JP4324817B2 - 糖転移酵素の活性測定用基質およびその活性測定方法 - Google Patents

糖転移酵素の活性測定用基質およびその活性測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖転移酵素、特にガラクトース転移酵素活性において、基質として使用する新規な基質および該基質を利用する糖転移酵素活性測定法ならびにその測定用試薬に関する。さらに詳細には、より優れた信号体雑音比および高感度、簡便性を有する糖転移酵素活性測定用基質、該基質を使用する測定法ならびにその測定用試薬組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グルコース転移酵素、ガラクトース転移酵素、アセチルガラクトース転移酵素、アセチルグルコサミン転移酵素、アセチルノイラミン酸転移酵素、フコース転移酵素などの糖転移酵素は、糖を含む糖化合物の糖残基に特定の糖ヌクレオチドを供与体として糖残基を転移する作用を有する酵素であり、多くの糖複合体(Glyococonjugate)の糖部分の生合成に関与している。近年、細胞由来の多くの糖転移酵素がヒト、ブタ、ウサギや微生物などから分離されている。
【0003】
特に、β1,4ガラクトース転移酵素は1種類しか存在しないと考えられてきたが、従来から知られているβ1,4−ガラクトース転移酵素Iの他に、遺伝子の塩基配列、アミノ酸配列、臓器発現が異なるβ1,4−ガラクトース転移酵素II,III ,IVが見出されている。マウスの泌乳期で1,4−ガラクトース転移酵素IとIVの発現量の挙動が異なることが知られている。また、成人の脳においても4種の酵素のmRNAの発現量に関して1,4−ガラクトース転移酵素IVのmRNAは存在するが、他の3種類の酵素のmRNAは検出されていない。マウスの個体発生過程に脳でのmRNAに発現の仕方は異なり、神経組織形成に関与していると言われている。
【0004】
また、受精において精子の頭部前端にある小体(アクロソーム)の反応が受精の最初のステップで、精子が卵の透明帯を認識し進入する。次に、精子は卵の原形質膜に到着すると、透明帯が変性し他の精子の進入を防ぐ。そして、精子の原形質膜が卵のそれと融合して核が卵に入る。この際、β1,4−ガラクトース転移酵素が重要な役割を果たしていると考えられている。
【0005】
このようにβ1,4−ガラクトース転移酵素は生体内において重要な役割を果たしているものと考えられるが、微量の酵素活性を簡便で迅速に測定することは容易でないことから、ノーザンブロッテイングなどによりmRNAの発現を確認している程度である。
【0006】
これまで、β1,4−ガラクトース転移酵素の活性測定には該酵素から生成される反応生成物質の分離法、例えばイオンクロマトグラフィや高速液体クロマトグラフィにより得た糖授与体や糖供与体をアイソトープ或いは蛍光物資などで標識して行われてきた。また該酵素によるガラクトース転移反応において糖供与体であるウリジン−5’−二燐酸ガラクトースから生成するウリジン−5’−二燐酸をピルビン酸キナーゼ(pyruvate kinase)及び乳酸脱水酵素(lactate dehydrogenase)を用いて下記式のように反応させる。β−NADHからNADへの反応を波長340μmの吸収を追うことにより単位時間当たりのガラクトース転移量を求め酵素活性を測定する方法がある。
【0007】
【化1】
Figure 0004324817
【0008】
しかしながら、これらの方法は供与体である基質としてアイソトープ標識された糖ヌクレオチドは人体に危険であり、また通常長時間を要する欠点がある。他方糖受与体としてピリジルアミノ化された糖鎖(Biochemical., 第95巻, 第197〜203頁,1984)、ANTS(8-aminonaphthalene-1,3,6-trisulfonic acid ) 、AMAC(2-aminoacridone )などの1級アミノ基と2個のスルフォン酸基をもつ蛍光色素で標識された糖鎖(J.Biochm., 第270巻,第705〜713頁,1990)を用いる。
【0009】
しかし、これらの標識した糖基質で酵素活性を測定する場合、供与体基質、受容体基質のいずれにおいても酵素反応で生成した物資を高速液体クロマトグラフィで分離して生成量を測定する必要がある。したがって、通常の多くの酵素活性測定のように直接反応液の生成物tを機器によって測定できないため非常に操作が煩雑で時間がかかるのが現状である。また、上記に示した反応で生成するUDPを酵素的に測定する方法があるが、感度の点で問題がある。
【0010】
蛍光標識した糖鎖を用いて酵素活性を測定する方法として、測定共鳴エネルギー移動法を用いる方法が開発されている。この方法は二重蛍光プローブを有する基質誘導体を作製し、蛍光エネルギー移動法という活性評価方法の有効性を利用することにより、酵素活性を測定する方法である。蛍光エネルギー移動法という活性評価方法の有効性とは、それぞれエネルギー供与体蛍光団、受容体蛍光団間の共鳴移動法による蛍光特性の消失性フィールドを利用することにより、S/N感度の向上を図ろうするものである。本発明者らは、特開平9−173096号公報において、既にこの原理を利用した糖転移酵素の活性測定方法を報告している。
