号の入力を受けた上で、その後、後記数1の式に示すように、前記厚み演算部で得られたパッド厚み値Tから選択された基準値であるパッドの使用限界厚み(4mm又は5mm)T0を減じ、その差の値に、パッドの単位厚みt当たりの標準走行可能距離S(833kmに設定)を乗じ、得られた積の値に更に使用態様による係数(標準の場合:1、過酷の場合:0.8)を乗じ、こうして得られた積の値を更に単位厚みt(0.1mmに設定)で除し、得られた商の値の信号を残走行可能距離Srとして出力するように構成してある。
【0066】
【数10】
Figure 0004326777
【0067】
前記使用態様は、測定対象のブレーキパッド20を設置している自動車の使用態様であり、制動装置に対する負荷が標準的である標準態様の場合と、急な坂道等のブレーキの使用が極端に多い過酷態様の場合とを区別するもので、これを区別して残走行可能距離Srを算出し得るものとしている。
【0068】
以上のように、使用態様の選択は、自動車の実際の使用態様に応じて、標準態様又は過酷態様を選択するものであるが、この選択に応じて、前記数10で示される式に代入される係数Kの値が決定されることになる。過酷態様の場合の係数Kの値は、標準態様のそれの約20%減程度の値に設定するのが適切である。この実施例では、係数Kは標準態様で1、過酷態様で0.8とした。
【0069】
なお使用限界の基準値は、前記数1では、使用限界厚みT0で表しているが、これは、前記のように、4.0又は5.0(mm)を選択することができる。後者に設定すると、約17%程標準全走行可能距離が減少することとなる。しかしそれだけ安全性は増すこととなる。
【0070】
前記単位厚みtも自由に設定可能であるが、この実施例では、0.1mmに設定したものである。
【0071】
前記液晶表示器18は、前記のように、測定装置本体11の前面に配してあり、リモート検出の有無、使用態様(標準又は過酷)、基準設定(4mm又は5mm)、データ番号(連続番号)、厚さ(厚み演算部で得られたブレーキパッドのパッド厚み値T)、残走行距離(残走行距離換算部で得られた残走行可能距離Srの値)の表示及びブレーキパッドのパッド厚みの測定値が基準値以下になった(残走行距離が0以下になった)場合の警告表示(「パッド交換」)を行うよう構成したものである。上記表示は、この実施例では、図5に示すように、上下7段に行われるようにしてある。
【0072】
前記スイッチ類19は、図5に示すように、メニュー切り替えスイッチ19aと電源スイッチ19bとからなり、メニュー切り替えスイッチ19aは、外側の選択ボタン19a1と内側の決定ボタン19a2との二重円形の構成であり、選択ボタン19a1の各矢印表示部分を押すことで、液晶表示器18に表示されているカーソルを各項目上に移動させ、リモート検出については、その「有」又は「無」の表示上にこれを移動させた上で、決定ボタン19a2を押し下げ操作することでいずれか決定し、使用態様については、標準又は過酷の表示上に移動させた上で、決定ボタン19a2を押し下げ操作することでいずれか決定し、更に基準値については4mm又は5mmの表示上に移動させた上で、決定ボタン19a2を押し下げ操作することでこれを決定することができるものである。
【0073】
カーソルをデータ番号に移動させ、更にデータ番号部分に移動させて決定ボタン19a2を押し下げ操作を繰り返すと、保存されているデータ番号が現在の番号から順次一つずつ大きくなる番号に変化し、各データ番号の各項目にはデータ番号に対応するデータが表示される。最大番号まで表示されると最小番号まで戻って繰り返されることになる。現在測定したデータを保存したい場合は、選択ボタン19a1を操作してデータ番号の右側の「保」にカーソルを移動させ、決定ボタン19a2を押し下げ操作すると、これに現在付されているデータ番号でデータ記憶手段17に保存される。またいずれかのデータを削除したい場合は、カーソルをデータ番号に移動させ、かつ該データ番号に該当する番号を表示させた上で、「保」の右側の「削」にカーソルを移動させ、この位置で決定ボタン19a2を押し下げ操作すると、該データ番号のデータが削除されることになる。更にまたデータを取り出したい場合は、後記ジャックJ2に外部のコンピュータ等に接続する同一規格のコネクタを接続した上で、カーソルを「削」の右側に隠れている「取出」上に画面をスクロールさせて移動させ、この位置で決定ボタン19a2を押し下げ操作すると、全データが取り出されることになる。該ジャックJ2はデータ出力手段22の一部を構成するものである。該データ出力手段22は、パーソナルコンピュータ等で一般的に採用されているデータ転送手段を採用する。こうして外部のコンピュータによる管理にこのデータを利用することができるようになる。
【0074】
更に前記選択ボタン19a1を操作して、カーソルがいずれの項目も選択していない状態にして、決定ボタン19a2を連続して2回押し下げ操作すると、現在の表示データをクリアし、リセット状態にすることができる。
