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Description
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロモーター、マイクロセンサー、マイクロリレー等のマイクロマシン、或いは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(Micro Electro Mechanical System,MEMS)と呼ばれる微細電気機械部品等に適用され得るデバイスであって、作動流体を利用して移動体を移動させる駆動デバイスに関する。
【従来の技術】
背景技術
【0002】
近年、半導体製造技術に代表されるような材料の微細加工技術や、電気エネルギーと機械エネルギーを相互に変換しうる圧電材料等を用いて、数ミリから数十ミクロンサイズの微細なマイクロモーター、マイクロセンサー、及びマイクロスイッチ等の開発が進められている。それらの要素デバイスは、例えば、インクジェットプリンタヘッド、マイクロバルブ、フローセンサー、圧力センサー、記録ヘッド、トラッキングサーボ用アクチュエータ、オンチップ生化学分析、マイクロリアクタ、高周波部品、マイクロ磁気デバイス、マイクロリレー、加速度センサー、ジャイロ、駆動デバイス、ディスプレイ、光スキャナ、等々へ幅広く応用さ得る(例えば、日経マイクロデバイス,2000年7月号,p.164−165を参照。)。
【0003】
これらのマイクロマシンにおいては、駆動力として静電気力が多く使われる。また、圧電材料の電圧印加により生じる歪み変形を利用するもの、形状記憶合金の形状変形を利用するもの、及び液体が加熱によって相変態することにより生じる体積変化を利用するものなど、さまざまなタイプの駆動源が検討されている。ところが、機構を微細化するに従い、駆動源の発生力や駆動ストロークが極めて小さくなり、このため、一部の用途には梃子のような機械的増幅機構を組み合わせることが必要となってきた。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような機械的増幅機構をマイクロマシンのサイズにまで微細化すると、通常のサイズでは問題とならない摩耗や固着等が大きな問題となる場合がある。また、梃子等の増幅機構(駆動機能)を有するマイクロマシンは、深さ(高さ)を有する立体構造の形成が必須となるので、微細加工に長時間を要したり、微細部品の組み立てに工数がかかるなどの理由により、量産化に適さないという問題を有する場合がある。従って、本発明の目的は、作動流体を利用したデバイスであって、マイクロマシンの小サイズや低消費電力の特徴を保ちつつ、磨耗や固着の問題を内在する機械的増幅機構をもたず、量産し易く、且つ、周囲温度の変動に伴う作動流体の漏洩が発生し難い駆動デバイスを提供することにある。
【本発明の概要】
発明の開示
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の駆動デバイスは、非圧縮性の作動流体を収容するとともに同作動流体とは異なる物質からなる移動体を収容し、同移動体により実質的に一対の作動室に区画される流路を構成する流路構成部と、前記一対の作動室のそれぞれに連通するとともに前記作動流体が充填された各ポンプ室と、同各ポンプ室に対して備えられた各アクチュエータと、同各アクチュエータにより変形される各ダイヤフラムとを有し、同各ダイヤフラムの変形により同各ポンプ室内の作動流体を加圧又は減圧する一対のポンプと、前記作動流体と圧縮性の圧力緩衝用流体とを収容する内圧緩衝室を構成する内圧緩衝室構成部と、前記流路構成部の前記一対の作動室の少なくとも一方と前記内圧緩衝室構成部の内圧緩衝室とを連通するとともに、同流路内の作動流体の急激な圧力変動に対しては実質的に同作動流体の通過を不能とする大きな流路抵抗を示し、且つ、同流路内の作動流体の緩慢な圧力変動に対しては実質的に同作動流体の通過を可能とする小さな流路抵抗を示す微細流路を構成する微細流路部と、を備えてなる。この場合、前記微細流路は、前記流路構成部の作動室と前記内圧緩衝室構成部の内圧緩衝室とを直接接続していてもよく、他の部分(例えば、流路とポンプ室とを接続する接続通路、或いは、ポンプ室)を介して前記流路構成部の流路と前記内圧緩衝室構成部の内圧緩衝室とを接続してもよい。また、ポンプは一対以上備えていてもよい。
【0006】
これによれば、アクチュエータによりダイヤフラムが変形せしめられ、流路内の作動流体が加圧、又は減圧せしめられる。このとき、作動流体に急激な圧力変動を生ぜしめれば、微細流路は実質的に同作動流体の通過を不能とする大きな流路抵抗を示すので、同作動流体の圧力変化は流路内の移動体に伝達され、同移動体が移動する。一方、周囲温度の変化に伴う作動流体の熱膨張により、或はアクチュエータを緩慢に作動させること等により、作動流体に緩慢な圧力変動が生じると、微細流路は実質的に同作動流体の通過を可能とする小さな流路抵抗を示すので、同作動流体は同微細流路を介して圧縮性の圧力緩衝用流体を収容する内圧緩衝室に移動する。この結果、流路内の作動流体の圧力上昇が抑制されるので、同作動流体の過大な圧力によるデバイスの破損、これによる作動流体の漏洩等が回避され得る。
【0007】
この場合、前記アクチュエータは圧電/電歪膜又は反強誘電体膜と電極とからなる膜型圧電素子を含んでなり、前記ダイヤフラムはセラミックダイヤフラムであることが好適である。
【0008】
これによれば、微細加工が一層容易になされ、量産性、及び耐久性に優れた駆動デバイスが提供され得る。
【0009】
また、上記駆動デバイスにおいて、前記ポンプの各ダイヤフラムは前記各ポンプ室の壁の一部を構成するとともに同一の平面内に膜面を有するように配置され、前記流路構成部の流路は前記ダイヤフラムの膜面に平行な面内に長手方向を有する空間となるように構成され、前記微細流路部の微細流路は前記ダイヤフラムの膜面と平行な方向において延設され、前記内圧緩衝室構成部の内圧緩衝室は前記ダイヤフラムの膜面に平行な面内に長手方向を有する空間となるように構成されるとともに前記微細流路部の微細流路を介して前記流路構成部の流路と連通されるように配置されることが好適である。
【0010】
前記ポンプの各ポンプ室は、例えば単一の変形可能なセラミックシート等の板体で構成されるダイヤフラムを壁の一部とするように構成されれば、前記各アクチュエータの作動が直接的に各ポンプ室の容積を変更せしめるので、効率よく作動流体を加圧又は減圧することができる。従って、前記ポンプの各ダイヤフラムは前記各ポンプ室の壁の一部を構成するとともに同一の平面内に膜面を有するように配置されることが好適である。
【0011】
一方、前記微細流路は、上記特性を有する流路抵抗を呈するようにするためには、その流路断面が小さくされることが必要であるところ、同流路断面が極端に小さいと加工精度が要求されてデバイスの製造コストが増大する。これに対し、微細流路は、同流路の長さを確保する(長くする)ことにより、上記特性を有する流路抵抗を呈することが可能である。しかしながら、微細流路が前記ダイヤフラムの膜面に交差する方向(例えば、ダイヤフラム膜面と直交する方向)にのみ延設される構造では、駆動デバイスの厚みが大きくなってしまう。
【0012】
そこで、上記構成のように、前記微細流路部の微細流路が前記ダイヤフラムの膜面と平行な方向において延設され、何れもダイヤフラムの膜面に平行な面内に長手方向を有する空間である流路構成部の流路と内圧緩衝室構成部の内圧緩衝室とが、同微細流路を介して連通されるように配置・構成されれば、同流路、同内圧緩衝室、及び同微細流路を一定の厚みの中で形成することができるので、厚みの小さい(薄型の)駆動デバイスを提供することができる。また、そのような薄型の駆動デバイスは、同駆動デバイスの全体の体積に対する同駆動デバイスの表面積を大きくすることができるので、動作に伴って発生する熱を外部に容易に放散することができて安定した動作を行うことができる。
【発明の実施の形態】
【0013】
以下に、本発明による駆動デバイスの各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0014】
図1は、本発明による第1実施形態に係る駆動デバイス10の縦断面図であり、図2は同駆動デバイス10の平面図である。なお、図1は図2の1−1線に沿った平面にて同駆動デバイス10を切断した断面図である。
【0015】
この駆動デバイス10は、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸方向に沿って延びる各辺を有する略直方体形状のセラミックスからなる基体11と、一対の圧電膜(圧電/電歪素子)12a,12bとを備えている。基体11は、その内部に、流路構成部13と、一対のポンプ室14a,14bと、内圧緩衝室構成部15と、一対の微細流路部16a,16bとを含んでいる。
【0016】
流路構成部13は、X軸方向に長軸を有し、図1の2−2線に沿った平面(Y−Z平面に平行な平面)で基体11を切断した断面図である図3に示したように、その断面が略長方形の流路13aを構成する部分である。流路13aの具体的な寸法を例示すると、前記略長方形断面の巾(Y軸方向の長さ)Wは100μm、深さ(Z軸方向の長さ、即ち高さ)Hは50μm、及び、長手方向の長さ(X軸方向の長さ)Lは1mmである。流路13a内には非圧縮性の作動流体(例えば、水、油等の液体)100と、例えば、磁性材料、ガリウム合金の如き液体金属、水、油、不活性ガス等の前記作動流体100とは異なる物質からなる移動体110とが収容されていて、同流路13aは、移動体110により実質的に一対の作動室13a1,13a2に区画されるようになっている。移動体110は、流路13a内において一つの塊(液塊(液胞)、気泡、又は微小固体)の状態で存在し、図3に示したように、流路13aの前記断面である長方形の4つの角部に前記作動流体100が通過し得る極めて小さな隙間Sを形成する。
【0017】
ポンプ室14aは、作動流体100が充填されたZ軸方向に沿って延びる中心軸を有する円筒形を有する空間であって、その下面の一部が流路13aのX軸負方向端部に連通するように同流路13aの上方に形成された空間である。ポンプ室14aの具体的な寸法を例示すると、前記円筒の底面及び上面の半径Rは0.5mmであり、深さ(高さ)hは10μmである。ポンプ室14aの上面には、厚さ(高さ)dが10μmのセラミックからなるダイヤフラム(ダイヤフラム部)17aが形成されている。
【0018】
ポンプ室14bは、ポンプ室14aと同一形状を有し、その下面の一部が流路13aのX軸正方向端部に連通するように同流路13aの上方に形成されていて、作動流体100が充填されている。また、ポンプ室14bの上面には、ダイヤフラム17aと同形のセラミックからなるダイヤフラム17bが形成されている。
【0019】
圧電膜12aは、ポンプ室14a、及びダイヤフラム17aとともにセラミックポンプ18aを形成するものであって、厚さDが20μmで、平面視における半径rがポンプ室の半径Rよりも僅かに小さい円形薄板形状を有している。この圧電膜12aは、前記ポンプ室14aの上方の位置にて、その円形底面の中心が平面視においてポンプ室14aの上面の中心と一致するように、ダイヤフラム17aの上面に固定され、同圧電膜12aを挟むように形成された図示しない一対の電極に電圧が印加されたとき同ダイヤフラム17aを変形させることによりポンプ室14aの容積を増減し、ポンプ室14a内部の作動流体100を加減圧するようになっている。なお、圧電膜12aの分極方向はZ軸正方向である。
【0020】
圧電膜12bは、圧電膜12aと同一のものであって、ポンプ室14b、及びダイヤフラム17bとともにセラミックポンプ18bを形成している。即ち、圧電膜12bは、前記ポンプ室14bの上方の位置においてダイヤフラム17bの上面に固定され、図示しない電極に電圧が印加されたとき同ダイヤフラム17bを変形させることによりポンプ室14bの容積を増減し、ポンプ室14b内部の作動流体100を加減圧するようになっている。なお、圧電膜12bの分極方向もZ軸正方向である。
【0021】
内圧緩衝室構成部15は、平面視でX軸方向に沿った長軸を有する略楕円形状を有し、そのX軸方向長さは流路13aの長さLよりも長く、その短軸であるY軸方向の長さは流路13aの巾Wより長く、且つ、図3に示したように、その断面が略長方形の空間である内圧緩衝室15aを構成する部分である。内圧緩衝室15aは、流路13aの下方(Z軸負方向)の基体11内に、その長軸が流路13aの中心軸と平面視において一致するように形成されていて、内部のX軸方向略中央部には前記作動流体100が満たされるとともに、周辺部には圧縮性の(作動流体100よりも圧縮率が極めて低い)圧力緩衝用流体(以下、「圧縮性流体」とも称呼する。)120が満たされている。なお、本例においては、圧縮性流体120は作動流体100の蒸気であるが、この蒸気に所定量の不活性ガスを混合しても良く、同蒸気を含まない気体等であってもよい。
【0022】
微細流路部16aは、流路13aの左側の作動室13a1と内圧緩衝室15aとを連通するZ軸方向に伸びる中空円筒状の微細流路16a1を構成する部分であって、同微細流路16a1内にも作動流体100が満たされている。微細流路16a1の具体的な寸法を例示すると、前記円筒の半径は15μmで、Z軸方向の長さ(円筒の高さ)は100μmである。この微細流路16a1の形状は、流路13aに比較して流体抵抗が大きくなるような形状が選択されている。即ち、微細流路16a1は、流路13a内の作動流体100の急激な圧力変動に対しては実質的に同作動流体100の内圧緩衝室15aへの通過(移動)を不能とする大きな流路抵抗を示し、且つ、同流路13a内の作動流体100の緩慢な圧力変動に対しては実質的に同作動流体100が同内圧緩衝室15a内に通過(移動)できる(流入し得る)絞り機能を備えている。
【0023】
微細流路部16bは、微細流路16a1と同一形状の微細流路16b1を形成する部分であって、同微細流路16b1は流路13aの右側の作動室13a2と内圧緩衝室15aとを連通するとともに、作動流体100が満たされている。この微細流路16b1も、微細流路16a1と同様な絞り機能を備えている。
【0024】
以上、説明したように、流路13a内部、一対のポンプ室14a,14b内部、一対の微細流路16a1,16b1内部、及び同一対の微細流路16a1,16b1で流路13aに連通された内圧緩衝室15aの一部には、作動流体100が連続的に満たされている。また内圧緩衝室15aの作動流体100で満たされていない空間は、同作動流体100の蒸気120によって満たされている。
【0025】
次に、上記のように構成された駆動デバイス10の作動について、各作動状態を示した図4〜図7を参照しながら説明する。図4は、圧電膜12a,12bの何れの電極にも駆動のための電圧が印加されていない駆動デバイス10の初期状態を示している。この場合、両ポンプ室14a,14bは初期の容積を維持するから、両ポンプ室14a,14b、及び流路13aに充填されている作動流体100は加圧も減圧もされない。この結果、流路13a内に収納された移動体110は初期位置(流路13aのX軸方向略中央部)で静止している。
【0026】
駆動時においては、図5に示したように、ポンプ室14aのダイヤフラム17a上に設置された圧電膜12aに対し、上部電極にプラス、下部電極にマイナスの極性の電圧を印加すると同時に、ポンプ室14bのダイヤフラム17b上に設置された圧電膜12bに対しては、逆に、上部電極にマイナス、下部電極にプラスの極性の電圧を印加する。
【0027】
これにより、圧電膜12aは横方向に(即ち、X−Y平面に略平行な面内にて、即ち、圧電膜12aの厚さD方向と垂直な方向に)収縮するため、ポンプ室14a上のダイヤフラム17aが下方へ屈曲変形して同ポンプ室14aの容積を減少させる。この結果、ポンプ室14a内の作動流体100が加圧されてその圧力が増大し、同作動流体100が流路13aの作動室13a1内へ押し出される。同時に、圧電膜12bは横方向へ(即ち、X−Y平面に略平行な面内にて)膨張するため、ダイヤフラム17bは上方へ屈曲変形してポンプ室14bの容積を増大させる。この結果、ポンプ室14b内の作動流体100の圧力が減圧されてその圧力が低下し、作動流体100が流路13aの作動室13a2から吸引される。従って、かかる両ポンプ室14a,14b間の圧力差により、流路13aに収納された移動体110は、作動室13a1(ポンプ室14a)から作動室13a2(ポンプ室14b)へ向けて(即ち、X軸正方向に)移動する。
【0028】
また、図6に示したように、圧電膜12aに対し、上部電極にマイナス、下部電極にプラスの極性の電圧を印加すると同時に、圧電膜12bに対し、上部電極にプラス、下部電極にマイナスの極性の電圧を印加すると、ポンプ室14b内の作動流体100は加圧され、ポンプ室14a内の作動流体100は減圧される。移動体110は、この差圧によって作動室13a2(ポンプ室14b)から作動室13a1(ポンプ室14a)へ向けて(即ち、X軸負方向に)移動する。
【0029】
このような通常の駆動時においては、圧電膜12a,12bに印加する電圧を高速に変化させる(印加電圧の増減速度を大きくする)ことにより、ポンプ室14a,14bの加圧ならびに減圧を高速に行う。その結果、微細流路16a1,16b1の流路抵抗は十分大きくなり、同流路16a1,16b1内外に流路13a内の作動流体100が出入りすることがないので、流路13aの作動室13a1と作動室13a2との間に発生した圧力差は低下することなく(所謂、圧逃げが殆ど生ぜず)確実に移動体110に作用する。従って、移動体110は確実に移動する。