【0011】
しかしながら,これまでに具体的な例としては、Gal β1→4GlcNAc に蛍光物質を結合したオリゴ糖誘導体によりα2,6−シアリルトランスフェラーゼを測定することが示されているが、他の糖転移酵素の活性測定に有効で適切な蛍光標識された基質は報告されていない。特に、β1,4−ガラクトース転移酵素の酵素活性は適切な蛍光標識した糖供与体が合成できないため、蛍光エネルギー移動法に基づいた測定は不可能であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的の一つは、ガラクトース転移酵素の活性測定に使用する蛍光標識糖受容体および蛍光標識糖供与体を提供することである。また、他の目的は、これらの基質を用いることにより、高感度で簡便にしてかつ短時間にガラクトース転移酵素活性を測定する方法並びにその測定用試薬提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述したように、糖転移酵素、特にガラクトース転移酵素を測定する上での問題点を解決するため、種々鋭意検討した結果、ガラクトース転移酵素活性測定に用いる新規な蛍光標識糖受容体基質および蛍光標識糖供与体基質の合成に成功した。そして、これらの基質を用いてガラクトース転移酵素反応により生成する2種の蛍光団(すなわち、供与体蛍光団および受容体蛍光団)を有する化合物の蛍光団間の共鳴移動による蛍光特性の変化を利用することにより、上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)糖受容体である3−〔N−(5−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニル)アミノ〕プロピル2−アセトアミド3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドと、糖供与体であるウリジン−5’−〔6−デオキシ−6−N−(1−ナフチル)−d−D−ガラクトピラノシル〕ジホスフェートジナトリウム塩を基質として糖転移反応をα−ラクトアルブミン存在下で行い、ナフチル基を励起させ、該励起により放出される蛍光波長によりダンシル基を励起させ、その蛍光強度を測定することを特徴とするβ1,4−ガラクトース転移酵素の糖転移酵素活性測定方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の基本的な原理は、共鳴エネルギー移動法をガラクトース転移酵素活性測定に応用することにある。つまり、ガラクトース転移酵素反応により蛍光物質を結合する糖供与体と異なる蛍光物質を結合する糖受容体から生成した反応生成物において、2種の蛍光物質を適当な光線で励起させ、該励起により放出される蛍光波長により他方の蛍光強度を測定することにより、糖転移酵素活性を測定するものである。
【0016】
本発明における糖受容体とは、アセチルグルコサミンの還元末端にスペーサーを介して蛍光物質を結合させた糖誘導体(図1)もしくはスペーサーを介してアセチルグルコサミンを側鎖に持ち、かつ同様にスペーサーを介して蛍光物質を側鎖にもつアクリルアミドコポリマー(図2)であり、すなわち、糖供与体から放射された波長より励起される放射波長を有するエネルギーを受容する蛍光団基をもつ糖(例えば、ガラクトース)を受容する糖誘導体をいう。また、エネルギー供与と受容の相対関係は、糖受容体および糖供与体が逆であっても良い。
【0017】
糖誘導体としては、例えば、糖が末端糖鎖がアセチルグルコサミンをスペーサーを介して蛍光物質を結合させた誘導体や(図1)、あるいはスペーサーを介してアセチルグルコサミンを側鎖に持ち、かつスペーサーを介して蛍光物質を側鎖にもつアクリルアミドコポリマーである(図2)。
【0018】
このような糖受容体としては、下記に示される3−〔N−(5−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニル)アミノ〕プロピル2−アセトアミド−3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドなどが例示される。
【0019】
【化2】
Figure 0004324817
【0020】
また、下記に示されるアクリルアミド、3−(N−アクリロイルアミノ)プロピル2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドおよびN−〔5−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニル〕−β−アラニンアリルアミドを反応させて合成されるアクリルアミドコポリマーなどが例示される。
【0021】
【化3】
Figure 0004324817
【0022】
また、本発明における糖転移酵素反応の糖供与体とは、糖ヌクレオチド(sugarnucleotide)の糖質の第6に蛍光物質を結合した糖ヌクレオチド誘導体である(図2)。すなわち、蛍光団をもつ糖転移酵素(例えば、ガラクトース転移酵素)特有の基質となる糖ヌクレオチド誘導体をいう。
【0023】