【0075】
なお、図5(a)、(b)中、J1はリモート検出器の信号取り出し部の出力信号を入力するためのジャックである。リモート検出器の信号取り出し部にはその信号を伝達するための信号伝達ケーブル3a4が接続してあり、その末端にはプラグ(図示していない)が結合してある。上記ジャックJ1には上記プラグが挿脱自在に挿入できるようになっている。またJ2は、データ記憶手段17の保持しているデータを取り出すためのジャックであり、先に述べたように、前記データ出力手段22の一部を構成する。
【0076】
したがってこの実施例のブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出器によれば、極めて簡単に自動車にセットしたままのブレーキパッドの厚みを測定し、その残パッド厚の値を知ることができ、加えて殆ど同時にその厚みの場合の残走行可能距離Srをも知ることができるものである。
【0077】
この実施例のブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出器は、云うまでもなく、電源スイッチ19bをオン操作し、かつ該リモート検出器の信号伝達ケーブル3a4のプラグを前記ジャックJ1に挿入することで使用を開始することができる。この後は、前記メニュー切り替えスイッチ19aを前記のように操作して、まずリモート検出について「有」を選択して決定し、また使用態様については標準又は過酷のいずれか該当する方を選択して決定し、更に基準値についてやはり4mm又は5mmのいずれか対応する方を選択して決定する。いずれも選択したものが液晶表示器18中で反転表示されることになる。
【0078】
なお、ここでは使用態様については、過酷態様を選択し、基準値には安全のため5mmを採用した場合を例にとって説明する。
【0079】
以上のように、ブレーキパッドの厚み測定装置をセットした後、図7(a)に示すように、まずそのリモート検出器の後部のグリップ部4aを掴んで、閉じた状態の固定片1a及び可動片1bの先端側を自動車に取り付けられた状態のブレーキパッドのライニング部20bとパッド部20aに対面するブレーキディスク21との間に挿入する。
【0080】
この状態で、図1(a)、(b)及び図7(a)に示すように、前記駆動片2aは原点にあり、前記可変抵抗器3aは基準最小抵抗値であり、前記信号取り出し部の出力電圧は基準最小電圧値となっている。
【0081】
ここで、該リモート検出器を更にブレーキパッドのライニング部20bとパッド部20aに対面するブレーキディスク21との間に押し込むと、前記可動片1bと固定片1aの先端がパッド部20aの側面に圧接し、図7(b)及び図3に示すように、グリップ部4aの前部室4a2内に内筒部4bの後部が進入し、相対的に前記操作棒2bが該内筒部4bの支持空間4b1内に進出することとなる。これに伴ってその先端に配してある駆動片2aが進出して前記可動片1bをその進出分だけ回動させ、これによって固定片1aと可動片1bとの先端間の間隔を広げることになる。固定片1aの先端と可動片1bの先端間の間隔は、図7(b)に示すように、両者の外側部が前記ライニング部20bの前面と前記ブレーキディスク21の前面とに当接するまで広がり、これで停止する。測定操作はこの時点で終了である。
【0082】
前記駆動片2aの変位は、上記終了時点で最大になり、この変位が前記伝達棒3bを通じて前記可変抵抗器3aの可動接片3a3に伝達され、その時点の抵抗値、即ち、最大抵抗値に到達した時点の抵抗値に比例する電位の電圧信号が前記信号取り出し部から取り出されることになる。そしてこの比例する電位の電圧信号が、前記信号伝達ケーブル3a4を通じてブレーキパッドの厚み測定装置本体の演算制御部15に入力されて処理される。
【0083】
なお、前記リモート検出について「有」が選択されたことにより、厚み演算部は、該演算制御部15とこれを動作させるプログラムモジュールである第二厚み演算モジュール16dとで構成される。
【0084】
即ち、該厚み演算部は、該演算制御部15がメインプログラム16aの指示に従い、該第二厚み演算モジュール16dを読み込み、これに従って、前記リモート検出器の信号取り出し部が出力した前記電圧の値をA/D変換し、得られた値に所定の係数を乗じて前記駆動片2aの原点からの変位量(移動距離)Δcの値を得、該値を、該駆動片2aの変位量Δcと検出片1の固定片1a及び可動片1bの先端間の間隔XLとの関係に基づいて、後者の間隔XLの値に変換した上で、該間隔XLの値から後述するブレーキパッド20のパッド部20aとブレーキディスク21との間の隙間の値(0.2mm)を減算し、得られた差の値をパッドの残厚の値として出力する。変位量(移動距離)Δcの値から間隔XLの値への変換過程は数1から数9までを用いて説明した通りである。
