JP4323869B2 - 太陽光採光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光採光装置、より詳しくは、比較的広範囲の地上に太陽光を照射する場合に好適な太陽光採光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市部では建物の高層化や過密化が進み、太陽光が照射しない建物や地域の増加が著しい。このため、反射ミラーを利用して屋内や所定の地域に太陽光を照射する多くの方法が提案されている。
【0003】
例えば、日陰部に対向する位置に反射鏡を配置して建物日陰部に太陽光を反射させるとともに、自動制御装置によって反射鏡の反射角調整用モータを制御して太陽の位置に応じて自動的に反射鏡の反射角を制御し、太陽光を常に日陰部に反射できるようにした建物日陰部への太陽光照射装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9―265815号公報(第2〜3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この太陽光照射装置は、反射鏡が水平方向に配置された支軸によって単に上下方向に回動するように形成されているので、太陽光の照射を効果的に行うことができない。
【0006】
すなわち、反射鏡に対する太陽の位置は、季節及び時刻によって3次元的に変化するから2次元的に反射鏡の角度を変化させても効率的な反射光を得ることができない。その上、台風などの強風に耐えるためには、剛構造とする必要があるから建設費が高くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであり、その目的の1つは、太陽の動きを3次元的に追尾することができる太陽光採光装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、照度計を用いて日照の有無を観測し、曇りや雨天時には、運転を停止するようにした太陽光採光装置を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、風速計を用いて風速を観測し、強風時には、運転を停止するようにした太陽光採光装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の太陽光採光装置は、支柱に設けた旋回フレームと、該旋回フレームを旋回させる駆動装置と、前記旋回フレームに臥仰可能に設けた鏡板フレームと、該鏡板フレームに支持された複合ミラーと、前記鏡板フレームと前記旋回フレームの間に架橋させた支持体と、該支持体の長さを調整する調整器と、前記複合ミラーを洗浄する複合ミラー洗浄装置と、制御装置により構成され、該制御装置によって前記駆動装置及び調整器を制御して前記鏡板フレームを3次元的に姿勢制御する太陽光採光装置において、前記複合ミラー洗浄装置を、昇降可能な主軸と、該主軸を時計又は反時計方向に回転させる第1アクチュエータと、前記主軸に固定された第1アームと、該第1アームの先端部に設けた関節部と、該関節部の軸に固定された第2アームと、該第2アームを時計又は反時計方向に回転させる第2アクチュエータと、前記第2アームの先端部に設けた洗浄ノズルにより構成し、複合ミラーの洗浄が終了した時は、第2アームを第1アーム上に重ねた後、前記主軸を押し下げて第1及び第2アームを複合ミラーを構成している凸面ミラーの隙間に収容することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の太陽光採光装置は、複合ミラーの背面に太陽電池を設け、ミラー未使用時、例えば、冬場以外は、前記太陽電池を太陽に向けて発電に供することを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、この発明は、建物Bの屋上に設置した2基の太陽光採光装置Aによって太陽Sの光L1 を反射し、その反射光L2 によって建物Bの南側にある建物Cなどの日陰部の目標箇所(照射箇所)Dを照射するようになっている。
【0018】
図2に示すように、太陽光採光装置Aは、建物Bの屋上に構築した基台1上に立設させた支柱2に取り付けられている。この太陽光採光装置Aは、図2乃至図4に示すように、複合ミラー7と、駆動手段5および制御装置9により構成され、制御装置9に、予め、組み込まれたプログラムによって太陽Sの動きを自動的に追尾し、常に、目標箇所(照射箇所)Dを照射し続けるようになっている。
【0019】