糖ヌクレオチド誘導体としては、例えば、ウリジン−5’−〔6−フルオレセイニルチオウレイイド)デオキシ−6−d−D−ガラクトピラノシル〕ジホスフェート(UDP−(6−fluoresceinyl )−Gal)などがあり、。フルオレセイニル(fluoresceinyl )基は、ダンシル(dansyl)基、ナフチル(naphtyl )基、ピレニル(pyrenyl )基などで代用される。
【0024】
このような蛍光標識されたウリジンデオキシガラクトピラノシルジホスフェート(UDP−ガラクトース)の例として、下記構造式を有するウリジン−5’−〔6−デオキシ−6−N−(1−ナフチル)−d−D−ガラクトピラノシル〕ジホスフェートジナトリウム塩が挙げられる。
【0025】
【化4】
Figure 0004324817
【0026】
本発明における糖受容体である糖誘導体に結合する蛍光物質F2の蛍光団基としては、ナフチル基、ピレニル基、ダンシル基、フルオレスカミン基などが挙げられる。
【0027】
また、本発明における糖供与体である糖ヌクレオチドに結合する蛍光物質F1の蛍光団基としては,ナフチル基、ピレニル基、ダンシル基、フルオレスカミン基などが挙げられる。
【0028】
本発明において、糖受容体の蛍光物質F2がダンシル基である場合、糖供与体の蛍光物質F1はナフチル基であることが好ましい。
【0029】
本発明の基質の製造方法は、例えば、蛍光物質F2がダンシル基、蛍光物質F1がナフチル基である場合には、糖受容体としてN−アセチルグルコサミンの還元末端にスペーサーを介してアミノ基を導入し、これをダンシル基を有する蛍光物質を反応させて目的物を得、糖供与体としてはガラクトースのにナフチル基を導入し、目的物質である上記ウリジン−5’−〔6−デオキシ−6−N−(1−ナフチル)−d−D−ガラクトピラノシル〕ジホスフェートジナトリウム塩を得ることができる。
【0030】
本発明における糖転移酵素を測定する方法とは、上記糖供与体および糖受容体に糖転移酵素を作用させ、生成した2種の異なる蛍光物質を有する化合物のいずれか一方の蛍光物質を紫外線で励起させ、該励起により放出される蛍光波長より、他方の蛍光強度を測定する糖転移酵素活性を測定するものである。その転移酵素反応条件は酵素の反応至適条件に従う。
【0031】
蛍光物質を励起する条件および蛍光測定法は、例えば、Luminescence spectrometer LS50B(Perkin Elmer社製)にて、励起波長280nm、蛍光度測定を310〜600nmまで行う。蛍光度の測定は50nmHEPES緩衝液(pH7.0)中、37℃、Scanspeed 500nm/分、Slit size 5nmで行う。糖転移反応は、例えば、上記緩衝液4.2mlにβ1,4−ガラクトース転移酵素0.05単位、糖供与体10nmol、糖受容体300nmol、及びα-lactosamineを含む反応液で行う。糖供与体と受容体の比は1:10〜1:100が望ましいが、特にこの範囲に限定されるものでない。
【0032】
本発明の糖転移酵素活性測定用試薬組成物の態様としては、例えば、上記糖供与体および上記糖受容体、緩衝液ならびに酵素活性賦活剤を含むものが挙げられる。該緩衝液としては、糖転移酵素の反応に際して使用できるものであれば特に制限されるものではない。
【0033】
共鳴エネルギー移動の現象は、20世紀はじめPerrinにより観察されたが、Forster は1940年代後半に共鳴エネルギー移動により分子間相互作用を述べる理論を提唱し、発色酸の距離と発色団の光学的性質に関係づける移動速度式を導いた(Sinanoglu, O., Ed.,Modern Quantum Chemistry 第93〜137頁)。
【0034】
上記方法は改良され分子間平均距離は、共鳴エネルギー移動の測定により信頼するデータが得られるようになっている。通常、エネルギー移動の測定は、蛍光の検出を基本としているので、高感度を確保できる利点がある。エネルギー供与体と受容体間のForster 距離は、基本的には、(a) エネルギー供与体量子収量、(b) エネルギー供与体の蛍光放射スペクトラム、(c) エネルギー受容体の分子間吸光係数で測定出来るが、蛍光物質の溶液状況などを考慮する必要がある。
【0035】
本発明では、糖転移酵素は糖供与体である糖ヌクレオチドから糖受容体に転移する酵素であるので、二つの適切な蛍光物質をこれらの両基質に酵素活性の阻害を起こすことなく標識すれば、酵素反応の途中の変化前後で両蛍光団物質の距離の変化に伴う蛍光放射の変化で酵素活性を測定できる。すなわち、蛍光エネルギー移動対はエネルギー供与体分子とエネルギー受容体分子からなり、該エネルギー供与体分子は第1放射波長を有し、そして該エネルギー受容体分子は第1放射波長により励起されることが出来、かつ第1放射波長と区別して検出可能な第2放射波長を有する蛍光発色基を有し、さらにこれらの糖供与体、糖受容体が酵素転移酵素反応を阻害しないものである。
【0036】
本発明の原理および目的から、最も好ましい条件下では、上記の糖供与体および糖受容体を使用し、酵素反応が進行すれば、蛍光団をもつ糖が受容体に転移され蛍光エネルギー移動対のエネルギー供与分子およびエネルギー受容体分子は同一分子上に近接し、これによりForster の原理によるエネルギー移動を起こすことが出来る。また、蛍光団をもつ糖が受容体に転移され生成物の物性により転移された蛍光物質の強度が反応に進行するにつれて有意に変化することが観察されることがあるので、第1励起蛍光団の強度を直接モニターすることにより酵素活性を測定することが出来るものである。