【0085】
引き続いて、該演算制御部15がメインプログラム16aの指示に従い、残走行可能距離換算モジュール16cを読み込み、前記パッドの残厚の値は、これに従い前記数10に基づいて演算処理され、残走行可能距離Srの値が算出されることとなる。
【0086】
測定対象のブレーキパッド20は、単位厚みt(この場合0.1mm)当たりの標準走行可能距離Sの値は833kmである。また基準値であるパッドの使用限界厚みT0として5.0mmが設定してあるから標準全走行可能距離は、4.0mmの場合のそれである50,000kmの約83%、即ち、41,650kmとなる。
【0087】
そのため前記厚み演算部で得られたパッド厚みTが5.5mmであった場合は、前記数10に従って、5.5−5.0=0.5。S=833(km)であるから、0.5×833=416.5であり、この値に使用態様:過酷の場合の係数K(0.8)を更に乗じると、416.5×0.8=333.2であり、その値をパッドの単位厚みtである0.1で除すると、333.2÷0.1=3,332(km)が残走行可能距離Srとなる。
【0088】
従ってこの実施例のブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出器によれば、極めて簡単な操作で、自動車に取り付けた状態のままでブレーキパッド20のパッド部20aの厚みTを測定することが可能であり、かつ直ちにそのパッド厚みTに於ける残走行可能距離Srを知ることができることとなる。
【0089】
また以上の場合のリモート選択の有無、使用態様、基準値、データ番号、パッドの残厚みである厚さ及び残走行距離は、図5(a)に示すように、液晶表示器18に表示される。今回の場合は、パッド部20aの厚みが5.0mm以下にならなかったので、警告表示「パッド交換」は表示されないが、5.0mm以下になれば、これも表示される。
【0090】
なお引き続いて次のブレーキパッド20のパッド厚み測定を行う場合は、必要に応じて、前記メニュー切り替えスイッチ19aの選択ボタン19a1及び決定ボタン19a2を操作して該測定済みデータを保存した上で、又は保存しないで、全てクリアし、以上の結果をリセットすればよい。前記リモート検出器は、図7(b)の状態から、これを引き出すと、前記圧縮コイルバネ2cの作用で前記内筒部4bは、図1(a)〜(c)に示すように、進出し、かつ前記バネ部材2dの作用で前記可動片1bの先端側が前記固定片1aの先端側に接するように回動し、図1(a)、(c)に示すように、両先端間が閉じた状態になる。
【0091】
このブレーキパッドの厚み測定装置は、その本体側を利用して自動車から取り外したブレーキパッド20のパッド部20aの厚みを測定することができるものであるのは云うまでもない。
【0092】
これによって測定する場合は、前記メニュー切り替えスイッチ19aを前記のように操作して、まずリモート検出について「無」を選択して決定する。使用態様及び基準値については、変更がない場合はそのままにして測定を開始する。
【0093】
以上のようにセットした後、図8(a)に示すように、まずその測定脚13の下端を対象のブレーキパッド20のライニング部20bの前面に当接させ、次いで、図8(b)に示すように、測定装置本体11を、その下面、即ち、測定基準面12がパッド部20aの前面に当接するまで下降させる。
【0094】
これは、云うまでもなく、測定脚13を相対的に後退させることであり、このような測定脚13の変位は前記変位検出部14で検出され、変位に対応する数のパルス信号として出力される。そしてこのパルス信号が厚み演算モジュール16bに従って動作する演算制御部15により計数され、かつ係数が乗じられ、こうして得られた値で該測定脚13の最大垂下長さの値(この実施例のそれは15mmに構成されている)を減算し、得られた値がパッド残厚の値の信号として出力される。
【0095】
パッドの残厚の値は、引き続いて、残走行可能距離換算モジュール16cに従って動作する演算制御部15によって前記数10に従って演算処理され、残走行可能距離Srの値が算出されることとなる。これは先にリモート検出器に関して説明したのと全く同様である。
【0096】
測定対象のブレーキパッド20のパッド部20aの厚みが5.5mmであったとすると、これは先にリモート検出器に関して説明したのと全く同様の結果が得られる。
【0097】
従ってこの場合も極めて簡単な操作で、ブレーキパッド20のパッド厚みTを測定することが可能であり、かつ直ちにそのパッド厚みTに於ける残走行可能距離Srを知ることができることとなる。液晶表示器18には、先にリモート検出器に関して説明したのと全く同様に表示される。
【0121】
【発明の効果】