上記複合ミラー7は、図5に示すように、凹面状の鏡板フレーム6と、この鏡板フレーム6の凹面側に取り付けた複数の凸面状のミラー(以下、凸面ミラーという)7aにより構成されている。
【0020】
上記駆動手段5は、水平面内で旋回するように支柱2に取り付けられた旋回フレーム4と、旋回フレーム4を旋回させるサーボモータの如き駆動装置20と、鏡板フレーム6と旋回フレーム4との間にあって鏡板フレーム6を起伏させる油圧シリンダの如き支持体8と、支持体8の長さを調整する調整器15(図9参照)から構成されている。
【0021】
図3に示すように、複合ミラー7は、所定の寸法(例えば、500mm角)の凸面ミラー7aを、複数枚(例えば、35枚(=7×5枚))、格子状に配設したものであり、凸面ミラー7aの反射光L2 がそれぞれ同じ照射箇所Dを重複して照射し、反射光L2 がマイルドになるように工夫されている(図5参照)。
【0022】
凸面ミラー7aの取付け角度は、図6に示すように、凸面ミラー7aの四隅を支持している支持ボルト21に螺合されているダブルナット22,23の位置を調節することによって自由に設定可能になっている。
【0023】
また、凸面ミラー7aは、凸面加工したアルミニウム製のプレートに高純度のアルミニウム板を貼ったものであり、93%の反射率を有している。また、その表面に人体に有害な紫外線(UV−B)を90%以上カットする特殊コーティングを施している。
【0024】
本発明は、図7(a)に示すように、2つの複合ミラー7の反射光を互いに重ねることによって照射箇所Dに太陽光の約半分の明るさを実現できるようになっている。また、図7(b)及び(c)に示すように、2つの反射光を隣接させることにより、多少、明るさが落ちるが照射箇所Dの面積を2倍に広げることができる。また、図7(d)に示すように、2つの照射箇所Dを照射することもできる。
【0025】
上記制御装置9は、駆動装置20を制御して鏡板フレーム6の方向角αを制御する一方、支持体8の長さを調整して鉛直面に対する鏡板フレーム6の臥仰角(高度角)βを制御し、鏡板フレーム6に取り付けられた複合ミラー7を3次元的に回動するようになっている。
【0026】
鏡板フレーム6の方向角αは、基準線Oに対して、例えば、±120°の範囲に設定されている(図4参照)。一方、鏡板フレーム6の高度角βは、鉛直線に対して、例えば、−20°〜0°の範囲に設定され(図2参照)、その角度は、鏡板フレーム6の支持軸3の回転を旋回フレーム4に取り付けたエンコーダ(図示せず)によって検出するようになっている。
【0027】
図8(a)及び(b)に示すように、複合ミラー7に入射する太陽光L1 が太陽の移動によって実線の位置から破線の位置L3 に変化した時、反射光L2 が実線の位置から破線の位置L4 となるため、目標箇所Dを照射することができなくなる。このため、複合ミラー7の方位角α及び高度角βを制御して反射光L2 が、常に、目標箇所Dを照射するようにしている。
【0028】
図9に示すように、制御装置9は、入力装置(キーボード)10と、記憶装置11と、比較器12及び制御信号作成装置13により構成され、記憶装置11には、予め、キーボード10から太陽光L1 の入射時刻、方位角α、高度角β及びその経時的な変化値などが信号V1 として入力されている。
【0029】
また、上記制御装置9は、カレンダーを内蔵し、土曜、日曜、祝日及び日照が確保できる夏場は作動しないように、時期や時間帯に応じた運転が可能になっている。また、太陽の位置を演算で求めてミラー7の位置を制御するようになっている。また、電波時計及びGPSを装備して自動的に日付けと時刻の補正を行い、常に、正確な太陽の位置を把握するようになっている。更に、照度計16や風速計18を装備し、日差しがない時や、強風時には、自動的に運転を停止するようになっている。
【0030】
さて、図9の制御装置9において、記憶装置11から比較器12に信号V1 が入力されると、この信号V1 から適切な方位角α及び高度角βが選定され、その信号V3 が制御信号作成装置13に入力される。そして、制御信号作成装置13によって作成された信号V4 によって駆動装置20及び支持体8の長さを調整する調整器15が指令通りに作動する。その結果、複合ミラー7が太陽Sの動きを自動的に追尾し、常に、目標箇所(照射箇所)Dを照射し続けることができる。その上、電波時計14からの信号V2 によって自動的に時刻補正が行われる。
【0031】
尚、複合ミラー7に入射する太陽光L1 の方位角α及び高度角βは、季節によって大幅に変化するので、キーボード10から記憶装置11に入力されるデータの信号V1 は、適宜、修正する。
【0032】