【0037】
上記のようにこれらの酵素反応液を励起し、特定的にはエネルギー供与蛍光団をその励起波長で励起し、そして受容体の放射波長を測定することにより、あるいは転移された供与体の蛍光強度を測定することにより試料中の酵素活性を定性的にあるいは定量的に測定することが出来る。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0039】
実施例1
1.蛍光物質標識糖受容体の合成
中間体(I)の合成
D−グルコサミン塩酸塩156.6g(0.73mol)をピリジン500ml中に懸濁し、トリエチルアミン102ml(0.73mol)を加え塩酸塩を中和させた後、無水酢酸500ml(約1.1mol)を加え一晩攪拌させた。溶液が透明になっているのを確認した後、TLC(薄層クロマトグラフィ)で反応の終了を確認し、濃縮した。残渣にクロロホルム約0.5mlを加え溶解させた後、脱イオン水、重曹水、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライト濾過し濃縮後、残渣をエタノールに溶解し再結晶させた。結晶を濾過し、減圧下で乾燥させた。エタノール溶液は濃縮し、再度エタノールに溶解し再結晶させた。以上のようにして、2−アセトアミド−1,3,4,6−テトラ−o−アセチル−2−デオキシ−D−グルコピラノースを収量256g、収率90%で得た。
【0040】
次に、この2−アセトアミド−1,3,4,6−テトラ−o−アセチル−2−デオキシ−D−グルコピラノース5.0g(13mmol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶解し、60℃でTMSOTf(トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート)2.6ml(13mmol)を加え、2時間攪拌した。TLCで反応の終了を確認し、トリエチルアミン5.4ml(38mmol)を加え、TMSOTfをクエンチした。その後、一度溶媒を完全に留去し、ジクロロメタン50mlに再度溶解した。
【0041】
この溶液に3−(N−ベンジルオキシカルボニルアミノ)プロパノール8.0g(38mmol)を加え、さらにCSA((±)−しょうのう−10−スルホン酸)を少量ずつpHが2〜3になるまで加え、70℃で還流しながら4時間攪拌した。TLCで反応の終了を確認し、反応液を室温まで冷し、重曹水、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライト濾過し濃縮した。最後に残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製して(展開溶媒 クロロホルム:メタノール=50:1)、3−(N−ベンジルオキシカルボニルアミノ)プロピル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドを収量2.8g、収量40%で得た。
【0042】
【化5】
Figure 0004324817
【0043】
3−〔N−(5−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニル)アミノ〕プロピル2−アセトアミド3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドの合成
上記中間体(I)300mg(0.56mmol)をドライメタノール8mlに溶解しナトリウムメトキシド10mgを加え、室温で一晩攪拌した。TLCで反応の終了を確認し、イオン交換樹脂(ダウエックスH+ 型)で中和した。イオン交換樹脂を綿栓濾過で取り除き、濃縮する。
【0044】
次に、残渣をメタノール8mlに溶解し、Pd/C(パラジウム炭素)100mgを加え、水素雰囲気下室温で1時間攪拌した。TLCで反応の終了を確認した後、セライト濾過して、さらに濃縮した。そして、残渣をドライメタノール5mlに溶解し、トリエチルアミン93μl(0.67mmol)ダンシルクロライド150mg(0.56mmol)を加え、0℃で4時間攪拌した。TLCで反応の終了を確認し、濃縮した。最後に、セファデックスG−10(ファルマシアバイオテク製)を用いてゲル濾過(展開溶媒は脱イオン水)により精製した。収量267mg、収率100%であった。
【0045】
NMR分析値(プロトンNMR)
H-1:4.10ppm (d,1H,J1,2 =8.8 Hz)
H-2:3.45ppm (t,1H,J2,3 =10.3Hz)
H-3:3.33ppm (t,1H,J3,4 =8.8Hz )
H-5:3.56ppm (m,1H,J4,5 =11.0Hz,J5,6a =0.0Hz ,J5,6b =5.1Hz )
3.21-3.28ppm(m,2H,H-4,H-6b )
1.65ppm (s,3H,Ac )
2.68ppm (s,6H,Dan's Me×2)
2.68-3.56ppm(m,6H, CH2 ×3)