【0030】
一方、駆動デバイスの環境温度が上昇して作動流体100が熱膨張した場合、微細流路16a1,16b1と内圧緩衝室15aとを備えていないデバイスにあっては、作動流体100の圧力が過大となり、ポンプ室14a,14bの容積が増大してダイヤフラム17a,17bを押し上げて破損させたり、基体11がセラミックスシートの接着組み立て体として構成されている場合には、その接着部(のシール)を破損させ、作動流体100が漏れるという問題が発生する惧れがある。
【0031】
これに対し、本発明の駆動デバイス10は、微細流路16a1,16b1と内圧緩衝室15aを有し、しかも、作動流体100の温度上昇は緩慢に生じるので、同作動流体100の圧力も緩慢に上昇する。従って、図7の矢印にて示したように、作動流体100の温度上昇に伴う膨張分は、かかる緩慢な作動流体100の圧力上昇に対して極めて低い流路抵抗を示す微細流路16a1,16b1を介して内圧緩衝室15aへ流出する。内圧緩衝室15a内では、作動流体100の蒸気120が圧縮され圧力上昇が生じるものの、気体の圧縮率は液体の圧縮率より低いため、作動流体100の圧力上昇は軽微である。従って、ポンプ室14a,14bの上面のダイヤフラム17a,17bが押し上げられて破損したり、接着組み立て部のシールが破損して作動流体100の液漏れが発生するという事態が生じない。また、駆動デバイス10の環境温度が低下して作動流体100が収縮した場合、作動流体100の温度低下も緩慢に生じるから、図8の矢印にて示したように、作動流体100は微細流路16a1,16b1を介して内圧緩衝室15aから流路13aに戻る。
【0032】
このように、駆動デバイス10は、微細流路16a1,16b1と内圧緩衝室15aを備えていることにより、広い温度範囲で使用可能であって、信頼性、及び耐久性の高い駆動デバイスとなる。
【0033】
次に、駆動デバイス10が初期状態において移動体110の位置を微調整するために行う作動について、図9〜図12を参照しながら説明する。いま、図9に示したように、初期状態で移動体110が圧電膜12a側に偏った位置に静止しているとする。このような状態は、後述するような製造工程における移動体110を流路13a中へ収納する工程にて、製造上のバラツキの範囲内で、あるいは作業ミス等により生じ得る。
【0034】
この場合、まず図10の時刻t1〜t2に示したように、圧電膜12a,12b(の各電極)に対し高速に変化する印加電圧Va,Vbをそれぞれ付与する。印加電圧Vaは、例えば1〜20μ秒の間に絶対値が0Vから50Vに昇圧する駆動電圧であり、上部電極がプラス、下部電極がマイナスの極性となる電圧である。同様に、印加電圧Vbは、例えば1〜20μ秒の間に絶対値が0Vから50Vに昇圧する駆動電圧であり、上部電極がマイナス、下部電極がプラスの極性となる電圧である。これにより、図11に示したように、ポンプ室14aによって作動流体は加圧され、ポンプ室14bによって同作動流体100は減圧されるので、移動体110は中央よりの位置へ(ポンプ室14bの方向へ)移動する。この場合、付与する印加電圧Va,Vbの変化速度が大きいので、微細流路16a1,16b1の流路抵抗は十分大きくなり、同流路16a1,16b1内外に流路13a内の作動流体100が出入りすることはない。
【0035】
次いで、図10の時刻t2〜t3に示したように印加電圧Va,Vbを僅かな時間だけ一定に維持し、その後、時刻t3〜t4に示したように、印加電圧Va,Vbの絶対値を、例えば0.1〜1秒程度かけて0Vまで緩慢に低下させる。この場合、微細流路16a1,16b1の流路抵抗は小さくなるから、図12に示したように、作動流体100は流路13aの右側の作動室13a2から微細流路16b1を介して内圧緩衝室15a内に流れ込み、同内圧緩衝室15aから微細流路16a1を介して流路13aの左側の作動室13a1に流れ込む。即ち、この場合、作動流体100の圧力変化は、微細流路16a1,16b1を介した圧逃げが生じるに十分な程度に緩慢な変化となり、ポンプ室14a,14b、及び流路13aの内圧はほとんど変化しないので、移動体110をほぼ静止させた状態に保つことができる。或いは、時刻t1〜t2における電圧印加時の移動体110の移動量L0に対して、時刻t3〜t4における同移動体110の復帰量L1をその10分の1程度(L1=L0/10)に抑える事ができる。
【0036】
以上の作動を1回乃至複数回実行することにより、移動体110の初期位置を所望の位置とすることができる。また、図10に例示した印加電圧Va,Vbのピーク値Vp,−Vp、同印加電圧Va,Vbをピーク値Vp,−Vpにまで変化させる際の電圧変化速度、同印加電圧Va,Vbをピーク値Vp,−Vpから0Vへ変化させる際の電圧印加速度を選択することにより、移動体110の静止位置を所望の位置に制御することができる。
【0037】
なお、上記の実施形態においては、圧電膜12a,12bに印加する電圧による同圧電膜12a,12bに加わる電界の方向を、正方向(この場合、Z軸正方向)、及び負方向(Z軸負方向)の両方向としているが、圧電膜12a,12bの分極と逆方向の電界は、抗電界を上回ると同分極を解くため、望ましくない場合がある。そこで、予めバイアス電圧を印加した状態を駆動デバイス10の初期状態としておけば、分極と同方向の電界のみで同駆動デバイス10を駆動することができる。即ち、例えば、下部電極の電位を基準電位の0(V)としておき、上部電極にバイアス電圧である25(V)を与え、この状態を初期状態とする。そして、この状態から圧電膜12a,12bの何れか一方の上部電極の電位を50(V)とすれば、その圧電膜には分極方向と同方向の電界が加わるために収縮するので、その下方のダイヤフラム17a,又は17bは下方に屈曲変形し、対応するポンプ室14a,14bの何れかは作動流体100を加圧する。同時に、圧電膜12a,12bの他方の上部電極の電位を0(V)とすれば、同他方の圧電膜12a,12bの収縮が消滅する。従って、その下方のダイヤフラム17a,又は17bは前記初期状態からみて上方に変形することになり、対応するポンプ室14a,14bの何れかは作動流体100を減圧する。
【0038】
次に、上記第1実施形態の駆動デバイスの変形例について、図13を参照して説明する。この変形例に係る駆動デバイス10−1は、図1に示した駆動デバイス10の基体11が一対の微細流路16a1,16b1を備えていたのに対し、基体11−1が微細流路16a1を一つだけ備えている点のみにおいて相違している。これは、移動体110と流路13aとのギャップ(図3に示した隙間S)の断面積が一定値以上確保出来る場合に採用しうる形態であり、このような構造によって微細流路の加工の労力及び時間が半分で済むので、駆動デバイス10−1をより安価に製造することができる。ただし、この変形例では、電圧を印加していない初期状態における移動体110の静止位置を制御することは困難であり、その点においては第1実施形態の駆動デバイス10の方が優れている。
【0039】
なお、上述したギャップ(隙間S)に加えて、例えば、流路13aの断面図である図14に示したように、流路13aの内面に微細な溝Mを形成し、作動流体100の圧力変化が緩慢である限り同溝Mの中へ作動流体100は侵入・流動できるが、移動体110の表面は侵入できないように構成しても良い。なお、この溝Mは、本発明の他の実施形態にも適用でき、その個数、形状は適宜選択することができる。
【0040】
更に、上記駆動デバイス10,10−1(及び、後述する他の実施形態の駆動デバイス)の圧電膜12a,12b、ダイヤフラム17a,17b、及びポンプ室14a,14bには、例えば特開平10−78549号公報に開示されている表示装置用の圧電/電歪膜型アクチュエータを適用することができる。このアクチュエータは、小型で、且つ大きな加圧力を得ることができるので、本発明の駆動デバイスにとって好適である。また、図4乃至図6により説明した駆動を行う場合には、圧電膜12a,12b用の圧電材料として抗電界の大きな材料を選択することが重要である。これは、圧電膜12a,12bの分極方向に対して逆方向の電圧が印加される状態が発生するからであり、抗電界が小さいと分極方向と逆向きの印加電圧により、分極が乱される惧れがあるからである。
【0041】
また、環境温度の変化による作動流体100の熱膨張収縮量を低く抑える為には、ポンプ室14a,14bの体積を必要最小限に小さく抑えることが望ましく、そのためには、上記圧電/電歪膜型アクチュエータの製造工程で用いるダイヤフラム基板の製造方法において、特開平9−229013号公報に開示されている方法を用いることが好適である。この開示された方法によれは、ポンプ室14a,14bの深さを最小5〜10μm程度まで小さくすることが出来るからである。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態に係る駆動デバイス20について、その製造方法を交えて具体的に説明する。図15は係る駆動デバイス20の縦断面図であり、図16は同駆動デバイス20の平面図である。なお、図15は図16の3−3線に沿った平面にて駆動デバイス20を切断した断面を示している。また、以下において、各実施形態間で同一の構成部分には同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0043】
この駆動デバイス20は、上面に流路13aが露呈するように形成されてなる基体21と、基体21の上に形成されたセラミックス薄板体の接続板(連通基板)22と、接続板22の上部に配設された一対のセラミックポンプ23a,23bとを備えている。
【0044】
接続板22は、X軸方向に離間した位置に中空円柱状に形成された左右一対の流路連通孔22a,22bを備えている。流路連通孔22a,22bの各底面は流路13aのX軸方向両端部にてそれぞれ同流路13aと接続している。
【0045】
セラミックポンプ23a,23bは、セラミックスからなる薄板体で、平面視で略正方形状のポンプ室構成部24a,24bと、同ポンプ室構成部24a,24bの各上面に固定された圧電膜25a,25bとをそれぞれ備えている。各ポンプ室構成部24a,24bは、第1実施形態の駆動デバイス10のポンプ室14a,14bと同様な形状を有するポンプ室24a1,24b1と、その上に形成される薄板状のダイヤフラム26a,26bと、ポンプ室24a1,24b1の各底面の一部を前記流路連通孔22a,22bの各上面にそれぞれ連通する中空円筒状のポンプ室連通孔24a2,24b2とを備えている。ポンプ室24a1,24b1、及びポンプ室連通孔24a2,24b2は、流路連通孔22a,22b、及び流路13a等と同様に、作動流体100により満たされている。
【0046】
このセラミックポンプ23a,23bは、先に引用した特開平10−78549号公報のほかに、特開平7−214779号公報に開示される方法や構成を用いて製造される圧電/電歪膜型アクチュエータであり、流路基板である基体21の上に積層して形成されている。
【0047】
駆動デバイス20の移動体110を駆動(移動)するための作動は駆動デバイス10と同様である。また、ポンプ室24a1,24b1、ポンプ室連通孔24a2,24b2、流路連通孔22a,22b、及び流路13a内に充填されている作動流体100の熱膨張収縮に伴う内圧変化の吸収における作動についても、先の駆動デバイス10と同様である。
【0048】
次に、駆動デバイス20の製造方法について説明する。先ず、圧電/電歪膜型アクチュエータであるセラミックポンプ23a,23bの製造工程について述べると、図17に示したように、セラミックス製のグリーンシート201、202、203を準備する。次いで、グリーンシート202にはポンプ室24a1(24b1)を形成するための窓部202aを、グリーンシート203にはポンプ室24a1(24b1)と流路13aとを流路連通孔22a(22b)を介して流体的に接続するための前記ポンプ室連通孔24a2(24b2)となる孔部203aを、各々、打ち抜き等の機械加工により形成する。
【0049】
次に、グリーンシート201、202、203を加圧加熱積層し、焼成することで一体化してダイヤフラム基板204を得る。次いでその基板204の上に、下部電極205と、特開平5−267742号公報に開示されているような補助電極206とを、各々高融点金属で、例えばスクリーン印刷等の厚膜形成手法で形成し、必要に応じて焼成等の熱処理を施す。その上へ、同じく厚膜形成手法で圧電膜207を形成した後、最後に上部電極208を形成する。なお上部電極208に関しては、厚膜手法の他、スパッタ等の薄膜形成手法も適宜選択可能である。以上により、セラミックポンプ23a,23bに相当する部分が製造される。
【0050】
図18は、上記セラミックポンプ23a,23bに相当する部分を製造する別の製造方法を示している。この方法では、ダイヤフラム基板の製造工程において、上記グリーンシート202の代わりに、グリーンシート203の上面にスペーサー層202bを前記ポンプ室24a1(24b1)を形成するための窓部202aを有するようにスクリーン印刷で形成する。他は、上記図17により説明した製造方法と同様である。なお、本製造方法の詳細は特開平9−229013号公報に開示される技術が好適に使用可能であり、これにより、ポンプ室24a1(24b1)の深さ(組み立て状態における中空円筒のZ軸方向高さ)を10μm程度にまで小さくできるので、容積の小さいポンプ室24a1(24b1)を有するダイヤフラム基板(即ち、セラミックポンプ23a,23b)を得ることができる。
【0051】
次に、図19を参照しながら、基体(流路基板)21の製造方法について説明する。先ず、プラスチック、ガラス、金属、及びセラミックス等の中から適当な材料を選択して基板211、212、213を製作し、各々に流路13a、微細流路16a1,16b1、及び内圧緩衝室15aを形成する。また、基板213には、同基板213に形成される内圧緩衝室15aの下面から同基板213の下面まで貫通する作動流体注入孔213aを形成する。かかる基板211〜213に対する流路等の形成を行うための加工は、打ち抜き、エッチング、レーザー加工、コインニング、及びサンドブラスト等の中から適当な加工方法を選択する。次いで、このようにして得られた基板211〜213をエポキシ樹脂等で積層接着することで、基体21を製造する。
【0052】
なお、上記基板211〜213の材料としては、圧電/電歪膜型アクチュエータであるセラミックポンプ23a,23bと熱膨張率が極力一致するように、例えば、膨張率の近いガラス、又はセラミック基板が好適である。また、流路13aの加工、及び深さ200ミクロンの内圧緩衝室15aを形成する凹部加工には、エッチング、又はコインニングを用いることが好適である。或いは、流路13a、又は内圧緩衝室15aに相当する窓部を打抜き加工したプレートと、閉塞用プレートとを接合することで、流路13a、又は内圧緩衝室15aを形成した基板211,213を得ることもできる。一方、高アスペクト比加工が必要な微細流路16a1,16b1の加工は、レーザー加工によるか、又はセラミックスのグリーンシートに高アスペクト比の孔を打ち抜き加工した後に焼成するといった手法が好適である。
【0053】
一方、図20に示したように、基板211と同様にして、接続板22となる接続基板214に一対の流路連通孔22a,22bを形成しておき、最後に、セラミックポンプ23a,23b(圧電/電歪膜型アクチュエータ)と、接続基板214、及び基体21を接着、圧接、拡散接合等の結合手段で積層一体化する。
【0054】
このとき、流路13aの所定の位置へ移動体110を収納する。移動体110が液胞(液体の塊)である場合、作動流体100は同液胞に対して非溶性の材料を選択し、移動体110をディスペンサー等を用いて流路13a内の所定の位置へ収納する。移動体が気泡の場合は、別途気体注入用の注入孔を流路13aから分岐して設置し、そこから同気泡と作動流体100を注入し、その後注入孔を封止する。
【0055】
そして、得られた積層体を真空チャンバー等で真空下に置き、注入孔213aからディスペンサー等の計量手段で作動流体100を所定量、内圧緩衝室15aへ注入する。なお注入時には、事前に作動流体100を真空脱気して溶存気体を除去しておくことが望ましい。注入した作動流体100が微細流路16a1,16b1を介して流路13aおよびポンプ室24a1,24b1等に充填されるよう、不活性ガス、作動流体100の蒸気、又はそれらの混合ガス等の圧縮性流体である封止ガス120によって流路内の気圧を所定の気圧まで加圧し、最後に注入孔213aを接着剤等で封止して、本発明の駆動デバイス20を得る。
【0056】