また、図10に示すように、電波時計14に照度計16を併設することも可能である。尚、図9のものと同じ機器には、同じ符号を付け、詳しい説明を省略する。
【0033】
照度計16は、日差しの有無を観測し、その信号V5 によって開閉器(切換器)17を操作して一時的に電波時計14の信号V2 を遮断し、曇りや雨天などの日差しが無い場合には、複合ミラー7の運転を停止するようになっている。
【0034】
更に、図11に示すように、電波時計14及び照度計16に風速計18を併設することも可能である。尚、図10のものと同じ機器に同じ符号を付け、詳しい説明を省略する。
【0035】
風速計18は、その信号V6を開閉器(切換器)17及び制御信号作成装置13に導入し、例えば、風速が40m以上になると、風速計18の信号V6 によって開閉器(切換器)17を操作して複合ミラー7の運転を停止する一方、制御信号作成装置13によって信号V7 を作成し、この信号V7 によって支持体8の長さを調整する調整器15を操作し、鏡板フレーム6を2点鎖線で示すように、略水平に寝かせるようになっている(図2参照)。
【0036】
ところで、上記太陽光採光装置Aは、図12に示すように、パネル洗浄装置25を備えており、鏡板フレーム6に支持された複合ミラー7を洗浄するようになっている。尚、複合ミラー7の洗浄時は、台風時のモードとし、鏡板フレーム6を水平に寝かせる。
【0037】
パネル洗浄装置25は、主軸26と、この主軸26を時計又は反時計方向に回転させる第1アクチュエータ27と、主軸26に固定された第1アーム28と、第1アーム28の先端に取り付けた関節部29と、この関節部29の軸30に取り付けた第2アーム31と、第2アーム31を時計又は反時計方向に回転させる第2アクチュエータ32と、第2アーム31の先端に取り付けられた洗浄ノズル33により構成されている。
【0038】
このパネル洗浄装置25の主軸26は、図12に示すように、隣接する凸面ミラー7aの隙間に設けられており、洗浄ノズル33の先端から洗浄水(図13参照)wを噴射させながら第1及び第2アーム28及び31を時計及び反時計方向に回転させることによって複合ミラー7の全域を洗浄するようになっている。
【0039】
このパネル洗浄装置25は、図13に示すように、洗浄に際して、主軸26を矢印Xの方向に突出させ、洗浄ノズル33を複合ミラー7に対向させる。一方、複合ミラー7の洗浄が終了した時は、2点鎖線で示すように、第2アーム31を第1アーム28上に重ねた後、主軸26を矢印Yの方向に押し下げて第1及び第2アーム28,31を隣接する凸面ミラー7aの隙間40に収納する。
【0040】
尚、主軸26から洗浄ノズル33に至る経路には、洗浄液を送る配管(図示せず)が設けられていることは言うまでもない。
【0041】
この太陽光採光装置Aの採光期間は、主として、冬場(例えば、11月中旬〜3月中旬)であるが、図15に示すように、各ミラー7aの背面に、当該ミラー7aと同じ大きさ、即ち、500mm角の太陽電池42を備えることにより、ミラー未使用時には、太陽光発電装置として使用できるようになっている。
【0042】
具体的に説明すると、この太陽光採光装置Aは、図15に示すように、各ミラー7aの背面にそれぞれ500mm角の太陽電池42を備えている。従って、ミラー取付け枠44を、その軸43を中心にして矢印Tの方向に180°反転させ、図14に示すように、太陽電池42を太陽(図示せず)に向けると、太陽光L1 を受光して太陽電池42による発電が行われる。尚、45は、上記枠体44の締め付けに用いるステーを示している。
【0043】
上記太陽電池42は、図16に示すように、複数枚、例えば、16枚の小型(125mm角)の太陽電池片42aで形成されている。太陽電池としては、例えば、pn接合ダイオード、フォトダイオードなどを挙げることができる。
【0044】
今、ミラー7aの背面に設けられている1枚の太陽電池片42aの発電量をMax2.38Wとすると、16枚の太陽電池片42aの発電量は、次のようになる。
すなわち、
2.38W×16枚≒38W ・・・・・ (1)
【0045】
また、1基(1枚)の複合ミラー7のミラー数は、35枚であるから、1枚の複合ミラー7の発電量は、次のようになる。
38W×35枚=1.33kW ・・・・・ (2)
【0046】
また、この発明では、複合ミラー7を2基(2枚)用いているので、その発電量(総発電量)は、次のようになる。
1.33kW×2枚=2.66kW ・・・・・ (3)
【0047】
従って、上記太陽光発電装置によって発電を行うと、ミラー未使用時には、補機の運転などの電力として十分利用することができる。