7.21ppm (d,1H, NH)
7.49-8.33ppm(d ×3,dd×1,6H,Naph)
【0046】
実施例2
2.蛍光物質標識糖受容体の合成
中間体(II)の合成
2−アセトアミド−1,3,4,6−テトラ−o−アセチル−2−デオキシ−D−グルコピラノース50g(0.13mol)をドライクロロホルム300mlに溶解し、0℃で無水酢酸5ml、30%臭化水素−酢酸115ml(0.45mol)を加え、徐々に室温に戻しながら2時間攪拌した。TLCで反応の終了を確認したら、反応溶液を0℃に冷し、ピリジン60ml(0.64mol)を加え、徐々に室温に戻しながらさらに一晩攪拌した。TLCで反応の終了を確認後、反応液を脱イオン水、重曹水、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライト濾過し、濃縮した。
【0047】
次に、残渣を1,2−ジクロロエタン200mlに溶解し、この溶液に3−(N−ベンジルオキシカルボニルアミノ)プロパノール13.4g(64mmol)を加え、さらにCSA((±)−しょうのう−10−スルホン酸)を少量ずつpHが2〜3になるまで加え、70℃で還流しながら一晩攪拌した。TLCで反応の終了を確認し、反応液を室温まで冷し、重曹水、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライト濾過して濃縮した。最後に、残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製(展開溶媒 クロロホルム:メタノール=50:1)し、さらにエタノールで再結晶させ、3−(N−ベンジルオキシカルボニルアミノ)プロピル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドを収量16.0g、収率46%で合成した。
【0048】
【化6】
Figure 0004324817
【0049】
次に、3−(N−アクリロイルアミノ)プロピル2−アセトアミド−3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド1.9g(3.5mmol)をメタノール20mlに溶解し、Pd/C(パラジウム炭素)200mgを加え、水素雰囲気下室温で1時間攪拌した。TLCにより反応の終了を確認後、セライト濾過した後、さらに濃縮した。残渣をTHF(テトラヒドロフラン)60ml−メタノール25mlの混合溶媒に溶解させ、0℃でトリエチルアミン0.59ml(4.2mmol)、アクリロイルクロライド0.34ml(4.2mmol)を加え、徐々に室温に戻しながら、2時間攪拌した。この際、pHが酸性側に偏らないように少量ずつトリエチルアミンを加えた。
【0050】
TLCにより反応の進行が良くないことが確認されたので、さらにアクリロイルクロライド0.50ml(4.9mmol)を加え、2時間攪拌した。TLCで反応の終了を確認した後、濃縮し、残渣をクロロホルムに溶解させ、重曹水と食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、セライト濾過を行い、さらに濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィで精製(展開溶媒 クロロホルム:メタノール=30:1)し、3−(N−アクリロイルアミノ)プロピル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドを、収量491mg、収率31%で得た。
【0051】
次に、3−(N−アクリロイルアミノ)プロピル2−アセトアミド−3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド491mg(1.07mmol)をメタノール10mlに溶解し、ナトリウムメトキシド10mgを加え、一晩攪拌した。そして、TLCで反応の終了を確認した後、イオン交換樹脂(ダウエックスH+ 型)で中和した。最後に、イオン交換樹脂を綿栓濾過で取り除き、濃縮し、収率100%で3−(N−アクリロイルアミノ)プロピル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドを得た。
【0052】
中間体(III )の合成
上記に合成したN−t−ブチルオキシカルボニル−β−アラニン5.0g(26.4mmol)とアリルアミン2.0ml(26.7mmol)をエタノール−ベンゼン(1:1)50ml溶解し、EEDQ(1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン)7.2g(29.1mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。TLCで反応の終了を確認した後、さらに濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィで精製(展開溶媒 クロロホルム:メタノール=50:1)し、N−t−ブチルオキシカルボニル−β−アラニンアリルアミドを収量5.5g、収率92%で得た。
【0053】