なお、内圧緩衝室15aの深さ(Z軸方向高さ)は、ポンプ室24a1,24b1、及び流路13aの各深さより深くしておくことが望ましい。これにより、作動流体100が液体である場合に、内圧緩衝室15a内での液体の気液界面の曲率が上記充填中のポンプ室24a1,24b1内、及び流路13a内で形成される気液界面の曲率よりも大きくできるので、充填がよりスムーズに行い易くなる。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態に係る駆動デバイス30について説明する。図21に縦断面が示されたこの駆動デバイス30は、図15に示した上記第2実施形態の駆動デバイス20において2つに分かれていたセラミックポンプ(圧電/電歪膜型アクチュエータ)23a,23bのポンプ室構成部24a,24bを一体化してなるポンプ室構成部24cを備え、且つ、駆動デバイス20が備える接続板22を省略している点においてのみ、駆動デバイス20と相違している。この駆動デバイス30によれば、接着箇所、及び部品点数が減るので、製造コストを低減し得るという効果がある。ただし、図15に示した駆動デバイス20においては、接続板22の材質を透明なガラス、又は電極を兼用できる金属板材とすることも可能であったが、図21に示した駆動デバイス30においては、接続板22が存在せず、従って、ポンプ室構成部24cの材質は圧電/電歪膜型アクチュエータのセラミック基板材質に限定される。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態に係る駆動デバイス40について説明する。図22に縦断面が示されたこの駆動デバイス40においては、基体41が図15に示した上記第2実施形態の駆動デバイス20の微細流路16a1,16b1の代替として多孔質体16cを備え、同多孔質体16cを介して流路13aと内圧緩衝室15aとを接続している。多孔質体16cを備えることは、いわば極度に微細化した多数の微細流路16a1,16b1を形成することと同じ効果を奏する。多孔質体16cは、組み立て性とシール性を向上するために、図22に示したように、テーパー、又は段差を側面に備える形状とすることが好ましい。
【0059】
次に、本発明の第5実施形態に係る駆動デバイス50について説明する。図23は係る駆動デバイス50の縦断面図であり、図24は同駆動デバイス50の平面図である。なお、図23は図24の4−4線に沿った平面にて駆動デバイス50を切断した断面を示している。この駆動デバイス50は、図21に示した駆動デバイス30が備えるセラミックポンプ23bの圧電膜25bに代え、一対の圧電膜25c1,25c2を有するセラミックポンプ23cを備えている。これらの圧電膜25c1,25c2の分極方向は、圧電膜25aと同様に、Z軸正方向となっている。
【0060】
この圧電膜25c1,25c2は、平面視でY軸方向に長軸を有する長円形状を有し、同長軸が互いに平行になるようにX軸方向に所定の距離を隔ててセラミックスの薄板体であるダイヤフラム26bの上に固定されている。このダイヤフラム26bの下方に形成されたポンプ室27は、圧電膜25c1,25c2と同様に、平面視でY軸方向に長軸を有する長円形状を有している。そして、圧電膜25c1,25c2の各々は、平面視でポンプ室27を挟むように、且つ同圧電膜25c1,25c2の半分程度の部分が、平面視でポンプ室27とそれぞれ重なるように配設されている。
【0061】
次に、このように構成された駆動デバイス50の作動について説明する。この駆動デバイス50においては、図25に示したように、圧電膜25c1,25c2と、圧電膜25aとに同じ極性で電圧印加する。即ち、上部電極にプラス、下部電極にマイナスの極性の電圧であって、その電圧変化速度が大きい駆動電圧を印加する。これにより、ダイヤフラム26aは圧電膜25aの収縮により下方へ屈曲変形する。一方、ダイヤフラム26bにあっては、圧電膜25c1,25c2が収縮するため、その中央部が上方に変位する。これにより、作動流体100はポンプ室24a1内で加圧され、ポンプ室27内で減圧されるので、移動体110はポンプ室24a1からポンプ室27に向けて(X軸正方向に)移動する。
【0062】
このような作動を行う圧電/電歪膜型アクチュエータ(セラミックポンプ)は、特開平7−202284号公報に開示されているものを用いることができる。この第5実施形態(駆動デバイス50)では、第1〜第4実施形態と異なり、圧電膜25c1,25c2,25aへの印加電圧の極性は常に一定となることから、常に各圧電膜25c1,25c2,25aの分極電界と同じ極性で、同圧電膜25c1,25c2,25aを駆動することができる。このため、圧電膜25c1,25c2,25aに抗電界の低い材料を使用することが可能である。さらに、一対のポンプのうちの一つは加圧のみが可能、又は加減圧の双方が可能であって、他方のポンプは減圧のみが可能であるように駆動デバイスを構成し、そのように作動させた場合であっても、要求される機能・性能を十分満足できる場合がある。しかし、第1〜第4実施形態の駆動デバイス10,20,30,40におけるポンプ構造によると、電歪材料の膜は、前記減圧のみが可能なポンプの圧電膜としては、予めバイアス電圧を付与しておく等の駆動上の工夫なしには使用することができない。これは、電歪材料が、付与される電界と垂直な方向に収縮するものの、電界の向きに拘らず膨張することがないからであり、従って、ダイヤフラムを上方に屈曲変位できないからである。これに対し、本第5実施形態に係る駆動デバイス50のポンプ23cの圧電膜25c1,25c2は、収縮作用によりダイヤフラム26bを上方に屈曲変位させ、ポンプ室27内を減圧することができるので、電歪材料の膜を圧電膜25c1,25c2として、そのまま使用することができる。
【0063】
なお、図26に示したように、個々のデバイスの性能に応じ、適切な形状のポンプ室を備えた上記ポンプ23cと同様なポンプ23dを、必要な個数だけ設置しても良い。また、この場合、各ポンプを独立に駆動できるように構成することで、例えば、駆動するポンプ数を適宜変更して移動体110に加わる差圧を調整し、もって、同移動体110の移動量、及び/又は移動速度を制御するように構成してもよい。
【0064】
次に、本発明の第6実施形態に係る駆動デバイス60について説明する。図27は係る駆動デバイス60の平面図であり、図28は図27の5−5線に沿った平面にて駆動デバイス60を切断した断面図である。この駆動デバイス60は、内圧緩衝室が流路と同一の高さを有する位置に設けられるとともに、微細流路がY軸に沿って(同一の高さを維持して)延設されて流路と内圧緩衝室とを連通する点において、第1実施形態の駆動デバイス10と主として相違している。
【0065】
即ち、この駆動デバイス60は、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸方向に沿って延びる各辺を有する略直方体形状のセラミックスからなる基体61と、一対の圧電膜(圧電/電歪素子)62a,62bとを備えている。基体61は、図28に示したように、セラミックスの薄板体(以下、「セラミックシート」と称呼する。)61−1〜61−4を順に積層し一体焼成化することで形成され、その内部に、流路構成部63と、一対のポンプ室64a,64bと、内圧緩衝室構成部65と、一対の微細流路部66a,66bとを含んでいる。
【0066】
流路構成部63は、第1実施形態に係る駆動デバイス10の流路13aと同様の流路63aを構成する部分である。この流路63aは、セラミックシート61−2に設けられた略直方体形状の貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート61−3の下面により画定されたX軸、Y軸、及びZ軸方向にそれぞれ沿う辺を有する略直方体形状であってX軸方向に沿った長軸を有する中空の空間(X−Y平面に平行な面内に長手方向を有する角柱状の空間)である。流路63a内には、流路13aと同様に、作動流体100と移動体110とが収容されていて、同流路63aは、移動体110により実質的に一対の作動室63a1,63a2に区画されている。移動体110は、流路63a内において一つの塊の状態で存在し、流路63aの断面である長方形の4つの角部に前記作動流体100が通過し得る極めて小さな隙間Sを形成する(図3参照)。なお、流路63aに図14に示した溝Mと同様な溝を形成しておくこともできる。
【0067】
ポンプ室64a,64bは、駆動デバイス10のポンプ室14a,14bとそれぞれ同様であり、セラミックシート61−3に設けられた貫通孔の側壁面、セラミックシート61−2の上面、及びセラミックシート61−4の下面により画定された円筒形空間である。ポンプ室64a,64bの上面には、薄板状のセラミックシート61−4からなるセラミックのダイヤフラム67a,67bがそれぞれ形成されている。換言すると、ダイヤフラム67a及びダイヤフラム67bは、ポンプ室64a及びポンプ室64bの壁(上壁)をそれぞれ構成する(ポンプ室64a及びポンプ室64bを構成する壁の一部をそれぞれ構成する)とともに、同一のX−Y平面内に膜面を有するように配置されていて、上述した駆動デバイス10のダイヤフラム17a,17bと同様の構成を有している。
【0068】
ダイヤフラム67aの上面には圧電膜62aが形成されていて、同圧電膜62aは前記ポンプ室64a及びダイヤフラム67aとともにセラミックポンプ68aを構成している。また、ダイヤフラム67bの上面には圧電膜62bが形成されていて、同圧電膜62bは前記ポンプ室64b及びダイヤフラム67bとともにセラミックポンプ68bを構成している。セラミックポンプ68a,68bは、駆動デバイス10のセラミックポンプ18a,18bとそれぞれ同様の構成を有していて、圧電膜62a,62bの図示しない各一対の電極に電圧が印加されたときダイヤフラム67a,67bをそれぞれ変形させ、これによりポンプ室64a,64bの容積をそれぞれ増減することで同ポンプ室64a,64b内部の作動流体100を加減圧するようになっている。なお、圧電膜62a,62bの分極方向は何れもZ軸正方向である。
【0069】
内圧緩衝室構成部65は、内圧緩衝室65aを構成する部分である。内圧緩衝室65aは、流路63aと同様に、セラミックシート61−2の貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート61−3の下面とにより画定された、X軸、Y軸、及びZ軸方向にそれぞれ沿う辺を有する略直方体形状であってX軸方向に沿った長軸を有する中空の空間(ダイヤフラム67a,67bの膜面が存在するX−Y平面に平行な面内に長手方向を有する空間、即ち、流路63aの長軸と平行であって同一の高さを有する長軸を備えた空間)であり、流路63aに対しY軸負方向側に離間した位置に形成されている。また、内圧緩衝室65aのX軸方向長さは流路63aのX軸方向の長さよりも長く、そのY軸方向の長さ(巾)は流路63aのY軸方向長さ(巾)より長く、そのZ軸方向の長さ(高さ)は流路63aのZ軸方向長さ(高さ)と同一となっている。内圧緩衝室65a内部のX軸方向略中央部には上記作動流体100が満たされるとともに、周辺部には上記圧力緩衝用流体120が満たされている。
【0070】
微細流路部66aは微細流路66a1を構成する部分である。微細流路66a1は、ポンプ室64a,64bと同様に、セラミックシート61−3に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート61−2の上面、及びセラミックシート61−4の下面によって画定されるとともに、Y軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間であって、流路63aの左側の作動室63a1(作動室63a1の上部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aの上部)とを連通するようになっている。換言すると、微細流路66a1はダイヤフラム67a,67bの膜面が存在するX−Y平面と平行な方向(Y軸方向)のみにおいて延設され、流路63aと内圧緩衝室65aとを連通している。この微細流路66a1内にも作動流体100が満たされている。
【0071】
微細流路66a1の具体的な寸法を例示すると、同微細流路66a1を長軸に直交する平面(即ち、X−Z平面)で切断した長方形断面の高さ(Z軸方向長さ)及び巾(X軸方向の長さ)は各10μmであり、Y軸方向長さ(流路63a及び内圧緩衝室65aの上部を除いた部分の長さ)は500μmである。この微細流路66a1の形状及び寸法は、流路13aと同様に、流路63a内の作動流体100の急激な圧力変動に対しては実質的に同作動流体100の内圧緩衝室65aへの通過(移動)を不能とする大きな流路抵抗を示し、且つ、同流路63a内の作動流体100の緩慢な圧力変動に対しては実質的に同作動流体100が同内圧緩衝室65a内に通過(移動)できる小さな流路抵抗を示す(即ち、絞り機能を備える)ように設定されている。
【0072】
微細流路部66bは、微細流路66a1と同一形状の微細流路66b1を同微細流路66a1からX軸方向に所定距離だけ離間した位置に形成する部分である。微細流路66b1は、ダイヤフラム67a,67bの膜面が存在するX−Y平面と平行な方向(Y軸方向)のみにおいて延設され、流路63aの右側の作動室63a2(作動室63a2の上部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aの上部)とを連通するとともに、作動流体100が満たされている。即ち、微細流路66b1も、ダイヤフラム67a,67bの膜面が存在するX−Y平面と平行な方向(Y軸方向)のみにおいて延設され、流路63aと内圧緩衝室65aとを連通していて、微細流路66a1と同じ上記絞り機能を備えている。
【0073】
以上、説明したように、流路63a内部、一対のポンプ室64a,64b内部、一対の微細流路66a1,66b1内部、及び同一対の微細流路66a1,66b1で流路63aに連通された内圧緩衝室65aの一部には、作動流体100が連続的に満たされている。また内圧緩衝室65aの作動流体100で満たされていない空間は、圧力緩衝用流体120によって満たされている。
【0074】
駆動デバイス60の移動体110を駆動(移動)するための作動は駆動デバイス10と同様であり、作動流体100の熱膨張収縮に伴う流路63aの内圧変化の吸収における作動についても駆動デバイス10と同様である。
【0075】
この第6実施形態の駆動デバイス60は、Y軸方向に沿った長軸を有する微細流路66a1,66b1を備えるとともに、同一の高さ(同一平面内、同一セラミックシート61−2内)に形成された流路63aと内圧緩衝室65aとを備え、それらの上部同士を微細流路66a1,66b1で連通するように構成されているので、デバイスの厚みを薄く(Z軸方向長さ(高さ)を小さく)することができる。また、基体61の容積に対する空間の容積(流路63a、ポンプ室64a,64b、内圧緩衝室65a、及び微細流路66a1,66b1がなす各空間の容積の総和)が大きいので、駆動デバイス60は小型となる。更に、駆動デバイス60は、その厚みが小さいこと、及び/又は、デバイスの体積に対する同デバイスの表面積を大きくすることができるから、動作に伴って発生する熱を外部に容易に放散することができる。従って、駆動デバイス60は、デバイス全体が均熱化し易い(換言すると、デバイスの各部の温度差が小さい。)ので、均熱化することによって動作が安定するとともに、熱に対する耐久性が高いデバイスとなっている。
【0076】
次に、本発明の第7実施形態に係る駆動デバイス70について説明する。図29は係る駆動デバイス70の平面図であり、図30は図29の6−6線に沿った平面にて駆動デバイス70を切断した断面図である。この駆動デバイス70は、流路73aが形成されているセラミックシート71−2とポンプ室74a,74bが形成されているセラミックシート71−4との間のセラミックシート71−3に一対の微細流路76a1,76b1と一対のポンプ室連通孔79a,79bとが形成されている点において駆動デバイス60と主として相違している。
【0077】
即ち、この駆動デバイス70は、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸方向に沿って延びる各辺を有する略直方体形状のセラミックスからなる基体71と、一対の圧電膜(圧電/電歪素子)72a,72bとを備えている。基体71は、図30に示したように、セラミックシート71−1〜71−5を順に積層し一体焼成化することで形成され、その内部に、流路構成部73と、内圧緩衝室構成部75と、一対のポンプ室74a,74bと、一対の微細流路部76a,76bとを含んでいる。
【0078】
流路構成部73は、駆動デバイス60の流路63aと同様の流路73aを構成する部分であり、同流路73aはセラミックシート71−2に設けられた貫通孔の側壁面、セラミックシート71−1の上面、及びセラミックシート71−3の下面により画定された空間であって、X軸方向に長手方向を有する(X軸に沿って伸びる長軸を有する)空間である。流路73a内には、流路63aと同様に、作動流体100と移動体110とが収容されていて、同流路73aは、移動体110により実質的に一対の作動室73a1,73a2に区画されている。
【0079】
ポンプ室74a,74bは、ポンプ室64a,64bとそれぞれ同様であり、セラミックシート71−4に設けられた貫通孔の側壁面、セラミックシート71−3の上面、及びセラミックシート71−5の下面により画定された円筒形空間である。ポンプ室74a,74bの上面には、セラミックシート71−5からなるセラミックのダイヤフラム77a,77bがそれぞれ形成されている。ダイヤフラム77a,77bはダイヤフラム67a,67bとそれぞれ同様の構成を有し、ポンプ室74a,74bの壁面の一部(上壁)を構成していて、その各膜面は同一のX−Y平面内に配置されている。ダイヤフラム77a,77bの上面には圧電膜72a,72bがそれぞれ形成されていて、同圧電膜72a,72bは圧電膜62a,62bとそれぞれ同様の構成を有している。この結果、ポンプ室74a、ダイヤフラム77a、及び圧電膜72aによりセラミックポンプ78aが構成され、ポンプ室74b、ダイヤフラム77b、及び圧電膜72bによりセラミックポンプ78aが構成される。このセラミックポンプ78a,78bは、セラミックポンプ68a,68bと同様の構成を有している。