本発明の1のブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段によれば、自動車に取り付けたままのブレーキパッドの厚みを簡単に測定し得、かつ残走行距離を簡単に得ることができる。また本発明の1のブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段によれば、ブレーキパッドのライニング部とディスクブレーキとに接触するまで広がった両検出片の先端間の間隔を簡単な構成で正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は実施例のリモート検出器の正面縦断面図。
(b)は実施例のリモート検出器の側面縦断面図。
(c)は実施例のリモート検出器の正面図。
【図2】 (a)は図1(a)のA−A線切断部断面図。
(b)は図1(a)のB−B線切断部断面図。
(c)は図1(a)のC−C線切断部断面図。
(d)は図1(a)のD−D線切断部断面図。
【図3】 検出片を開いた状態の実施例のリモート検出器の正面縦断面図。
【図4】 実施例のリモート検出器に於ける検出の原理を説明する説明図。
【図5】 (a)は実施例のリモート検出器を取り付けて使用するブレーキパッドの厚み測定装置の外観を示す概略正面図。
(b)はそのブレーキパッドの厚み測定装置の外観を示す概略右側面図。
【図6】 実施例のリモート検出器を取り付けて使用するブレーキパッドの厚み測定装置の機能を説明するブロック図。
【図7】 (a)は自動車にセットされた状態のブレーキパッドの厚みを測定する測定操作に於ける、測定操作開始時点を示す概略側面説明図。
(b)は測定操作終了時点を示す概略側面説明図。
【図8】 (a)はブレーキパッドの厚み測定装置を用いてパッド厚みを測定する場合の測定操作開始時点を示す一部切欠側面説明図。
(b)は測定操作終了時点を示す一部切欠側面説明図。
【図9】 (a)はブレーキパッドの外観を示す概略斜視図。
(b)はブレーキパッドの概略側面図。
【符号の説明】
1 検出片
1a 固定片
1b 可動片
1b1 屈曲部
2 開閉操作部
2a 駆動片
2b 操作棒
2c 圧縮コイルバネ
2d バネ部材
3 間隔取得部
3a 可変抵抗器
3a1 抵抗部
3a2 摺動面
3a3 摺動接片
3a4 信号伝達ケーブル
3b 伝達棒
4 検出器本体
4a グリップ部
4a1 隔壁
4a2 前部室
4a3 後部室
4b 内筒部
4b1 支持空間
4b2 バネ用大径孔
4b3 棒用小径孔
11 測定装置本体
12 測定基準面
13 測定脚
14 変位検出部
15 演算制御部
16 記憶手段
16a メインプログラム
16b 厚み演算モジュール
16c 残走行可能距離換算モジュール
16d 第二厚み演算モジュール
17 データ記憶手段
18 液晶表示器
19 スイッチ類
19a メニュー切り替えスイッチ
19a1 選択ボタン
19a2 決定ボタン
19b 電源スイッチ
20 ブレーキパッド
20a パッド部
20b ライニング部
21 ブレーキディスク
22 データ出力手段
J1 リモート検出器の信号取り出し部の出力信号を入力するためのジャック
J2 データ記憶手段の保持するデータを取り出すデータ出力手段のジャック

Claims (1)

  1. ブレーキパッドの厚み測定装置に後記間隔取得部の出力する信号を伝達する信号伝達ケーブルを介して接続するリモート検出手段であって、
    前記ブレーキパッドの厚み測定装置が、少なくとも、パッド厚みと一定の関係を持った検出信号からその関係に基づいてブレーキパッドのパッド厚み値を算出する厚み演算部と、得られたパッド厚み値から残走行可能距離を取得する残走行距離取得部とを備えたものであり、前記リモート検出手段を、検出部である両先端間の間隔を開閉自在に構成した一対の検出片と、該一対の検出片の先端間の間隔をその間隔と所要の関係を持った一定の動作により開閉操作する開閉操作部と、該開閉操作部の開閉操作動作を検出して該一対の検出片の先端間の間隔と前記所要の関係を持った検出信号を出力する間隔取得部とで構成したブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段に於いて、
    前記一対の検出片を、検出手段本体から垂直に延長した固定片と、該固定片に、その内角側を対面させて配した「く」の字状の可動片であって、その屈曲部で回動自在に配した可動片とで構成し、前記開閉操作部を、前記「く」の字状の可動片の屈曲部より上部外側面に当接する操作片であって、前記固定片と平行な向きで該可動片に対して相対的に進退動作する操作片で構成し、かつ前記間隔取得部を、該操作片の動作に連動して抵抗部をスライド進退動作する可動接片を備えた可変抵抗器と、該可変抵抗器の抵抗の値をこれに比例する信号の値として取り出す信号取り出し部とで構成したブレーキパッドの厚み測定装置に於けるリモート検出手段。
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