N−t−ブチルオキシカルボニル−β−アラニンアリルアミド5.5gを4N塩化水素ジオキサン溶液150mlに溶解し、室温で一晩攪拌する。TLCにより反応の終了を確認した後、さらに濃縮し、エタノールで再結晶させた。収量3.0g、収率81%でβ−アラニンアクリルアミド塩酸塩を得た。
【0054】
上記で合成したN−t−ブチルオキシカルボニル−β−アラニン塩酸塩114.6mg(0.74mmol)をドライメタノール5mlに溶解し、0℃でトリエチルアミン0.24ml(1.72mmol)とダンシルクロライド200mg(0.74mmol)を加え、4時間攪拌した。TLCで反応の終了を確認し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィで精製(展開溶媒 クロロホルム:メタノール=50:1)し、N−〔5−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニル〕−β−アラニンアクリルアミドを収量133mg、収率51%で合成した。
【0055】
【化7】
Figure 0004324817
【0056】
アクリルアミドコポリマーの合成
3−(N−アクリロイルアミノ)プロピル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド10.0mg(0.030mmol)、微少量のメタノールに溶解したN−〔5−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニル〕−β−アラニンアクリルアミド1.04mg(0.0030mmol)、アクリルアミド21.3mg(0.30mmol)を脱イオン水に溶解し、減圧下超音波をかけながら脱気した。さらに、脱気したメタノールを溶液が透明になるまで加え、TEMED(N,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミン)2.00μl(0.013mmol)とAPS(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)1.22mg(5.3mmol)を加え、窒素雰囲気下で一晩攪拌した。反応液をそのままゲル濾過カラム(セファデックスG−50)に供して精製し、アクリルアミドコポリマー19.6mgを、収率61%で得た。
【0057】
NMR分析値(プロトンNMR)
H-1:4.41ppm (d,1H)
H-6a:3.35ppm(s,1H)
3.45-3.66ppm(m,3h,H-2,H-3,H-4)
3.82ppm (m,2H,H-5,H-6b )
1.95ppm (s,3H,Ac )
1.55-2.33ppm(m,CH2,CH)
7.61-8.42ppm(m,Naph)
【0058】
積分値より、グルコサミン残基:アクリルアミド残基:ダンシル残基=7.47:92.37:0.16と算出された。
【0059】
13CNMR
C-1 101.97ppm
C-2 56.40ppm
C-3 74.61ppm
C-4 70.78ppm
C-5 76.82ppm
C-6 61.61ppm
35.27-37.04ppm(CH2
42.21-42.99ppm(CH)
180.28ppm (CO)
【0060】
実施例3
1.蛍光物質標識糖供与体の合成
中間体(IV)の合成
ガラクトース500gをピリジン1.5ml/無水酢酸1.5mlの混合溶媒に懸濁させ、一晩攪拌した。溶液が透明になっていることを確認した後、TLCで反応の終了を確認し、濃縮した。残渣にクロロホルム約1.5mlを加え溶解させた後、脱イオン水、重曹水、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、セライト濾過し濃縮後、残渣をエタノールに溶解し再結晶させた。結晶を濾過し、減圧下で乾燥させた。エタノール溶液は濃縮しそのまま保存した。収量1.08kg、収率100%で、1,2,3,4,6−ヘキサ−o−アセチル−D−カラクトピラノースを得た。
【0061】
次に、1,2,3,4,6−ヘキサ−o−アセチル−D−カラクトピラノース12.6g(32.3mmol)をTHF130mlに溶解し、ベンジルアミン5.30ml(48.5mmol)を加え、室温で一晩攪拌する。TLCで反応の終了を確認し、反応液を約30mlまで濃縮した。残渣にクロロホルム約100mlを加え、再び30mlまで濃縮した。残渣にクロロホルム約300mlを加え、1N塩酸、重曹水、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、セライト濾過し、さらに濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィで精製(展開溶媒 トルエン:酢酸エチル=5:1〜2:1)し、収率100%で2,3,4,6−テトラ−o−アセチル−D−カラクトピラノースを得た。
【0062】