【0080】
内圧緩衝室構成部75は、内圧緩衝室75aを構成する部分である。内圧緩衝室75aは、セラミックシート71−2の貫通孔の側壁面、セラミックシート71−1の上面、及びセラミックシート71−3の下面とにより画定された、内圧緩衝室65aと同一構成を有する中空の空間であって、X軸方向に長手方向を有する(X軸に沿って伸びる長軸を有する)空間である。この内圧緩衝室75aも、流路73aに対しY軸負方向側に離間した位置に形成されている。また、内圧緩衝室75aの流路73aに対する大きさは、内圧緩衝室65aの流路63aに対する大きさと同様に、流路73aよりも大きくなっている。内圧緩衝室75a内部のX軸方向略中央部には上記作動流体100が満たされるとともに、周辺部には上記圧力緩衝用流体120が満たされている。
【0081】
微細流路部76a及び微細流路部76bは、互いに同一形状で平行である微細流路76a1及び微細流路76b1をそれぞれ構成する部分である。微細流路76a1,76b1のそれぞれは、セラミックシート71−3に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート71−2の上面、及びセラミックシート71−4の下面によって画定されるとともに、Y軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間である。この微細流路76a1及び微細流路76b1は、それぞれ流路73aの左側の作動室73a1の上部及び右側の作動室73a2の上部から内圧緩衝室75aの上部にまで延びていて、作動室73a1及び作動室73a2と内圧緩衝室75aとをそれぞれ連通するようになっている。この微細流路76a1,76b1内にも作動流体100が満たされている。
【0082】
微細流路76a1(微細流路76b1)の具体的な寸法を例示すると、同微細流路76a1を長軸に直交する平面(即ち、X−Z平面)で切断した長方形断面の高さ(Z軸方向長さ)及び巾(X軸方向の長さ)は各15μmであり、Y軸方向長さ(流路73a及び内圧緩衝室75aの上部を除いた部分の長さ)は500μmである。この微細流路76a1の形状及び寸法は、微細流路66a1と同様に、流路73a内の作動流体100の急激な圧力変動に対しては実質的に同作動流体100の内圧緩衝室75aへの通過(移動)を不能とする大きな流路抵抗を示し、且つ、同流路73a内の作動流体100の緩慢な圧力変動に対しては実質的に同作動流体100が同内圧緩衝室75a内に通過(移動)できる絞り機能を備えるように設定されている。
【0083】
ポンプ室連通孔79a,79bは、微細流路76a1及び微細流路76b1と同様に、セラミックシート71−3に形成された貫通孔からなる円筒状空間である。ポンプ室連通孔79aは流路73aの左側の作動室73a1の上部とポンプ室74aとを連通し、ポンプ室連通孔79bは流路73aの右側の作動室73a2の上部とポンプ室74bとを連通している。このポンプ室連通孔79a,79b内にも作動流体100が満たされている。
【0084】
以上、説明したように、流路73a内部、一対のポンプ室74a,74b内部、一対の微細流路76a1,76b1内部、ポンプ室連通孔79a,79b内部、及び同一対の微細流路76a1,76b1で流路73aに連通された内圧緩衝室75aの一部には、作動流体100が連続的に満たされている。また内圧緩衝室75aの作動流体100で満たされていない空間は、圧力緩衝用流体120によって満たされている。
【0085】
駆動デバイス70の移動体110を駆動(移動)するための作動は駆動デバイス10と同様であり、作動流体100の熱膨張収縮に伴う流路73aの内圧変化の吸収における作動についても駆動デバイス10と同様である。
【0086】
この第7実施形態の駆動デバイス70は、Y軸方向に沿った長軸を有する微細流路76a1,76b1を備えるとともに、同一の高さ(同一平面内、同一セラミックシート71−2内)に形成された流路73aと内圧緩衝室75aとを備え、それらの上部同士を微細流路76a1,76b1で連通するように構成されているので、デバイスの厚みを薄く(Z軸方向長さ(高さ)を小さく)することができる。また、基体71の容積に対する空間の容積(流路73a、ポンプ室74a,74b、内圧緩衝室75a、微細流路76a1,76b1、及びポンプ室連通孔79a,79bがなす各空間の容積の総和)が大きいので、駆動デバイス70は小型となる。更に、駆動デバイス70は、その厚みが小さいこと、及び/又は、デバイスの体積に対する同デバイスの表面積を大きくすることができるから、動作に伴って発生する熱を外部に容易に放散することができる。従って、駆動デバイス80は、デバイス全体が均熱化し易い(換言すると、デバイスの各部の温度差が小さい。)ので、均熱化することによって動作が安定するとともに、熱に対する耐久性が高いデバイスとなっている。
【0087】
次に、本発明の第8実施形態に係る駆動デバイス80について説明する。図31は係る駆動デバイス80の平面図であり、図32は図31の7−7線に沿った平面にて駆動デバイス80を切断した断面図である。この駆動デバイス80は、流路及び内圧緩衝室を形成するセラミックシート81−1,81−2のうちのセラミックシート81−1に一対の微細流路が形成されている点において駆動デバイス60と主として相違している。従って、以下、駆動デバイス60と同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記相違点を中心に説明する。
【0088】
この駆動デバイス80は、駆動デバイス60のセラミックシート61−2,61−3をセラミックシート61−1の上に順に積層されて一体焼成化されたセラミックシート81−1〜81−3に置換したものであり、基体81と一対の圧電膜(圧電/電歪素子)62a,62bとを備えている。基体81は、その内部に、流路構成部63と、内圧緩衝室構成部65と、一対のポンプ室84a,84bと、一対の微細流路部86a,86bとを含んでいる。
【0089】
流路構成部63は、セラミックシート81−1,81−2に設けられた略直方体形状の貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート81−3の下面により画定された流路63aを構成する部分である。
【0090】
ポンプ室84a,84bは、ポンプ室64a,64bとそれぞれ同様であり、セラミックシート81−3に設けられた貫通孔の側壁面、セラミックシート81−2の上面、及びセラミックシート61−4の下面により画定された円筒形空間である。ポンプ室84a,84bの上面には、ポンプ室84a,84bの壁面の一部(上壁)を構成するセラミックシート61−4からなるセラミックのダイヤフラム67a,67bがそれぞれ形成されている。ダイヤフラム67a,67bの上面には圧電膜62a,62bがそれぞれ形成されている。この結果、ポンプ室84a、ダイヤフラム67a、及び圧電膜62aによりセラミックポンプ88aが構成され、ポンプ室84b、ダイヤフラム67b、及び圧電膜62bによりセラミックポンプ88bが構成される。このセラミックポンプ88a,88bは、セラミックポンプ68a,68bと同様の構成を有している。
【0091】
内圧緩衝室構成部65は、流路63aと同様に、セラミックシート81−1,81−2に設けられた略直方体形状の貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート81−3の下面により画定された内圧緩衝室65aを構成する部分である。
【0092】
微細流路部86aは微細流路86a1を構成する部分である。微細流路86a1は、セラミックシート81−1に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート81−2の下面によって画定されるとともに、Y軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間であって、流路63aの左側の作動室63a1(作動室63a1のセラミックシート81−1に形成された側壁部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aのセラミックシート81−1に形成された側壁部)とを連通するようになっている。なお、微細流路86a1の寸法は、前記微細流路66a1と同一である。
【0093】
微細流路部86bは微細流路86b1を構成する部分である。微細流路86b1は、微細流路86a1と同一形状を有するとともに、セラミックシート81−1に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート81−2の下面によって画定されるとともに、同微細流路86a1に対しX軸正方向に所定距離だけ離間した位置においてY軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間である。微細流路86b1は、流路63aの右側の作動室63a2(作動室63a2のセラミックシート81−1に形成された側壁部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aのセラミックシート81−1に形成された側壁部)とを連通するようになっている。
【0094】
これらの微細流路86a1,86b1の形状及び寸法も、流路66a1,66b1等と同様に、流路63a内の作動流体100の急激な圧力変動に対しては実質的に同作動流体100の内圧緩衝室65aへの通過(移動)を不能とする大きな流路抵抗を示し、且つ、同流路63a内の作動流体100の緩慢な圧力変動に対しては実質的に同作動流体100が同内圧緩衝室65a内に通過(移動)できる絞り機能を備えるように設定されている。
【0095】
この駆動デバイス80においても、流路63a内部、一対のポンプ室84a,84b内部、一対の微細流路86a1,86b1内部、及び同一対の微細流路86a1,86b1で流路63aに連通された内圧緩衝室65aの一部には、作動流体100が連続的に満たされている。また内圧緩衝室65aの作動流体100で満たされていない空間は、圧力緩衝用流体120によって満たされている。
【0096】
駆動デバイス80の移動体110を駆動(移動)するための作動は駆動デバイス10と同様であり、作動流体100の熱膨張収縮に伴う流路63aの内圧変化の吸収における作動についても駆動デバイス10と同様である。この結果、この駆動デバイス80は、駆動デバイス60と同様の利点を有している。また、駆動デバイス80は、駆動デバイス60と同様に、小型(薄型)のデバイスとなっているから、同駆動デバイス60と同一の効果を有している。
【0097】
次に、本発明の第9実施形態に係る駆動デバイス90について説明する。図33は係る駆動デバイス90の平面図であり、図34は図33の8−8線に沿った平面にて駆動デバイス90を切断した断面図である。この駆動デバイス90は、駆動デバイス80のセラミックシート81−1,81−2をセラミックシート61−1の上に順に積層され一体焼成化されたセラミックシート91−1,91−2に代えた点においてのみ駆動デバイス80と相違している。従って、以下、駆動デバイス80と同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記相違点を中心に説明する。
【0098】
この駆動デバイス90において、流路63a及び内圧緩衝室65aは、セラミックシート91−1,91−2の貫通孔の側壁面と、セラミックシート61−1の上面と、セラミックシート81−3の下面とにより形成されている。
【0099】
一方、微細流路96a1は、セラミックシート91−2に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート91−1の上面、及びセラミックシート81−3の下面によって画定されるとともに、Y軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間であって、流路63aの左側の作動室63a1(作動室63a1のセラミックシート91−2に形成された側壁部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aのセラミックシート91−2に形成された側壁部)とを連通するようになっている。なお、微細流路96a1の寸法は、前記微細流路66a1と同一である。
【0100】
微細流路96b1は、微細流路96a1と同一形状を有するとともに、セラミックシート91−2に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート91−1の上面、及びセラミックシート81−3の下面によって画定されるとともに、同微細流路96a1に対しX軸正方向に所定距離だけ離間した位置においてY軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間である。微細流路96b1は、流路63aの右側の作動室63a2(作動室63a2のセラミックシート91−2に形成された側壁部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aのセラミックシート91−2に形成された側壁部)とを連通するようになっている。なお、微細流路96a1,96b1の機能は、微細流路86a1,86b1の機能と同一である。
【0101】
係る駆動デバイス90は、移動体110、作動流体100、及び圧力緩衝用流体120を、駆動デバイス80と同様に収容し、その作動及び利点も同駆動デバイス80と同様であり、小型で信頼性の高いデバイスとなっている。
【0102】
次に、本発明の第10実施形態に係る駆動デバイス200について説明する。図35は係る駆動デバイス200の平面図であり、図36は図35の9−9線に沿った平面にて駆動デバイス200を切断した断面図である。この駆動デバイス200は、駆動デバイス80のセラミックシート81−1,81−2をセラミックシート61−1の上に順に積層され一体焼成化されたセラミックシート201−1,201−2,201−3に代えた点においてのみ駆動デバイス80と相違している。従って、以下、駆動デバイス80と同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記相違点を中心に説明する。
【0103】
この駆動デバイス200において、流路63a及び内圧緩衝室65aは、セラミックシート201−1,201−2,201−3に形成された貫通孔の側壁面と、セラミックシート61−1の上面と、セラミックシート81−3の下面とにより形成されている。
【0104】
一方、微細流路206a1は、セラミックシート201−2に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート201−1の上面、及びセラミックシート201−3の下面によって画定されるとともに、Y軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間であって、流路63aの左側の作動室63a1(作動室63a1のセラミックシート201−2に形成された側壁部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aのセラミックシート201−2に形成された側壁部)とを連通するようになっている。
【0105】
微細流路206a1の具体的な寸法を例示すると、同微細流路206a1を長軸に直交する平面(即ち、X−Z平面)で切断した長方形断面の高さ(Z軸方向長さ)は30μm、巾(Z軸方向の長さ)は15μmであり、Y軸方向長さ(流路63a及び内圧緩衝室65aを含まない部分の長さ)は500μmである。
【0106】
微細流路206b1は、微細流路206a1と同一形状を有するとともに、セラミックシート201−2に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート201−1の上面、及びセラミックシート201−3の下面によって画定されるとともに、同微細流路206a1に対しX軸正方向に所定距離だけ離間した位置においてY軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間である。微細流路206b1は、流路63aの右側の作動室63a2(作動室63a2のセラミックシート201−2に形成された側壁部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aのセラミックシート201−2に形成された側壁部)とを連通するようになっている。なお、微細流路206a1,206b1の機能は、微細流路86a1,86b1の機能と同一である。
【0107】
係る駆動デバイス200は、移動体110、作動流体100、及び圧力緩衝用流体120を、駆動デバイス80と同様に収容し、その作動及び利点も同駆動デバイス80と同様であり、小型で信頼性の高いデバイスとなっている。
【0108】