【0048】
【発明の効果】
上記のように、本発明は、支柱に旋回可能に取り付けられた旋回フレームと、該旋回フレームを旋回させる駆動装置と、前記旋回フレームに臥仰可能に取り付けられた鏡板フレームと、該鏡板フレームに支持された複合ミラーと、前記鏡板フレームと前記旋回フレーム間に架橋された支持体と、該支持体の長さを調整する調整器と、制御装置により構成され、該制御装置の制御信号によって前記駆動装置及び調整器を制御して前記鏡板フレームを3次元的に姿勢制御するようにしたので、複合ミラーの方向を太陽の動きに合わせて円滑に制御することができる。また、予め、記憶装置に入力させたプログラムにしたがって複合ミラーを制御するため、反射光を、常に、目標位置に照射することができる。
【0049】
また、本発明は、鏡板フレームに洗浄装置を設置し、該洗浄装置により複合ミラーを洗浄するようにしているので、複合ミラーを輝き度を維持することができる。また、この洗浄装置は、不使用時に鏡板フレーム内に収納されるので、太陽光の反射に悪影響を及ぼすことがない。
【0050】
また、本発明は、照度計を併設し、曇天や雨天時に旋回装置及び調整器の運転を停止するようにしたので、駆動電力を節約することが可能となり、経済的である。
【0051】
また、本発明は、風速計を併設し、台風や強風時に複合ミラーを支持している鏡板フレームを横に寝かせるようにしたので、強風による複合ミラーの破損を回避することができる。従って、複合ミラーや鏡板フレームを剛構造とする必要がなく、建設費を抑制することができる。
【0052】
また、本発明は、複合ミラーに背面に太陽電池を設け、ミラー未使用時には、前記太陽電池を太陽に向けて発電に供することができる。従って、本発明の太陽光採光装置は、年間を通して休み無く運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽光採光装置の設置図である。
【図2】本発明に係る太陽光採光装置の側面図である。
【図3】本発明に係る太陽光採光装置の正面図である。
【図4】本発明に係る太陽光採光装置の平面図である。
【図5】複合ミラーの構成図である。
【図6】凸面ミラーの取付角度調整手段の説明図である。
【図7】(a)〜(d)照射箇所のパターン説明図である。
【図8】(a)太陽光の入射角と反射角の変化を説明するための平面図、(b)太陽光の入射角と反射角の変化を説明するための側面図である。
【図9】本発明の太陽光採光装置に適用する制御装置の系統図である。
【図10】本発明の太陽光採光装置に適用する制御装置の他の例の系統図である。
【図11】本発明の太陽光採光装置に適用する制御装置の更に他の例の系統図である。
【図12】本発明の太陽光採光装置に適用する洗浄装置の斜視図である。
【図13】洗浄装置を備えた太陽光採光装置の要部拡大断面図である。
【図14】本発明の太陽光採光装置を太陽発電装置に切り換えた時の説明図である。
【図15】ミラーの背面に太陽電池を設けた側面図である。
【図16】ミラーの背面に適用する太陽電池の正面図である。
【符号の説明】
2 支柱
4 旋回フレーム
6 鏡板フレーム
7 複合ミラー
8 支持体
9 制御装置
15 調整器
20 駆動装置
Claims (2)
- 支柱に設けた旋回フレームと、該旋回フレームを旋回させる駆動装置と、前記旋回フレームに臥仰可能に設けた鏡板フレームと、該鏡板フレームに支持された複合ミラーと、前記鏡板フレームと前記旋回フレームの間に架橋させた支持体と、該支持体の長さを調整する調整器と、前記複合ミラーを洗浄する複合ミラー洗浄装置と、制御装置により構成され、該制御装置によって前記駆動装置及び調整器を制御して前記鏡板フレームを3次元的に姿勢制御する太陽光採光装置において、前記複合ミラー洗浄装置を、昇降可能な主軸と、該主軸を時計又は反時計方向に回転させる第1アクチュエータと、前記主軸に固定された第1アームと、該第1アームの先端部に設けた関節部と、該関節部の軸に固定された第2アームと、該第2アームを時計又は反時計方向に回転させる第2アクチュエータと、前記第2アームの先端部に設けた洗浄ノズルにより構成し、複合ミラーの洗浄が終了した時は、第2アームを第1アーム上に重ねた後、前記主軸を押し下げて第1及び第2アームを複合ミラーを構成している凸面ミラーの隙間に収容することを特徴とする太陽光採光装置。
- 複合ミラーの背面に太陽電池を設け、ミラー未使用時には、前記太陽電池を太陽に向けて発電に供することを特徴とする請求項1記載の太陽光採光装置。
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