次に、亜リン酸ジベンジル1.29g(4.9mmol)をトルエン20mlに溶解し、N−クロロコハク酸イミド0.66g(4.9mmol)を加え、室温で1時間攪拌する。TLCで反応の終了を確認した後、グラスフィルターで濾過し、濃縮した。残渣と2,3,4,6−テトラ−o−アセチル−D−カラクトピラノース0.57g(1.6mmol)をTHF20mlに溶解し、70℃で1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液1.0ml(1.6mmol)を加えた。約2時間かけて徐々に反応溶液を40℃まで上げ、TLCで反応の終了を確認した。反応液をクロロホルム約100mlで希釈し、重曹水、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、セライト濾過し濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィで精製(展開溶媒 トルエン:酢酸エチル=5:1)し、ジフェニル−2,3,4,6−テトラ−o−アセチル−α−D−カラクトピラノシルホスフェートを、収量0.53g、収率50%で得た。
【0063】
次に、ジフェニル−2,3,4,6−テトラ−o−アセチル−α−D−カラクトピラノシルホスフェート0.30mg(0.49mmol)をメタノール5mlに溶解し、Pd/C(パラジウム炭素)100mgを加え、水素雰囲気下室温で1時間攪拌した。TLCで反応の終了を確認後、セライト濾過した後、さらに濃縮した。残渣をトリエチルアミン:メタノール:脱イオン水=1.5ml:10ml:4.6mlの混合溶媒に溶解して、室温で1時間攪拌した。TLCで反応の終了を確認した後、濃縮し、α−D−ガラクトピラノシルホスフェート−ジ−n−ブチルアンモニウム塩を収率100%で合成した。
【0064】
【化8】
Figure 0004324817
【0065】
中間体(V)の合成
中間体(IV)117mg(0.253mmol)、カタラーゼ1mg及びガラクトースオキシデース20mgを0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)20mlに溶解して、30分振とうした。続いて、α−ナフチルアミン70.9mg(0.51mmol)、アセトニトリル6mlを加え、30分振とうした。次に、α−ナフチルアミンが全て溶けるまでアセトニトリルを加え、さらに1時間振とうした。水素化シアノホウ素ナトリウム16.4mg(0.25mmol)を加え、5分間振とうし、脱イオン水100mlで希釈し、ジエチルエーテル、トルエンで洗浄した。水層を凍結乾燥し、結晶をセファデックスG−10によるゲル濾過(展開溶媒 脱イオン水)を行うことにより精製した。さらに、陽イオン交換樹脂(ダウエックス50W−X8,ピリジニウムイオン型)カラム(直径0.5cm×長さ5.0cm)に通した後、n−ブチルアミンを14.7μl(62μmol)加えて濃縮し、ピリジンで3回共沸させ、6−デオキシ−6−N−(1−ナフチル)−α−D−ガラクトピラノシルホスフェートを、収量21mg、収率15.3%で得た。
【0066】
【化9】
Figure 0004324817
【0067】
ウリジン−5’−〔6−デオキシ−6−N−(1−ナフチル)−α−D−ガラクトピラノシル〕ジホスフェートジナトリウム塩の合成
ウリジン−5’−モノホスホモルホリデート−4−モルホリン−N,N−ジシクロヘキシルカルボキシアミジン塩34mg(50μmol)をピリジンで3回共沸させた。残渣と6−デオキシ−6−N−(1−ナフチル)−α−D−ガラクトピラノシルホスフェ−ト−ジ−n−ブチルアンモニウム塩21mg(39μmol)をピリジン約5mlに溶解させて、濃縮を行い、再度ピリジン3mlに溶解し、一晩攪拌した。脱イオン水約50mlで希釈し、ジエチルエーテルで洗浄し、水層を凍結乾燥した。結晶を陰イオン交換樹脂(DEAE−セファセル、炭酸水素イオン型)を用いて精製(展開溶媒 0.05〜0.5M 炭酸水素アンモニウム水溶液)し、さらにセファデックスG−10を用いて精製した。最後に、陽イオン交換樹脂(ダウエックス50W−X8,Na+ 型)を通し、濾液を凍結乾燥し、ウリジン−5’−〔6−デオキシ−6−N−(1−ナフチル)−α−d−ガラクトピラノシル〕ジホスフェートジナトリウム塩を収量9.5mg、収率33.6%で得た。
【0068】
NMR分析値
H-1':5.47ppm(d,1H,J1,P =8.0Hz,J1,2=0.0Hz )
H-4':4.99ppm(s,1H,J3,4 =0.0Hz,J4,5=0.0Hz )
3.73-4.77ppm(m,11H,H-2',H-3',H=5',H-6a',H-6b',H-1,H-2,H-3,H-4,H-5a,H-5b)
5.57-5.83ppm(m,2H,uridine)
6.98ppm (d,1H, NH-Naph )
7.33-7.93ppm(m,8H,uridine)
【0069】
中間体(IV)107mg(0.23mmol)、カタラーゼ1mg及びガラクトースオキシデース10mgを0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)20mlに溶解し、30分振とうした。続いて、1−ナフチルメチルアミン68μl(0.46mmol)、アセトニトリル6mlを加え、30分振とうした。次に、1−ナフチルメチルアミンが全て溶けるまでアセトニトリルを加え、さらに1時間振とうした。水素化シアノホウ素ナトリウム15mg(0.23mmol)を加え、5分間振とうし、脱イオン水100mlで希釈し、ジエチルエーテル、トルエンで洗浄した。水層を凍結乾燥し、結晶をセファデックスG−10を用いたゲル濾過(展開溶媒 脱イオン水)により精製した。さらに、陽イオン交換樹脂(ダウエックス50W−X8,ピリジニウムイオン型)カラム(直径0.5cm×長さ5.0cm)に通した後、n−ブチルアミンを14.7μl(62μmol)加えて濃縮し、ピリジンで3回共沸させ、下記6−デオキシ−6−N−(1−ナフチルメチル)−α−D−ガラクトピラノシルホスフェートを、収量55mg、収率46%で得た。