次に、本発明の第11実施形態に係る駆動デバイス210について説明する。図37は係る駆動デバイス210の平面図であり、図38は図37のA−A線に沿った平面にて駆動デバイス210を切断した断面図である。この駆動デバイス210は、駆動デバイス80のセラミックシート81−1,81−2をセラミックシート61−1の上に積層されたセラミックシート211−1に代えた点においてのみ駆動デバイス80と相違している。従って、以下、駆動デバイス80と同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記相違点を中心に説明する。
【0109】
この駆動デバイス210において、流路63a及び内圧緩衝室65aは、セラミックシート211−1に形成された貫通孔の側壁面と、セラミックシート61−1の上面と、セラミックシート81−3の下面とにより形成されている。
【0110】
一方、微細流路216a1は、セラミックシート211−1に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート81−3の下面によって画定されるとともに、Y軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間であって、流路63aの左側の作動室63a1(作動室63a1のセラミックシート211−1に形成された側壁部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aのセラミックシート211−1に形成された側壁部)とを連通するようになっている。
【0111】
微細流路216a1の具体的な寸法を例示すると、同微細流路216a1を長軸に直交する平面(即ち、X−Z平面)で切断した長方形断面の高さ(Z軸方向長さ)は50μm、巾(X軸方向の長さ)は15μmであり、Y軸方向長さ(流路63a及び内圧緩衝室65aを含まない部分の長さ)は500μmである。
【0112】
微細流路216b1は、微細流路216a1と同一形状を有するとともに、セラミックシート211−1に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート81−3の下面によって画定されるとともに、同微細流路216a1に対しX軸正方向に所定距離だけ離間した位置においてY軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間である。微細流路216b1は、流路63aの右側の作動室63a2(作動室63a2のセラミックシート211−1に形成された側壁部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aのセラミックシート211−1に形成された側壁部)とを連通するようになっている。なお、微細流路216a1,216b1の機能は、微細流路86a1,86b1の機能と同一である。
【0113】
係る駆動デバイス210は、移動体110、作動流体100、及び圧力緩衝用流体120を、駆動デバイス80と同様に収容し、その作動及び利点も同駆動デバイス80と同様であり、小型で信頼性の高いデバイスとなっている。また、駆動デバイス80,90,200等に比べ、流路63a及び内圧緩衝室65aの側壁面を一つのセラミックシート211−1で形成できるので、駆動デバイス210を容易且つ安価に製造することが可能である。
【0114】
次に、本発明の第12実施形態に係る駆動デバイス220について説明する。図39は係る駆動デバイス220の平面図であり、図40は図39のB−B線に沿った平面にて駆動デバイス220を切断した断面図である。この駆動デバイス220は、駆動デバイス80のセラミックシート81−1,81−2をセラミックシート61−1の上に積層され一体焼成化されたセラミックシート221−1,221−2に代えた点においてのみ駆動デバイス80と相違している。従って、以下、駆動デバイス80と同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記相違点を中心に説明する。
【0115】
この駆動デバイス220において、流路63a及び内圧緩衝室65aは、セラミックシート221−2に形成された貫通孔の側壁面と、セラミックシート221−1の上面と、セラミックシート81−3の下面とにより形成されている。
【0116】
一方、微細流路226a1は、セラミックシート221−1に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート221−2の下面によって画定されるとともに、Y軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間であって、流路63aの左側の作動室63a1(作動室63a1の下部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aの下部)とを連通するようになっている。微細流路216a1の寸法は、図28に示した前記微細流路66a1と同一である。
【0117】
微細流路226b1は、微細流路226a1と同一形状を有するとともに、セラミックシート221−1に形成されたスリット状貫通孔の側壁面、セラミックシート61−1の上面、及びセラミックシート221−2の下面によって画定されるとともに、同微細流路226a1に対しX軸正方向に所定距離だけ離間した位置においてY軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間である。微細流路226b1は、流路63aの右側の作動室63a2(作動室63a2の下部)と内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aの下部)とを連通するようになっている。なお、微細流路226a1,226b1の機能は、微細流路86a1,86b1の機能と同一である。
【0118】
係る駆動デバイス220は、移動体110、作動流体100、及び圧力緩衝用流体120を、駆動デバイス80と同様に収容し、その作動及び利点も同駆動デバイス80と同様であり、小型で信頼性の高いデバイスとなっている。
【0119】
次に、本発明の第13実施形態に係る駆動デバイス230について説明する。図41は係る駆動デバイス230の平面図であり、図42は図41のC−C線に沿った平面にて駆動デバイス230を切断した断面図、図43は図41のD−D線に沿った平面にて駆動デバイス230を切断した断面図である。
【0120】
この駆動デバイス230は、駆動デバイス220のセラミックシート61−1,221−1をセラミックシート231−1に置換し、セラミックシート221−2をセラミックシート231−2に置換し、微細流路を一本だけ有する点において駆動デバイス220と相違している。従って、以下、駆動デバイス220と同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記相違点を中心に説明する。
【0121】
この駆動デバイス230において、流路63a及び内圧緩衝室65aは、セラミックシート231−2に形成された貫通孔の側壁面と、セラミックシート231−1の上面と、セラミックシート81−3の下面とにより形成されている。また、図41及び図43に示したように、セラミックシート231−1の上面には溝230Mが形成されている。この溝230Mは、X軸方向に延びる長軸を有していて、流路63aの下面であって同流路63aのX軸方向略中央部に配置され、図14に示した溝Mと同様な機能を達成するようになっている。
【0122】
一方、微細流路226a1は、セラミックシート231−1の上面にレーザー加工により設けられた凹状の溝の壁面、及びセラミックシート231−2の下面によって画定されるとともに、Y軸方向に沿った長軸を有する略直方体形状の空間であって、流路63aの左側の作動室63a1の下部及び前記溝230Mと内圧緩衝室65a(内圧緩衝室65aの下部)とを連通するようになっている。微細流路226a1の寸法は、図28に示した前記微細流路66a1と同一であり、その機能も同微細流路66a1と同一である。
【0123】
係る駆動デバイス230は、移動体110、作動流体100、及び圧力緩衝用流体120を駆動デバイス80と同様に収容し、その作動は上記第1実施形態の変形例である図13に示した駆動デバイス10−1と同様である。この結果、駆動デバイス230は、駆動デバイス80と同様に小型で信頼性の高いデバイスとなるとともに、微細流路226a1を一つだけ備えているので、同微細流路の加工の労力及び時間が半分で済み、安価なデバイスとなっている。
【0124】
次に、本発明の第14実施形態に係る駆動デバイス240について説明する。図44は係る駆動デバイス240の平面図であり、図45は図44のE−E線に沿った平面にて駆動デバイス240を切断した断面図である。
【0125】
この駆動デバイス240は、図27及び図28に示した第6実施形態に係る駆動デバイス60のセラミックシート61−3をセラミックシート241−1に置換することで、微細流路を屈曲せしめてなる点において駆動デバイス60と相違している。従って、以下、駆動デバイス60と同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記相違点を中心に説明する。
【0126】
この駆動デバイス240において、微細流路246a1,246b1は、セラミックシート241−1に形成されたスリット状の貫通孔の側壁面、セラミックシート61−2の上面、及びセラミックシート61−4の下面によって画定されている。
【0127】
微細流路246a1は、流路63aの左側の作動室63a1の上部と連通していて、同作動室63a1の上部からY軸負方向に延び、基体241のY軸方向略中央部にてX軸負方向へと屈曲し、その後、再びY軸負方向に延びて内圧緩衝室65aの上部へと連通するようになっている。同様に、微細流路246b1は、流路63aの右側の作動室63a2の上部と連通していて、同作動室63a2の上部からY軸負方向に延び、基体241のY軸方向略中央部にてX軸正方向へと屈曲し、その後、再びY軸負方向に延びて内圧緩衝室65aの上部へと連通するようになっている。
【0128】
この一対の微細流路246a1,246b1の軸方向に直交する平面による切断面の形状は略長方形であって、Y軸負方向に延びている部分で寸法を例示すると、同部分をその軸に直交する平面(即ち、X−Z平面)で切断した長方形断面の高さ(Z軸方向長さ)は10μm、巾(X軸方向の長さ)は10μmである。また、軸方向の全長(流路63a及び内圧緩衝室65aの上部を除いた部分の全体の流路長)は700μmである。
【0129】
係る駆動デバイス240は、移動体110、作動流体100、及び圧力緩衝用流体120を、駆動デバイス60と同様に収容し、その作動及び利点も同駆動デバイス60と同様であり、小型で信頼性の高いデバイスとなっている。また、駆動デバイス240は、流路としての軸方向長さ(流路長)を大きくすること、及び/又は、同流路を屈曲せしめていることにより、流路断面積を小さくすることによる流路抵抗上昇効果と同様の効果を得ている。この結果、駆動デバイス240においては、圧力が急変する作動流体100に対するより大きな流路抵抗を得る必要がある場合、微細流路246a1,246b1の断面積を極めて小さくする必要がないので、微細なスリットをセラミックシート241−1に形成するための加工精度をそれほど高くする必要がなく、その結果、安価に製造することができる。
【0130】
次に、上記各実施形態において採用される圧電/電歪膜型アクチュエータの変形例について、図27及び図28に示した第6実施形態の駆動デバイス60に対しセラミックポンプ68b(68a)に代えて同変形例の圧電/電歪膜型アクチュエータを採用した例を用いて説明する。係る圧電/電歪膜型アクチュエータは、ポンプの圧電膜を多層としたアクチュエータであって、セラミックポンプ68a,68bのみならず、他の実施形態のアクチュエータ(ポンプ)としても当然に使用することができる。
【0131】
図46及び図47は、図27及び図28に示した駆動デバイス60に対してこの変形例の圧電/電歪膜型アクチュエータ300を適用し、図27の5−5線及びF−F線に沿った平面にて同駆動デバイス60をそれぞれ切断するとともに、同圧電/電歪膜型アクチュエータ300を拡大して示した図である。
【0132】
これらの図に示したように、圧電/電歪膜型アクチュエータ300は、セラミックシート61−4により形成されたセラミックのダイヤフラム67bの上面に順に積層された第1電極膜301−1、第1圧電/電歪膜302−1、第2電極膜301−2、第2圧電/電歪膜302−2、第3電極膜301−3、第3圧電/電歪膜302−3、及び第4電極膜301−4とからなっている。
【0133】
第1電極膜301−1と第3電極膜301−3は同電位に維持されるように接続されて第1の電極部を形成し、第2電極膜301−2と第4電極膜301−4は同電位に維持されるように接続されて第2の電極部を形成している。第1の電極部と第2の電極部は圧電/電歪膜により絶縁されていて、上述した上部電極及び下部電極と同様に互いに極性の異なる電位が付与される(駆動電圧が加えられる)ようになっている。
【0134】
第1電極膜301−1〜第4電極膜301−4の材料としては、室温で個体であり、圧電/電歪膜型アクチュエータ300の製造過程における焼成温度程度の高温で酸化雰囲気に耐えられ、導電性に優れた金属で構成されていることが好ましい。例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛等の金属単体、若しくは、これらの合金が、各電極膜の材料として採用され得る。また、これらの材料に、圧電/電歪膜、或いは、基体61と同じ材料を分散させたサーメット材料を用いてもよい。更に、緻密でより薄い電極膜の形成が可能な、金レジネートペースト、白金レジネートペースト、銀レジネートペースト等の材料を用いてもよい。
【0135】
また、上述した多層型の圧電/電歪膜型アクチュエータにおいては、最下層となる電極(第1電極膜301−1)及び各圧電/電歪層間に設けられる中間電極(第2電極膜301−2と第3電極膜301−3)を、白金等を主成分とする電極材料に、例えば、酸化ジルコニア、酸化セリウム、又は酸化チタン等の添加物を含有する材料で構成させることも好ましい。理由は定かではないが、このような材料で最下層となる電極及び中間電極を構成することにより、電極と圧電/電歪膜間の剥離を防止することができる。なお、上記添加物は、全電極材料中、0.01〜20質量%含有させることが所望の剥離防止効果が得られる点で好ましい。
【0136】
一方、電極膜が厚くなるほど、圧電/電歪膜アクチュエータの変位量が低下することがあるので、同変位量を大きい値に維持するためには、電極膜は薄いことが望ましい。従って、通常は、各電極膜の厚さは15μm以下となることが望ましく、5μm以下であることがより好ましい。
【0137】
第1圧電/電歪膜302−1〜第3圧電/電歪膜302−3の材料としては、圧電効果又は電歪効果等の電界誘起歪みを発生する材料であればよく、結晶質か非結晶質であるかは問わない。半導体、強誘電体セラミックス、又は反強誘電体セラミックスを用いることも可能である。
【0138】
これらの圧電/電歪膜の材料として、例えば、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、ニオブ酸カリウムナトリウム、タンタル酸ストロンチウムビスマス等を単独或いは混合物として含有するセラミックスを挙げることができる。
【0139】
第1圧電/電歪膜302−1〜第3圧電/電歪膜302−3の各々の層(一層)あたりの厚さは、より低電圧で大きな変位を得ることができるように、薄いことが好ましい。例えば、その厚さは、100μm以下、より好ましくは3〜30μm程度となるように設計される。また、ダイヤフラム上に圧電/電歪膜を積層する場合、上層の膜ほど(ダイヤフラムから遠ざかるほど)その厚みが徐々に小さくことが好ましい。より具体的に述べると、最も下層(電極膜を挟んでダイヤフラムの直上に形成された圧電/電歪膜)の圧電/電歪膜から数えてn番目の圧電/電歪膜の厚さをtnとするとき、
tn≦tn−1×0.95
を満足するように、各圧電/電歪膜を形成することが好ましい。
【0140】
このように、圧電/電歪膜の厚さを上層になるほど小さくするのは次の理由による。即ち、圧電/電歪膜の歪み量は、印加する電界の大きさが大きいほど(換言すると、圧電/電歪膜に対して同じ駆動電圧を付与したときには同圧電/電歪膜の厚さが薄いほど)大きくなる。従って、上記のように、圧電/電歪膜の厚さを上層になるほど小さくすれば、上部に形成される圧電/電歪膜が下部に形成される圧電/電歪膜よりも大きく歪むようになり、その結果、ダイヤフラムの曲げ効率が大きくなるので、同ダイヤフラムの屈曲変位量を大きくすることができるからである。
【0141】
この圧電/電歪膜型アクチュエータ300は、図17又は図18を参照して説明した製造方法と同様な方法で製造することができる。
【0142】
具体的に述べると、先ず、ダイヤフラム67bとなるセラミック体61−4の上面に、上記下部電極205を形成する方法と同様の方法で第1電極膜301−1を形成し、その上面に圧電膜207を形成する方法と同様の方法で第1圧電/電歪膜302−1を形成する。次いで、第1圧電/電歪膜302−1の上面に、上記下部電極205又は上記上部電極208を形成する方法と同様の方法で第2電極膜301−2を形成し、その上面に圧電膜207を形成する方法と同様の方法で第2圧電/電歪膜302−2を形成する。その後、第2圧電/電歪膜302−2の上面に、上記下部電極205又は上記上部電極208を形成する方法と同様の方法で第3電極膜301−3を形成し、その上面に圧電膜207を形成する方法と同様の方法で第3圧電/電歪膜302−3を形成する。そして、最後に、上記上部電極208を形成する方法と同様の方法で第4電極膜301−4を形成する。
【0143】
以上、説明したように、本発明による各駆動デバイスに適用可能な圧電/電歪膜型アクチュエータの変形例は、「ダイヤフラム67b上に設けられ、圧電/電歪膜と電極膜とからなる圧電/電歪素子を備え、同圧電/電歪素子の変位(変形)により同ダイヤフラム67bを変形させる圧電/電歪膜型アクチュエータ300であって、前記圧電/電歪素子は、前記電極膜と前記圧電/電歪膜とが交互に積層されるとともに、最上層及び最下層がそれぞれ電極膜(第1電極膜301−1、第4電極膜301−4)となるように形成された圧電/電歪膜型アクチュエータ」である。
【0144】
このアクチュエータ300は、複数の圧電/電歪層を備え、その各層が力を発生するので、電極間(この場合、第1の電極部と第2の電極部との間)に圧電/電歪層を一層だけ備えた圧電/電歪膜型アクチュエータの電極間(この場合、上部電極と下部電極)に付与する電位差と同じ電位差を付与した場合であっても、より大きな駆動力(ダイヤフラムを変形させる力)を発生することができる。
【0145】
また、圧電/電歪膜型アクチュエータ300においては、複数の圧電/電歪層を積層させているので、水平方向(X−Y平面方向)に対して垂直方向(Z軸方向)の高さの比が大きい、所謂高アスペクト比の圧電/電歪素子を容易に形成することができる。高アスペクト比の圧電/電歪素子は、屈曲変位する部分の剛性が高くなるので、素子の応答速度が大きくなる。従って、アクチュエータ300を使用することで、応答性が高い駆動デバイスを得ることができる。
【0146】
なお、上記圧電/電歪膜型アクチュエータ300は、3層の圧電/電歪膜(及び4層の電極膜)を備えたアクチュエータであったが、圧電/電歪膜の層の数は複数であればよく、これに限定されない。
【0147】
以上、説明したように、本発明の各実施形態、及びその変形例に係る駆動デバイスによれば、マイクロマシンの小サイズや低消費電力の特徴を保ちつつ、磨耗や固着の問題を内在する機械的増幅機構をもたず、量産し易い駆動デバイスを提供することができた。また、周囲温度が上昇した場合でも、デバイスの破損が生じないので、信頼性、及び耐久性の高い駆動デバイスを提供することができた。
【0148】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明で開示している各駆動デバイスの基本構成を基に、ダイヤフラムを変形させる圧電/電歪材料膜を、反強誘電体材料膜(反強誘電体膜)に置き換えることができる。さらには、マイクロマシン研究で盛んに研究されている、ギャップを介して対向する電極間に生じる静電力や、通電加熱により形状記憶合金に生じる変形力を、圧電膜の変形力に代えて使用し、これらの力によりダイヤフラムを変形させてもよい。そのような構成においても、上記実施形態のように、上記微細流路と,上記内圧緩衝室とを組み合わせることにより、環境温度の変化による駆動デバイスの破損を防止でき、しかも、駆動電圧(印加電圧)の制御によって初期状態での移動体の位置を制御できる。
【0149】
なお、本発明による駆動デバイスは、例えば、所謂ロッドレスシリンダーを、マイクロマシン化するためのデバイスに用いることができる。ロッドレスシリンダーは、例えば米国特許3,779,401に開示されるように、シリンダー稼動部が完全に密封されていて、密封された空間中で動く稼動部(本願でいう移動体)と磁力により結ばれた作動部が密封空間の外部で往復運動を行い、同可動部の動きを当該ロッドレスシリンダーの系外に及ぼすことができるものである。
【0150】
従って、本発明の移動体110を磁性体で形成し、外部に移動体110と磁力により結ばれた作動部を形成すれば、本発明による駆動デバイスを適用したマイクロ・ロッドレスシリンダーを得ることができる。また、流路13a,63a内に微小な電極(検出電極)を随所に設け、移動体110を導電性の磁性体により形成することにより、移動体110の位置を同電極の「オン(閉成)」又は「オフ(開放)」により検知することが可能となるので、これを利用してマイクロ・ロッドレスシリンダーのストローク位置を制御することもできる。
【0151】
また、本発明による駆動デバイスは、単に機械的な物体移動を目的とするマイクロモーターのような用途のみならず、各種マイクロマシンに見られるような、広範囲な用途に応用可能である。例を挙げると、例えば流路13a,63aを形成する壁面の一部ないし全体に透光性を有する材質を選択し、移動体110を気泡、有色液体、蛍光液体の液胞、又は光反射可能な微小金属体などで構成すれば、光学ディスプレイ素子を得ることもできる。更に、外部から磁気的、光学的、又は電気的手段等により移動体110の位置を検知することにより、本発明による駆動デバイスをメモリー素子として使用することもできる。また、移動体110に振動運動を行わせつつ、その運動にコリオリ力等の外力が及ぼす影響を電気的あるいは光学的等の手段によりセンシングすることで、ジャイロ等のセンサを形成することもできる。
【0152】
なお、本発明による上記駆動デバイスは、流路(13a)を有する基板(11,21等)に、圧電/電歪膜ないし反強誘電体膜と電極とからなる膜型圧電素子とセラミックダイヤフラムとを有するセラミックポンプ(23a,23b等)を有し、当該流路は当該セラミックポンプ間をつなぐ形状で形成されるとともに、移動させるべき気泡ないし液胞あるいは微小固体である移動体(110)と液体(100)とが収納されており、また当該流路には、当該セラミックポンプによって高速に加圧ないし減圧した場合、流体の出入速度が遅いために加圧ないし減圧に対する低減効果を時間遅れを伴って示す一方、低速加圧ないし低速減圧時には流体が出入することで流路内の圧力変動を実質的にゼロに抑える緩衝効果を示す微細流路(16a1,16b1等)と、その他方の端に緩衝空間(内圧緩衝室15a等)を有することを特徴とするものと云うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る駆動デバイスの断面図である。
【図2】図2は、図1に示した駆動デバイスの平面図である。
【図3】図3は、図1に示した駆動デバイスを図1の2−2線に沿った平面で切断した断面図である。
【図4】図4は、図1に示した駆動デバイスの初期状態を示した断面図である。
【図5】図5は、図1に示した駆動デバイスの作動状態を示した断面図である。
【図6】図6は、図1に示した駆動デバイスの別の作動状態を示した断面図である。
【図7】図7は、図1に示した駆動デバイスの周囲温度上昇時における作動流体の流れを示した断面図である。
【図8】図8は、図1に示した駆動デバイスの周囲温度下降時における作動流体の流れを示した断面図である。
【図9】図9は、図1に示した駆動デバイスの移動体の位置を微調整する際の作動を説明するための図である。
【図10】図10は、図1に示した駆動デバイスの移動体の位置を微調整するために同駆動デバイスの圧電膜に印加する電圧波形を示したタイムチャートである。
【図11】図11は、図1に示した駆動デバイスの移動体の位置を微調整する際の作動を説明するための図である。
【図12】図12は、図1に示した駆動デバイスの移動体の位置を微調整する際の作動を説明するための図である。
【図13】図13は、図1に示した駆動デバイスの変形例の断面図である。
【図14】図14は、図1に示した駆動デバイスの流路の変形例を示す同流路の断面図である。
【図15】図15は、本発明の第2実施形態に係る駆動デバイスの断面図である。
【図16】図16は、図15に示した駆動デバイスの平面図である。
【図17】図17は、図15に示した駆動デバイスの圧電/電歪アクチュエータの製造工程を説明する概念図である。
【図18】図18は、図15に示した駆動デバイスの圧電/電歪アクチュエータの別の製造工程を説明する概念図である。
【図19】図19は、図15に示した駆動デバイスの製造工程を説明する概念図である。
【図20】図20は、図15に示した駆動デバイスの製造工程を説明する概念図である。
【図21】図21は、本発明の第3実施形態に係る駆動デバイスの断面図である。
【図22】図22は、本発明の第4実施形態に係る駆動デバイスの断面図である。
【図23】図23は、本発明の第5実施形態に係る駆動デバイスの断面図である。
【図24】図24は、図23に示した駆動デバイスの平面図である。
【図25】図25は、図23に示した駆動デバイスの作動状態を示した断面図である。
【図26】図26は、本発明の第5実施形態に係る駆動デバイスの変形例の平面図である。
【図27】図27は、本発明の第6実施形態に係る駆動デバイスの平面図である。
【図28】図28は、図27の5−5線に沿った平面にて駆動デバイスを切断した断面図である。
【図29】図29は、本発明の第7実施形態に係る駆動デバイスの平面図である。
【図30】図30は、図29の6−6線に沿った平面にて駆動デバイスを切断した断面図である。
【図31】図31は、本発明の第8実施形態に係る駆動デバイスの平面図である。
【図32】図32は、図31の7−7線に沿った平面にて駆動デバイスを切断した断面図である。
【図33】図33は、本発明の第9実施形態に係る駆動デバイスの平面図である。
【図34】図34は、図33の8−8線に沿った平面にて駆動デバイスを切断した断面図である。
【図35】図35は、本発明の第10実施形態に係る駆動デバイスの平面図である。
【図36】図36は、図35の9−9線に沿った平面にて駆動デバイスを切断した断面図である。
【図37】図37は、本発明の第11実施形態に係る駆動デバイスの平面図である。
【図38】図38は、図37のA−A線に沿った平面にて駆動デバイス210を切断した断面図である。
【図39】図39は、本発明の第12実施形態に係る駆動デバイスの平面図である。
【図40】図40は、図39のB−B線に沿った平面にて駆動デバイス220を切断した断面図である。
【図41】図41は、本発明の第13実施形態に係る駆動デバイスの平面図である。
【図42】図42は、図41のC−C線に沿った平面にて駆動デバイスを切断した断面図である。
【図43】図43は、図41のD−D線に沿った平面にて駆動デバイスを切断した断面図である。
【図44】図44は、本発明の第14実施形態に係る駆動デバイスの平面図である。
【図45】図45は、図44のE−E線に沿った平面にて駆動デバイス240を切断した断面図である。
【図46】図46は、図27に示した駆動デバイスに対して圧電/電歪膜型アクチュエータの変形例を適用し、図27の5−5線に沿った平面にて同駆動デバイスを切断した同圧電/電歪膜型アクチュエータの拡大断面図である。
【図47】図47は、図27に示した駆動デバイスに対して圧電/電歪膜型アクチュエータの変形例を適用し、図27のF−F線に沿った平面にて同駆動デバイスを切断した同圧電/電歪膜型アクチュエータの拡大断面図である。BACKGROUND OF THE INVENTION
[0001]
The present invention is a device that can be applied to micromachines such as micromotors, microsensors, and microrelays, or microelectromechanical systems called microelectromechanical systems (MEMS), and uses working fluids. Thus, the present invention relates to a drive device that moves a moving body.
[Prior art]
Background art
[0002]
In recent years, using microfabrication technology for materials such as semiconductor manufacturing technology and piezoelectric materials that can convert electrical energy and mechanical energy to each other, micro-motors of several to several tens of microns in size, Development of sensors and microswitches is underway. These element devices include, for example, inkjet printer heads, microvalves, flow sensors, pressure sensors, recording heads, tracking servo actuators, on-chip biochemical analysis, microreactors, high frequency components, micromagnetic devices, microrelays, acceleration sensors, It can be widely applied to gyros, driving devices, displays, optical scanners, and the like (see, for example, Nikkei Microdevice, July 2000, p.164-165).
[0003]
In these micromachines, electrostatic force is often used as driving force. Various types such as those using strain deformation caused by voltage application of piezoelectric material, those using shape deformation of shape memory alloy, and those using volume change caused by phase transformation of liquid by heating, etc. Driving sources are being considered. However, as the mechanism is miniaturized, the driving force generated by the drive source and the drive stroke become extremely small. For this reason, it is necessary to combine a mechanical amplification mechanism such as an insulator for some applications.
[Problems to be solved by the invention]
[0004]
However, when such a mechanical amplifying mechanism is miniaturized to the size of a micromachine, there is a case where wear or sticking, which is not a problem with a normal size, becomes a serious problem. In addition, since a micromachine having an amplification mechanism (drive function) such as an insulator is required to form a three-dimensional structure having a depth (height), it takes a long time for fine processing or man-hours for assembling fine parts. In some cases, it may have a problem that it is not suitable for mass production. Accordingly, an object of the present invention is a device that uses a working fluid, and maintains the characteristics of a small size and low power consumption of a micromachine, and does not have a mechanical amplification mechanism that inherently suffers from wear and sticking problems. It is an object of the present invention to provide a drive device that is easy to perform and is less likely to cause leakage of a working fluid due to a change in ambient temperature.