【0070】
【化10】
Figure 0004324817
【0071】
ウリジン−5’−〔6−デオキシ−6−N−(1−ナフチルメチル)−α−D−ガラクトピラノシル〕ジホスフェート−ジナトリウム塩の合成
ウリジン−5’−モノホスホモルホリデート−4−モルホリン−N,N−ジシクロヘキシルカルボキシアミジン塩20mg(37μmol)をピリジンで3回共沸させた。残渣と6−デオキシ−6−N−(1−ナフチルメチル)−α−D−ガラクトピラノシルホスフェート−ジ−n−ブチルアンモニウム塩16mg(29μmol)をピリジン約5mlに溶解させ、濃縮し、再度ピリジン3mlに溶解し、一晩攪拌した。約50mlの脱イオン水で希釈し、ジエチルエーテルで洗浄し、水層を凍結乾燥した。結晶を陰イオン交換樹脂(DEAE−セファセル、炭酸水素イオン型)で2回精製し(展開溶媒 0.05〜0.5M炭酸水素アンモニウム水溶液)、さらにセファデックスG−10で2回精製した。最後に、陽イオン交換樹脂(ダウエックス50W−X8,Na+ 型)を通し、濾液を凍結乾燥し、ウリジン−5’−〔6−デオキシ−6−N−(1−ナフチルメチル)−α−D−ガラクトピラノシル〕ジホスフェートジナトリウム塩を得た。
【0072】
H-1': 5.55ppm (d,1H,J1,P =8.0Hz,J1,2=0.0Hz )
H-3': 4.26ppm (dd,1H )
H-4': 5.08ppm (d,1H,J3,4 =2.9Hz,J4,5=0.0Hz )
H-5': 3.78ppm (m,1H)
4.06-4.13ppm(m,6H,H-2',H-6a',H-6b',リボース)
3.51ppm,4.72ppm (eachs,3H, リボース)
5.63-5.66ppm(m,2H,uridine )
7.46-8.02ppm(m,8H,Naph,uridine )
【0073】
実施例4
糖供与体であるウリジン−5’−〔6−デオキシ−6−N−(1−ナフチル)−d−D−ガラクトピラノシル〕ジホスフェートジナトリウム塩2.38μMおよび糖受容体である3−〔N−(5−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニル)アミノ〕プロピル2−アセトアミド3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドを71.42μMおよびα−ラクトアルブミン9.52μg/mlおよびβ1,4−ガラクト−ス転移酵素0.05単位からなる反応液4.2ml(50mM HEPES緩衝液;pH7.0)の条件で37℃にて作用させ、反応液を経時的に蛍光物質を励起させ蛍光強度を測定した。
【0074】
該蛍光物質を励起する条件および蛍光強度の測定については、Luminescence spectorphotometer LS50B(Perkin Elmer社製)にて励起させ、蛍光測定は310〜570nmまで行った。図3のように、ナフチル基は430nmで放射されその結果ダンシル基が励起され放射蛍光が530nmで検出された。また、ナフチル基による430nmの蛍光強度の変化が観察された。
【0075】
【発明の効果】
上述したように、本発明における基質を用いた測定方法においては、非特異性バックグラウンドはS/N比を低下させるが、適切な緩衝剤および試薬および蛍光物質の組合せを選択することにより減少あるいは排除することが出来る。さらに、本発明の測定方法によると、ガラクトース転移酵素の生産物を高速液体クロマトグラフィなどで分離することなく酵素活性を高感度で測定することができるので、簡単にしてかつ短時間で測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の糖受容体誘導体の模式図を示す。
【図2】本発明の糖供与体誘導体の模式図を示す。
【図3】ガラクトース転移酵素反応液における蛍光スペクトラムを示す。

Claims (1)

  1. 糖受容体である3−〔N−(5−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニル)アミノ〕プロピル2−アセトアミド3,4,6−トリ−o−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドと、糖供与体であるウリジン−5’−〔6−デオキシ−6−N−(1−ナフチル)−d−D−ガラクトピラノシル〕ジホスフェートジナトリウム塩を基質として糖転移反応をα−ラクトアルブミン存在下で行い、ナフチル基を励起させ、該励起により放出される蛍光波長によりダンシル基を励起させ、その蛍光強度を測定することを特徴とするβ1,4−ガラクトース転移酵素の糖転移酵素活性測定方法。
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