[Outline of the present invention]
Disclosure of the invention
[0005]
In order to achieve the above object, a drive device of the present invention contains an incompressible working fluid and a moving body made of a material different from the working fluid, and the moving body substantially forms a pair of working chambers. Each of the pair of working chambers and each pump chamber filled with the working fluid, and each actuator provided for each pump chamber. And a pair of pumps that pressurize or depressurize the working fluid in the pump chambers by deformation of the diaphragms, and for compressing the working fluid and compressive pressure. An internal pressure buffer chamber constituting portion constituting an internal pressure buffer chamber for containing fluid, and the flow path constituting portion At least one of the pair of working chambers And the internal pressure buffering chamber of the internal pressure buffering chamber constituting part have a large flow path resistance that substantially prevents the passage of the working fluid against sudden pressure fluctuations of the working fluid in the flow path. And a fine flow channel portion constituting a fine flow channel that exhibits a small flow resistance that substantially allows the working fluid to pass through against a slow pressure fluctuation of the working fluid in the flow channel, It is equipped with. In this case, the fine flow path is formed of the flow path component. Working room May be directly connected to the internal pressure buffering chamber of the internal pressure buffering chamber component, and the flow path may be connected via another part (for example, a connection passage connecting the flow path and the pump chamber, or a pump chamber). You may connect the flow path of a structure part, and the internal pressure buffer chamber of the said internal pressure buffer chamber structure part. One or more pumps may be provided.
[0006]
According to this, the diaphragm is deformed by the actuator, and the working fluid in the flow path is pressurized or depressurized. At this time, if a sudden pressure fluctuation occurs in the working fluid, the fine flow path exhibits a large flow resistance that substantially prevents the working fluid from passing through. Is transmitted to the moving body, and the moving body moves. On the other hand, when a slow pressure fluctuation occurs in the working fluid due to thermal expansion of the working fluid accompanying changes in the ambient temperature or due to slow actuation of the actuator, the micro flow path substantially passes through the working fluid. Therefore, the working fluid moves to the internal pressure buffer chamber containing the compressive pressure buffering fluid through the fine flow channel. As a result, since the pressure rise of the working fluid in the flow path is suppressed, damage to the device due to excessive pressure of the working fluid, leakage of the working fluid due to this, and the like can be avoided.
[0007]
In this case, it is preferable that the actuator includes a film-type piezoelectric element including a piezoelectric / electrostrictive film or an antiferroelectric film and an electrode, and the diaphragm is a ceramic diaphragm.
[0008]
According to this, microfabrication can be further facilitated, and a drive device excellent in mass productivity and durability can be provided.
[0009]
Further, in the above drive device, each diaphragm of the pump constitutes a part of the wall of each pump chamber and is arranged so as to have a film surface in the same plane, The internal pressure buffer chamber is configured to be a space having a longitudinal direction in a plane parallel to the membrane surface of the diaphragm, and the microchannel of the microchannel portion extends in a direction parallel to the membrane surface of the diaphragm. The internal pressure buffering chamber of the component is configured to be a space having a longitudinal direction in a plane parallel to the membrane surface of the diaphragm, and the flow of the flow channel component through the fine channel of the fine channel. It is preferable to arrange it so as to communicate with the road.
[0010]
If each pump chamber of the pump is configured such that, for example, a diaphragm formed of a plate body such as a single deformable ceramic sheet is a part of the wall, the operation of each actuator directly Since the volume of the pump chamber is changed, the working fluid can be efficiently pressurized or depressurized. Therefore, it is preferable that each diaphragm of the pump constitutes a part of the wall of each pump chamber and has a membrane surface in the same plane.
[0011]
On the other hand, in order to exhibit the flow path resistance having the above characteristics, the micro flow path needs to have a small cross section, and if the cross section is extremely small, the processing accuracy Is required to increase the manufacturing cost of the device. On the other hand, the fine flow path can exhibit the flow path resistance having the above characteristics by securing (lengthening) the length of the flow path. However, in the structure in which the fine channel extends only in the direction intersecting the membrane surface of the diaphragm (for example, the direction orthogonal to the diaphragm membrane surface), the thickness of the driving device is increased.
[0012]
Therefore, as in the above configuration, the fine flow path of the fine flow path portion extends in a direction parallel to the membrane surface of the diaphragm, and both are spaces having a longitudinal direction in a plane parallel to the membrane surface of the diaphragm. If the flow path of the certain flow path component and the internal pressure buffer chamber of the internal pressure buffer chamber structure are arranged and configured to communicate with each other through the fine flow path, the flow path, the internal pressure buffer chamber, and Since the same microchannel can be formed in a constant thickness, a drive device with a small thickness (thin) can be provided. In addition, such a thin drive device can increase the surface area of the drive device with respect to the entire volume of the drive device, so that heat generated by the operation can be easily dissipated to the outside. Stable operation can be performed.
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[0013]
Embodiments of a driving device according to the present invention will be described below with reference to the drawings. The present invention is not limited to these embodiments, and various changes, modifications, and improvements can be added based on the knowledge of those skilled in the art without departing from the scope of the present invention.
[0014]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view of a driving
[0015]
The
[0016]
The
[0017]
The
[0018]
The
[0019]
The
[0020]
The
[0021]
The internal pressure buffer
[0022]
The fine
[0023]
The
[0024]
As described above, the internal pressure communicated with the
[0025]
Next, the operation of the
[0026]
At the time of driving, as shown in FIG. 5, with respect to the
[0027]
Accordingly, the
[0028]
Further, as shown in FIG. 6, a negative polarity voltage is applied to the upper electrode and a lower polarity to the lower electrode with respect to the
[0029]
During such normal driving, the voltage applied to the
[0030]
On the other hand, when the environmental temperature of the drive device rises and the working
[0031]
On the other hand, the
[0032]
As described above, the driving
[0033]
Next, an operation performed for fine adjustment of the position of the moving
[0034]
In this case, first, as shown at times t1 to t2 in FIG. 10, applied voltages Va and Vb that change at high speed are respectively applied to the
[0035]
Next, the applied voltages Va and Vb are kept constant for a short time as shown at times t2 to t3 in FIG. 10, and then the absolute values of the applied voltages Va and Vb are set as shown at times t3 to t4. For example, the voltage is slowly lowered to 0 V over about 0.1 to 1 second. In this case, since the flow resistance of the fine flow paths 16a1 and 16b1 is reduced, as shown in FIG. 12, the working
[0036]
By executing the above operation once or a plurality of times, the initial position of the moving
[0037]
In the above embodiment, the directions of the electric fields applied to the
[0038]
Next, a modification of the drive device according to the first embodiment will be described with reference to FIG. In the drive device 10-1 according to this modification, the
[0039]
In addition to the gap (gap S) described above, for example, as shown in FIG. 14 which is a cross-sectional view of the
[0040]
Furthermore, the
[0041]
In order to keep the amount of thermal expansion and contraction of the working
[0042]
Next, the
[0043]
The driving
[0044]
The
[0045]
The
[0046]
The
[0047]
The operation for driving (moving) the moving
[0048]
Next, a method for manufacturing the
[0049]
Next, the
[0050]
FIG. 18 shows another manufacturing method for manufacturing a portion corresponding to the
[0051]
Next, a method for manufacturing the base body (flow path substrate) 21 will be described with reference to FIG. First,
[0052]
In addition, as a material of the said board | substrates 211-213, the glass or ceramic board | substrate with a close expansion coefficient is suitable, for example so that thermal expansion coefficient may correspond with the
[0053]
On the other hand, as shown in FIG. 20, in the same manner as the
[0054]
At this time, the moving
[0055]
The obtained laminate is placed under vacuum in a vacuum chamber or the like, and a predetermined amount of working
[0056]
The depth of the internal
[0057]
Next, a driving
[0058]
Next, a driving
[0059]
Next, a driving
[0060]
The piezoelectric films 25c1 and 25c2 have an oval shape having a major axis in the Y-axis direction in a plan view, and are a ceramic thin plate body separated by a predetermined distance in the X-axis direction so that the major axes are parallel to each other. It is being fixed on the
[0061]
Next, the operation of the
[0062]
As the piezoelectric / electrostrictive film type actuator (ceramic pump) that performs such an operation, the one disclosed in JP-A-7-202284 can be used. In the fifth embodiment (driving device 50), unlike the first to fourth embodiments, the polarity of the voltage applied to the piezoelectric films 25c1, 25c2, 25a is always constant, so that the piezoelectric films 25c1, 25c2 are always constant. , 25a can drive the piezoelectric films 25c1, 25c2, 25a with the same polarity as the polarization electric field. For this reason, it is possible to use a material with a low coercive electric field for the piezoelectric films 25c1, 25c2, and 25a. In addition, the drive device is configured so that one of the pair of pumps can only pressurize, or both can be pressurized and decompressed, and the other pump can only depressurize. Even in such a case, the required functions and performance may be sufficiently satisfied. However, according to the pump structure in the
[0063]
As shown in FIG. 26, a required number of
[0064]
Next, a driving
[0065]
That is, the
[0066]
The flow
[0067]
The
[0068]
A
[0069]
The internal pressure buffer
[0070]
The
[0071]
Exemplifying specific dimensions of the microchannel 66a1, the height (Z-axis direction length) and width of a rectangular cross section obtained by cutting the microchannel 66a1 along a plane orthogonal to the major axis (that is, the XZ plane) The length in the X-axis direction is 10 μm, and the length in the Y-axis direction (the length of the portion excluding the upper part of the
[0072]
The
[0073]
As described above, the internal pressure communicated with the
[0074]
The operation for driving (moving) the moving
[0075]
The
[0076]
Next, a driving
[0077]
That is, the
[0078]
The flow
[0079]
The
[0080]
The internal pressure buffer
[0081]
The fine
[0082]
Exemplifying specific dimensions of the micro flow path 76a1 (micro flow path 76b1), the height (Z axis) of a rectangular cross section obtained by cutting the micro flow path 76a1 along a plane orthogonal to the long axis (that is, the XZ plane). The length in the direction) and the width (length in the X-axis direction) are each 15 μm, and the length in the Y-axis direction (the length of the portion excluding the upper portion of the
[0083]
The pump
[0084]
As described above, the
[0085]
The operation for driving (moving) the moving
[0086]
The
[0087]
Next, a driving
[0088]
This driving
[0089]
The
[0090]
The
[0091]
Similarly to the
[0092]
The
[0093]
The
[0094]
Similar to the flow paths 66a1, 66b1, etc., the shapes and dimensions of the fine flow paths 86a1, 86b1 are substantially the same as the internal pressure of the working
[0095]
Also in this
[0096]
The operation for driving (moving) the moving
[0097]
Next, a driving
[0098]
In this
[0099]
On the other hand, the fine channel 96a1 is defined by the side wall surface of the slit-shaped through hole formed in the ceramic sheet 91-2, the upper surface of the ceramic sheet 91-1, and the lower surface of the ceramic sheet 81-3, and in the Y-axis direction. A working space 63a1 (side wall formed on the ceramic sheet 91-2 of the working chamber 63a1) on the left side of the
[0100]
The fine channel 96b1 has the same shape as the fine channel 96a1, and the side wall surface of the slit-shaped through hole formed in the ceramic sheet 91-2, the upper surface of the ceramic sheet 91-1, and the lower surface of the ceramic sheet 81-3. And a substantially rectangular parallelepiped space having a long axis along the Y-axis direction at a position separated by a predetermined distance in the X-axis positive direction with respect to the fine channel 96a1. The fine channel 96b1 is formed in the working chamber 63a2 on the right side of the
[0101]
The
[0102]
Next, a
[0103]
In the
[0104]
On the other hand, the fine channel 206a1 is defined by the side wall surface of the slit-shaped through-hole formed in the ceramic sheet 201-2, the upper surface of the ceramic sheet 201-1 and the lower surface of the ceramic sheet 201-3, and in the Y-axis direction. A working space 63a1 (side wall formed on the ceramic sheet 201-2 of the working chamber 63a1) on the left side of the
[0105]
Exemplifying specific dimensions of the microchannel 206a1, the height (Z-axis direction length) of a rectangular cross section obtained by cutting the microchannel 206a1 along a plane orthogonal to the long axis (that is, the XZ plane) is 30 μm. The width (length in the Z-axis direction) is 15 μm, and the length in the Y-axis direction (the length of the portion not including the
[0106]
The fine channel 206b1 has the same shape as the fine channel 206a1, and the side wall surface of the slit-shaped through hole formed in the ceramic sheet 201-2, the upper surface of the ceramic sheet 201-1, and the lower surface of the ceramic sheet 201-3. And a substantially rectangular parallelepiped space having a long axis along the Y-axis direction at a position separated by a predetermined distance in the X-axis positive direction with respect to the microchannel 206a1. The fine channel 206b1 is formed in the working chamber 63a2 (side wall portion formed in the ceramic sheet 201-2 of the working chamber 63a2) and the internal
[0107]
The
[0108]
Next, a
[0109]
In the
[0110]
On the other hand, the fine channel 216a1 is defined by the side wall surface of the slit-shaped through hole formed in the ceramic sheet 211-1, the upper surface of the ceramic sheet 61-1, and the lower surface of the ceramic sheet 81-3, and in the Y-axis direction. A working space 63a1 (side wall formed on the ceramic sheet 211-1 of the working chamber 63a1) on the left side of the
[0111]
Exemplifying specific dimensions of the microchannel 216a1, the height (Z-axis direction length) of a rectangular cross section obtained by cutting the microchannel 216a1 along a plane orthogonal to the major axis (that is, the XZ plane) is 50 μm. The width (length in the X-axis direction) is 15 μm, and the length in the Y-axis direction (the length of the portion not including the
[0112]
The fine channel 216b1 has the same shape as the fine channel 216a1, and the side wall surface of the slit-shaped through hole formed in the ceramic sheet 211-1, the upper surface of the ceramic sheet 61-1, and the lower surface of the ceramic sheet 81-3. And a substantially rectangular parallelepiped space having a long axis along the Y-axis direction at a position separated by a predetermined distance in the X-axis positive direction with respect to the microchannel 216a1. The fine channel 216b1 is formed in the working chamber 63a2 on the right side of the
[0113]
The
[0114]
Next, a
[0115]
In the
[0116]
On the other hand, the fine flow path 226a1 is defined by the side wall surface of the slit-shaped through hole formed in the ceramic sheet 221-1, the upper surface of the ceramic sheet 61-1, and the lower surface of the ceramic sheet 221-2, and also in the Y-axis direction. The working chamber 63a1 (lower part of the working chamber 63a1) on the left side of the
[0117]
The fine channel 226b1 has the same shape as the fine channel 226a1, and the side wall surface of the slit-shaped through hole formed in the ceramic sheet 221-1, the upper surface of the ceramic sheet 61-1, and the lower surface of the ceramic sheet 221-2. And a substantially rectangular parallelepiped space having a long axis along the Y-axis direction at a position separated by a predetermined distance in the X-axis positive direction with respect to the microchannel 226a1. The fine channel 226b1 communicates the working chamber 63a2 on the right side of the
[0118]
The
[0119]
Next, a
[0120]
In the
[0121]
In the
[0122]
On the other hand, the fine channel 226a1 is defined by the wall surface of the concave groove provided by laser processing on the upper surface of the ceramic sheet 231-1 and the lower surface of the ceramic sheet 231-2, and is a long axis along the Y-axis direction. A space having a substantially rectangular parallelepiped shape and communicating with the lower portion of the working chamber 63a1 on the left side of the
[0123]
The
[0124]
Next, a
[0125]
The
[0126]
In this
[0127]
The fine channel 246a1 communicates with the upper part of the working chamber 63a1 on the left side of the
[0128]
The shape of the cut surface by the plane orthogonal to the axial direction of the pair of fine channels 246a1 and 246b1 is substantially rectangular, and when the dimension is exemplified by the portion extending in the negative direction of the Y axis, the same portion is orthogonal to the axis. The height (Z-axis direction length) of the rectangular cross section cut along the plane (ie, the XZ plane) is 10 μm, and the width (length in the X-axis direction) is 10 μm. Further, the total length in the axial direction (the entire channel length of the portion excluding the upper portion of the
[0129]
Such a
[0130]
Next, regarding a modified example of the piezoelectric / electrostrictive film type actuator employed in each of the above embodiments, the
[0131]
46 and 47, the piezoelectric / electrostrictive
[0132]
As shown in these drawings, the piezoelectric / electrostrictive
[0133]
The first electrode film 301-1 and the third electrode film 301-3 are connected so as to be maintained at the same potential to form a first electrode portion, and the second electrode film 301-2 and the fourth electrode film 301- 4 are connected so as to be maintained at the same potential to form a second electrode portion. The first electrode portion and the second electrode portion are insulated by the piezoelectric / electrostrictive film, and are applied with potentials having different polarities (applied with a driving voltage) like the upper electrode and the lower electrode described above. It has become.
[0134]
The material of the first electrode film 301-1 to the fourth electrode film 301-4 is an individual at room temperature and can withstand an oxidizing atmosphere at a high temperature about the firing temperature in the manufacturing process of the piezoelectric / electrostrictive
[0135]
In the multilayer piezoelectric / electrostrictive film type actuator described above, the lowermost electrode (first electrode film 301-1) and the intermediate electrode (second electrode film 301-) provided between the piezoelectric / electrostrictive layers are provided. 2 and the third electrode film 301-3) are preferably made of an electrode material containing platinum or the like as a main component and a material containing an additive such as zirconia oxide, cerium oxide, or titanium oxide. Although the reason is not clear, peeling between the electrode and the piezoelectric / electrostrictive film can be prevented by forming the lowermost electrode and the intermediate electrode with such a material. In addition, it is preferable that the said additive is 0.01-20 mass% in all electrode materials at the point from which the desired peeling prevention effect is acquired.
[0136]
On the other hand, as the electrode film becomes thicker, the displacement amount of the piezoelectric / electrostrictive film actuator may decrease. Therefore, in order to maintain the displacement amount at a large value, it is desirable that the electrode film is thin. Therefore, normally, the thickness of each electrode film is preferably 15 μm or less, and more preferably 5 μm or less.
[0137]
The material of the first piezoelectric / electrostrictive film 302-1 to the third piezoelectric / electrostrictive film 302-3 may be any material that generates an electric field induced strain such as a piezoelectric effect or an electrostrictive effect. It does not matter whether it is crystalline. It is also possible to use a semiconductor, a ferroelectric ceramic, or an antiferroelectric ceramic.
[0138]
Examples of materials for these piezoelectric / electrostrictive films include lead zirconate, lead titanate, lead magnesium niobate, lead nickel niobate, lead zinc niobate, lead manganese niobate, lead antimony stannate, lead manganese tungstate. And ceramic containing lead cobalt niobate, barium titanate, sodium bismuth titanate, potassium sodium niobate, strontium bismuth tantalate, etc. alone or as a mixture.
[0139]
The thickness of each layer (one layer) of the first piezoelectric / electrostrictive film 302-1 to the third piezoelectric / electrostrictive film 302-3 is thin so that a large displacement can be obtained at a lower voltage. Is preferred. For example, the thickness is designed to be 100 μm or less, more preferably about 3 to 30 μm. Further, when the piezoelectric / electrostrictive film is laminated on the diaphragm, it is preferable that the thickness of the upper layer film (the farther away from the diaphragm), the smaller the thickness. More specifically, the thickness of the nth piezoelectric / electrostrictive film counted from the piezoelectric / electrostrictive film in the lowermost layer (piezoelectric / electrostrictive film formed immediately above the diaphragm across the electrode film) is t. n And when
t n ≦ t n-1 × 0.95
It is preferable to form each piezoelectric / electrostrictive film so as to satisfy the above.
[0140]
Thus, the reason why the thickness of the piezoelectric / electrostrictive film is reduced as the upper layer is reached is as follows. That is, the amount of strain of the piezoelectric / electrostrictive film increases as the applied electric field increases (in other words, when the same drive voltage is applied to the piezoelectric / electrostrictive film, the thickness of the piezoelectric / electrostrictive film decreases). It gets bigger) Therefore, as described above, if the thickness of the piezoelectric / electrostrictive film is made smaller as the upper layer becomes thinner, the piezoelectric / electrostrictive film formed on the upper part will be distorted more than the piezoelectric / electrostrictive film formed on the lower part. As a result, the bending efficiency of the diaphragm is increased, so that the bending displacement amount of the diaphragm can be increased.
[0141]
The piezoelectric / electrostrictive
[0142]
Specifically, first, the first electrode film 301-1 is formed on the upper surface of the ceramic body 61-4 to be the
[0143]
As described above, the modification example of the piezoelectric / electrostrictive film type actuator applicable to each driving device according to the present invention is “a piezoelectric / electrostrictive film provided on the
[0144]
The
[0145]
In the piezoelectric / electrostrictive
[0146]
The piezoelectric / electrostrictive
[0147]
As described above, according to each of the embodiments of the present invention and the drive device according to the modification, the mechanical and inherent problems of wear and sticking are maintained while maintaining the characteristics of the small size and low power consumption of the micromachine. A drive device that does not have an amplification mechanism and is easily mass-produced can be provided. In addition, since the device is not damaged even when the ambient temperature rises, it is possible to provide a driving device with high reliability and durability.
[0148]
In addition, this invention is not limited to the said embodiment, A various modification can be employ | adopted within the scope of the present invention. For example, the piezoelectric / electrostrictive material film for deforming the diaphragm can be replaced with an antiferroelectric material film (antiferroelectric film) based on the basic configuration of each driving device disclosed in the present invention. Furthermore, the electrostatic force generated between the electrodes facing each other through the gap, which is actively studied in micromachine research, and the deformation force generated in the shape memory alloy by energization heating are used instead of the deformation force of the piezoelectric film, The diaphragm may be deformed by these forces. Even in such a configuration, as in the above-described embodiment, by combining the fine flow path and the internal pressure buffer chamber, it is possible to prevent the drive device from being damaged due to a change in environmental temperature. ), The position of the moving body in the initial state can be controlled.
[0149]
The drive device according to the present invention can be used, for example, as a device for micromachining a so-called rodless cylinder. For example, as disclosed in U.S. Pat. No. 3,779,401, a rodless cylinder has a cylinder operating part that is completely sealed, and is moved by a moving part (moving body in this application) and a magnetic force that move in a sealed space. The connected working part reciprocates outside the sealed space, and the movement of the movable part can be exerted outside the rodless cylinder.
[0150]
Therefore, if the moving
[0151]
Further, the drive device according to the present invention can be applied not only to a use as a micromotor for simply moving a mechanical object but also to a wide range of uses as found in various micromachines. For example, for example, a light-transmitting material is selected for a part or all of the wall surfaces forming the
[0152]
The drive device according to the present invention includes a film type piezoelectric element comprising a piezoelectric / electrostrictive film or antiferroelectric film and an electrode, a ceramic diaphragm, and a substrate on a substrate (11, 21 etc.) having a flow path (13a). The flow path is formed in a shape that connects between the ceramic pumps, and the moving body (110) that is a bubble, a vacuole, or a micro solid to be moved and a liquid (100) is stored, and when the pressure is increased or decreased at a high speed by the ceramic pump, the flow rate of the fluid is slow and the effect of reducing the pressure or the pressure is reduced with a time delay. On the other hand, the fine flow path (16a1) has a buffering effect that suppresses the pressure fluctuation in the flow path to substantially zero by the fluid entering and exiting at low pressure or low pressure. And 16b1, etc.), that has a its other end to the buffer space (internal
[Brief description of the drawings]
[0153]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a drive device according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a plan view of the driving device shown in FIG.
3 is a cross-sectional view of the drive device shown in FIG. 1 cut along a plane along line 2-2 in FIG.
4 is a cross-sectional view showing an initial state of the drive device shown in FIG. 1. FIG.
FIG. 5 is a cross-sectional view showing an operating state of the drive device shown in FIG. 1;
FIG. 6 is a cross-sectional view showing another operating state of the drive device shown in FIG. 1;
7 is a cross-sectional view showing a flow of a working fluid when the ambient temperature of the drive device shown in FIG. 1 is increased.
8 is a cross-sectional view showing the flow of the working fluid when the ambient temperature of the drive device shown in FIG. 1 is lowered.
FIG. 9 is a diagram for explaining an operation when finely adjusting the position of the moving body of the drive device shown in FIG. 1;
FIG. 10 is a time chart showing voltage waveforms applied to the piezoelectric film of the driving device for finely adjusting the position of the moving body of the driving device shown in FIG. 1;
11 is a diagram for explaining an operation when finely adjusting the position of the moving body of the drive device shown in FIG. 1; FIG.
12 is a view for explaining an operation when finely adjusting the position of the moving body of the drive device shown in FIG. 1; FIG.
FIG. 13 is a cross-sectional view of a modification of the drive device shown in FIG. 1;
FIG. 14 is a cross-sectional view of the flow path showing a modification of the flow path of the drive device shown in FIG. 1;
FIG. 15 is a cross-sectional view of a drive device according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 16 is a plan view of the drive device shown in FIG. 15;
FIG. 17 is a conceptual diagram illustrating a manufacturing process of the piezoelectric / electrostrictive actuator of the drive device shown in FIG. 15;
FIG. 18 is a conceptual diagram illustrating another manufacturing process of the piezoelectric / electrostrictive actuator of the drive device shown in FIG.
FIG. 19 is a conceptual diagram for explaining a manufacturing process of the drive device shown in FIG. 15;
20 is a conceptual diagram illustrating a manufacturing process of the drive device shown in FIG. 15. FIG.
FIG. 21 is a cross-sectional view of a drive device according to a third embodiment of the present invention.
FIG. 22 is a cross-sectional view of a drive device according to a fourth embodiment of the present invention.
FIG. 23 is a cross-sectional view of a drive device according to a fifth embodiment of the present invention.
FIG. 24 is a plan view of the driving device shown in FIG.
FIG. 25 is a cross-sectional view showing an operating state of the drive device shown in FIG. 23;
FIG. 26 is a plan view of a modification of the drive device according to the fifth embodiment of the present invention.
FIG. 27 is a plan view of a drive device according to a sixth embodiment of the present invention.
FIG. 28 is a cross-sectional view of the drive device taken along a plane along line 5-5 in FIG.
FIG. 29 is a plan view of a drive device according to a seventh embodiment of the present invention.
30 is a cross-sectional view of the drive device taken along a plane along line 6-6 in FIG. 29. FIG.
FIG. 31 is a plan view of a drive device according to an eighth embodiment of the present invention.
32 is a cross-sectional view of the drive device taken along a plane along line 7-7 in FIG. 31. FIG.
FIG. 33 is a plan view of a drive device according to a ninth embodiment of the present invention.
34 is a cross-sectional view of the drive device taken along a plane along line 8-8 in FIG. 33. FIG.
FIG. 35 is a plan view of a drive device according to a tenth embodiment of the present invention.
36 is a cross-sectional view of the drive device taken along a plane along line 9-9 in FIG. 35. FIG.
FIG. 37 is a plan view of a drive device according to an eleventh embodiment of the present invention.
FIG. 38 is a cross-sectional view of the
FIG. 39 is a plan view of a drive device according to a twelfth embodiment of the present invention.
40 is a cross-sectional view of the
FIG. 41 is a plan view of a drive device according to a thirteenth embodiment of the present invention.
42 is a cross-sectional view of the drive device taken along a plane along line CC in FIG. 41. FIG.
43 is a cross-sectional view of the drive device taken along a plane along the line DD in FIG. 41. FIG.
FIG. 44 is a plan view of a drive device according to a fourteenth embodiment of the present invention.
45 is a cross-sectional view of the
46 is a diagram showing a piezoelectric / electrostrictive membrane actuator modified to the drive device shown in FIG. 27 and cutting the drive device along a plane along line 5-5 in FIG. 27. 2 is an enlarged cross-sectional view of the piezoelectric / electrostrictive film type actuator.
47 is a diagram showing a piezoelectric / electrostrictive film type actuator modified to the drive device shown in FIG. 27, and cutting the drive device along a plane along line FF in FIG. 27. 2 is an enlarged cross-sectional view of the piezoelectric / electrostrictive film type actuator.
Claims (3)
前記一対の作動室のそれぞれに連通するとともに前記作動流体が充填された各ポンプ室と、同各ポンプ室に対して備えられた各アクチュエータと、同各アクチュエータにより変形される各ダイヤフラムとを有し、同各ダイヤフラムの変形により同各ポンプ室内の作動流体を加圧又は減圧する一対のポンプと、
前記作動流体と圧縮性の圧力緩衝用流体とを収容する内圧緩衝室を構成する内圧緩衝室構成部と、
前記流路構成部の前記一対の作動室の少なくとも一方と前記内圧緩衝室構成部の内圧緩衝室とを連通するとともに、同流路内の作動流体の急激な圧力変動に対しては実質的に同作動流体の通過を不能とする大きな流路抵抗を示し、且つ、同流路内の作動流体の緩慢な圧力変動に対しては実質的に同作動流体の通過を可能とする小さな流路抵抗を示す微細流路を構成する微細流路部と、
を備えた駆動デバイス。A flow path component that contains an incompressible working fluid and contains a moving body made of a material different from the working fluid, and constitutes a flow path substantially partitioned into a pair of working chambers by the moving body; ,
Each pump chamber communicated with each of the pair of working chambers and filled with the working fluid, each actuator provided for each pump chamber, and each diaphragm deformed by each actuator A pair of pumps that pressurize or depressurize the working fluid in the pump chambers by deformation of the diaphragms;
An internal pressure buffering chamber constituting part constituting an internal pressure buffering chamber for accommodating the working fluid and a compressible pressure buffering fluid;
At least one of the pair of working chambers of the flow path component and the internal pressure buffer chamber of the internal pressure buffer chamber component communicate with each other, and substantially against sudden pressure fluctuations of the working fluid in the flow channel. Small flow resistance that shows large flow resistance that prevents passage of the working fluid and that allows passage of the working fluid substantially against slow pressure fluctuations of the working fluid in the flow path A fine channel part constituting a fine channel,
Drive device with
前記ポンプの各ダイヤフラムは前記各ポンプ室の壁の一部を構成するとともに同一の平面内に膜面を有するように配置され、
前記流路構成部の流路は前記ダイヤフラムの膜面に平行な面内に長手方向を有する空間となるように構成され、
前記微細流路部の微細流路は前記ダイヤフラムの膜面と平行な方向において延設され、
前記内圧緩衝室構成部の内圧緩衝室は前記ダイヤフラムの膜面に平行な面内に長手方向を有する空間となるように構成されるとともに前記微細流路部の微細流路を介して前記流路構成部の流路と連通されるように配置されてなる駆動デバイス。In the driving device according to claim 1 or claim 2,
Each diaphragm of the pump constitutes a part of the wall of each pump chamber and is arranged to have a membrane surface in the same plane,
The flow path of the flow path component is configured to be a space having a longitudinal direction in a plane parallel to the membrane surface of the diaphragm,
The fine flow path of the fine flow path portion extends in a direction parallel to the membrane surface of the diaphragm,
The internal pressure buffering chamber of the internal pressure buffering chamber constituting part is configured to be a space having a longitudinal direction in a plane parallel to the membrane surface of the diaphragm, and the flow path through the fine flow path of the fine flow path part. A drive device arranged to communicate with the flow path of the component.
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